JP3752721B2 - 遮音シミュレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リスニングルームや音楽練習室等の防音室における遮音構造を設計する際に、様々な遮音構造による遮音性能を電気音響的にシミュレートして、被験者が体感し評価できるようにした遮音シミュレータに関し、実際のリスニングルームでの体感により近づけたものである。
【0002】
【従来の技術】
リスニングルームや音楽練習室等の防音室の設計において遮音構造の設計は重要である。防音室の特性としては勿論遮音度が高いことが望ましいが、遮音度を高くするほどコストが高くつくことになるので、周囲環境の騒音の大きさ、使用目的、使用者個人の主観(満足度)等に応じて必要でありかつ十分過ぎない遮音度が得られる遮音構造に設計することが重要である。
【0003】
遮音シミュレータは、防音室の遮音設計をする際に、様々な遮音構造による遮音性能を電気音響的にシミュレートして、被験者(その防音室の使用者)が体感し評価できるようにして、遮音構造(壁の材質、構造、厚さ、窓の構造、大きさ等)を容易に設計できるようにしたものである。
【0004】
従来の遮音シミュレータは、遮音対象に相当する音声信号を音源装置から発生して、適宜設定した遮音構造に相当する特性を有するフィルタに通して減衰させ、試聴室内に配置したスピーカで再生して、被験者が遮音性能を体感できるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
防音室内には、エアコン等の空調設備が設けられることが多く、空調設備から発生する音がいわゆる暗騒音となって、被験者の心証を大きく左右する。ところが従来の遮音シミュレータにおいては、このような室内で発生する暗騒音を考慮していないため、シミュレートによって体感した遮音性能と、実際にでき上がった防音室で体感する防音性能とに隔りを生じていた。
【0006】
この発明は、前記従来の技術における問題点を解決して、実際の防音室により近い防音性能を体感できるようにして、遮音構造の設計をより高精度に行なえるようにした遮音シミュレータを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、遮音評価対象に相当する音声信号を音源装置から発生して、適宜設定した遮音構造に相当する特性を有するフィルタに通して減衰させてスピーカまたはヘッドホンで再生し、これと同時に室内で発生する空調設備等による暗騒音に相当するノイズ信号をノイズ発生源から発生して前記フィルタを通さずにスピーカまたはヘッドホンで再生するようにしたものである。
【0008】
これによれば、設計しようとする防音室(リスニングルーム、音楽練習室等)内で発生する空調設備等による暗騒音をシミュレートした上で外界の騒音に対する遮音性能を体感できるので、実際の防音室により近い防音性能を体感することができ、遮音構造の評価および設計をより高精度に行なうことができる。
【0009】
なお、室外で発生する遮音評価対象の騒音に相当する音声信号をステレオ信号で再生し、室内で発生する暗騒音に相当するノイズ信号を位相シフトして多チャンネル化して再生することにより、遮音評価対象の室外からの騒音を臨場感豊かに再生し、室内で発生する暗騒音を特定の場所に定位するのを避けて(すなわち無定位化して)暗騒音らしさを持たせて再生することができ、より実際に近いシミュレートが実現される。
【0010】
また、室内で発生する空調設備による暗騒音は、一般にNC(Noise Criterion)曲線に近い周波数特性を有するので、ノイズ信号を概ねNC曲線に沿った周波数特性とすることにより、室内で発生する暗騒音により近いノイズ信号を発生することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を以下説明する。はじめに、この実施の形態における遮音シミュレートの概要を図2に示す。この実施の形態では、図2(a)に示すように、壁13で遮られた2部屋12,14の一方の部屋12に遮音対象の音源16があり、他方の部屋14に空調設備18がありかつ受聴音20がいる状態で、2部屋12,14を遮る壁13の遮音性能を電気音響的にシミュレートすることを想定している。
【0012】
図2(b)は図2(a)の状態をシミュレートする遮音シミュレータ10の全体構成を示す図である。被験者20がいる試聴室22内には、左右2チャンネルのメインスピーカ24,26と、前方左右2チャンネル、後方左右2チャンネルの暗騒音スピーカ28,30,32,34が設置されている。
【0013】
遮音シミュレータ本体11からは、図2(a)の遮音評価対象の音源16を壁10で遮音した状態の音をシミュレートしたメイン信号と、空調設備18による暗騒音をシミュレートした暗騒音信号が出力される。メイン信号はパワーアンプ36を介してメインスピーカ24,26で再生される。暗騒音信号はパワーアンプ38を介して暗騒音スピーカ28,30,32,34で再生される。
【0014】
尚、防音室を設置する現場とか暗騒音レベルが高い場所等でシミュレートする場合は、周囲から入る音の影響を受けないように図2(c)に示すように、シミュレータ本体10からメイン信号と暗騒音信号をミキシングした信号を出力し、ヘッドホン40で試聴を行なう。
【0015】
遮音シミュレータ本体11のシステム構成を図1に示す。このシステム構成全体をアタッシュケース程度のキャリングケース内に収容して可搬型に構成することにより、防音室を作ろうとする現場に持ち込んでシミュレートを行なうことができる。
【0016】
図1において、制御用パソコン42は、操作者によるキーボード43の操作に基づき装置各部を制御して、シミュレートを実行する。音源録音再生装置44はMD(Mini Disk)、DCC(Digital Compact Caset)、DAT(Digital Audio Tapercorder)等のディジタル式録音再生装置で構成され、遮音評価対象の音声信号を2チャンネルで録音し、再生する。
【0017】
外部入力端子46,48は、シミュレート実行前に遮音評価対象の音声信号を音源録音再生装置44に録音する時は、録音信号をマイク入力あるいはライン入力で入力する。また、再生時(シミュレート実行時)には、必要に応じて外部入力信号を音源録音再生装置44から再生する信号にミキシングするために、外部入力信号をマイク入力あるいはライン入力で入力する。
【0018】
スイッチ50は、音源録音再生装置44の録音信号の入力と再生信号の出力の切換えを行う。また、再生時には、ステレオで再生するかモノラルで再生(左右チャンネルをミキシング)するかの切換えや外部入力を再生信号にミキシングするかどうかの切換えも行う。スイッチ52は、シミュレート実行時に必要に応じて外部の有意騒音を室内空調騒音にミキシングするかどうかの切換えを行う。
【0019】
ディジタルフィルタ54はDSPで構成され、音源録音再生装置44から再生された(あるいはこれに外部入力がミキシングされた)遮音評価対象の音声信号に、操作者によって任意に選択された遮音構造の遮音特性に相当するFIRフィルタ特性を付与する。尚、ディジタルフィルタ54を構成するDSPは音場効果付与(残響音生成)の機能も有している。パソコン42の記憶装置(ハードディスク等)56には、各種遮音構造の遮音特性に相当する複数種類のフィルタ特性データ(FIRフィルタの係数データ)が収容されており、操作者によって選択された遮音構造のデータが読み出されてディジタルフィルタ54にセットされる。また、記憶装置56には当該遮音特性に相当する遮音度数値データ、遮音性能グラフ、遮音構造図その他の関連データ(図10参照)がデータベースとして収容されている。また、残響音生成データも記憶装置56に記憶されている。
【0020】
暗騒音源DSP58は、エアコン等の室内空調設備に相当する暗騒音信号を生成するもので、疑似ホワイトノイズに概ねNC曲線相当のフィルタリングを施して出力する。位相シフタ60は、暗騒音信号を位相シフトして、相互に位相がずれた4チャンネルの暗騒音信号生成する。
【0021】
出力は、遮音特性が付与された遮音評価対象信号を出力する2チャンネルのメイン信号出力端子62,64と、暗騒音信号を出力する4チャンネルの暗騒音信号出力端子66,68,70,72と、ヘッドホン出力端子74,76が設けられている。ヘッドホン出力端子74,76からは、メイン信号と暗騒音信号をミキサ78,80でミキシングした信号が出力される。ヘッドホン出力端子74,76は4系統設けられており、4人の人が同時に試聴して合同で評価できるようにしている。
【0022】
図1の遮音シミュレータ本体11において、音源録音再生装置44に遮音評価対象の音声信号を録音するときは、外部入力端子46,48から該当する音声信号をマイク入力あるいはライン入力で入力する。この録音信号は、アッテネータ付ヘッドアンプ82,83およびスイッチ50を介してA/D変換器84でディジタル信号に変換され、ディジタルフィルタ54で必要に応じて周波数特性調整等の信号処理が施され(必要なければそのまま通過)、D/A変換器86でアナログ信号に戻されて、アッテネータ88,90で録音レベルが調整されて、音源録音再生装置44に録音される。
【0023】
シミュレート実行時には、音源録音再生装置44で再生された音声信号は、スイッチ50で必要に応じて外部入力信号とミキシングされて、A/D変換器84でA/D変換され、ディジタルフィルタ54で操作者によって任意に選択された遮音構造に相当するフィルタ特性が付与される。ディジタルフィルタ54から出力される音声信号は、D/A変換器86でアナログ信号に変換され、アンプ92,94を介してメイン信号出力端子62,64から出力される。
【0024】
シミュレート実行時に暗騒音源58から出力される暗騒音信号は、D/A変換器96でアナログ信号に変換され、ミキサ98で必要応じて外部の有意騒音がミキシングされ、位相シフタ60で位相シフトされて、暗騒音信号出力端子66,68,70,72から出力される。また、メイン信号ch1,ch2と暗騒音信号BGN1,BGN2はミキサ78,80でミキシングされて、ヘッドホンアンプ100,102を介して4系統のヘッドホン出力端子74,76から出力される。
【0025】
ここで、図1の遮音シミュレータ本体11の各部の構成について説明する。遮音性能をシミュレートする場合、ディジタルフィルタ54は、聴感的印象までを近似させようとすると、特に低域においては5Hz程度の分解能を実現する必要がある。そこで、ディジタルフィルタ54は例えば図3に概念構成を示すようなマルチサンプルレート信号処理を行なう。これは、入力信号を高域、低域の2帯域に分割して、低域側のサンプルレートを下げることによってハードウェアの規模を大きくすることなくFIRフィルタの分解能を上げるようにしたものである。すなわち、図3のディジタルフィルタ54は、遮音評価対象の音声信号をローパスフィルタ104、およびローパスフィルタ104で発生する遅延の調整用ディレイ117を介した引算器110で2つの帯域に分割し、低域側の遮音特性を付与する低域遮音フィルタ106と、高域側の遮音特性を付与する高域遮音フィルタ108とでサンプリング周波数を変えてフィルタリングを行い、低域側についてはローパスフィルタ111を通し、高域側については、ローパスフィルタ111で発生する遅延に相当する分をデイレイ119で遅らせて出力し、ミキサ115で両帯域の信号をミキシングして出力する。低域遮音フィルタ106は高域遮音フィルタ108の例えば1/32のサンプルレートでフィルタリングを行う。低域遮音フィルタ106、高域遮音フィルタ108は前記メモリ56(図1)から読み出されたフィルタ係数がセットされ、入力される音声信号をたたみ込み演算して出力する。
【0026】
これによれば、例えば20kHzまでの帯域をカバーしかつ5Hz程度の周波数分解能を持たせるためには、通常のFIRフィルタではタップ数が8000以上必要であるのに対し、図3のディジタルフィルタ54では、ローパスフィルタ104を689Hz以上を遮断するように設定して、低域側のサンプルルートを高域側の1/32とすれば、256タップで低域の分解能5.38Hzが実現される。
【0027】
暗騒音源DSP58および位相シフタ60の内部構成を図4に示す。M系列信号発生器112は、例えば図5に示すようにn段(例えば23段)のシフトレジスタ114と排他的オア回路116の組み合わせで構成される。初期状態として、シフトレジスタ114の少くとも1段以上を“1”にセットして、クロック発生回路118(図4)から発生されるクロックに従って順次シフトしていくことにより、広帯域の疑似ランダム信号(疑似ホワイトノイズ)を発生させることができる。
【0028】
M系列信号発生器112から出力される疑似ホワイトノイズ信号は、フィルタバンク120に入力される。フィルタバンク120は、9バンドのIIRフィルタで構成され、広帯域の疑似ホワイトノイズ信号からオクターブバンドごとの信号を取り出す。この各帯域の信号をそれぞれ対応するアッテネータ122(イコライジング手段)でレベル調整して所望の周波数特性を得る。データテーブル124(メモリ)には、アッテネータ122の特性データとして概ねNC曲線に沿った周波数特性やその他任意の周波数特性の様々なデータが収容されており、操作者のキーボード43の操作に基づくパソコン42の指令により、任意の特性が読み出されてアッテネータ122にセットされる。これにより、アッテネータ122からは、概ねNC曲線に沿った周波数特性あるいはその他任意の周波数特性の広帯域ノイズ信号が出力される。
【0029】
アッテネータ122の出力はミキシングおよび出力レベル調整器126で合成して出力される。図6は、室内空調設備(エアコン)から発生する暗騒音の測定値の例を示したもので約250Hzよりも上の帯域でNC曲線にほぼ沿った特性を示し、データテーブル124には、例えばこのような概ねNC曲線に沿った周波数特性データが収容されている。
【0030】
尚、以上はノイズ発生源112から発生したノイズがホワイトノイズである場合について説明したが、他の種類の広帯域ノイズ源を用いる場合には、そのノイズ自身の周波数特性に応じてアッテネータ122(イコライジング手段)を調整して、概ねNC曲線に沿った周波数特性や任意の周波数特性のノイズ信号を作成する。
【0031】
図4において、位相シフタ60は、バッファアンプ128とアナログ式位相シフト回路130,132,134で構成され、相互に位相がずれた4チャンネルの暗騒音信号を作っている。各出力の位相特性を図7に示す。4チャンネルの出力のうち、2チャンネルBGN1,BGN2はメイン信号にミックスしてヘッドホン出力に併用している。位相が相互にずれた複数の暗騒音を別々の位置から再生することにより、暗騒音の定位感をなくして、暗騒音らしさを持たせて再生することができる。
【0032】
以上の構成の遮音シミュレータ10によるシミュレートの操作手順について、図8を参照して説明する。はじめに、遮音評価対象信号を録音するのに先立ち、基準再生レベルを設定する(S1)。すなわち、再生系の機器(図2のパワーアンプ36,38、メインスピーカ24,26等)や試聴室22の条件を固定し、所定の信号レベルの基準音源(ピンクノイズ等)をこの再生系に入力した時に、この基準音源がスピーカから所定の音圧レベルで再生されるように(例えば再生音圧レベル設定表示が100dBのときにスピーカから実際に再生される音圧レベルが100dBとなるように)、再生系の出力信号レベルを調整する。
【0033】
次いで、遮音対象音源信号の平均レベル(OA値)を測定し、それが前記基準音源の信号レベルと等しい信号レベルで音源録音再生装置44から再生されるように、音源録音再生装置44の入力信号レベルを調整して(S2)遮音対象音源信号を録音する(S3)。このようにして遮音対象音源信号を録音することにより、音源録音再生装置44を再生すれば、遮音度の設定が0dBのときに、遮音対象音源が前記所定の音圧レベルでスピーカから再生されることになる。また、再生時に遮音対象音源の再生レベルの設定を変更すると、遮音度0dBのときには、常に再生レベル設定表示された音圧レベルで遮音対象音源がスピーカから再生されることになる。
【0034】
録音が終了したら、シミュレートを行う。シミュレートに際してはまずシミュレーションパラメータの設定を行う(S4)。シミュレーションパラメータ設定時のパソコン42の表示画面を図9に示す。シミュレーションパラメータには、次のものがある。
【0035】
(a) 再生系
スピーカ再生かヘッドホン再生かを選択する。
(b) 再生パターン
Main STEREO、Main MONO、BGNの3つの再生パターンを選択することができる。Main STEREOでは音源録音再生装置44のLチャンネルと外部入力のch1を合成した信号L+ch1がch1のメイン出力端子62から出力され、音源録音再生装置44のRチャンネルと外部入力のch2を合成した信号R+ch2がch2のメイン出力端子64から出力され、暗騒音信号出力端子66,68,70,72からは暗騒音源DSP58からの暗騒音信号が出力される。Main MONOでは音源録音再生装置44のL+Rがch1のメイン出力端子62から出力され、外部入力信号ch1+ch2がch2のメイン出力端子64から出力され、暗騒音信号出力端子66,68,70,72からは暗騒音源DSP58からの暗騒音信号が出力される。BGNではメイン出力端子62からは音源録音再生装置44のLが出力され、メイン出力端子64からは音源録音再生装置44のRが出力され、暗騒音信号出力端子66,68,70,72からは暗騒音源DSP58からの暗騒音と外部入力信号ch1,ch2をミックスした信号(すなわちこのときスイッチ52がオン)が出力される。BGNを使えば、隣室からの騒音に屋外の騒音が加わった状態をシミュレートすることも可能である。
【0036】
(c) 遮音度
遮音特性として遮音度をD等級あるいは実際の測定値等で設定する。遮音度はチャンネルごとに設定することができる。異なる遮音度の同時再生により、遮音欠損等の再現が可能となる。
(d) 暗騒音
暗騒音を付加するか付加しないかおよび付加する場合の特性(NC値等)を設定する。なお、シミュレーション実行時にこの設定された特性(NC値等)で暗騒音が再生されるように、暗騒音系統全体のゲインが予め調整されている。
(e) 再生レベル
メイン信号の再生レベルを設定する。
【0037】
以上によりシミュレーションパラメータの設定を行うと、設定した遮音度に相当する各種データが記憶装置56から読み出されてパソコン42の表示画面に表示される。表示画像を図10に示す。ここでは、遮音度数値データ134、遮音性能グラフ(D等級曲線上に重ね書き)136、遮音構造図138および関連データ140等が表示される。また、遮音フィルタ係数データが記憶装置56から読み出されて、ディジタルフィルタ54にセットされる(S6)。これにより、シミュレーションが可能な状態となり、音源録音再生装置44を再生状態にすることによりシミュレーションが開始される(S7)。
【0038】
シミュレーション実行中は、前記(e)で設定された再生レベル(音圧レベル)に前記(c)で設定された遮音度に相当する減衰をかけた音圧レベルで遮音評価対象信号が再生され、前記(d)で設定された特性に相当する音圧レベルで暗騒音が再生される。そして、遮音性能を評価して(S8)、満足いくものであれば、その遮音構造に決定し(S9,S10)、満足いかなければ遮音度を設定しなおしてシミュレートを繰り返す(S11)。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、室内空調の暗騒音の影響を考慮した高精度の遮音シミュレーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す図で、図2(b),(c)の遮音シミュレータ本体11のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態を示す概要図である。
【図3】 図1のディジタルフィルタ54の概念構成を示すブロック図である。
【図4】 図1の暗騒音源DSP58および位相シフタ60の構成を示すブロック図である。
【図5】 図4のM系列信号発生器112の構成例を示す図である。
【図6】 室内空調騒音の例を示す線図である。
【図7】 図1の位相シフタ60の特性図である。
【図8】 図2の遮音シミュレータ10によるシミュレートの手順を示すフローチャートである。
【図9】 図8の工程S4におけるパソコン表示画面上の表示を示す図である。
【図10】 図8の工程S5におけるパソコン表示画面上の表示を示す図である。
【符号の説明】
10 遮音シミュレータ
11 遮音シミュレータ本体
13 壁(遮音構造)
16 音源(室外に存在する遮音評価対象騒音源)
18 空調設備(室内に存在する暗騒音源)
24,26,28,30,32,34 スピーカ
40 ヘッドホン
43 キーボード(フィルタ特性データ選択手段)
44 音源録音再生装置(遮音評価対象音声信号発生手段)
54 ディジタルフィルタ
56 メモリ(遮音特性メモリ)
58 暗騒音源DSP(ノイズ信号発生手段)
60 位相シフタ(位相シフト手段)

Claims (3)

  1. 各種遮音構造の遮音特性に相当する複数種類のフィルタ特性データを保持する遮音特性メモリと、
    この遮音特性メモリに記憶された複数種類のフィルタ特性データの中から操作者の選択操作により任意に選択指示されたフィルタ特性データを読み出すフィルタ特性データ選択手段と、
    室外に存在する遮音評価対象騒音源から発生する騒音に相当する遮音評価対象の音声信号をステレオ信号で発生する遮音評価対象音声信号発生手段と、
    前記遮音特性メモリから読み出されたフィルタ特性に設定されて、前記遮音評価対象音声信号に対し該当するフィルタ特性を付与して出力するディジタルフィルタと、
    室内に存在する暗騒音源から発生する暗騒音に相当するノイズ信号を発生するノイズ信号発生手段と、
    この発生されたノイズ信号の位相をシフトして、位相が相互にずれた複数チャンネルのノイズ信号を生成する位相シフト手段と、
    前記フィルタ特性が付与された前記遮音評価対象音声信号と当該フィルタ特性が付与されてなくかつ前記位相シフトされた前記複数チャンネルのノイズ信号を再生するスピーカまたはヘッドホンと
    を具備してなる遮音シミュレータ。
  2. 前記ノイズ信号が概ねNC曲線に沿った周波数特性を有してなる請求項記載の遮音シミュレータ。
  3. 前記ディジタルフィルタは、
    前記遮音評価対象音声信号入力して該信号を高域と低域に分割する手段と、
    該分割された高域の信号に対して高域側の遮音特性を付与する高域遮音フィルタと、
    該高域遮音フィルタに比べて低いサンプリングレートで、前記分割された低域の信号に対して低域側の遮音特性を付与する低域遮音フィルタと
    を具備することを特徴とする請求項1または2記載の遮音シミュレータ。
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