JP3749314B2 - 気体レーザ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波放電を利用してレーザ励起を行う気体レーザ装置に関し、特に長い放電空間における放電の均一化を図り、大出力のレーザ光が得られる気体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体レーザ装置101は、図6及び図7を参照するに、マイクロ波の発振源であるマグネトロン103で発生したマイクロ波は、導波管105を伝搬してホーン導波管107で広げられ、マイクロ波結合窓109でインピーダンスを整合させることにより効率よくレーザヘッド部111に結合される。このレーザヘッド部111はリッジ空洞状になっており、マイクロ波はリッジ113付近に集中して非常に強いマイクロ波電界を発生させる。この強いマイクロ波電界により、誘電体115と導電体壁117間で成る放電空間119に封入された炭酸ガスレーザ気体等のレーザ気体が放電破壊されてプラズマが発生し、レーザ媒質が励起され、プラズマはレーザ発振用ミラー127により増幅されレーザ発振される。
【0003】
ここで、ブロワー121が作動して前記放電空間119内のレーザ気体が循環され、放電プラズマが冷却される。導電体壁117にあけられている送風管123の開口部には金属製ハニカム構造体による通気性部材125が配置されているため、レーザ気体は通過してもマイクロ波は反射され放電空間119内のマイクロ波モードが影響されることなくブロワー121によるレーザ気体の強制循環が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の気体レーザ装置101においては、マイクロ波源、つまりマグネトロン103は1つであった。したがって、レーザ出力を大出力とするためには放電空間119の長さを長くし、マイクロ波出力の大きいマグネトロン103を使えば良い。しかし、細長い領域でマイクロ波放電を起こさせると、1波長〜半波長程度毎に周期的に放電の節が生じ、それぞれの節に均一にマイクロ波を結合することが難しいためレーザ出力を大きくすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は叙上の課題を解決するためになされたもので、その目的は、長い放電空間における放電の均一化を図り、大出力のレーザ光が得られる気体レーザ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波放電によりレーザ気体にプラズマを発生させてレーザ励起を行うためのマイクロ波電界を発生するマイクロ波回路と、このマイクロ波回路にマイクロ波エネルギーを供給するマイクロ波源と、前記マイクロ波回路を終端する導電体壁を備え、この導電体壁に平行して設けられた誘電体2面の間に形成される放電空間を備え、前記マイクロ波回路によって前記誘電体とプラズマとの境界に平行な電界成分を有するマイクロ波モードが形成される気体レーザ装置であって、前記マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に1つ1つのマイクロ波回路は光軸のつながった放電空間のそれぞれ別の領域でプラズマを発生させることを特徴とするものである。
【0007】
したがって、マイクロ波源とマイクロ波回路を終端する導電体壁との間で、マイクロ波電界が形成される。しかも、前記導電体壁に平行な導電体を2つ設けたので、前記マイクロ波電界は導電体とプラズマとの境界に平行な電界成分を有するマイクロ波モードである。而して、前記マイクロ波源の断面積を小さくすることにより前記導電体2面間で形成される放電空間内には効率よく部分的な放電が実現される。このマイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして光軸方向に複数並べることにより光軸方向に細長く均一な放電空間が形成され、高出力のレーザ光が発生する。
【0008】
請求項2によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路を終端する導電体壁と、前記誘電体2面に挟まれた放電空間の中心との距離が導波管内のマイクロ波長の4分の1の奇数倍であることを特徴とするものである。
【0009】
したがって、マイクロ波の定在波における導波管内のマイクロ波電界の最も強い部分が放電空間内に位置するので、レーザ光の出力は効率よく向上する。
【0010】
請求項3によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に隣り合うマイクロ波回路を、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるよう配置してなることを特徴とするものである。
【0011】
したがって、マイクロ波回路の放電空間の放電出力を小さくするためにはマイクロ波源を構成する導波管の断面積を小さくすることであるが、同じくマイクロ波源を構成するマグネトロンが導波管より大きいためにマグネトロンを隣り合わせると必然的に導波管を近づけることができないので、隣り合うマイクロ波回路を、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるように配置することによって、各導波管は近づけられ非放電領域が小さくなる。
【0012】
請求項4によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて前記マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが同じ方向から供給するように配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置してなることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置したことにより導波管は近づけられ非放電領域が小さくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の気体レーザ装置の実施の形態の例を図面に基いて詳細に説明する。
【0015】
図1を参照するに、本実施例に係わる気体レーザ装置1は、マイクロ波源としてのマグネトロン3と導波管5とを備えている。つまり、マイクロ波の発信源であるマグネトロン3が導波管5に接続されており、この導波管5は前記マグネトロン3で発生されたマイクロ波を後述するマイクロ波回路7へ伝搬するものである。マイクロ波回路7と前記導波管5との結合部付近にはマイクロ波結合窓9が設けられており、このマイクロ波結合窓9により導波管5内を伝搬されたマイクロ波のインピーダンスが整合されて効率よくマイクロ波回路7へ伝搬される。
【0016】
なお、前記導波管5は例えばWRJ−4等の小さな断面積(58.1×29.1mm)でなり、限られた空間を放電するように設けられている。
【0017】
前記導波管5は真空容器でなるレーザヘッド11に連結されており、このレーザヘッド11内にはマイクロ波放電によりレーザ気体にプラズマを発生させてレーザ励起を行うためのマイクロ波電界を発生するマイクロ波回路7と、このマイクロ波回路7の一部を構成する2つの誘電体13の2面の間で形成される放電空間15にレーザ気体を循環させるためのブロワー17と、高温になったレーザ気体を冷却する熱交換器19が備えられている。
【0018】
レーザヘッド11内のほぼ中央にはレーザ気体の流路を形成するためのガイド体21が設けられており、このガイド体21にはマイクロ波回路7の終端する導電体壁23が設けられている。
【0019】
本実施の形態の例では、導波管5のマイクロ波結合窓9と対向するガイド体21に凹部が形成され、この凹部の底面が導電体壁23となり、この導電体壁23がマグネトロン3で発生され導波管5内を伝搬したマイクロ波の終端となるのである。したがって、前記導電体壁23の位置を移動自在にすることによりマイクロ波の終端の位置を変化させるチューナ25(図4)を設けることができる。
【0020】
前記導電体壁23とマイクロ波結合窓9との間には導電体壁23に平行してアルミナ等でなる2つの誘電体13が対向して設けられており、この誘電体13の対向する2面間で放電空間15が形成される。
【0021】
したがって、前記マイクロ波源であるマグネトロン3からのマイクロ波電界は導波管5と導電体壁23との間に前記放電空間15を通過して発生され、放電空間15内に封入された炭酸ガスレーザ気体等のレーザ気体が前記マイクロ波電界により放電破壊されてプラズマが発生し、レーザ媒質が励起される。
【0022】
なお、この実施の形態の例では導波管5の断面積による限られた空間を放電することを目指して前記放電空間15だけを放電させるために放電空間15内のレーザ気体の圧力が低く押さえられている。
【0023】
さらに、図4を参照するに、導波管5内のマイクロ波電界分布の定在波における最もマイクロ波電界の強い部分を放電空間15に位置させてプラズマの出力効率を上げるために、チューナ25により導電体壁23の位置が移動調整される。つまり、マイクロ波電界分布の頂点(最大振幅部)が2つの誘電体13の中央に位置することがレーザ出力の最大効率を図ることになるので、図4(A)及び図4(B)に示すように導電体壁23から放電空間15の中心(2つの誘電体13の2面間の中央位置)との距離がマイクロ波の波長λgの1/4の奇数倍となるよう導電体壁23の位置が調整されている。
【0024】
上述した1個のマイクロ波回路7においては放電空間15の対象となるのは導波管5の小さい断面積(WRJ−4の導波管5では58.1×29.1mm)だけであるので、レーザ光の光軸方向に細長い放電空間15ではない。
【0025】
図2〜図3を参照するに、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7が複数個、光軸方向に直列に並べて配置されている。しかも、複数個の1つ1つのマイクロ波回路7の放電空間15は光軸Lcがつながった状態で配置されており、1つ1つの各マイクロ波回路7の放電空間15でそれぞれがプラズマを発生するように構成されている。
【0026】
したがって、複数のマイクロ波回路7の1つ1つの放電空間15が光軸方向に直列に並べられるので、複数のマイクロ波回路7の全体で細長く均一な放電空間15が形成されることになり、前記複数のマイクロ波回路7の全体的な放電空間15における光軸方向の両端には、レーザ発振用ミラー27が設けられ、各マイクロ波回路7で発生されたプラズマにより光軸方向に細長く均一な高出力のレーザ光が発生される。
【0027】
図5を参照するに、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7を複数個を光軸方向に直列に並べて、しかもマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から供給するように配置するとしても、前記マイクロ波源のマグネトロン3を交互に逆向きに配置するように構成することが望ましい。
【0028】
その理由は、各マグネトロン3は実際には内蔵する放熱フィン(図示省略)に向けて送風して冷却する冷却用ファン(図示省略)を取り付けるスペースが必要なためにマグネトロン3同志を隣接して近づけることが困難であるので、必然的に各マグネトロン3が連結されている導波管5同志を近づけることが困難である。したがって、導波管5の断面積により決定される放電領域を近づけることが困難であるので隣り合う放電領域間に生じる非放電領域が大きくなる。この非放電領域ではレーザ光の吸収が生じるためにレーザ出力が落ちるという問題が発生しやすいものである。
【0029】
以上のことから、図5のようにマグネトロン3を光軸方向に対して交互に逆向きに連結するよう配置することにより、隣り合う導波管5を近づけることができ結果的に非放電領域を非常に小さくできる。
【0030】
上記の図5における実施例と同様の理由から、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7を複数個を光軸方向に直列に並べ、しかもマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを互いに反対方向から供給するように配置することは、隣り合う導波管5同志を近づけることができるため非放電領域を非常に小さくできるという点で対応可能である。
【0031】
なお、この発明は前述した実施の形態の例に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。本実施の形態の例では気体レーザ装置としてマグネトロンや導波管でなるマイクロ波源を備えた気体レーザ装置を例にとって説明したがその他の気体レーザ装置あっても構わない。
【0032】
【発明の効果】
以上のごとき実施の形態の例から理解されるように、請求項1の発明によれば、マイクロ波源の断面積を小さくすることにより前記導電体2面間で形成される放電空間内には効率よく部分的な放電を実現できる。このマイクロ波回路を光軸方向に複数並べることにより光軸方向に細長く均一な放電空間を形成できるので、高出力のレーザ光を発生できる。
【0033】
請求項2の発明によれば、マイクロ波の定在波における導波管内マイクロ波電界の最も強い部分を放電空間内に位置できるので、レーザ光の出力を効率よく上げることができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、マイクロ波回路の放電空間の放電出力を小さくするためにはマイクロ波源を構成する導波管の断面積を小さくすることであるが、同じくマイクロ波源を構成するマグネトロンが導波管より大きいためにマグネトロンを隣り合わせると必然的に導波管を近づけることができないので、隣り合うマイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるように配置することによって、導波管を近づけることができ非放電領域を小さくできる。
【0035】
請求項4の発明によれば、マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置したことにより、導波管を近づけることができ非放電領域を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例を示すもので、気体レーザ装置の正面の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の例を示すもので、気体レーザ装置の平面図である。
【図3】図2における側面図である。
【図4】導波管内のマイクロ波電界の分布状態を示す説明図で、(A)はマイクロ波の波長が大きいときで、(B)はマイクロ波の波長が小さいときである。
【図5】本発明の実施の形態の例を示すもので、マイクロ波回路の配置を変えた場合の気体レーザ装置の平面図である。
【図6】従来例を示すもので、気体レーザ装置の縦断面図である。
【図7】従来例を示すもので、気体レーザ装置の全体斜視図である。
【符号の説明】
1 気体レーザ装置
3 マグネトロン
5 導波管
7 マイクロ波回路
13 誘電体
15 放電空間
23 導電体壁
25 チューナ
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波放電を利用してレーザ励起を行う気体レーザ装置に関し、特に長い放電空間における放電の均一化を図り、大出力のレーザ光が得られる気体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体レーザ装置101は、図6及び図7を参照するに、マイクロ波の発振源であるマグネトロン103で発生したマイクロ波は、導波管105を伝搬してホーン導波管107で広げられ、マイクロ波結合窓109でインピーダンスを整合させることにより効率よくレーザヘッド部111に結合される。このレーザヘッド部111はリッジ空洞状になっており、マイクロ波はリッジ113付近に集中して非常に強いマイクロ波電界を発生させる。この強いマイクロ波電界により、誘電体115と導電体壁117間で成る放電空間119に封入された炭酸ガスレーザ気体等のレーザ気体が放電破壊されてプラズマが発生し、レーザ媒質が励起され、プラズマはレーザ発振用ミラー127により増幅されレーザ発振される。
【0003】
ここで、ブロワー121が作動して前記放電空間119内のレーザ気体が循環され、放電プラズマが冷却される。導電体壁117にあけられている送風管123の開口部には金属製ハニカム構造体による通気性部材125が配置されているため、レーザ気体は通過してもマイクロ波は反射され放電空間119内のマイクロ波モードが影響されることなくブロワー121によるレーザ気体の強制循環が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の気体レーザ装置101においては、マイクロ波源、つまりマグネトロン103は1つであった。したがって、レーザ出力を大出力とするためには放電空間119の長さを長くし、マイクロ波出力の大きいマグネトロン103を使えば良い。しかし、細長い領域でマイクロ波放電を起こさせると、1波長〜半波長程度毎に周期的に放電の節が生じ、それぞれの節に均一にマイクロ波を結合することが難しいためレーザ出力を大きくすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は叙上の課題を解決するためになされたもので、その目的は、長い放電空間における放電の均一化を図り、大出力のレーザ光が得られる気体レーザ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波放電によりレーザ気体にプラズマを発生させてレーザ励起を行うためのマイクロ波電界を発生するマイクロ波回路と、このマイクロ波回路にマイクロ波エネルギーを供給するマイクロ波源と、前記マイクロ波回路を終端する導電体壁を備え、この導電体壁に平行して設けられた誘電体2面の間に形成される放電空間を備え、前記マイクロ波回路によって前記誘電体とプラズマとの境界に平行な電界成分を有するマイクロ波モードが形成される気体レーザ装置であって、前記マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に1つ1つのマイクロ波回路は光軸のつながった放電空間のそれぞれ別の領域でプラズマを発生させることを特徴とするものである。
【0007】
したがって、マイクロ波源とマイクロ波回路を終端する導電体壁との間で、マイクロ波電界が形成される。しかも、前記導電体壁に平行な導電体を2つ設けたので、前記マイクロ波電界は導電体とプラズマとの境界に平行な電界成分を有するマイクロ波モードである。而して、前記マイクロ波源の断面積を小さくすることにより前記導電体2面間で形成される放電空間内には効率よく部分的な放電が実現される。このマイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして光軸方向に複数並べることにより光軸方向に細長く均一な放電空間が形成され、高出力のレーザ光が発生する。
【0008】
請求項2によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路を終端する導電体壁と、前記誘電体2面に挟まれた放電空間の中心との距離が導波管内のマイクロ波長の4分の1の奇数倍であることを特徴とするものである。
【0009】
したがって、マイクロ波の定在波における導波管内のマイクロ波電界の最も強い部分が放電空間内に位置するので、レーザ光の出力は効率よく向上する。
【0010】
請求項3によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に隣り合うマイクロ波回路を、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるよう配置してなることを特徴とするものである。
【0011】
したがって、マイクロ波回路の放電空間の放電出力を小さくするためにはマイクロ波源を構成する導波管の断面積を小さくすることであるが、同じくマイクロ波源を構成するマグネトロンが導波管より大きいためにマグネトロンを隣り合わせると必然的に導波管を近づけることができないので、隣り合うマイクロ波回路を、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるように配置することによって、各導波管は近づけられ非放電領域が小さくなる。
【0012】
請求項4によるこの発明の気体レーザ装置は、マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて前記マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが同じ方向から供給するように配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置してなることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置したことにより導波管は近づけられ非放電領域が小さくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の気体レーザ装置の実施の形態の例を図面に基いて詳細に説明する。
【0015】
図1を参照するに、本実施例に係わる気体レーザ装置1は、マイクロ波源としてのマグネトロン3と導波管5とを備えている。つまり、マイクロ波の発信源であるマグネトロン3が導波管5に接続されており、この導波管5は前記マグネトロン3で発生されたマイクロ波を後述するマイクロ波回路7へ伝搬するものである。マイクロ波回路7と前記導波管5との結合部付近にはマイクロ波結合窓9が設けられており、このマイクロ波結合窓9により導波管5内を伝搬されたマイクロ波のインピーダンスが整合されて効率よくマイクロ波回路7へ伝搬される。
【0016】
なお、前記導波管5は例えばWRJ−4等の小さな断面積(58.1×29.1mm)でなり、限られた空間を放電するように設けられている。
【0017】
前記導波管5は真空容器でなるレーザヘッド11に連結されており、このレーザヘッド11内にはマイクロ波放電によりレーザ気体にプラズマを発生させてレーザ励起を行うためのマイクロ波電界を発生するマイクロ波回路7と、このマイクロ波回路7の一部を構成する2つの誘電体13の2面の間で形成される放電空間15にレーザ気体を循環させるためのブロワー17と、高温になったレーザ気体を冷却する熱交換器19が備えられている。
【0018】
レーザヘッド11内のほぼ中央にはレーザ気体の流路を形成するためのガイド体21が設けられており、このガイド体21にはマイクロ波回路7の終端する導電体壁23が設けられている。
【0019】
本実施の形態の例では、導波管5のマイクロ波結合窓9と対向するガイド体21に凹部が形成され、この凹部の底面が導電体壁23となり、この導電体壁23がマグネトロン3で発生され導波管5内を伝搬したマイクロ波の終端となるのである。したがって、前記導電体壁23の位置を移動自在にすることによりマイクロ波の終端の位置を変化させるチューナ25(図4)を設けることができる。
【0020】
前記導電体壁23とマイクロ波結合窓9との間には導電体壁23に平行してアルミナ等でなる2つの誘電体13が対向して設けられており、この誘電体13の対向する2面間で放電空間15が形成される。
【0021】
したがって、前記マイクロ波源であるマグネトロン3からのマイクロ波電界は導波管5と導電体壁23との間に前記放電空間15を通過して発生され、放電空間15内に封入された炭酸ガスレーザ気体等のレーザ気体が前記マイクロ波電界により放電破壊されてプラズマが発生し、レーザ媒質が励起される。
【0022】
なお、この実施の形態の例では導波管5の断面積による限られた空間を放電することを目指して前記放電空間15だけを放電させるために放電空間15内のレーザ気体の圧力が低く押さえられている。
【0023】
さらに、図4を参照するに、導波管5内のマイクロ波電界分布の定在波における最もマイクロ波電界の強い部分を放電空間15に位置させてプラズマの出力効率を上げるために、チューナ25により導電体壁23の位置が移動調整される。つまり、マイクロ波電界分布の頂点(最大振幅部)が2つの誘電体13の中央に位置することがレーザ出力の最大効率を図ることになるので、図4(A)及び図4(B)に示すように導電体壁23から放電空間15の中心(2つの誘電体13の2面間の中央位置)との距離がマイクロ波の波長λgの1/4の奇数倍となるよう導電体壁23の位置が調整されている。
【0024】
上述した1個のマイクロ波回路7においては放電空間15の対象となるのは導波管5の小さい断面積(WRJ−4の導波管5では58.1×29.1mm)だけであるので、レーザ光の光軸方向に細長い放電空間15ではない。
【0025】
図2〜図3を参照するに、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7が複数個、光軸方向に直列に並べて配置されている。しかも、複数個の1つ1つのマイクロ波回路7の放電空間15は光軸Lcがつながった状態で配置されており、1つ1つの各マイクロ波回路7の放電空間15でそれぞれがプラズマを発生するように構成されている。
【0026】
したがって、複数のマイクロ波回路7の1つ1つの放電空間15が光軸方向に直列に並べられるので、複数のマイクロ波回路7の全体で細長く均一な放電空間15が形成されることになり、前記複数のマイクロ波回路7の全体的な放電空間15における光軸方向の両端には、レーザ発振用ミラー27が設けられ、各マイクロ波回路7で発生されたプラズマにより光軸方向に細長く均一な高出力のレーザ光が発生される。
【0027】
図5を参照するに、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7を複数個を光軸方向に直列に並べて、しかもマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から供給するように配置するとしても、前記マイクロ波源のマグネトロン3を交互に逆向きに配置するように構成することが望ましい。
【0028】
その理由は、各マグネトロン3は実際には内蔵する放熱フィン(図示省略)に向けて送風して冷却する冷却用ファン(図示省略)を取り付けるスペースが必要なためにマグネトロン3同志を隣接して近づけることが困難であるので、必然的に各マグネトロン3が連結されている導波管5同志を近づけることが困難である。したがって、導波管5の断面積により決定される放電領域を近づけることが困難であるので隣り合う放電領域間に生じる非放電領域が大きくなる。この非放電領域ではレーザ光の吸収が生じるためにレーザ出力が落ちるという問題が発生しやすいものである。
【0029】
以上のことから、図5のようにマグネトロン3を光軸方向に対して交互に逆向きに連結するよう配置することにより、隣り合う導波管5を近づけることができ結果的に非放電領域を非常に小さくできる。
【0030】
上記の図5における実施例と同様の理由から、上述したマイクロ波源とこのマイクロ波源に対応するマイクロ波回路7を複数個を光軸方向に直列に並べ、しかもマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを互いに反対方向から供給するように配置することは、隣り合う導波管5同志を近づけることができるため非放電領域を非常に小さくできるという点で対応可能である。
【0031】
なお、この発明は前述した実施の形態の例に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。本実施の形態の例では気体レーザ装置としてマグネトロンや導波管でなるマイクロ波源を備えた気体レーザ装置を例にとって説明したがその他の気体レーザ装置あっても構わない。
【0032】
【発明の効果】
以上のごとき実施の形態の例から理解されるように、請求項1の発明によれば、マイクロ波源の断面積を小さくすることにより前記導電体2面間で形成される放電空間内には効率よく部分的な放電を実現できる。このマイクロ波回路を光軸方向に複数並べることにより光軸方向に細長く均一な放電空間を形成できるので、高出力のレーザ光を発生できる。
【0033】
請求項2の発明によれば、マイクロ波の定在波における導波管内マイクロ波電界の最も強い部分を放電空間内に位置できるので、レーザ光の出力を効率よく上げることができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、マイクロ波回路の放電空間の放電出力を小さくするためにはマイクロ波源を構成する導波管の断面積を小さくすることであるが、同じくマイクロ波源を構成するマグネトロンが導波管より大きいためにマグネトロンを隣り合わせると必然的に導波管を近づけることができないので、隣り合うマイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるように配置することによって、導波管を近づけることができ非放電領域を小さくできる。
【0035】
請求項4の発明によれば、マイクロ波回路をマイクロ波源からのマイクロ波エネルギーを同じ方向から配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置したことにより、導波管を近づけることができ非放電領域を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例を示すもので、気体レーザ装置の正面の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の例を示すもので、気体レーザ装置の平面図である。
【図3】図2における側面図である。
【図4】導波管内のマイクロ波電界の分布状態を示す説明図で、(A)はマイクロ波の波長が大きいときで、(B)はマイクロ波の波長が小さいときである。
【図5】本発明の実施の形態の例を示すもので、マイクロ波回路の配置を変えた場合の気体レーザ装置の平面図である。
【図6】従来例を示すもので、気体レーザ装置の縦断面図である。
【図7】従来例を示すもので、気体レーザ装置の全体斜視図である。
【符号の説明】
1 気体レーザ装置
3 マグネトロン
5 導波管
7 マイクロ波回路
13 誘電体
15 放電空間
23 導電体壁
25 チューナ
Claims (4)
- マイクロ波放電によりレーザ気体にプラズマを発生させてレーザ励起を行うためのマイクロ波電界を発生するマイクロ波回路と、このマイクロ波回路にマイクロ波エネルギーを供給するマイクロ波源と、前記マイクロ波回路を終端する導電体壁を備え、この導電体壁に平行して設けられた誘電体2面の間に形成される放電空間を備え、前記マイクロ波回路によって前記誘電体とプラズマとの境界に平行な電界成分を有するマイクロ波モードが形成される気体レーザ装置であって、
前記マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に1つ1つのマイクロ波回路は光軸のつながった放電空間のそれぞれ別の領域でプラズマを発生させることを特徴とする気体レーザ装置。 - 前記マイクロ波回路を終端する導電体壁と、前記誘電体2面に挟まれた放電空間の中心との距離が導波管内のマイクロ波長の4分の1の奇数倍であることを特徴とする請求項1記載の気体レーザ装置。
- 前記マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて配置すると共に隣り合うマイクロ波回路を、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが互いに反対方向から供給されるよう配置してなることを特徴とする請求項1記載の気体レーザ装置。
- 前記マイクロ波回路とマイクロ波源を1対にして複数並べて前記マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーが同じ方向から供給するように配置すると共にレーザ光軸方向に対してマイクロ波源を交互に上下逆向きに配置してなることを特徴とする請求項1記載の気体レーザ装置。
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JP22231596A JP3749314B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | 気体レーザ装置 |
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JP22231596A JP3749314B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | 気体レーザ装置 |
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JPH1065241A JPH1065241A (ja) | 1998-03-06 |
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-
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- 1996-08-23 JP JP22231596A patent/JP3749314B2/ja not_active Expired - Fee Related
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