JP3750853B2 - 電気集じん設備の洗浄システムおよび方法 - Google Patents

電気集じん設備の洗浄システムおよび方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気集じん設備の洗浄システムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高速道路等のトンネルに対しては、通行車両から排出される排気ガス中のダスト(SS成分)を回収・処理するための電気集じん設備が備えられている。電気集じん設備に含まれる電気集じん機は、例えば、対象となるトンネルの側方に設けられたバイパストンネル内に天井設置等の形式で配置される。対象となるトンネル内のダストを含むエアは、バイパストンネル内に導入され、エア中のSS成分は、バイパストンネル内の電気集じん機によって捕集される。この場合、電気集じん機としては、いわゆる湿式電気集じん機が用いられ、電気集じん設備には、電気集じん機からSS成分を除去するための洗浄システムが組み込まれる。この種の洗浄システムとしては、例えば、特開2000−107636号公報により開示されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−107636号公報により開示された電気集じん設備の洗浄システムは、基本的に、電気集じん機を通過してSS成分を含んだ汚水に清澄な洗浄水(水膜水)を補充しつつ、洗浄水を集じん機と給水部との間で循環させるだけのものである。これでは、交通量が多い場合等に電気集じん機から十分にSS成分を除去し得ないばかりか、洗浄水の補充量が増加してしまい、極めて不経済である。このため、洗浄水の循環系統に組み込まれたろ過装置を有する洗浄システムも存在している。しかしながら、ろ過装置を含む洗浄システムには、トンネル等の対象域のSS成分濃度が高い場合、ろ材が短時間のうちに目詰まりを起こしてしまい、メインテナンスの必要性が増加するという問題が存在している。
【0004】
そこで、本発明は、電気集じん機から効率よくSS成分を除去可能であると共に、メインテナンスの必要性を低減させることができる電気集じん設備の洗浄システムおよび方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一形態は、対象域内のSS成分を捕集する電気集じん機を洗浄するための電気集じん設備の洗浄システムに係り、電気集じん機に洗浄水を供給する洗浄水供給部と、電気集じん機を通過してSS成分を含んだ汚水を貯留する汚水貯留槽と、汚水貯留槽からの汚水を処理するろ過装置と、汚水貯留槽内のSS成分濃度を検出するSS濃度検出手段と、前記SS濃度検出手段の検出値に基づいて、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度が前記ろ過装置の処理能力を超えているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
このように、汚水貯留槽内のSS成分濃度を常時モニタリングすることにより、システム全体のメインテナンス性を向上させると共に、電気集じん機から効率よくSS成分を除去することが可能となる。また判定手段により、ろ過装置のろ材の交換を必要最小限にすることが可能となり、電気集じん機からのSS成分の除去不良を確実に防止することができる。
【0009】
そして、洗浄システムは、汚水貯留槽に汚水を希釈するための希釈水を供給する希釈水供給手段と、判定手段の判定結果に基づいて、汚水貯留槽内のSS成分濃度がろ過装置の処理能力を超えている際に希釈水供給手段を作動させる制御手段とを更に備えると好ましい。
【0010】
これにより、常時、電気集じん機からSS成分を確実に除去可能となると共に、ろ過装置のろ材の長寿命化を図ることができる。
【0011】
また、対象域は、トンネルであり、電気集じん機は、トンネル内のSS成分を捕集するものであると好ましい。
【0012】
本発明の他の形態は、対象域内のSS成分を捕集する電気集じん機を洗浄するための電気集じん設備の洗浄方法に係り、この方法は、電気集じん機に洗浄水を供給し、電気集じん機を通過してSS成分を含んだ汚水を汚水貯留槽に貯留させ、汚水貯留槽からの汚水をろ過処理するに際して、汚水貯留槽内のSS成分濃度を検出し、汚水貯留槽内のSS成分濃度がろ過装置の処理能力を超えているか否かを判定し、汚水貯留槽内のSS成分濃度がろ過装置の処理能力を超えている際に、汚水貯留槽内の汚水を希釈することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による電気集じん設備の洗浄システムおよび方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明による電気集じん設備の洗浄システムを示す系統図である。同図に示される電気集じん設備1は、高速道路等のトンネルTに対して備えられたものであり、通行車両から排出される排気ガス中のダスト(SS成分)を回収・処理するために用いられる。電気集じん設備1は、対象となるトンネルTの側方に設けられたバイパストンネルBT、バイパストンネルBTの天井等に設置された湿式電気集じん機2、図示しないブロア等から構成されている。対象となるトンネルT内のSS成分を含むエアは、バイパストンネルBT内に導入され、エア中のSS成分は、バイパストンネルBT内の電気集じん機2によって捕集される。そして、清澄化されたエアは、バイパストンネルBTからトンネルT内に返送される。
【0015】
本発明による洗浄システム10は、このような電気集じん設備1に対して、電気集じん機2からSS成分を除去するために組み込まれている。図1に示されるように、洗浄システム10は、電気集じん機2からSS成分を除去するために用いられる洗浄水を貯留する洗浄水槽11と、洗浄水槽11に接続された洗浄水ポンプ12とを含む。洗浄水槽11には、給水槽13から洗浄水が補給され得る。洗浄水ポンプ12の吐出口には、供給ラインL1が接続されており、供給ラインL1の先端は、電気集じん機2の内部に配置されているノズルユニット14に接続されている。ノズルユニット14は、PVCあるいはステンレス等により形成されている。
【0016】
ノズルユニット14からは、洗浄水ポンプ12によって圧送された洗浄水が電気集じん機2の集じん板(図示せず)に向けて、例えば、およそ2kg/cmの圧力で噴射される。これにより、集じん板に捕集されたSS成分は集じん機下部に洗浄水と共に流下する。図1に示されるように、電気集じん機2には、回収ラインL2が接続されており、回収ラインL2の先端は、汚水貯留槽15に接続されている。これにより、電気集じん機2を通過してSS成分を含んだ汚水は、この汚水貯留槽15内に一旦貯留されることになる。
【0017】
汚水貯留槽15は、加圧ろ過装置16に接続されている。加圧ろ過装置16は、ろ過ポンプ17、ろ過器18、図示しないろ過助剤槽および加圧タンク等を含む。加圧ろ過装置16は、SS成分の濃度が2000mg/l以下である汚水を所定時間内に良好に固液分離可能なものである。汚水貯留槽15内の汚水は、ろ過ポンプ17により、ろ過器18に送られ、ろ過器18内で固液分離される。ろ過器18には、図示しない加圧タンク等の加圧手段により、空気溶解水等が供給される。
【0018】
ろ過器18内で形成される固体層は、汚泥ケーキとして外部に排出される。そして、SS成分が分離されて清澄化した処理水は、処理水槽19に導入される。処理水は、ポンプ20によって、返送ラインL3を介して処理水槽19から洗浄水槽11に返送されて再利用されるか、あるいは、放出ラインL4を介してトンネル付近の河川等の排水域に放出される。
【0019】
さて、ろ過装置16を含む洗浄システム10では、トンネルT内のSS成分濃度が高い場合、ろ材が短時間のうちに目詰まりを起こしてしまい、メインテナンスの必要性が増加してしまうおそれがある。このため、図1に示されるように、洗浄システム10の汚水貯留槽15には、槽内の汚水のSS成分濃度(懸濁物質濃度)を検出する濃度センサ21が備えられる。濃度センサ21は、制御盤(制御手段)22に接続されている。これにより、制御盤22において汚水貯留槽15内のSS成分濃度を常時モニタリングすることが可能となるので、システム全体のメインテナンス性を向上させると共に、電気集じん機2から効率よくSS成分を除去することが可能となる。なお、制御盤22は、洗浄システム10の全体を制御するためのものであり、例えば、図示しない複数のタイマやシーケンサ等により構成される。
【0020】
また、図1に示されるように、洗浄システム10には、希釈ラインL5が含まれている。希釈ラインL5の一端は、洗浄水ポンプ12と電気集じん機2との間で供給ラインL1に接続されており、その他端は、汚水貯留槽15に接続されている。また、希釈ラインL5の中途には、モータ弁等からなる開閉弁Vが組み込まれている。開閉弁Vのアクチュエータ部は、適宜図示しないドライバ等を介して制御盤22に接続されている。なお、希釈ラインL5に組み込まれる弁は、開閉弁Vに限られるものではない。すなわち、希釈ラインL5に流量調整弁を組み込み、汚水貯留槽15内の汚水の希釈量を濃度センサ21の検出値に応じるように変化させてもよい。
【0021】
次に、図2を参照しながら上述の洗浄システム10の動作について説明する。洗浄システム10は、電気集じん機2の動作中の所定のタイミングで制御盤22によって起動され、電気集じん機2の洗浄は、1回に予め定められた洗浄時間だけ行われる。洗浄システム10の起動タイミング、および、洗浄時間(例えば、1回あたり20秒)は、制御盤22に含まれる所定のタイマによって設定される。
【0022】
洗浄システム10による電気集じん機2の洗浄が開始されると、まず、制御盤22から所定の動作信号が、給水槽13から洗浄水槽11に洗浄水を補給するためのポンプ(図示せず)に適宜送られ、洗浄水槽11に洗浄水が必要に応じて補給される(S10)。次に、制御盤22から洗浄水ポンプ12に動作信号が与えられ、予め定められた洗浄時間だけ洗浄水ポンプ12が作動させられる。これにより、供給ラインL1を介して、電気集じん機2内のノズルユニット14に洗浄水が供給され、電気集じん機2が洗浄されることになる(S12)。洗浄時間を設定するタイマがタイムアップすると、洗浄水ポンプ12は停止される。
【0023】
電気集じん機2を通過してSS成分を含んだ汚水は、汚水貯留槽15内に一旦貯留される。また、汚水が汚水貯留槽15内に存在する間、SS濃度センサ21は、汚水貯留槽15内の汚水のSS成分濃度を検出し、検出値を示す信号を制御盤22に送出する(S14)。制御盤22内の所定の判定回路は、SS濃度センサ21から送られる信号に基づいて、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が上述したろ過装置16の処理能力(2000mg/l)を超えているか否かを判定する(S16)。
【0024】
そして、例えば、トンネルTの通行車両数が多く、トンネルT内に浮遊するダストの量が多い場合等、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が上述したろ過装置16の処理能力(2000mg/l)を超えていると判断された場合、制御盤22から、希釈ラインL5の開閉弁Vに所定の動作信号が送られると共に、洗浄水ポンプ12に動作信号が送出される。これにより、開閉弁Vが開放され、汚水貯留槽15には、洗浄水ポンプ12によって洗浄水槽11からの洗浄水が希釈ラインL5を介して導入されるので、汚水貯留槽15内の汚水が、それよりも清澄な洗浄水によって希釈される(S18)。
【0025】
S18で開閉弁Vが開放されると共に洗浄水ポンプ12が作動された後、制御盤22の判定回路は、SS濃度センサ21からの信号に基づいて、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が上述したろ過装置16の処理能力を超えているか否かを判定する(S16)。S18の処理後、S16にて、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が加圧ろ過装置16の処理能力を超えていないと判断された段階で、開閉弁Vは閉鎖され、洗浄水ポンプ12は停止される。
【0026】
このようなS18の希釈処理を経て、あるいは、S18の希釈処理を経ることなく、S16にて、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が上述した加圧ろ過装置16の処理能力(2000mg/l)を超えていないと判断された場合、制御盤22から、ろ過装置16のろ過ポンプ17に所定の動作信号が送られる。これにより、汚水貯留槽15内の汚水は、ろ過器18に送られ、固液分離される。そして、加圧ろ過装置16で分離された清澄な処理液は、処理水槽19に導入される(S20)。
【0027】
その後、制御盤22では、処理水槽19内の処理水を洗浄水として再利用するか否かの判定が行われる(S22)。処理水槽19内の処理水を洗浄水として再利用する場合、ポンプ20が起動され、処理水槽19内の処理水が洗浄水槽11に返送される(S24)。また、処理水槽19内の処理水を洗浄水として再利用しない場合、処理水槽19内の処理水は、ポンプ20によって、放出ラインL4から近隣河川等の排水域に放出される。これにより、洗浄システム10による電気集じん機2の1回の洗浄が終了する。このような洗浄処理は、予め定められたタイミングに達するたびに、制御盤22によって行われる。
【0028】
上述のように、洗浄システム10では、SS濃度センサ21の検出値に基づいて、汚水貯留槽15内のSS成分濃度がろ過装置16の処理能力を超えているか否かが判定される。そして、洗浄システム10には、希釈ラインL5、開閉弁Vおよび洗浄水ポンプ12からなる希釈水供給手段が備えられている。すなわち、汚水貯留槽15内のSS成分濃度が加圧ろ過装置16の処理能力を超えている際、開閉弁Vが開放されると共に洗浄水ポンプ12が作動され、汚水貯留槽15内の汚水が希釈される。これにより、常時、電気集じん機からSS成分を確実に除去することができると共に、加圧ろ過装置16(ろ過器18)のろ材の長寿命化を図って、ろ材の交換を必要最小限にすることが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明によれば、電気集じん機から効率よくSS成分を除去可能となり、ろ過装置を始めとする洗浄システムのメインテナンスの必要性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気集じん設備の洗浄システムを示す系統図である。
【図2】図1の洗浄システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 電気集じん設備
2 電気集じん機
10 洗浄システム
11 洗浄水槽
12 洗浄水ポンプ
13 給水槽
14 ノズルユニット
15 汚水貯留槽
16 加圧ろ過装置
17 ろ過ポンプ
18 ろ過器
19 処理水槽
21 SS濃度センサ
22 制御盤
L5 希釈ライン
BT バイパストンネル
T トンネル
V 開閉弁

Claims (4)

  1. 対象域内のSS成分を捕集する電気集じん機を洗浄するための電気集じん設備の洗浄システムにおいて、
    前記電気集じん機に洗浄水を供給する洗浄水供給部と、
    前記電気集じん機を通過してSS成分を含んだ汚水を貯留する汚水貯留槽と、
    前記汚水貯留槽からの汚水を処理するろ過装置と、
    前記汚水貯留槽内のSS成分濃度を検出するSS濃度検出手段と
    前記SS濃度検出手段の検出値に基づいて、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度が前記ろ過装置の処理能力を超えているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする電気集じん設備の洗浄システム。
  2. 前記汚水貯留槽に汚水を希釈するための希釈水を供給する希釈水供給手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度が前記ろ過装置の処理能力を超えている際に前記希釈水供給手段を作動させる制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項に記載の電気集じん設備の洗浄システム。
  3. 前記対象域は、トンネルであり、前記電気集じん機は、前記トンネル内のSS成分を捕集することを特徴とする請求項1または2に記載の電気集じん設備の洗浄システム。
  4. 対象域内のSS成分を捕集する電気集じん機を洗浄するための電気集じん設備の洗浄方法において、前記電気集じん機に洗浄水を供給し、前記電気集じん機を通過してSS成分を含んだ汚水を汚水貯留槽に貯留させ、前記汚水貯留槽からの汚水をろ過処理するに際して、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度を検出し、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度が前記ろ過装置の処理能力を超えているか否かを判定し、前記汚水貯留槽内のSS成分濃度が前記ろ過装置の処理能力を超えている際に、前記汚水貯留槽内の汚水を希釈することを特徴とする電気集じん設備の洗浄方法。
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