JP3753502B2 - 表面親水性成形物の製造方法 - Google Patents

表面親水性成形物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜、電子工業、食品工業、医療(人工臓器等の医療用具や検査を含む)、医薬品工業、廃水処理、印刷材料等の分野において、タンパク質、コロイド、バクテリヤ、フミン質、油脂、大気中の汚染物質等の吸着が少ない成形物や、生体適合性の成形物、また酵素、菌体等を変性させない固定化用担体、農業用などの分野で使用される防曇性フィルムや防曇性塗膜などとして用いられる表面親水性成形物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の各分野で使用されている成形物において大きな問題の第1は、タンパク質、油脂、フミン質等の物質の材料表面への吸着である。例えば、分離膜分野においては、これらの物質の吸着による透過流束の低下が問題となっている。第2の問題点は、人工臓器などの医療分野における生体適合性の不足であり、血栓、溶血、感作性、抗原抗体反応などの発生が挙げられる。第3は帯電であり、特に電子工業分野で重要な問題となっている。
【0003】
このような問題を解決するために、成形物の表面を親水化処理する方法が通常行われている。しかし、表面処理によって成型物表面に親水性を付与する方法では、親水化の程度が低いうえ、成形した後に親水化処理する必要があるため、工程数の増加による生産性の低下が不可避であるという不利益があった。
【0004】
一方、親水性表面を有する成形物の直接成形方法としては、成形材料やコーティング材料として親水基を有するポリマーを使用したり、親水性物質の練込みによる方法が行われてきた。例えば、株式会社化学同人発行の「高分子表面の基礎と応用(下)」72頁(1986年)には、界面活性剤の表面塗布及び内部練り込みによる成形物の表面親水化による帯電防止方法が記載されている。また、界面活性剤の他にカーボンも練込み材料として用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような内部練り込み法では、充分な親水性を得るには界面活性剤を大量に練り込まなければならなず、成形物表面からの界面活性剤の流失が発生すると同時に、成形物の物性が大きく損なわれるのが常であった。また、成形材料やコーティング素材として親水性ポリマーを使用する方法では、親水性物質の流失の問題はないものの、吸湿による寸法変化、湿潤状態での強度低下、湿潤状態での基材との剥離といった問題が生じていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、充分な親水性と耐久性のある表面を有し、且つ親水性を付与することに伴う成形物の性能低下を呈しない成形物を提供し、そのような成形物を工程数の増加を招くことなく成形する製造方法を提供することにある。即ち、親水基が共有結合で成形物の表面に結合しており、成形物内部には表面親水性に寄与しない親水基の導入を避けることにより、親水基の機能を十分に発揮でき、かつ、成形物の物理的構造、性質等に影響を及ぼさない表面親水性成形物を提供し、そのような成形物を一工程で製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と光重合開始剤とを必須成分として含む光重合性樹脂組成物(A)を賦形し、得られた未硬化の賦形物(以下、単に賦形物と称する場合がある)を、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)からなり、光重合開始剤を含まない親水性層形成材料(B)と接触させた状態で、これらに活性光線を照射することによって、未硬化の賦形物を硬化させると共に、未硬化の賦形物と親水性層形成材料(B)との界面において、光重合性樹脂組成物(A)中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の一部とを共重合させることにより、表面親水性成形物が容易に一工程で製造でき、しかも、この製造方法は、親水基の種類や密度を容易に制御することができ、光重合性樹脂組成物(A)からなる成形物が本来有する構造、物性等を損なうことがないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、
(1)活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と光重合開始剤とを必須成分として含む光重合性樹脂組成物(A)を賦形し、得られた未硬化の賦形物を、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)からなり、光重合開始剤を含まない親水性層形成材料(B)と接触させた状態で、これらに活性光線を照射することによって、未硬化の賦形物を硬化させると共に、未硬化の賦形物と親水性層形成材料(B)との界面において、光重合性樹脂組成物(A)中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の一部とを共重合させる表面親水性成型物の製造方法であって、モノマー及び/又はオリゴマ−(a)は、重合開始剤の存在下又は不存在下で使用する活性光線によって重合可能であり、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマ−(b)は、重合開始剤の存在下では、使用する活性光線によって重合可能であるが、重合開始剤の不存在下では、使用する活性光線によって重合しない、という条件を満足するモノマー及び/又はオリゴマ−(a)、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマ−(b)及び活性光線を使用する表面親水性成型物の製造方法、
【0009】
(2)光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物を、親水性層形成材料(B)中に浸漬させた状態で、これらに活性光線を照射する上記(1)記載の製造方法、
【0010】
(3)光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物が、親水性層形成材料(B)に溶解しないものである上記(1)又は(2)記載の製造方法、
【0011】
(4)光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物に活性光線を照射して賦形物中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)を不完全に硬化させた後、完全に硬化していない賦形物を親水性層形成材料(B)と接触させた状態で、これらに活性光線を照射することによって、完全に硬化していない賦形物を硬化させると共に、完全に硬化していない賦形物と親水性層形成材料(B)との界面において、光重合性樹脂組成物(A)中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の一部とを共重合させる上記(1)記載の製造方法、
【0012】
(5)光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物に活性光線を照射して賦形物中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)を不完全に硬化させた後、完全に硬化していない賦形物を、親水性層形成材料(B)中に浸漬させた状態で、これらに活性光線を照射する上記(4)記載の製造方法、
【0013】
(6)光重合性樹脂組成物(A)が、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と相溶するが、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)から成る重合硬化物を溶解又は膨潤させない成分を含有する上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)記載の製造方法。
【0014】
(7)親水性層形成材料(B)が、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液である上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)記載の製造方法、
【0015】
(8)親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液が、界面活性剤を含有する上記(7)記載の製造方法、
【0016】
(9)親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液中の親水性モノマー及び親水性オリゴマー(b)の合計の濃度が0.5〜50重量%の範囲にある上記(7)又は(8)記載の製造方法、
【0017】
(10)親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が、親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)記載の製造方法、
【0018】
(11)親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が、一分子中に重合可能なアクリロイル基を1つ有するものである上記(10)記載の製造方法、
【0019】
(12)親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーが、分子中にアミノ酸骨格を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は分子中にアミノ酸骨格を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである上記(11)記載の製造方法、
【0020】
(13)親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーが、分子中に糖骨格を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は分子中に糖骨格を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである上記(11)記載の製造方法、
【0021】
(14)成形物の上に光重合樹脂組成物(A)を塗膜状に賦形する上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)記載の製造方法、
【0022】
(15)光重合性樹脂組成物(A)を糸状又は中空糸状に賦形する請求項1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)記載の製造方法、
【0023】
(16)光重合性樹脂組成物(A)をビーズ状に賦形する請求項(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)記載の製造方法、
を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で使用する活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)は、有機、無機を問わず、光重合開始剤の存在下又は不存在下で、活性光線、例えば、紫外線、可視光線、赤外線等の照射により重合し、ポリマーとなるものであればよく、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性等、任意のものであってよい。そのようなモノマー及び/又はオリゴマー(a)としては、例えば、分子内にビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、メタクリロイル基[以下、アクリロイル基とメタクリロイル基を併せて(メタ)アクリロイル基と称する。(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート等についても同様である。]等を有するモノマー及び/又はオリゴマーが挙げられるが、中でも活性光線照射による重合速度が速いことから、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法で使用する活性光線により重合可能なモノマー(a)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー;
【0026】
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4ー(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアネート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシアネート、アジピン酸ジビニル等の2官能モノマー;
【0027】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等の4官能モノマー、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の5官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能モノマーなどが挙げられる。
【0028】
本発明の製造方法で使用する活性光線により重合可能なオリゴマー(a)は、活性光線により重合可能な重合性官能基を有するオリゴマーであり、分子量500〜50,000のものが好ましい。そのようなオリゴマー(a)としては、例えば、ビスフェノールA−ジエポキシ−(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0029】
これらの活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)は、単独で用いることも、2種以上の材料を混合して、例えば、モノマー同士或いはオリゴマー同士を混合して用いることもでき、また、モノマーとオリゴマーを混合して用いることもできる。
【0030】
活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)の選択により、表面親水性成形物の支持体成形物[即ち、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)から成る賦形物の硬化物]の架橋密度を任意に制御することができる。例えば、耐熱性、耐溶剤性、耐膨潤性、硬度、強度に優れた成形物を得るためには、分子中に2つ以上の重合可能な官能基を有するモノマー及び/又はオリゴマー(以下、これらを多官能のモノマー及び/又はオリゴマーと称する)の中でも官能基数の多いものを選択し、それから形成されるポリマーの架橋密度を高める方法を採用すればよい。逆に、熱可塑性、柔軟性、伸びなどが要求される場合には、多官能のモノマー及び/又はオリゴマーを用いずに、架橋構造を有しないポリマーとする方法。あるいは、多官能のモノマー及び/又はオリゴマーと、分子中に1つの重合可能な官能基を有するモノマー及び/又はオリゴマー(以下、これらを単官能のモノマー及び/又はオリゴマーと称する)を併用して比較的架橋密度の低いポリマーとする方法を採用すればよい。これらの方法は、目的とする成形物の要求特性により任意に選定できる。いずれにしても、耐熱性、力学強度、硬度、寸法安定性、耐溶剤性などに優れた表面親水性成形物を得るために、モノマー及び/又はオリゴマー(a)としては、多官能のモノマー及び/又はオリゴマーを使用することが好ましい。
【0031】
また、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)に疎水性のものを選択することにより、水に非膨潤性の支持体成形物とすることができる。なお、本明細書でいう「水に非膨潤性」とは、20℃の水に浸漬した場合、乾燥重量に対する重量増加率が5重量%以下であることをいう。水に非膨潤性であることにより、成形物は耐水性を有し、湿潤状態でも強度が低下することはない。
【0032】
本発明の製造方法において、光重合性樹脂組成物(A)は、親水性層形成材料(B)に接触してから光重合硬化までの間、賦形された状態を実質的に保持できるものであることが必要である。そのために、光重合性樹脂組成物(A)の主要な構成要素であるモノマー及び/又はオリゴマー(a)が親水性層形成材料(B)に溶解しないもの、あるいは、光重合性樹脂組成物(A)が高粘度のものが好ましい。
【0033】
光重合性樹脂組成物(A)には、その他の成分を溶解又は非溶解の状態で含有させることもできる。その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、光重合性樹脂組成物(A)の増粘剤として機能するポリマー、最終成形物の物性改良剤として機能するポリマー、充填剤などの無機物、アラミド繊維などの強化材、着色剤、防黴剤などの薬剤、孔質体を成形するための貧溶剤等が挙げられる。
【0034】
光重合性樹脂組成物(A)の必須構成要素である光重合開始剤は、本発明で使用する活性光線に対して活性であり、モノマー及び/又はオリゴマー(a)、並びに親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)を重合させることが可能なものであれば、特に制限がなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。そのような光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類などが挙げられる。
【0035】
光重合開始剤は、光重合性樹脂組成物(A)に溶解あるいは分散した状態で用いることができるが、光重合性樹脂組成物(A)に溶解するものであることが好ましい。光重合性樹脂組成物(A)中の光重合開始剤濃度は、0.01〜20重量%の範囲が好ましく、0.5〜10重量%の範囲が特に好ましい。
【0036】
本発明の製造方法で使用する親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、分子内に親水性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーであり、かつ、本発明の製造方法で使用する活性光線を照射した際に、光重合開始剤が存在する時は重合するが、光重合開始剤が存在しない時には重合しないものである。
【0037】
親水基としては、例えば、ポリエチレングリコール基、ポリオキシメチレン基、水酸基、糖含有基、アミド基、ピロリドン基等のノニオン性親水基;カルボキシル基、スルホン基、燐酸基等のアニオン性親水基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性親水基;アミノ酸含有基や燐酸基/アンモニウムイオン基などの双性イオン基等が挙げられる。勿論、これらの誘導体であって良く、例えば、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ピロリドン基のN置換体が挙げられる。
【0038】
親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、分子中に単数又は複数の親水基を有するものであってよく、複数の種類の親水基を有するものであってもよい。
【0039】
親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、水又は水と有機溶剤との混合溶剤と任意の割合で相溶するものが好ましく、水と任意の割合で相溶するものがさらに好ましい。
【0040】
親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が光重合開始剤の不存在下で本発明で使用する活性光線によって重合するものであると、支持体成形物の表面に結合していない重合体の生成量が増加するために、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の利用効率が悪くなる上、親水性層形成材料(B)の交換頻度が高くなり生産性も低下する傾向にあるので、好ましくない。
【0041】
親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が光重合開始剤の不存在下で重合するか、しないかは、使用する活性光線にも依存する。本発明で使用する活性光線の波長や強度を選定することによって、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が光重合開始剤の不存在下で重合しないようにすることも可能である。
【0042】
そのような親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエイコサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエイコサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有するモノマー;
【0043】
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピぺリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチレンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;
【0044】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ビスメトキシメチル)カルバミルオキシエチルメタクリレート、N−メトキシメチルカルバミルオキシエチルメタクリレート等のアミノ基を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸等のカルボキシル基を有するモノマー;モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等の燐酸基を有するモノマー;
【0045】
(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基を有するモノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン酸ソーダエトキシメタクリレート等のスルホン基を有するモノマー;これらの親水基を有する分子量500〜50000の重合性オリゴマーなどが挙げられる。
【0046】
親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、薄い表面親水性層を形成するためには、単官能モノマー及び/又は単官能オリゴマーを用いることが好ましく、比較的厚い表面親水性層を形成するためには、多官能モノマー及び/又は多官能オリゴマーを用いることが好ましい。
【0047】
また、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)として、分子中にアミノ酸骨格を有する(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマーを用いることもできる。ここで「分子中にアミノ酸骨格を有する」とは、分子中にアミノ酸骨格が共有結合で結合されていることを指し、例えば、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンフェニルアラニン、プロリン、バリン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシリシン、ヒドロキシプロリン、リシン、セリン、トレオニン、チロシン等のアミノ酸骨格及びそれらの誘導体が挙げられる。アミノ酸骨格を成形物の表面に結合させることにより、表面に親水性を付与するだけでなく、生体適合性や、物質(例えば、タンパク質)に対する高吸着性或いは選択吸着性などの特性を付与することができる。更に、表面に数種類のアミノ酸を同時に結合させることが可能で、これらのアミノ酸を組み合わせることにより、新たな機能(例えば、抗血栓性、タンパク質選択吸着性、光学活性等)を付与することもできる。
【0048】
更にまた、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)として、分子中に糖骨格を有する(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマーを用いることもできる。ここで「分子中に糖骨格を有する」とは、分子中に糖骨格が共有結合で結合されていることを指し、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース等の単糖類又はそれらの誘導体(例えば、メチルグルコシド等)、(これらの単糖類は環状(五員環又は六員環)又は鎖状のものであっても良い)そしてマルトース(麦芽糖)、セロビオース、ラクトース(乳糖)、スクロース等の二糖類又はそれらの誘導体、シクロデキストリン等のオリゴ糖又はそれらの誘導体、デンプン等の多糖類などが挙げられる。糖骨格を成形物の表面に結合させることにより、表面に親水性を付与するだけでなく、タンパク質に対する吸着性を低くすることができるので、好ましい。また、表面に数種類の糖骨格を同時に結合させることが可能で、これらの糖の組み合わせで、更にこられの糖骨格にその他の官能基(例えば、スルホン酸基)を導入することにより、新たな機能(例えば、抗血栓性、タンパク質選択吸着性、光学活性等)を付与することもできる。
【0049】
本発明の親水性層形成材料(B)は、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)を主たる構成要素とする。親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は単独又は2種類以上の混合物であってよい。親水性層形成材料(B)は、その他に溶剤、重合禁止剤、連鎖移動剤などを含有してもよいが、本発明で使用する活性光線に活性な光重合開始剤を含有しないことが好ましい。そのような光重合開始剤を含有すると、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が光重合開始剤の不存在下で本発明で使用する活性光線により重合するものである場合と同様の不都合が生じる。しかしながら、光重合開始剤を含有する場合であっても、重合禁止剤や連鎖移動剤を同時に含有させることにより、上記の不都合を減じることは可能である。
【0050】
親水性層形成材料(B)は、液体であっても気体(蒸気)であってもよいが、生産性や効果の点から液体であることが好ましく、親水基結合量の制御し易さから、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)と溶剤からなる溶液であることがより好ましい。溶剤は、水、水溶性溶剤、界面活性剤もしくはそれらの混合物であることが好ましく、表面親水性に優れる成形物を得るためには、水又は水を主成分とする溶剤であることがさらに好ましく、界面活性剤と水との混合物であることが、最も好ましい。
【0051】
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトンなどのケトン系溶剤、ホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。
【0052】
必要に応じて親水性層形成材料(B)に添加することのできる界面活性剤は、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)を含む溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名「ツィ−ン20」)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0053】
溶液として用いる場合の親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の濃度は、成形物表面に要求される親水性、界面での反応性及び親水基結合量の制御、並びに後洗浄等の面から、0.5〜50重量%の範囲が好ましく、3〜30重量%の範囲が特に好ましい。
【0054】
一般的に、親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の濃度が高くなるほど、支持体成型物の表面に固定される親水性層が厚くなるが、厚くなりすぎると(例えば、乾燥状態で厚さ10μm以上)、湿潤時に表面強度が低下し、親水性層の変形や剥離が生じ易くなる。親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の濃度を上記の範囲にすることで、充分な親水性を示し、且つ表面親水性層が過度に厚くない親水性成型物を得ることができる。
【0055】
本発明の製造方法では、親水性のモノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)を用いることにより、成形物の表面に親水性を付与することができるだけでなく、水酸基、糖含有基、カルボキシル基、りん酸基、スルホン基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、アミノ酸含有基、ハロゲン等の置換基を容易に成形物の表面に導入することもできる。更に、これらの置換基を介して、成型物の表面に、酵素、疑似抗原、抗体、糖類等を修飾し、固定化することができる。また同じ成形物の表面に一種類の置換基だけでなく、数種類の置換基を同時に導入することもできる。これらの置換基の種類、導入量などを調整することにより、成形物の表面に要求される親水性、耐汚染性、タンパク質吸着性、生体適合性等を幅広く調節することができる。
【0056】
光重合性樹脂組成物(A)の未硬化の賦形物と親水性層形成材料(B)との接触方法は任意であり、例えば、賦形物の親水性層形成材料(B)中への浸漬、賦形物表面への親水性層形成材料(B)の流延又はスプレー、賦形物と親水性層形成材料(B)の泡との接触、光重合性樹脂組成物(A)と親水性層形成材料(B)の共押し出しなどの方法が挙げられ、中でも賦形物の親水性層形成材料(B)中への浸漬が好ましい。光重合性樹脂組成物(A)の賦形物と接触させる親水性層形成材料(B)は、気相(蒸気)であってもよい。
【0057】
光重合性樹脂組成物(A)を賦形して得られた未硬化の賦形物を、親水性層形成材料(B)と接触させた状態で光照射すると、賦形物の内部又は表面で発生したラジカル、アニオン、カチオンなどの活性種によって、モノマー及び/又はオリゴマー(a)が重合するとともに、発生したこれらの活性種あるいはモノマー及び/又はオリゴマー(a)の重合連鎖におけるこれらの活性種によって、賦形物の表面で親水性層形成材料(B)に含有される親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の重合も誘発され、1つの活性種から開始した重合反応は実質的に瞬時に終了する。即ち、重合反応は賦形物内部においてモノマー及び/又はオリゴマー(a)同士、賦形物と親水性層形成材料(B)との接触面においてモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の間、及び該接触面近傍の親水性層形成材料(B)相中において親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)同士で起こり、モノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)とのブロック共重合体が形成される。従って、賦形物が硬化することにより形成された支持体成形物の内部には、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)あるいはその重合体は存在せず、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)あるいはその重合体は、支持体成形物の表面のみに結合される。支持体成形物の表面に結合される親水基の量〔即ち、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)からなる重合体の量〕は、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の濃度、反応温度、光重合性樹脂組成物(A)中の光重合開始剤濃度、光強度等によって調節することができる。支持体成型物の表面に固定された親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、重合体とならず、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)自体であることもあり得る。
【0058】
なお、本発明の製造方法では、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、使用された量の一部分が光重合性樹脂組成物(A)の賦形物の硬化物である支持体成形物の表面に結合し、残余の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)は、未硬化のまま親水性層形成材料(B)相中に残留することになる。
【0059】
本発明の親水性成形物の形状は、光照射によって成形可能な物であれば特に限定されないが、例えば、糸状、中空糸状、管状、円筒状、粒子状、カプセル状、フィルム状、板状、塗膜状、その他任意の形状であって良い。成形しやすさの面から、親水性成形物は、フィルム状又は塗膜状であることが好ましい。また、親水性成形物がさらに別の支持体などと一体化された形態であっても良い。更に、親水性成形物は、均質物、多孔質体、パターニング物、その他の構造を有するものであっても良い。
【0060】
多孔質体を作製する場合には、例えば、光重合性樹脂組成物(A)として、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と相溶するが、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)の重合硬化物とは相溶しない成分(貧溶剤又は相分離剤とも言う。以下、「貧溶剤」という。)を含有するものを使用し、賦形した後、後述する予備重合などにより重合硬化させた後、貧溶剤を除去すればよい。活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)が重合すると同時に貧溶剤との相溶性が無くなるため、相分離を起こし網目状に凝固する。洗浄して貧溶剤を除去することにより互いに連通した多孔質体を得ることができる。
【0061】
ここで使用できる貧溶剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル等の脂肪酸のアルキルエステル、ジイソブチルケトン等のケトン類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル等の非イオン性界面活性剤類等が挙げられる。
【0062】
光重合性樹脂組成物(A)を賦形する方法には、特に制限はない。例えば、コーターやスプレーなどによる塗布、ノズルからの押し出し、鋳型への注型、また薄く均一に塗布する必要がある場合や形状の複雑な物体、多孔質体(例えば、多孔質膜)、不織布や織物などの表面(細孔や繊維表面を含む)に塗布する場合には、光重合性樹脂組成物(A)を溶剤に溶解して、塗布、噴霧又は浸漬した後、必要に応じ余分な液を除いて、該溶剤を揮発させる方法を用いても良い。この場合の溶剤は、光重合性樹脂組成物(A)を溶解できるものであれば、如何なるものであって良いが、塗布後の成形物を乾燥させる必要性から、揮発性の比較的高い溶剤がより好ましい。そのような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類:酢酸エチル等のエステル類;ヘキサン、トルエン等の炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系溶剤等が挙げられる。
【0063】
また、光重合性樹脂組成物(A)を賦形した後、賦形物に光照射して賦形物を予備的に不完全硬化させておいても良い。光重合性樹脂組成物(A)の粘度が低い場合は、光重合性樹脂組成物(A)からなる賦形物を、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)あるいはそれらの溶液と接触させた時に、形状を維持しにくい場合がある。このような場合は、賦形物を予め活性光線で予備硬化(不完全硬化)させてから、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)あるいはそれらの溶液と接触させた後、光照射を行なう方法が、賦形物の平滑性が向上するので、好ましい。予備硬化が過剰であると、成型物の表面に導入される親水基の量が減じるため、光重合性樹脂組成物(A)の重合性官能基が残留している程度に止める必要があるが、その最適条件は簡単な実験により求めることができる。予備硬化は窒素雰囲気中で短時間で行なうこともできるが、光重合性樹脂組成物(A)が完全重合しない性質を利用して、重合阻害を受けやすい空気中で短時間不完全硬化させる方法が好ましい。
【0064】
本発明の製造方法で使用する活性光線としては、紫外線、可視光、赤外光を挙げられる。これらの活性光線の中でも、重合硬化速度の点から紫外線、可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線の波長が短すぎると、光重合開始剤の非存在下でも重合する親水性モノマー及び/又はオリゴマーが多くなり、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の選定範囲を狭めることになるため、主たる波長が300nm以上であるが好ましく、350nm以上であることが特に好ましい。活性光線の他に、電子線、エックス線、γ線等のエネルギー線の使用も可能であるが、支持体成形物に結合しない親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)重合体の発生量を減じるためには活性光線が最も好ましい。照射する活性光線の強度は、1〜5000mW/cm2 の範囲が好ましく、10〜2000mW/cm2 の範囲が特に好ましい。また、重合硬化速度を速め、重合を完全に行う目的で、光照射を不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)を水、水溶性溶剤、界面活性剤もしくはそれらの混合物に溶解したものを用いる場合は、これらに溶解している酸素を除去しておくことが好ましい。モノマー及び/又はオリゴマー(a)もまた溶存酸素を除去しておくことが好ましい。
【0065】
光重合時の温度は特に制約されないが、70℃程度までの範囲では、温度は高い方が成形物の親水性が増加するので好ましい。作業条件をも考慮すると、室温〜50℃程度の範囲が好ましい。勿論、光照射による硬化は、回分式で行っても良く、連続式で行っても良い。光照射による硬化を回分式で行なう場合、賦形した後、そのまま光照射して予備硬化させ、次いで得られた予備硬化物を親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)と接触させて再び光照射し、本硬化させても良い。
【0066】
支持体成形物が多孔質体である場合のように、重合硬化後の成形物中の未反応物、重合開始剤等の除去が必要な場合には、洗浄、乾燥、吸引、置換等の方法を採用することができる。これらの残存物の除去後に、更に紫外線を照射(アフターキュア)することも可能である。また、光照射による硬化後や、残存物の除去後に熱処理することも可能である。熱処理により未反応モノマー、残存溶剤の完全除去などを計ることができる。
【0067】
本発明において、支持体成型物の表面に親水性層が形成されていることは、表面の水との接触角が低下することで判定できる。本発明の製造方法により製造される表面親水性成形物は、表面に該親水性層が形成されていない場合と比較して、水との接触角が5度以上低下することが好ましい。表面親水性成形物が、疎水性物質の吸着防止を要求される用途に使用される場合などには、水との接触角の低下の度合いは大きいほど好ましく、10度以上低下することが好ましく、20度以上低下することがさらに好ましい。またこの場合、本発明の表面親水性成形物の水との接触角の値は小さいほど好ましく、45度以下であることが好ましく、30度以下であることがさらに好ましく、10度以下であることが最も好ましい。しかしながら、選択吸着性や、生体適合性などの機能が求められる用途に使用される場合には、必ずしも水との接触角は低いほどよいとは限らない。
【0068】
本発明によって製造される表面親水性成形物における親水性層は、乾燥状態で厚み100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下で形成することができる。親水性層の厚みの下限は、分子寸法で規定されるため、特に限定する必要はない。厚みがこの値以上であると、膨潤時の寸法変化により表面から剥離し易くなる。親水性層の厚みは、上記範囲で用途目的に応じて設計できる。該親水性層は、該支持体成型物の全表面を覆っている必要はなく、例えば、分子寸法程度の大きさの間隙があってもよいし、また、フォトリソグラフなどの手法により、表面の必要部位のみを覆う構造であってもよい。
【0069】
本発明の製造方法で製造される表面親水性成形物において、親水性重合体は実質的に支持体成形物の表面のみに存在し、内部には、例えば、共重合、ブレンドなどの状態で存在しないことが好ましい。支持体成形物が多孔質体の場合には、支持体成形物の内部とは支持体成形物を構成する樹脂内部のことを言い、細孔の表面は支持体成形物表面と見なす。支持体成形物が表面親水性層とは異なるポリマーで構成されていることで、特に湿潤状態において、支持体の物性低下が生じない。
【0070】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、夫々「重量部」及び「重量%」を表わす。
【0071】
[測定項目の定義]
以下の例中の測定は、次の方法に従って行った。
(1)水接触角の測定
表面親水性成形物の水接触角は、協和科学株式会社製の液滴法CA−D型接触角計を用いて測定した。
【0072】
(2)成形物表面の元素分析
親水化した成形物表面の元素成分は、X線励起による光電子分光法(ESCA)により測定した元素組成であり、全て原子の数の組成比である。測定は島津製作所製のX線光電子分析装置ESCA850型を用い、成形物表面と光電子検出器の角度(θ)が15゜の条件で行った。
【0073】
[実施例1]
「カヤラッドR−684」(ジシクロペンタニルジアクリレート、日本化薬株式会社製)98部及び「イルガキュアー184」(チバガイギー社製の光重合開始剤)2部を均一に混合して、光重合性樹脂組成物(A−1)を得た。
【0074】
一方、「ライトエステルDQ−75」(ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、共栄社化学株式会社製の親水性モノマー)1部及び蒸留水99部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−1)を得た。
【0075】
次に、光重合性樹脂組成物(A−1)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、親水性層形成材料(B−1)中に投入して、直ちに100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射した後、該ガラス板を取り出した。このようにして得た硬化物をエタノール中に20分間浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の表面親水性成形物を得た。
【0076】
表面親水性成形物の表面について水接触角の測定ならびに元素分析を行った結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。また、比較例1及び比較例2に示したように、本表面親水性成型物の支持体成型物は20℃の水によって膨潤しなかった。
【0077】
なお、本実施例で用いた親水性モノマー(「ライトエステルDQ−75」)の元素比はC:O:N=75:18:8であった。親水性モノマーの元素分析結果と上記成形物表面の元素分析結果とが近似しているほど、成形物表面に結合した親水基の量(親水性モノマーの量)が多く、表面の親水性化の程度が高いことを示している。
【0078】
また、親水性層形成材料(B−1)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0079】
[実施例2]
「ライトエステルDQ−75」(ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物)5部及び蒸留水95部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−2)を得た。
【0080】
実施例1において、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0081】
なお、親水性層形成材料(B−2)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0082】
[実施例3]
「ライトエステルDQ−75」(ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物)10部及び蒸留水90部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−3)を得た。
【0083】
次いで、実施例1で使用した光重合性樹脂組成物(A−1)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、空気中で100mW/cm2 の紫外線を3秒間予備照射して、親水性層形成材料(B−3)に投入し、更に100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射した後、該ガラス板を取り出した。このようにして得た硬化物を、エタノール中に20分間浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の表面親水性成形物を得た(実施例3−1)。さらに、親水性層形成材料(B−3)として、上記のようにして表面親水性成形物を作製し、ガラス板を取り出した後のものを再度使用した以外は、実施例3−1と同じ方法によって、計5枚の表面親水性成形物を作製し、それぞれ実施例3−1で作製した表面親水性成形物と同様の処理を行った。
【0084】
このようにして得た1枚目(実施例3−1)と5枚目(実施例3−2)の表面親水性成型物の表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みはいずれも10μm以下であった。
【0085】
なお、親水性層形成材料(B−3)に、100mW/cm2 の紫外線の40秒間照射を5回繰り返しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、親水性モノマーの重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0086】
この結果及び表1に示されたように1枚目と5枚目で親水性の程度が変わらないことから、親水性層形成材料中に存在する親水性モノマーの一部分のみが表面親水性成形物の表面に固定され、親水性層形成材料は繰り返し使用が可能であることがわかる。
【0087】
[実施例4]
「ライトエステルDQ−75」(ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物)10部、蒸留水89.5部及び界面活性剤〔ポリエチレングリコール(n=10)モノラウレート〕0.5部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−4)を得た。
【0088】
実施例1において、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0089】
なお、親水性層形成材料(B−4)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0090】
[実施例5]
「ニューフロンティアBPE−4」(ジエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、第一工業製薬株式会社製)98部及び「イルガキュアー184」(光重合開始剤)2部を均一に混合して、光重合性樹脂組成物(A−5)を得た。
【0091】
一方、「ライトエステルPA」〔モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、共栄社化学株式会社製の親水性モノマー〕5部及び蒸留水95部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−5)を得た。
【0092】
実施例1において、光重合性樹脂組成物(A−1)に代えて、光重合性樹脂組成物(A−5)を使用し、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−5)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、この表面親水性成型物の支持体成型物は20℃の水によって膨潤しなかった。また、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0093】
なお、本実施例で用いた親水性モノマー(「ライトエステルPA」)の元素比は、C:O:P=42:50:8であった。
【0094】
また、親水性層形成材料(B−5)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0095】
[実施例6]
「DMAA」(N,N−ジメチルアクリルアミド、株式会社興人製の親水性モノマー)11部及び蒸留水89部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−6)を得た。
【0096】
実施例1において、光重合性樹脂組成物(A−1)に代えて、実施例5で使用した光重合性樹脂組成物(A−5)を使用し、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−6)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0097】
なお、本実施例で用いた親水性モノマー(「DMAA」)の元素比は、C:O:N=72:14:14であった。
【0098】
また、親水性層形成材料(B−6)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0099】
[実施例7]
実施例1において、光重合性樹脂組成物(A−1)に代えて、実施例5で使用した光重合性樹脂組成物(A−5)を使用し、親水性層形成材料(B−1)に代えて、実施例6で使用した親水性層形成材料(B−6)を50℃に加熱して使用した以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0100】
なお、50℃に加熱した親水性層形成材料(B−6)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0101】
[実施例8]
(6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシドの合成)
ブチルグルコシド1部、メチルアクリレート95部(重合禁止剤として少量のメトキシフェノールを含む)、リパーゼQL(Alcalingenes sp. 、名糖産業製)1重量部を、副生成物除去槽としてモレキュラーシーブ(4Aタイプ)を充填した装置を使用して、反応温度80℃で8時間攪拌反応した。反応中、ブチルグルコシド及び酵素を1時間おきに1重量部ずつ4時間目まで4回に分けて添加し、ブチルグルコシド及び酵素ともに合計5%ずつ加えた。8時間反応後、目的の6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシドが収率28%で生成した。
【0102】
反応溶液を冷却後、濾別によって酵素、未反応基質を除去した後、減圧下に未反応メチルアクリレートを除いて、目的とする6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシドを精製した。
【0103】
(親水性層形成材料の調製)
6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシド(分子中に糖骨格を有する親水性モノマー、以下、「ABG」と省略する。)10部及び蒸留水90部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−8)を得た。
【0104】
(表面親水性成型物の調製)
実施例1において、光重合性樹脂組成物(A−1)に代えて、実施例5で使用した光重合性樹脂組成物(A−5)を使用し、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−8)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0105】
なお、本実施例で用いた親水性モノマー(6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシド)の元素比は、C:O=65:35であった。
【0106】
また、親水性層形成材料(B−8)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0107】
[実施例9]
2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)とアスパラギン酸(Asp)から合成したアミノ酸骨格を有するモノマー(N−メタクリロイルオキシエチルカルバミン酸アスパラギン酸、以下、「MOI−Asp」と省略する。)10部と2ープロパノール70部、蒸留水30部を均一に混合して、親水性層形成材料(B−9)を得た。
【0108】
実施例1において、光重合性樹脂組成物(A−1)に代えて、実施例5で使用した光重合性樹脂組成物(A−5)を使用し、親水性層形成材料(B−1)に代えて、親水性層形成材料(B−9)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物を製造し、その表面について水接触角の測定並びに元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0109】
なお、本実施例で用いた親水性モノマー(MOI−Asp)の元素比は、C:O:N=55:35:10であった。
【0110】
また、親水性層形成材料(B−9)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射しても、水溶液中に硬化物又はゲル化物が析出することはなかった。また、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーはほぼ同濃度で存在しており、重合物の生成量は無視しうる量であった。
【0111】
[比較例1]
実施例1で使用した光重合性樹脂組成物(A−1)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、水に投入して、直ちに100mW/cm2 の紫外線を40秒照射した後、該ガラス板を取り出した。このようにして得た硬化物をエタノール中に20分浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の成形物を得た。
【0112】
このようにして得た塗膜状の成型物の表面について、水接触角の測定及び元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、この膜状成型物は20℃の水によって膨潤しなかった。
【0113】
[比較例2]
実施例1で使用した光重合性樹脂組成物(A−1)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫外線を40秒照射した。このようにして得た硬化物をエタノール中に20分浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の成形物を得た。
【0114】
このようにして得た塗膜状の成型物の表面について、水接触角の測定及び元素分析を行ない、その結果を表1に示した。
【0115】
[比較例3]
「カヤラッドR−684」(ジシクロペンタニルジアクリレート)70部、「NKエステルAM−90G」(メトキシノナエチレングリコールアクリレート、新中村化学工業株式会社製の親水性モノマー)30部及び「イルガキュアー184」(光重合開始剤)2部を均一に混合して、親水性モノマーを混合した光重合性樹脂組成物(A′−3)を得た。
【0116】
光重合性樹脂組成物(A′−3)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫外線を40秒照射した。このようにして得た硬化物をエタノール中に20分浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の成形物を得た。
【0117】
このようにして得た塗膜状の成型物の表面について、水接触角の測定及び元素分析を行ない、その結果を表1に示した。
【0118】
なお、本比較例で用いた親水性モノマー(「NKエステルAM−90G」)の元素比は、C:O=67:33であった。また、本比較例で用いた光重合性樹脂組成物(A′−3)は、水中では相分離を起こすため、水中で重合硬化させることはできなかった。更に、得られた成形物は、水に浸漬させると数倍に膨潤した。
【0119】
[比較例4]
「カヤラッドR−684」(ジシクロペンタニルジアクリレート)70部、「ライトエステルDQ−75」(ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物)30部及び「イルガキュアー184」(光重合開始剤)2部を均一に混合して、親水性モノマーを混合した光重合性樹脂組成物(A′−4)を得た。
【0120】
光重合性樹脂組成物(A′−4)をガラス板に厚さ250μmのコーターで塗布し、窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫外線を40秒照射した。このようにして得た硬化物をエタノール中に20分浸漬し、次いで、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、塗膜状の成形物を得た。
【0121】
このようにして得た塗膜状の成型物の表面について、水接触角の測定と元素分析を行ない、その結果を表1に示した。
【0122】
なお、本比較例で用いた光重合性樹脂組成物(A′−4)は、水中では相分離を起こすため、水中で重合硬化させることはできなかった。また、得られた成形物は、水に浸漬させると数倍に膨潤した。
【0123】
[比較例5]
実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)100部に「ダロキュアー953」(メルク社製の光重合開始剤)2部を加えて親水性層形成材料(B′−2)を得た。
【0124】
実施例3において、親水性層形成材料(B−3)に代えて、親水性層形成材料(B′−2)を使用した以外は、実施例3と同様にして、塗膜状の表面親水性成形物5枚を製造し、1枚目(比較例5−1)と5枚目(比較例5−2)について水接触角の測定並びに表面の元素分析を行ない、その結果を表1に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは、走査型電子顕微鏡による該塗膜の破断面観察では確認できない程度に薄いもの(1μm以下)であった。
【0125】
実施例3との比較から、親水性層形成材料が光重合開始剤を含有すると、表面親水性成形物の表面親水性の程度が劣ったものとなること、並びに表面親水性の程度は作製枚数が多くなるほど低下することが分かる。
【0126】
なお、親水性層形成材料(B′−2)に、100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射した後、この水溶液をGPC測定したところ、水溶液中の親水性モノマーの約35%は平均分子量約3000のオリゴマーになっていることが確認された。即ち、親水性モノマー(b)の多くは支持体成形物に結合することなく、重合して消費されるため、親水性層形成材料を繰り返し使用することができないことが明らかである。
【0127】
[比較例6]
窒素雰囲気中での紫外線の照射時間が40秒であること以外は実施例3−1と同様の方法で塗膜状の成形物を得た。
【0128】
このようにして得た塗膜状の成型物の表面について、水接触角の測定及び元素分析を行ない、その結果を表1に示した。
【0129】
比較例6で得た成型物の表面状態は、窒素気流中のみで硬化させた比較例2の結果とほぼ一致していた。予備硬化を、光重合性樹脂組成物(A)が完全に硬化するほど行なうと、塗膜状の成型物の表面は親水化されないことが明らかである。
【0130】
【表1】
Figure 0003753502
【0131】
表中、ABGは、6−アクリロイル(1−O−)n−ブチルグルコシドを示し、MOI−Aspは、N−メタクリロイルオキシエチルカルバミン酸アスパラギン酸を示す。
【0132】
表1に示した実施例1〜3の結果から、親水性層形成材料中の親水性モノマー(ライトエステルDQ−75)の濃度を増加させることにより、成形物表面の元素分析結果が親水性モノマーの元素比と近くなり、成形物表面に結合した親水基の量が増え、親水性も著しく増加して水接触角が小さくなることが理解できる。
【0133】
また、実施例3及び4の結果から、親水性層形成材料中に界面活性剤を含有させることによって、より親水性の高い表面が得られることが理解できる。更に、実施例6及び7の結果から、重合硬化時の温度を上げることにより成形物表面の親水基の結合量が増えることが理解できる。
【0134】
[実施例10]
1分子内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー(商品名「ユニディックV−4263」、大日本インキ化学工業株式会社製)75部、ジシクロペンタニルジアクリレート(商品名「カヤラッドR−684」、日本化薬株式会社製)25部及び「イルガキュアー184」(光重合開始剤)2部を均一に混合して、光重合性樹脂組成物(A−10)を得た。
【0135】
次に、孔径2mmの芯材吐出部を中心に有し、その外側に内径5mm、スリット幅1.5mmの円環吐出部を有するノズル使用し、芯材吐出部から光重合性樹脂組成物(A−10)を18ml/分の吐出量で押し出すと共に、円環吐出部から実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)を25ml/分の吐出量で空気中に押し出した。これらは、糸状の光重合性樹脂組成物(A−10)の外周面に親水性層形成材料(B−3)が接した状態で押し出されており、これらがノズル下30〜60cmの範囲に達したところで、強度1200mW/cm2 の紫外線を照射した。紫外線を照射した後、エタノール中に20分間浸漬し、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、直径1.6mmの糸状の表面親水性成形物を得た。
【0136】
このようにして得た表面親水性成型物の表面について水接触角の測定と元素分析を行ない、その結果を表2に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0137】
[実施例11]
中央にスリット幅1.0mm、長さ25mmの内部スリット状吐出部を有し、その外側にスリット幅1.5mm、長径30mm、短径5mmの略楕円環状吐出部を有するノズルを使用し、内部スリット状吐出部から実施例10で使用した光重合性樹脂組成物(A−10)を18ml/分の吐出量で押し出すと共に、略楕円環状吐出部から実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)を30ml/分の吐出量で空気中に押し出した。これらは、帯状の光重合性樹脂組成物(A−10)の外周面に親水性層形成材料(B−3)が接した状態で押し出されており、これらがノズル下30〜60cmの範囲に達したところで、強度1200mW/cm2 の紫外線を照射した。紫外線を照射した後、エタノール中に20分間浸漬し、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、幅20mm、厚さ0.8mmの帯状の表面親水性成形物を得た。
【0138】
このようにして得た表面親水性成型物の表面について水接触角の測定と元素分析を行ない、その結果を表2に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0139】
[実施例12]
「ユニディックV−4263」(1分子内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー、大日本インキ化学工業株式会社製)67.5部、「カヤラッドR−684」(ジシクロペンタニルジアクリレート)22.5部、「NKエステルAM−90G」(メトキシノナエチレングリコールアクリレート、新中村化学工業株式会社製の親水性モノマー)10部、カプリン酸メチル(貧溶剤)180部及び「イルガキュアー184」(光重合開始剤)4部を均一に混合し、光重合性樹脂組成物(A−12)を得た。
【0140】
次に、内径0.16mmの円筒状ノズルより光重合性樹脂組成物(A−12)を22ml/分の吐出量で空気中に液滴状に押し出し、ノズル下30〜60cmの範囲に落ちてきたところに強度1200mW/cm2 の紫外線を照射して、乳白色のビーズ状の予備硬化物を得た。この予備硬化物をビーカー中の実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)に入れ、ビーカーの上から、再び強度100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射して光重合・硬化させて、直径0.45mmのビーズを得た。
【0141】
このようにして得たビーズをエタノール中に60分間浸漬し、流水で3時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、直径0.4mmの白色ビーズ状多孔質体を得た。
【0142】
このようにして得た多孔質体の表面について水接触角の測定と元素分析を行なった。多孔質のため、水が細孔に吸収され、水接触角は測定できなかった。元素分析の結果を表2に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0143】
[実施例13]
孔径2mmの芯材吐出部を中心に有し、その外側に内径5mm、スリット幅1.5mmの円環吐出部を有するノズル使用し、芯材吐出部から実施例12で使用した光重合性樹脂組成物(A−12)を12ml/分の吐出量で押し出すと共に、円環吐出部から実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)を25ml/分の吐出量で空気中に押し出した。これらは、糸状の光重合性樹脂組成物(A−12)の外周面に親水性層形成材料(B−3)が接した状態で押し出されており、これらがノズル下30〜60cmの範囲に達したところで、強度1200mW/cm2 の紫外線照射した。紫外線を照射した後、エタノール中に20分間浸漬し、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、直径1.6mmの白色糸状の多孔質体を得た。
【0144】
このようにして得た多孔質体の表面について水接触角の測定と元素分析を行なった。多孔質のため、水が細孔に吸収され、水接触角の測定はできなかった。元素分析の結果を表2に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0145】
[実施例14]
1分子内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー(商品名「ユニディックV−4263」、大日本インキ化学工業株式会社製)3.75部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「カヤラッドHDDA」、日本化薬株式会社製)1.25部、「イルガキュアー184」(光重合開始剤)0.1部及びアセトン95部を均一に混合して、光重合性樹脂組成物(A−14)を得た。
【0146】
次に、直径60mmの円形状に切り抜いた厚さ0.15mmのポリエチレンテレフタレート(PET)製不織布(「MF−90」、日本バイリーン株式会社製)を光重合性樹脂組成物(A−14)に浸漬し、超音波を1分間照射して光重合性樹脂組成物(A−14)を不織布の繊維の間に浸透させた後、不織布を取り出し、室温でアセトンを揮発させて、光重合性樹脂組成物(A−14)で繊維表面をコーティングされた不織布を得た。
【0147】
この不織布を実施例3で使用した親水性層形成材料(B−3)に浸漬し、直ちに100mW/cm2 の紫外線を40秒間照射した。紫外線を照射した後、該不織布を取り出し、エタノール中に20分間浸漬し、流水で1時間洗浄した後、一晩自然乾燥させて、親水化不織布を得た。
【0148】
このようにして得た浸水化不織布の表面について水接触角の測定と元素分析を行った。未処理の不織布では水滴が吸収されないが、親水化不織布は、多孔質のため、水が細孔に吸収され、水接触角の値は測定できなかった。元素分析の結果を表2に示した。なお、得られた表面親水性成型物の表面親水性層の厚みは10μm以下であった。
【0149】
【表2】
Figure 0003753502
【0150】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって得られる表面親水性成型物は、成形物内部に親水基が存在しないので、成形物の膨潤が起こらず、成形物本来の構造、物性等を損なうことがなく、しかも、親水基の離脱が起こらないという利点がある。また、本発明の表面親水性成形物の製造方法によれば、成形物の表面にのみ親水基が共有結合し、且つ成型物の表面に結合する親水基の種類や密度を容易に制御することができる。更に、本発明の表面親水性成型物の製造方法によれば、成形性が高く、任意の形状の成形物を作ることができる。更にまた、本発明の表面親水性成型物の製造方法によれば、親水化の目的のみならず、表面に機能性置換基を有する成形物を容易に製造することができる。

Claims (16)

  1. 活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と光重合開始剤とを必須成分として含む光重合性樹脂組成物(A)を賦形し、得られた未硬化の賦形物を、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)からなり、光重合開始剤を含まない親水性層形成材料(B)と接触させた状態で、これらに活性光線を照射することによって、未硬化の賦形物を硬化させると共に、未硬化の賦形物と親水性層形成材料(B)との界面において、光重合性樹脂組成物(A)中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の一部とを共重合させる表面親水性成型物の製造方法であって、モノマー及び/又はオリゴマ−(a)は、重合開始剤の存在下又は不存在下で使用する活性光線によって重合可能であり、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマ−(b)は、重合開始剤の存在下では、使用する活性光線によって重合可能であるが、重合開始剤の不存在下では、使用する活性光線によって重合しない、という条件を満足するモノマー及び/又はオリゴマ−(a)、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマ−(b)及び活性光線を使用することを特徴とする表面親水性成型物の製造方法(但し、上記活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)は、重量平均分子量5000〜50000の重合性不飽和基を有する高分子を除く)
  2. 光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物を、親水性層形成材料(B)中に浸漬させた状態で、これらに活性光線を照射する請求項1記載の製造方法。
  3. 光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物が、親水性層形成材料(B)に溶解しないものである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物に活性光線を照射して賦形物中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)を不完全に硬化させた後、完全に硬化していない賦形物を親水性層形成材料(B)と接触させた状態で、これらに活性光線を照射することによって、完全に硬化していない賦形物を硬化させると共に、完全に硬化していない賦形物と親水性層形成材料(B)との界面において、光重合性樹脂組成物(A)中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)と親水性層形成材料(B)中の親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の一部とを共重合させる請求項1記載の製造方法。
  5. 光重合性樹脂組成物(A)からなる未硬化の賦形物に活性光線を照射して賦形物中のモノマー及び/又はオリゴマー(a)を不完全に硬化させた後、完全に硬化していない賦形物を、親水性層形成材料(B)中に浸漬させた状態で、これらに活性光線を照射する請求項4記載の製造方法。
  6. 光重合性樹脂組成物(A)が、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)と相溶するが、活性光線により重合可能なモノマー及び/又はオリゴマー(a)から成る重合硬化物を溶解又は膨潤させない成分を含有する請求項1、2、3、4又は5記載の製造方法。
  7. 親水性層形成材料(B)が、親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液である請求項1、2、3、4、5又は6記載の製造方法。
  8. 親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液が、界面活性剤を含有する請求項7記載の製造方法。
  9. 親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)の水溶液中の親水性モノマー及び親水性オリゴマー(b)の合計の濃度が0.5〜50重量%の範囲にある請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が、親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の製造方法。
  11. 親水性モノマー及び/又は親水性オリゴマー(b)が、一分子中に重合可能なアクリロイル基を1つ有するものである請求項10記載の製造方法。
  12. 親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーが、分子中にアミノ酸骨格を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は分子中にアミノ酸骨格を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである請求項11記載の製造方法。
  13. 親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は親水性の官能基を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーが、分子中に糖骨格を有する(メタ)アクリル系のモノマー及び/又は分子中に糖骨格を有する(メタ)アクリル系のオリゴマーである請求項11記載の製造方法。
  14. 成形物の上に光重合樹脂組成物(A)を塗膜状に賦形する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の製造方法。
  15. 光重合性樹脂組成物(A)を糸状又は中空糸状に賦形する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の製造方法。
  16. 光重合性樹脂組成物(A)をビーズ状に賦形する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の製造方法。
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