JP3753318B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部にコンデンサ機能を備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の配線基板の構成を示す断面図である。図7において、従来の配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に複数形成された導電性の第1電極103とを有する第1電極形成基板104を備えている。また、配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された導電性の第2電極106とを有する第2電極形成基板107を備えている。この第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板101は、第1電極形成基板104と第2電極形成基板107との間に介在した誘電体の誘電部108を備えている。
【0003】
このように構成された配線基板101は、この配線基板101の内部で第1電極103と第2電極106とが誘電部108を介して対向して配置されて、平行板コンデンサとしての構成をとることができるので、その分だけ配線基板101上にコンデンサを配置する必要がなくなり、配線基板101を小型化できるというメリットがある。
【0004】
次に、この配線基板101の製造方法について説明する。図8乃至図10は、配線基板101を製造する手順を示す模式図である。まず、第1基板102上に複数の第1電極103を形成して第1電極形成基板104を形成する。次に、第1電極形成基板104の第1電極103側に誘電性シート109を重ねてから、金属箔110をその上に重ねる(図8)。誘電性シート109は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、所定の温度で溶融しさらに温度が上昇すると硬化するものである。その後、徐々に温度を上昇させて誘電性シート109を溶融させながら、積層された第1電極形成基板104、誘電性シート109及び金属箔110をステンレス板で挟みつけて積層方向に押圧するが、金属箔110と第1電極103との間に所定の間隔ができるように押圧力を調整する。この調整は誘電性シート109が硬化するまで続ける。このようにして、誘電性シート109は、第1電極形成基板104及び金属箔110に密着した誘電部108として形成される(図9)。その後、金属箔110をエッチングし、第2電極106を形成する(図10)。最後に、例えばガラスエポキシ基材を加熱して溶融し誘電部108の第2電極105側に第2基板106を形成して、図7に示す配線基板101を製造する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして配線基板101は製造されるが、このような製造方法では、誘電性シート109全体が溶融している状態で、第1電極形成基板104と金属箔110とが互いに近づく向きに押圧されるので、第1電極形成基板104及び金属箔110の外周部側では誘電性シート109が外に流出しやすく内部側に近づくにつれて逃げ場が少なくなり流出しにくくなる。従って、完成した配線基板101は、第1電極103及び第2電極106間における誘電部108の厚さがその配線基板101の外周部側で小さく内部側で大きくなる傾向にある。このことから、互いに対向する第1電極103及び第2電極106の面積が同一であっても、配線基板101の外周部側と内部側とで間に介在する誘電部108の厚さが異なるので、それらのコンデンサとしての容量値も異なる。特に、このコンデンサの容量を大きくするために第1電極103と第2電極106との間の距離(以下、電極間距離という)が小さくなっていると、それだけ電極間距離の差がコンデンサの容量に大きく影響するため、この配線基板101の外周部側と内部側とでコンデンサ容量が大きく異なって、配線基板101内の各箇所で容量値のばらつきが大きくなるという問題点があった。
さらに、例えば第1電極103と金属箔110との間に異物が介在していたり、直接第1電極103と金属箔110とが接触したりして、配線基板101において第1電極103と第2電極106とが短絡した状態となり、コンデンサとしての機能を果たさなくなる虞もあるという問題点もあった。
【0006】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、内部の電極間距離が一定であるとともに、第1電極と第2電極との短絡を防止する配線基板を製造するための配線基板の製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜上に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は前記第1電極及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【0008】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1電極及び前記誘電体膜の間、前記第1電極に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【0010】
また、前記接着用絶縁膜の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さくなっている。
【0011】
また、前記第1絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さ及び前記第2絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さの合計は、前記第1電極の厚さよりも小さくなっている。
【0012】
また、前記接着用絶縁膜は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、前記熱圧着工程における重量減少が1%未満である。
【0013】
また、前記熱圧着工程においては、互いに対向する圧着板が互いに近づく向きに移動することにより、前記導電体膜及び前記第1電極が前記押圧されるようになっており、前記熱圧着工程の前に、前記熱圧着工程において用いられる互いに対向する圧着板の弾性率よりも低い弾性率の仮圧着板により互いに近づく向きに前記導電体膜及び前記第1電極を押圧する仮熱圧着工程をさらに備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明するが、従来例のものと同一又は同等部材、部位は、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。図1において、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に形成された導電性の第1電極103とを有する第1電極形成基板104を備えている。また、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された導電性の第2電極106とを有する第2電極形成基板107を備えている。この第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板1は、第1電極形成基板104と第2電極形成基板107との間に介在した誘電性材料の誘電部2を備えている。誘電部2は、融点の異なる誘電体膜3と接着絶縁部4とを有している。
【0016】
第1電極形成基板104において、第1電極103は、例えば厚さ18μmで、第1基板102の平面上にその厚さの分だけ突出して形成されている。また、第1電極103は、間隔を置いて複数形成されており、各第1電極103間に凹部5が形成されている。
【0017】
第2電極形成基板107において、第2電極106は、例えば厚さ18μmで、第1電極形成基板104側の面を露出させて第2基板105に埋め込まれている。
【0018】
誘電体膜3は、例えば、6μmの一定の厚さで形成された誘電率3のポリフェニレンサルファイド膜であり、第1電極103及び第2電極106の間に介在する電極間部6と、各電極間部6の間を渡って設けられた渡り部7とから構成されている。この誘電体膜3は、可撓性であり、渡り部7が凹部5側に撓んで設けられている。
【0019】
接着絶縁部4は、誘電体膜3の第1電極形成基板104側に設けられた第1接着絶縁部4aと、誘電体膜3の第2電極形成基板107側に設けられた第2接着絶縁部4bとから構成されている。この接着絶縁部4の材質は、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂であり、誘電体膜3と第1電極形成基板104とを接着し、及び誘電体膜3と第2電極形成基板107とを接着している。第1接着絶縁部4aは、渡り部7と凹部5とで囲まれた空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第1電極形成基板104に接着している。第2接着絶縁部4bは、撓んでいる渡り部7と第2基板105との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第2電極106と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第2電極形成基板107に接着している。
【0020】
このような構成の配線基板1は、厚さが一定の電極間部6が第1電極103と第2電極106との間に介在し、しかも接着絶縁部4は、第1電極103と第2電極106との間に、電極間距離に影響を与えない程度に薄くしか介在していないので、電極間距離が電極間部6の厚さで決定され、従来例に比べて電極間距離が場所によって大きく異なることがなく、内部に構成されているコンデンサの容量のばらつきが抑制されている。
【0021】
次に、このような配線基板1の製造方法について説明する。図2乃至図5は、配線基板1の製造工程でのそれぞれの状態を示す模式図である。これら図2乃至図5に示すように、まず、第1基板102の例えば縦横340mmの平面上に例えば厚さ18μmの第1電極103を例えば第1基板102の平面の周囲部30mmを除き10mmおきにマトリックス状に784個従来と同様に形成して、第1電極形成基板104を形成する(第1電極形成基板工程、図2)。次に、例えば約150℃で溶融粘度が105P、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂の接着用絶縁膜である第1接着用絶縁膜10を第1電極形成基板104の第1電極103側に重ね(第1絶縁膜積層工程)、誘電体膜3をこの第1接着用絶縁膜10の上に重ねて(誘電体膜積層工程)、さらにその上に第1接着用絶縁膜10と同様の材質の接着用絶縁膜である第2接着用絶縁膜11を重ねる(第2絶縁膜積層工程)。ここで、第1接着用絶縁膜10の厚さは、第1電極103の厚さよりも小さい例えば10μmとなっており、第2接着用絶縁膜11の厚さは、例えば5μmとなっている。また、誘電体膜3の厚さは、上述のように例えば6μmとなっている。
その後、この第2接着用絶縁膜11の上に例えば厚さ18μmの銅箔である導電性の導電体膜12を重ねて(導電体膜積層工程)、図3に示す状態とする。
【0022】
その後、これら第1電極形成基板104、第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3、第2接着用絶縁膜11及び導電体膜12を第1電極形成基板104側と導電体膜12側とから圧着板であるステンレス板で挟んで互いに近づく向きに押圧する。このとき、押圧するとともに、昇温速度6℃/minで、約180℃即ち熱硬化性エポキシ樹脂が硬化する温度まで加熱している(熱圧着工程)。ここで、誘電体膜3の材質は、この熱圧着工程における最高温度でも溶融しない可撓性の材質となっており、例えば接着用絶縁膜が硬化する約180℃でも溶融しないポリフェニレンサルファイドである。これに対して、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜の材質は、この熱圧着工程において溶融し硬化する熱硬化性エポキシ樹脂である。従って、熱圧着工程において昇温していくと、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11のみが溶融する。
【0023】
また、第1電極103は、第1基板102にその厚さの分だけ突出して形成されているので、ステンレス板の挟み付ける押圧力は第1電極103と導電体膜12との間に存在する第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3及び第2接着用絶縁膜11に直接働く。このことから、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、昇温により溶融するとこの押圧力により第1電極103と導電体膜12との間から押し出される。このとき、第1接着用絶縁膜10は凹部5に流れ込み、第2接着用絶縁膜11は押し出される圧力により誘電体膜3が撓んで形成された空間に流れ込む。そして、約180℃まで昇温されて硬化し、第1接着用絶縁膜10は第1接着絶縁部4aとして形成され、第2接着用絶縁膜11は第2接着絶縁部4bとして形成される。この流れ込むスペースを確保するために、第1接着用絶縁膜10と第2接着用絶縁膜11との厚さの合計が第1電極103の厚さ、即ち凹部5の深さよりも小さくなるようにしている。即ち、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が第1電極103と導電体膜12との間からそれぞれ凹部5に流れ込み、誘電体膜3を撓ませて形成された空間に流れ込むことで増加する厚さの分だけ第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計が第1電極103の厚さより小さくなっている。従って、第1電極103の第1基板102の平面に占める面積率が大きいと第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計は第1電極103の厚さに比べて大きく差をつける必要があり、逆に面積率が小さいとその差を小さくする必要がある。また、第2接着用絶縁膜11は、その厚さが大きいほど誘電体膜3を大きく撓ませることとなり、誘電体膜3に負担をかけて寿命等に影響を及ぼす可能性があるので、誘電体膜3を大きく撓ませない適切な厚さとする。導電体膜12この第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、第1電極103と導電体膜12との間からすべて押し出されるわけではなく、接着のために必要な極めて薄い層だけは残っている。
【0024】
誘電体膜3は、この熱圧着工程においては溶融しないので、第1電極103と導電体膜12との間には厚さを一定に保ったまま電極間部6として残り、溶融した第2接着用絶縁膜11の圧力で撓んで各電極間部6の間で渡り部7として形成され、図4に示す状態となる。
【0025】
その後、導電体膜12をエッチング等により第1電極103に対向する箇所に残して第2電極106として形成して(第2電極形成工程)、図5に示す状態とする。最後に、誘電体膜3の第2電極106側に従来例と同様にして第2基板105を形成して、第2電極形成基板107を形成し(第2電極形成基板工程)、図1に示す配線基板1を製造する。
【0026】
従って、上記のような構成の配線基板1を容易に製造することができ、しかも例えば第1電極103と第2電極106との間に異物が混入しても第1電極103と第2電極106とが短絡する可能性も極端に小さくなる。
【0027】
なお、第1電極形成基板工程及び導電体膜積層工程において、第1電極103及び導電体膜12は、当然のことながら、銅以外の金属、例えば亜鉛、ニッケル、金、銀、アルミニウムあるいはそれらの合金、又はポリチオフェンに代表される導電性高分子等、導電性があれば何でも構わない。また、第1電極103及び導電体膜12の形成方法も、気相法あるいは導電性のペーストを塗布して焼成する方法等、どのような方法でも構わない。
【0028】
また、第2電極形成工程において、第1電極103と第2電極106とが互いに対向している部分でしか内部コンデンサとしての機能を果たさないことから、各第1電極103間の凹部5に対向する導電体膜12は、そのまま残しても除去してもどちらでも構わない。
【0029】
また、熱圧着工程において、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が溶融して第1電極形成基板104、誘電体膜3及び導電体膜12が圧着されればよいので、真空熱プレスあるいはラミネータ等のどのような方法を用いても構わない。
【0030】
また、各工程の順番は、配線基板1が形成できるのであれば、どのように入れ替えてもよく、例えば誘電体膜積層工程及び第2絶縁膜積層工程の後に第1絶縁膜積層工程を行ってもよい。
【0031】
この実施の形態における配線基板1の内部コンデンサは、1kHzにおける容量密度が平均値で理論値に近い4.3pF/mm2で、この容量密度の標準偏差が0.2pF/mm2であった。比較例として、従来例の方法で誘電性シート109を溶融して誘電部108が形成された配線基板101は、784個の第1電極103のうち21個が第2電極106と短絡してコンデンサとしての機能を果たさず、残りの内部コンデンサの1kHzにおける容量密度が平均値で4.0pF/mm2で、この容量密度の標準偏差が2.3pF/mm2であった。従って、配線基板1は、内部コンデンサを確実に形成し、その容量値も従来例よりも所望の値により近づけることができることが確認された。また、配線基板1は、内部コンデンサの容量密度のばらつきも従来例よりも小さいことが確認された。
【0032】
ここで、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11(以下、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11を総称して絶縁膜という)は、熱圧着工程において溶融するが、このときに水分等が蒸発して、形成された接着絶縁部4の重量は絶縁膜の合計重量よりも小さくなっている。この重量減少が配線基板1に及ぼす影響を以下のようにして調べた。即ち、重量減少を強制的に行うために熱硬化性エポキシ樹脂にブチルカルビトールをさまざまな重量比で混入してそれぞれ絶縁膜を作製し、これら絶縁膜を熱圧着工程で用いて調べることとした。
【0033】
表1に、ブチルカルビトールの混入率と熱圧着工程での重量減少率との関係を示す。表1に示すように、ブチルカルビトールの混入率が大きくなるほど重量減少率が大きくなっていることが分かる。これらの絶縁膜を用いて製造された配線基板1をそれぞれ雰囲気温度30℃、相対湿度70%の環境下に168時間(7日間)あるいは500時間放置した。その後、はんだ付け状態を仮想して280℃のはんだ浴槽に10秒間浸し、絶縁膜が溶融して形成された接着絶縁部4が配線基板1に及ぼす影響を調べた。
【0034】
【表1】
【0035】
その結果、放置時間が168時間の場合には、いずれの絶縁膜を用いて製造された配線基板1にも何の変化も現れなかったが、放置時間が500時間の場合には、重量減少率が1.0%以上の絶縁膜を用いて製造した配線基板1内で、誘電体膜3と接着絶縁部4との間に剥離が発生していた。従って、絶縁膜は、熱圧着工程での重量減少率が1.0%未満であることが望ましい。
【0036】
また、熱圧着工程における絶縁膜の溶融粘度も、第1電極103と導電体膜12との間から押し出されてしまうまでの時間と溶融した絶縁膜が硬化するまでの時間との関係で、完成した配線基板1の電極間距離に大きな影響を与える。即ち、絶縁膜の溶融粘度が大きいと、絶縁膜が溶融して第1電極103と導電体膜12との間から押し出されてしまうまでに長時間を要し、途中で硬化してしまうことがあり得る。この絶縁膜の溶融粘度が電極間距離に及ぼす影響を以下のようにして調べた。即ち、最低溶融粘度を異ならせるために、さまざまな温度で1時間オーブンに入れて硬化反応を進めて前処理をあらかじめ行った絶縁膜をそれぞれ熱圧着工程で用いて調べることとした。
【0037】
表2に、前処理の温度、その絶縁膜の熱圧着工程における最低溶融粘度、及びその絶縁膜を用いて製造された配線基板1における電極間距離の関係を示す。表2に示すように、前処理の温度が高くなると最低溶融粘度が大きくなることが分かる。また、これらの絶縁膜を用いて製造された配線基板1の電極間距離は、最低溶融粘度が1×109P以下であれば、この熱圧着工程での昇温速度6℃/minであっても、所望の電極間距離が得られることが分かる。昇温速度を小さくすることによって最低溶融粘度がより大きな絶縁膜を用いることもできるが、配線基板1の製造時間が長くなるので、絶縁膜は熱圧着工程における最低溶融粘度が1×109Pであることが望ましい。
【0038】
【表2】
【0039】
また、第1接着用絶縁膜10の厚さは、第1電極103の厚さとの関係で、凹部5において第1電極形成基板104と誘電体膜3との間に隙間が発生することを防止するために、凹部5に流れ込んだ溶融した第1接着用絶縁膜10がこの凹部5を満たす程度の厚さ(例えば10μm)であることが望ましいが、この厚さよりも第1接着用絶縁膜10の厚さが小さくても押圧力の印加の仕方により、問題なく完成した配線基板1において第1接着絶縁部4aが誘電体膜3と第1電極形成基板104とを接着した状態とすることができる。即ち、熱圧着工程の前に、ステンレス板よりも弾性率の低い仮圧着板で、第1電極形成基板104に第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3、第2接着用絶縁膜11及び導電体膜12が重ねられたものを仮圧着する(仮圧着工程)ことにより、さらに配線基板1における第1接着絶縁部4aの接着状態の確実性が増加する。これは、仮圧着板が低弾性率であるので、仮圧着板が変形し、ステンレス板による押圧よりも凹部5に対応する箇所に大きな押圧力を与えることができることによる。
例えば、仮圧着工程において、仮圧着板の材質をダイヤフラムゴムとし、真空ラミネータにより100℃で3分間仮圧着を行う。あるいは、仮圧着工程において、仮圧着板の材質をシリコンゴムとし、真空熱プレスにより最高温度を100℃として3分間仮圧着を行う。このような仮圧着工程が熱圧着工程の前に備えられた結果、例えば厚さが5μmあるいは7μmのどちらの第1接着用絶縁膜10を用いても、問題なく配線基板1を製造することができた。従って、第1接着用絶縁膜10の厚さが溶融したときに凹部5を満たすだけの厚さよりも小さい場合であっても、凹部5における誘電体膜3と第1電極形成基板104との間に空間が発生せずに配線基板1を製造することができ、配線基板1の製造における歩留まりが向上する。
なお、このような仮圧着工程は、複数あってもよいし、その都度、仮圧着板の弾性率を上昇させていっても構わない。
【0040】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。図6において、配線基板21は、第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107の間に介在した誘電部22を備えている。誘電部22は、第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107の間に介在した誘電体膜23と、この誘電体膜23及び第1電極形成基板104の間にのみ存在する接着絶縁部24とから構成されている。接着絶縁部24は、実施の形態1の接着絶縁部4と同一材質である。また、接着絶縁部24は、誘電体膜23と凹部5との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と誘電体膜23との間に薄く介在して、誘電体膜23を第1電極形成基板104に接着している。即ち、配線基板21は、誘電部22が実施の形態1における配線基板1の第2接着絶縁部4bが存在しない構成となっているものである。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0041】
このような構成の配線基板21は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、誘電体膜23の撓みが無くなるので、誘電体膜23の撓みによる負担が小さくなり寿命等が長くなる。
【0042】
次に、このような配線基板21の製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様にして、第1電極形成基板工程及び第1絶縁膜積層工程を経て、第1電極形成基板104に第1接着用絶縁膜10と同様の接着用絶縁膜を重ねた状態とする。一方、あらかじめ誘電体膜3と同様の材質である例えば厚さ6μmの誘電体膜23を図3における導電体膜12と同様の導電体膜に約270℃で熱圧着して誘電体膜23にこの導電体膜を形成しておく(導電体膜積層工程)。この導電体膜を積層した誘電体膜23を上記の第1電極形成基板104に重ねられた接着用絶縁膜に重ねて(誘電体膜積層工程)、実施の形態1と同様の熱圧着工程において、接着用絶縁膜が第1電極103と導電体膜との間から押し出されて接着絶縁部24として形成され、この接着絶縁部24及び誘電体膜23により誘電部22が形成される。
その後、実施の形態1と同様に、第2電極形成工程及び第2電極形成基板工程を経て、配線基板21が製造される。
【0043】
なお、導電体膜積層工程において、導電体膜に誘電体膜23を形成できればよいので、例えば、チタン酸バリウム粉末とレゾールタイプフェノール樹脂とを混ぜ合わせてペースト状にしたものをスクリーン印刷等により導電体膜に誘電体膜23として形成しても構わない。当然のことながら、このペーストは、チタン酸バリウム粉末及びレゾールタイプフェノール樹脂を材料とするものに限定されず、形成された誘電体膜23が所望の誘電性を有し熱圧着工程において溶融するものでなければ、どのような材料、例えば高誘電率のペロブスカイト構造を有する無機化合物あるいはセラミックス等を用いても構わない。
また、例えば、酸化ケイ素(SiO2)等の誘電性材料をCVD法、物理的気相法あるいはスパッタリング等によって導電体膜に形成しても構わない。
また、例えば、アルミニウム箔の片面を電気酸化、熱酸化あるいはオゾンによる酸化等及び封孔によって酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの混合物を誘電体膜23として形成し、残りのアルミニウム箔を導電体膜としても構わない。タンタル箔の片面を酸化して得られる酸化タンタルを誘電体膜23として形成しても構わない。
【0044】
なお、上記各実施の形態において製造された配線基板は、例えばスパイラルインダクタを第1電極103に電気的に接続してLCフィルタ及びバイパスコンデンサとして機能する回路を形成することにより、配線基板表面にチップコンデンサあるいはフィルタ素子を配置する必要がなくなり、従来例の配線基板101よりもさらに小型化した配線基板を得ることができる。その結果、携帯電話あるいはデジタルカメラ等の電子機器への適用も容易になる。
【0045】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜上に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は前記第1電極及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっているので、前記誘電体膜の撓みによる負担が小さいとともに容易に内部のコンデンサ容量のばらつきが小さい前記配線基板を製造することができる。
【0046】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1電極及び前記誘電体膜の間、前記第1電極に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっているので、前記熱圧着工程において一度に前記第1電極形成基板上に前記誘電部及び前記誘電体膜を形成でき、短時間で前記配線基板を製造することができる。
【0048】
また、前記接着用絶縁膜の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さくなっているので、前記熱圧着工程において前記接着用絶縁膜が容易に前記第1電極と前記導電体膜との間から押し出され、前記配線基板の前記第1電極と前記第2基板との間の距離をほぼ前記誘電体膜の厚さによって決定することができ、前記距離をほぼ均一にすることができる。
【0049】
また、前記第1絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さ及び前記第2絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さの合計は、前記第1電極の厚さよりも小さくなっているので、前記熱圧着工程において前記接着用絶縁膜が容易に前記第1電極と前記導電体膜との間から押し出され、前記配線基板の前記第1電極と前記第2基板との間の距離をほぼ前記誘電体膜の厚さによって決定することができ、前記距離をほぼ均一にすることができる。
【0050】
また、前記接着用絶縁膜は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、前記熱圧着工程における重量減少が1%未満であるので、前記誘電部が前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板を保持する信頼性が向上し、前記配線基板の使用状態における信頼性が向上する。
【0051】
また、前記熱圧着工程においては、互いに対向する圧着板が互いに近づく向きに移動することにより、前記導電体膜及び前記第1電極が前記押圧されるようになっており、前記熱圧着工程の前に、前記熱圧着工程において用いられる互いに対向する圧着板の弾性率よりも低い弾性率の仮圧着板により互いに近づく向きに前記導電体膜及び前記第1電極を押圧する仮熱圧着工程をさらに備えているので、多少前記接着用絶縁膜の厚さが適切な厚さよりも小さくても、前記誘電体膜と前記第1電極形成基板との間、及び前記誘電体膜と前記第2電極形成基板との間に空間が発生することなく前記配線基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図2】 第1電極形成基板工程後の状態を示す模式図である。
【図3】 第1絶縁膜積層工程、誘電体膜積層工程、第2絶縁膜積層工程、及び導電体膜積層工程後の状態を示す模式図である。
【図4】 熱圧着工程後の状態を示す模式図である。
【図5】 第2電極形成工程後の状態を示す模式図である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図7】 従来の配線基板の構成を示す断面図である。
【図8】 第1電極形成基板に誘電性シート及び金属箔を重ねた状態を示す模式図である。
【図9】 図8の状態のものを熱圧着した後の状態を示す模式図である。
【図10】 図9の状態の金属箔を第2電極として形成した後の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21 配線基板、2,22 誘電部、3,23 誘電体膜、4,24 接着絶縁部、4a 第1接着絶縁部、4b 第2接着絶縁部、10 第1接着用絶縁膜、11 第2接着用絶縁膜、12 導電体膜、102 第1基板、103 第1電極、104 第1電極形成基板、105 第2基板、106 第2電極、107 第2電極形成基板。
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部にコンデンサ機能を備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の配線基板の構成を示す断面図である。図7において、従来の配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に複数形成された導電性の第1電極103とを有する第1電極形成基板104を備えている。また、配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された導電性の第2電極106とを有する第2電極形成基板107を備えている。この第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板101は、第1電極形成基板104と第2電極形成基板107との間に介在した誘電体の誘電部108を備えている。
【0003】
このように構成された配線基板101は、この配線基板101の内部で第1電極103と第2電極106とが誘電部108を介して対向して配置されて、平行板コンデンサとしての構成をとることができるので、その分だけ配線基板101上にコンデンサを配置する必要がなくなり、配線基板101を小型化できるというメリットがある。
【0004】
次に、この配線基板101の製造方法について説明する。図8乃至図10は、配線基板101を製造する手順を示す模式図である。まず、第1基板102上に複数の第1電極103を形成して第1電極形成基板104を形成する。次に、第1電極形成基板104の第1電極103側に誘電性シート109を重ねてから、金属箔110をその上に重ねる(図8)。誘電性シート109は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、所定の温度で溶融しさらに温度が上昇すると硬化するものである。その後、徐々に温度を上昇させて誘電性シート109を溶融させながら、積層された第1電極形成基板104、誘電性シート109及び金属箔110をステンレス板で挟みつけて積層方向に押圧するが、金属箔110と第1電極103との間に所定の間隔ができるように押圧力を調整する。この調整は誘電性シート109が硬化するまで続ける。このようにして、誘電性シート109は、第1電極形成基板104及び金属箔110に密着した誘電部108として形成される(図9)。その後、金属箔110をエッチングし、第2電極106を形成する(図10)。最後に、例えばガラスエポキシ基材を加熱して溶融し誘電部108の第2電極105側に第2基板106を形成して、図7に示す配線基板101を製造する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして配線基板101は製造されるが、このような製造方法では、誘電性シート109全体が溶融している状態で、第1電極形成基板104と金属箔110とが互いに近づく向きに押圧されるので、第1電極形成基板104及び金属箔110の外周部側では誘電性シート109が外に流出しやすく内部側に近づくにつれて逃げ場が少なくなり流出しにくくなる。従って、完成した配線基板101は、第1電極103及び第2電極106間における誘電部108の厚さがその配線基板101の外周部側で小さく内部側で大きくなる傾向にある。このことから、互いに対向する第1電極103及び第2電極106の面積が同一であっても、配線基板101の外周部側と内部側とで間に介在する誘電部108の厚さが異なるので、それらのコンデンサとしての容量値も異なる。特に、このコンデンサの容量を大きくするために第1電極103と第2電極106との間の距離(以下、電極間距離という)が小さくなっていると、それだけ電極間距離の差がコンデンサの容量に大きく影響するため、この配線基板101の外周部側と内部側とでコンデンサ容量が大きく異なって、配線基板101内の各箇所で容量値のばらつきが大きくなるという問題点があった。
さらに、例えば第1電極103と金属箔110との間に異物が介在していたり、直接第1電極103と金属箔110とが接触したりして、配線基板101において第1電極103と第2電極106とが短絡した状態となり、コンデンサとしての機能を果たさなくなる虞もあるという問題点もあった。
【0006】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、内部の電極間距離が一定であるとともに、第1電極と第2電極との短絡を防止する配線基板を製造するための配線基板の製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜上に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は前記第1電極及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【0008】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1電極及び前記誘電体膜の間、前記第1電極に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【0010】
また、前記接着用絶縁膜の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さくなっている。
【0011】
また、前記第1絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さ及び前記第2絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さの合計は、前記第1電極の厚さよりも小さくなっている。
【0012】
また、前記接着用絶縁膜は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、前記熱圧着工程における重量減少が1%未満である。
【0013】
また、前記熱圧着工程においては、互いに対向する圧着板が互いに近づく向きに移動することにより、前記導電体膜及び前記第1電極が前記押圧されるようになっており、前記熱圧着工程の前に、前記熱圧着工程において用いられる互いに対向する圧着板の弾性率よりも低い弾性率の仮圧着板により互いに近づく向きに前記導電体膜及び前記第1電極を押圧する仮熱圧着工程をさらに備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明するが、従来例のものと同一又は同等部材、部位は、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。図1において、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に形成された導電性の第1電極103とを有する第1電極形成基板104を備えている。また、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された導電性の第2電極106とを有する第2電極形成基板107を備えている。この第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板1は、第1電極形成基板104と第2電極形成基板107との間に介在した誘電性材料の誘電部2を備えている。誘電部2は、融点の異なる誘電体膜3と接着絶縁部4とを有している。
【0016】
第1電極形成基板104において、第1電極103は、例えば厚さ18μmで、第1基板102の平面上にその厚さの分だけ突出して形成されている。また、第1電極103は、間隔を置いて複数形成されており、各第1電極103間に凹部5が形成されている。
【0017】
第2電極形成基板107において、第2電極106は、例えば厚さ18μmで、第1電極形成基板104側の面を露出させて第2基板105に埋め込まれている。
【0018】
誘電体膜3は、例えば、6μmの一定の厚さで形成された誘電率3のポリフェニレンサルファイド膜であり、第1電極103及び第2電極106の間に介在する電極間部6と、各電極間部6の間を渡って設けられた渡り部7とから構成されている。この誘電体膜3は、可撓性であり、渡り部7が凹部5側に撓んで設けられている。
【0019】
接着絶縁部4は、誘電体膜3の第1電極形成基板104側に設けられた第1接着絶縁部4aと、誘電体膜3の第2電極形成基板107側に設けられた第2接着絶縁部4bとから構成されている。この接着絶縁部4の材質は、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂であり、誘電体膜3と第1電極形成基板104とを接着し、及び誘電体膜3と第2電極形成基板107とを接着している。第1接着絶縁部4aは、渡り部7と凹部5とで囲まれた空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第1電極形成基板104に接着している。第2接着絶縁部4bは、撓んでいる渡り部7と第2基板105との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第2電極106と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第2電極形成基板107に接着している。
【0020】
このような構成の配線基板1は、厚さが一定の電極間部6が第1電極103と第2電極106との間に介在し、しかも接着絶縁部4は、第1電極103と第2電極106との間に、電極間距離に影響を与えない程度に薄くしか介在していないので、電極間距離が電極間部6の厚さで決定され、従来例に比べて電極間距離が場所によって大きく異なることがなく、内部に構成されているコンデンサの容量のばらつきが抑制されている。
【0021】
次に、このような配線基板1の製造方法について説明する。図2乃至図5は、配線基板1の製造工程でのそれぞれの状態を示す模式図である。これら図2乃至図5に示すように、まず、第1基板102の例えば縦横340mmの平面上に例えば厚さ18μmの第1電極103を例えば第1基板102の平面の周囲部30mmを除き10mmおきにマトリックス状に784個従来と同様に形成して、第1電極形成基板104を形成する(第1電極形成基板工程、図2)。次に、例えば約150℃で溶融粘度が105P、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂の接着用絶縁膜である第1接着用絶縁膜10を第1電極形成基板104の第1電極103側に重ね(第1絶縁膜積層工程)、誘電体膜3をこの第1接着用絶縁膜10の上に重ねて(誘電体膜積層工程)、さらにその上に第1接着用絶縁膜10と同様の材質の接着用絶縁膜である第2接着用絶縁膜11を重ねる(第2絶縁膜積層工程)。ここで、第1接着用絶縁膜10の厚さは、第1電極103の厚さよりも小さい例えば10μmとなっており、第2接着用絶縁膜11の厚さは、例えば5μmとなっている。また、誘電体膜3の厚さは、上述のように例えば6μmとなっている。
その後、この第2接着用絶縁膜11の上に例えば厚さ18μmの銅箔である導電性の導電体膜12を重ねて(導電体膜積層工程)、図3に示す状態とする。
【0022】
その後、これら第1電極形成基板104、第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3、第2接着用絶縁膜11及び導電体膜12を第1電極形成基板104側と導電体膜12側とから圧着板であるステンレス板で挟んで互いに近づく向きに押圧する。このとき、押圧するとともに、昇温速度6℃/minで、約180℃即ち熱硬化性エポキシ樹脂が硬化する温度まで加熱している(熱圧着工程)。ここで、誘電体膜3の材質は、この熱圧着工程における最高温度でも溶融しない可撓性の材質となっており、例えば接着用絶縁膜が硬化する約180℃でも溶融しないポリフェニレンサルファイドである。これに対して、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜の材質は、この熱圧着工程において溶融し硬化する熱硬化性エポキシ樹脂である。従って、熱圧着工程において昇温していくと、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11のみが溶融する。
【0023】
また、第1電極103は、第1基板102にその厚さの分だけ突出して形成されているので、ステンレス板の挟み付ける押圧力は第1電極103と導電体膜12との間に存在する第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3及び第2接着用絶縁膜11に直接働く。このことから、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、昇温により溶融するとこの押圧力により第1電極103と導電体膜12との間から押し出される。このとき、第1接着用絶縁膜10は凹部5に流れ込み、第2接着用絶縁膜11は押し出される圧力により誘電体膜3が撓んで形成された空間に流れ込む。そして、約180℃まで昇温されて硬化し、第1接着用絶縁膜10は第1接着絶縁部4aとして形成され、第2接着用絶縁膜11は第2接着絶縁部4bとして形成される。この流れ込むスペースを確保するために、第1接着用絶縁膜10と第2接着用絶縁膜11との厚さの合計が第1電極103の厚さ、即ち凹部5の深さよりも小さくなるようにしている。即ち、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が第1電極103と導電体膜12との間からそれぞれ凹部5に流れ込み、誘電体膜3を撓ませて形成された空間に流れ込むことで増加する厚さの分だけ第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計が第1電極103の厚さより小さくなっている。従って、第1電極103の第1基板102の平面に占める面積率が大きいと第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計は第1電極103の厚さに比べて大きく差をつける必要があり、逆に面積率が小さいとその差を小さくする必要がある。また、第2接着用絶縁膜11は、その厚さが大きいほど誘電体膜3を大きく撓ませることとなり、誘電体膜3に負担をかけて寿命等に影響を及ぼす可能性があるので、誘電体膜3を大きく撓ませない適切な厚さとする。導電体膜12この第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、第1電極103と導電体膜12との間からすべて押し出されるわけではなく、接着のために必要な極めて薄い層だけは残っている。
【0024】
誘電体膜3は、この熱圧着工程においては溶融しないので、第1電極103と導電体膜12との間には厚さを一定に保ったまま電極間部6として残り、溶融した第2接着用絶縁膜11の圧力で撓んで各電極間部6の間で渡り部7として形成され、図4に示す状態となる。
【0025】
その後、導電体膜12をエッチング等により第1電極103に対向する箇所に残して第2電極106として形成して(第2電極形成工程)、図5に示す状態とする。最後に、誘電体膜3の第2電極106側に従来例と同様にして第2基板105を形成して、第2電極形成基板107を形成し(第2電極形成基板工程)、図1に示す配線基板1を製造する。
【0026】
従って、上記のような構成の配線基板1を容易に製造することができ、しかも例えば第1電極103と第2電極106との間に異物が混入しても第1電極103と第2電極106とが短絡する可能性も極端に小さくなる。
【0027】
なお、第1電極形成基板工程及び導電体膜積層工程において、第1電極103及び導電体膜12は、当然のことながら、銅以外の金属、例えば亜鉛、ニッケル、金、銀、アルミニウムあるいはそれらの合金、又はポリチオフェンに代表される導電性高分子等、導電性があれば何でも構わない。また、第1電極103及び導電体膜12の形成方法も、気相法あるいは導電性のペーストを塗布して焼成する方法等、どのような方法でも構わない。
【0028】
また、第2電極形成工程において、第1電極103と第2電極106とが互いに対向している部分でしか内部コンデンサとしての機能を果たさないことから、各第1電極103間の凹部5に対向する導電体膜12は、そのまま残しても除去してもどちらでも構わない。
【0029】
また、熱圧着工程において、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が溶融して第1電極形成基板104、誘電体膜3及び導電体膜12が圧着されればよいので、真空熱プレスあるいはラミネータ等のどのような方法を用いても構わない。
【0030】
また、各工程の順番は、配線基板1が形成できるのであれば、どのように入れ替えてもよく、例えば誘電体膜積層工程及び第2絶縁膜積層工程の後に第1絶縁膜積層工程を行ってもよい。
【0031】
この実施の形態における配線基板1の内部コンデンサは、1kHzにおける容量密度が平均値で理論値に近い4.3pF/mm2で、この容量密度の標準偏差が0.2pF/mm2であった。比較例として、従来例の方法で誘電性シート109を溶融して誘電部108が形成された配線基板101は、784個の第1電極103のうち21個が第2電極106と短絡してコンデンサとしての機能を果たさず、残りの内部コンデンサの1kHzにおける容量密度が平均値で4.0pF/mm2で、この容量密度の標準偏差が2.3pF/mm2であった。従って、配線基板1は、内部コンデンサを確実に形成し、その容量値も従来例よりも所望の値により近づけることができることが確認された。また、配線基板1は、内部コンデンサの容量密度のばらつきも従来例よりも小さいことが確認された。
【0032】
ここで、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11(以下、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11を総称して絶縁膜という)は、熱圧着工程において溶融するが、このときに水分等が蒸発して、形成された接着絶縁部4の重量は絶縁膜の合計重量よりも小さくなっている。この重量減少が配線基板1に及ぼす影響を以下のようにして調べた。即ち、重量減少を強制的に行うために熱硬化性エポキシ樹脂にブチルカルビトールをさまざまな重量比で混入してそれぞれ絶縁膜を作製し、これら絶縁膜を熱圧着工程で用いて調べることとした。
【0033】
表1に、ブチルカルビトールの混入率と熱圧着工程での重量減少率との関係を示す。表1に示すように、ブチルカルビトールの混入率が大きくなるほど重量減少率が大きくなっていることが分かる。これらの絶縁膜を用いて製造された配線基板1をそれぞれ雰囲気温度30℃、相対湿度70%の環境下に168時間(7日間)あるいは500時間放置した。その後、はんだ付け状態を仮想して280℃のはんだ浴槽に10秒間浸し、絶縁膜が溶融して形成された接着絶縁部4が配線基板1に及ぼす影響を調べた。
【0034】
【表1】
【0035】
その結果、放置時間が168時間の場合には、いずれの絶縁膜を用いて製造された配線基板1にも何の変化も現れなかったが、放置時間が500時間の場合には、重量減少率が1.0%以上の絶縁膜を用いて製造した配線基板1内で、誘電体膜3と接着絶縁部4との間に剥離が発生していた。従って、絶縁膜は、熱圧着工程での重量減少率が1.0%未満であることが望ましい。
【0036】
また、熱圧着工程における絶縁膜の溶融粘度も、第1電極103と導電体膜12との間から押し出されてしまうまでの時間と溶融した絶縁膜が硬化するまでの時間との関係で、完成した配線基板1の電極間距離に大きな影響を与える。即ち、絶縁膜の溶融粘度が大きいと、絶縁膜が溶融して第1電極103と導電体膜12との間から押し出されてしまうまでに長時間を要し、途中で硬化してしまうことがあり得る。この絶縁膜の溶融粘度が電極間距離に及ぼす影響を以下のようにして調べた。即ち、最低溶融粘度を異ならせるために、さまざまな温度で1時間オーブンに入れて硬化反応を進めて前処理をあらかじめ行った絶縁膜をそれぞれ熱圧着工程で用いて調べることとした。
【0037】
表2に、前処理の温度、その絶縁膜の熱圧着工程における最低溶融粘度、及びその絶縁膜を用いて製造された配線基板1における電極間距離の関係を示す。表2に示すように、前処理の温度が高くなると最低溶融粘度が大きくなることが分かる。また、これらの絶縁膜を用いて製造された配線基板1の電極間距離は、最低溶融粘度が1×109P以下であれば、この熱圧着工程での昇温速度6℃/minであっても、所望の電極間距離が得られることが分かる。昇温速度を小さくすることによって最低溶融粘度がより大きな絶縁膜を用いることもできるが、配線基板1の製造時間が長くなるので、絶縁膜は熱圧着工程における最低溶融粘度が1×109Pであることが望ましい。
【0038】
【表2】
【0039】
また、第1接着用絶縁膜10の厚さは、第1電極103の厚さとの関係で、凹部5において第1電極形成基板104と誘電体膜3との間に隙間が発生することを防止するために、凹部5に流れ込んだ溶融した第1接着用絶縁膜10がこの凹部5を満たす程度の厚さ(例えば10μm)であることが望ましいが、この厚さよりも第1接着用絶縁膜10の厚さが小さくても押圧力の印加の仕方により、問題なく完成した配線基板1において第1接着絶縁部4aが誘電体膜3と第1電極形成基板104とを接着した状態とすることができる。即ち、熱圧着工程の前に、ステンレス板よりも弾性率の低い仮圧着板で、第1電極形成基板104に第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3、第2接着用絶縁膜11及び導電体膜12が重ねられたものを仮圧着する(仮圧着工程)ことにより、さらに配線基板1における第1接着絶縁部4aの接着状態の確実性が増加する。これは、仮圧着板が低弾性率であるので、仮圧着板が変形し、ステンレス板による押圧よりも凹部5に対応する箇所に大きな押圧力を与えることができることによる。
例えば、仮圧着工程において、仮圧着板の材質をダイヤフラムゴムとし、真空ラミネータにより100℃で3分間仮圧着を行う。あるいは、仮圧着工程において、仮圧着板の材質をシリコンゴムとし、真空熱プレスにより最高温度を100℃として3分間仮圧着を行う。このような仮圧着工程が熱圧着工程の前に備えられた結果、例えば厚さが5μmあるいは7μmのどちらの第1接着用絶縁膜10を用いても、問題なく配線基板1を製造することができた。従って、第1接着用絶縁膜10の厚さが溶融したときに凹部5を満たすだけの厚さよりも小さい場合であっても、凹部5における誘電体膜3と第1電極形成基板104との間に空間が発生せずに配線基板1を製造することができ、配線基板1の製造における歩留まりが向上する。
なお、このような仮圧着工程は、複数あってもよいし、その都度、仮圧着板の弾性率を上昇させていっても構わない。
【0040】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。図6において、配線基板21は、第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107の間に介在した誘電部22を備えている。誘電部22は、第1電極形成基板104及び第2電極形成基板107の間に介在した誘電体膜23と、この誘電体膜23及び第1電極形成基板104の間にのみ存在する接着絶縁部24とから構成されている。接着絶縁部24は、実施の形態1の接着絶縁部4と同一材質である。また、接着絶縁部24は、誘電体膜23と凹部5との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と誘電体膜23との間に薄く介在して、誘電体膜23を第1電極形成基板104に接着している。即ち、配線基板21は、誘電部22が実施の形態1における配線基板1の第2接着絶縁部4bが存在しない構成となっているものである。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0041】
このような構成の配線基板21は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、誘電体膜23の撓みが無くなるので、誘電体膜23の撓みによる負担が小さくなり寿命等が長くなる。
【0042】
次に、このような配線基板21の製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様にして、第1電極形成基板工程及び第1絶縁膜積層工程を経て、第1電極形成基板104に第1接着用絶縁膜10と同様の接着用絶縁膜を重ねた状態とする。一方、あらかじめ誘電体膜3と同様の材質である例えば厚さ6μmの誘電体膜23を図3における導電体膜12と同様の導電体膜に約270℃で熱圧着して誘電体膜23にこの導電体膜を形成しておく(導電体膜積層工程)。この導電体膜を積層した誘電体膜23を上記の第1電極形成基板104に重ねられた接着用絶縁膜に重ねて(誘電体膜積層工程)、実施の形態1と同様の熱圧着工程において、接着用絶縁膜が第1電極103と導電体膜との間から押し出されて接着絶縁部24として形成され、この接着絶縁部24及び誘電体膜23により誘電部22が形成される。
その後、実施の形態1と同様に、第2電極形成工程及び第2電極形成基板工程を経て、配線基板21が製造される。
【0043】
なお、導電体膜積層工程において、導電体膜に誘電体膜23を形成できればよいので、例えば、チタン酸バリウム粉末とレゾールタイプフェノール樹脂とを混ぜ合わせてペースト状にしたものをスクリーン印刷等により導電体膜に誘電体膜23として形成しても構わない。当然のことながら、このペーストは、チタン酸バリウム粉末及びレゾールタイプフェノール樹脂を材料とするものに限定されず、形成された誘電体膜23が所望の誘電性を有し熱圧着工程において溶融するものでなければ、どのような材料、例えば高誘電率のペロブスカイト構造を有する無機化合物あるいはセラミックス等を用いても構わない。
また、例えば、酸化ケイ素(SiO2)等の誘電性材料をCVD法、物理的気相法あるいはスパッタリング等によって導電体膜に形成しても構わない。
また、例えば、アルミニウム箔の片面を電気酸化、熱酸化あるいはオゾンによる酸化等及び封孔によって酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの混合物を誘電体膜23として形成し、残りのアルミニウム箔を導電体膜としても構わない。タンタル箔の片面を酸化して得られる酸化タンタルを誘電体膜23として形成しても構わない。
【0044】
なお、上記各実施の形態において製造された配線基板は、例えばスパイラルインダクタを第1電極103に電気的に接続してLCフィルタ及びバイパスコンデンサとして機能する回路を形成することにより、配線基板表面にチップコンデンサあるいはフィルタ素子を配置する必要がなくなり、従来例の配線基板101よりもさらに小型化した配線基板を得ることができる。その結果、携帯電話あるいはデジタルカメラ等の電子機器への適用も容易になる。
【0045】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜上に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は前記第1電極及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっているので、前記誘電体膜の撓みによる負担が小さいとともに容易に内部のコンデンサ容量のばらつきが小さい前記配線基板を製造することができる。
【0046】
この発明に係る配線基板の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1電極及び前記誘電体膜の間、前記第1電極に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっているので、前記熱圧着工程において一度に前記第1電極形成基板上に前記誘電部及び前記誘電体膜を形成でき、短時間で前記配線基板を製造することができる。
【0048】
また、前記接着用絶縁膜の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さくなっているので、前記熱圧着工程において前記接着用絶縁膜が容易に前記第1電極と前記導電体膜との間から押し出され、前記配線基板の前記第1電極と前記第2基板との間の距離をほぼ前記誘電体膜の厚さによって決定することができ、前記距離をほぼ均一にすることができる。
【0049】
また、前記第1絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さ及び前記第2絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さの合計は、前記第1電極の厚さよりも小さくなっているので、前記熱圧着工程において前記接着用絶縁膜が容易に前記第1電極と前記導電体膜との間から押し出され、前記配線基板の前記第1電極と前記第2基板との間の距離をほぼ前記誘電体膜の厚さによって決定することができ、前記距離をほぼ均一にすることができる。
【0050】
また、前記接着用絶縁膜は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、前記熱圧着工程における重量減少が1%未満であるので、前記誘電部が前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板を保持する信頼性が向上し、前記配線基板の使用状態における信頼性が向上する。
【0051】
また、前記熱圧着工程においては、互いに対向する圧着板が互いに近づく向きに移動することにより、前記導電体膜及び前記第1電極が前記押圧されるようになっており、前記熱圧着工程の前に、前記熱圧着工程において用いられる互いに対向する圧着板の弾性率よりも低い弾性率の仮圧着板により互いに近づく向きに前記導電体膜及び前記第1電極を押圧する仮熱圧着工程をさらに備えているので、多少前記接着用絶縁膜の厚さが適切な厚さよりも小さくても、前記誘電体膜と前記第1電極形成基板との間、及び前記誘電体膜と前記第2電極形成基板との間に空間が発生することなく前記配線基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図2】 第1電極形成基板工程後の状態を示す模式図である。
【図3】 第1絶縁膜積層工程、誘電体膜積層工程、第2絶縁膜積層工程、及び導電体膜積層工程後の状態を示す模式図である。
【図4】 熱圧着工程後の状態を示す模式図である。
【図5】 第2電極形成工程後の状態を示す模式図である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図7】 従来の配線基板の構成を示す断面図である。
【図8】 第1電極形成基板に誘電性シート及び金属箔を重ねた状態を示す模式図である。
【図9】 図8の状態のものを熱圧着した後の状態を示す模式図である。
【図10】 図9の状態の金属箔を第2電極として形成した後の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21 配線基板、2,22 誘電部、3,23 誘電体膜、4,24 接着絶縁部、4a 第1接着絶縁部、4b 第2接着絶縁部、10 第1接着用絶縁膜、11 第2接着用絶縁膜、12 導電体膜、102 第1基板、103 第1電極、104 第1電極形成基板、105 第2基板、106 第2電極、107 第2電極形成基板。
Claims (6)
- 第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、
第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、
前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部と
を備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、
前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、
接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、
前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、
導電体膜を前記誘電体膜上に設ける導電体膜積層工程と、
前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、
前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、
前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、
前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は前記第1電極及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっていることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された第1電極を有する第1電極形成基板と、
第2基板、及び前記第2基板に形成された第2電極を有し、前記第2電極を前記第1電極に対向させて配置された第2電極形成基板と、
前記第1電極形成基板及び前記第2電極形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部と
を備えた配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、
前記第1電極を前記第1基板上に設けて前記第1電極形成基板を形成する第1電極形成基板工程と、
接着用絶縁膜を前記第1電極形成基板の前記第1電極側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、
前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、
前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、
導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、
前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1電極及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、
前記誘電体膜上の少なくとも前記第1電極に対向する箇所に前記導電体膜を前記第2電極として形成する第2電極形成工程と、
前記誘電体膜の前記第2電極側に前記第2基板を設けて前記第2電極形成基板を形成する第2電極形成基板工程とを備え、
前記熱圧着工程において、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1電極及び前記誘電体膜の間、前記第1電極に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっていることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記接着用絶縁膜の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さくなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線基板の製造方法。
- 前記第1絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さ及び前記第2絶縁膜工程において重ねられる前記接着用絶縁膜の厚さの合計は、前記第1電極の厚さよりも小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の配線基板の製造方法。
- 前記接着用絶縁膜は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、前記熱圧着工程における重量減少が1%未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の配線基板の製造方法。
- 前記熱圧着工程においては、互いに対向する圧着板が互いに近づく向きに移動することにより、前記導電体膜及び前記第1電極が前記押圧されるようになっており、
前記熱圧着工程の前に、前記熱圧着工程において用いられる互いに対向する圧着板の弾性率よりも低い弾性率の仮圧着板により互いに近づく向きに前記導電体膜及び前記第1電極を押圧する仮熱圧着工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の配線基板の製造方法。
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