JP3752468B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置(半導体集積回路)の製造過程における、特に微細で深い溝や穴の加工に好適なドライエッチング技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライエッチング技術は、薬液を用いたウェットエッチング技術に比べて微細加工が容易に行えるため半導体集積回路(LSI)の製造に広く用いられている。従来の反応性イオンエッチング(RIE)法を用いた場合、エッチング時のガス圧は10mTorrから100mTorr、反応ガス流量は10sccmから100sccmである。RIE法においては、該圧力の下限よりも低いと放電が不安定になり、該圧力の上限よりも高いと等方性エッチングとなる。従来のドライエッチング装置では、排気速度が1000 l/sec以下のポンプが多用されており、上記反応ガス流量は上記ガス圧に設定可能な範囲の値が選ばれている。
【0003】
また、特公昭52−126174号やソリッド ステ−ト デバイシス アンド マテリアルズ p207,(1990)(Solid State Devices and Materials P207,(1990))にはマイクロ波プラズマエッチング(ECR)技術が開示されている。さらに、ドライプロセスシンポジウムp54,(1988)にはマグネトロン放電型RIEが、ジャ−ナル オブ バキュ−ム サイエンス テクノロジ ビ− 9(2)、310(1991)(Journal of Vacuum Science Technology B9(2),310(1991))にはヘリコン型RIE等のドライエッチング装置が開示されている。これらのドライエッチング装置の反応ガス圧力は0.5mTorr以上であり、ガス流量は20sccm以下である。エッチング速度は、例えば、ECRエッチング法の場合、被エッチング物として多結晶シリコン、反応ガスとして塩素(Cl2)を用い、ガス圧0.5mTorr、ガス流量20sccmとすると約300nm/minの値が得られている。
【0004】
従来のドライエッチング装置の1例として、マイクロ波ドライエッチング装置を図16に示す。101はマイクロ波発生部、102は導波管、104は反応ガス用導入口、105は反応ガス用配管、106はマスフロ−コントロ−ラ、107は発生したプラズマを高密度化するための電磁石、109はシリコンウェ−ハ、110は試料台、111はチャンバ−、112は高周波電源、114は真空ポンプ、117はエッチング処理室をそれぞれ示す。マイクロ波発生部101で発生したマイクロ波は導波管102を伝わりチャンバ−111内に導入され、該チャンバ−111内で反応ガスをプラズマ化する。該プラズマは、試料台110上のシリコンウェ−ハ表面をエッチングする。該ドライエッチング装置においては、一種類のガスは一本のガス配管105と一つのマスフロ−コントロ−ラ105を用いてチャンバ−111内に導入され、該ガス配管105はチャンバ−111に直接取り付けられている。そのガス導入口104の開口部の面積は、ガス配管105の断面積程度である。チャンバ−111内のガス圧は、チャンバ−内に導入される反応ガスの流量が多いほど高く、真空ポンプ114によるチャンバ−内の実効排気速度が大きいほど低くなる。ガス圧が1mtorr以上では数十sccm、0.1mtorr台の低ガス圧領域では数sccmの値が用いられている。また、実効排気速度は真空ポンプの排気速度と排気系統のコンダクタンスで決まり、従来の装置では400 l/sec以下である。
【0005】
導入するガス流量に対する処理室内圧力は次式で表される。
【0006】
P=(q+Q)/S …(1)式
ここで、P(Torr)は処理室内圧力(処理室内の場所により圧力が異なる場合はプラズマ放電部のガス圧力)、qはガスを導入しない場合の装置からのリーク量、Qは導入ガス流量(Torr・l/sec)、Sは装置の実効排気速度(l/sec)である。通常の場合、qはQの1/1000以下でありほとんど無視できる。従来装置では、例えば、ポンプの排気速度(S0)が約1000 l/sec以下のターボ分子ポンプを備え、処理室の排気コンダクタンス(C)は200 l/sec〜1000 l/secで、この時の実効排気速度S0は複数台の排気ポンプの排気速度S1からSn(nはポンプの台数を示す数値)と真空処理室の排気コンダクタンスCにより次式で表され、
1/S0=(1/ΣSn)+1/C …(2)式
従来は実効排気速度100〜400 l/secの排気を行っていた。従って、0.5mTorrにガス圧力を設定すると流すことができるガス流量は4〜20sccmとなっていた。
【0007】
一方、真空処理室内でのガスの流れやすさを表す量として、ガスの処理室内滞在時間があり、これは次式のように表される。
【0008】
τ=V/S(=PV/Q) …(3)式
ここで、Vは真空処理室の総容積である。従来装置においては、上記の通り実効排気速度が100〜400 l/secで、真空処理室容積が100〜300 l程度であり、ガス滞在時間は400msec〜3000msec程度となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
LSIの微細化に伴い、0.3μm程度の寸法の溝や穴の加工技術が要求されてきているが、従来のRIE法を用いたドライエッチングでは、ガス圧が高いためガスプラズマ中でのイオンの散乱等により基板に入射するイオンの方向性が乱れ、微細な寸法の溝や穴を高精度に加工することが困難である。
【0010】
反応ガス圧を低くすることにより、ガスプラズマ中のイオンの散乱を防止することができる。上記程度の寸法の溝や穴を異方性加工するためには、試料に入射する斜めイオンの入射角度を1°以下に抑える必要が有り、反応ガス圧(動作圧力)としては1mTorr以下、望ましくは0.5mTorr以下にする必要がある。但し、プラズマを安定に放電させるためには0.01mTorr以上の圧力が必要である。反応ガス圧の低いドライエッチング装置としては、上記ECRエッチング装置、マグネトロン放電型RIE装置及びヘリコン型RIE装置がある。しかしながら、従来のドライエッチング装置においては、反応ガス圧が低いと、エッチング速度が小さくなるという問題が生じる。すなわち、エッチングの方向性を高めることと、エッチング速度高めることとはドレ−ドオフの関係にあり両立することが困難である。
【0011】
さらに、LSIを形成するSiウェハの直径は大型化してきており、例えば、上記ECRエッチング装置では、ウェハを一枚ごとに真空処理室に搬送してエッチング処理する枚葉式ドライエッチング装置が用いられていた。このような装置を用いると、例えば6インチウェハで200nmの厚さのポリシリコンをエッチングするために、200〜300nm/minのエッチ速度で約1〜2分間の処理時間を要する。直径8インチのウェハを用いると、エッチ速度はエッチング面積依存性(いわゆるローディング効果)のために低下し、処理時間が2〜4分間に増え、エッチング処理速度(スループット)が低下するとの問題が生じる。高周波またはマイクロ波の入力パワーを増大してエッチング速度を高めてスル−プットを高めると、イオンエネルギが増大して選択性が低下するとの問題が発生する。上記枚葉式ドライエッチング装置を複数台用いて並列処理することにより、エッチング条件を変えることなくスループットの向上をはかることが可能であるが、装置コストが膨大になる。
【0012】
また、上記ECRエッチング装置では、ガス導入口の開口部の断面積が小さいために、実効的な排気速度を従来の装置よりも大きくしてエッチング処理室117を流れるガス流量を大きくし、例えば、1300 l/sec以上にすると、ガス導入口104からチャンバー111へガスが流れ込むときのガス流速が音速近くまで上昇し、流れの中に衝撃波が生じて流れの中の圧力が不均一になる。この状態では試料上のガス密度の均一性だけでなく、放電によるプラズマの不均一や不安定が生じて、エッチング速度の均一性の低下などの問題を生じる。このため、ガスの流速は音速以下、望ましくは音速の1/3以下にする必要がある。
【0013】
また、ガス導入口104が、エッチング処理室117の排気口である試料台110の横の部分に近いところにある構成では、ガス導入口からチャンバー内に入るガスがチャンバー全体に広がる前に排気口から排気されてしまい、効率よくガスが利用されないという問題があった。また、チャンバー形状によってはガスの流れが十分エッチング処理室117の中心に広がらないという問題があった。
【0014】
また、一種類のガスを流すのに一つのマスフローコントローラ106と一本のガス配管のみを用いていたので、エッチング処理室117内のガスの流れが偏るためにエッチングの均一性が悪くなるという問題があった。
【0015】
さらに、従来の上記装置ではウェハーの大口径化が進むにつれ、ガスの流れがエッチング処理室117の中心に十分広がらないという問題があった。
【0016】
本発明の主たる目的は、微細なパターンを高精度に、かつ、高速にエッチングすることのできるドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、スル−プットの大きなドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、異方性の高いドライエッチング方法及びドライエッチング装置を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、選択性の高いドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、1mTorr以下、望ましくは0.5mTorr以下の低ガス圧力において500nm/min以上、望ましくは1000nm/min以上の高エッチ速度を得るドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、均一性の良好なドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、ウェハ表面や処理室内壁への反応生成物の再付着による汚染の少ないドライエッチング技術を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の主たる特徴は以下のとおりである。
処理室内に、アルミニウム膜、タングステン膜、タングステンシリサイド膜、銅膜、GaAs膜、シリコン窒化膜の何れかの第1の膜が形成された半導体基体を設置する工程と、
前記処理室内にガスを供給し、前記ガスをプラズマ化し、前記プラズマにより、前記第1の膜をエッチング除去し、
前記処理室内のガスを実効排気速度500l/s以上で排気することにより達成される。
【0024】
図33に、本発明の具体的な排気速度、ガス圧力制御範囲とその効果を示す。前述したように、ガス圧力は、エッチング方向性(異方性)を制御するパラメータであり
、排気速度はエッチ速度を制御するパラメータである。従来エッチングでは、実効排気速度は約400 l/sec以下の低速排気のため、マイクロ波エッチング等高密度プラズマエッチング装置を用いても低エッチ速度の問題があり、また低ガス圧において入射粒子の方向性が揃ってもマスクとの選択比が小さいこと等のため実際には高異方性加工が困難であった。
【0025】
本発明の主な適用範囲は、図に示す三つの領域に分けることができる。すなわち、
(1)ガス圧力の領域によらず、従来の1.5倍以上の中程度のエッチ速度高速化を目的とする領域、すなわち、実効排気速度800 l/sec以上を必要とする領域、
(2)従来の1.5倍以上の中程度のエッチ速度高速化、従来の1.5倍以上の中程度の高異方性を目的とする領域、すなわち、実効排気速度500 l/sec以上、ガス圧力5mTorr以下を必要とする領域、
(3)従来の2倍以上の高速化、従来の2倍以上の高異方性を目的とする領域、すなわち、実効排気速度1300 l/sec以上、ガス圧力1mTorr以下を必要とする領域、
である。
【0026】
プロセス向上の点のみからすると(3)の方式が最適であるが、半導体製造プロセスには種々の加工工程があるため、装置のコストを考慮にいれると、低コストで要求性能を得るために、(1)や(2)の適用法も可能である。
【0027】
前述の(1)式により、ガス圧力P、排気速度S、ガス流量Qの関係は、P=Q/Sで表されるので、上記手段を満足するために必要なガス流量は必要最低ガス圧力を0.5mTorr、実効排気速度を800 l/secとすると32sccmとなる。しかし、実際にはガス圧力の微調整をするため、この変動分を考慮し、望ましくは40sccm以上となる。
【0028】
ここで、ガス圧力は0.01mTorr以下で放電が不安定になるので、ガス圧力の下限は0.01mTorrを越えることが望ましい。
【0029】
また、排気速度は装置の大きさを考慮にいれると、最大でも実効排気速度100000 l/secを越えるべきではない。
【0030】
また、ガス滞在時間は、真空処理室の容積と上記排気速度の上限、及びエッチング表面反応の反応時間を考慮に入れると、0.1msec以上とするべきである。
【0031】
また、ガス流量は、ガスの使用コストとガス流制御を考慮に入れると、10000sccmを越えるべきではない。
【0032】
第二に、前項の目的は、ガス導入口の面積を広げて導入ガスの流速を音速の1/3以下とすること、ガス導入口とガス配管の間にガスバッファ室を設けること、排気口と試料台とを近接して設け、該試料台とチャンバへのガス導入口取り付け位置を離すとともに、該チャンバ−の中心方向に設けること、マスフローコントローラでガス流量を制御してガスを流すガス配管及びガス導入口をチャンバーの周りに対称性よく複数取り付けること、ガスの流れを制御するじゃま板をチャンバー内に設けること、エッチング処理室の高さ/幅の比を0.5以上とすること、ガス導入口の高さをエッチング処理室の上部から1/3以内の位置に設けること、排気系とエッチング処理室の間に真空バッファ室を設けること、典型的には、ポンプの排気速度を2500 l/sec以上、望ましくは4000 l/sec以上にし、排気コンダクタンスを2000 l/sec以上、望ましくは3000 l/sec以上にして実効排気コンダクタンスを1300 l/sec以上にすること等により、効果的に達成される。
【0033】
第三に、前項の目的は、チャンバ−内における反応ガスの滞在時間を100msec以下とするとするとともに、さらに大型ベッセルを用いて大口径ウェハを多数枚を同時にバッチ処理することにより達成される。
【0034】
さらに、上記目的は、大型ベッセル内の試料台の中心部に排気口を設けること、大型ベッセルの真空室内に導入するガス流量を100sccm以上とすること、試料台となる電極面積を5000cm2以上とすること、処理室、及び排気管の総排気コンダクタンスを3300 l以上とし、かつ、排気速度5000 l/sec以上の排気ポンプを用いること、実効排気速度を2000 l/sec以上とすること等により、効果的に達成される。
【0035】
従来のドライエッチング装置では、ガス圧力を低くするとエッチング速度は著しく減少し、実用的なエッチング速度が得られなくなる。これは、ガス圧力を低くすると反応室内のイオン数が減少するためであると考えられている。本発明者らは、ガス圧力を低くし、かつ、高エッチング速度を得るために種々の検討を重ねた。その結果、イオンが最初に被エッチング物と衝突する際、エッチングが生じることを見出した。即ち、未反応のイオン(反応性ガス)が既反応イオン(反応生成物)に比べて反応室内に多数存在すれば、ガス圧力が同一でもエッチング速度を高めることができることを見出した。そこで、さらに、未反応のイオンと反応生成物との割合を決定する要因について検討を行った。
【0036】
図5は、ガス流量を変化させた時の反応性ガスと全入射粒子(反応性ガス+反応生成物)の基板への入射割合Rを計算した結果である。即ち、該入射割合Rは、
R=1/(1+2.735×102C1・A・P/(α・Q)) …(4)式
で与えられる。ここで、C1は被エッチング物及びエッチングガスにより決まる定数で、0.1から10の範囲の値を有する。Aはエッチングされる面積、Pはガス圧、αはガスの利用率を表し、エッチング装置における導入ガスの放電効率やエッチング処理室の形状等により決まる定数で10から100%の範囲の値を有する。Qはガス流量である。図5は、エッチング面積Aを78.5cm2、ガス利用率αを42%、ガス圧力を0.5mTorrとして表示したものである。この結果から、反応性ガスの割合はガス流量とともに増大することがわかる。一方、図6にガス流量を変化させた時のガス滞在時間の変化を式(3)を用いて計算で求めた結果を示す。ガス流量が増大するとガス滞在時間は急激に減少する。従って、ガス流量の増加にともないエッチング反応を阻害する反応生成物の処理室内滞在時間が減少し、速やかに処理室外に排気されるため、エッチング反応が促進され、エッチング速度が増大する。しかしながら、単にガス流量を大きくすると、図17に示すように動作圧力(ガス圧力)が大きくなり、その結果、異方性が低下する。動作圧力(ガス圧力)を変えず、ガス流量を大きくする方法については、図17に示すように実効排気速度(エッチング処理内部におけるガス流量)が大きいほど同一動作圧力でのガス導入口でのガス流量が大きくなることになる。即ち、実効排気速度を大きくすることにより、同一動作圧力でのガス流量を大きくすることができる。
【0037】
図7は反応性ガス及び全入射粒子の割合とガス滞在時間との関係を式(3)及び式(4)を用いて求めた結果を示す。なお、真空処理室内の総容積は100 l、エッチング面積Aは78.5cm2、ガス利用率αは42%として求めた。図7から、ガス滞在時間の減少とともに反応性ガスの割合が増大し、1secから100msecの間に大幅に変化することがわかる。従って、エッチング反応を効率良く行うためには、反応性ガスの割合をウェハ入射全粒子の60%以上とした場合、図5からガス流量を40sccm以上、望ましくは100sccm以上、また、図7からガス滞在時間を100msec以下、望ましくは50msec以下にすればよいことがわかる。
【0038】
エッチング処理室内の容積が1000 l以下の場合、該室内を流れるガス流量を1300 l/sec以上とすることにより、上記ガス滞在時間を実現できる。また、ガス導入口の総開口部面積を150cm2とすることによりガス導入口でのガス流速を音速の1/3以下とすることが可能となり、ガスの流れが圧縮性になることを防ぐことができた。これにより、ガスの流れに発生する衝撃波を抑えることができ、プラズマの不安定性や不均一性を抑制することができた。
【0039】
ガス導入口を、エッチング処理室の排気口である試料台の横の部分から遠い位置に取り付けた結果、ガスの流れがチャンバー内に十分広がるようになり、効率よくガスがプラズマ化されるのでエッチング処理速度と均一性が増加した。またその向きをチャンバー中心方向に向けたためにチャンバー中心方向にガスが十分流れるようになり、そのためエッチング速度と均一性が向上した。
【0040】
マスフローコントローラでガス流量を制御してガスを流すガス配管をチャンバーの周りに対称性よく複数取り付けることにより、チャンバー内のガスの流れの偏りを防止することができた。その結果、エッチングの均一性が上昇した。ガス導入口の取り付けも対称性を考慮したため、ガスの流れの均一性が改善された。また、じゃま板を取り付けることにより、チャンバー内のガスの流れを制御することが可能になり、特にプラズマを生成する場所にガスの流れを作ることができ、エッチング速度が増加した。
【0041】
チャンバーの高さ/幅の比を0.5以上にすることにより、チャンバー中心方向へ十分にガスが流れるようになった。これを図15を用いて説明する。図に示したのはエッチング処理室内のガスの流れの密度がエッチング処理室の高さ/幅の比にどのように影響を受けるかをシミュレーションした結果である。エッチング処理室の高さ/幅の比を大きくすればエッチング処理室の中心であるウェハー上部の流れの密度が大きくなり、均一性が向上することがわかる。このように本発明ではエッチング処理室の中心へ効率よく均一にガスが流れるようにできたので、プラズマ密度が増加し、プラズマの均一性がよくなった。その結果、低圧力領域でもエッチング速度が速く均一性の良いエッチングを行うことができるようになった。
【0042】
ドライエッチング装置では動作圧力が低いほど、プラズマからウェハに入射するイオンの散乱の頻度が減り、エッチングの異方性が高くなる。本発明によれば、実用的なエッチング速度で低圧力動作による異方性エッチングを均一性よく行なうことができる。
【0043】
大型の真空処理室を用いてドライエッチングを行うことにより、一度に多数の試料を処理することができるのでスル−プットを向上することができる。大型ベッセルを用いた場合、特に、エッチング反応によって発生する反応生成物を速やかに処理室外に排気することが重要である。そのために、高速排気が必要である。従来装置では、例えば、ポンプ排気速度が約1000 l/sec以下のターボ分子ポンプを備え、排気コンダクタンスCが200 l/sec〜1000 l/secで、100〜400 l/secであった。従って、5mTorrにガス圧力を設定すると流すことができるガス流量は40〜200sccmとなっていた。本発明では、大型ベッセル装置において前述のような高速排気ポンプと大きい排気コンダクタンスにより実効排気速度1300 l/sec以上、望ましくは2000 l/sec以上にし、5mTorrで800sccmのガス流量を流すことが可能である。
【0044】
図18は真空処理室容積を100 lから10000 lまで変化させた場合の、実効排気速度とガス滞在時間の関係を示す。処理室容積が100 lの場合実効排気速度を700 l/sec以上、容積500 lでは3600 l/sec以上、容積10000 lでは70000 l/sec以上の実効排気速度とすることにより、ガス滞在時間を100msec以下にすることができる。一例として実効排気速度70000 l/secを実現するためには、前記(2)式から、例えば140000 l/secの排気速度のポンプを用い、140000 l/secの排気コンダクタンスの真空処理室を用いればよい。
【0045】
また、試料台の中心部に排気口を設けることにより、試料台の中心と周辺での処理ガス密度を均一にすることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本発明による高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置の一実施例を図1に示す。真空処理室1にエッチングガスを導入し、マイクロ波発生器2において2.45GHzの高周波を発生させ、これを導波管3により放電部4に輸送してガスプラズマ5を発生させる。高効率放電のために磁場発生用のソレノイドコイル6が放電部周囲に配置され、875ガウスの磁場により電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance: ECRともいう)により高密度のプラズマが発生される。放電部には試料台7があり、この上に設置されたウェハ8をガスプラズマによりエッチング処理する。処理後のエッチングガスはガス導入口9から放電部4、真空処理室1を経て排気管10から排気ポンプ11により真空処理室外へ排出される。この際、コンダクタンスバルブ12を可変にすることにより、排気速度を変えることができる。処理ガスはガス流量コントローラー13を通しガス配管14を経てガス導入口9からメッシュ状に小孔の開いたバッファ室15を通して放電部4へ導入される。ガス導入口9は2個所以上設け、放電部中心軸に対して対称に配置した。エッチング時のガス圧力はプラズマ放電部に設置したガス圧力センサ23により測定した。これにより、プラズマ放電部におけるガス流量、ガス圧力、ガス排気速度、ガス滞在時間を決定できる。ウェハを設置する試料台には、ウェハを0℃以下に冷却する冷却機構16が備えられ、13.56MHzから400KHzのRFバイアス17が印加できる。真空処理室にはヒータ18が付いており、50℃以上に加熱できる。
【0047】
排気ポンプには排気速度2000 l/secのターボ分子ポンプ2台を用い、総排気速度4000 l/secにして放電部の中心軸に対して対称に配置した。また、真空処理室の実質的なガス排気口部分10もウエハ中心軸に対して対照に配置した。これにより、排気コンダクタンスを極力大きくしながら、ガスの流れをウェハ中心に対して対照にすることができた。ガスの通路となる放電部、真空処理室、排気管及びコンダクタンスバルブの総排気コンダクタンスは4000 l/secとした。このために、放電部4の下方部の直径を上方部より大きくし、これにともなって、この部分に設置する磁場コイル6の直径も、その上部に位置するコイル直径より大きくした。エッチング時のウェハ位置は、最下段のコイルの厚み方向の中心よりも下に位置させ、放電部の下方の排気コンダクタンスを極力大きくする構造とした。この時、最大実効排気速度は2000 l/secである。また、放電部、真空処理室、排気管の総容積は100 lであり、真空処理室内のガス滞在時間は前述の(3)式より50msecである。
【0048】
この高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置を用いて、Siトレンチに用いられるSi単結晶のエッチングを行なった。試料は、Si基板を500nmの厚さに熱酸化膜し、その上にホトレジストマスクを形成し、酸化膜をドライエッチングして直径0.1μmから1.0μmのホ−ルパタ−ンを形成後、ホトレジストを除去してSiO2マスクを形成したものである。エッチングガスにはCl2を用い、ガス圧力0.5mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は−30℃とし、ガス流量を2から100sccmまで変化させた。磁場強度分布は放電部の上方から下方に向けて小さく、ECR条件を満たす875ガウスの位置はウェハ上方40mmであった。この時のSiエッチ速度のガス流量依存性を図2に示す。2sccmでは80nm/minのエッチ速度はCl2ガス流量とともに増加し、100sccmにおいて1300nm/minとなった。また、同様のエッチング条件による、ガス圧力とSiのマスクからのアンダーカット量の関係を図3に示す。Siのエッチング形状は、0.5mTorrの低ガス圧力であるため高い方向性が得られ、5μmの深さのSi深孔のアンダーカット量は0.03μm以下で、ガス流量依存性はほとんどなかった。図4に、本発明による実効排気速度2500 l/secの装置、及び従来の実効排気速度150 l/secの装置を用いた場合のSiエッチング速度のガス圧力依存性を示す。エッチング条件は図2の結果におけるものと同様である。従来エッチング装置ではガス圧力低下とともにSiのエッチング速度は大幅に減少している。これはガス滞在時間が470msecと長く、また、排気速度が遅いため低ガス圧でガス流量が減少していることによる。高排気速度の本発明装置を用いると、0.5mTorr以下の低ガス圧において従来装置の10倍以上のエッチ速度が得られ、0.5mTorr以下で1μm/min以上の高速エッチングを行なうことができた。一方、エッチング速度の孔径依存性は小さく0.1μmから1.0μmの間の孔径において速度差は3%以内であった。また、ガス流量を変化させても、SiO2のエッチ速度はほとんど変化せず、ガス流量100sccmにおいてエッチングマスクに用いたSiO2との選択比(Si/SiO2)は約50であった。
【0049】
また、リンドープポリシリコンのエッチングでも図2および図3とほぼ同様の結果が得られ、Cl2流量100sccmで1500nm/minで、アンダーカット量は0.03μm以下であった。
【0050】
(実施例2)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、コンタクトホールに用いられるSiO2のエッチングを行った。試料はSi基板上に2μmの厚さにCVD法でSi酸化膜を形成し、その上に、ホトレジストマスクを形成した。エッチングガスにはCHF3を用い、ガス圧力0.5mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは800KHzで200W、ウェハ温度は−30℃とし、ガス流量を2から100sccmまで変化させた。2sccmでは50nm/minのエッチ速度はCl2ガス流量とともに増加し、100sccmにおいて500nm/minとなった。SiO2のエッチング形状は、0.5mTorrの低ガス圧力であるため高い方向性が得られ、2μmの深さのSiO2深孔のアンダーカット量は0.05μm以下で、ガス流量依存性はほとんどなかった。さらに、エッチング速度の孔径依存性は小さく0.1μmから1.0μmの間の孔径において速度差は3%以内であった。また、ガス流量を2sccmから100sccm増大させた時のSiO2とホトレジストとの選択比は、2倍以上増大した。
【0051】
(実施例3)
図8に高速排気反応性イオンエッチング(RIE)装置の実施例を示す。磁場コイルを備えた磁場印加型であるため、1mTorr以下でも放電は可能である。真空処理室1にエッチングガスを導入し、13.56MHzの高周波で放電しガスプラズマ5を発生させる。放電部には試料台7があり、この上に設置されたウェハ8をガスプラズマによりエッチング処理する。処理後のエッチングガスはガス導入口9から真空処理室1を経て排気管10から排気ポンプ11により真空処理室外へ排出される。この際、コンダクタンスバルブ12を可変にすることにより、排気速度を変えることができる。処理ガスはガス流量コントローラー13を通しガス配管14を経てガス導入口9からメッシュ状に小孔の開いたバッファ室15を通して真空処理室1へ導入される。ガス導入口9は2個所以上設け、放電部中心軸に対して対称に配置した。ウェハを設置する試料台には、ウェハを0℃以下に冷却する冷却機構16が備えられている。真空処理室にはヒータ18が付いており、50℃以上に加熱できる。
【0052】
排気ポンプには排気速度2000 l/secのターボ分子ポンプ2台を放電部の中心軸に対して対称に配置した。ガスの通路となる放電部、真空処理室、排気管及びコンダクタンスバルブの総排気コンダクタンスは4000 l/secとした。この時、実効排気速度は2000 l/secである。また、放電部、真空処理室、排気管の総容積は100 lであり、真空処理室内のガス滞在時間は前述の(3)式より50msecである。
【0053】
図8に示す高速排気反応性イオンエッチング装置により、多層レジストマスクに用いられるホトレジストのエッチングを行った。試料は、Si基板上にホトレジストを1.5μmの厚さに塗布しベークし、SOG(Spin−On−Glass)やチタンシリカ等の中間層を形成し、その上にホトレジストでパターニングを行った後、中間層をドライエッチングして下層ホトレジストをエッチングするためのマスクを形成したものである。エッチングガスにはO2を用い、ガス圧力0.5mTorr、RFパワー500W、ウェハ温度は−100℃とし、ガス流量を2から100sccmまで変化させた。2sccmでは100nm/minのエッチ速度はCl2ガス流量とともに増加し、100sccmにおいて1000nm/minとなった。レジストのエッチング形状は、0.5mTorrの低ガス圧力であるため高い方向性が得られ、1.5μmの深さのレジストのアンダーカット量は0.05μm以下で、ガス流量依存性はほとんどなかった。さらに、エッチング速度の孔径依存性は小さく0.1μmから1.0μmの間の孔径において速度差は3%以内であった。
【0054】
(実施例4)
本発明の一実施例を図9に示す。マイクロ波発生器101から発生したマイクロ波は導波管102を通り、マイクロ波導入口を通してチャンバー111内のエッチング処理室117に送られる。ガスはマスフローコントローラ106で流量を調節した後、ガス配管105を通してエッチング処理室117に送られる。ガスはガス配管105の後に備え付けられたガス導入口104を通ってエッチング処理室117に広がる。
【0055】
エッチング処理室117に入ったガスはじゃま板108により流れを制御されてエッチング処理室117の中心部の密度が均一になるように流れる。このガスの流れはウェハー109の上部でマイクロ波により励起されてプラズマ状態になる。このプラズマにより活性な粒子を生成してウェハーのエッチングを行なう。この時に電磁石107により外部磁場を印加することによりマイクロ波のエネルギーが効率よくプラズマに伝わるように調整する。
【0056】
試料台には高周波電源112により高周波電圧を印加することができる。この電源によりウェハー109にバイアス電圧を印加して入射イオンの方向性やエネルギーを制御する。この試料台に冷却機構や加熱機構を装備すればウェハー温度を制御したエッチングを行なうこともできる。
【0057】
ガス導入口104からチャンバー111内に入り、エッチング処理室117でプラズマ状態になってウェハー109でエッチング反応に用いられたガスの流れは、反応生成物とともにエッチング処理室117からみた排気口である試料台110の横を通り、排気バッファ室113を介して真空ポンプ114により排気される。
【0058】
高排気速度の真空ポンプを用いるときや、真空ポンプを複数用いるときには、チャンバー111に直接真空ポンプ114を取り付けるのではなく、排気バッファ室113を介してチャンバー111に取り付けることにより、エッチング処理室117からみた排気口である試料台の横の排気速度を均一化することができる。その結果、ガスの流れにムラがなくなるために、均一性のよいエッチングが可能になる。
【0059】
本実施例のガスの流れを制御するための構成要素にはガス導入口104とじゃま板108と排気バッファ室113がある。
【0060】
ガス導入口104は従来の装置では特に何も処理がされていなかった。ガス配管105をチャンバー111に直接接続し、その接続位置も特に考慮はされていなかった。従来の装置の一例を図16に示している。ガス配管105はチャンバー111に直接取り付けてある。
【0061】
本発明ではガス導入口の開口部の面積を広げることにより、ガス流速が音速の1/3を越えないようにすることを特徴とする。図9に示した実施例ではガス配管105がチャンバー111と接続する部分にガス導入バッファ室116を設けて、そのバッファ部の壁面に複数のガス導入口104を設けることにより、ガス導入口の開口部面積を増やしてガス流速を音速の1/3以下に抑えている。
【0062】
マスフローコントローラ106通してガス配管105を流れるガスの圧力は1気圧程度であり、そのガスを直接チャンバーの中に流し込むと、圧力差からチャンバーにガスが入るところで流れが乱れやすい。本実施例ではガス配管105とチャンバー111との間にガス導入バッファ室116を設けたことにより、圧力差による流れの乱れを抑えることもできる。
【0063】
さらに本実施例ではマスフローコントローラ106を含めたガス配管105をチャンバーの周りに対称性を考慮して複数取り付けることにより、ガスの流れの均一性を上げている。
【0064】
プラズマはエッチング処理室の中心付近に生じる方が活性粒子が効率良くウェハーに入射し、均一性も上昇する。エッチング処理室117の壁面に沿って流れるガスの流れはエッチングに対する寄与が小さい。そこで本実施例ではこのチャンバー111の壁面を流れるガスの流れをチャンバーの中心付近に流れるように流れを制御するために、じゃま板108を取り付けた。じゃま板108は流れのコンダクタンスを悪くする副作用もあるので、あまり大きなものを取り付けると逆効果になる可能性もある。本実施例ではガス導入口104から、エッチング処理室117の排気口になる試料台110とチャンバー111の間の隙間が見えなくなり、かつウェハー109の上にかからないようにした。
【0065】
さらに本実施例ではチャンバー111と真空ポンプ114の間に排気バッファ室113を取り付けたことも流れを制御する特徴の一つである。流れを均一にするためには排気系も対称性がよいことが望ましい。しかし、試料台112にはバイアス印加電圧のための高周波電源112を接続したり、ウェハー109の温度制御をする低温ドライエッチングを行なうために、冷媒を流すための冷却機構を取り付けたりする必要がある。そのために、真空ポンプを含めた排気系を対称性良く配置することは難しい。本実施例で取り付けた真空バッファ113は真空ポンプ114の排気能力がエッチング処理室117の排気部分に均一にかかるようにする働きがある。さらに排気能力を上げるために複数の真空ポンプを取り付けるときなども、排気バッファ室113はエッチング処理室117の排気を均一にする働きの効果が高い。
【0066】
図10は本実施例のチャンバー111のガス配管105を含んだ水平方向の断面図である。ここではガス配管105は4本取り付けてあるが、ガス導入バッファ室116があるのでガス配管105は1本でもよい。しかし流れを均一にするためには対称性を考慮して複数本取り付けた方がよい。
【0067】
以上のような構成のマイクロ波ドライエッチング装置を用いて0.3〜0.5μmの穴や溝をSi基板表面に形成した。試料はレジストマスク、もしくはSiO2マスクによりパターンを形成したものを用い、マイクロ波パワー400W、圧力0.5mTorr、ガス流量50sccm、RFバイアス30W(13.56MHz)の条件で、SF6ガスを用いた。その結果、エッチング速度は500nm/min以上であった。また、サイドエッチ量は0.05μm以下であり、良好な垂直形状を得ることができた。
【0068】
(実施例5)
図11は本発明の他の一実施例を示したものである。この実施例ではガス導入バッファ室116を円周状ではなく、ガス配管105に対応した数の孤立したガス導入バッファ室116を取り付けた。均一性を比べると図9に示した実施例の方がよいが、装置を作成するのは、図11に示した実施例の方が簡単にできるという長所がある。
【0069】
じゃま板108も円周状でなく、孤立したものを複数取り付ける方法がある。また円周状のじゃま板108をチャンバー111の違う高さの場所に複数取り付けたり、円周状のじゃま板と孤立したじゃま板を組み合せて使ったり、大きさや形の違うじゃま板をチャンバー111内のさまざまな部分に取り付けて、ガスの流れを制御することができる。このように、バッファ室116を設けることにより、該室を設けない場合に比べて8インチウェ−ハ内のエッチング速度の均一性が2倍以上向上し、±10%以下にすることができた。
【0070】
(実施例6)
図12は本発明の一実施例として他のガス配管法を説明したものである。この例ではガス配管105がチャンバー111に複数の部分で接続しているのに対し、ボンベ115から流れてくるガスを1つのマスフローコントローラ106だけで流量を制御している。1つのマスフローコントローラだけで流量を制御しているので、流量を正確に制御でき、装置構造も簡単にできるという長所があるのに対し、マスフローコントローラ106からチャンバー111までのガス配管105の距離が変わってくるために、エッチング処理室117内のガスの流れの均一性が多少悪くなる欠点がある。しかし、ガス導入口バッファ室116の大きさを場所によって変化させたり、ガス導入口104の開口面積や開口率を場所によって変化させたり取付け高さを調節することにより、ガスの流れの均一性をシステムとして調整することもできるので、均一性の低下は実用上はそれほど問題にならない。
【0071】
このように、複数のガス配管105を用いることにより、単一ガス配管の場合に比べて8インチウェ−ハ内のエッチング速度の均一性が2倍以上向上し、±10%以下にすることができた。
【0072】
(実施例7)
図13は本発明の一実施例として他のガス配管法を説明したものである。チャンバー111に接続する複数のガス配管105に対して、それぞれ一つ以上のマスフローコントローラ106を用いて1つ以上のボンベ115からのガス流量を制御することが本実施例の特徴である。それぞれのマスフローコントローラ106を流れるガス流量を調整することによりチャンバー111内のガスの流れを均一にすることができる。また同一ガス種のボンベを複数用いることによりそのガスのエッチング処理室内の流れを均一にするという使用法の他に、異なる種類のガス種をエッチング処理室で混合するために違うガス種のボンベを使用する方法も行なうことができる。それぞれのガス種に対するガス配管の数や位置、そしてその中を流れるガス流量を調節することにより、異なる種類のガスを十分均一に混合して、なおかつその混合ガスのエッチング処理室内での流れを均一にすることができる。このように、複数のガス配管105と複数のガスボンベを用いることにより、単一ガス配管、単一ガスボンベを用いる場合に比べて8インチウェ−ハ内のエッチング速度の均一性が2倍以上向上し、±10%以下にすることができた。
【0073】
(実施例8)
本発明の他の一実施例を図14に示す。この実施例ではマイクロ波導入窓103の下にガス導入バッファ室116を取り付け、ウェハー109の上部にガス導入口104を形成した。この方法はガスの流れの均一性が良くなり、特にチャンバー中心部のガス流量密度が増加するという長所を持つ。しかしマイクロ波の通り道にガス圧力が高い部分が生じるために、マイクロ波の進行を妨げたり、ガス導入バッファ室116内で放電を起こす可能性があるという問題点もある。しかしこれはマイクロ波のパワーや電磁石107による調整、ガス導入口バッファ室116内の圧力上昇を抑えるためにガス流量に時間変調をかけたり、その時間変調と同期してマイクロ波を投入するようにして回避することができるために、実用上はそれほど問題ではない。
【0074】
(実施例9)
本発明による大型ベッセル高速排気反応性イオンエッチング(RIE)装置の実施例を図19示す。真空処理室201にエッチングガスを導入し、13.56MHzの高周波202で放電しガスプラズマ203を発生させる。真空処理室は直径120cm、高さ約40cmの円筒型で、電極は平行平板型のカソードカップリング型で、上部電極204がアース電位、下部電極205が高周波印加電極であり、下部電極がウェハを載置する試料台になっている。下部電極の直径は90cmで、エッチングの均一性向上のため、下部電極中央部にも処理ガスを排気できる直径10cmの排気口206を設け、下部電極の中央と周辺の両方から真空処理室外へ排気した。電極面積は約6300cm2あり、8インチウェハ207を6枚載置して同時にエッチング処理した。処理ガスの排気速度はコンダクタンスバルブ208を可変にすることにより変えることができる。処理ガスはガス流量コントローラー209を通しガス配管210を経てガス導入口211からメッシュ状に小孔の開いたバッファ室212を通して真空処理室201へ導入される。ガス導入口211は2個所以上設け、放電部中心軸に対して対称に配置した。ウェハを設置する試料台には、ウェハを0℃以下に冷却する冷却機構213が備えられている。真空処理室にはヒータ214が付いており50℃以上に加熱できる。
【0075】
排気ポンプには排気速度6000 l/secのターボ分子ポンプ2台を放電部の中心軸に対して対称に配置した。ガスの通路となる放電部、真空処理室、排気管及び全開のコンダクタンスバルブの総排気コンダクタンスは12000 l/secであった。この時、実効排気速度は6000 l/secである。また、真空処理室、排気管の総容積は約500 lであり、真空処理室内のガス滞在時間は前述の(3)式より83msecである。
【0076】
図19に示す高速排気反応性イオンエッチング装置により、Si単結晶のエッチングを行なった。試料は、8インチSi基板の上にホトレジストマスクを形成したもので、試料台に6枚同時に載置した。エッチングガスにはCF4を用い、ガス圧力200mTorr、RFパワー2KW(パワー密度は0.32W/cm2)、ウェハ温度は−50℃とし、コンダクタンスバルブの開度を変えることにより排気速度を変えてガス滞在時間を変化させた。このとき、ガス圧力は一定でガス流量を変化させた。この時のSiエッチ速度のガス流量依存性を図20に示す。ガス流量50sccmの時、Siエッチ速度は100nm/minであったが、ガス流量900sccmでは800nm/minにエッチ速度が増大した。この時、1μmの深さにエッチングしSiのマスクからのアンダーカット量は0.1μm以下であった。また、Siとホトレジストとの選択比は4.0であった。エッチ速度のウェハ内及びウェハ間均一性は±5%以下であった。
【0077】
(実施例10)
本発明による大型ベッセル高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置の実施例を図21示す。真空処理室201には5個所のマイクロ波放電部216が設置され、それぞれ独立にガスプラズマ203を発生させることができる。真空処理室内に配置された試料台上で5個所のマイクロ波放電部の下にそれぞれ、合計5枚の8インチウェハ207を設置し、同時にエッチング処理した。試料台内部で5個所のウェハ設置部の近辺にそれぞれガス排気口206を設けた。ガスプラズマは、真空処理室201にエッチングガスを導入し、マイクロ波発生器217において2.45GHzの高周波を発生させ、これを導波管218により放電部216に輸送して発生させる。高効率放電のために磁場発生用のソレノイドコイル219が放電部周囲に配置され、875ガウスの磁場により電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance: ECRともいう)により高密度のプラズマが発生される。エッチングガスはガス導入口211から放電部219、真空処理室201を経て排気ポンプ215により真空処理室外へ排出される。排気速度はコンダクタンスバルブ208を可変にすることにより変えることができる。処理ガスはガス流量コントローラー209を通しガス配管210を経てガス導入口211からメッシュ状に小孔の開いたバッファ室212を通して放電部216へ導入される。ガス導入口211は2個所以上設け、放電部中心軸に対して対称に配置した。ウェハを設置する試料台には、ウェハを0℃以下に冷却する冷却機構213が備えられ、13.56MHzから400KHzのRFバイアス202が印加できる。真空処理室にはヒータ214が付いており、50℃以上に加熱できる。
【0078】
排気ポンプには排気速度20000 l/secのターボ分子ポンプ2台を放電部の中心軸に対して対称に配置した。ガスの通路となる放電部、真空処理室、排気管及び全開のコンダクタンスバルブの総排気コンダクタンスは40000 l/secとした。この時、実効排気速度は20000 l/secである。また、真空処理室、放電部、排気管の総容積は約2000 lであり、真空処理室内のガス滞在時間は100msecである。
【0079】
図21に示す大型ベッセル高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、Si単結晶のエッチングを行なった。試料は、8インチSi基板の上にホトレジストマスクを形成したもので、試料台に5枚同時に載置した。エッチングガスにはCF4を用い、ガス圧力5mTorr、マイクロ波パワー2KW、RFバイアスは2MHzで200W、ウェハ温度は−50℃とした。この時のSiエッチ速度は、ガス流量900sccmにおいて1.5μm/minであった。この時、1μmの深さにエッチングしSiのマスクからのアンダーカット量は0.1μm以下であった。また、Siとホトレジストとの選択比は3.0であった。エッチ速度のウェハ内及びウェハ間均一性は±5%以下であった。
【0080】
(実施例11)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、8インチウェハ上に総面積の異なるパターンを形成して、Alエッチングを行った。エッチング条件はCl2ガス圧力3mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで50W、ウェハ温度は0℃とした。ウェハ口径を6インチから8インチに変化させた場合の実効排気速度(以下の実施例内容説明では単に排気速度と表す)とエッチ速度の関係を、図22に示す。ウェハ内エッチング面積比率は50%である。ガス圧を一定(3mTorr)にしているので、排気速度(Sl/sec)に対するガス流量(Q sccm)は、Q=79.05×S×0.003である。
【0081】
従来の低速排気(約200 l/sec)のAlエッチングでは6インチの場合、エッチ速度は約0.8μm/minであった。排気速度を500 l/secにすると、エッチ速度は約1.5倍の1.2μm/minとなり、800 l/secでは約1.8倍の1.4μm/minになり、1300 l/secでは2倍の1.6μm/minとなった。8インチウェハでは、より顕著な変化が認められ、800 l/secでは従来の2.4倍、1300 l/secでは従来の約3倍になった。
【0082】
従って、8インチウェハで従来エッチ速度(6インチ、200 l/sec)の1.5倍以上を得ようとすると、少なくとも800 l/sec以上が必要であることがわかり、2倍以上を得ようとすると少なくとも1300 l/sec以上が必要であることがわかった。
【0083】
なお、このようなエッチ速度の面積依存性はAl以外にSi等の他材料でもほぼ同様に見られ、8インチウェハで従来エッチ速度の1.5倍以上を得るためには、800 l/sec以上の排気速度が必要であった。またガス圧力、マイクロ波パワー、試料温度、バイアス等のエッチング条件の異なる場合も同様に、8インチウェハで従来エッチ速度の1.5倍以上を得るためには、800 l/sec以上の排気速度が必要であった。
【0084】
(実施例12)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、ECR面(プラズマ内で磁場が875Gになる面)とウェハとの距離(ECR面距離)を変化させて、Siエッチングを行った。エッチング条件はCl2ガス圧力0.5mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は−30℃とした。排気速度を変化させた場合のECR面距離とエッチ速度の関係を図23に示す。従来排気速度(200 l/sec)ではECR面距離を0から150mmに遠ざけるとエッチ速度は300から100nm/minまで減少した。一方、500 l/secの高速排気によるエッチングではECR面距離が150mmと遠くても、エッチ速度は300nm/minが得られ、さらに距離を近付けると1000nm/min以上に増大した。すなわち、高速排気エッチングによりECR面距離がある程度離れても、ECR面を近付けた場合と同等もしくはそれ以上のエッチ速度が得られることがわかった。
【0085】
ECR面を近付けた場合に問題となるのは、ECR領域ではプラズマの解離効率が高いために、ウェハから発生した反応生成物が再解離してウェハ表面に再デポジションすることである。この減少により、エッチング形状の劣化や表面汚染につながる場合がある。また、ECR面距離を小さくすると、エッチング均一性が低下する場合もある。表面分析から、反応生成物のウェハへの吸着量を調べると図24に示すように、排気速度が500 l/secの場合、ECR面距離が小さくなるにつれて吸着量の増大することが分かった。排気速度が小さい場合(200 l/sec)には反応生成物の排気速度が遅いためECR面距離がある程度離れて再解離が少なくても、ウェハへの吸着量が多くなる。従って、反応生成物吸着の少ない低汚染で高速のエッチングのためには、ECR面距離をある程度大きくして高速排気することが良い。図24の結果から、ECR面距離は40mm以上離して、排気速度500 l/sec以上を用いることが適当であることが分かった。
【0086】
(実施例13)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、1から10mTorrのガス圧力においてAlをエッチングした。エッチング条件はCl2ガス圧力5mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は0℃とした。排気速度とAlエッチ速度の関係を図25に示す。ガス流量はガス圧力に排気速度を乗じたものである。500 l/sec以上でエッチ速度は大きく増大する。一方、アンダーカット量の排気速度依存性を図26に示す。ガス圧が5mTorrと高いためアンダーカットは生じやすく、特に排気速度1300 l/sec以上において増大傾向が大きかった。排気速度1300 l/sec以下においてアンダーカット量が小さい理由は、反応生成物の滞在時間が長く、これがパターン側壁にデポして側面エッチングを防止するからである。従って、側壁デポを用いなければアンダーカットを押さえられないエッチングで、しかも高エッチ速度が必要な場合に、1000nm/min以上の高エッチ速度で、アンダーカット量を0.1μm以下に抑えるためには、500 l/secが適当であった。また、同様のエッチング傾向は1から10mTorrの圧力で得られ、1000nm/min以上の高エッチ速度で、アンダーカット量0.1μm以下を満足する排気速度は500 l/secと1300l/secの間にあった。なお、ガス滞在時間は500 l/secの時に300msecであった。
【0087】
(実施例14)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置により、BCl3ガスを用いてAlをエッチングした。エッチング条件はBCl3ガス圧力4mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は20℃とした。Alアンダーカット量のガス圧力依存性を図27に示す。排気速度は800 l/secとした。アンダーカット量は5mTorr以下で顕著に減少し、0.1μm以下になった。Cl2によるエッチングに比較し、BCl3ではより高いガス圧力でアンダーカットが減少する。この理由は、BCl3がパターン側壁にデポジションし側壁を保護する効果があるためである。一方、Alエッチ速度のマイクロローディング(パターンサイズ依存性:ここでは0.2μm;aと10μm;bの溝パターンでのエッチ速度の比;a/b)の排気速度依存性を図28に示す。マイクロロディングは排気速度の増大とともに減少し、800 l/sec以上で実用に適する0.9以上となった。排気速度増大とともにマイクロロディングが減少する理由は、排気速度増大によりエッチング反応粒子が小さい溝内にも十分供給されるようになるためである。従って、BCl3を用いたAlエッチングにおいてアンダーカットとマイクロローディングを抑えたエッチングを行うためには、ガス圧力5mTorr以下で排気速度800 l/sec以上が良いことがわかった。マイクロロディグは、小さい溝内を最後までエッチングするのに必要なオーバーエッチング量に関係するが、この場合マイクロローディングは0.9以上では実用上大きな問題がないため、排気速度を必要以上に大きくする必要はない。
【0088】
(実施例15)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置及び図29に示す反応性イオンエッチング装置により、Alをエッチングした。エッチング条件は、マイクロ波エッチング装置ではCl2ガス、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は10℃とし、反応性イオンエッチングではRFパワー500W、Cl2ガス、ウェハ温度は10℃とした。Alエッチ速度とガス圧力の関係を図30に示す。排気速度は500 l/secとした。マイクロ波エッチングではガス圧力の低いところでエッチングできるため、4mTorrでアンダーカットが0.1μm以下になり、エッチ速度は1000nm/minであった。反応性イオンエッチングでは、低ガス圧ではエッチングできず、10mTorrでアンダーカットは0.2μmであり、エッチ速度は300nm/minであった。すなわち、マイクロ波エッチングは反応性イオンエッチングに比べると、低ガス圧でアンダーカットが小さく高速のエッチングが可能である。一方、Alエッチ速度と排気速度との関係を図31に示す。ガス圧力は4mTorrである。排気速度を増大すると、Alエッチ速度は反応性イオンエッチングよりもマイクロ波エッチングの方が顕著に増大する。これは、マイクロ波エッチングでは反応性イオンエッチングに比べて表面反応速度が大きく、いわばエッチング反応粒子の供給律速の状態にあるため、排気速度増大によりエッチング反応粒子の供給を増大するとエッチング反応が促進されるためである。特に、500 l/sec以上でエッチ速度が飽和傾向にあった。一方、反応性イオンエッチングでは、表面反応速度が小さく、反応律速の状態にあるため、排気速度増大によりエッチング反応粒子の供給を増やしてもエッチ速度の増加は小さい。従って、マイクロ波プラズマエッチングを用いて、低ガス圧でアンダーカットを防止し、高速排気でエッチ速度を増大させるために、ガス圧を4mTorr以下にし、500 l/sec以上の排気速度にすることが適する。アンダーカットはガス圧力を下げるほど小さくなるが、Alエッチ速度は0.5mTorr以下で大きく低下して300nm/min以下になり、実用的にはあまり適さない。
【0089】
(実施例16)
図1に示す高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置及び図29に示す反応性イオンエッチング装置により、Alをエッチングした。エッチング条件は、マイクロ波エッチング装置ではCl2ガス圧4mTorr、マイクロ波パワー500W、RFバイアスは2MHzで20W、ウェハ温度は10℃とし、反応性イオンエッチングではRFパワー500W、Cl2ガス圧10mTorr、ウェハ温度は10℃とした。Alエッチ速度とガス滞在時間の関係を図32に示す。ここではガス流量を可変とした。滞在時間の減少もにいずれのエッチング方法でもAlエッチ速度は増加傾向にあるが、マイクロ波エッチングの方が顕著に増加した。滞在時間300msecにおいてAlエッチ速度は1000nm/minであった。従って、アンダーカット0.1μm以下で、エッチ速度1000nm/minを得るためには、ガス圧力4mTorr以下でガス滞在時間300msec以下にすることが必要である。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、1mTorr以下の高真空下でガス流量を40sccm以上に増大でき、ガス滞在時間を100msec以下にできるため、高真空下でアンダーカットを防止し、大ガス流量で高いエッチ速度を達成でき、被エッチング材料とその他の材料とのエッチング速度比(選択比)も増大できる効果がある。その結果、非常に高い方向性が必要となるSiトレンチやコンタクト孔等の高アスペクト比(パターン幅/エッチング深さの比)エッチングを、高速度で高精度に加工することができる。
【0091】
また、1mTorr以上のガス圧力でもアンダーカットをある程度防止し、エッチ速度、エッチング選択性を向上することができる。
【0092】
また、反応生成物の再デポジションが少ないので、これによるウェハや装置の汚染、エッチング形状の異常などを低減できる。
【0093】
本発明の効果は前述のエッチング装置やエッチング材料に限らず、例えば、マグネトロン型RIEやヘリコン共振型RIE等の他の装置、およびアルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、銅、GaAs、Si窒化膜等の微細パターン加工についても同様の効果がある。
【0094】
また、大型ベッセルを用いることにより、例えば8インチ以上のウェハを多数枚同時にエッチング処理でき、そのエッング速度も従来と同程度にできるので、ドライエッチングのスループットを向上でき、半導体製品のコスト低減できる効果がある。
【0095】
本発明による大型ベッセル、高速排気処理装置での大口径ウェハ一括処理は、ドライエッチング以外のプロセスにおいてもスループット増大の効果が大きい。例えば、プラズマCVD装置、スパッタリング装置、イオンミリング装置、プラズマドーピング装置等がその例である。いずれの装置でも真空処理室が大型化すると処理室内の残留ガス量が増加し、例えば形成膜内への残留ガス混入による膜質劣化等の問題が生ずるが、高速排気によりこのような効果が低減でき、良質の薄膜を形成できる。さらに、残留ガス量を膜形成のために必要な値以下にする時間を高速排気により短縮でき、プロセススループット向上を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高真空高速排気型のマイクロ波プラズマエッチング装置の概略断面図である。
【図2】本発明に係る高真空高速排気型のマイクロ波プラズマエッチング装置を用いたSiエッチングにおけるガス流量とエッチング速度の関係を示す図である。
【図3】本発明に係る高真空高速排気型のマイクロ波プラズマエッチング装置を用いたSiエッチングにおける、ガス圧力とアンダーカット量の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る高真空高速排気型のマイクロ波プラズマエッチング装置を用いたSiエッチングにおける、ガス圧力とエッチ速度の関係を示す図である。
【図5】ガス流量を変化させた時の反応性ガスと反応生成物の基板への入射割合を求めた計算結果を示す図である。
【図6】ガス流量を変化させた時のガス滞在時間を求めた計算結果を示す図である。
【図7】ガス滞在時間を変化させた時の反応性ガスと反応生成物の基板への入射割合を求めた計算結果を示す図である。
【図8】本発明に係る高真空高速排気型の反応性イオンエッチング(RIE)装置の概略断面図である。
【図9】本発明に係るドライエッチング装置の概略断面図である。
【図10】本発明に係るドライエッチング装置の部分平面図である。
【図11】本発明に係るドライエッチング装置の部分平面図である。
【図12】本発明に係るドライエッチング装置のガス配管の構成を示した平面図である。
【図13】本発明に係るドライエッチング装置のガス配管の構成を示した平面図である。
【図14】本発明に係るドライエッチング装置の概略断面図である。
【図15】エッチング処理室の高さと幅の比と、エッチング処理室内のガスの流れ密度の関係を、シミュレーションにより求めた結果である。
【図16】従来のドライエッチング装置の概略断面図である。
【図17】異なる実行排気速度に対するガス圧力とガス流量との関係を示す図である。
【図18】実効排気速度とガス滞在時間との関係を真空処理室容積をパラメ−タとして示す図である。
【図19】本発明に係る大型ベッセル高速排気反応性イオンエッチング(RIE)装置の概略図である。
【図20】高真空高速排気型のマイクロ波プラズマエッチング装置を用いたSiエッチングにおける、ガス流量とエッチ速度の関係を示す図である。
【図21】本発明に係る大型ベッセル高速排気マイクロ波プラズマエッチング装置の概略図である。
【図22】本発明に係るAlエッチ速度と実効排気速度のグラフである。
【図23】本発明に係るSiエッチ速度とウェハ−ECR面距離のグラフである。
【図24】本発明に係るウェハ表面への反応生成物とウェハ−ECR面距離のグラフである。
【図25】本発明に係るAlエッチ速度と実効排気速度のグラフである。
【図26】本発明に係るAlアンダーカット量と実効排気速度のグラフである。
【図27】本発明に係るAlアンダーカット量とガス圧力のグラフである。
【図28】本発明に係るAlエッチング深さ比(パターンサイズ依存)と実効排気速度のグラフである。
【図29】本発明に係る高速排気反応性イオンエッチング(RIE)装置の概略図である。
【図30】本発明に係るAlエッチ速度とガス圧力のグラフである。
【図31】本発明に係るAlエッチ速度と実効排気速度のグラフである。
【図32】本発明に係るAlエッチ速度とガス滞在時間のグラフである。
【図33】本発明の効果を適用する処理ガス圧力と実効排気速度の範囲を示す図である。
【符号の説明】
1…真空処理室、2…マイクロ波発生器、3…導波管、4…放電部、5…ガスプラズマ、6…ソレノイドコイル、7…試料台、8…ウェハ、9…ガス導入口、 10…排気管、11…排気ポンプ、12…コンダクタンスバルブ、13…ガス流量コントローラ、14…ガス配管、15…バッファ室、16…冷却機構、17…RFバイアス、18…ヒータ、19…バタフライバルブ、20…ガスの流れ、21…マイクロ波動導入窓、22…上部電極、23…ガス圧センサ
101…マイクロ波発生部、102…導波管、103…マイクロ波導入窓、104…ガス導入口、105…ガス配管、106…マスフローコントローラ、107…電磁石、108…じゃま板、109…ウェハ、110…試料台、111…チャンバー、112…高周波電源、113…排気バッファ室、114…真空ポンプ、115…ガスボンベ、116…ガス導入バッファ室、117…エッチング処理室201…真空処理室、202…高周波、203…ガスプラズマ、204…上部電極、205…下部電極、206…ガス排気口、207…8インチウェハ、208…コンダクタンスバルブ、209…ガス流量コントローラ、210…ガス配管、211…ガス導入口、212…バッファ室、213…冷却機構、214…ヒータ、215…排気ポンプ、216…放電部、217…マイクロ波発生器、RFバイアス、218…導波管、219…ソレノイドコイル、220…ガスの流れ。
Claims (3)
- 処理室内に、アルミニウム膜、タングステン膜、タングステンシリサイド膜、銅膜、GaAs膜、シリコン窒化膜の何れかの第1の膜が形成された半導体基体を設置する工程と、
前記処理室内にガスを供給し、前記ガスをプラズマ化し、
前記処理室内のガスの圧力を5mTorr以下、実効排気速度を500l/s以上に維持しながら、前記プラズマにより生成された反応性ガスによって前記第1の膜を選択エッチングする工程とを含み、
前記ガスの処理室内滞在時間は、100msec以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記ガスの供給は、前記処理室内のガス流速が音速の1/3以下で行われることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
- 前記ガスの供給は、前記処理室内に供給されるガス流量が40sccm以上で行われることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
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