JP3754326B2 - 塗布膜形成装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板上に樹脂等を溶剤に溶かした液体例えばポリイミド溶液を塗布し、液膜を形成する装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程の一つとして、保護膜や層間絶縁膜を形成するために、ポリイミドを半導体ウエハなどの基板上に塗布する処理がある。係る処理では、従来から基板表面に形成される塗布膜の膜厚が全体に亘って均一であることが要求されているが、近年では回路等の微細化に伴い、従来よりも更に高い膜厚の面内均一性が求められている。
【0003】
このような状況下、塗布膜形成装置の一つとして、ポリイミドを溶剤に溶かした薬液を塗布前に溶剤で更に薄めて塗布液とし、例えば図8に示すように半導体ウエハ(以下ウエハという)Wを回転させておいてノズル11をウエハWの中心から径方向に徐々にスキャンさせながら前記塗布液12をウエハW表面に吐出し、この塗布液12を一筆書きの要領で螺旋状に塗布していくものが検討されている。
【0004】
こうした装置により得る塗布膜について膜厚の面内均一性を高めるためには、基板の径方向に向かって隣接する塗布液の線同士が、密着して配列されることが好ましい。このため塗布膜が常に理想の状態で形成されるように、例えばノズル直下位置における基板の座標ごとの、塗布液の吐出流量、基板の回転数及びノズルの移動速度の値を合わせ込む試験を予め行っておき、こうして得た塗布データに基づき塗布処理を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塗布データは上述した3つのパラメータを有することから、その合わせ込み作業は容易でなく、このため例えば塗布液の吐出流量を一定とし、残り二つのパラメータである基板の回転数とノズルの移動速度とを合わせ込む手法も検討しているが、基板表面に吐出される塗布液の線幅は当該基板の被塗布部位の周速度により変動するため、当該線幅を考慮した上で設定を行わなければならず面倒であった。
【0006】
そこで本発明者は、基板表面の周速度が遅く、基板表面における塗布液の線幅が太くなる中央側では吐出流量を少なくし、基板表面の周速度が速くなり、基板表面における塗布液の線幅が細くなる外縁側では吐出流量が多くなるように、ノズルにおける塗布液の吐出圧力を変化させることを検討しているが、このようにすると塗布液の吐出圧力が高くなるにつれて塗布液の流速が大きくなってしまうため、塗布液が基板表面に弾かれてしまうおそれがある。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、基板に塗布膜を形成するにあたり、膜厚の面内均一性を高め、且つ塗布条件の設定作業に必要な労力を軽減する技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る塗布膜形成装置は、 基板を水平保持して回転させると共に、基板の上方側に設けたノズルを基板の回転中心部側から周縁に向かって移動させながら塗布液を吐出して基板上に螺旋状に塗布液を塗布する塗布膜形成装置において、
前記ノズルが基板の中心部から周縁側に移動するにつれて、ノズルの吐出口の口径が大きくなるように当該口径を調節する口径調節手段を備え、
口径調節手段は、ノズルの一部をなすと共に吐出口の形成された開口部材と開口部材を加熱するための手段と、を含み、開口部材の温度を制御して開口部材自体を膨張または収縮させることで吐出口の口径を調節することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、塗布液を螺旋状に塗布して塗布膜を形成する際に、基板の各部位ごとに基板の回転数、ノズルの移動速度及び塗布液の吐出流量といった各種パラメータの合わせ込みを行って作成していた塗布データの作成作業を行わずとも、例えば塗布液の吐出流量を制御するだけで膜厚の面内均一性が高い塗布膜を形成することができる。
【0010】
上記の口径調節手段としては、例えばノズルに吐出口の形成された開口部材を、該開口部材の外縁を規制するようにして設け、該開口部材の温度に応じて吐出口の口径を変化させるものを用いることが好ましい。開口部材は抵抗発熱体のようにそれ自身が温度変化するものであってもよいし、或いは開口部材と別個に設けた加熱手段により、温度変化するものであってもよい。外縁を規制された開口部材は、例えば温度上昇に伴い吐出口が狭まり、温度低下に伴い吐出口が広がるため、これらの作用により吐出流量を変化させることができる。
【0012】
更にまた、本発明に係る塗布膜形成方法は、基板を水平保持して回転させると共に、基板の上方側に設けたノズルを基板の回転中心部側から周縁に向かって移動させながら塗布液を吐出して、基板上に塗布液を螺旋状に塗布していく塗布工程と、
この塗布工程において、前記ノズルが基板の中心部から周縁側に移動するにつれて、ノズルの一部をなすと共に吐出口が形成されかつその外縁が規制された開口部材の温度を低くして開口部材自体を収縮させることでノズルの吐出口の口径を大きくする工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る塗布膜形成装置の実施の形態における全体構成について、図1に示す平面図を参照しながら簡単に説明する。図中21はカセットステーションであり、例えば25枚のウエハWを収納したカセットCを載置するカセット載置部22と、載置されたカセットCとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しアーム23とが設けられている。この受け渡しアーム23の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理部S1が接続されている。処理部S1の中央には主搬送手段25が設けられており、これを取り囲むように例えば奥を見て右側には複数の塗布ユニット26が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0014】
棚ユニットU1,U2,U3は、塗布ユニット26の前処理及び後処理を行うためのユニットなどを各種組み合わせて構成されるものであり、例えば塗布ユニット26にて塗布液が塗られたウエハWを減圧雰囲気下で乾燥し、該塗布液中に含まれる溶剤を揮発する減圧乾燥ユニット、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット、ウエハWを冷却する冷却ユニット等が含まれる。なお棚ユニットU2,U3については、ウエハWを受け渡すための受け渡し台を備えた受け渡しユニットも組み込まれる。また、上述した主搬送手段25は例えば昇降及び前後に移動自在で且つ鉛直軸周りに回転自在に構成されており、塗布ユニット26及び棚ユニットU1,U2,U3を構成する各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うことが可能となっている。
【0015】
次に図3及び図4を参照して塗布ユニット26の説明を行う。ここでは塗布ユニット26の外装体をなす筐体を省略するが、この図示しない筐体内には、例えば側方に基板であるウエハWの搬入出用の開口部(図示せず)が形成された中空のケース体31が設けられ、その内部にはウエハWを裏面側から真空吸着して水平保持する基板保持部をなすウエハ保持部32と、このウエハ保持部32を下方側から支持すると共に、塗布処理時にはウエハ保持部32を鉛直軸周りに回転させる回転機構33とが設けられている。
【0016】
ケース体31の天井部にはX方向に延びるスリット34が形成されており、このスリット34の上方には、ウエハWに対して例えば塗布液であるポリイミド溶液を供給するための塗布ノズル4が設けられている。この塗布ノズル4は、下端側先端に形成される吐出口41が、スリット34を介してケース体31内に突出するように駆動機構35により保持されており、駆動機構35の働きによりスリット34に沿ってX方向に移動できる構成とされている。なお作図の都合上、図2では駆動機構35を省略している。
【0017】
詳細は後述するが、塗布ノズル4の内部には上述した吐出口41へ塗布液の供給を行うための塗布液流路51と、該塗布液流路51内を流れる塗布液の温度を調節するための液温調節手段をなす温調水流路61とが設けられており、塗布液流路51の基端側には、バルブ52及び例えばベローズ型ポンプよりなるポンプ53を介して塗布液供給源54が接続されている。この塗布液供給源54には例えば塗布膜の成分であるポリイミド成分を例えばNMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤に溶解させたポリイミド溶液が貯留されており、例えば図示しない制御部によりポンプ53の制御を行うことで、ポリイミド溶液の吐出流量を調節するように構成されている。一方の温調水流路61は塗布ノズル4と温調水供給源62とを結ぶと共に、例えば温調水供給源62から供給される温度調節した水(以下温調水という)が塗布ノズル4内で折り返し、再び温調水供給源62に戻るように往路と復路とを有する二重構造となっており、温調水供給源62には、ここでは図示を省略するが水温調節手段や循環ポンプ等が含まれる。
【0018】
次に塗布ノズル4の構造について、図4を参照しながら詳細な説明を行う。図中42は温度調節部であり、その内部には上方側から延びる三重管43が該温度調節部42の下端位置まで貫通して設けられている。三重管43は同心円に沿う3つの管路を有しており、中心の管路43aは塗布液流路51に相当し、その周囲を囲む二番目の管路43b及び三番目の管路43cは夫々が温調水流路61に相当する。これらのうち中心の管路43aのみが下部側に開口し、その周囲を囲む二番目の管路43bと三番目の管路43cとは三重管43の先端にて折り返しながら連通し、例えば二番目の管路43bが温調水供給源62から供給される温調水の往路に、三番目の管路43cが同復路になるように構成されている。
【0019】
温度調節部42の下方側には例えば内部に液溜44を有する筒状体45が接続されている。この筒状体45の下端位置には窪み45aが形成されており、中央に吐出口41が形成されたプレート状の開口部材46がその外縁部を規制された状態で嵌め込まれている。即ち、管路43a、筒状体45内の液溜44及び吐出口41は連通し、この連通空間を構成する各部位が塗布ノズル4内における塗布液流路51に相当する。
【0020】
開口部材46は、該開口部材46自体を膨張または収縮させることで吐出口41の口径及び塗布液の粘度を調節し、これらの作用の兼ね合いにより塗布液の吐出流量を調節しようとするものである。このため開口部材46には例えば抵抗発熱体が用いられ、制御部47から電力制御部48を介して開口部材46に供給する電力量の調節を行って該開口部材46に加わる熱量をコントロールすることで塗布液の吐出流量を変化させる構成とされている。
【0021】
制御部47は例えばバス47aを介して接続されるデータ処理部を行うためのCPU47b、後述する塗布データ等が格納されるメモリ47c、及び例えば塗布処理時に各装置を作動させるためのプログラムを格納するプログラム格納部47d等で構成される。また開口部材46には例えば熱電対よりなる温度センサ49が設けられており、開口部材46についての温度検出値を制御部47へと送信できるようになっている。
【0022】
ところで本実施の形態は、塗布液を線状に且つ螺旋を描くようにウエハW表面に塗布することで一体的且つ隙間のない塗布膜を形成しようとするものであるが、塗布ノズル4の移動速度及びウエハWの回転数は変化させず、塗布ノズル4における塗布液の吐出流量のみを変化させるものである。このため制御部47では、例えば予めメモリ47c内に格納されている以下に示すような塗布データを参照し、開口部材46へ供給する電力量を調節するように構成される。一の塗布データは、例えば目標膜厚毎に予め用意される図5(a)に示すような、塗布ノズル4の位置(ウエハWの中心から塗布ノズル4の直下位置までの距離)と開口部材46に加えられる熱量との関係を定めたデータAと、図5(b)に示すような、塗布ノズル4の位置と塗布ノズル4が該位置にあるときにおける塗布液の粘度との関係を定めたデータBとの兼ね合いから、ウエハW表面に塗布液を螺旋状に塗布するときに、ウエハWの中央部から外縁側に向かって塗布されていく塗布液の線同士が、隙間なく密着するように設定される。
【0023】
ここでデータAについては、図5(a)に示すように塗布ノズル4の位置がウエハWの外縁側に移動するにつれて開口部材46の熱量が徐々に減るように設定される。これは既述のように塗布液を螺旋状に塗布する方法において、ウエハWの回転数を一定値として塗布処理を行うと、被塗布部位の周速度は塗布ノズル4がウエハWの外縁側に向かうにつれてが増していくため、仮に塗布液の吐出流量が一定であったとすれば塗布液の線幅が徐々に細ってしまうことに対応したものである。即ち、線幅が細くなれば塗布処理に要する時間が増加してしまうため、当該部位における周速度の増加に伴い開口部材46に加わる熱量を低下させ、吐出口41を広げることで吐出流量を増加させるようにしているのである。
【0024】
一方、前記周速度が高い部位にて塗布液の流速が増すと、「発明が解決しようとする課題」の項でも述べたようにウエハW表面で塗布液が弾かれてしまう場合がある。このためデータBについては塗布ノズル4がウエハWの外縁側に移動するにつれて塗布液の粘度を徐々に増すように設定される。
【0025】
即ち、上述した塗布データ設定におけるデータAとデータBとの兼ね合いとは、塗布液の吐出流量を増加させることで得られるスループットの向上と、それに伴う塗布異常の発生回避との兼ね合いを意味するものである。なお図5(a)(b)に示す特性図は正確な変化を示すものではなく、説明の理解のために表した模式的なイメージ図である。
【0026】
次に上述実施の形態の作用について説明する。先ずウエハWは図示しない搬送手段によりウエハ保持部32上方の所定位置まで搬入され、その後ウエハ保持部32により裏面側を吸着され概ね水平に保持される。一方、塗布液供給源54では図示しない混合部にてポリイミド液と溶剤とを所定の比率で混合し、塗布液として適当な濃度となるように調整を行っておく。
【0027】
次いでウエハWを所定の回転数で回転させる一方、塗布ノズル4をウエハW中心の上方に位置決めし、バルブ52を開くことで所定流量で塗布液が塗布ノズル4側へと送られる。本実施の形態では吐出流量の制御を開口部材46にて行うため、このときポンプ53における塗布液の流量は一定とされる。そして塗布液は、塗布液流路51と温調水流路61とが一体化し、三重管43を構成する部位まで到達すると、管路43bを流れる温調水の影響を受け、所定の温度例えば21.0〜24.0℃程度に調節され、液溜部44へと向かう。
【0028】
このとき制御部47では塗布ノズル4における吐出流量が最小値となるように電力制御部48における電力供給量の制御がなされており、開口部材46では吐出口41の口径が最小口径に維持されると共に、該開口部材46に接触する塗布液を適当な粘度に調整する。そして係る状態で、いわばバッファの役割を果たす液溜44内に流れ込んだ塗布液が徐々にウエハWへと供給されていく。
【0029】
こうして制御部47では塗布データに基づいて塗布液の吐出流量を変化させながら、塗布ノズル4をウエハWの中心から周縁側へ向かって径方向に徐々に移動させ、結果としてウエハW表面では塗布液が螺旋状の模様を描きながら塗布されることになる。このとき吐出口41の口径は、例えば50μm〜150μmの間で変化する。そして例えばウエハWの周縁近傍まで塗布が終了して所定の塗布膜が形成されると、ウエハWは主搬送手段25により塗布ユニット26から搬出され、減圧乾燥処理及び加熱、冷却等の後処理を経てカセット載置部22に載置される元のカセットC内へと戻される。
【0030】
これまで述べてきたように、本実施の形態によれば塗布液を螺旋状に塗布するにあたり、塗布ノズル4における塗布液の吐出流量を吐出口41の口径で調節するようにしているため、例えば従来のようにウエハWの回転数、塗布ノズル4の移動速度及び塗布液の吐出流量の夫々を変化させていたときのように各パラメータの合わせ込み作業を行う必要がなく、例えばウエハWの回転数及び塗布ノズル4の移動速度を一定に保ちながら塗布処理を行うことができるため、塗布条件の設定の手間が省け、オペレータの労力が軽減する。またウエハWに対する塗布液の吐出流量を変化させるにあたり、開口部材46に加わる熱量に応じて吐出口41の口径を変化させ、該熱量が小さいときに塗布液の吐出流量が多くなるように構成しているため、ウエハW表面における周速度の速い部位でも、塗布液の吐出流量を増加させるのと同時に粘性をも高めることができる。従って、周速度が速くなるウエハWの外縁部においても塗布液を着実に付着させることができるため、塗布ノズル4が外縁側にあるときでもウエハWの回転数を低下させる制御を行う必要がない。
【0031】
更に、液温調節手段である温調水流路61を用いているため、開口部材46に至るまでに塗布液の温度及び粘度をある程度調節しておくことができ、開口部材46における吐出流量の制御を補助すると共に使用電力量を抑えることができるという利点もある。
【0032】
なお、温調水流路61は内部を流れる温調水の温度次第では塗布液流路51内の塗布液の粘度を変化させることも可能であるため、例えば開口部材46によることなく温調水流路61のみで塗布液の吐出流量を調節するようにしてもよいし、逆に温調水流路61を設けずに、開口部材46の温度調節のみで塗布液の粘度調節を行うようにしてもよい。
【0033】
また、例えば図6に示す実施の形態により、塗布液の吐出流量を変化させるようにしてもよい。本実施の形態は、開口部材46に代えて例えばポリテトラフルオルエチレン(PTFE)やフッ素樹脂等を用いた開口部材71を用意し、この開口部材71の中央に吐出口72を形成すると共に開口部材71と筒状体45下端との間に加熱手段であるヒータ73を設けたものであり、該ヒータ73への電力供給量を変化させることで間接的に開口部材71を膨張または収縮させ、吐出口72における塗布液の吐出流量を変化させるものである。このような構成においても上述実施の形態と同様の効果を挙げることができる。
【0034】
更にまた、口径調節手段は上述した2つの実施例のように化学的手法によるもの、即ち素材に加わる熱量に応じて吐出口の口径を変化させるようなものに限られるものでなく、吐出口の口径を物理的に変化させるものであってもよい。具体的には例えば図7(a)(b)に示すような実施の形態を挙げることができる。即ち、本実施の形態は図7(a)に示すように、吐出口81を一端にて回動自在に固定し二枚の口径規制部材82(82a,82b)により形成するものであり、これら口径規制部材82(82a,82b)の重なり量を変化させることで吐出口81の口径を変化させるものである。例えば図7(a)の状態から口径規制部材82(82a,82b)の重なり量を大きくすれば、図7(b)に示すように吐出口81の口径が点線で示す図7(a)のときの口径81’よりも小さくなる。
【0035】
なお、以上において吐出口の口径は必ずしも円形に限定されるものではなく、「口径が大きくなる」とは吐出口の開口面積が大きくなることを意味するものである。開口面積が大きくなる態様としては、段階的に大きくなる場合、連続的に大きくなる場合のいずれの場合も含まれる。また、ウエハWに対する塗布ノズル4の移動パターンは、上述のような螺旋状に塗布していくものに限定されず、例えば塗布ノズル4を、回転させないウエハWの対向する両端間で往復させると共に当該往復方向と直行する方向に間欠送りし、いわゆる一筆書きの要領でウエハW全面に塗布していく場合においても有効である。このような構成によれば、例えばウエハW表面に形成されるパターンの粗密に応じて塗布液の吐出流量を変化させることができるという利点がある。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板に塗布膜を形成するにあたり、膜厚の面内均一性を高め、且つ塗布条件の設定作業に必要な労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布膜形成装置の実施の形態における全体構造を示す平面図である。
【図2】上記の実施の形態において用いられる塗布ユニットを説明するための縦断面図である。
【図3】上記の塗布ユニットを説明するための平面図である。
【図4】上記の塗布ユニットにおいて用いられる塗布ノズルを説明するための縦断面図である。
【図5】本実施の形態の作用を説明するための特性図である。
【図6】他の実施の形態における塗布ノズルを説明するための概略説明図である。
【図7】更に他の実施の形態における要部を説明する概略平面図である。
【図8】従来発明に係る塗布膜形成装置を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
32 ウエハ保持部
33 回転機構
35 駆動機構
4 塗布ノズル
41 吐出口
42 温度調節部
43 三重管
44 液溜
45 筒状体
46 開口部材
47 制御部
48 電力制御部
49 温度センサ
51 塗布液流路
61 温調水流路
Claims (5)
- 基板を水平保持して回転させると共に、基板の上方側に設けたノズルを基板の回転中心部側から周縁に向かって移動させながら塗布液を吐出して基板上に螺旋状に塗布液を塗布する塗布膜形成装置において、
前記ノズルが基板の中心部から周縁側に移動するにつれて、ノズルの吐出口の口径が大きくなるように当該口径を調節する口径調節手段を備え、
口径調節手段は、ノズルの一部をなすと共に吐出口の形成された開口部材と当該開口部材を加熱するための手段と、を含み、開口部材の温度を制御して開口部材自体を膨張または収縮させることで吐出口の口径を調節することを特徴とする塗布膜形成装置。 - 口径調節手段は、開口部材を加熱する加熱手段を含み、ノズルの基板表面上の位置に応じて加熱手段に供給する電力量を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1記載の塗布膜形成装置。
- 開口部材は抵抗発熱体からなり、ノズルの基板表面上の位置に応じて該開口部材に供給する電力量を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1記載の塗布膜形成装置。
- 開口部材は外縁部の位置が規制され、これにより開口部材の加熱温度を低くすることにより口径が大きくなるように口径の調節が行われることを特徴とする請求項1、2または3記載の塗布膜形成装置。
- 基板を水平保持して回転させると共に、基板の上方側に設けたノズルを基板の回転中心部側から周縁に向かって移動させながら塗布液を吐出して、基板上に塗布液を螺旋状に塗布していく塗布工程と、
この塗布工程において、前記ノズルが基板の中心部から周縁側に移動するにつれて、ノズルの一部をなすと共に吐出口が形成されかつその外縁が規制された開口部材の温度を低くして開口部材自体を収縮させることでノズルの吐出口の口径を大きくする工程と、を含むことを特徴とする塗布膜形成方法。
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