JP3752595B2 - 電極チップの組付方法と組付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接ロボットが行うスポット溶接に使用する電極チップを溶接ロボットのシャンク部に組み付ける方法と装置に関し、特に、電極チップ先端の溶接用加圧面が、基部の軸心からずれた位置に配置されている偏心タイプ(エキセントリックタイプ)の電極チップの組付方法と組付装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、溶接部位の周囲のスペースに制限がある場合等では、偏心タイプの電極チップを使用して、スポット溶接を行っていた。偏心タイプの電極チップは、通常の電極チップと同様に、断面円形とした円柱状の基部と、基部の先端に配置される先細り状の先端部と、を備えて、基部の元部側端面には、溶接ロボットのアーム先端のシャンク部に嵌合可能な組付孔が開口され、先端部の先端面には、溶接用加圧面が形成されていた。そして、溶接用加圧面が、通常の電極チップと相違して、基部の軸心からずれた位置に配置されて、構成されていた。
【0003】
この偏心タイプの電極チップを使用したスポット溶接を、溶接ロボットが行っている場合には、偏心タイプの電極チップを交換する際、通常の電極チップと相違して、溶接ロボット側のシャンク部に対して、溶接加圧面を所定位置に正確に配置させる必要がある。そのため、従来は、溶接ロボットの作動を停止させて、溶接ロボットのアーム先端のシャンク部から、使用済みの電極チップを取り外し、溶接用加圧面が所定位置に配置されるように、確認しつつ、手作業により、新たな電極チップをシャンク部に組み付けていた。
【0004】
ちなみに、通常の電極チップは、断面円形とした円柱状の基部の軸心に対して、先端部の溶接加圧面が同心的に形成されているため、単に、基部の組付孔に嵌合させるだけで、シャンク部に組み付けることができる。そのため、通常の電極チップでは、シャンク部への組付を容易に行うことができ、自動化も容易であった。
【0005】
しかし、偏心タイプの電極チップのシャンク部への組付には、既述したように、溶接用加圧面を所定位置に配置させる必要があることから、注意深く手作業で行うこととなって、大変手間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、偏心タイプとしていても、容易に溶接ロボット側のシャンク部に組み付けることができる電極チップの組付方法と組付装置とを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電極チップの組付方法は、溶接ロボットによるスポット溶接に使用する電極チップが、円柱状の基部と、該基部の先端に配置される先細り状の先端部と、を備えて、
前記基部の元部側端面に、前記溶接ロボットのアーム先端のシャンク部に嵌合可能な組付孔が開口され、
前記先端部の先端面に、溶接用加圧面が形成され、
前記溶接用加圧面が、前記基部の軸心からずれた位置に配置されている電極チップを前記シャンク部に組み付ける電極チップの組付方法であって、
前記電極チップの前記基部の外周面に、前記基部の軸心に対する前記溶接用加圧面の配置位置を一定に設定可能な基準面が、前記基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成されるとともに、
前記二つの平坦面が、前記基部の軸心を間にして、前記軸心に沿いかつ相互に平行に、形成され、
前記電極チップの組付時における前記溶接ロボットの前記シャンク部の配置位置において、
先頭の前記電極チップを、前記シャンク部に嵌合可能に、前記組付孔を前記シャンク部側へ露出させた状態として、
後続の複数の前記電極チップを、前記平坦面相互を当接させた状態で、かつ、先頭の前記電極チップ側へ移動可能に押圧された状態として、整列させて、待機させておき、
前記シャンク部を、先頭の前記電極チップの前記組付孔に嵌合させて、前記電極チップを前記シャンク部に組み付けることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電極チップの組付装置は、溶接ロボットによるスポット溶接に使用する電極チップが、円柱状の基部と、該基部の先端に配置される先細り状の先端部と、を備えて、
前記基部の元部側端面に、前記溶接ロボットのアーム先端のシャンク部に嵌合可能な組付孔が開口され、
前記先端部の先端面に、溶接用加圧面が形成され、
前記溶接用加圧面が、前記基部の軸心からずれた位置に配置されている電極チップを前記シャンク部に組み付ける電極チップの組付装置であって、
前記電極チップの前記基部の外周面に、前記基部の軸心に対する前記溶接用加圧面の配置位置を一定に設定可能な基準面が、前記基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成されるとともに、
前記二つの平坦面が、前記基部の軸心を間にして、前記軸心に沿いかつ相互に平行に、形成され、
前記電極チップの組付時における前記溶接ロボットの前記シャンク部の配置位置において、
カートリッジケースを取替え可能としてかつ前記カートリッジケースを保持可能なクランプ装置が、配設され、
前記カートリッジケースが、先端側に、前記シャンク部の配置位置に開口して、前記電極チップを取り出し可能な取り出し口を有するとともに、内部に収納した複数の前記電極チップを前記取り出し口側へ移動可能に付勢する付勢手段を内蔵させて構成され、
前記カートリッジ内に、前記平坦面相互を当接させた状態で、先頭の前記電極チップを前記取り出し口に配置させ、かつ、後続の前記電極チップを前記付勢手段によって押圧させて、収納していることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る組付方法と組付装置に使用する電極チップでは、基部の外周面に、基部の軸心に対する溶接用加圧面の配置位置を一定に設定可能な基準面が、形成されていることから、この基準面を基準として、基準面と溶接用加圧面との配置関係を考慮しつつ、シャンク部に対して電極チップを配置させて、基部の組付孔にシャンク部を嵌合させれば、偏心タイプの電極チップを、容易にかつ正確に、溶接ロボット側のシャンク部に組み付けることができる。
【0010】
そして、基部の基準面は、基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成され、それらの二つの平坦面が、基部の軸心を間にして、その軸心に沿いかつ相互に平行に、形成されていることから、複数の電極チップを、平坦面相互を当接させて、整列させることができる。そのため、整列された各電極チップは、隣接する電極チップの平坦面によって、基部の軸心周りの回転が規制され、溶接用加圧面と基準面との配置関係を、一定にして、待機させることができる。その結果、自動化された溶接ロボットにティーチングさせて、シャンク部が、所定の運動軌跡を移動するように設定すれば、自動的に、偏心タイプの電極チップを組み付けることも可能となる。さらに、このような電極チップは、基準面が、単に、基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成されているだけであり、従来形状の偏心タイプの電極チップにおける基部の外周面の二箇所に、フライス加工等の切削加工を施して、二つの平坦面を簡単に形成できることから、従来形状の偏心タイプの電極チップから、容易に製造することもできる。
【0011】
そして、本発明に係る組付方法では、電極チップの組付時における溶接ロボットのシャンク部の配置位置(組付位置)において、先頭の電極チップが、シャンク部に嵌合可能に、組付孔をシャンク部側へ露出させた状態とし、後続の複数の電極チップが、平坦面相互を当接させた状態で、かつ、先頭の電極チップ側へ移動可能に押圧された状態として、整列させて待機させておけば、先頭の電極チップが組み付けられた後、後続の電極チップが、順次、シャンク部への組付位置に配置可能となり、容易に、自動化して、偏心タイプの複数の電極チップを、順次、溶接ロボット側のシャンク部へ組み付けることができる。
【0012】
さらにまた、本発明に係る組付装置では、カートリッジケース内に、平坦面相互を当接させた状態で、先頭の電極チップを、カートリッジケースの取り出し口に配置させ、かつ、後続の電極チップを、カートリッジケース内の付勢手段によって押圧させて、カートリッジケース内に整列させて複数個収納させることができる。
【0013】
このような構成では、所定数の電極チップを、所定数ごと、カートリッジケース内に収納させて、運搬や管理等することができるため、偏心タイプの電極チップの取り扱いが容易となる。
【0014】
そして、電極チップの組付時における溶接ロボットのシャンク部の配置位置(組付位置)に、カートリッジケースを取替え可能としてかつカートリッジケースを保持可能なクランプ装置を、配設しておき、カートリッジケースをクランプ装置に保持させておけば、先頭の電極チップが組み付けられた後、後続の電極チップが、順次、シャンク部への組付位置となる取り出し口に配置可能となり、容易に、自動化して、偏心タイプの複数の電極チップを、順次、溶接ロボット側のシャンク部へ組み付けることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の電極チップ10(10U・10D)は、図2〜3に示すように、円柱状の基部11と、基部11の先端に配置される先細り状の先端部18と、を備えて構成されている。基部11の元部側端面には、溶接ロボット1(図1参照)のアーム2の先端におけるサーボガン4の各シャンク部5・6に嵌合可能な組付孔12が、円形に開口されている。組付孔12は、先端部18側にかけて内径寸法を狭めるテーパ孔としている。先端部18の先端面には、溶接用加圧面19が形成され、この溶接用加圧面19は、基部11(組付孔12)の軸心Oからずれた位置に配置されている。
【0016】
そして、実施形態の電極チップ10は、基部11の外周面に、基部11の軸心Oに対する溶接用加圧面19の配置位置を一定に設定可能な基準面14が、周囲の円弧状の一般外周面13から、曲げられて形成されている。実施形態の場合、基準面14は、基部11の全長にわたって形成される二つの平坦面15・16から構成され、二つの平坦面15・16は、基部11の軸心Oを間にして、軸心Oに沿いかつ相互に平行に、形成されている。さらに、実施形態の場合には、図3に示すように、溶接加圧面19の軸心Oからずれた方向に沿うように、平坦面15・16を相互に平行に形成している。
【0017】
実施形態の電極チップ10は、二個一対として使用され、溶接ロボット1のアーム2の先端におけるサーボガン4の各シャンク部5・6に、組付孔12を嵌合させて、組み付けられている。
【0018】
なお、サ−ボガン4は、汎用のものであり、図1に示すように、多関節の溶接ロボット1のア−ム2の先端に保持され、演算機能を備えて、図示しないサ−ボモ−タの回転数制御・トルク制御を行なって、電極チップ10U・10Dの位置制御や加圧力制御等を行なえるものである。
【0019】
また、図1に示す符号3は、溶接ロボット1、サ−ボガン4、及び、ドレッサ−8の作動を制御する制御装置である。また、W1・W2は、溶接ロボット1が溶接加工を行なう溶接ラインでの加工地点であり、それらの加工地点W1・W2では、図2に示すように、所定数、所定箇所で打点(スポット溶接)して所定の板金P1・P2等を、溶接して連結することとなる。
【0020】
ドレッサ−8は、図1に示すように、溶接ロボット1の作動によるサーボガン4の稼動範囲内で、支持フレ−ム7に支持されている。ドレッサ−8は、電極チップ10U・10Dを研磨可能なカッタ機構8aと、電極チップ10U・10Dのシャンク部5・6からの抜き取りを行なうチップ抜き取り機構8bと、を備えて構成されている。
【0021】
支持フレーム7には、各シャンク部5・6から電極チップ10U・10Dを抜き取った後に、新たな電極チップ10U・10Dを組み付けるための組付装置21が、保持されている。組付装置21は、クランプ装置22と、カートリッジケース40(40U・40D)と、を備えて構成されている。
【0022】
カートリッジケース40は、図11・12に示すように、所定数(実施形態では、11個)の電極チップ10を収納するものであり、上方側と下方側のシャンク部5・6に組付可能に、二種類のカートリッジケース40U・40Dが使用されている。
【0023】
各カートリッジケース40U・40Dは、四角筒形状として、底壁部41と、底壁部41の左右両側から上方に延びる側壁部42・43と、底壁部41と対向するように配設されて、側壁部42・43の上端相互を連結する天井壁部44と、ケース40U・40Dの前方側と後方側とを塞ぐ前壁部45・後壁部46と、を備えて構成されている。各ケース40U・40Dの内部には、それぞれ、収納した最後部の電極チップ10U・10Dに当接する押圧片51と、押圧片51を前壁部45側へ付勢する付勢手段としての圧縮コイルばね53と、が配設されている。後壁部46には、コイルばね53の後端側を支持するばね座47が配設されている。
【0024】
各ケース40U・40Dの側壁部42・43の間の距離Bは、電極チップ10U・10Dの一般外周面13の外形寸法D(図3参照)より、僅かに小さい寸法に設定され、底壁部41と天井壁部44との間の距離Hは、電極チップ10U・10Dの軸方向の長さ寸法L(図2参照)より、僅かに小さい寸法に設定されている。
【0025】
また、各側壁部42・43には、ケース40U・40D内に収納された電極チップ10U・10Dを確認できるように、表裏を貫通する複数の孔42a・43aが開口されている。
【0026】
そして、各ケース40U・40Dの前端側には、収納した電極チップ10U・10Dを取り出し可能に取り出し口48(48U・48D)が開口されている。上方のシャンク部5に組み付けられる電極チップ10Uを収納するカートリッジケース40Uでは、取り出し口48Uは、前壁部45と天井壁部44の先端との間に電極チップ10Uにおける平坦面15・16間の距離d分、若しくは、その寸法より僅かに大きな寸法分、を空けるように、天井壁部44の前端が切り欠かれて、前壁部45の後方側で、上方に開口されている。下方のシャンク部6に組み付けられる電極チップ10Dを収納するカートリッジケース40Dでは、取り出し口48Dは、前壁部45と底壁部41の前端との間に距離d分、若しくは、その寸法より僅かに大きな寸法分、を空けるように、底壁部44の前端が切り欠かれて、前壁部45の後方側で、下方に開口されている。
【0027】
なお、実施形態のカートリッジケース40Uでは、取り出し口48Uの下方に、底壁部41の前端を切り欠いて、誤組付防止用の組付凹部49が形成され、カートリッジケース40Dでは、取り出し口48Dの上方に、天井壁部44の前端を切り欠いて、誤組付防止用の組付凹部49が形成されている。各組付凹部49には、各カートリッジケース40U・40Dをクランプ装置22の後述する所定のクランプ本体24(24U・24D)へ装着する際に、ストッパ板32が、嵌合される。そして、適正なクランプ本体24U・24D側にケース40U・40Dを挿入させた際にのみ、ストッパ板32が、組付凹部49に嵌合されて、底壁部41や天井壁部44の前端に当接される。
【0028】
ちなみに、各組付凹部49にストッパ板32が嵌合された際には、カートリッジケース40U側では、底壁部41の上面が、ストッパ板32の上面と面一に連なり、取り出し口48Uの下方で組付凹部49によって開口された部位が、閉塞されることとなる。同様に、カートリッジケース40D側では、天井壁部44の下面が、ストッパ板32の下面と面一に連なり、取り出し口48Dの上方で組付凹部49によって開口された部位が、閉塞されることとなる。
【0029】
また、各カートリッジケース40U・40Dの天井壁部44における前部側の上面には、所定の板材が固着されて、四つの係止突起44a・44b・44c・44dが、相互に所定の間隔を空けるように、突設されている。これらの係止突起44a・44b・44c・44dは、各ケース40U・40Dの上下を間違えてクランプ装置22に組み付けず、かつ、各ケース40U・40Dの組付完了時には、クランプ装置22からの抜け防止を図れるように、設けられている。
【0030】
クランプ装置22は、図1・4・8・9に示すように、支持フレーム7に支持固定されたベース23の上面側に配置される二つのクランプ本体24(24U・24D)と、各クランプ本体24U・24Dの上面側に配置されるトグル機構34と、を備えて構成されている。
【0031】
各クランプ本体24U・24Dは、図4〜10に示すように、ベース23から所定間隔を空けて上方に延びる左右の側壁部25・26と、側壁部25・26の上端相互を連結するように配設される上蓋部27と、側壁部25・26の前端相互を連結する前壁部28と、を備えて構成されている。
【0032】
そして、各クランプ本体24U・24Dは、ベース23と、上蓋部27と、左右の側壁部25・26と、で囲まれて略長方形形状に開口する挿入孔部24aを備えている。これらの挿入孔部24aは、各ケース40U・40Dを嵌挿可能な形状に開口され、クランプ本体24の前壁部28の後面に前壁部45の前面が当接するまで、これらの挿入孔部24aに挿入されて、カートリッジケース40U・40Dが各クランプ本体24U・24Dに組み付けられることとなる。
【0033】
各挿入孔部24aの後端側の開口部位には、図6〜8に示すように、上蓋部27の下面における左右方向の中央から下方に突出する凸部27aが配設されている。凸部27aは、各ケース40U・40Dにおける天井壁部44の上面から各係止突起44a・44b・44c・44dの突出する略高さ寸法分、上蓋部27の下面から突出し、また、凸部27aの左右方向の幅寸法は、各係止突起44a・44b間や係止突起44c・44d間の距離分より、僅かに小さくしている。これらの凸部27aは、各挿入孔部24aに各ケース40U・40Dが挿入される際、各ケース40U・40Dが適正に天井壁部44側を上面側としている場合に、係止突起44a・44b間と係止突起44c・44d間とを通過して、各挿入孔部24aに各ケース40U・40Dを挿入可能とし、逆に、天井壁部44側を下面側として、各ケース40U・40Dを各挿入孔部24aに挿入させた場合には、各ケース40U・40Dの底壁部41と摺接して、係止突起44a・44bを、挿入孔部24aの周縁におけるベース23に当接させ、各挿入孔部24aに各ケース40U・40Dを挿入不能とさせるものである。
【0034】
また、各クランプ本体24U・24Dの前端側では、図4・6・7・10に示すように、側壁部25・26が、上蓋部27とベース23とから前方側に突出するように配設されている。そして、各側壁部25・26の上蓋部27やベース23から前方側へ突出した部位の上下面には、それぞれ、段差凹部25a・25b・26a・26bが形成されている。そして、ケース40Uを挿入させるクランプ本体24Uには、下方側の段差凹部25b・26bに嵌合されて、側壁部25・26間の下方側を塞ぐストッパ板32が配設されている。また、ケース40Dを挿入させるクランプ本体24Dには、上方の段差凹部25a・26aに嵌合させて、側壁部25・26間の上方側を塞ぐストッパ板32が配設されている。これらのストッパ板32は、既述したように、各ケース40U・40Dが対応する各クランプ本体24の挿入孔部24aに挿入された際に、各ケース40U・40Dの組付凹部49に嵌合されることとなる。
【0035】
さらに、各クランプ本体24U・24Dの前部側には、図4〜7・9に示すように、上蓋部27の代りに、押えブロック29が配設されている。各押えブロック29は、左右の側壁部25・26の上面に支持された圧縮コイルばね30によって、上方に付勢されるとともに、左右両側で、各側壁部25・26に締結された抜け止めボルト31により、上方への移動距離を規制されている。各押えブロック29の下面には、下方への移動時に、適正に、挿入孔部24a内にケース40U・40Dが挿入された際における係止突起44a・44c間や係止突起44b・44d間に嵌合可能に、係止凸部29aが突設されている(図9参照)。なお、各係止凸部29aは、押えブロック29が、コイルばね30に付勢され、かつ、抜け止めボルト31によって上方位置を規制されている状態では、図9の右側のクランプ本体24Uに示すように、上蓋部27の下面から下方に突出しないように設定されている。
【0036】
各トグル機構34は、操作レバー35を回動させて上方へ持ち上げた際、前端側の押圧ロッド36の下端36aを上方に上げ、操作レバー35を回動させて下方に押し下げた際には、押圧ロッド下端36aを下方に下げるように、構成されている。そして、各トグル機構34は、押圧ロッド下端36aを下方に押し下げた際に、押えブロック29を押し下げ、押えブロック29の係止凸部29aを、適正に配置された各カートリッジケース40U・40Dの係止突起44a・44c間や係止突起44b・44d間に、嵌合可能に構成されている。
【0037】
つぎに、実施形態の電極チップ10U・10Dを、溶接ロボット1のアーム2先端におけるサーボガン4の各シャンク部5・6への組み付ける作業について説明する。
【0038】
まず、各カートリッジケース40U・40D内に、取り出し口48から順次挿入させて、対応する電極チップ10U・10Dを所定数収納させておく。この時、各ケース40U・40D内の電極チップ10U・10Dは、底壁部41・側壁部42・43・天井壁部44で周囲を規制されて、平坦面15・16相互を当接させて、整列されることとなる。また、各ケース40U・40Dの取り出し口48から、先頭の電極チップ10U・10Dの基部11における元部側端面の全域が、露出している。
【0039】
そして、所定数の電極チップ10U・10Dを収納させたケース40U・40Dをクランプ装置22にセットして組み付けておく。この作業は、まず、各トグル機構34の操作レバー35を上方に持ち上げて、各押圧ロッド36の押圧力を解除し、各押えブロック29を上昇させておく。ついで、各天井壁部44側をそれぞれ上面側に配置させて、各前壁部45の前面が前壁部28の後面に当接するまで、ケース40Uをクランプ本体24Uの挿入孔部24aに挿入させ、同時に、ケース40Dをクランプ本体40Dの挿入孔部24aに挿入させる。その後、各トグル機構34の操作レバー35を押し下げて、各押圧ロッド36により、各押えブロック29を下降させ、各係止凸部29aを天井壁部44の係止突起44a・44c間と係止突起44b・44d間とに嵌合させれば、各ケース40U・40Dを、抜け不能に、クランプ装置22に装着することができる。その際、各ケース40U・40Dの取り出し口48U・48Dは、各シャンク部5・6の組付位置に配置されることとなる。
【0040】
一方、溶接ロボット1は、制御装置3に制御されて、ドレッサー8のカッタ機構8aを利用して、電極チップ10U・10Dを研磨しつつ、加工地点W1・W2で所定の溶接を行い、所定回数の溶接後、チップ抜き取り機構8bを利用して、使用済みの電極チップ10U・10Dが抜き取られることとなる。
【0041】
そして、溶接ロボット1は、アーム2の先端におけるサーボガン4の各シャンク部5・6を、組付装置21の配置位置まで移動させ、シャンク部5に新たな電極チップ10Uを組み付け、シャンク部6に新たな電極チップ10Dを組み付けることとなる。その際、シャンク部5は、図7・10の二点鎖線に示すように、組付装置21のクランプ装置22に保持されたカートリッジケース40Uの取り出し口48Uへ、上方から侵入して、先頭の電極チップ10Uの基部組付孔12に嵌合される。そして、嵌合後、シャンク部5が、上昇移動してクランプ装置22から離脱し、新たな電極チップ10Uがシャンク部5に組み付けられることとなる。同様に、シャンク部6は、図6・10の二点鎖線に示すように、クランプ装置22に保持されたカートリッジケース40Dの取り出し口48Dへ、下方から侵入して、先頭の電極チップ10Dの基部組付孔12に嵌合され、ついで、下降移動してクランプ装置22から離脱して、新なた電極チップ10Dがシャンク部6に組み付けられることとなる。なお、各シャンク部5・6が、各電極チップ10U・10Dの基部組付孔12に嵌合される際、電極チップ10U・10Dは、先端部18側がストッパ板32に支持されているため、移動することなく、円滑に、シャンク部5・6に嵌合組付されることとなる。
【0042】
また、先頭の電極チップ10U・10Dが抜き取られた各カートリッジケース40U・40D内では、コイルばね53の付勢力によって、後続の電極チップ10U・10Dが取り出し口48U・48D側へ移動して、新たな電極チップ10U・10Dが、シャンク部5・6への組付位置となる取り出し口48U・48Dの位置に配置されることとなり、その後のシャンク部5・6の組付位置への配置時に、順次、電極チップ10U・10Dが円滑にシャンク部5・6に組み付けられることとなる。
【0043】
そして、各ケース40U・40D内の電極チップ10U・10Dが全て使用されたならば、クランプ装置22のトグル機構34における操作レバー35を持ち上げて、空になったケース40U・40Dを抜き取り、電極チップ10U・10Dを充填させた新たなケース40U・40Dを、クランプ装置22に装着させて、溶接ロボット1の溶接作業を続行させればよい。
【0044】
以上のように、実施形態の偏心タイプの電極チップ10(10U・10D)では、基部11の外周面に、基部11の軸心Oに対する溶接用加圧面19の配置位置を一定に設定可能な基準面14が、形成されている。さらに、実施形態の場合には、基準面14が、基部11の全長にわたって形成される二つの平坦面15・16から構成され、それらの二つの平坦面15・16が、基部11の軸心Oを間にして、その軸心Oに沿いかつ相互に平行に、形成されていることから、複数の電極チップ10を、平坦面15・16相互を当接させて、整列させることができ、その際、整列された各電極チップ10は、隣接する電極チップ10の平坦面15・16によって、基部11の軸心周りの回転が規制され、溶接用加圧面19と基準面14との配置関係を、一定にして、組付位置に待機させることができる。
【0045】
特に、実施形態の場合には、電極チップ10(10U・10D)が、平坦面15・16相互を当接させた状態で、先頭の電極チップ10(10U・10D)を、取り出し口48(48U・48D)に配置させ、かつ、後続の電極チップ10を、付勢手段としてのコイルばね53によって取り出し口48側へ移動可能に押圧させて、カートリッジケース40(40U・40D)内に整列されて複数個収納されている。そして、カートリッジケース40は、電極チップ10の組付時における溶接ロボット1のシャンク部5・6の配置位置に配設されたクランプ装置22に対して、取替え可能として保持されている。
【0046】
そのため、ケース40をクランプ装置22に保持させておけば、先頭の電極チップ10が組み付けられた後、後続の電極チップ10が、順次、コイルばね53の付勢力によって、シャンク部5・6への組付位置となる取り出し口40に配置されることから、容易に、自動化して、偏心タイプの複数の電極チップ10を、順次、溶接ロボット1側のシャンク部5・6へ組み付けることができる。
【0047】
また、このような構成では、所定数の電極チップ10を、所定数ごと、カートリッジケース40内に収納させて、運搬や管理等することができるため、偏心タイプの電極チップ10の取り扱いが容易となる。
【0048】
さらに、このような電極チップ10は、基準面14が、単に、基部11の全長にわたって形成される二つの平坦面15・16から構成されているだけであり、従来形状の偏心タイプの電極チップにおける基部の外周面の二箇所に、フライス加工等の切削加工を施して、二つの平坦面15・16を簡単に形成できることから、従来形状の偏心タイプの電極チップから、容易に製造することもできる。
【0049】
なお、カートリッジケース40を使用することなく、電極チップ10の組付時における溶接ロボット1のシャンク部5・6の配置位置(組付位置)において、先頭の電極チップ10が、シャンク部5・6に嵌合可能に、組付孔12をシャンク部5・6側へ露出させた状態とし、後続の複数の電極チップ10が、平坦面15・16相互を当接させた状態で、かつ、先頭の電極チップ10側へ押圧された状態として、整列させて待機させておいてもよい。
【0050】
この場合、例えば、カートリッジケース40のような、取り出し口と収納した電極チップ10を取り出し口側へ移動可能に押圧する押圧手段を備えた収納部を、シャンク部5・6への組付位置に配置させておけば、取り出し口に配置された先頭の電極チップ10が組み付けられた後、後続の電極チップ10が、順次、シャンク部5・6への組付位置に配置可能となり、容易に、自動化して、偏心タイプの複数の電極チップ10を、順次、溶接ロボット1側のシャンク部5・6へ組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態の電極チップを使用した溶接ロボット付近を示す概略平面図である。
【図2】 同実施形態の電極チップを使用した溶接状態を示す概略図である。
【図3】 同実施形態の電極チップの平面図である。
【図4】 同実施形態におけるシャンク部への組付位置に電極チップを待機させるための組付装置の平面図である。
【図5】 同組付装置の側面図である。
【図6】 図4のVI―VI部位の概略断面図である。
【図7】 図4のVII―VII部位の概略断面図である。
【図8】 図4のVIII―VIII部位の概略断面図である。
【図9】 図4のIX―IX部位の概略断面図である。
【図10】 図4のX―X部位の概略断面図である。
【図11】 同実施形態の電極チップを収納するカートリッジケースの平面図である。
【図12】 同実施形態の電極チップを収納するカートリッジケースの側面図である。
【符号の説明】
1…溶接ロボット、
2…アーム、
5・6…シャンク部、
10(10U・10D)…電極チップ、
11…基部、
12…組付孔、
13…一般外周面、
14…基準面、
15・16…平坦面、
18…先端部、
19…溶接用加圧面、
22…クランプ装置、
40(40U・40D)…カートリッジケース、
48(48U・48D)…取り出し口、
53…(付勢手段)コイルばね、
O…軸心。
Claims (2)
- 溶接ロボットによるスポット溶接に使用する電極チップが、円柱状の基部と、該基部の先端に配置される先細り状の先端部と、を備えて、
前記基部の元部側端面に、前記溶接ロボットのアーム先端のシャンク部に嵌合可能な組付孔が開口され、
前記先端部の先端面に、溶接用加圧面が形成され、
前記溶接用加圧面が、前記基部の軸心からずれた位置に配置されている電極チップを前記シャンク部に組み付ける電極チップの組付方法であって、
前記電極チップの前記基部の外周面に、前記基部の軸心に対する前記溶接用加圧面の配置位置を一定に設定可能な基準面が、前記基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成されるとともに、
前記二つの平坦面が、前記基部の軸心を間にして、前記軸心に沿いかつ相互に平行に、形成され、
前記電極チップの組付時における前記溶接ロボットの前記シャンク部の配置位置において、
先頭の前記電極チップを、前記シャンク部に嵌合可能に、前記組付孔を前記シャンク部側へ露出させた状態として、
後続の複数の前記電極チップを、前記平坦面相互を当接させた状態で、かつ、先頭の前記電極チップ側へ移動可能に押圧された状態として、整列させて、待機させておき、
前記シャンク部を、先頭の前記電極チップの前記組付孔に嵌合させて、前記電極チップを前記シャンク部に組み付けることを特徴とする電極チップの組付方法。 - 溶接ロボットによるスポット溶接に使用する電極チップが、円柱状の基部と、該基部の先端に配置される先細り状の先端部と、を備えて、
前記基部の元部側端面に、前記溶接ロボットのアーム先端のシャンク部に嵌合可能な組付孔が開口され、
前記先端部の先端面に、溶接用加圧面が形成され、
前記溶接用加圧面が、前記基部の軸心からずれた位置に配置されている電極チップを前記シャンク部に組み付ける電極チップの組付装置であって、
前記電極チップの前記基部の外周面に、前記基部の軸心に対する前記溶接用加圧面の配置位置を一定に設定可能な基準面が、前記基部の全長にわたって形成される二つの平坦面から構成されるとともに、
前記二つの平坦面が、前記基部の軸心を間にして、前記軸心に沿いかつ相互に平行に、形成され、
前記電極チップの組付時における前記溶接ロボットの前記シャンク部の配置位置において、
カートリッジケースを取替え可能としてかつ前記カートリッジケースを保持可能なクランプ装置が、配設され、
前記カートリッジケースが、先端側に、前記シャンク部の配置位置に開口して、前記電極チップを取り出し可能な取り出し口を有するとともに、内部に収納した複数の前記電極チップを前記取り出し口側へ移動可能に付勢する付勢手段を内蔵させて構成され、
前記カートリッジ内に、前記平坦面相互を当接させた状態で、先頭の前記電極チップを前記取り出し口に配置させ、かつ、後続の前記電極チップを前記付勢手段によって押圧させて、収納していることを特徴とする電極チップの組付装置。
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