JP3752644B2 - 中空杭の支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、中掘工法に使用する中空杭の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中掘工法では、中空杭の上端に、掘削によって排出される土砂を一時的に貯留するための排土ホッパーを載せた状態で、掘削ロッドのオーガースクリューで杭穴を掘削しつつ中空杭を沈設させていた。この場合、中空杭の上端部に、排土ホッパー下端部のスカートを被せていた。従って、施工中に、中空杭が掘削ロッドの回転に従って回動することがあり、一旦中空杭が回動を始めると施工が困難となっていた。
【0003】
従来の一般的な中掘工法に対して、施工効率と支持力とを増すために、中空杭を所定高さに保持して中空杭の回転を抑制しつつ、中空杭の外径よりも大径の杭穴を掘削して、中空杭を沈設する方法も試みられている。この場合、中空杭を支持するため、排土ホッパーを杭打ち機に固定し、中空杭を排土ホッパーに固定させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
既存の排土ホッパーを使用して、中空杭より大径の杭穴を掘削する中掘工法を実施する場合、排土ホッパーのスカート部分に杭を保持する機能を持った装置を取付けなければならなかった。この場合、掘削ロッドの回転により、中空杭を回転させようとする回転力が働き、排土ホッパーのスカート部分で中空杭の回転を阻止するねじりが生じ、排土ホッパーの破損を生じる問題点があった。本来、排土ホッパーは中空杭にスカートをかぶせ、中空杭への圧入力を与える作用しかなく、中空杭を支持すること及び回転力に抗する強度を有しないからである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明は、中空杭の支持部を有し、杭打ち機のリーダーパイプに嵌装できる支持腕を設けて、中空杭の支持装置を構成したので、前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの発明は、中掘用の中空杭の中空部と連通できる中空部を有する筒状本体の下端部に、前記中空杭の上端部を着脱自在に支持できる支持部を形成し、前記筒状本体の上端部に排土ホッパーのスカートと連結できる連結部を形成し、前記筒状本体の中間部の外面に、杭打ち機のリーダーパイプに嵌装して摺動できる把持部を有する把持具を突設してなり、前記把持部は大形のリーダーパイプ用の把持体と小形のリーダーパイプ用の把持体とを選択して使用可能としたことを特徴とする中掘工法用の中空杭の支持装置である。
【0007】
前記における支持部は、中空杭を支持できれば、その構造は問わない。例えば、中掘用の中空杭を挿入できる嵌装筒の外面に中空杭を掛脱できる係止爪を設けて構成する。
【0008】
また、前記における連結部は、排土ホッパーと着脱自在に連結できればその構造は問わない。例えば、排土ホッパーのスカートにピン孔を設け、該ピン孔から挿入したピンを係止できる係止部が形成されていれば良い。
【0009】
【実施の態様】
中掘用の中空杭の中空部と連通できる中空部を有する口径の筒状本体を形成する。筒状本体の下端部に、中空杭の上端部を嵌挿できる嵌挿筒を連設し、中空杭に掛脱できる係止爪を設けて支持部を形成する。筒状本体の上端部に、排土ホッパーと連結できる連結部を形成する。筒状本体の中間部外面に、杭打ち機のリーダーパイプに嵌装して摺動できる把持部を有する支持腕を突設して中掘工法用の排土ホッパーの連結装置を構成する。
【0010】
【作用】
連結装置の中空部内に掘削ロッドを挿通すると共に、支持部に中空杭を着脱自在に支持できるので、杭の回動を規制して、掘削ロッドを回動させることができると共に、搬送された掘削土を杭内から上方に中空部を通って排土ホッパーまで搬送できる。
【0011】
また、掘削ロッドの回動による中空杭の回転力により、支持装置に発生する回転力は把持具を介して杭打ち機のリーダーパイプに伝わり、支持装置のねじれで吸収できる。従って、回転力が支持装置上方の排土ホッパーに伝わることを防止できる。
【0012】
【実施例1】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0013】
縦に配置した筒状本体1の上端部2に該筒状本体1より大径の外周を有する補強リング6を連設する。前記筒状本体1の上端部2外面1aに前記補強リング6の下面に当接するように、排土ホッパー36と連結するための1組のリブ8、8aを複数組放射状に固定する。前記1組のリブ8、8aは所定間隔を空けて配置され、1組のリブ8、8aは円周上で等間隔に配置されている。また、リブの間隙9が、排土ホッパー36のスカート37からのピンの係止部を構成する。前記補強リング6の中空部(内径)7と筒状本体1の中空部(内径)5とはほぼ同一に形成されている。前記における補強リング6、リブ8、8aなどにより連結部を構成する。また、この場合、排土ホッパー36への加工は、スカート37にピン39の挿通孔38を穿設して、該挿通孔38の孔壁の補強(補強筒の連設)のみで済む(図4)。
【0014】
また、前記筒状本体1の下端部4に、該筒状本体1より大径の外周を有するリング10を連設すると共に、該リング10に、杭に嵌装して連結するための嵌装筒12を連通する。前記嵌装筒12の外面12aに、直径対称な位置に係止爪15を軸止する。係止爪15は、その基端部16が嵌装筒12の外面12aに突設した軸受け板14、14に、垂直面内に回動自在に、取り付けられている。また、係止爪15の先端部に内向きかつ上向きに係止部17が形成されている。また、前記嵌装筒12の外面12aに等間隔放射状に、小径の固定筒18、18を突設して、嵌装筒12に固定筒18に対応連通する透孔19を穿設する。前記における嵌装筒12、係止爪15などにより支持部を構成する。
【0015】
前記筒状本体1の中間部3の外面1aに、杭打ち機に設けられたリーダーパイプ35に嵌装できる把持具20を固定する。前記把持具20は、所定間隔で横に並列して前記筒状本体1に固定されたた基板22、22の上下に補強板23、23を連結固定して、該基板22、22間に、角筒体24を着脱自在に固定してなる基部21と、該基部21の先端部に、杭打機のリーダーパイプ35に嵌装できる半筒状の把持部28(30)を着脱自在に連設して構成する。前記角筒体24の外面に固定板26を横方向に突設してあり、該固定板26及び角筒体24にはボルト孔25、27を夫々穿設してある。大のリーダーパイプ(通常は間隙600mm)を使用する際には、固定板26のボルト孔27、27を使用して、半筒形の把持体29を有する把持部28を固定して使用する(図3(a))。また、小形のリーダーパイプ(通常は間隙330mm)を使用する際には、角筒体24のボルト孔25、25を使用して半筒形の把持体31を有する把持部30を固定する(図3(b))。
【0016】
以上のようにして、支持装置33を構成する(図1〜3)。
【0017】
次に、前記実施例に基づきこの発明の支持装置33の使用について説明する。
【0018】
支持装置33の把持具20を杭打ち機のリーダーパイプ35、35に嵌装させて、支持装置33をリーダーパイプ35、35に沿って昇降自在に設置する。続いて、杭打ち機の排土ホッパー36の下端部に形成された筒状のスカート37に、支持装置33の上端部を嵌挿し、スカート37の貫通孔38、38からピン39を嵌挿し、該ピン39の先端部を、支持装置33のリブ8、8aの間隙9に嵌挿係止する。ピン39に、補強リング6が係止して支持装置33の落下が阻止させる共に、リブ8、8aにより回動も規制される。前記貫通孔38とリブの間隙9とは対応させて配置させている。
【0019】
また、支持装置33の下端部の嵌装筒12に、上端にキャップ43を連結した中空杭40を嵌挿設置する。支持装置33の係止爪15の係止部17をキャップ43のリング44係止押圧して、キャップ43の上縁を支持装置33のリング10の下縁に当接密着させる(図4)。
【0020】
この状態で、中空部は、中空杭40、キャップ43、支持装置33、排土ホッパー36までほぼ同内径で連通する。また、従来の中掘工法と同様に、中空部内には掘削ロッド(図示していない)が挿通され、中空杭40を所定高さに保持しながら、掘削ロッドで、中空杭40の外径より大径の杭穴を掘削しつつ、中空杭を沈設する。
【0021】
この際、掘削ロッドによる掘削に従って、掘削ロッドに沿って、掘削土が中空部42内を上昇して排土ホッパー36まで搬送される。また、この際、掘削ロッドの回転により、掘削土を介して、掘削ロッドの回転が中空杭40や支持装置33に伝わるが、当該回転は、支持装置33の把持具20を介してリーダーパイプ35に伝わるので、支持装置33のねじれによりこの回転力を吸収して、支持装置33の上端の連結部の回動を防ぐことができる。従って、支持装置33に連結した排土ホッパー36のスカート37の破壊を防止できる。
【0022】
前記において、キャップ43と中空杭40とを直接連結したが、中空杭を地上より深く沈設する場合には、必要に応じてキャップ43と中空杭40との間に、中継ぎ部材を介装することもできる(図示していない)。
【0023】
前記実施例において、嵌装筒12に比して、口径が小さい中空杭40aを使用する場合には、補助筒50を使用することもできる(図5)。補助筒50は、嵌装筒12に内装できるリング51の下面に、中空杭40a用のキャップ43aに嵌装できる内径の保護筒52を突設し、前記リング51の上面に杭40aの内径に応じた内径を有する内装筒53を突設して構成される。使用時には、支持装置33の下端から補助筒50を挿入し、リング51をリング10の下面に当接させ、補強筒50からピン39を挿入して、リング51を、ピン39とリング10との間に挟み、仮止めする。この状態で、キャップ43aを装着した中空杭40aを嵌装筒12内に挿入し、補助筒50の保護筒52に嵌挿し、同様に係止爪15でキャップ43aを係止固定する(図5)。また、この際、補助筒50の上端は排土ホッパー36内に位置する。
【0024】
また、前記実施例において、連結部を補強リング6、リブ8、8aなどにより構成して、ピン39により排土ホッパー36と連結したが、排土ホッパー36のスカート37と連結連通でき、中空杭40からの掘削土を排土ホッパー36まで搬送できれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。例えば、排土ホッパー36のスカート37の外面にフックを設けた場合には、筒状本体1の上端部に、このフックと係止めする受け部(突起等)を形成する(図示していない)。
【0025】
また、前記実施例において、支持部を嵌装筒12、係止爪15などにより構成したが、中空杭40(通常はキャップ43を嵌装してある)を着脱自在に連結できれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。
【0026】
また、前記実施例において、把持具20は、基部21と把持部28とから構成したが、筒状本体1に固定でき、かつ、杭打機のリーダーパイプ35に着脱自在に嵌装できる構造であれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。
【0027】
【発明の効果】
この発明の支持装置によれは、掘削ロッドの回動による支持装置に発生する回転力は把持具により杭打ち機のリーダーパイプに伝えられ、支持装置の回動は阻止されるので、上方に連結される排土ホッパーに回動が伝わらず、排土ホッパーの破損を未然に防止できる効果がある。従って、この発明の支持装置を使えば、既存の排土ホッパーを使用して、中空杭の外径より大径の杭穴を掘削する中掘工法を実施できる。また、この発明の支持装置によれば、中空部内に掘削ロッドを挿通して、支持部に中空杭を着脱自在に支持できるので、従来と同様に掘削土を排土ホッパーに上げ、中掘工法による中空杭の効率良い沈設ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の正面図である。
【図2】同じく把持部を外した状態の右側面図である。
【図3】(a)(b)は、図1のA−A線における断面図である。
【図4】同じく使用状態の縦断面図である。
【図5】他の実施例で、一部を異なる破切位置とした縦断面図である。
【符号の説明】
1 筒状本体
5 中空部(筒状本体)
6 補強リング
8、8a リブ
9 リブの間隙
10 リング
12 嵌装筒
14 軸受板
15 係止爪
17 係止部
20 把持具
21 基部(把持具)
28 把持部(把持具)
30 把持部(把持具)
33 支持装置
35 リーダーパイプ
36 排土ホッパー
37 排土ホッパーのスカート
36a 排土ホッパーの下端部
40、40a 中空杭
43、43a キャッ
50 補助筒

Claims (2)

  1. 中掘用の中空杭の中空部と連通できる中空部を有する筒状本体の下端部に、前記中空杭の上端部を着脱自在に支持できる支持部を形成し、前記筒状本体の上端部に排土ホッパーのスカートと連結できる連結部を形成し、前記筒状本体の中間部の外面に、杭打ち機のリーダーパイプに嵌装して摺動できる把持部を有する把持具を突設してなり、
    前記把持部は大形のリーダーパイプ用の把持体と小形のリーダーパイプ用の把持体とを選択して使用可能としたことを特徴とする中掘工法用の中空杭の支持装置。
  2. 筒状本体内に補助筒を嵌挿し、該補助筒の下端部を連結部に着脱自在に取り付けた請求項1記載の中掘工法用の中空杭の支持装置。
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