JP3751478B2 - 電磁誘導式給電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両に設けられた誘導コネクタに給電する電磁誘導式給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
実開平06−044301号公報に開示されているように、バッテリ駆動式自動車の給電装置として、電磁誘導現象を利用した誘導コネクタが開示されている。その基本構成は、電磁誘導用のコイル間に磁気回路(閉磁路)を構成し、給電側の一次コイルに交流電力を出力して負荷側の二次コイルに起電力を生じさせるようになっている。
【0003】
ところで、本件出願人は、バッテリ駆動式自動車に限らず、広く一般の自動車の給電装置に上述のような誘導コネクタを採用することを検討している。例えばドアの電装品に車体側から給電する場合、電磁誘導用のコイルが巻装された電磁誘導コアを車体側とドア側とにそれぞれ設け、車体側の電磁誘導コア(一次コア)に巻装されたコイル(一次コイル)とドア側の電磁誘導コア(二次コア)に巻装されたコイル(二次コイル)との間に磁気回路(閉磁路)を構成し、一次コイルに交流を給電して二次コイルに起電力を生じさせることにより、ドア側の電装品に通電するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような給電システムを確立するためには、誘導コネクタの一次コイルに交流電源を接続する必要がある。ここで、車両の直流電源装置は直流電源であるので、誘導コネクタを直流電源装置に接続するために、直流電源装置と誘導コネクタとの間にインバータを設ける必要があった。
【0005】
しかし、そのようなインバータを設けた場合には、コストがかさむばかりでなく、重量が重くなり、給電機構がかさばるという問題があった。
【0006】
しかも、インバータには、電磁ノイズの発生源となるスイッチング素子が必須の部品として採用されているが、そのようなインバータをさらに設けることは、電磁ノイズの対策も困難になり、誘導コネクタを採用可能な電装品が制約されてしまうという不具合もあった。
【0007】
加えて、インバータは、通常、ケーシング内にスイッチング素子ユニットを初めとする回路ユニット、冷却用のファン、電界コンデンサ、リレー、ヒューズ等を有しており、メンテナンスを要するものである。また、トラブルが生じた場合には、スイッチング素子ユニットやゲートコントロール基板を交換する必要もあるので、そのようなインバータをさらに付加することは、トラブル発生時に複数箇所にわたって点検/修理を行う必要が生じ、メンテナンスも手間になるという問題もあった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、メンテナンス性に優れ、軽量でノイズ対策も容易な廉価な給電システムを確立することのできる電磁誘導式給電装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、直流電源装置と、交流電力出力端子と、前記直流電源装置に接続される変圧用一次コイル及びこの変圧用一次コイルと磁気的に結合されて前記交流電流出力端子に接続される変圧用二次コイルを有する変圧器を含み、前記直流電源装置から前記交流電力出力端子に交流電力を出力するためのインバータとが車体に搭載された車両に設けられる電磁誘導式給電装置において、コネクタ用一次コイルと、このコネクタ用一次コイルとの間で磁気回路を形成するコネクタ用二次コイルとを有する誘導コネクタを備え、この誘導コネクタのコネクタ用一次コイルが、前記交流電流出力端子に接続された前記変圧用二次コイルとは別に設けられてこの変圧用二次コイルとともに共通の前記変圧用一次コイルに磁気的に結合された変圧用コネクタ側二次コイルに接続されている電磁誘導式給電装置である。
【0010】
この発明では、誘導コネクタを採用するに当たり、当該誘導コネクタのコネクタ用一次コイルが、車両の交流電力出力端子に交流電力を出力するインバータの変圧用コネクタ側二次コイルに接続されているので、このインバータを誘導コネクタ用のインバータとして共用することが可能になる。
【0011】
また、前記変圧用コネクタ側二次コイルは、前記交流電力出力端子に接続される変圧用二次コイルと共通の変圧用一次コイルに磁気的に結合されているので、誘導コネクタの電圧を変換する際に、インバータに設けられている変圧用一次コイルを前記交流電力出力端子の変圧用と誘導コネクタの変圧用とに併用することが可能になる。
【0012】
誘導コネクタの態様としては、一次コイルと二次コイルとが互いに対向した状態のまま所定の回動軸回りに相対的に回動可能に配設される回動式コネクタと、一次コイルと二次コイルとが互いに接近/離反可能な接離式コネクタとが考えられる。また、誘導コネクタの使用例としては、二次コイルをドアの電装品に接続することが例示される。
【0013】
前記インバータには、複数の誘導コネクタが接続されていてもよい。この場合には、より多くの誘導コネクタがインバータを共用することになる。
【0014】
前記インバータは、前記変圧器を内蔵するケーシングを備え、このケーシングに、前記変圧用コネクタ側二次コイルと接続されるとともに前記誘導コネクタのコネクタ用一次コイルと接続される誘導コネクタ用出力端子が取り付けられていることが、より好ましい。このようにすると、ケーシングをも共用することが可能になる。また、インバータに対し、例えばワイヤーハーネスを介して誘導コネクタの一次コイルを接続することができる。
【0015】
さらに、前記インバータのスイッチング素子は、接地された金属部材により囲繞されているものであることが好ましい。
【0016】
このようにすると、金属部材によってスイッチング素子による電磁ノイズが可及的に回避された状態で、当該インバータの電力が誘導コネクタの一次コイルに供給されることになる。
【0017】
加えて、前記誘導コネクタは、一次コイルと二次コイルとが互いに対向した状態のまま所定の回動軸回りに相対的に回動可能に配設される回動式コネクタを含んでいることが好ましい。
【0018】
この発明では、例えばヒンジ式のドアに装備された電装品に給電する際に、ドアの開閉状態に拘らず給電を要する電装品に好適に給電することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る概略構成を示す回路図である。また図2及び図3は図1の実装例を模式的に示す斜視図である。
【0021】
これらの図を参照して、図示の実施形態に係る車両は、直流電源装置PWと、この直流電源装置PWに対し、入力ハーネスWH1を介して接続されたインバータCVとを車体Bに備えている。
【0022】
上記インバータCVは、ケーシングCV1内にスイッチング素子CV2を有し、このスイッチング素子CV2が上記入力ハーネスWH1により給電されている。
【0023】
スイッチング素子CV2は、例えば、電力用サイリスタやトランジスタが組み合わされた半導体スイッチユニットで構成される。このスイッチング素子CV2は、図示しない基板上等に実装されてスイッチング素子ユニットを構成しており、その周囲は、接地された金属製(例えば鉄)の囲繞板CV3によって囲繞されている。また必要に応じてノイズフィルタを採用してもよい。これにより、スイッチング素子CV2(或いはスイッチング素子ユニット)からの電磁ノイズが遮断されるようになっている。スイッチング素子CV2の出力側には、変圧器CV4の一次コイル(変圧用一次コイル)CV41が接続されている。
【0024】
図示の例において、この一次コイルCV41には、変圧用二次コイルである二次コイルCV42と、変圧用コネクタ側二次コイルである二次コイルCV43とが磁気的に結合されている。各二次コイルCV42、CV43には、整流平滑回路CV5、パルス幅変調用のPWM回路CV6(二次コイルCV42のみ)、フィルタ回路CV7が接続されており、一方の二次コイルCV42側の出力端子T1には、AC出力コンセントB1が、他方の二次コイルCV43側の出力端子T2には、AC/DCコンバータB2を介してDC電源出力コネクタB3が接続されている。
【0025】
ここで、上記変圧用コネクタ側二次コイルである二次コイルCV43には、ケーシングCV1に設けた誘導コネクタ用出力端子T3及び誘導コネクタ用出力端子T3に接続される出力ハーネスWH2を介して誘導コネクタ1(2)が接続されている。
【0026】
上記誘導コネクタ1(2)は、車体Bに取り付けられている回動式のバックドアDB(図2参照)やサイドドアDS(図3参照)に設けられた電装品1a、2aに対して通電するためのものである。本実施形態に適用可能な誘導コネクタとしては、回動式コネクタ1と接離式コネクタ2とが例示される。
【0027】
回動式コネクタ1は、後述するように回動式のドアDB(DS)のヒンジ周りに回動可能な電磁誘導コイル15a、25aを有している誘導コネクタである。この回動式コネクタ1が接続される電装品1aとしては、バックドアDBについてはランプL(図2参照)が、回動式のサイドドアDSについては、パワーウィンド用モータM(図3参照)及びランプが例示される。
【0028】
これに対して、接離式コネクタ2は、各電磁誘導コイル15a、25aが互いに接離可能な誘導コネクタである。この接離式コネクタ2が接続される電装品2aとしては、バックドアDBについては、ワイパー用モータM1、パワードアロック用モータM2(図3参照)、デフォッガーD(図2参照)等が例示され、サイドドアDSについては、パワードアロック用モータM2の他、ドアミラー駆動用モータが例示される。なお図1において、1bは誘導コネクタ1(2)と電装品1a(2a)との間に挿入された整流平滑回路である。
【0029】
なお、図では省略されているが、上記ケーシングCV1には、一壁面に貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して入力ハーネスWH1や出力ハーネスWH2等がそれぞれ対応する端子に接続されている。
【0030】
次に、本実施形態に適用可能な誘導コネクタ1、2の構成について説明する。
【0031】
図4は図1の実施形態に採用可能な回動式コネクタ1の斜視図であり、図5は図4の断面図、図6は図4の分解断面図、図7は図4の側面図である。
【0032】
これらの図を参照して、回動式コネクタ1は、車体B側に取り付けられる一次コアユニット10とドアDB(DS)側に取り付けられる二次コアユニット20とをヒンジ軸3で相対的に回動可能に連結したものである。
【0033】
図5に示すように、ヒンジ軸3は、ヘッド3aを備えているとともに、自由端部にねじ穴3bを同心に有しており、このねじ穴3bに螺合するボルト3dによって、両ユニット10、20を分離可能に連結している。
【0034】
各コアユニット10、20は、取り付け板11、21と、取り付け板11、21に突設されたホルダ部12、22と、各ホルダ部12、22に内蔵されたコイルユニット15、25とをそれぞれ有している。
【0035】
各ホルダ部12、22には、それぞれ相手側に向かって開く環状の収容凹部12e、22eがヒンジ軸3の挿通孔12c、22cと同心に形成されており、これによって、内部に収容されているコイルユニット15、25を同心に対向させることができるようになっている。
【0036】
各コイルユニット15、25は、ヒンジ軸3と同心に組み付けられる一次コイル(コネクタ用一次コイル)15a及び二次コイル(コネクタ用二次コイル)25aと、各コイル15a、25aがそれぞれ巻装されたコア15b、25bとで構成されているものである。
【0037】
各コイル15a、25aは、電線を環状に巻回して構成されたものである。また、各コア15b、25bは、例えばフェライト等、磁気抵抗の小さい強磁性体材料で構成される。
【0038】
そして、図示の実施形態では、一次コアユニット10のコイル15aの外周を二次コアユニット20のコイル25aの内周に同心に配置することにより、両者を磁気的に結合したものである。
【0039】
より詳細に説明すると、一方のコイルユニット15のコア15bは、ホルダ部12の収容凹部12eの内奥部に嵌合するフランジ部15dと、このフランジ部15dと同心に形成されたボス部15fとを同心に有する環状の燒結材である。このコア15bの内周にホルダ部12の収容凹部12eを区画するボス12hを同心に嵌合させることにより、ホルダ部12のヒンジ軸挿通孔12cとコア15bとの同心性が確保されている。そして、コイル15aは上記コア15bのボス部15fの外周に巻装されている。また、他方のコイルユニット25のコア25bは、収容凹部22a内に嵌入した有底の筒状体であり、周壁25cと環状の低部25dとを一体に有している。コア25bの内周には、環状に巻回されたコイル25aが嵌入されている。そして、このコイル25aの内周部に相手側のコイル15aを導入することにより、両コイル15a、25aは、径方向に対向した状態で同心に配置されることになる。
【0040】
図示の実施形態に係る二次コイルユニット20のホルダ部22には、ヒンジ軸3と同心に形成された円弧状のスリット22eが形成されている。スリット22eにより、ホルダ部22の外周壁22fは、相手側のホルダ部12の収容凹部12e内に嵌入可能な円筒形状を呈している。これとともに、一次コイルユニット10のホルダ部12の外周壁12fがスリット22e内に嵌入し、互いに相対回動可能な状態で同心性を確保している。さらに一方のホルダ部12の端面12gは、他方のホルダ部22の自由端側に形成した肩部22gに当接される。これにより、両ホルダ部12、22は、ヒンジ軸3によって連結された際、円周方向に相対変位可能な状態で組み付けられる。この結果、各コイルユニット15、25が同心に径方向に対向することになる。
【0041】
各コイル15a、25aの配線を行うために、各ホルダ部12、22には、有底の収容穴16、26が形成され、対応する取り付け板11、21に開口している。これら収容穴16、26内には、コネクタ18、28のリード線17、27が導入され、対応するコイル15a、25aと電気的に接続されている。これにより、一次コイル15aを車体BのインバータCVに、二次コイル25aを電装品1aにそれぞれ電気的に接続することが可能になっている。
【0042】
次に上述した回動式コネクタ1と併用される接離式コネクタ2の具体例について図2及び図3並びに図8以下を参照しながら説明する。
【0043】
図8は本発明に適用可能な接離式コネクタ2の一例であって、ドアが開放状態のときを示す断面図であり、図9はドアを閉じつつある瞬間における図8の接離式コネクタの断面図であり、図10は図8のコネクタの嵌合状態を示す断面図である。
【0044】
これらの図を参照して、接離式コネクタ2は、互いに接離可能な二つのコイルユニット210、220を有しており、一方のコイルユニット210を車体Bの開口縁部に設け、他方のコイルユニット220を、ドアDB(DS)の、上記一方のコイルユニット210に対し嵌合可能に対向する位置に取り付けている。
【0045】
一方のコイルユニット210は、車体Bに形成された収容凹部212内に収容されたスライダ213を有している。収容凹部212及びスライダ213は、いずれも円形断面に形成されており、収容凹部212の周方向複数箇所には、回り止めとなる軸方向のリブ212aが突設されている。他方、スライダ213の外周面には、リブ212aとスライド嵌合するスリット213aが、各リブ212a毎に形成されている。これによりスライダ213は、軸方向にのみ変位可能に収容凹部212内に収容されている。また、収容凹部212の開口縁には、図示しないストッパが設けられており、このストッパによって、図10に示す接合位置を超えてスライダ213が車体Bよりも突出するのを阻止している。
【0046】
スライダ213の前面には、円形の凹部213bが形成されており、この凹部213bには、コア214のフランジ部214aが嵌装され、コア214をドアDB(DS)に向けて同心に突出させている。コア214は、例えばフェライト粉末を燒結して形成され、フランジ部214aを同心に有する円柱体214bを有しているとともに、この円柱体214bには一次コイル215が巻回されているものである。さらに、図示の例では、環状の永久磁石216がスライダ213の前面に埋設されている。
【0047】
上記スライダ213と収容凹部212の間には、複数のコイルばね217が介装されている。このコイルばね217は、自由状態において、スライダ213を収容凹部212の内奥側に退避させた状態に保持している。この退避位置では、図8に示すように、スライダ213に取り付けられたコア214のうち円柱体214bの先端のみが車体Bの外面から突出した状態になる。また、コイルばね217は、次に説明するコイルユニット210、220の結合状態において、ドアDB(DS)側のコイルユニット220に設けた永久磁石223と上記永久磁石216との磁力によって、スライダ213が引っ張られ、スライダ213を介して一次コイル215が接合位置に移動するのを許容する。
【0048】
次に、ドアDB(DS)側のコイルユニット220は、ドアDB(DS)に埋設されたコア221を有している。このコア221は、例えばフェライト粉末を燒結して形成された有底の円筒形状に形成されているものである。コア221の内周部221aには、電線を円筒形状に巻回してなる二次コイル222が同心に嵌合されている。また、ドアDB(DS)には、上記コア221の外方に同心に配置された永久磁石223が嵌装されている。この永久磁石223は、ドアDB(DS)を閉じたときに、上述した車体B側のコイルユニット210の永久磁石216と引き合うことによって、車体B側のコイルユニット210をコイルばね217の弾性力に抗して引っ張り、スライダ213を介して一次コイル215を接合位置に移動するためのものである。
【0049】
以上の構成では、ドアDB(DS)が開いている状態では、図8に示すように、各コイルユニット210、220は、互いに離れた位置関係となる。この状態では、両コイルユニット210、220に設けた両永久磁石216、223の間では引っ張り力が作用せず、一次コイル215は、二次コイル222と離れている。この結果、二次コイル222に起電力が生じることはなく、ドアDB(DS)の電装品2aに通電されることはない。
【0050】
他方、ドアDB(DS)を閉じる方向に回動すると、ドアが閉じる直前に両コイルユニット210、220が突き合わされて、車体B側のコイルユニット210のスライダ213に設けたコア214の円柱体214bがドアDB(DS)側のコイルユニット220の二次コイル222内に臨んで先端部が導入される。
【0051】
ドアDB(DS)が閉じると、両コイルユニット210、220に設けた永久磁石216、223が互いに引き合い、スライダ213をドアDB(DS)の方へ引き寄せることになる。ここで、ドアDB(DS)が閉じた瞬間には、慣性力によってドアDB(DS)の縁と車体BとのクリアランスC(図9参照)が狭まるように、ドアDB(DS)の縁が僅かではあるが急激に弾性変形し、これに伴って、ドアDB(DS)側のコイルユニット220が車体B側のコイルユニット210に対して急激に接近する。しかし、図示の実施形態では、コイルユニット210のスライダ213がコイルばね217によって収容凹部212の内奥側に退避しているので、コイルばね217が弾性変形して抗力を与えることと相俟って、スライダ213はゆっくりと移動し、やがて、図10に示すように、両永久磁石216、223が接合する。この結果、ドアDB(DS)を閉じた瞬間に生じる弾性変形によってコア214、221同士が過度に衝合することはない。
【0052】
両永久磁石216、223が接合すると、コア214の円柱体214bがコア221内に入り込み、一次コイル215が二次コイル222内で径方向に対向することになる。他方、車体B側のコア214のフランジ部214aにドアDB(DS)側のコア221の端面221cが当接するとともに、円柱体214bの端面がコア221の内底部に当接し、両コア214、220によって、コイル215、222を貫通する磁気回路が形成される。これにより、車体Bから一次コイル215に通電されると、電磁誘導現象によって二次コイル222に起電力が生じ、二次コイル222に接続された電装品2aに通電することが可能になる。なおこの過程でドアDB(DS)は、上述した弾性変形から自然状態に復帰する。
【0053】
次に、ドアDB(DS)を開くと、両コイルユニット210、220が互いに離れて永久磁石216、223による引っ張り力がほとんど働かなくなるところで、コイルばね217が自由状態に復帰し、スライダ213を収容凹部212の内奥側の退避位置に戻すことになる。
【0054】
そして、上述したコネクタ1、2を適宜採用することにより、ドアDB(DS)の電装品1a、2aの通電特性に適合した好適な通電システムを確立することができるのである。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、車体Bの交流電力出力端子(例えばAC出力コンセントB1)に接続されたインバータCVを誘導コネクタ1(2)用のインバータとして共用することが可能になるので、誘導コネクタ1(2)を採用した給電システムを確立するに当たり、コストを低減することができ、重量がかさむことも少なくなり、給電機構が簡素化する。しかも、インバータCVを共用していることから、電磁ノイズの対策も一元化されて容易になり、誘導コネクタ1(2)をより広範な電装品1a、2aに採用することが可能になる。加えて、インバータCVのメンテナンスにおいても、トラブル発生時に単一箇所を点検/修理すればよく、作業が容易になるという利点もある。したがって本実施形態によれば、メンテナンス性に優れ、軽量でノイズ対策も容易な廉価な給電システムを確立することができるという顕著な効果を奏する。
【0056】
また、インバータCVのケーシングCV1には、コネクタ用の出力端子T3が取り付けられており、この出力端子T3に接続された出力ハーネスWH2を介して誘導コネクタ1(2)がインバータCVに接続されているので、ケーシングCV1をも共用することが可能になる。この結果、ノイズの出入口となる入出力線や、ケーシングCV1に出力ハーネスWH2を取り付ける際の貫通孔を可及的に少なくすることができ、ノイズ防止対策を容易に行うことが可能になる。また、配線作業やメンテナンス作業も容易になるという利点がある。
【0057】
特に、前記誘導コネクタ1(2)が、前記インバータCVに内蔵されている変圧器CV4の一次コイル(変圧用一次コイル)CV41と磁気的に結合される二次コイル(変圧用コネクタ側二次コイル)CV43を介して当該インバータCVに接続されているので、誘導コネクタ1(2)の電圧を変換する際に、インバータCVに接続されている変圧器CV4をも誘導コネクタ1(2)用の変圧器CV4として併用することが可能になり、一層コストの低廉化に寄与することになる。
【0058】
また、前記インバータCVのスイッチング素子CV2がケーシングCV1内で金属部材(囲繞板CV3)により囲繞されているので、囲繞板CV3によってスイッチング素子CV2による電磁ノイズが可及的に回避された状態で、当該インバータCVの出力電圧が誘導コネクタ1(2)に出力されることになり、ノイズの影響を可及的に抑制し、誘導コネクタ1(2)をより広範な電装品1a、2aに採用することが可能になるという利点がある。
【0059】
加えて、誘導コネクタが上述した回動式コネクタ1である場合、この回動式コネクタ1は、一次コイル15aと二次コイル25aとが互いに対向した状態のまま所定のヒンジ軸3の回りに相対的に回動可能に配設されるので、例えばヒンジ式のドアDB(DS)に装備された電装品1a、2aに給電する際に、ドアの開閉状態に拘らず給電を要する電装品1aに好適に給電することが可能になり、より誘導コネクタの汎用性が高まるという利点がある。
【0060】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0061】
例えば、一つのインバータCVに対し、複数の誘導コネクタ1(2)を接続してもよい。その態様としては、同種の誘導コネクタが複数個接続されている場合であってもよく、回転式コネクタ1と接離式コネクタ2とが併用されていてもよい。誘導コネクタ1(2)が複数個接続している場合には、インバータCVの一元管理が一層容易になるという利点がある。
【0062】
なお、図11は、本発明とは別の態様を示すもので、図11は、インバータCVのスイッチング素子CV2と変圧器CV4との間に直接誘導コネクタの一次コイル15(215)を接続する構成を採用したものを示している。
【0063】
これに対して、図12は、本発明の実施の形態を示したもので、変圧器CV4に既設されている二次コイルCV43を変圧用二次コイル、二次コイルCV42を変圧用コネクタ側二次コイルとし、この二次コイルCV42の下流端(フィルタ回路と出力端子T1との間)に誘電コネクタの一次コイル15を接続する構成を採用したものを示している。
【0064】
また、本発明の別の実施の形態として、図13に示すように、変圧器CV4に既設された二次コイルCV42、CV43とは別個の二次コイルCV44を接続用として設け、この二次コイルCV44に誘導コネクタ1(2)を接続してもよい。この場合には、部品点数は増加するが、誘導コネクタ1(2)の接続用として設けられた二次コイルの仕様を変更するだけで誘導コネクタ1(2)の電圧を所望の値に設定/変更することが可能になり、メンテナンス性や設計の自由度が向上するという利点がある。
【0065】
図4以下の構成では、車体B側にユニット20を設け、ドアDB(DS)にユニット10を設けてもよい。同様に、図8以下の構成では、車体B側にユニット220を設け、ドアDB(DS)にユニット210を設けてもよい。或いは、電装品1a、2aの態様に応じて、回動式コネクタ1を複数個設けたり、接離式コネクタを複数個設けてもよい。
【0066】
さらに、上述した誘導コネクタ1(2)のうち、接離式コネクタ2の用途としては、ヒンジ式ドアに限らず、スライド式のドアに適用することも可能である。加えて、各コネクタ1、2をドアの電装品以外の給電目的で採用してもよい。
【0067】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車体の交流電力出力端子に接続されたインバータを誘導コネクタ用のインバータとして共用することが可能になるので、誘導コネクタを採用した給電システムを確立するに当たり、コストを低減することができ、重量がかさむことも少なくなり、給電機構が簡素化する。しかも、インバータを共用していることから、電磁ノイズの対策も一元化されて容易になり、誘導コネクタをより広範な電装品に採用することが可能になる。加えて、インバータのメンテナンスにおいても、トラブル発生時に単一箇所を点検/修理すればよく、作業が容易になるという利点もある。したがって本発明によれば、メンテナンス性に優れ、軽量でノイズ対策も容易な廉価な給電システムを確立することができるという顕著な効果を奏する。
【0069】
さらに、前記誘導コネクタ用出力端子が前記インバータに内蔵されている変圧器の変圧用コネクタ側二次コイルに接続されているので、誘導コネクタの電圧を変更する際に、インバータに接続されている変圧器をも誘導コネクタ用の変圧器として併用することが可能になり、一層コストの低廉化に寄与することになる。
【0070】
さらに、前記変圧器に、前記交流電力出力端子に接続される変圧用二次コイルとは別個の変圧用コネクタ側二次コイルを設け、この変圧用コネクタ側二次コイルに前記誘導コネクタ用出力端子が接続されているので、この変圧用コネクタ側二次コイルの仕様を変更するだけで誘導コネクタの電圧を所望の値に設定/変更することが可能になり、メンテナンス性や設計の自由度が向上するという利点がある。
【0071】
特に、前記インバータに複数の誘導コネクタが接続されている場合には、より多くの誘導コネクタが車体のインバータを共用することになり、インバータの一元管理が容易になる。
【0072】
また、インバータのケーシングに誘導コネクタの一次コイルと接続される誘導コネクタ用出力端子が取り付けられている場合には、ケーシングをも共用することが可能になる結果、ノイズの出入口となる入出力線や、ケーシングに出力ハーネスを取り付ける際の貫通孔を可及的に少なくすることができ、ノイズ防止対策を容易に行うことが可能になる。また、配線作業やメンテナンス作業も容易になるという利点がある。
【0073】
また、前記インバータのスイッチング素子が金属部材により囲繞されているものである場合には、金属部材によってスイッチング素子による電磁ノイズが可及的に回避された状態で、当該インバータの電圧が誘導コネクタの一次コイルに出力されることになり、ノイズの影響を可及的に抑制し、誘導コネクタをより広範な電装品に採用することが可能になるという利点がある。
【0074】
加えて、前記誘導コネクタが、一次コイルと二次コイルとが互いに対向した状態のまま所定の回動軸回りに相対的に回動可能に配設される回動式コネクタを含んでいる場合には、例えばヒンジ式のドアに装備された電装品に給電する際に、ドアの開閉状態に拘らず給電を要する電装品に好適に給電することが可能になり、より誘導コネクタの汎用性が高まるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る概略構成を示す回路図である。
【図2】 図1の実装例(バックドアの例)を模式的に示す斜視図である。
【図3】 図1の別の実装例(サイドドアの例)を模式的に示す斜視図である。
【図4】 図1の実施形態に採用可能な回動式コネクタの斜視図である。
【図5】 図4の断面図である。
【図6】 図4の分解断面図である。
【図7】 図4の側面図である。
【図8】 本発明に適用可能な接離式コネクタの一例であって、ドアが開放状態のときを示す断面図である。
【図9】 ドアを閉じつつある瞬間における図8の接離式コネクタの断面図である。
【図10】 図8のコネクタの嵌合状態を示す断面図である。
【図11】 本発明とは別の実施形態に係る回路図である。
【図12】 本発明の別の実施形態に係る回路図である。
【図13】 本発明の別の実施形態に係る回路図である。
【符号の説明】
B 車体
B1 AC出力コンセント(交流電力出力端子)
DB バックドア
CV インバータ
CV1 ケーシング
CV2 スイッチング素子
CV3 囲繞板(金属部材)
CV4 変圧器
CV41 一次コイル(変圧用一次コイル)
CV42 二次コイル(変圧用二次コイルまたは変圧用コネクタ側二次コイル)
CV43 二次コイル(変圧用コネクタ側二次コイルまたは変圧用二次コイル)
CV44 二次コイル(変圧用コネクタ側二次コイル)
PW 直流電源装置
T3 誘導コネクタ用出力端子
1 回動式コネクタ(誘導コネクタ)
1a、2a 電装品
2 接離式コネクタ(誘導コネクタ)
15a 一次コイル(コネクタ用一次コイル)
25a 二次コイル(コネクタ用二次コイル)
Claims (5)
- 直流電源装置と、交流電力出力端子と、前記直流電源装置に接続される変圧用一次コイル及びこの変圧用一次コイルと磁気的に結合されて前記交流電流出力端子に接続される変圧用二次コイルを有する変圧器を含み、前記直流電源装置から前記交流電力出力端子に交流電力を出力するためのインバータとが車体に搭載された車両に設けられる電磁誘導式給電装置において、コネクタ用一次コイルと、このコネクタ用一次コイルとの間で磁気回路を形成するコネクタ用二次コイルとを有する誘導コネクタを備え、この誘導コネクタのコネクタ用一次コイルが、前記交流電流出力端子に接続された前記変圧用二次コイルとは別に設けられてこの変圧用二次コイルとともに共通の前記変圧用一次コイルに磁気的に結合された変圧用コネクタ側二次コイルに接続されていることを特徴とする電磁誘導式給電装置。
- 請求項1記載の電磁誘導式給電装置において、前記インバータには、複数の誘導コネクタが接続されていることを特徴とする電磁誘導式給電装置。
- 請求項1または2記載の電磁誘導式給電装置において、前記インバータは、前記変圧器を内蔵するケーシングを備え、このケーシングに、前記変圧用コネクタ側二次コイルと接続されるとともに前記誘導コネクタのコネクタ用一次コイルと接続される誘導コネクタ用出力端子が取り付けられていることを特徴とする電磁誘導式給電装置。
- 請求項1〜3の何れかに記載の電磁誘導式給電装置において、前記インバータのスイッチング素子は、接地された金属部材により囲繞されているものであることを特徴とする電磁誘導式給電装置。
- 請求項1〜4の何れかに記載の電磁誘導式給電装置において、前記誘導コネクタは、そのコネクタ用一次コイルとコネクタ用二次コイルとが互いに対向した状態のまま所定の回動軸回りに相対的に回動可能に配設される回動式コネクタを含んでいることを特徴とする電磁誘導式給電装置。
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