JP3754090B2 - 無血清培地を用いた遺伝子導入方法 - Google Patents
無血清培地を用いた遺伝子導入方法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、無血清培地を用いた遺伝子導入方法、さらに詳しくは、医学、細胞工学、遺伝子工学、発生工学などの分野において標的細胞への遺伝子導入効率を向上させ、標的細胞の形質転換を効率良く行うことを可能にする方法およびそれに関連する一連の技術に関する。
発明の背景
多数のヒト疾病についてその機構が解明され、また、組換えDNA技術および細胞への遺伝子導入技術が急速に進歩したことより、近年、重篤な遺伝病を治療するための体細胞遺伝子治療法のプロトコールの開発が進められている。また、最近では遺伝病のみならず、AIDSのようなウイルス感染症やガンの治療にも遺伝子治療を適用しようという試みがなされている。
これまでに米国食品医薬品局(FDA)が承認したヒトでの遺伝子導入試験の大部分は、組換えレトロウイルスベクターを用いて細胞への遺伝子導入を行うものである。レトロウイルスベクターは目的の外来遺伝子を細胞内に効率的に導入し、その染色体DNA中に安定に組み込むので、特に長期にわたる遺伝子発現が望まれる遺伝子治療にとって好ましい遺伝子導入手段である。該ベクターは遺伝子導入された生物に悪影響を与えないように様々な工夫が施されている。
例えば、遺伝子導入に用いられたベクター自体が細胞内で複製を行い、無制限な感染(遺伝子導入)を繰り返さないよう、ベクター中の複製機能は欠損させてある。これらのベクター(複製能欠損レトロウイルスベクター)は自己複製できないため、一般的にはレトロウイルス産生細胞(パッケージング細胞)を使用して該ベクターがウイルス粒子に包まれたレトロウイルスを調製する。
一方、骨髄細胞はイン−ビトロ(in vitro)での取り扱いが可能なこと、および自己複製能を有する造血幹細胞を含有していることから、体細胞遺伝子治療法の良好な標的細胞である。また、臍帯血液も造血幹細胞を含む多数の原始前駆細胞を含有していることがこれまでに証明されている。これらの標的細胞に遺伝子を導入して生体に移植する遺伝子治療を行うことにより、導入された遺伝子が血液細胞中で長期にわたり発現され、疾病を生涯治癒することができる。
しかし、多数のグループによって研究が進められているにもかかわらず、造血幹細胞は高効率の遺伝子導入の難しい細胞の一つである。これまで、マウスやその他の動物の造血幹細胞に関して最も効率のよい遺伝子導入のプロトコールは、造血幹細胞をレトロウイルス産生細胞とともに共培養するという方法であったが、安全性についての懸念から、ヒトにおける臨床的な遺伝子治療法にはレトロウイルス産生細胞の混入の危険性の低い無細胞系での遺伝子導入が望まれている。残念ながら、レトロウイルス産生細胞との共培養を行わずに造血幹細胞に効率的に遺伝子を導入することは容易ではない。
最近、細胞外マトリックスの成分であるフィブロネクチンやそのフラグメントが、単独でレトロウイルスによる細胞への遺伝子導入効率を向上させることが報告されている[ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.、第93巻、第1451〜1457頁(1994年)、ブラッド(Blood)、第88巻、第855〜862頁(1996年)]。また、遺伝子工学的に生産されたフィブロネクチンフラグメントも同様の性質を有しており、これを利用して造血幹細胞に効率よく外来遺伝子を導入させることが可能であることも示された(WO95/26200号)。
さらに、WO97/18318号公報には、線維芽細胞増殖因子やコラーゲン等のフィブロネクチン以外の機能性物質が遺伝子導入効率を向上させること、およびレトロウイルス結合活性を有する機能性物質と標的細胞結合活性を有する他の機能性物質とを混合して使用した場合にも同様な遺伝子導入効率の向上が起こることが示されている。
これらの機能性物質による遺伝子導入効率の向上は、該物質がレトロウイルスと標的細胞とを近接した状態に共配置し、両者の相互作用の機会が増加することに起因すると考えられている。
発明の目的
上記のようなレトロウイルスを用いた遺伝子導入においては、レトロウイルスを含む培地中で標的細胞を培養することにより、レトロウイルスの感染、すなわち、遺伝子の導入が起こる。このステップに使用される培地としては動物血清、多くの場合にはウシ胎児血清(FCS)を含有するものが使用されている。血清中には細胞の栄養源となりうる成分や各種成長因子が含まれており、生体外での細胞の維持には高い効果を有するとされている。
血清は動物由来のものであり、そこに含まれる成分やその含量等は該血清が採取された動物個体の健康状態等によって変動すると考えられる。したがって、ロットの異なる血清を使用して細胞の培養および/または遺伝子導入が行われた場合には再現性のある結果を得られるとは限らない。また、例えば、ヒト以外の異種生物由来の血清は、ヒトに対して抗原性を有する物質を含有しており、このような血清存在下で維持された細胞をヒトに移植する際には抗原性物質の含量が低下するような適当な洗浄操作が必要である。さらに、血清はウイルスやマイコプラズマ等を含まないように厳重な品質管理がなされていなければならない。
このように、血清を含有する培地を使用する遺伝子導入法は問題を有しており、その解決が望まれている。
発明の概要
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも無血清培地を用いた場合に従来の血清含有培地に比べて遺伝子導入効率が向上すること、また、低密度リポプロテインを添加した培地では特に高い遺伝子導入効率が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、レトロウイルスによる標的細胞への遺伝子導入方法において、レトロウイルスと標的細胞とを共配置させることにより標的細胞のレトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させることができる有効量の機能性物質の存在下に、無血清培養培地中でレトロウイルスを標的細胞に感染させることを特徴とする。
本発明に使用される機能性物質には特に限定はなく、例えば、レトロウイルス結合部位と標的細胞結合部位とを同一分子中に有する物質またはレトロウイルス結合部位を有する分子と標的細胞結合部位を有する他の分子との混合物を使用することができる。レトロウイルス結合部位を有する機能性物質としては、例えば、フィブロネクチン、線維芽細胞増殖因子、コラーゲン、ポリリジンといった機能性物質またはこれらと同等のレトロウイルス結合活性を有する物質、例えば、上記以外のヘパリン結合性物質を使用することができる。また、標的細胞結合部位を有する機能性物質としては、例えば、標的細胞に結合するリガンドを有する物質を使用することができる。
本発明に好適な機能性物質としては、例えば、ヘパリン−II結合領域のようなレトロウイルス結合部位と、例えば、VLA−5および/またはVLA−4への結合領域のような細胞結合部位とを有するフィブロネクチンフラグメントが挙げられる。例えば、配列表の配列番号1にアミノ酸配列を示したポリペプチド(CH−296)はヘパリン−II結合領域、VLA−5およびVLA−4への結合領域を有するフィブロネクチンフラグメントである。
また、本発明の方法に使用される培養培地は血清を含有しないものであれば特に限定はなく、血清以外の細胞の維持、生育に必要な成分を混合して作製された培地を使用することができ、例えば、市販の無血清培地であってもよい。これらの培地は適当なタンパク質やサイトカイン類を含んでいてもよい。特に本発明には低密度リポプロテイン(LDL)を含有する培地が好適である。
本発明の第2の発明は遺伝子が導入された細胞に関し、第1の発明の方法により、遺伝子を導入されていることを特徴とする。遺伝子の導入される細胞には特に限定はなく、入手可能な種々の細胞を標的として遺伝子導入を行うことができる。
また、本発明の第3の発明は遺伝子導入された細胞の脊椎動物への移植方法に関し、第2の発明の遺伝子導入細胞を脊椎動物に移植することを特徴とする。
さらに、本発明の第4の発明は遺伝子導入に使用される培養培地に関し、血清を含有せず、かつレトロウイルスと標的細胞とを共配置させることにより標的細胞のレトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させることができる有効量の機能性物質を含有することを特徴とする。
第4の発明に使用される機能性物質としては上記したものが使用でき、特に好適には、例えば、配列表の配列番号1にアミノ酸配列を示したポリペプチドを使用することができる。
また、第4の発明の培地は血清を含有しないものであれば特に限定はなく、例えば、血清を含有しない市販の細胞培養培地、特に好適には、低密度リポプロテインを添加した培地を使用することができる。さらに、必要に応じて適当なサイトカイン類を含有する培地であってもよい。
発明の詳細な説明
本発明の遺伝子導入方法には、通常、組換えレトロウイルスベクターが使用され、特に、複製能欠損組換えレトロウイルスベクターが好適である。該ベクターは感染した細胞中で自己複製できないように複製能を欠損させてあり、非病原性である。これらのベクターがパッケージングされたレトロウイルスは脊椎動物細胞、特に、哺乳動物細胞のような宿主細胞に侵入し、その染色体DNA中にベクターに挿入された外来遺伝子を安定に組み込むことができる。
本発明では、細胞に導入しようとする外来遺伝子は適当なプロモーター、例えば、レトロウイルスベクター中に存在するLTRのプロモーターや外来プロモーターの制御下に、レトロウイルスベクター内に挿入して使用することができる。また、外来遺伝子の転写を達成するためにはプロモーターおよび転写開始部位と共同する他の調節要素、例えば、エンハンサー配列がベクター中に存在していてもよい。さらに、好ましくは、導入された遺伝子はその下流にターミネーター配列を含有することができる。
導入される外来遺伝子は天然のものでも、または人工的に作製されたものでもよく、あるいは起源を異にするDNA分子が、ライゲーションや当該技術分野で公知の他の手段によって結合されたものであってもよい。
レトロウイルスベクターに挿入される外来遺伝子は、細胞中に導入することが望まれる任意の遺伝子を選ぶことができる。例えば、外来遺伝子は治療の対象となる疾患に関連している酵素やタンパク質、アンチセンス核酸もしくはリボザイムまたはフォルスプライマー(例えば、WO90/13641号参照)、細胞内抗体(例えば、WO994/02610号参照)、増殖因子等をコードするものを使用することができる。
本発明で用いるレトロウイルスベクターは、遺伝子導入された細胞の選択を可能にする適当なマーカー遺伝子を有していてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、細胞に抗生物質に対する耐性を付与する薬剤耐性遺伝子や、酵素活性の検出によって遺伝子導入された細胞を見分けることができるレポーター遺伝子が利用できる。
使用できるベクターには、例えば、公知のMFGベクター(ATCC No.68754)やα−SGC(ATCC No.68755)等のレトロウイルスベクターがある。また、本明細書の下記の実施例において使用したMFG−nlsLacZベクター[ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)、第5巻、第1325〜1333頁(1994年)]はマーカー遺伝子としてβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含有している。したがって、該ベクターによって遺伝子導入された細胞は、該遺伝子産物の酵素活性を適当な基質、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)を用いて調べることにより、確認することができる。
また、これらのベクターは公知のパッケージング細胞株、例えば、公知のPG13(ATCC CRL−10686)、PG13/LNc8(ATCC CRL−10685)、PA317(ATCC CRL−9078)や米国特許5,278,056号に記載の細胞株、GP+E−86(ATCC CRL9642)やGP+envAm−12(ATCC CRL9641)、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第85巻、第6460〜6464頁(1988年)に記載のPsi−Crip等の細胞株を使用することにより、該ベクターがパッケージングされたウイルス粒子として調製することができる。
本発明の方法には培地として無血清培地が使用される。本明細書に記載の無血清培地とは、ヒトを含む動物由来の血清を含有せず、化学的に成分の明らかになっている物質によって構成されている動物細胞の培養のための培地を意味する。なお、血清を構成する成分であって精製、同定された物質が添加された培地は、本発明においては無血清培地に包含される。このような培地の基本的な成分としてはアミノ酸、糖類、有機酸のようなエネルギー源、ビタミン類、pH調整のための緩衝成分、無機塩類等があげられる。また、フェノールレッドのようなpH指示薬を含有していてもよい。このような基本的培地には公知の培地、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イスコブ改変ダルベッコ培地(IMDM)等が使用でき、これらは、例えば、ギブコBRL社から市販品として入手することができる。
これらの培地には、遺伝子導入の標的となる細胞の種類やその他の目的に応じて種々の成分を添加して用いることができる。例えば、標的細胞の生育や分化を促進または抑制する目的で各種のサイトカイン類を添加して使用することができる。このようなサイトカインとしては、インターロイキン類(IL−3、IL−6等)、コロニー刺激因子類(G−CSF、GM−CSF等)、幹細胞因子(SCF)、エリスロポエチンや種々の細胞増殖因子等があり、その多くのものについてヒト由来のものが市販されている。これらのサイトカイン類を使用するにあたっては、目的に応じた作用を有するものを選択し、また、必要に応じてこれらを組み合わせて使用すればよい。
さらに、本発明者らは低密度リポプロテイン(Low Density Lipoprotein、LDL)を培地に添加した場合に、特に良好な遺伝子導入効率が得られることを明らかにした。低密度リポプロテインはヒト由来のものが市販されており、例えば、シグマ(Sigma)社より入手することができる。下記実施例に示すように、低密度リポプロテインを含有する無血清培地中でレトロウイルス上清による細胞への遺伝子導入を行った場合には、従来使用されていた血清を含有する培地に比べて高い遺伝子導入効率が得られる。また、下記の機能性物質を共存させた場合にはさらに高い効率で遺伝子導入を行うことが可能である。
本発明はレトロウイルスと標的細胞とを共配置させることにより標的細胞のレトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させることができる機能性物質の共存下にレトロウイルスを標的細胞に感染させることを特徴とする。
これらの機能性物質の有効量をレトロウイルスを細胞に感染させる際に共存させておくことにより、高い効率で遺伝子導入細胞を得ることができる。これらの機能性物質としては、例えば、WO95/26200号公報およびWO97/18318号公報に記載された機能性物質を使用することができる。
本明細書において、有効量とはレトロウイルスによる標的細胞への遺伝子導入により標的細胞の形質転換が生じるのに有効な量であり、用いる機能性物質および標的細胞の種類により適切な量を選択する。この量は、例えば、本明細書記載の方法により遺伝子導入効率を測定し、決定することができる。また、遺伝子導入効率とは形質転換効率を意味する。
本発明に使用されるレトロウイルス結合部位を有する機能性物質としては、特に限定はなく、例えば、フィブロネクチンのヘパリン−II結合領域、線維芽細胞増殖因子、コラーゲン、ポリリジン等があり、また、これらの機能性物質と機能的に同等な物質、例えば、ヘパリン結合性部位を有する機能性物質も使用することができる。また、該機能性物質の混合物、該機能性物質を含有するポリペプチド、該機能性物質の重合体、該機能性物質の誘導体等を使用することができる。
また、本発明に使用される標的細胞結合部位を有する機能性物質も、特に限定はないが、標的細胞に結合するリガンドを有する物質であり、該リガンドとしては細胞接着性のタンパク質、ホルモンやサイトカイン、細胞表面の抗原に対する抗体、多糖類や糖タンパク、糖脂質中の糖鎖、標的細胞の代謝物などが挙げられる。また、該機能性物質を含有するポリペプチド、該機能性物質の重合体、該機能性物質の誘導体、該機能性物質の機能的同等物等を使用することもできる。
上記のような機能性物質は天然起源の物質から得ることができ、また、人為的に作製する(例えば、遺伝子組換え技術や化学合成技術によって作製する)ことができ、さらに、天然起源の物質と人為的に作製された物質との組合せにより作製することもできる。また、WO97/18318号公報に記載のように、これらの機能性物質を使用して遺伝子導入を実施する場合にはレトロウイルス結合部位を有する機能性物質と標的細胞結合部位を有する他の機能性物質とを混合して使用するか、あるいはレトロウイルス結合部位と標的細胞結合部位とを同一分子上に有する機能性物質を選択または作製して使用することができる。
本発明の方法においては、例えば、フィブロネクチンやそのフラグメント、またはこれらの混合物を使用することができるが、これらの機能性物質は天然起源のもの、または化学的合成により作製されたものであることができ、例えば、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biol.Chem.)第256巻、第7277頁(1981年)、ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell.Biol.)、第102巻、第449頁(1986年)、ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー、第105巻、第489頁(1987年)に記載された方法によって、天然起源の物質から実質的に純粋な形態で製造することができる。この点に関して、本明細書記載のフィブロネクチンまたはフィブロネクチンフラグメントとは、これらが天然においてフィブロネクチンと一緒に存在する他のタンパク質を実質的に含有していないことを意味する。
さらに、本明細書で使用できるフィブロネクチンフラグメント、またはこのようなフラグメントの作製に関する有用な情報は、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.)、第110巻、第284〜291頁(1991年)(これは上記の組換フラグメントに関してさらに報告している);エンボ・ジャーナル(EMBO J.)、第4巻、第1755〜1759頁(1985年)(これはヒトフィブロネクチン遺伝子の構造を報告している);およびバイオケミストリー(Biochemistry)、第25巻、第4936〜4941頁(1986年)(これはヒトフィブロネクチンのヘパリン−II結合領域について報告している)中に記載されている。
本明細書に記載のフィブロネクチンまたはフィブロネクチンフラグメントは、例えば、米国特許第5,198,423号に一般的に記載されているようにして、遺伝子組換え体より製造することもできる。特に、レトロウイルス結合部位であるヘパリン−II領域を含むフィブロネクチンフラグメント、たとえば、下記実施例で使用されるCH−296(配列表の配列番号1にそのアミノ酸配列を示す)、およびH−271、H−296、CH−271等の組換えポリペプチド、ならびにこれらを取得する方法はこの特許明細書に詳細に記載されている。これらのフラグメントは上記公報に記載されているように、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号の通産省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−10721(H−296)(原寄託日:平成1年5月12日)、FERM BP−2799(CH−271)(原寄託日:平成1年5月12日)、FERM BP−2800(CH−296)(原寄託日:平成1年5月12日)およびFERM BP−2264(H−271)(原寄託日:平成1年1月30日)の受託番号のもとで寄託された大腸菌を培養することによって入手することができる。また、これらのフラグメントから定型的に誘導できるフラグメントは上記の大腸菌に保持されているプラスミドを公知の遺伝子組換え手法で改変することにより、作製することができる。なお、上記のフィブロネクチンフラグメントのうち、H−296はVLA−4への結合領域ポリペプチドを、CH−271はHLA−5への結合領域ペプチドを、また、CH−296はその両方を有している[ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)、第2巻、第876〜882頁(1996年)]。
下記実施例に記載のとおり、フィブロネクチンや上記のフィブロネクチンフラグメントCH−296存在下では無血清培地中での遺伝子導入効率が向上する。また、WO97/18318号公報に記載のように、例えば、レトロウイルス結合領域を有するフィブロネクチンフラグメントである上記のH−271と細胞結合活性を有するフィブロネクチンフラグメントであるC−271とを混合して使用することによっても同様の遺伝子導入効率を得ることができる。
上記のフィブロネクチン、フィブロネクチンフラグメントまたはこれらの混合物の有効量の存在下、無血清培地中で細胞にレトロウイルスを感染させることにより、遺伝子が導入された細胞を効率よく得ることができる。フィブロネクチン、フィブロネクチンフラグメントまたはこれらの混合物は、例えば、レトロウイルスの感染に用いられる培養容器の表面に固定化された状態で使用してもよい。レトロウイルスの感染は通常の方法、例えば、37℃、炭酸ガス濃度5%の条件でのインキュベーションによって行うことができる。この条件やインキュベーションの時間は標的細胞や目的に応じて適宜変更してよい。
標的細胞がG0期の細胞である場合にはレトロウイルスが感染しないため、予備刺激によって細胞周期に誘導することが好ましく、この目的で、レトロウイルスの感染に先立って、標的細胞を適当な標的細胞増殖因子の存在下で培養する。例えば、骨髄細胞や造血幹細胞に遺伝子導入を行う場合の予備刺激には、インターロイキン(IL)−6や幹細胞因子等の標的細胞増殖因子が使用される。
本発明の方法による遺伝子導入の標的となる細胞も特に制限はなく、例えば、幹細胞(stem cells)、造血細胞、非接着性低密度単核細胞、接着性細胞、骨髄細胞、造血幹細胞、末梢血幹細胞、臍帯血液細胞、胎児性造血幹細胞、胚形成幹細胞、胚細胞、プライモディアル・ジャーム・セル(primordial germ cell)、卵母細胞、卵原細胞、卵子、精母細胞、精子、CD34+細胞、C−kit+細胞、多能性造血前駆細胞、単能性造血前駆細胞、赤血球系前駆細胞、リンパ球母細胞、成熟血球、リンパ球、B細胞、T細胞、線維芽細胞、神経芽細胞、神経細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、ガン細胞、骨髄腫細胞および白血病細胞等を使用することができる。血液や骨髄より得られる造血系の細胞は入手が比較的容易であり、また、その培養や維持の手法が確立されていることから、本発明の方法を利用するのに好適である。
特に、導入された遺伝子の長期にわたる発現が目的の場合には造血幹細胞、CD34+細胞、C−kit+細胞、多能性造血前駆細胞等の血液系の前駆細胞が標的細胞に適している。
機能性物質として上記のフィブロネクチンやフィブロネクチンフラグメント、特に細胞結合部位としてVLA−5および/またはVLA−4への結合領域を有しているフィブロネクチンフラグメントを使用することにより、細胞表面にVLA−5およびVLA−4を発現している細胞、例えば、造血幹細胞やCD34+細胞に効率よく遺伝子導入を行うことができる。
上記のように、本発明の方法によって遺伝子を導入された細胞は生体に移植することが可能であり、これによって生体内で外来遺伝子を発現させる遺伝子治療を行うことができる。本発明の方法によって得られる遺伝子導入細胞は異種動物血清由来のタンパクや不純物を含有しないため、生体への移植に好適である。例えば、造血幹細胞を標的細胞とした遺伝子治療は以下のような操作によって実施することができる。
まず、ドナーより造血幹細胞を含有する材料、例えば、骨髄組織、末梢血液、臍帯血液等を採取する。これらの材料はそのまま遺伝子導入操作に用いることも可能であるが、通常は、密度勾配遠心分離等の方法により造血幹細胞が含まれる単核細胞画分を調製するか、さらに、CD34および/またはC−kitといった細胞表面のマーカー分子を利用した造血幹細胞の精製を行う。これらの造血幹細胞を含有する材料について、必要に応じて適当な細胞増殖因子等を用いた予備刺激を行った後、本発明の方法により目的とする遺伝子を挿入された組換えレトロウイルスベクターを感染させる。こうして得られた遺伝子導入された細胞は、例えば、静脈内投与によってレシピエントに移植することができる。レシピエントは、好ましくはドナー自身であるが、同種異系移植を行うことも可能であり、例えば、臍帯血液を材料とした場合には同種異系移植が行われる。
造血幹細胞を標的とした遺伝子治療としては、患者において欠損しているか、異常が見られる遺伝子を補完するものがあり、例えば、ADA欠損症やゴーシェ病の遺伝子治療がこれにあたる。この他、例えば、ガンや白血病の治療に使用される化学療法剤による造血細胞の障害を緩和するために、造血幹細胞への薬剤耐性遺伝子の導入が行われることがある。
また、ガンの遺伝子治療法としては、ガン細胞にサイトカイン類の遺伝子を導入した後にその増殖能力を奪って患者の体内に戻し、腫瘍免疫を増強させる腫瘍ワクチン療法が研究されている[ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)、第5巻、第153〜164頁(1994年)]。さらに、AIDSを遺伝子治療法によって治療しようという試みも行われている。この場合には、AIDSの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染するT細胞に、HIVの複製や遺伝子発現を妨げるような核酸分子(アンチセンス核酸やリボザイム等)をコードする遺伝子を導入することが考えられている[例えば、ジャーナル・オブ・ウイロロジー(J.Virol.)、第69巻、第4045〜4052頁(1995年)]。
下記実施例に記載のように、本発明の遺伝子導入方法を用いることにより、高い効率で遺伝子導入された細胞を得ることができる。こうして得られた細胞は異種生物由来の血清を含まないことから、特別な操作を加えることなく生体に移植することが可能である。さらに、従来法に用いられてきた培地に比べて培地中の成分の種類やその含量に変動がないため、再現性のよい遺伝子導入を行うことが可能になる。
以下に実施例を挙げて、さらに詳しく本発明を説明するが、本発明は下記実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1
CH−296の調製
ヒトフィブロネクチン由来のポリペプチド、CH−296(配列表の配列番号1にそのアミノ酸配列を示す)は該ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えプラスミドpCH102を含有する大腸菌、Escherichia coli HB101/pCH102(FERM BP−2800)より、米国特許第5,198,423号公報に記載の方法により調製した。
実施例2
フィブロネクチン、CH−296のプレートへの固定化
フィブロネクチン(シグマ社製)は50μg/mlとなるように、また、実施例1に記載のCH-296は100μg/mlとなるように、それぞれリン酸緩衝生理食塩水(PBS、バイオウイッタカー社製)に溶かし、0.22μmのフィルター(ミニザルト・フィルター0.22μm、ザルトリウス社製)で濾過した。12−ウエルプレート(ファルコン社製)の1ウエル当たり1mlのCH-296溶液またはフィブロネクチン溶液を加え、室温で2時間インキュベートし、固定化を行った。固定化に供した溶液を1ウエル当たり2mlの2%ウシ血清アルブミン(BSA、シグマ社製)を含むPBSに交換して、さらに、30分室温でインキュベートした後、25mMヘペス(HEPES、ギブコBRL社製)を含むハンクスの緩衝塩溶液(ギブコBRL社製)で、プレートを2回洗浄した。
実施例3
ウイルス上清液の調製
レトロウイルスベクターMFG−nlsLacZ[ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)、5巻、1325-1333頁(1994年)]を産生するPsi−Crip細胞[プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第85巻、第6460〜6464頁(1988年)]由来の細胞であるA7.21細胞の培養には、10%子ウシ血清(JRHバイオサイエンス社製)、100単位/mlペニシリン−100μg/mlストレプトマイシン(ギブコBRL社製)を含むDMEM培地(バイオウイッタカー社製)を用いた。3×106個のA7.21細胞を100mm径の組織培養用のディッシュ(ファルコン社製)に植えて1晩培養した後、培地を取り除き、10%ウシ胎児血清(FCS、バイオウイッタカー社製)を含む5mlのRPMI培地(バイオウイッタカー社製)、または40μg/ml低密度リポプロテイン(LDL、シグマ社製)を含む5mlのBIT−9500培地(ステム・セル・テクノロジーズ社製)に置換した。24時間培養後、培養上清を集め、0.45μmのフィルター(ミニザルト・フィルター0.45μm、ザルトリウス社製)で濾過した後、インターロイキン-3(IL−3、アムジェン社製)を10ng/ml、インターロイキン-6(IL−6、アムジェン社製)を10ng/ml、幹細胞因子(SCF、アムジェン社製)を100ng/mlとなるようにそれぞれ添加した。
こうして得られたウイルス液のタイターを既報[キャンサー・ジーン・セラピー(Cancer Gene Therapy)、4巻、5〜8頁(1997年)]の方法に従い、Rat2細胞(ATCC CRL−1764)を用いて測定したところ、10%FCSを含むRPMI培地を用いたもので1.7×107pfu/ml、また、40μg/ml LDLを含むBIT−9500培地を用いたもので1.8×106pfu/mlであった。
実施例4
CD34+細胞の単離
CD34+細胞は化学療法およびG−CSFで動員したヒト末梢血[ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)、5巻、1325-1333頁(1994年)]より、免疫磁気分離法(マグネティック・アクティベイテッド・セル・ソーディング、ミルテニ・バイオテック社製)を用いて単離した。得られたCD34+細胞の純度は95%であった。
実施例5
CD34+細胞への遺伝子導入
(1)上清法による遺伝子導入
CD34+細胞は、レトロウイルスの感染に先立って予備刺激を行った。
すなわち、実施例4で調製したCD34+細胞を10ng/mlのIL−3、10ng/mlのIL−6、100ng/mlのSCFの存在下、10%FCSを含むRPMI培地中、あるいは40μg/mlのLDLを含むBIT−9500培地中で48時間インキュベートした。3×105個の予備刺激されたCD34+細胞を実施例3で調製したウイルス液に懸濁した。なお、ウイルス液はそれぞれのCD34+細胞の予備刺激に使用されたものと同じ培地で調製されたものを選んで使用した。この細胞懸濁液を何も固定化されていない12−ウエルプレートのウエル(無処理ウエル)、および実施例2で作製されたフィブロネクチンが固定化されたウエル、CH−296が固定化されたウエルのそれぞれに添加し、細胞を5%炭酸ガス存在下、37℃で、2時間培養した。無処理ウエル、およびフィブロネクチンが固定化されたウエルにはポリブレン(4μg/ml、シグマ社製)を添加した。2時間後、新たなウイルス液(上記の濃度のIL−3、IL−6、SCFを含む)を添加し、5%炭酸ガス存在下、37℃で、さらに22時間培養した。培養後、細胞を細胞解離緩衝液を用いて回収し、10%FCSを含有するRPMI培地中あるいは40μg/mlのLDLを含むBIT−9500培地に懸濁して24時間培養した。
(2)共培養法による遺伝子導入
共培養を始める前日、A7.21細胞を10μg/mlのアメタイシン(Choay−Sanofi社製)で2時間処理した後、トリプシン/EDTA(ギブコBRL社製)を用いて細胞を回収した。この細胞懸濁液2×105個細胞相当を12−ウエルプレートに添加した。CD34+細胞は、10ng/mlのIL−3、10ng/mlのIL−6、100ng/mlのSCFの存在下、10%FCSを含むRPMI培地中あるいは40μg/mlのLDLを含むBIT−9500培地中で24時間予備刺激した。105の予備刺激されたCD34+細胞をそれぞれ上記のA7.21細胞の添加されたウエルに添加し、10ng/mlのIL−3、10ng/mlのIL−6、100ng/mlのSCF、4μg/mlのポリブレンの存在下、予備刺激に使用した培地(1ml/ウエル)中で培養した。72時間後、非接着細胞を集め、IMDM培地(バイオウイッタカー社製)に懸濁した。
実施例6
遺伝子導入の評価
実施例5で得られた遺伝子導入細胞250個ずつを0.9%メチルセルロース、30%FCS、1%BSA、0.1mMメルカプトエタノール、2mMグルタミンを含む半固形培地(メソカルトH4230、ステム・セル・テクノロジーズ社製)0.5mlを含むプレートにそれぞれ加えた(操作は、各3連で行った)。なお、培地には2単位/mlのエリスロポエチン(アムジェン社製)、10ng/mlのGM−CSF(アムジェン社製)、10ng/mlのG−CSF(アムジェン社製)、10ng/mlのSCF、10ng/mlのIL−3、10ng/mlのIL−6を添加した。
遺伝子導入効率はnlsLacZ遺伝子より発現されるβ−ガラクトシダーゼの酵素活性から求めた。21日間培養した上記のプレートを直接X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)で染色した後、青く染色されたコロニーを計数し、その全コロニーに対する割合を調べた。
こうして得られたX−Gal陽性コロニーの割合を表1に示す。
上記の結果は、フィブロネクチンやそのフラグメントであるCH−296と、LDLを含むBIT−9500培地、すなわち、無血清培地との組み合わせが、高効率の遺伝子導入を可能ならしめることを示している。
配列表
SEQUENCE LISTING
<110>バグニ,クロード;アンベール,アン−マリー;
Bagnis,Claude;Imbert,Anne-Marie;
マノニ,パトリス;寶酒造株式会社
Mannoni,Patrice;Takara Shuzo Co.,Ltd.
<120>無血清培地を用いた遺伝子導入方法
<130>660837
<150>JP 9-196772
<151>1997-7-23
<160>1
<210>1
<211>574
<212>PRT
<213>Homo sapiens
<400>1
Claims (20)
- レトロウイルスによる標的細胞への遺伝子導入方法において、レトロウイルスと標的細胞とを共配置させることにより標的細胞のレトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させることができる有効量の機能性物質の存在下に、低密度リポプロテインを含有する無血清培養培地中でレトロウイルスを標的細胞に感染させることを特徴とする標的細胞への遺伝子導入方法。
- 機能性物質が、レトロウイルス結合部位と標的細胞結合部位とを同一分子中に有する物質である請求項1記載の方法。
- 機能性物質が、レトロウイルス結合部位を有する分子と、標的細胞結合部位を有する他の分子との混合物である請求項1記載の方法。
- 機能性物質が、フィブロネクチン、フィブロネクチンフラグメントまたはこれらの混合物である請求項1記載の方法。
- 機能性物質が、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項4記載の方法。
- 機能性物質が、培養容器に固定化されている請求項1〜5いずれか1項記載の方法。
- 培養培地が、サイトカインを含有する請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
- 培養培地が、IL−3、IL−6およびSCFから選択されるサイトカインを含有する請求項7記載の方法。
- 標的細胞が、造血系細胞である請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
- 標的細胞が、CD34+細胞である請求項9記載の方法。
- レトロウイルスが、外来遺伝子を含有する組換えレトロウイルスである請求項1〜10いずれか1項記載の方法。
- レトロウイルスが、複製能を欠損した組換えレトロウイルスである請求項11記載の方法。
- 請求項1〜12いずれか1項記載の方法で得られる遺伝子導入細胞。
- レトロウイルスによる標的細胞への遺伝子導入に使用される培養培地であって、血清を含有せず、かつレトロウイルスと標的細胞とを共配置させることにより標的細胞のレトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させることができる有効量の機能性物質ならびに低密度リポプロテインを含有することを特徴とする標的細胞の培養培地。
- 機能性物質が、レトロウイルス結合部位と標的細胞結合部位とを同一分子中に有する物質である請求項14記載の培養培地。
- 機能性物質が、レトロウイルス結合部位を有する分子と、標的細胞結合部位を有する他の分子との混合物である請求項14記載の培養培地。
- 機能性物質が、フィブロネクチン、フィブロネクチンフラグメントまたはこれらの混合物である請求項14記載の培養培地。
- 機能性物質が、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項17記載の培養培地。
- サイトカインを含有することを特徴とする請求項14〜18いずれか1項記載の培養培地。
- IL−3、IL−6およびSCFから選択されるサイトカインを含有することを特徴とする請求項19記載の培養培地。
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