JP3752096B2 - 気流分級機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機に用いられる現像用トナー等の粉体を微粉と粗粉とに遠心分離する気流分級機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の気流分級機として、図3に示したものが従来から知られている。この気流分級機は、分級カバー30と分級板31間に形成された分級室32の外周に、角度調整自在に設けられた複数のルーバー33を環状に配置して隣接するルーバー33間に二次エアを分級室32内に旋回流入させる流入路を設け、上記分級カバー30上には粉体供給筒34を配置し、その粉体供給筒34の内周下部と分級カバー30の外周間に環状の粉体供給口35を形成している。
【0003】
また、分級板31の中心部に微粉排出筒36を接続し、かつ分級板31の外周囲に粗粉排出口37を設けている。
【0004】
上記気流分級機においては、微粉排出筒36にブロワーの吸引力を付与する状態において、粉体供給筒34内の外周上部に粉体と圧縮エアの固気混合流体を供給し、上記粉体供給筒34内を旋回しつつ下降する固気混合流体を粉体供給口35から分級室32内に供給して、ルーバー33間の流入路から分級室32内に流入する二次エアにより固気混合流体の旋回速度を高めて粉体を遠心分離し、分級室32の中心部に移行する微粉を微粉排出筒36から排出し、分級室32内の外周部で旋回する粗粉を粗粉排出口37から排出させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の気流分級機においては、粉体を遠心力によって微粉と粗粉とに遠心分離する分級室32がルーバー33の上方に円筒形の内面38を有する構成であるため、分級室32内の外周部において旋回する粉体は、ルーバー33間より分級室32内に流入する二次エアの衝突作用を受けることなく旋回して滞溜し、円筒形内面38に粉体が付着し、堆積し易い。特に、粒子径の小さい粉体の場合、上記円筒形内面38へ遠心力により押し付けられて付着、堆積し易く、分級処理された粉体の回収率が低くなり、また、付着のために分級室形状が変化して一定の分級点での安定した運転ができなくなる。
【0006】
この発明の課題は、分級室内における粉体の付着を抑制することで、一定の分級室での安定した運転ができ、粉体をきわめて効果的に分級処理することができると共に、分級処理された粉体の回収率の高い気流分級機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、ケーシングの上部に設けたカバーの下面を中心部が高くなる円錐形とし、上記カバーの下方に設けた分級板の上面を中心部が高くなる円錐形とし、上記カバーと分級板との間に形成された分級室の外周に複数のルーバーを環状に設け、隣接するルーバー間に形成された流入路から分級室内に流入する二次エアにより分級室内に供給されて旋回する粉体を加速して、粉体を微粉と粗粉とに遠心分離し、微粉を分級板の中心部に接続された微粉排出筒から排出し、粗粉を分級板の外周囲に形成された粗粉排出口から排出させるようにした気流分級機において、前記カバーの円錐形下面における外周縁の外径をケーシングの内径と同径とし、その外周縁を前記ルーバーの上縁と略同レベルに配置した構成を採用している。
【0008】
上記のように、カバーにおける円錐形下面の外周縁をルーバーの上縁と略同レベルとすることにより、分級室は円筒形内面をもたない構成とされるため、粉体が円筒形内面に垂直に押し付けられることがなく、分級室内における粉体の付着はきわめて少なくなり、しかも、分級室内の外周部において旋回する粉体はルーバー間の流入路から分級室内に流入する二次エアの衝突による分散作用を受けるため、粉体をきわめて効果的に安定した状態で分級処理することができる。
【0009】
ここで、前記カバーにおける円錐形下面の水平面に対する傾斜角を分級板における円錐形上面の水平面に対する傾斜角より大きくすることによって、分級室内における気流の旋回速度を高めることができ、粉体をより効果的に安定した状態で分級処理することができると共に、分級機全体を小さくすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ケーシング1は、円筒形の上部ケーシング2と下部が小径の円錐形の下部ケーシング3とから成り、上部ケーシング2の上側開口はカバー4によって閉塞されている。
【0011】
カバー4は上部ケーシング2にボルトの締付け等による手段によって着脱自在に取付けられている。このカバー4の下方には、そのカバー4との間に分級室5を形成する分級板6が設けられ、その分級板6の外周と上部ケーシング2の内周間に環状の粗粉排出口7が形成されている。
【0012】
カバー4の下面4aおよび分級板6の上面6aは中心部が高くなる円錐形とされ、その円錐形下面4aの水平面に対する傾斜角αは、円錐形上面6aの水平面に対する傾斜角βより大きくなっている。
【0013】
上部ケーシング2は、上部リング2aと下部リング2bに分割され、その分割面間に複数のルーバー8が分級室5の周方向に間隔をおいて環状に配置されている。
【0014】
ルーバー8は図では省略したが垂直な軸心を中心として角度調整自在とされ、隣接するルーバー8間に流通路が形成されている。流通路は、分級室5内において旋回される粉体の旋回方向に向けて外部から分級室5内に二次エアを流入させるようになっている。
【0015】
ここで、前記カバー4における円錐形下面4aの外周縁の外径は上部ケーシング2の内面と同径とされ、その外周縁はルーバー8の上縁と略同レベルの配置とされている。
【0016】
前記ルーバー8の外周部には、隣接するルーバー8間から分級室5内に粉体と圧縮エアの固気混合流体を噴射する供給装置10が設けられている。供給装置10は、隣接するルーバー8間に噴射端部が挿入された噴射ノズル11から成り、この噴射ノズル11によって固気混合流体を分級室5内の外周部に向けて噴射するようになっている。
【0017】
分級板6の中心部には微粉排出筒12が接続されている。微粉排出筒12は下部ケーシング3を貫通している。
【0018】
実施の形態で示す気流分級機は上記の構造から成り、粉体の分級に際しては、微粉排出筒12内に吸引力を付与する状態で噴射ノズル11から分級室5内の外周部に向けて粉体と圧縮エアの固気混合流体を噴射する。
【0019】
分級室5内に固気混合流体を噴射すると、その固気混合流体は分級室5内で旋回する。このとき、ルーバー8内の流通路から分級室5内に二次エアが流入し、その二次エアによって分級室5内で旋回する粉体は加速され、粉体は微粉と粗粉とに遠心分離される。
【0020】
微粉は、分級室5の中心に向けて移動して微粉排出筒12から吸引排出される。一方、粗粉は分級室5内の外周部に向けて移動し、粗粉排出口7から下部ケーシング3内に排出される。
【0021】
上記のような分級処理において、分級室5の内周に円筒面が存在すると、分級室5内の外周部で旋回する粉体は隣接するルーバー8間の流通路から流入する二次エアの衝突作用を受けると円筒面と接触する状態で旋回することになり、円筒面に粉体が付着、堆積し易くなる。
【0022】
しかしながら、カバー4における円錐形下面4aの外周縁を上部ケーシング2の内径と同径とし、その外周縁をルーバー8の上縁と略同レベルに配置して、分級室5に円筒面が存在しない構成を採用しているため、分級室5内の外周部で旋回する粉体は隣接するルーバー8間の流通路から分級室5内に流入する二次エアの衝突作用を受けて効果的に分散されると共に、その二次エアの流れにのって旋回することになる。このため、分級室5の内面に対する粉体の付着はなく、粉体をきわめて効果的に安定した状態で分級処理することができると共に、分級処理された粉体を効率よく回収することができる。
【0023】
ここで、カバー4における円錐形下面4aの傾斜角αが24°、45°、60°の3種類のカバー4を製作し、各カバー4を上部ケーシング2の上部に取付けてガラス粉を分級し、その分級点を測定したところ、表1に示す結果を得た。
【0024】
測定に際し、カバー4の外径を280mmとし、分級板6の円錐形上面6aの傾斜角βを24°としている。また、ルーバー8の高さを20mm、隣接するルーバー8の間隔を3mmとしている。
【0025】
試験条件として、ガラス粉の供給量:5kg/hr、供給圧:2kg/cm2 、微粉排出筒8内の吸引力:−0.3kg/cm2 とした。
【0026】
【表1】
【0027】
上記表1から、カバー4の円錐形下面4aの傾斜角αを大きくすることによって分級点を小さくすることが理解できるが、このとき、粒子に働く遠心力は常に水平方向に働いており、上記傾斜角を大きくすると、カバー4の円錐形下面4aに対する粒子の接触力が大きくなり、カバー4への付着、摩耗が促進される可能性が高くなるため、75°以下とするのが好ましい。
【0028】
一般に、気流分級機においては、粉体の分級処理後において、分級室5内を清掃することが行なわれる。このとき、気流分級機は、上部ケーシング2の開口を着脱可能なカバー4で覆う構成であるため、カバー4の取外しによって分級室5の上部が開口することになり、清掃やメンテナンスが容易である。
【0029】
図2は、この発明に係る気流分級機の他の例を示す。この例で示す気流分級機と図1に示す気流分級機とは、分級室5内に固気混合流体を供給する供給装置10の構成および取付け位置のみが相違する。
【0030】
図2に示す供給装置10は、カバー4の上側に設けられている。供給装置10は、カバー4の中心部に接続した粉体供給筒20の上部にホッパ21を接続し、そのホッパ21内に設けたエア噴射ノズル22から粉体供給筒20内に圧縮エアを噴射し、ホッパ21内の粉体を粉体供給筒20内に吸引して送るようにしている。
【0031】
また、粉体供給筒20にはエア噴射孔23を形成し、そのエア噴射孔23から粉体供給筒20内の外周部に向けて圧縮エアを噴射し、その圧縮エアによって粉体供給筒20内を下向きに流れる固気混合流体を旋回させるようにしており、その旋回する固気混合流体を粉体供給筒20の下端開口に設けたコーン24の外周に沿って分級室6内に供給している。
【0032】
一般に、微粉排出筒12内に吸引力を付与しルーバー8間の流通路から二次エアを流入して、分級室5内で気流を旋回させた場合、その気流の旋回速度は、実験の結果から、微粉排出筒12の内径位置にほぼ近い位置で大きく、外径方向に至るに従って次第に小さくなる。
【0033】
このため、図2に示す気流分級機のように、分級室5の中心部に固気混合流体を供給することにより、粉体にきわめて大きい分散力を付与することができ、各粒子に大きい旋回力を付与することができる。
【0034】
したがって、図2に示す気流分級機においては、分級室5内での粉体の付着や凝集を防止し、粉体を効果的に安定した状態で分級することができると共に、分級点を小さくすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、ケーシングの上部開口を閉じるカバーの円錐形下面における外径縁をルーバーの上縁と略同レベルに配置して、上記カバーと分級板とで形成される分級室を円筒状の内面をもつことのない形状としたことにより、分級室内の外周部で旋回する粉体の付着はなく、しかも、分級室内の外周部の粉体はルーバー間から混入する二次エアの衝突による分散作用を受けるため、粉体をきわめて効果的に安定した状態で分級することができる。また、粉体の付着、堆積が無くなる分、分級処理された粉体の回収率の向上を図ることができる。
【0036】
さらに、カバーにおける円錐形下面の水平面に対する傾斜角を分級板における円錐形上面の水平面に対する傾斜角より大きくしたことにより、粉体をより効果的に分級処理することができると共に、分級点を小さくすることができ、分級された微粉の最大粒子径の縮小化を図ることができる。また、コンパクトで清掃時などの分解、組立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る気流分級機の実施の形態を示す縦断正面図
【図2】この発明に係る気流分級機の他の実施の形態を示す縦断正面図
【図3】従来の気流分級機を示す縦断正面図
【符号の説明】
1 ケーシング
4 カバー
4a 円錐形下面
5 分級室
6 分級板
6a 円錐形上面
7 粗粉排出口
8 ルーバー
Claims (2)
- ケーシングの上部に設けたカバーの下面を中心部が高くなる円錐形とし、上記カバーの下方に設けた分級板の上面を中心部が高くなる円錐形とし、上記カバーと分級板との間に形成された分級室の外周に複数のルーバーを環状に設け、隣接するルーバー間に形成された流入路から分級室内に流入する二次エアにより分級室内に供給されて旋回する粉体を加速して、粉体を微粉と粗粉とに遠心分離し、微粉を分級板の中心部に接続された微粉排出筒から排出し、粗粉を分級板の外周囲に形成された粗粉排出口から排出させるようにした気流分級機において、前記カバーの円錐形下面における外周縁の外径をケーシングの内径と同径とし、その外周縁を前記ルーバーの上縁と略同レベルに配置したことを特徴とする気流分級機。
- 前記カバーにおける円錐形下面の水平面に対する傾斜角を分級板における円錐形上面の水平面に対する傾斜角より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の気流分級機。
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