JP3754141B2 - 下水管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
光ファイバーケーブル等のケーブル収納機能を有する下水管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線用ケーブルダクト等として、例えば、特開昭60−157589号公報に記載されているように、内部が軸方向に沿って仕切壁により複数に仕切られた仕切付管が知られている。
【0003】
このような仕切付管にあっては、配管敷設時においても、定尺管のみを用いて施工できることは皆無であり、必ずマンホール設置箇所等において現場での施工寸法に応じた長さに切断して接続する必要が発生する。
【0004】
一般に施工現場で使用される切断用工具では管中心部分の切断が困難であるため、管接続部での段切れ等が発生し易く、この状態で継手等に接続する場合、止水性を損なうおそれがある。又、特殊な切断工具が必要となり工具の大型化等で施工性に大きく悪影響を及ぼす。
更に、管路を形成した後に、ケーブルを引き入れるときに、段切れ部分、斜め切れ部分にケーブルが接触しケーブル被覆部を損傷する危険性もある。
【0005】
又、近年、地下に張りめぐらされた下水管渠を利用して光ファイバーケーブルによる情報ネットワークの敷設を図ろうという提案がなされている。
この提案は、下水管渠が、一般的に通水断面積に対して管断面積が大きいことに注目し、下水管渠の内部にケーブル管を敷設して、このケーブル管内に光ファイバーケーブルを挿通させ、下水管渠を情報伝達路として利用しようとするものである。
【0006】
その目的で、例えば、実開昭62−125183号公報には、管体の管頂部の内面側もしくは外面側に管軸方向に沿って隔壁を設け、該隔壁と管体の管頂部管壁とでケーブル収納部を形成させた下水管が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような下水管は、押出成形により成形すると、形成時における管内面の隔壁を形成する溶融樹脂の流れの調整が難しく、得られる下水管の隔壁が曲がってしまったり、ケーブル収納部が変形して閉塞してしまったりすることがあるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記の如き従来の問題点を解消し、成形上の不都合な問題がなく、優れたケーブル収納機能を有する下水管を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明(以下,本発明1という)は、下水管本体内面に、管軸方向に沿って対向する突起部が設けられ、それらの突起部に下水管本体とは別部材からなる分離材が支持又は固定され、その分離材により、管軸方向に沿って下水流下部と分離されたケーブル収納部が形成されている下水管である。
【0010】
本願の請求項2に記載の発明(以下,本発明2という)は、前記分離材と突起部との対向面の少なくとも一面に、小突起が設けられている本発明1に記載の下水管である。
【0011】
本願の請求項3に記載の発明(以下,本発明3という)は、前記突起部への前記分離材の支持又は固定が、接着剤を介して接合されるものである本発明1又は本発明2に記載の下水管である。
【0012】
本願の請求項4に記載の発明(以下,本発明4という)は、前記分離材が、底板の略中央から上方に向かい前記ケーブル収納部内を管軸方向に沿って区画する立壁が設けられている本発明1〜本発明3のいずれかに記載の下水管である。
【0013】
本願の請求項5に記載の発明(以下,本発明5という)は、前記立壁の上端面が、断面扇形状に広がる湾曲面とされている本発明4に記載の下水管である。
【0014】
本願の請求項6に記載の発明(以下,本発明6という)は、前記突起部と下水管本体内面との間に管軸方向に沿って上方に開口する係止溝が形成され、前記分離材がその両側縁に下方に屈曲する係止縁が形成された分離シート材からなり、その係止溝内に係止縁を挿入するようにして分離シート材が挿着され前記突起部に支持又は固定されている本発明1に記載の下水管である。
【0015】
本発明1〜本発明6(以下、併せて本発明という)において、下水管本体は、通常押出成形により成形される。
下水管本体の形状は、断面外形が円形のものに限定されず、一般に下水分野で使用される断面外形がいわゆる卵形のもの、外面にリブ構造を有するもの、管肉厚部内の管軸方向に沿って多数の小孔が設けられるようにして厚肉とされ剛性を高めたもの等も挙げられる。
【0016】
下水管本体の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられるが、中でもポリ塩化ビニルが好ましい。
下水管本体の厚みは、材質がポリ塩化ビニルである場合には、下水道用ポリ塩化ビニル管のJIS規格と同じである。
【0017】
本発明1において、下水管本体内面に、管軸方向に沿って設けられる対向する突起部は、連続的なものであってもよいし、間欠的なものであってもよく、後述する分離材の端縁を支持するだけのものであってもよいし、分離材の端縁を嵌合状態にて固定するようなものであってもよい。
本発明6においては、突起部と下水管本体内面との間に管軸方向に沿って上方に開口する係止溝が形成されている。
【0018】
本発明2において、小突起の先端の断面形状は、例えば、略三角形状、略半円形状等が挙げられるが、これに限定されず、摩擦抵抗を低減させることができるものであれば、その他の形状であってもよく、連続的に設けられていても、断続的に設けられていてもよい。
【0019】
本発明において、分離材は、下水管本体と同様に通常押出成形により成形され、下水管本体と同材質のものが使用される。
分離材は、本発明4においては、底板の略中央から上方に向かい前記ケーブル収納空間内を管軸方向に沿って区画する立壁が設けられており、本発明5においては、更に、立壁の上端面が、断面扇形状に広がる湾曲面とされている。
【0020】
又、本発明6においては、分離材は、その両側縁に下方に屈曲する係止縁が形成された分離シート材からなるものが使用される。
分離シートの表裏面には、挿着時の摩擦抵抗やケーブル鞘管を挿通する時の摩擦抵抗を低減させるために、シボ加工が施されているものが好ましい。
分離シート材の材質としては、上記の分離材と同様のものの他に、挿着時の摩擦抵抗を低減させるためには、上記の材質からなる下水管本体に対して滑り易い材質である架橋ポリエチレンが好適に使用される。
【0021】
分離シート材としては、ケーブルの重量をささえる程度の剛性を有し、かつドラムに巻き取れる厚みを有するものが好適に使用される。
分離シート材の長さは、マンホール間の長さであればよいが、管渠径300mm以下では50m以上、管渠径600mm以下では75m以上が好ましい。
又、分離シートの上面には、ケーブルを固定するためのバンドが取り付けられていてもよく、この場合には、ケーブルを分離シートにバンドにて固定した状態で、下水管本体内に挿着するようなケーブル敷設方法を採用することができる。
【0022】
【作用】
本発明1の下水管は、下水管本体内面に、下水管本体とは別部材からなる分離材が挿着されるものであるため、内面に比較的小さな突起部を有するだけの下水管本体を、押出成形により変形等の問題も引き起こすことなく成形することができ、その下水管本体内面に分離材が挿着され、その分離材により、下水管本体内が管軸方向に沿って下水流下部と分離されたケーブル収納部が形成されているものであるため、本来の下水流下機能を有するとともに、優れたケーブル収納機能を有している。
【0023】
本発明1の下水管は、下水管本体内面に、管軸方向に沿って対向する突起部が設けられ、それらの突起部に前記分離材が支持又は固定されていることにより、下水管本体内面に設けた突起部に分離材を支持又は固定するようにして下水流下部と管軸方向に沿って分離されたケーブル収納部を容易に形成することができる。
【0024】
本発明2の下水管は、本発明1において、前記分離材及び突起部の相互間の当接面の少なくとも一方に、小突起が設けられていることにより、分離材の挿着時の摩擦抵抗が低減するので、下水管本体内面の突起部への分離材の挿着が容易である。
【0025】
本発明3の下水管は、本発明1又は本発明2において、前記突起部への前記分離材の支持又は固定が、接着剤を介して接合されるものであることにより、下水管本体内の突起部に分離材が強固に固定される。
【0026】
本発明4の下水管は、本発明1〜本発明3において、前記分離材が、底板の略中央から上方に向かい前記ケーブル収納部内を管軸方向に沿って区画する立壁が設けられていることにより、各区画内にそれぞれケーブルを収納することができ、短絡することもない。
【0027】
本発明5の下水管は、本発明4において、前記立壁の上端面が、断面扇形状に広がる湾曲面とされていることにより、下水管本体が土中にて上方からの応力を受けて偏平化したときに、立壁の上端面の断面扇形状に広がる湾曲面の部分が応力を分散して支持するので、一部に応力が集中するのが防止され、下水管の損傷を防止することができる。
【0028】
本発明6の下水管は、本発明1において、前記突起部と下水管本体内面との間に管軸方向に沿って上方に開口する係止溝が形成され、前記分離材がその両側縁に下方に屈曲する係止縁が形成された分離シート材からなり、その係止溝内に係止縁を挿入するようにして分離シート材が挿着され前記突起部に支持又は固定されていることにより、その製造時に分離シート材としてドラムに巻き取ったものを使用することができるので、下水管本体内面への分離シート材の挿着を容易に行うことができ、又、分離シートの上面には、ケーブルを固定するためのバンドが取り付けられたものを用いた場合には、ケーブルを分離シートにバンドにて固定した状態にて、下水管本体内に挿着するようなケーブル敷設方法を採用することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の下水管の実施の形態を説明する断面図である。
1は下水管であって、下水管本体11と分離材12からなる。
下水管本体11は硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を押出成形して製作されたものであって、その内面の上方に、管軸方向に沿って相対するようにして水平方向に連続的に突出するように突起部111,111が一体的に設けられている。
【0030】
分離材12は下水管本体と同じ合成樹脂を押出成形して成形されたものであって、下水管本体11とは別部材からなり、帯状の底板121の幅方向の略中央部から長手方向に沿って立壁122が設けられている。
下水管本体11内面に、分離板12がその底板121の両側縁部を突起部111,111に支持されるようにして挿着されている。
【0031】
そして、その分離材12の底板121により、下水管本体11内が管軸方向に沿ってケーブル収納部Aが下水の流下する下水流下部Bと分離されると共に、ケーブル収納部Aが立壁122により左右の2列に区画されて、ケーブル収納機能を有する下水管1とされている。
【0032】
図2は、本発明の下水管の別の実施の形態を説明する断面図である。
この例の場合には、図1に示すものと異なる点は、下水管本体11の内面に管軸方向に沿って対向するように設けられた突起部111′,111′の内側面に内方に開口する嵌合溝111a′,111a′が設けられ、その嵌合溝111a′,111a′に、分離材12の両側縁が嵌合するように固定されている点である。
【0033】
図3は、本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
この例の場合には、図1に示すものと異なる点は、更に、下水管本体11の内面に管軸方向に沿って対向するように設けられた突起部111,111の上面にそれぞれ管軸方向に沿って2本の連続する小突起部111a,111aが設けられるとともに、分離材12の水平部121の両側縁の下面にそれぞれ小突起部121a,121aが設けられている点である。
【0034】
これにより、突起部111,111の上面に支持された分離材12の水平部121の両側縁の下面が、これらの小突起部111a,111a,121a,121aの先端部においてのみ当接して、分離材12の挿着時の摩擦抵抗が低減される。
【0035】
図4は、本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
この例の場合には、図1に示すものと異なる点は、更に、分離材12の立壁122の上端面が、断面扇型に広がる湾曲面とされている点である。
これにより、下水管本体が土中にて上方からの応力を受けて偏平化したときに、立壁122の上端面の断面扇形状に広がる湾曲面の部分が応力を分散して支持するので、一部に応力が集中するのが防止され、下水管の損傷を防止することができるのである。
【0036】
図5は、本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
この例の場合には、図1に示すものと異なる点は、下水管本体11の内面に設けられた突起部111,111の先端部がやや上方に向かうよう設けられ、分離材12の底板121が、立壁122が設けられた略中央部分を稜線とするような山型をなすものからなる点である。
これにより、分離材12が、ケーブルの荷重に対して撓みにくくなる。
【0037】
図6は、本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
この例の場合には、図1に示すものと異なるのは、下水管本体11の内面に設けられた突起部111,111と下水管本体11内面間に管軸方向に沿って上方に開口する係止溝111b,111bが形成され、分離材がその両側縁に下方に屈曲する係止縁123′,123′が形成された分離シート材12′からなり、係止溝111b,111bに係止縁123′,123′を挿入するようにして挿着されて支持された点である。
これにより、分離シート材としてドラムに巻き取ったものを使用して、下水管1を形成することができる。
【0038】
【実施例】
図1を参照して説明したのと同様の構造の下水管1を作成した。
下水管本体11として、その中に管軸方向に沿ってケーブル収納部を設けることによって、下水が流下する下水流下部の断面積が減少するので、設計流量、流速を確保するために、口径を設計口径より1サイズ大きいものにするのが好ましいので口径250mm丸管で下水の流量、流速が確保できる場合にも、それよりも1サイズ大きい口径300mm丸管と同寸法のものを作成した(表1参照)。
【0039】
【表1】
【0040】
即ち、この口径300mm丸管は、図7に示すように、内径Dは298mmであるが、その内部であって、頂部までの高さ(H)が70mmの部分にその上面が位置し、15mmの幅(上面横幅)Lにて水平方向に突出するような対向する突起部111,111が設けられたものを押出成形により連続的に一体成形し、適宜長さに切断して、硬質ポリ塩化ビニル製の下水管本体11を得た。
尚、このときの突起部111,111の基端部の上面の幅Wは157mmとなっている。
【0041】
一方、帯状底板121の中央の上方に長手方向沿って立壁122が設けられたものを押出成形により連続的に成形し、適宜長さに切断して、硬質ポリ塩化ビニル製の分離材12を得た。
尚、この分離材12は、底板121の厚さ5mm、横幅(下面横幅)w252mm、側縁の上側が面取りされ、立壁の厚さ5mm、高さh60mmの寸法を有するものである。
【0042】
下水管本体11内に、分離板12がその底板121の両側縁部を突起部111,111に支持されるようにして挿着して、下水管1を得た。
この下水管1は、管継手により配管接続され、地下に埋設されて、下水流下部Bに下水を流下させる共に、ケーブル収納部Aの2つの空間を、それぞれ、外径40mm、内径30mmのケーブル挿通用鞘管2が挿着され、その鞘管内にケーブル3を挿通するようにして使用される。
【0043】
【発明の効果】
本発明1の下水管は、上記の如き構成とされているので、本来の下水流下機能を有するとともに、優れたケーブル収納機能を有している。
本発明1の下水管は、上記の如き構成とされているので、分離材により、下水流下部と分離したケーブル収納部を容易に形成することができる。
【0044】
本発明2の下水管は、上記の如き構成とされているので、下水管本体内面への分離材の挿着が容易である。
本発明3の下水管は、上記の如き構成とされているので、下水管本体内面の突起部に分離材を強固に固定できるものである。
【0045】
本発明4の下水管は、上記の如き構成とされているので、各区画内にそれぞれケーブルを収納することができ、短絡することもない。
本発明5の下水管は、上記の如き構成とされているので、下水管本体が土中にて上方からの応力を受けて偏平化力が作用したときに、その応力が一部分に集中して負荷するのが防止され、下水管の損傷を防止することができる。
【0046】
本発明6の下水管は、上記の如き構成とされているので、下水管本体内面への分離シート材の挿着を容易に行うことができ、又、分離シートの上面には、ケーブルを固定するためのバンドが取り付けられたものを用いた場合には、ケーブルを分離シートにバンドにて固定した状態にて、下水管本体内に挿着するようなケーブル敷設方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下水管の実施の形態を説明する断面図である。
【図2】本発明の下水管の別の実施の形態を説明する断面図である。
【図3】本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する説明図であり、(a)は下水管本体の断面図、(b)は分離材の断面図である。
【図4】本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
【図5】本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
【図6】本発明の下水管の更に別の実施の形態を説明する断面図である。
【図7】本発明の1図に示すものの、実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
A ケーブル収納部
B 下水流下部
1 下水管
11 下水管本体
12 分離材
12′ 分離シート材(分離材)
111,111′ 突起部
121 底板
122 立壁
111a,121a 小突起
111b 係止溝
Claims (6)
- 下水管本体内面に、管軸方向に沿って対向する突起部が設けられ、それらの突起部に下水管本体とは別部材からなる分離材が支持又は固定され、その分離材により、管軸方向に沿って下水流下部と分離されたケーブル収納部が形成されていることを特徴とする下水管。
- 前記分離材と突起部との対向面の少なくとも一面に、小突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の下水管。
- 前記突起部への前記分離材の支持又は固定が、接着剤を介して接合されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の下水管。
- 前記分離材が、底板の略中央から上方に向かい前記ケーブル収納部内を管軸方向に沿って区画する立壁が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の下水管。
- 前記立壁の上端面が、断面扇形状に広がる湾曲面とされていることを特徴とする請求項4に記載の下水管。
- 前記突起部と下水管本体内面との間に管軸方向に沿って上方に開口する係止溝が形成され、前記分離材がその両側縁に下方に屈曲する係止縁が形成された分離シート材からなり、その係止溝内に係止縁を挿入するようにして分離シート材が挿着され前記突起部に支持又は固定されていることを特徴とする請求項1に記載の下水管。
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