JP3755805B2 - セグメントの継手装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメントの継手装置に関し、特に雌継手を有するセグメントの接続面に雄継手を有するセグメントの接続面を突合わせてセグメントを接続するセグメントの継手装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のセグメントの継手装置は、鉄筋コンクリート製セグメント又は鋼鉄製セグメントを問わず、鋼板で構成された接続部をボルト及びナットで接続する鋼板短ボルト方式の技術が知られている。この技術はそれなりの実績が積み上げられているが、種々の問題点が有る。
【0003】
即ち、セグメントの接続は狭い場所での高所作業となることが多く、ボルト及びナット等の部品、手動或いは電動のレンチ等の工具及び締結冶具等を現場に搬入する手間が掛かり、締結作業は多くの労力を要して危険な作業である。また、締結する部品の防食処理、部品管理の問題があり、これらが工期の短縮、コスト低減を困難にする要因となっている。
【0004】
そこで、上記の問題点を解決するために、セグメント同士の継手面を押し付けるだけで接続が可能ないわゆるワンタッチ式のセグメント継手が開発されている。
【0005】
しかしながら、ワンタッチ式のセグメント継手はリング継手に用いた場合には、エレクタのジャッキの推力による締結力の導入で止水シールの潰しが可能であるが、ピース継手に用いた場合は圧縮方向が異なるのでジャッキを用いた締結作業ができない。また、施工に伴って締結力が減少した場合の増し締めができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、構造が簡単で、締結作業が容易で安全にでき、増し締めができ、強度が強く耐久性に優れたセグメントの継手装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、雌継手を有するセグメントと雄継手を有するセグメントとを接続するためのセグメントの継手装置において、前記雌継手(5)は開口(15a)を有するハウジング(15)とそのハウジング(15)内に設けたナット(16)とを備え、前記雄継手(4)は開口(8d)を有するハウジング(8)とそのハウジング(8)内に設けられてハウジング(8)の凸部(8a、8b)にガイドされ、前記雄継手(4)の開口(8a)を介して前記雌継手(5)の開口(15a)から挿入される係止杆(9)とを備え、その係止杆(9)の外周のネジ(9a)に螺合するウォームナット(10)が設けられ、そしてハウジング(8)には前記ウォームナット(10)を回動させる回動用ウォーム(14)を挿入する孔(8e)が設けられ、さらにウォームナット(10)を接続面側に押圧するバネ(12)と、前記バネ(12)に抗してウォームナット(10)を係止し、そしてウォームナット(10)の回動により係止をはずす凸部(8c)が設けられている。
【0008】
そして、前記雄継手のウオームナットはハウジングの凸部に係止され、ウオームナット及び係止杆を前進付勢するバネが設けられ、ウオームナットを回転することによりウオームナットと凸部の係止が解かれて係止杆が開口から突出するので、回動用ウオームを少し回転するとナットの螺合位置まで係止杆が直ちに移動し、接続作業が短時間でできる。
【0009】
また、本発明によれば、雌継手を有するセグメントと雄継手を有するセグメントとを接続するためのセグメントの継手装置において、前記雌継手(5)は開口(24a)および孔(24b)を有するハウジング(24)とハウジング(24)内に設けられてウォームホイル(25a)が形成されたナット(25)とを備え、前記雄継手(4)は開口(20a)を有するハウジング(20)と、そのハウジング(20)に収納されその開口(20a)から突出でき、そしてネジ(21a)が形成された係止杆(21)とを備え、その係止杆(21)を前記開口(20a)および雌継手(5)の開口(24a)を介して突出させるためのバネ(22)が設けられ、さらに前記バネ(22)に抗して前記係止杆(21)をハウジング (20)内に位置させるための係止手段(23)が設けられ、さらに前記孔(24b)を通して前記ナット(25)のウォームホイル(25a)と螺合する回動用ウォーム(14)を有している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明のセグメントの継手装置を説明する。図1は本発明が実施されているセグメント1が使用されたトンネルTの斜視図で、セグメント1の継手装置2(ピース継手)及び継手装置3(リング継手)を順次接続してトンネルTの内壁が構成されている。セグメント1の接続面1aには継手装置2の雄継手4が複数(図示の例では2個)設けられ、接続面1aに対向した接続面1bには雌継手5が複数(図示の例では2個)設けられている。また、セグメント1の接続面1dには継手装置3の雄継手6が複数(図示の例では2個)設けられ、接続面1dに対向した接続面1cには雌継手7が複数(図示の例では2個)設けられている。
【0011】
セグメント1の接続面1dに設けられている継手装置3に関し、雄継手6は鋼鉄製のピンで構成され、接続面1cに設けられている雌継手5はこれから組み立てるセグメント1の雄継手6が挿入される開口で構成されている。なお、ピース間継手2に本発明の継手装置を用い、リング間継手3に従来のピン式継手を用いる組み合わせにすることも可能である。
【0012】
図2に示すように、セグメント1の接続面1aに設けられている継手装置2の雄継手4は、ハウジング8と、そのハウジング8内の接続面側および反接続面側に形成された凸部8a、8bにガイドされ、ネジ9aが形成された係止杆9とを備え、その係止杆9の外周のネジ9aは後記のウォームナット10と螺合する。そして雄継手4はさらに外側にウオームホイル10bが形成されたウオームナット10を備えている。そのウオームナット10は係止杆9に固定手段11により比較的に弱く固定されている。
【0013】
図3に示すように、固定手段11としては、金属又は樹脂製等の板バネ11aの外周をウオームナット10に固定し、板バネ11aの内周で係止杆9を挟むようにしたものが好適に実施できる。
【0014】
また、図4に示すように、固定手段11としては、ウオームナット10を係止杆9に比較的弱い接着剤11bで接着して固定しても良い。
【0015】
そして、ウオームナット10に形成された凸部10cはハウジング8に形成された凸部8cに当接して係止され、係止杆9及びウオームナット10を前進付勢するバネ12が設けられている。
【0016】
図5に示すように、凸部8cはハウジング8に複数(図示の例では2個)形成され、凸部10cもウオームナット10に複数(図示の例では2個)形成されている。そして、ウオームナット10が少し回動することにより凸部8c、10cの当接が解除され、バネ12により係止杆9及びウオームナット10がハウジング8の開口8dから突出するようになっている。
【0017】
そして、ハウジング8の後端には係止杆9を保護するカバー13が設けられている。
なお、図6に示すように、カバー13は蓋付きのパイプ13aでも良い。
【0018】
また、ウオームナット10に対向したハウジング8の部分には孔8eが開けられ、雄継手4をセグメント1に取り付けた状態で、孔8eが位置するセグメント1の部分には孔1eが開けられている。そして、手動或いは電動のレンチ等の工具に取り付けた回動用ウオーム14を孔1e、8eを介してハウジング8内に挿入し、回動用ウオーム14をウオームホイル10bに螺合し、ウオームナット10及び係止杆9を回転するようになっている(図7及び図8)。
【0019】
なお、ウオームナット10、ウオームホイル10a、及び回動用ウオーム14の関係は、図9及び図10に示すようにウオームナット10に凸起部を設けてウオームホイル10aを形成し、ウオーム14と螺合するようにしても良い。
また、図11及び図12に示すように、直接ウオームナット10の外周に歯を切り、ウオームホイル10aを形成しても良い。
【0020】
セグメント1の接続面1bに設けられている継手装置2の雌継手5は、ハウジング15と、ハウジング15内に非回動に設けられたナット16で構成されている。このナット16はハウジング15内にガタを有して設けられ、ハウジング15の開口15aはテーパ面となっている。
なお、ナット16の形状は、六角、四角、三角等、所望の形状で良く、楔タイプのものでも良い。
【0021】
次に、セグメント1の接続の態様について説明する。図示しないシールド機のエレクタにより、先に組み立てられたセグメント1の継手装置3の雌継手7にセグメント1の継手装置3の雄継手6を挿入すると、先に組み立てられたセグメント1の継手装置2の雌継手5にセグメント1の継手装置2の雄継手4が対向する(図2)。
【0022】
そして、回動用ウオーム14を孔1e、8eを介してハウジング8内に挿入し、回動用ウオーム14をウオームホイル10bに螺合して回転する。ウオームナット10が少し回転すると、凸部8c、10cの当接による係止が解かれ、バネ12により係止杆9が開口8dから突出し、係止杆9は開口15aからハウジング15内に進入し、係止杆9の先端がナット16に当接する(図13)。
【0023】
このようにウオームナット10を少し回転すると、係止杆9がナット16に当接するまで移動するので、接続作業が短時間でできるようになる。また、開口15aはテーパ面になっているので、係止杆9はハウジング15内にスムーズに進入でき、さらに、ナット16がハウジング15内でガタにより移動可能になっているので、セグメント1、1同士が少しずれていても継手装置2の接続が容易にできる。
【0024】
さらに回動用ウオーム14を回転すると、ウオームナット10に固定された係止杆9はナット16に螺合する。そして、係止杆9の先端がハウジング15に当接し、係止杆9の前進が妨げられる(図14)。
【0025】
このように係止杆9がハウジング15に当接し、さらに回動用ウオーム14を回転すると、ウオームナット10と係止杆9との固定手段11による固定が解かれ、係止杆9のネジ9aに螺合しているウオームナット10が前進し、ハウジング8の凸部8aに当接して締結力が得られる(図15)。
【0026】
このように継手装置2がしっかりと締結されるので、セグメント1は先に組み立てられセグメント1に強固に密着され、強度が強く耐久性に優れたトンネルTの施工が行われるようになる。
【0027】
上述した実施の形態の継手装置2は、雄継手4の係止杆9を回転して雌継手5のナット16に螺合しているが、雌継手5のナット16を回転して雄継手4の係止杆9をナット16に螺合するようにしても良い。
【0028】
図16に示すように、この実施の形態では、継手装置2の雄継手4は、開口20aを有するハウジング20と、ネジ21aが形成され、ハウジング20内を非回動に摺動する係止杆21と、係止杆21を前進付勢するバネ22と、係止杆21を係止する係止手段23で構成されている。
【0029】
図17に示すように、係止手段23は係止杆21に当接したストップピン23aが使用され、ストップピン23aを抜くことにより係止杆21の係止を解くようにしたものが好適に実施できる。
【0030】
また、図18に示すように、係止手段23は孔23bを開けたストッププレート23cで係止杆21を係止し、ストッププレート23cを動かして孔23bを係止杆21に対向させて係止を解くようにしても良い。
そして、係止杆21にはハウジング20の開口20aに当接する頭部21bが形成されている。
【0031】
継手装置2の雌継手5は、ハウジング24と、外側にウオームホイル25aが形成され、ハウジング24内に設けられたナット25で構成されている。このナット25はハウジング24内にガタを有して設けられ、ハウジング24の開口24aはテーパ面となっている。そして、ハウジング24には孔24bが開けられ、回動用ウオーム14を孔24bを介してハウジング24内に挿入し、回動用ウオーム14をウオームホイル25aに螺合し、ナット25を回転するようになっている。
【0032】
次に、この構造の継手装置2の接続について説明する。上述した実施の形態と同様に、先に組み立てられたセグメント1の継手装置3の雌継手7にセグメント1の継手装置3の雄継手6を挿入すると、先に組み立てられたセグメント1の継手装置2の雌継手5にセグメント1の継手装置2の雄継手4が対向する(図16)。
【0033】
そして、係止手段23による係止杆21の係止を解くと、バネ22により係止杆21が開口20aから突出し、係止杆21は開口24aからハウジング24内に進入し、係止杆21の先端がナット25に当接する。
【0034】
このように係止手段23による係止を解くと、係止杆21がナット25に当接するまで移動するので、接続作業が短時間でできるようになる。また、開口24aはテーパ面になっているので、係止杆21はハウジング24内にスムーズに進入でき、セグメント1、1同士が少しずれていても継手装置2の接続が容易にできる。
【0035】
次に、回動用ウオーム14を孔24bを介してハウジング24内に挿入し、ウオームホイル25aに螺合してナット25を回転する。ナット25が回転すると、ナット25に螺合した係止杆21は前進し、頭部21bが開口20aに当接して増し締めされる(図19)。
このように接続装置2が締結されるので、セグメント1は先に組み立てられセグメント1に強固に密着され、強度が強く耐久性に優れたトンネルTの施工が行われる。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセグメントの継手装置の効果を、以下に列挙する。
(1) 継手装置が締結できるので、強度が強く耐久性に優れたトンネルとなる。また、施工の進捗に応じて締結力がロスした場合には、回動用ウオームにより増し締めができる。
(2) バネにより雄継手の係止杆を雌継手のナットの位置まで移動するので、接続作業が短時間でできる。
(3) 雌継手のハウジングの開口がテーパ面で形成されているので、係止杆が雌継手のハウジング内へ容易に挿入し、セグメント同士が少しずれていても継手装置の接続が容易にできる。
(4) 雌継手のナットがハウジング内にガタを有して設けられているので、セグメント同士が少しずれていても継手装置の接続が容易にできる。
(5) セグメントに継手装置を作動するための孔が小さくすみ、強度的に丈夫で耐久性のあるセグメントを得ることができる。
(6) 運搬、位置決め作業時には、セグメント端面からの金具の突出がなく、セグメント分割などに組み立て方法への影響がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の継手装置が実施されているセグメントを組み込んでいる状態の斜視図。
【図2】本発明の継手装置の実施例を示す断面図。
【図3】固定手段の1つの実施の形態を示す断面図。
【図4】固定手段の他の実施の形態を示す断面図。
【図5】図2のA−A矢視図。
【図6】ハウジングのカバーの他の実施の形態を示す断面図。
【図7】回動用ウオームとウオームナットとの関係を示す図。
【図8】図7のウオームナットを示す斜視図。
【図9】回動用ウオームとウオームナットとの別の実施の形態を示す図。
【図10】図9のウオームナットを示す斜視図。
【図11】回動用ウオームとウオームナットとのさらに別の実施の形態を示す図。
【図12】図11のウオームナットを示す斜視図。
【図13】継手装置の係止杆に張力が生じたところを示す断面図。
【図14】継手装置の係止杆に張力が生じたところを示す断面図。
【図15】継手装置の係止杆に張力が生じたところを示す断面図。
【図16】継手装置の他の実施の形態を示す断面図。
【図17】係止手段の実施の形態を示す正面図。
【図18】係止手段の他の実施の形態を示す正面図。
【図19】継手装置の他の実施の形態の動作を示す断面図。
【符号の説明】
T・・・トンネル
1・・・セグメント
2・・・継手装置
4・・・雄継手
5・・・雌継手
8、15、20、24・・・ハウジング
8a、8b、8c、10c・・・凸部
8d・・・開口
8e・・・孔
9、21・・・係止杆
9a、10a・・・ネジ
10・・・ウオームナット
10b・・・ウオームホイル
11・・・固定手段
12、22・・・バネ
13・・・カバー
14・・・回動用ウオーム
16、25・・・ナット
23・・・係止手段
Claims (2)
- 雌継手を有するセグメントと雄継手を有するセグメントとを接続するためのセグメントの継手装置において、前記雌継手(5)は開口(15a)を有するハウジング(15)とそのハウジング(15)内に設けたナット(16)とを備え、前記雄継手(4)は開口(8d)を有するハウジング(8)とそのハウジング(8)内に設けられてハウジング(8)の凸部(8a、8b)にガイドされ、前記雄継手(4)の開口(8a)を介して前記雌継手(5)の開口(15a)から挿入される係止杆(9)とを備え、その係止杆(9)の外周のネジ(9a)に螺合するウォームナット(10)が設けられ、そしてハウジング(8)には前記ウォームナット(10)を回動させる回動用ウォーム(14)を挿入する孔(8e)が設けられ、さらにウォームナット(10)を接続面側に押圧するバネ(12)と、前記バネ(12)に抗してウォームナット(10)を係止し、そしてウォームナット(10)の回動により係止をはずす凸部(8c)が設けられていることを特徴としたセグメントの継手装置。
- 雌継手を有するセグメントと雄継手を有するセグメントとを接続するためのセグメントの継手装置において、前記雌継手(5)は開口(24a)および孔(24b)を有するハウジング(24)とハウジング(24)内に設けられてウォームホイル(25a)が形成されたナット(25)とを備え、前記雄継手(4)は開口(20a)を有するハウジング(20)と、そのハウジング(20)に収納されその開口(20a)から突出でき、そしてネジ(21a)が形成された係止杆(21)とを備え、その係止杆(21)を前記開口(20a)および雌継手(5)の開口(24a)を介して突出させるためのバネ(22)が設けられ、さらに前記バネ(22)に抗して前記係止杆(21)をハウジング(20)内に位置させるための係止手段(23)が設けられ、さらに前記孔(24b)を通して前記ナット(25)のウォームホイル(25a)と螺合する回動用ウォーム(14)を有することを特徴とするセグメントの継手装置。
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