JP3755482B2 - 真空パッケージ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線センサ等のセンサチップを真空環境で収容する真空パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、物体からの放射赤外線を赤外線センサにより検出し、電気信号として出力する赤外線カメラが普及している。このような赤外線カメラ等に用いられる赤外線センサは、外部からの熱の影響を受けやすいといった性質を有している。このため、赤外線センサは、特開平8−21764号公報にて示されるように、高真空状態に保たれたパッケージ内部に収容されて用いられるのが一般的である。このように、赤外線センサを高真空状態に保たれたパッケージ内部に収容することによって、赤外線センサへの外部からの熱伝達が遮断され、高い検出感度が得られることになる。
【0003】
特開平8−21764号公報にて開示される従来の構造は、機械的に強固な容器の内部に赤外線センサを収容するようになっている。この容器は、内部に収容された赤外線センサと対向する位置が開口されており、この開口部が集光レンズで遮蔽されることで、気密性が確保されるようになっている。そして、この容器の内部が真空ポンプにより真空排気されることで、高真空状態とされている。なお、集光レンズは、物体からの放射赤外線を容器内部に収容された赤外線センサに集光させるためのものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような従来の構造では、真空ポンプを用いた真空排気によって容器の内部を高真空状態とするようになっているので、赤外線センサへの外部からの熱伝達を完全に遮断できる程度の真空度を得るのが困難であるといった問題が生じる。また、容器内部の真空度がある程度高められた状態から、真空ポンプを用いた真空排気によって更に真空度を高めようとすると、排気時間に長時間を要するといった問題も生じる。
【0005】
このような問題は、赤外線センサに限らず、真空環境での使用が求められるセンサチップ、例えば振動型ジャイロを用いるヨーレートセンサ等を容器内に収容し、この容器内部を真空ポンプにより真空排気する場合にも共通して生じる問題である。
【0006】
また、以上のような従来の構造では、赤外線センサを収容する容器に集光レンズを固定させるようになっているので、集光レンズやその他の各部材の製造ばらつき等に起因するフォーカスずれに対応できないといった問題もある。特に、光学系の設計が望遠の場合は、集光レンズのフォーカスが僅かにずれただけでも赤外線センサの検出感度が実質的に低下してしまうため、集光レンズの微妙なフォーカス調整を行える構造が強く求められる。
【0007】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、パッケージ内部を容易に高真空状態にできると共に、赤外線センサ等の受光センサを収容する場合には、パッケージ内部の高真空化と同時に集光レンズのフォーカス調整も行える構造の真空パッケージを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、高真空状態とされたパッケージ内部にセンサチップを収容し、前記センサチップへのパッケージ外部からの熱伝達を遮断する真空パッケージにおいて、前記センサチップを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して配設される対向部材と、前記支持部材と前記対向部材とを気密性を維持しながら連結する伸縮可能な側胴部材と、前記支持部材に対する前記対向部材の位置を固定する位置決め部材とを備え、前記側胴部材を伸長させながら前記対向部材を前記支持部材から離間させる方向に移動させ、前記位置決め部材で前記対向部材の前記支持部材に対する位置を固定させることで、前記支持部材と前記対向部材と前記側胴部材とで囲まれるパッケージ内部を高真空状態にすることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の真空パッケージにおいて、前記位置決め部材が、前記支持部材に対する前記対向部材の位置を連続的に変化させながら任意の位置で固定させるネジ機構を有していることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の真空パッケージにおいて、前記側胴部材として蛇腹形状のベローズが用いられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の真空パッケージにおいて、前記センサチップが、パッケージ外部からの入射赤外光を検出する赤外線センサであり、前記対向部材に開口穴が設けられて、この開口穴に前記入射赤外光を前記赤外線センサに集光させる集光レンズが気密接合されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の真空パッケージにおいて、前記支持部材と前記位置決め部材との間に、前記支持部材に対する前記対向部材の位置を微調整して、前記集光レンズの焦点位置を前記赤外線センサに合わせるフォーカス調整手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の真空パッケージにおいて、前記フォーカス調整手段としてピエゾ駆動器が用いられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、高真空状態とされたパッケージ内部にセンサチップを収容し、前記センサチップへのパッケージ外部からの熱伝達を遮断する真空パッケージの製造方法であって、支持部材に前記センサチップを搭載すると共に、前記センサチップを囲むように前記支持部材に伸縮可能な側胴部材の一端側を気密接合させる第1の工程と、前記側胴部材を圧縮させた状態でその他端側を前記支持部材に対向して配設される対向部材に所定の真空環境下で気密接合させ、前記支持部材と前記対向部材と前記側胴部材とで囲まれるパッケージ内部を真空排気された状態で封止する第2の工程と、前記側胴部材を伸長させながら前記対向部材を前記支持部材から離間させる方向に移動させ、前記パッケージ内部の容積を増大させて真空度を高める第3の工程と、前記対向部材の前記支持部材に対する位置を位置決め部材により固定させる第4の工程とを有することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に係る真空パッケージによれば、伸縮可能な側胴部材を伸長させながら対向部材を支持部材から離間させる方向に移動させてパッケージ内部の容積を増大させることで、センサチップが収容されたパッケージ内部の真空度を高める構造となっているので、真空ポンプを用いた真空排気によって真空度を高める場合に比べて、パッケージ内部を容易に且つ短時間で所望の高真空状態とすることができ、センサチップの高感度化を図ることができる。
【0016】
また、請求項2に係る真空パッケージによれば、位置決め部材のネジ機構によって、支持部材に対する対向部材の位置を連続的に変化させて所望の位置で固定できるので、パッケージ内部を最適な高真空状態に設定できると共に、最適な高真空状態を適切に維持することができる。
【0017】
また、請求項3に係る真空パッケージによれば、支持部材と対向部材とを連結する側胴部材として蛇腹形状のベローズが用いられているので、支持部材と対向部材との間で高い気密性を確保しながら、対向部材を容易に移動させることができ、パッケージ内部を極めて容易に所望の高真空状態とすることができる。
【0018】
また、請求項4に係る真空パッケージによれば、赤外線センサに入射赤外線を集光させる集光レンズが対向部材の開口穴に気密接合されているので、対向部材を移動させてパッケージ内部の真空度を高める際に、集光レンズのフォーカス調整も行うことができ、赤外線センサの検出感度を更に高めることができる。
【0019】
また、請求項5に係る真空パッケージによれば、支持部材と位置決め部材との間にフォーカス調整手段が設けられているので、当該真空パッケージの製造時だけでなく使用時においても、集光レンズのフォーカス調整を常時行うことができる。
【0020】
また、請求項6に係る真空パッケージによれば、フォーカス調整手段としてピエゾ駆動器が用いられ、電気的な制御で集光レンズのフォーカス調整が行えるので、集光レンズのフォーカス調整を極めて高精度に行うことができる。
【0021】
また、請求項7に係る真空パッケージの製造方法によれば、伸縮可能な側胴部材を圧縮させて支持部材と対向部材とを近接させ、パッケージ内部を真空排気された状態で封止した後、側胴部材を伸長させながら対向部材を支持部材から離間させる方向に移動させてパッケージ内部の容積を増大させることで、センサチップが収容されたパッケージ内部の真空度を高めるようにしているので、真空ポンプを用いた真空排気によって真空度を高める場合に比べて、パッケージ内部を容易に且つ短時間で所望の高真空状態とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で使用する図面は、本発明の特徴を分かり易くするために一部デフォルメして示しており、各部の寸法比等は実際のものと必ずしも一致しない。また、以下に説明する各部の構造等は、本発明を適用した具体的な一例を示したものであり、設計条件等に応じて適宜変更可能である。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明を適用した真空パッケージの一例を図1に断面図で示す。この図1に示す真空パッケージ1は、円形の板状に成形されたステム(支持部材)2を備えている。このステム2は、高真空状態に耐え得る十分な強度が保てる厚みを有しており、その厚み方向に貫通して一対のピン挿通孔2aが穿設されている。このピン挿通孔2aには、外部接続端子となる端子ピン3が挿通されており、高度に気密性を有するハーメチック4によって、これら端子ピン3がステム2に固定されている。
【0024】
ステム2の一方の主面部には、その略中央部に位置して、赤外線センサ5がダイボンドされている。そして、この赤外線センサ5のパッドと端子ピン3の先端部とがワイヤボンディングにより結線され、端子ピン3が赤外線センサ5の外部接続端子として機能するようになっている。また、ステム2の外周側には、その厚み方向に貫通して、後述するネジ部材6の先端部が螺合されるネジ孔2bが穿設されている。このネジ孔2bは、ネジ部材6の雄ネジ形状に対応した雌ネジ形状とされている。
【0025】
ステム2の一方の主面部と対向する位置には、レンズホルダ(対向部材)7が配設されている。このレンズホルダ7は、ステム2と略同径の円形板状に成形されており、ステム2と同様に、高真空状態に耐え得る十分な強度が保てる厚みを有している。
【0026】
レンズホルダ7の略中央部には、その厚み方向に貫通して開口穴7aが設けられている。そして、レンズホルダ7のステム2と対向する一方の主面部側の開口部7a端縁は、ステム2側へと突出するように成形されて、フランジ部8とされている。また、レンズホルダ7の他方の主面部上には、低融点ガラス等の気密性接着材料9によって集光レンズ10が気密接合されており、この集光レンズ10でレンズホルダ7の開口穴7aが遮蔽されている。この集光レンズ10は、パッケージ外部からの入射赤外光を赤外線センサ5に集光させるためのものである。更に、レンズホルダ7の外周側には、その厚み方向に貫通して、ネジ部材6の基端側が挿通されるネジ挿通孔7bが穿設されている。このネジ挿通孔7bは、ネジ部材6よりも若干大径とされており、ネジ部材6を遊挿できるようになっている。
【0027】
ステム2とレンズホルダ7の対向面間には、ステム2に支持された赤外線センサ5とレンズホルダ7の開口穴7aとを覆うように、ベローズ(側胴部材)11が配設されている。このベローズ11は、気密性を有する材料が蛇腹形状に成形されてなるものであり、一端側がステム2の一方の主面部に気密接合されると共に、他端側がレンズホルダ7の一方の主面部側に形成されたフランジ部8に気密接合されることで、ステム2とレンズホルダ7とを気密性を維持しながら連結するようになっている。そして、ステム2とレンズホルダ7は、このベローズ11によって連結されることで、ベローズ11を伸縮させながら互いに近接離間する方向に移動することができ、両者の対向面間の間隔が可変となっている。
【0028】
本発明を適用した真空パッケージ1では、ステム2とレンズホルダ7とベローズ11とで囲まれる気密空間がパッケージ内部1aとされており、このパッケージ内部1aに赤外線センサ5が配設された構造となっている。そして、ベローズ11を圧縮させてパッケージ内部1aの容積を小さくした状態でパッケージ内部1aをある程度真空状態にしておき、ベローズ11を伸長させながらレンズホルダ7をステム2から離間させる方向へと移動させてパッケージ内部1aの容積を増大させることで、パッケージ内部1aの真空度を高めて高真空状態にするようになっている。
【0029】
また、レンズホルダ7をステム2から離間させてパッケージ内部1aを高真空状態としたとき、ステム2に対するレンズホルダ7の位置は、ネジ部材(位置決め部材)6によって固定されることになる。ネジ部材6は、その基端側がレンズホルダ7に設けられたネジ挿通孔7bに挿通されると共に、その先端部がステム2に設けられたネジ孔2bに螺合される。そして、ロックナット6aによってレンズホルダ7の一方の主面部側を支承することで、ステム2に対するレンズホルダ7の位置を固定させるようになっている。なお、ネジ部材6は、ステム2とレンズホルダ7の平行度を保って集光レンズ10の光軸倒れを抑制するために、少なくとも3箇所でステム2とレンズホルダ7とを固定することが望ましい。また、パッケージ内部1aの高真空化による応力を均等に分散させるために、各ネジ部材6が等間隔で配置されていることが望ましい。
【0030】
以上のような構造の本発明を適用した真空パッケージ1では、伸縮可能なベローズ11を伸長させながらレンズホルダ7をステム2から離間させる方向に移動させ、パッケージ内部1aの容積を増大させることで、赤外線センサ5が配設されたパッケージ内部1aの真空度を高めて高真空状態にするようになっているので、例えば、機械的に強固な容器の内部に赤外線センサを配設して、この容器の内部を真空ポンプを用いた真空排気によって高真空状態とするようにした従来の構造に比べて、パッケージ内部1aの高真空化を容易に且つ短時間で行うことができる。特に、従来の構造では実現が困難であった高真空状態からの更なる真空度の向上が容易に且つ短時間で行えるので、赤外線センサ5の感度を極めて良好なものとすることができる。
【0031】
また、この真空パッケージ1では、ネジ部材6を用いてステム2に対するレンズホルダ7の位置を固定させる構造となっているので、ステム2に対するレンズホルダ7の位置を連続的に変化させながら所望の位置で固定できる。したがって、ステム2とレンズホルダ7とベローズ11とで囲まれるパッケージ内部1aを最適な高真空状態に設定できると共に、最適な高真空状態を適切に維持することができる。
【0032】
また、この真空パッケージ1では、蛇腹形状のベローズ11によりステム2とレンズホルダ7とが連結され、ベローズ11を伸縮させながレンズホルダ7を移動させることで、ステム2とレンズホルダ7との対向面間の間隔を調整できるようになっているので、ステム2とレンズホルダ7との間の気密性、すなわちパッケージ内部1aの気密性を良好に確保しながら、パッケージ内部1aを極めて容易に所望の高真空状態とすることができる。
【0033】
また、この真空パッケージ1では、赤外線センサ5を支持するステム2に対向配置されてステム2との間隔を可変とされたレンズホルダ7に、入射赤外線を赤外線センサ5に集光させる集光レンズ10が気密接合された構造となっているので、レンズホルダ7をステム2から離間させる方向に移動させてパッケージ内部1aの真空度を高める際に、集光レンズ10のフォーカス調整も行うことができ、赤外線センサ5の検出感度を更に高めることができる。特に、この真空パッケージ1では、レンズホルダ7の位置を固定する部材としてネジ部材6が用いられ、ステム2に対するレンズホルダ7の位置を連続的に変化させながら所望の位置で固定できるようになっているので、集光レンズ10のフォーカス調整を極めて高精度に行うことができる。
【0034】
ここで、以上のような真空パッケージ1の製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。
【0035】
真空パッケージ1を製造するには、まず、ステム2の一方の主面部上に赤外線センサ5をダイボンドすると共に、ステム2のピン挿通孔2aに端子ピン3を挿通して、ハーメチック4で固定する。そして、赤外線センサ5のパッドと端子ピン3の先端部とをワイヤボンディングにより結線する。
【0036】
次に、圧縮状態とされたベローズ11を、赤外線センサ5を囲むようにステム2の一方の主面部上に載置して、その一端側をステム2の一方の主面部に溶接等によって気密接合させる。また、レンズホルダ7の他方の主面部上に、低融点ガラス等の気密性接着材料9を用いて集光レンズ10を気密接合し、この集光レンズ10でレンズホルダ7の開口穴7aを遮蔽させる。
【0037】
次に、図2に示すように、集光レンズ10が接合されたレンズホルダ7をステム2に近接させて、圧縮状態でステム2に接合されたベローズ11の他端側を、電子ビーム溶接等によってレンズホルダ7のフランジ部8に気密接合させる。これにより、赤外線センサ5が搭載されたステム2と集光レンズ10が接合されたレンズホルダ7とが、圧縮状態のベローズ11によって連結され、これらステム2とレンズホルダ7とベローズ11とで気密空間が形成されて、この気密空間がパッケージ内部1aとされる。このとき、ベローズ11とレンズホルダ7との気密接合は、所定の真空環境下で行うようにする。これにより、ステム2とレンズホルダ7と圧縮されたベローズ11とで囲まれるパッケージ内部1aは、真空排気された状態で気密封止されることになる。
【0038】
次に、ベローズ11によって連結されたステム2及びレンズホルダ7を大気圧下に取り出す。このとき、ベローズ11は圧縮状態にあるので、ベローズ11が大気圧によって急激に圧縮されて変形が生じるといった不都合が未然に抑制されることになる。
【0039】
次に、図3に示すように、ネジ部材6をレンズホルダ7のネジ挿通孔7bに挿通させてロックナット6aを取り付けると共に、その先端部をステム2のネジ孔2bに螺合させる。そして、ロックナット6aを回転させることで、レンズホルダ7をステム2から離間する方向に移動させる。このとき、ステム2とレンズホルダ7とを連結するベローズ11が伸長して、パッケージ内部1aの容積が増大する。これにより、パッケージ内部1aの真空度が高められることになる。また、集光レンズ10が接合されたレンズホルダ7と赤外線センサ5が搭載されたステム2との間隔が調整されることで、集光レンズ10のフォーカス調整も行われることになる。
【0040】
ステム2に対するレンズホルダ7の位置を所望の位置に設定したら、次に、ロックナット6aの位置を維持させながら、ネジ部材6をステム2側へと締め込む。これにより、レンズホルダ7のステム2に対する位置がネジ部材6によって固定され、図1に示した真空パッケージ1が完成する。
【0041】
以上のように製造される真空パッケージ1は、所定の真空環境下で気密封止されたパッケージ内部1aの容積が大気圧化で増大され、パッケージ内部1aの真空度が高められているので、このパッケージ内部1aに収容されている赤外線センサ5の感度を極めて良好なものとすることができる。
ここで、熱電対の熱起電力を利用するサーモパイル型の赤外線センサを例に挙げて、そのセンサ感度と真空度との関係を図4を参照して説明する。なお、図4に示すセンサ感度と真空度との関係は、例えば、抵抗体の温度変化に伴う抵抗値変化を利用するボロメータ型の赤外線センサ等、他の方式の赤外線センサにも同様にあてはまるものである。
【0042】
この赤外線センサは、図4に示すように、5Torrを境に真空度が更に高められると、急峻な変化でセンサ感度が向上する。ここで、この赤外線センサを上述した真空パッケージ1のパッケージ内部1aに収容し、例えば500mTorr程度の真空環境下でパッケージ内部1aを気密封止した後に、大気圧化でパッケージ内部1aの容積を5倍に増大させたとすると、パッケージ内部1aの真空度は、P1・V1/T1=P2・V2/T2で表されるボイル・シャルルの法則(Pは圧力、Vは体積、Tは温度であり、温度一定で体積を変化させると圧力が反比例することを示す)から、100mTorr程度となることが分かる。
【0043】
この100mTorrといった高真空状態では、上述した赤外線センサは、ほぼ飽和レベルに相当する極めて高いセンサ感度を有することになる。このように、本発明を適用した真空パッケージ1を用いることで、赤外線センサの感度を大幅に向上させることができる。しかも、この真空パッケージ1は、上述したように、パッケージ内部1aの高真空化を簡便且つ迅速に行えるので、赤外線センサを真空環境化で収容するパッケージとして、極めて有用性が高い。
【0044】
なお、以上は、物体からの放射赤外線を検出して電気信号に変換する赤外線センサ5を収容する真空パッケージ1に本発明を適用した例について具体的に説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、例えば振動型ジャイロを用いるヨーレートセンサ等、真空環境下での使用が要求されるあらゆるセンサチップを収容する真空パッケージに有効に適用可能である。
【0045】
また、以上説明した真空パッケージ1は、本発明を適用した具体的な一構成例を示したものであり、細部の機構等については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0046】
例えば、上述した真空パッケージ1では、ステム2に対するレンズホルダ7の位置を固定する位置決め部材としてネジ部材6を用いるようにしているが、このネジ部材6に代えて、図5及び図6に示すように、円筒部材12を用いてステム2に対するレンズホルダ7の位置を固定させるようにしてもよい。
【0047】
この例では、集光レンズ10が接合されたレンズホルダ7の外周端部に、雄ネジとして機能するネジ溝7cが形成されている。また、円筒部材12は、その内径寸法がレンズホルダ7の外形寸法と略一致するようになっており、その内周壁に、レンズホルダ7のネジ溝7cに対応した雌ネジとしてのネジ溝12aが形成されている。そして、レンズホルダ7が円筒部材12の内部に螺合されるようになっている。
【0048】
この例では、圧縮されたベローズ11でステム2とレンズホルダ7とが連結され、パッケージ内部1aが所定の真空度で気密封止された状態で、図5に示すように、レンズホルダ7側から円筒部材12が装着される。そして、レンズホルダ7が円筒部材12の内部に収容され、レンズホルダ7のネジ溝7cと円筒部材12のネジ溝12aとが噛み合わされた状態で円筒部材12が回転操作されることで、レンズホルダ7がベローズ11を伸長させながらステム2から離間する方向へと移動するようになっている。これにより、パッケージ内部1aの真空度が高められると共に、レンズホルダ7に接合された集光レンズ10のフォーカス調整が行われることになる。
【0049】
そして、ステム2に対するレンズホルダ7の位置が所望の位置となったときに円筒部材12の回転操作を止めると、パッケージ内部1aの真空状態による応力を受けて円筒部材12にステム2側への付勢力が働き、レンズホルダ7のステム2に対する位置が固定されて、パッケージ内部1aが高真空状態のまま維持されることになる。
【0050】
このとき、ステム2に気密接合されるベローズ11の一端側は、円筒部材12の外側に張り出させた状態にしておくことが望ましい。このようにベローズ11の一端側を円筒部材12の外側に張り出させておけば、図6に示すように、ベローズ11の一端側がステム2と円筒部材12とによって挟まれることになり、例えばベローズ11の溶接剥がれ等によってパッケージ内部1aの気密性が損なわれるといった不都合を未然に抑制することができる。
【0051】
以上のように、円筒部材12を用いてステム2に対するレンズホルダ7の位置を固定させるようにした場合には、円筒部材12を回転操作させるだけでステム2に対するレンズホルダ7の位置を調整できるので、パッケージ内部1aの真空度を高めながら集光レンズ10のフォーカスを調整する作業を極めて簡便に行うことができる。また、この例では、円筒部材12がベローズ11の外周側に配置されることになるので、円筒部材12でベローズ11の保護を図ることもできる。
【0052】
なお、以上の例では、レンズホルダ7を円筒部材21の内部に螺合させて、パッケージ内部1aの真空状態による応力で円筒部材21に働く付勢力をステム2で受ける構造となっているが、これとは逆に、ステム2を円筒部材21の内部に螺合させて、パッケージ内部1aの真空状態による応力で円筒部材21に働く付勢力をレンズホルダ7で受ける構造としても、同様の効果を得ることができる。この場合には、ステム2の外形寸法が円筒部材21の内径寸法に略一致するように設計され、ステム2の外周端部に円筒部材12のネジ溝12aに対応したネジ溝が形成されることになる。
【0053】
ところで、赤外線センサ5を常に最適な状態で使用するためには、真空パッケージ1の製造時だけでなくその使用時においても、集光レンズ7のフォーカス調整が瞬時に行えるようになっていることが望ましい。このような要求を満足させるために、図7に示すように、ステム2と位置決め部材としての円筒部材12との間に、ステム2に対するレンズホルダ7の位置を微調整して集光レンズ7のフォーカス調整を行うための高さ調整機構(フォーカス調整手段)13を設けるようにしてもよい。この例のように、ステム2と円筒部材12との間に高さ調整機構13を設け、この高さ調整機構13によってステム2に対するレンズホルダ7の位置を微調整できるようにすれば、集光レンズ7のフォーカス調整を常時行うことができ、赤外線センサ5を常に最適な状態で使用することができる。
【0054】
ここで、高さ調整機構13としては、例えば、駆動電圧に応じて体積を変化させることが可能なピエゾ駆動器が好適である。このピエゾ駆動器を高さ調整機構22として用いた場合には、電気的な制御で集光レンズ7のフォーカス調整が行えるので、集光レンズ7のフォーカス調整を瞬時に且つ極めて高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した真空パッケージの断面図である。
【図2】前記真空パッケージの製造方法を説明する図であり、圧縮状態で一端側がステムに気密接合されたベローズの他端側をレンズホルダに気密接合する様子を示す断面図である。
【図3】前記真空パッケージの製造方法を説明する図であり、ネジ部材を用いてステムに対するレンズホルダの位置を固定する様子を示す断面図である。
【図4】赤外線センサの感度と真空度との関係を示す図である。
【図5】本発明を適用した他の真空パッケージを示す図であり、円筒部材を用いてステムに対するレンズホルダの位置を固定する様子を示す断面図である。
【図6】前記円筒部材によりステムに対するレンズホルダの位置が固定された前記真空パッケージの断面図である。
【図7】本発明を適用した更に他の真空パッケージを示す断面図である。
【符号の説明】
1 真空パッケージ
2 ステム
5 赤外線センサ
6 ネジ部材
7 レンズホルダ
10 集光レンズ
11 ベローズ
12 円筒部材

Claims (7)

  1. 高真空状態とされたパッケージ内部にセンサチップを収容し、前記センサチップへのパッケージ外部からの熱伝達を遮断する真空パッケージにおいて、
    前記センサチップを支持する支持部材と、
    前記支持部材に対向して配設される対向部材と、
    前記支持部材と前記対向部材とを気密性を維持しながら連結する伸縮可能な側胴部材と、
    前記支持部材に対する前記対向部材の位置を固定する位置決め部材とを備え、
    前記側胴部材を伸長させながら前記対向部材を前記支持部材から離間させる方向に移動させ、前記位置決め部材で前記対向部材の前記支持部材に対する位置を固定させることで、前記支持部材と前記対向部材と前記側胴部材とで囲まれるパッケージ内部を高真空状態にすること
    を特徴とする真空パッケージ。
  2. 前記位置決め部材が、前記支持部材に対する前記対向部材の位置を連続的に変化させながら任意の位置で固定させるネジ機構を有していること
    を特徴とする請求項1に記載の真空パッケージ。
  3. 前記側胴部材として蛇腹形状のベローズが用いられていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の真空パッケージ。
  4. 前記センサチップが、パッケージ外部からの入射赤外光を検出する赤外線センサであり、
    前記対向部材に開口穴が設けられて、この開口穴に前記入射赤外光を前記赤外線センサに集光させる集光レンズが気密接合されていること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の真空パッケージ。
  5. 前記支持部材と前記位置決め部材との間に、前記支持部材に対する前記対向部材の位置を微調整して、前記集光レンズの焦点位置を前記赤外線センサに合わせるフォーカス調整手段が設けられていること
    を特徴とする請求項4に記載の真空パッケージ。
  6. 前記フォーカス調整手段としてピエゾ駆動器が用いられていること
    を特徴とする請求項5に記載の真空パッケージ。
  7. 高真空状態とされたパッケージ内部にセンサチップを収容し、前記センサチップへのパッケージ外部からの熱伝達を遮断する真空パッケージの製造方法であって、
    支持部材に前記センサチップを搭載すると共に、前記センサチップを囲むように前記支持部材に伸縮可能な側胴部材の一端側を気密接合させる第1の工程と、
    前記側胴部材を圧縮させた状態でその他端側を前記支持部材に対向して配設される対向部材に所定の真空環境で気密接合させ、前記支持部材と前記対向部材と前記側胴部材とで囲まれるパッケージ内部を真空排気された状態で封止する第2の工程と、
    前記側胴部材を伸長させながら前記対向部材を前記支持部材から離間させる方向に移動させ、前記パッケージ内部の容積を増大させて真空度を高める第3の工程と、
    前記対向部材の前記支持部材に対する位置を位置決め部材により固定させる第4の工程とを有すること
    を特徴とする真空パッケージの製造方法。
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