JP3750960B2 - Co検出方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は金属酸化物半導体ガスセンサを用いたCOの検出に関する。
【0002】
【従来技術】
温度変化を用いた金属酸化物半導体ガスセンサとして、SnO2系のCOセンサTGS203等(TGS203はフィガロ技研の商品名)がある。このガスセンサは150秒周期で動作し、最初の60秒間を高温域に次の90秒間を低温域に割り当て、高温域での最終温度は300℃、低温域での最終温度は80℃で、低温域終了時の金属酸化物半導体の抵抗値からCOを検出する。センサの抵抗値はCO濃度にほぼ反比例し、水素とCOとの相対感度は1:10で、例えば水素1000ppmとCO100ppmとが等価となる。さらに抵抗値の初期分布は、CO100ppm中で1〜10KΩである。
【0003】
しかしながら金属酸化物半導体ガスセンサには使用に伴う特性のドリフトがあり、このセンサの場合は使用開始から2カ月程度で抵抗値は最大2倍に増加し、その後数年程度で抵抗値は初期値の約1/2程度まで低下する。TGS203の抵抗値はCO濃度にほぼ反比例するので、上記のドリフトはCO検出濃度が2倍〜1/2倍に変化することを意味する。
【0004】
ここで関連する先行技術を示す。ガスセンサの温度を変化させて、その抵抗値の挙動を温度波形と見なし、これをフーリエ変換してガスを検出することは、吉川らにより提案されている(アナリティカル・ケミストリー VoL68,No.13,2067−2072,1996)。またガスセンサの高温域の信号と低温域の信号とを組み合わせることには、多数の研究がある(例えば、米国特許4896143,同4399684)。
【0005】
【発明の課題】
この発明の課題は、金属酸化物半導体ガスセンサを用いてCOを定量的に検出することにある。
【0006】
【発明の構成】
この発明では、ガスにより抵抗値が変化する金属酸化物半導体ガスセンサを高温域と低温域とに温度変化させて、低温域でのガスセンサ信号からCOを検出する。
この発明は、低温域のガスセンサ信号に高温域初期のガスセンサ信号を組み合わせて、ガスセンサ信号のドリフトを補正する。好ましくは、前記高温域初期のガスセンサ信号を、低温域から高温域への移行時のガスセンサの抵抗値の谷を経過した後で、かつガスセンサ温度が上昇しつつある時期のガスセンサ信号とする。
【0007】
低温域のガスセンサ信号と高温域初期のガスセンサ信号の組合せによる処理は、好ましくは、
低温域でのガスセンサ信号と前記高温域初期のガスセンサ信号とからなる少なくとも2次元の位相空間を定め、
該位相空間でのCO検出装置の調整時付近でのガスセンサ信号のCO濃度による変化を示す濃度軸と、該濃度軸に斜交しガスセンサ信号のドリフト方向を示すドリフト軸とを求めて、該位相空間を濃度軸とドリフト軸の斜交座標系で表現し、
該位相空間でのガスセンサ信号の測定座標を前記濃度軸に射影してCO濃度を求めるものとする。
【0008】
また好ましくは、測温抵抗体で周囲温度を測定し、ガスセンサ信号の周囲の温度及び湿度依存性の内で、低温域の信号と前記高温域初期の信号で共通の部分を、低温域のガスセンサ信号と高温域初期のガスセンサ信号の組み合わせで除去し、残余の部分を測温抵抗体で求めた周囲温度で補正する。
【0009】
また好ましくは、低温域初期の信号を用いて水素の存在を検出して、低温域のガスセンサ信号と高温域初期のガスセンサ信号の組み合わせでの負の水素濃度依存性を補正する。
【0010】
この発明ではまた、ガスにより抵抗値が変化する金属酸化物半導体を用いたガスセンサのヒータに方形波状の電力を加えることにより、金属酸化物半導体を高温域と低温域とに交互に加熱し、低温域でのガスセンサ信号からCOを検出する。
ここでこの発明では、低温域から高温域への移行直後の金属酸化物半導体の抵抗値の谷が生じた後で、かつ金属酸化物半導体の温度が高温域での定常温度に達する前の、高温域初期のガスセンサ信号をサンプリングするための手段と、
サンプリングした高温域初期のガスセンサ信号と低温域のガスセンサ信号とを用いてCOを検出するためのCO検出手段を設ける。
【0011】
【発明の作用と効果】
この発明では、金属酸化物半導体ガスセンサを高温域と低温域とに温度変化させてCOを検出する。温度変化は例えばガスセンサのヒータに方形波状の電力を加えて行うが、サイン波状や鋸波状等でも良い。金属酸化物半導体の種類は実施例に示すSnO2の他にIn2O3やZnO等でも良く、センサの構造は任意である。また温度変化は、高温域と低温域とを交互に、特に所定の周期で規則的に行うものを実施例に示すが、これに限るものではない。高温域への加熱は、例えばドリフトの補正用の信号を得るためと、金属酸化物半導体をヒートクリーニングするためで、常時は低温域に金属酸化物半導体を保ち、COが存在する可能性がある場合に高温域に加熱しても良い。またCOの存在の可能性は、低温域でのガスセンサ信号から検出することができる。なお低温域は室温でも良い。
【0012】
発明者は、高温域の初期の信号と低温域の信号とがドリフトに関して強い相関を持ち、高温域初期の信号で低温域の信号を補正することにより、ドリフトの影響を補正できることを見い出した。そして高温域初期の信号としては、高温域への移行時に生じる抵抗値の谷を通過した後、金属酸化物半導体温度が定常値に達する前の、あるいは金属酸化物半導体温度が上昇しつつある過程での信号が有効であることを見い出した。そこでこれらの信号を組み合わせると、ガスセンサのドリフトの影響を補償し、TGS203の場合、例えばCO濃度換算で±20%程度の精度を得ることができた。これはTGS203の抵抗値がドリフトで最大2倍に増加することを考えると、誤差を1/5程度に減少させたことになる。
【0013】
ドリフトの補正では、COの濃度軸とドリフト軸の斜交2軸を、低温域の信号と高温域初期の信号の信号からなる少なくとも2次元の位相空間上に設ける。この結果位相空間は斜交座標系で表現され、信号のドリフトはドリフト軸に沿って狭い範囲を平行に進行する。実施例で示すように、使用開始2カ月程度での高抵抗化のドリフトが終了した後も、センサ信号は低抵抗化方向に同じドリフト軸に沿って進み、低抵抗化ドリフトにもこの発明は有効である。
【0014】
ガスセンサを温度変化させると、高温域初期の信号と低温域の信号が得られ、これは前記の位相空間での座標を与える。この座標から濃度軸に射影する。例えばドリフト軸に平行に座標を移動させ、濃度軸との交点を求める。この交点の座標はCO濃度を示し、これからCOを定量的に検出できる。ここに射影とは斜交座標系で濃度軸方向の座標を求めることで、当初求めた高温域初期の信号の値と低温域の信号の値とを、斜交座標系で濃度軸上の座標に換算することである。射影の手法は任意であり、例えば濃度軸上の複数の基準点からドリフト軸に平行な軸を引き、測定した座標を通過し濃度軸と平行な線との交点を求める。交点は測定座標の両側の2本のドリフト軸に平行な線との間で2点求まる。前記のドリフト軸に平行な線に参照表等により補正値を書き込んでおくと、2つの補正値が求まる。これを補間し、補正値を求めて補正前の信号(低温域の信号)を補正すると、CO濃度が得られる。なおここでは位相空間を2次元空間としたが、3次元以上の空間でも良い。
【0015】
金属酸化物半導体ガスセンサには周囲の温度や湿度への依存性があり、これらは主として絶対湿度への依存性である。低温域の信号と高温域初期の信号は、絶対湿度依存性でも相関があり、高温域初期の信号の方が絶対湿度依存性が小さいが、絶対湿度依存性の大部分を高温域初期の信号と低温域の信号の組合せでドリフト補正する間に、その副作用として補正できる。残る温湿度依存性は、例えばサーミスタ等の測温抵抗体で周囲温度を求めて補正する。
【0016】
高温域初期の信号は低温域の信号に比べ水素感度が高い。このため高温域初期の信号と低温域の信号とを組み合わせると、水素感度が負になることがある。これを補正する必要がある場合、例えば低温域初期の信号が水素に選択的なことを用いて、水素を検出して補正する。
【0017】
このようにこの発明では、定量的にCOを検出することができる。
【0018】
【実施例】
【0019】
【ガス検出装置の構造】
図1〜図26に実施例を示す。図1に開発したガス検出装置の構造を示すと、Sは金属酸化物半導体ガスセンサで、ここではTGS203を用い、SnO2系の金属酸化物半導体2の両端に一対のヒータh1,h2を配置したものである。センサSの種類や構造,材料,検出対象ガスは任意である。4は直流5V等の直流電源で、その出力VDDを用いてガス検出装置を駆動する。ガスセンサSの一対のヒータh1,h2を共に駆動するため、トランジスタT1,T2を用い、これらを同時にオン/オフさせる。そしてトランジスタT1,T2が共にオンすると、ヒータh1、h2に電流が流れ、トランジスタT1,T2のオンのデューティー比を変えることによって、金属酸化物半導体2の温度を周期的に変化させる。ここではTGS203の動作条件に従い、高温域を60秒間、低温域を90秒間とし、ヒータ電力の波形は高温域と低温域の2段階で変化する方形波状で、高温域の最終温度は300℃、低温域の最終温度は80℃である。また実施例では時刻の表示として、低温域の終了直前を0秒目とし、0〜60秒目を高温域として、90〜150秒目(150秒目は0秒目と等しい)を低温域とする。ただしヒータ波形は方形波に限らず、サイン波や鋸波等でも良い。
【0020】
金属酸化物半導体2には、抵抗ラダー5を接続し、R1〜Rnはその個別の抵抗である。ここでは各抵抗R1〜Rnは4倍ずつ変化するものとし、例えば0.5KΩ,2KΩ,8KΩ,32KΩ,128KΩ,512KΩの6つの抵抗を用いる。固定抵抗の精度は±2%程度のものが容易に得られ、抵抗値の切り替えに基づくAD変換誤差は±2%程度である。そしてトランジスタT1,T2をオフすると、電源出力VDD(以下検出電圧Vcと呼ぶ)は金属酸化物半導体2を介して抵抗ラダー5に流れ、抵抗ラダー5への出力電圧をAD変換して処理する。
【0021】
8はマイクロコンピュータで、ここでは4ビットの1チップマイクロコンピュータを想定する。10はそのバスで、12は例えば8ビットのADコンバータ、14は抵抗ラダー制御部で、抵抗R1〜Rnの1本のみをアースし、アースした抵抗を負荷抵抗として用いる。そして前記のように抵抗ラダーへの出力電圧はADコンバータ12でAD変換される。なお抵抗ラダー5への出力電圧をさらに分圧してAD変換しても良いことは当然で、また抵抗ラダー5側の電圧ではなく、センサS側の電圧をAD変換しても同じことである。16はヒータ制御部で、トランジスタT1,T2のオン/オフを制御し、60秒の高温域と90秒の低温域からなる温度サイクルを発生させる。18はEEPROM制御部で、20はEEPROMである。
【0022】
EEPROM20の構成を図3に示すと、例えばここではCOを検出対象とし、検出範囲をCO50〜600ppmの約10倍の範囲とする。基準信号としてはCO65ppm,200ppm,400ppmの3点を用い、基準信号として0秒目のセンサ抵抗の対数LnR0,6秒目のセンサ抵抗の対数LnR6,69秒目(低温域の初期)のセンサ抵抗の対数LnR69を用いる。なおLnは自然対数を表し、R0の0等の添え字は0秒基準のタイミングを表す。CO200ppmや400ppmでも、同様にして0秒目,6秒目,69秒目の3つの基準信号をセンサ抵抗の対数の形で記憶させる。51〜53は、各濃度についての基準信号を1枚のカードとして考えた際のカードである。これ以外にカード54にはCO検出装置の使用経歴を記録させる。即ち経過時間として、延べ使用時間と過去のCOの警報に関する記録を記憶させる。延べ使用時間はCO検出装置の電源がオンしている時間の累積値であり、例えば時間の単位は1日として、累積使用時間をカード54に記憶させる。警報の記録としては、後述のブザーが鳴動する毎にその日付を記憶する。日付としては、延べ使用時間と同じ基準での日付を記憶させる。このようにすると、ブザーが鳴動した日が判明する。
【0023】
22は入出力で、調整スイッチ23とリセットスイッチ24が接続されており、調整スイッチ23をオンすると、EEPROM制御部18はEEPROM20への書き込みが可能になり、CO検出装置の調整時にのみ使用するスイッチである。リセットスイッチ24はブザー38の鳴動を停止させるためのスイッチである。
【0024】
マイクロコンピュータ8には4ビットの算術論理演算ユニット26があり、150秒周期でCO検出装置を動作させるためのシーケンス制御部28が存在し、シーケンス制御部28はタイマを内蔵している。30はRAMで、揮発性メモリーとして用い、その構成を図2に示す。RAM30には、LnR0,LnR6,LnR69の3つの測定データと、これらに対する2濃度での基準信号が記憶されている。基準信号は常時は低濃度側の65ppmと200ppmを使用し、ガス濃度が200ppmを越えると、65ppmの基準信号を400ppmの基準信号で置き換える。そしてガス濃度が200ppm以下に低下すると、400ppmの基準信号を65ppmの基準信号で置き換える。ガスの検出範囲は50〜600ppmであり、50〜65ppmの範囲は、基準信号65ppmに近い。また400〜600ppmの範囲は、基準信号の400ppmに対して1.5倍の範囲であり、400ppmの基準信号を用いてガス濃度を正確に求めることができる。これらの範囲を除くと、COが発生している場合、現実のCO濃度の両側の基準信号を用いて、2つの基準信号間の補間によりガス濃度を決定する。
【0025】
RAM30にはこれ以外に、求めたCO濃度やCO濃度から換算したCOHb(血中のCOヘモグロビン濃度)やその他の補助信号(例えば1日単位でのタイマを構成するための時刻データ)等を記録する。
【0026】
図1に戻り、32は警報制御部で、駆動回路36を介してLED39,40を動作させ、血中COヘモグロビン濃度が例えば5%以上でブザー38を鳴動させる。ブザー38を鳴動させると、EEPROM制御部18はカード54に警報の日付を書き込む。34はプログラムメモリーであり、これ以外に温度補正に用いる様々な常数等のデータも記録させてある。なおこれらのデータは、センサSが変わっても共通の固定データである。そしてセンサ毎のデータは全てEEPROM20に記録させてある。42はサーミスタで周囲温度を測定し、44は温湿度補正部である。
【0027】
【検出装置でのサンプリングと対数変換】
図4に10個のセンサの平均の温度波形を示す。CO100ppmの波形に実施例で用いたサンプリングポイントを○で示すと、150秒目,6秒目及び69秒目でサンプリングを行う。センサの抵抗値はCO30ppm〜300ppmの範囲で約10倍変化し、また0秒目と69秒目とでは抵抗値が約10倍異なる。これ以外にセンサ抵抗のばらつきや周囲温湿度の変動等を加えると、AD変換の範囲は抵抗値で約0.5〜500KΩとなる。そこでこの範囲でAD変換ができるように、抵抗R1〜Rnを0.5KΩ〜512KΩまで4倍ずつ6段階に変化させ、各サンプリングタイミングの直前に抵抗ラダーへの出力VRlを監視して、その値に応じて負荷抵抗を切り替える。VRlのAD変換自体は1秒以内に行うことができ、その時の値に応じて各サンプリングポイントでどの抵抗を用いるかを決定すればよい。
【0028】
図5は、別の10個のセンサについて高温域の初期の温度波形を拡大して示したものである。雰囲気は0℃で相対湿度96%,20℃ 65%,50℃ 40%,の3種類で、±2δ(δは標準偏差)の範囲と平均値とを示してある。ガス濃度はCO100ppmであるが、周囲の温度や湿度の変動により抵抗値は各タイミングで10倍弱変化している。また0秒目と6秒目の抵抗値はほぼ等しく、例えば6秒目には0秒目と同じ負荷抵抗を用いても良い。しかし好ましくは例えば148秒目の信号で0秒目(もしくは高温域への移行前のサンプリングを確実にするため、149秒目)の抵抗値を決定し、5秒目の抵抗値から6秒目の負荷抵抗を決定する。同様に68秒目の抵抗値から69秒目の負荷抵抗を決定する。
【0029】
図6にサンプリングのアルゴリズムを示す。時刻が148秒目に達すると、出力電圧をAD変換し、この値が検出電圧Vc(VDDと同じ)の1/3〜2/3の範囲内にあることを確認する。この範囲では、センサ抵抗と負荷抵抗との抵抗値の比は2:1〜1:2の範囲内にある。出力電圧が正しければそのままで、正しくない場合には負荷抵抗を切り替え、この範囲に収まるようにする。次に0秒目に達すると出力電圧をAD変換し、AD変換した出力電圧VRlを用いて式(1)により0秒目でのセンサ抵抗の対数を求める。同様に5秒に負荷抵抗の値が正しいかどうかをチェックし、6秒目のセンサ抵抗の対数を求める。さらに68秒目でも負荷抵抗の値が正しいかどうかをチェックし、69秒目でセンサ抵抗の対数を求める。
【0030】
LnR=2−4VRl/Vc+LnRl (1)
式(1)のようにセンサ抵抗の対数を1次の項まで近似した場合、R/Rlが1で誤差が0、R/Rlが1/2または2で誤差は2%、R/Rlが1/3または3で誤差は11%となる。実施例ではCO濃度を±20%以下の誤差で検出することを目的とするので、±10%の誤差は大きすぎる。そこでセンサ抵抗と負荷抵抗との比を0秒目,6秒目,69秒目の3点で2〜1/2の範囲に保つように抵抗ラダー5を制御する。
【0031】
式(1)によるVRlからセンサ抵抗の対数への変換は線形変換であり、極めて簡単な変換である。しかしこれに伴って6個の負荷抵抗が必要であった。負荷抵抗の数を例えば4個に減少させるには、R/Rlの範囲を4〜1/4、より好ましくはルート8〜1/ルート8の範囲に保つようにする。このためには3次の項までの変換が必要である。センサ抵抗の対数をVRlで級数展開すると、2次の項は存在せず、3次の項までを加味したものが式(2)、(3)である。式(2),(3)を用いた場合、R/Rlが1で変換誤差は0%、R/Rlが1/4または4で変換誤差は4%、Rlが1/3または3で変換誤差は2%である。そこで例えば抵抗R1〜Rnの値を16倍ずつ、より好ましくは8倍もしくは9倍ずつ変化させる。そして例えば抵抗R1〜Rnの値を1KΩ,8KΩ,64KΩ,512KΩの4種とする。このようにすれば0.5〜1MΩの範囲を2%以下の誤差で対数に変換することができる。
LnR=2x+2/3×x3+LnRl (2)
x=1−2VRl/Vc (3)
【0032】
【ガス検出装置の調整】
図1のガス検出装置の調整の手続を図7に示す。なおこの時調整スイッチ23をオンし、EEPROM20への基準信号の書き込みを可能にしておく。CO検出装置を調整槽にセットするものとして説明すると、検出装置をセットした後、電源を投入して作動させる。そして例えば65ppmのCOを注入する。するとマイクロコンピュータ8はRAM30に書き込むために、LnR0,LnR6,LnR69を発生する。これをEEPROM20のカード51に記入させる。次いでCO濃度を200ppmに増加し、同様の手順を行う。さらにCO濃度を400ppmまで増加させる。このように所定の手順でCO濃度を増加させれば、EEPROM20に基準信号を書き込むことができる。そしてこの結果、可変抵抗を調整して基準信号を記憶させる必要が無く、調整作業が簡単になる。
【0033】
ここではCO検出装置を調整槽にセットするものとしたが、センサSのみをセットしても良い。そしてセンサSの抵抗値を例えば12ビット程度のADコンバータでAD変換し、パーソナルコンピュータ等に記録させ、これをEEPROM20に書き込んでも良い。この場合にはセンサSはCO検出装置には組み込まれておらず、センサSをEEPROM20とセットにして取り扱い、これらを別途に組み立てたCO検出装置に組み付ける。センサSとEEPROM20以外の部分は、通常の電子回路と全く同様に扱え、ガスセンサについて経験のないメーカーでもCO検出装置を組み立てることができる。
【0034】
【ガスセンサ信号のドリフト】
図8にTGS203の温度、(サーミスタで測定した金属酸化物半導体の表面温度,センサ数1個)を示す。3秒目の温度は100℃強,6秒目の温度は約150℃,12秒目の温度は200℃強,15秒目で約230℃,20秒目で約250℃,30秒目で280℃,60秒目で290℃である。この温度特性に基づき、0〜20秒目を高温域の初期とする。なお20秒目から60秒目への40秒間での40℃の温度上昇は小さく、20秒目以降,より厳密には30秒以降はセンサ温度は定常域に達したものとする。また90秒目の温度は約100℃で、90秒目〜150秒目の特性の変化は温度差によるものというよりは、温度変化に対する応答速度によるものである。
【0035】
既に図5に示したように、高温域への移行直後の抵抗値の谷は2〜3秒目に生じ、谷を通過した後で温度上昇が続く範囲としては、4〜20秒目,より好ましくは5〜15秒目の信号がある。
【0036】
図9〜図14にセンサ抵抗のドリフト特性を示す。これはTGS203の45個のデータで、不良品(7個)や良品(20個)、あるいは2年以上放置したサンプル(8個)、さらにはいったんCO検出装置にセットした後に回収したサンプル(10個)を含んでいる。各図の横軸は0秒目のセンサ抵抗を対数目盛りで示し、縦軸は3秒目(図9),6秒目(図10),12秒目(図11),30秒目(図12),60秒目(図13),120秒目(図14)のセンサ抵抗を同様に対数目盛りで示している。そして横軸が1は0秒目のCO100ppm中での基準信号(通電開始3日目)で、縦軸が1は6秒目等でのCO100ppmでの基準信号(通電開始3日目)である。図9〜図14はCO100ppm中での通電開始3日目の基準信号で正規化してある。
【0037】
図の各点は5週間の通電に伴う測定点を示し、45個のTGS203を5週間使用すると、センサは2倍程度、高低抵抗化してゆく。図10では、高抵抗化は6秒目等と0秒目との2次元位相空間で傾きが1の狭い直線上に集中している。この軸をドリフト軸と呼ぶことにする。なおCO30ppm中や300ppm中でドリフト軸が明瞭でないのは、TGS203の濃度依存性の分散のためである。即ち濃度依存性が均一でなく、CO30ppm中や300ppm中での初期点が1点に揃わないので、初期点の分散のためドリフト軸が不明瞭である。またCO30ppm,100ppm,300ppmの3点を結んだ直線を濃度軸と呼ぶことにする。そしてTGS203の初期の特性はこの濃度軸上にあり、使用と共に濃度軸はドリフト軸の方向に沿って平行移動していく。また図9〜図14を通してサンプルの一部は低抵抗化が始まっており、これはCO100ppm中の座標(位相点)が原点よりも左下の第4象限にあるものが存在することに示されている。そして低抵抗化のドリフトは高抵抗化の場合と同様にドリフト軸に沿って進行している。
【0038】
抵抗値の谷の3秒目の信号と0秒目の信号の組合せ(図9)では、ドリフト軸と濃度軸は近接し、ドリフト補正は困難である。これは3秒目の信号(100℃強)は低温域の信号(80℃付近)とCO感度が類似するためである。
【0039】
図11でも図10と同様のドリフト軸が見られるが、ドリフト軸の周囲の位相点の分布は広がり、これは0秒目の信号のドリフトと12秒目の信号のドリフトの相関が、0−6秒目の場合に比べて弱いことを示している。図12の30−0秒目の特性では、ドリフト軸の周囲の分布はより広く、CO300ppmでCO100ppmとの区別が難しい点が生じている。図13の60−0秒目の特性では、CO300ppm中で最もドリフトしたものでは、CO100ppmでの基準点にほぼ重なろうとしているものが存在する。図14の120秒目−0秒目の特性では、0秒目の信号と120秒目の信号が酷似した信号であるため、ドリフト軸も濃度軸も共通で、かつ全ての位相点が1本の直線の周囲に集まっている。
【0040】
これらのことからドリフト補正に用いることができるのは、高温域の初期の信号は、例えば4〜20秒目の信号、好ましくは5〜15秒目の信号とする。そして組み合わせる相手は低温域の後期の信号で、例えば90〜150秒目,好ましくは120〜150秒目の信号である。図10〜図13のいずれでも濃度軸とドリフト軸は斜交し、直交座標系でCO濃度とドリフトとに対応する2軸を求めることができない。仮にドリフト軸と直交する濃度軸を求めることができるとすると、それはドリフトの影響を受けない軸が存在し、その軸上の座標はガス濃度のみで定まることを意味する。しかしながらこのような軸を見つけることはできなかった。
【0041】
実施例ではセンサ抵抗の対数を用いるので、濃度軸やドリフト軸は直線となる。しかしセンサ抵抗そのものを用いれば、濃度軸は放物線に近い曲線軸となる。
【0042】
【負の水素感度】
各図にはこれ以外にCO100ppmと水素300ppmの混合ガスの挙動や、水素1000ppm中での挙動を示した。図10から明らかなように、水素に対しては感度は僅かに負になっている。例えば図10のCO100ppm+水素300ppmの各点をドリフト軸に沿って平行移動させ、濃度軸との交点を求めると、得られる濃度範囲はCO80ppm〜60ppmである。一方CO100ppm中での5週間の各点の分布は狭く、ドリフト軸に沿って平行移動させ、濃度軸との交点を求めると、分布範囲はCO80〜120ppm程度となる。水素に対する感度が負になるのは、6秒目の信号の方が0秒目の信号よりも水素感度が高いためである。そこでこれを補正するため、0秒目と69秒目の信号からなる位相空間を用いる。
【0043】
この場合の同様の5週間の通電データを図15に示す。図15から明らかなように、水素が発生すると69秒目の抵抗値は著しく減少し、濃度軸から極端に離れた場所にある。そこで濃度軸から図15の下方向に下降する距離をもって水素濃度を表す信号とする。
【0044】
このような水素検出信号は正確なものではなく、図15では斜交座標系を用いていない。しかし小さな負の水素感度の補正用なので、定量性のない水素検出信号でも用いることができる。そして水素感度の補正では、図10で僅かに負になっている水素感度を0に戻す、即ちCOのみに極めて選択的なCO検出装置を設計する、あるいはTGS203の本来の特性のようにCO対水素の相対感度を10:1となるように補正する、の2通りが考えられる。これらのいずれを選ぶかは、CO検出装置の設計方針の問題である。
【0045】
【ドリフト補正】
図16にドリフト補正の原理を示す。図の実線は濃度軸、破線はドリフト軸である。そして65ppm、200ppm,400ppmの3点での基準信号がEEPROM20に記録されている。測定により、LnR0とLnR6の2つの次元での位相空間上の点(a,b)が定まる。またこの位相空間での各基準信号の座標を図16のように定める。そして点(a,b)からドリフト軸に沿って平行移動させ、濃度軸との交点の座標を(e,f)とする。座標(e,f)が求まれば、濃度軸上の位置からCO濃度を求めることができる。そして座標(a,b)から座標(e,f)への移動は、ドリフト軸に平行な濃度軸への射影である。
【0046】
なお射影の手法は任意で、例えば図16の位相空間上にCO濃度を示すデータを書き込んで2次元のマップとし、マップ上の位置からCO濃度を求めても良い。そしてマップが粗く各座標に直接対応するデータが無いことは、マップの各点間の補間で処理すれば良い。あるいは各基準点(l,m),(e,f),(q,r)からドリフト軸に平行な3本の線を引き、各線上にCO濃度に対する補正値を書き込み、濃度軸上では補正値は1とする。そしてドリフトによる高抵抗化を補正するように、補正値を定める。そして測定点を通るように濃度軸を平行移動させ、両側の2つの補正線との交点を求め、各補正線での補正値を求めて補間する。このようにして求めた補正値で0秒目のセンサ抵抗の対数を補正し、CO濃度に換算する。これらの変形例では、射影の制限を補正線での補正値やマップの値に反映させることができ、射影への微細な操作が容易である。
【0047】
【温湿度依存性】
図18に別の10個のTGS203(使用開始から2カ月弱経過)について、CO100ppm中での0℃,相対湿度約96%と、20℃相対湿度65%との間の抵抗値の比を示す。横軸は温度変化でのタイミングである。温湿度依存性の大部分は0秒目と6秒目とのドリフト補正の副作用として補正される。
【0048】
図19に同じ10個のTGS203について、CO100ppm中での50℃,相対湿度約40%と、20℃相対湿度65%との間の抵抗値の比を示す。温湿度依存性の大部分は0秒目と6秒目とのドリフト補正の副作用として補正される。
【0049】
図18,図19は高温域の初期で温湿度依存性が小さくなることを示しており、低温域よりも温湿度依存性が小さいことが問題である。温湿度補正のために高温域初期での温湿度依存性を増大させるには、例えば10〜15秒目の信号が信号が好ましく、6秒目付近の信号を用いてドリフトを正確に補正するか、10〜15秒目の信号を用いて温湿度依存性の補正に重点を置くかはトレードオフの問題である。
【0050】
【信号処理】
図20〜図25に、CO濃度の算出を示す。図20はメインループを示し、最初に測定データから、a,b,cの3つの変数を定義する。次に温度補正のサブルーチン(図21)、ドリフト補正のサブルーチン(図22),水素補正のサブルーチン(図23)によりCO濃度を求める。最後にCO濃度から血中COヘモグロビン濃度COHbを求める。なおCOHbの初期値はリセット時には0としておく。この変換自体は既に周知で、k2,k3,k4は定数で、k4はここでは検出下限以下のCO30ppm程度に相当する値とし、CO濃度が30ppm以下では検出を行わないようにする。
【0051】
【温度補正サブルーチン】
図21の温度補正サブルーチンでは、サーミスタ42から周囲温度Tを求める。プログラムメモリー34には、周囲温度からa,b,cに対する補正常数T1,T2,T3の参照表が用意され、これを読み出してa,b,cに加算する。
【0052】
【ドリフト補正サブルーチン】
図22にドリフト補正サブルーチンを示す。ドリフト軸の傾きは1で、(e−a)と(f−b)は等しい。このため f=e+(b−a) が成立する。そこでe,fの2つの未知数の1つを消去できる。次に、n−pがa−b以上かどうかチェックする。この条件が不成立の場合、測定点は200ppmからドリフト軸を延ばした際にドリフト軸の下側にあり、検出濃度は200ppm以下である。次に点(e,f)は65ppmと200ppmの2つの基準信号で定まる線分を内分している。このことからe,fは65ppmや200ppmでの基準信号の座標n,p,q,rと1つの関係式に拘束され、これらを用いて座標eを解くことができる。
【0053】
求めたeには射影の制限がなく、濃度軸から極端に離れた点でも、濃度軸の近傍でも同様に射影している。また濃度軸の上下で射影は対称である。これに対して、濃度軸から高抵抗側へのドリフトが著しいほど、射影を制限してドリフトの一部のみを補正するようにすることが好ましい。また濃度軸から低抵抗側にドリフトした場合には、高抵抗側へのドリフトよりも補正を控え目にすることが好ましい。さらにCO30ppm程度でのドリフト軸の傾きは、100ppm以上でのドリフト軸の傾きよりも僅かに大きく、濃度毎にドリフト軸の傾きを変えるのが好ましい。また30ppmのCOは無害で検出対象に含まれず、このような低濃度域のCOに対してドリフト補正を行う必要が無い。そこで図24に示すように、濃度軸の上下で補正を非対称にし、かつ濃度軸からの距離が増すとドリフトを部分的に補正することが好ましい。
【0054】
マップを用いる場合やドリフト軸をCO濃度毎に複数容易する場合は、上記の処理はマップ内のデータの操作やドリフト軸の傾きの操作で処理できる。しかし実施例では、eを求めた後にプログラムメモリー34に記憶させた2次元の参照表で、上記の処理を行う。この参照表の見出しは(e−a)とeで、(e−a)は濃度軸からの距離に比例する。また(e−a)の符号は、濃度軸の上下で反転する。eの値はCO濃度を示し、低濃度域の処理か高濃度域の処理かはeの値で判明する。そこで(e−a)とeに応じて、eの値を参照表から更新すれば、濃度軸の上下で非対称で、濃度軸からの距離の大きな領域で補正を控え目にし、低濃度域で補正を控え目にすることができる。ただし図24に対応する処理は行わなくても良い。
【0055】
値eが最終的に判明すると、65ppmと200ppm間の線分の内分比yを求める。yが0でCO濃度が200ppm、yが1でCO濃度が65ppmである。この間には約3倍のCO濃度の変化があり、これをそのまま解くと、exp(y)の級数展開で2次以上の項が必要になるので、65ppmと200ppmの中点を考え、これよりも200ppm寄りでは、200ppmの濃度を元に級数展開し、これよりも65ppm寄りでは65ppmの濃度を元に級数展開する。このようにすれば
exp(y)=1+y と近似しても、ほとんど近似誤差は生じない。このようにして水素濃度の補正前のCO濃度が定まる。
【0056】
さて求めた位相点がCO200ppmを通るドリフト軸よりも上側にある場合、CO濃度は200ppmを越えている。そこでこの場合EEPROM20にアクセスし、CO400ppmの基準信号を読み出す。以下同様にしてCO濃度を求める。この場合の処理はCO65ppmと200ppmの2つの基準信号を用いた場合の処理と同様で、CO65ppmの基準信号の代わりにCO400ppmの基準信号を用いればよい。
【0057】
温湿度依存性には図25のようなガス濃度依存性があり、低濃度域と高濃度域とでは温湿度依存性が異なる。しかし温湿度補正サブルーチンの段階ではCO濃度は不明である。そこでCO濃度を仮に求めた後に、周囲温度Tと仮に求めたCO濃度とからプログラムメモリー34に記憶させた2次元の参照表を用い、CO濃度を再補正する。これは温湿度依存性のCO濃度依存性を無視して1次近似し、求めた仮のCO濃度を用いて温湿度依存性のCO濃度依存性を再補正する手法である。参照表には仮のCO濃度と周囲温度とを見出しとしてCO濃度の増減量を記憶させ、この値を加えて再度CO濃度を求める。図25に対応する処理は省略可能である。
【0058】
【水素補正サブルーチン】
CO濃度が求まると水素補正を施す。その処理を図23に、その原理を図17に示す。0秒目の抵抗値の対数と69秒目の抵抗値の対数で定まる2次元位相空間において、測定点の座標が(a,c)であるとする。これを65ppm,200ppm,400ppmの濃度軸へ図17の垂直上方に移動させた際の交点を(a,g)とする。そしてgとcとの差をhとし、hによって水素濃度が定まるものとする。この場合aの値がnを越えるか否かから、基準信号として400ppmの信号を用いる必要があるか否かを判別し、aがn以下の場合、EEPROM20にアクセスして400ppmの基準信号を読み出す。そして点(a,g)が200ppmの基準信号と400ppmの基準信号を結ぶ線分上にあることから、座標gについて1つの式が発生し、これからgを求めることができる。gが求まればhが求まり、例えばk1を適当な正の定数として、図14のメインループで求めたCO濃度にk1×hを加算する。ここでの加算の基準としては、例えばCO検出装置の水素濃度依存性が0となるようにする、あるいはCO対水素の相対感度が10:1等の適当な値となるようにする。aがnよりも大きい場合、即ち図17で求めた座標点(a,c)が200ppmの基準信号よりも右側にある場合、65ppmと200ppmの基準信号を用いる。そして前記と同様にしてhを求め、水素濃度の補正を行う。
【0059】
【ガスセンサの情報次元】
ガスセンサが含む独立した信号の数を情報次元と呼ぶことにする。情報次元はエントロピーを基礎として情報科学で明確に定義された概念であるが、ここでは単に独立した信号の数を定性的に求めて情報次元と呼ぶ。既に述べたように、0秒目の信号と6秒目の信号との組合せでCO濃度とドリフトの程度とを知ることができ、0秒目の信号と69秒目の信号の組合せでH2濃度を知ることができた。
【0060】
図26は別の40個のTGS203について、0℃相対湿度96%と20℃,65%,50℃40%での温湿度依存性を、CO30ppm,100ppm,300ppmについて示したものである。0℃では20℃や50℃とは別のライン上に位相点が存在し、絶対湿度の低下を検出することができる。なおTGS203の温湿度依存性は周知のように、主として絶対湿度依存性である。
【0061】
TGS203の温度波形を用いると、CO,ドリフト,水素,絶対湿度(図26)の4種の信号を得ることができる。一方TGS203の温度波形の他者相関データ(サンプリングタイミングを変えた信号を他者信号と見なした際の相関)からは、低温域の後期,高温域の初期,高温域の後期,低温域の初期の4つに温度波形を分類できることが分かる。またTGS203の特性に影響するのは、CO,水素,絶対湿度,ドリフトの4者である。これらのことからTGS203の温度波形はCO,水素,絶対湿度,ドリフトの4つの信号を含んでおり、TGS203の温度波形の情報次元は4次元であるといえる。
【0062】
そして実施例では4次元の情報次元中の低温域の後期、例えば90秒〜150秒,より好ましくは120秒〜150秒の信号と、高温域の初期中の抵抗値の谷を通過した後の信号,例えば4〜20秒,より好ましくは5〜15秒の信号を用いてCOを検出する。低温域初期の信号は水素の検出に用いられ、高温域初期の信号と高温域後期の信号を用いてサーミスタ無しでの絶対湿度の補正を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガス検出装置のブロック図
【図2】 実施例のガス検出装置でのRAMの構成を示す図
【図3】 実施例のガス検出装置でのEEPROMの構成を示す図
【図4】 実施例で用いたガスセンサの抵抗値の波形を示す特性図
【図5】 実施例で用いたガスセンサの高温域初期の抵抗値波形を示す特性図
【図6】 実施例のガス検出装置での、サンプリングアルゴリズムを示すフローチャート
【図7】 実施例のガス検出装置での、調整アルゴリズムを示すフローチャート
【図8】 実施例で用いたガスセンサの温度変化を示す特性図
【図9】 実施例での0−3秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図10】 実施例での0−6秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図11】 実施例での0−12秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図12】 実施例での0−30秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図13】 実施例での0−60秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図14】 実施例での0−120秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図15】 実施例での0−69秒平面でのドリフト特性を示す特性図
【図16】 実施例でのCO濃度の算出機構を示す特性図
【図17】 実施例での水素補正を示す特性図
【図18】 ガスセンサの20℃−65%RHと0℃間の温湿度依存性を示す特性図
【図19】 ガスセンサの20℃−65%RHと50℃−40%RH間の温湿度依存性を示す特性図
【図20】 実施例での、メインプログラムを示すフローチャート
【図21】 実施例での、温湿度補正を示すフローチャート
【図22】 実施例での、ドリフト補正を示すフローチャート
【図23】 実施例のガス検出装置での、共存水素への補正を示すフローチャート
【図24】 実施例でのドリフト補正の詳細を示す特性図
【図25】 実施例での温湿度補正の詳細を示す特性図
【図26】 実施例での9−60秒平面での温湿度特性を示す特性図
【符号の説明】
2 金属酸化物半導体
4 直流電源
5 抵抗ラダー
8,48 マイクロコンピュータ
10 バス
12 ADコンバータ
14 抵抗ラダー制御部
16 ヒータ制御部
18 EEPROM制御部
20 EEPROM
22 入出力
23 調整スイッチ
24 リセットスイッチ
26 算術論理演算ユニット
28 シーケンス制御部
30 RAM
32 警報制御部
34 プログラムメモリー
36 駆動回路
38 ブザー
39,40 LED
51〜54 カード
42 サーミスタ
44 温湿度補正部
S 金属酸化物半導体ガスセンサ
h1,h2 ヒータ
T1,T2 トランジスタ
R1〜Rn 抵抗

Claims (6)

  1. ガスにより抵抗値が変化する金属酸化物半導体ガスセンサを高温域と低温域とに温度変化させて、低温域でのガスセンサ信号からCOを検出する方法において、
    低温域のガスセンサ信号に高温域初期のガスセンサ信号を組み合わせて、ガスセンサ信号のドリフトを補正することを特徴とするCO検出方法。
  2. 前記高温域初期のガスセンサ信号を、低温域から高温域への移行時のガスセンサの抵抗値の谷を経過した後で、かつガスセンサ温度が上昇しつつある時期のガスセンサ信号としたことを特徴とする、請求項1のCO検出方法。
  3. 低温域でのガスセンサ信号と前記高温域初期のガスセンサ信号とからなる少なくとも2次元の位相空間を定め、
    該位相空間でのCO検出装置の調整時付近でのガスセンサ信号のCO濃度による変化を示す濃度軸と、該濃度軸に斜交しガスセンサ信号のドリフト方向を示すドリフト軸とを求めて、該位相空間を濃度軸とドリフト軸の斜交座標系で表現し、
    該位相空間でのガスセンサ信号の測定座標を前記濃度軸に射影してCO濃度を求めることを特徴とする、請求項1の請求項1のCO検出方法。
  4. 測温抵抗体で周囲温度を測定し、ガスセンサ信号の周囲の温度及び湿度依存性の内で、低温域の信号と前記高温域初期の信号で共通の部分を、低温域のガスセンサ信号と高温域初期のガスセンサ信号の組み合わせで除去し、残余の部分を測温抵抗体で求めた周囲温度で補正することを特徴とする、請求項1のCO検出方法。
  5. 低温域初期の信号を用いて水素の存在を検出して、低温域のガスセンサ信号と高温域初期のガスセンサ信号の組み合わせでの負の水素濃度依存性を補正することを特徴とする、請求項1のCO検出方法。
  6. ガスにより抵抗値が変化する金属酸化物半導体を用いたガスセンサのヒータに方形波状の電力を加えることにより、金属酸化物半導体を高温域と低温域とに交互に加熱し、低温域でのガスセンサ信号からCOを検出する装置において、
    低温域から高温域への移行直後の金属酸化物半導体の抵抗値の谷が生じた後で、
    かつ金属酸化物半導体の温度が高温域での定常温度に達する前の、高温域初期のガスセンサ信号をサンプリングするための手段と、
    サンプリングした高温域初期のガスセンサ信号と低温域のガスセンサ信号とを用いてCOを検出するためのCO検出手段を設けたことを特徴とする、CO検出装置。
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