JP3748669B2 - ホスファゼニウムハライドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機の強塩基であるホスファゼンベース等の合成原料として極めて有用なホスファゼニウムハライドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させて、ホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとを併産した例は見あたらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ホスファゼニウムハライドを効率的に製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を続けた結果、五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させると、イミノトリス(二置換アミノ)ホスホランが、五ハロゲン化りんと脱ハロゲン化水素反応して化学式(1)
【0005】
【化2】
(式中、nは1ないし4の整数である。Rは、二置換アミノ基の同種または異種の置換基を表す。Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合もある。Xはハロゲン原子を表し、X-はハロゲンアニオンを表す。)で表されるホスファゼニウムハライドを生成すると同時に、該反応で生成するハロゲン化水素とも反応してアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを生成することを見出した。さらには、そのようにしてできたアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを塩基と反応させてイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランに再生することができ、原料であるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの一部または全部として使用できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させることを特徴とする化学式(1)
【0006】
【化3】
(式中、nは1ないし4の整数である。Rは、二置換アミノ基の同種または異種の置換基を表す。Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合もある。Xはハロゲン原子を表し、X-はハロゲンアニオンを表す。)で表されるホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドの製造方法である。
【0007】
さらには、五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させることによる化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドの製造方法において、生成したアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドと塩基とを反応させてイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを再生して、原料であるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの一部または全部として使用する方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の方法における五ハロゲン化りんとは5価のりん原子に5個のハロゲン原子が結合した化合物であり、例えば五ふっ化りん、五塩化りん、五臭化りん、五よう化りん、二塩化三ふっ化りん、二臭化三ふっ化りん、一臭化四塩化りん、二臭化三塩化りんまたは三塩化二よう化りん等である。
これらのうち好ましくは五塩化りんまたは五臭化りんであり、より好ましくは五塩化りんである。
本発明の方法におけるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン{別名:2,2,2−トリス(二置換アミノ)−2λ5−ホスファゼン}とは化学式(2)
【0009】
【化4】
(式中、Rは、二置換アミノ基の同種または異種の置換基を表す。Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合もある。)で表される化合物であり、ホスファゼニウムハライドとは化学式(1)
【0010】
【化5】
(式中、nは1ないし4の整数である。Rは、二置換アミノ基の同種または異種の置換基を表す。Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合もある。Xはハロゲン原子を表し、X-はハロゲンアニオンを表す。)で表される化合物であり、アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとは化学式(3)
【0011】
【化6】
(式中、Rは、二置換アミノ基の同種または異種の置換基を表す。Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合もある。X-はハロゲンアニオンを表す。)で表される化合物である。
【0012】
イミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドおよびアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライド中の二置換アミノ基の置換基Rは、同種または異種の炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1ないし10個の炭化水素基である。具体的には、例えばメチル、エチル、ノルマル−プロピル、イソプロピル、アリル、ノルマル−ブチル、sec−ブチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、ノルマル−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称、tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルもしくは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。
【0013】
これらのうち好ましくは例えばメチル、エチル、ノルマル−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチルまたは1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の炭素原子数1ないし10個の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、ノルマル−プロピルまたはイソプロピルの炭素原子数1ないし3個の脂肪族炭化水素基であり、メチル基またはエチル基が更に好ましい。
【0014】
また2個の置換基Rが互いに結合して二置換アミノ基が環状アミノ基となる場合の環状アミノ基としては、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびヘキサメチレンイミン、またはそれらにメチルもしくはエチル等のアルキル基が置換した5ないし7員環の環状二級アミンから導かれる環状アミノ基であり、好ましくは5ないし7員環の無置換環状二級アミンから導かれる環状アミノ基であり、より好ましくはピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンから導かれる環状アミノ基である。
【0015】
イミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドおよびアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライド中のすべての二置換アミノ基がこのような環構造をとっていても構わないし、一部であってもよい。
【0016】
化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のハロゲン原子であるXとしては、例えばふっ素原子、塩素原子、臭素原子またはよう素原子等であり、これらのうち好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。ハロゲンアニオンであるX-としては、例えばふっ素イオン、塩素イオン、臭素イオンまたはよう素イオン等であり、これらのうち好ましくは塩素イオンまたは臭素イオンであり、より好ましくは塩素イオンである。
【0017】
アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライド中のハロゲンアニオンであるX-としては、例えばふっ素イオン、塩素イオン、臭素イオンまたはよう素イオン等であり、これらのうち好ましくは塩素イオンまたは臭素イオンであり、より好ましくは塩素イオンである。このX-は化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のX-と必ずしも同一とは限らない。
【0018】
本発明の方法において、五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させると、イミノトリス(二置換アミノ)ホスホランが、五ハロゲン化りんと脱ハロゲン化水素反応して化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを生成すると同時に、該反応で生成するハロゲン化水素とも反応してアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを生成する。五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとの使用モル比は、目的とする化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のnによって異なる。nは1ないし4の整数である。五ハロゲン化りん1モルに対するイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの使用モル比をQとすると、
n=1の化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを製造するには、通常、Qは0.5ないし3.5であり、好ましくは1.0ないし3.0であり、より好ましくは1.5ないし2.5であり、更に好ましくは2.0である。
n=2の化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを製造するには、通常、Qは2.5ないし5.5であり、好ましくは3.0ないし5.0であり、より好ましくは3.5ないし4.5であり、更に好ましくは4.0である。
n=3の化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを製造するには、通常、Qは4.5ないし7.5であり、好ましくは5.0ないし7.0であり、より好ましくは5.5ないし6.5であり、更に好ましくは6.0である。
n=4の化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを製造するには、通常、Qは7.0ないし50.0であり、好ましくは7.5ないし40.0であり、より好ましくは8.0ないし30であり、更に好ましくは8.0ないし15.0までである。
【0019】
Qが8未満の場合においては、そのQの値に応じて種類と量は変化するが化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドとQ/2のアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとが併産される。Qが8以上の場合においては、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のnが4であるテトラキス[トリス(二置換アミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとが、Qの値に関わらずほぼ1:4のモル比で併産される。
本発明において、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のnは1ないし4であるが、好ましくは3または4である。
【0020】
本発明の方法において五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとを反応させる温度は、用いる五ハロゲン化りんの種類、イミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの種類またはそれらのモル比等によって一様ではないが、通常、−78ないし250℃であり、好ましくは−30ないし200℃であり、より好ましくは−10ないし150℃である。反応は減圧、常圧または加圧の何れでも実施し得るが、通常は常圧である。反応時間は、用いる五ハロゲン化りんの種類、イミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの種類、それらのモル比または反応温度等によって一様ではないが、通常200時間以内であり、好ましくは0.1ないし80時間である。
【0021】
五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとの反応に際し、必要ならば溶媒を用いることもできる。それらの溶媒としては、反応を阻害しなければ如何なる溶媒でも使用することができる。例えばノルマル−ペンタン、ノルマル−ヘキサンまたはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類であり、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジペンチルベンゼンまたはドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類であり、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、o−ジメトキシベンゼン、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテルまたはo−ジエトキシベンゼン等のエーテル類であり、例えば四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエチレンまたはテトラクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類であり、例えばフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、p−クロロエチルベンゼンまたは1−クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族炭化水素類であり、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルりん酸トリアミドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン極性溶媒類等が挙げられる。
【0022】
これらのうち好ましくは、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメンまたはジエチルベンゼン等の炭素原子数6ないし10個の芳香族炭化水素類であり、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、o−ジメトキシベンゼンまたはエチルフェニルエーテル等の炭素原子数2ないし8個のエーテル類であり、例えばフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエンまたはp−クロロエチルベンゼン等の炭素原子数6ないし8個のハロゲン化芳香族炭化水素類等である。これらの溶媒は単独で用いても、複数個を併用しても構わない。
【0023】
これらの溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、イミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン1重量部に対して、500重量部以下であり、好ましくは1ないし100重量部であり、より好ましくは1.5ないし20重量部である。
このようにして、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを製造することができる。
【0024】
反応混合物から化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを分離するには、結晶化または抽出等の汎用の方法など目的にかなう分離ができるなら如何なる方法でもよい。化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとの通常の有機溶媒に対する溶解度の差は極めて大きい。従って、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを溶解させ、一方アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを固体として析出させる溶媒を反応溶媒として用い、反応終了後、両者を固液分離する方法は好ましい。あるいは、無溶媒で反応させた後に、そのような溶媒を加えて同様に行う方法も好ましい。
【0025】
通常、そのような固液分離により、充分に高純度の化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを溶液として得ることができるが、必要であればこの溶液を濃縮乾固して化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを固体として得ることもできる。更には再結晶等で精製することもできる。
このように、溶液または固体として得られた化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドはその目的に応じて合成反応の原料等として使用することができる。
【0026】
化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを溶解させ、一方アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを固体として析出させる溶媒としては、反応の溶媒として前述したもののうち、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンまたはメシチレン等の炭素原子数6ないし9個の芳香族炭化水素類であり、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、o−ジメトキシベンゼンまたはエチルフェニルエーテル等の炭素原子数4ないし8個のエーテル類であり、例えばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエンまたは2−クロロ−1,3−ジメチルベンゼン等の炭素原子数6ないし8個の塩素化芳香族炭化水素類等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で用いても、複数個を併用しても構わない。
【0027】
さらに、本発明では、このようにして化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドから分離されたアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドは、塩基と反応させてイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランに再生し、原料として用いることができる。この場合の塩基としては、その目的にかなう塩基であれば如何なる塩基でも構わない。例えばナトリウムアミド、カリウムアミド、マグネシウムアミドまたはバリウムアミド等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアミド類であり、例えばノルマル−プロピルリチウム、ノルマル−ブチルリチウム、シクロペンタジエニルリチウム、α−ナフチルリチウム、エチニルナトリウム、フェニルナトリウム、シクロペンタジエニルナトリウム、フルオレニルナトリウム、テトラフェニルエチレンジナトリウム、ナトリウムナフタレニド、シクロペンタジエニルカリウム、フェニルカリウム、ジエチルマグネシウム、エチルイソプロピルマグネシウム、ジ−ノルマル−ブチルマグネシウム、臭化ビニルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、ジシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、カルシウムアセチリド、臭化エチルストロンチウム、よう化フェニルバリウムまたはジシクロペンタジエニルバリウム等の有機アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物であり、例えばナトリウムヒドリド、カリウムヒドリド、カルシウムヒドリドまたはバリウムヒドリド等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属ヒドリド化合物であり、例えばリチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、カルシウムメトキシドまたはバリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシド化合物であり、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムまたは水酸化バリウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
【0028】
これらのうち好ましくは、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドまたはカリウム−tert−ブトキシド等の炭素原子数1ないし4個のアルコールからなるアルカリ金属のアルコキシド化合物であり、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等である。
これらの塩基は単独で用いても、複数個を併用しても構わない。
塩基の使用量は特に制限はないが、通常、アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドの1モルに対して、0.5ないし20モルであり、好ましくは1ないし3モルである。
【0029】
これらの塩基とアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとを反応させてイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを再生する場合の反応温度は、通常、0ないし100゜Cであり、好ましくは15ないし80゜C、より好ましくは20ないし70゜Cである。反応は減圧、常圧または加圧の何れでも実施し得るが、通常は常圧である。反応時間は、他の条件等により一様ではないが、通常20時間以内であり、好ましくは0.1ないし10時間である。
【0030】
塩基とアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとの接触を効果的にするために通常溶媒を用いる。それらの溶媒としては、反応を阻害しなければ如何なる溶媒でも構わないが、水、例えばメタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノールまたはtert−ブタノール等のアルコール類であり、例えばノルマル−ペンタン、ノルマル−ヘキサンまたはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類であり、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジペンチルベンゼンまたはドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類であり、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、o−ジメトキシベンゼン、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテルまたはo−ジエトキシベンゼン等のエーテル類であり、例えばフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、p−クロロエチルベンゼンまたは1−クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族炭化水素類であり、例えばトリブチルアミン,N,N−ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリン等の三級アミン類であり、例えばアセトニトリルまたはプロピオニトリル等のニトリル類であり、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルりん酸トリアミドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性非プロトン溶媒類等が挙げられる。
【0031】
これらのうち好ましくは、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメンまたはジエチルベンゼン等の炭素原子数6ないし10個の芳香族炭化水素類であり、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、o−ジメトキシベンゼンまたはエチルフェニルエーテル等の炭素原子数2ないし8個のエーテル類であり、例えばフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエンまたはp−クロロエチルベンゼン等の炭素原子数6ないし8個のハロゲン化芳香族炭化水素類等である。これらの溶媒は単独で用いても、複数個を併用しても構わない。アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドが溶解していることは好ましいが懸濁状態でも構わない。生成したイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランは通常これらの溶媒に溶解している。
【0032】
アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドと塩基とを反応させた反応液から、目的のイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを分離するには、常套の手段を組み合わせた常用の方法が用いられる。用いた塩基の種類や過剰率、用いた溶媒の種類や量などにより、その方法は一様ではないが、通常、副生する塩基の塩は固体として析出しているので、そのままあるいは若干の濃縮をした後、濾過や遠心分離等の方法で固液分離をおこない、母液を充分濃縮して液体または固体であるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを得ることができる。副生した塩が濃縮してもなお溶解している場合には、そのままあるいは濃縮後に貧溶媒を加え副生塩を析出させたり、また濃縮乾固後イミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを抽出する等の方法で分離することができる。また該母液から、使用した塩基から副生する炭化水素、アルコールまたは水等を優先的に留去して溶液として取り出すこともできる。更に、必要であればイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを蒸留等で精製することもできる。
【0033】
このように、液体もしくは固体として、または溶液として分離されたイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを原料であるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの一部または全部として使用することができる。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらは限定的でなく単に説明のためと解されるべきである。
実施例1
500mlの反応器に、五塩化りん15.6g(74.9ミリモル)を秤取し、40mlのトルエンを加えた。攪拌しながら、これにイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン:{(Me2N)3P=NH}(Meはメチル基を表す。以下同様)を80.1g(450ミリモル)含むトルエン溶液230mlを反応温度が−10℃以下を保つ速度で滴下した。滴下終了後、約30分かけて、常温に戻した。この温度で24時間攪拌を続け、トルエンの懸濁液を得た。これを減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、白色固体を47.0g得た。この白色固体の質量分析を行ったところ、598に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=3であるクロロトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド: {[(Me2N)3P=N]3ClP+ Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。また内部標準化合物としてりん酸トリ−ノルマル−ブチルを用いた31P−NMRによる定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は99%であった。一方濾別した固体を少量のトルエンで洗浄し乾燥して、白色固体を48.7g得た。この固体の質量分析を行ったところ、179に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム クロリド :{[(Me2N)3(H2N)P+Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。同様の定量分析より、このものの純度は99%であり、アミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドの収量は48.3g(225ミリモル)であった。これは用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのモル数の1/2に相当する。このようにアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドを併産し、ホスファゼニウムハライドであるクロロトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドを製造することができた。
【0035】
実施例2
300mlの反応器に、実施例1で得られたアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド45.0g(210ミリモル)を秤取し、メタノール150mlを加えた。攪拌しながら更にカリウムメトキシド17.7g(252ミリモル)を加えた。常温で2時間攪拌した後、反応混合物を減圧下に濾過した。白色の固体が濾別され、濾液は無色透明の液となった。この液を充分に濃縮した後、減圧下で蒸留(5mmHg,82〜84℃)して透明の液体30.3gを得た。このものの1H−NMRおよび31P−NMRのスペクトルは標準のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランと一致した。蒸留で得たものの収率は、用いたアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドに対して81%であった。 上記で得られたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを実施例1で用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの代わりに使用し、実施例1の反応スケールを1/3にした以外は実施例1と全く同様に行って、アミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドを併産し、クロロトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドを収率99%で製造することができた。
【0036】
実施例3
実施例1に用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの使用量を134g(749ミリモル)に変えた以外は実施例1と全く同様に行って、トルエンの懸濁液を得た。これを、更に48時間加熱還流した。その後、常温に戻し、減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、固体を得た。この固体を少量のジエチルエーテルで洗浄し乾燥して白色固体50.0gを得た。このものの質量分析を行ったところ、740に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=4であるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム クロリド:{[(Me2N)3P=N]4P+Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。実施例1と同様の定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は86%(64.4ミリモル)であった。一方濾別した固体を少量のトルエンで洗浄し乾燥して、白色固体を55.1g得た。実施例1と同様の質量分析と定量分析から、このものはアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドであり、純度はほぼ100%であった。従って、該白色固体中にアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドが25.7ミリモル含まれる。このようにホスファゼニウムハライドであるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドとアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドをほぼ1:4のモル比で併産した。
【0037】
実施例4
300mlの反応器に、実施例3で得られたアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド50.0g(233ミリモル)を秤取し、これに30%の水酸化ナトリウム水溶液120g(水酸化ナトリウムとして900ミリモル)を加えた。これを80℃で2時間加熱した後、常温に戻したところ、二層分離した。有機層を分離した後、これに硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。これを濾過し、濾液を減圧下で蒸留して透明の液体28.7gを得た。このものの1H−NMRおよび31P−NMRのスペクトルは標準のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランと一致した。蒸留で得たものの収率は、用いたアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドに対して69%であった。
【0038】
上記で得られたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン26.0gと実施例3で用いたものと同様のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン108gを合わせたものを、実施例3で用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの代わりに使用した以外は実施例3と全く同様に行った。テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドとアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドがほぼ1:4のモル比で併産された。
【0039】
実施例5
500mlの反応器に、イミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホラン:{Py3P=NH}(Pyはピロリジン−1−イル基を表す。以下同様)を161.5g(630ミリモル)秤取した。攪拌しながら、これに五臭化りん30.1g(70.0ミリモル)を反応温度が−10℃以下を保つ速度で加えた。その後、約30分かけて、常温に戻した。この温度で1時間攪拌を続けた後、更に120℃で48時間攪拌した。常温に戻し、これに150mlのアニソールを加え、懸濁液を得た。これを減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、固体を得た。この固体を少量のジイソプロピルエーテルで洗浄し乾燥して白色固体64.9gを得た。このものの質量分析を行ったところ、1052に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=4であるテトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム ブロミド:{(Py3P=N)4P+ Br-}中のカチオン部の分子量に相当する。実施例1と同様の定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は82%(57.3ミリモル)であった。一方濾別した固体を少量のアニソールで洗浄し乾燥して、淡黄色固体を78.9g得た。実施例1と同様の質量分析と定量分析から、このものはアミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムブロミド: {Py3(H2N)P+Br-}であり、純度は98%であった。従って、淡黄色固体中にアミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムブロミドが229ミリモル含まれる。
【0040】
実施例6
500mlの反応器に、実施例5で得られたアミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムブロミド72.0g(209ミリモル)を秤取り、これに250mlのトルエンと14.7gのメタノールを加えた。攪拌しながら更にナトリウム−tert−ブトキシド22.1g(230ミリモル)を加えた。これを50℃に加熱した。内容物は殆ど溶解せず、白色のスラリー液であった。この温度で5時間攪拌を続けた。その後反応混合物を常温に戻し、減圧下に濾過した。白色の固体が濾別され、濾液は無色透明の液となった。この液を充分に濃縮して透明の液体51.4gを得た。このものの1H−NMRおよび31P−NMRのスペクトルは標準のイミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホランと一致した。収率は96%であった。
【0041】
上記で得られたイミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホランを実施例5で用いたイミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホランの代わりに使用し、実施例5の反応スケールを1/4にした以外は実施例5と全く同様に行った。テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムブロミドとアミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムブロミドがほぼ1:4のモル比で併産された。
【0042】
実施例7
実施例1に用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの代わりに等モルのイミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホラン:{Mor3P=NH}(Morはモルホリン−4−イル基を表す。以下同様)を使用し、トルエンの代わりにテトラヒドロフランを使用した以外は実施例1と全く同様に行って、トルエンの懸濁液の代わりにテトラヒドロフランの懸濁液を得た。これを減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、白色固体を74.3g得た。この白色固体の質量分析を行ったところ、976に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=3であるクロロトリス[トリ(モルホリン−4−イル)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド:{(Mor3P=N)3ClP+ Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。実施例1と同様の定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は98%であった。一方濾別した固体を少量のテトラヒドロフランで洗浄し乾燥して、白色固体を78.1g得た。実施例1と同様の質量分析と定量分析から、このものはアミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホニウムクロリド: {Mor3(H2N)P+Cl-}であり、純度は98%であった。従って、該白色固体中にアミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホニウムクロリドが225ミリモル含まれる。
【0043】
実施例8
実施例6で用いたアミノトリ(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムブロミドの代わりに等モルの実施例7で得られたアミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホニウムクロリドを使用し、ナトリウム−tert−ブトキシドの代わりに等モルの水酸化バリウム・8水塩を使用した以外は実施例6と同様に5時間攪拌を続けた。その後反応混合物を常温に戻し、減圧下に濾過した。白色の固体が濾別され、濾液は無色透明の液となった。この液を充分に濃縮して固体60.4gを得た。このものの1H−NMRおよび31P−NMRのスペクトルは標準のイミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホランと一致した。収率は95%であった。
【0044】
上記で得られたイミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホランを実施例7で用いたイミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホランの代わりに使用し、実施例7の反応スケールを1/3にした以外は実施例7と全く同様に行って、アミノトリ(モルホリン−4−イル)ホスホニウムクロリドを併産し、クロロトリス[トリ(モルホリン−4−イル)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドを収率98%で製造することができた。
【0045】
実施例9
実施例1に用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの代わりにイミノトリス(ジエチルアミノ)ホスホラン:{(Et2N)3P=NH}(Etはエチル基を表す。以下同様)を78.6g(300ミリモル)使用し、トルエンの代わりにエチルベンゼンを使用した以外は実施例1と同様に行って、トルエンの懸濁液の代わりにエチルベンゼンの懸濁液を得た。これを減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、白色固体を47.0g得た。この白色固体の質量分析を行ったところ、624に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=2であるジクロロビス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド:{[(Et2N)3P=N]2Cl2P+ Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。実施例1と同様の定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は95%であった。一方濾別した固体を少量のエチルベンゼンで洗浄し乾燥して、白色固体を47.2g得た。実施例1と同様の質量分析と定量分析から、このものはアミノトリス(ジエチルアミノ)ホスホニウムクロリド: {(Et2N)3(H2N)P+Cl-}であり、純度は95%であった。従って、該白色固体中にアミノトリス(ジエチルアミノ)ホスホニウムクロリドが150ミリモル含まれる。
【0046】
実施例10
実施例1に用いたイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの代わりにイミノトリ(ノルマル−オクチルメチルアミノ)ホスホラン :{(OctMeN)3P=NH}(Octはノルマル−オクチル基を表す。以下同様)を70.8g(150ミリモル)使用し、トルエンの代わりにクロロベンゼンを使用した以外は実施例1と同様に行って、クロロベンゼンの懸濁液を得た。これを減圧下に濾過した。濾液を濃縮乾固して、白色固体を34.0g得た。この白色固体の質量分析を行ったところ、609に一本の分子イオンスペクトルが観察された。これはホスファゼニウムハライドでn=1であるトリクロロ[トリ(ノルマル−オクチルメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド:{[(OctMeN)3P=N]Cl3P+ Cl-}中のカチオン部の分子量に相当する。実施例1と同様の定量分析から、このものの純度はほぼ100%であり、収率は89%であった。一方濾別した固体を少量のクロロベンゼンで洗浄し乾燥して、白色固体を52.4g得た。実施例1と同様の質量分析と定量分析から、このものはアミノトリ(ノルマル−オクチルメチルアミノ)ホスホニウムクロリド:{(OctMeN)3(H2N)P+Cl-}であり、純度は73%であった。従って、該白色固体中にアミノトリス(ノルマル−オクチルメチルアミノ)ホスホニウムクロリドが75ミリモル含まれる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、五ハロゲン化りんとイミノ(二置換アミノ)ホスホランとの反応で、アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを併産し、ホスファゼニウムハライドを簡便に高収率で得ることができる。
Claims (10)
- 生成したアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドと塩基とを反応させてイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランを再生して、原料であるイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランの一部または全部として使用する請求項1に記載の方法。
- イミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドおよびアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライド中の二置換アミノ基の置換基Rが、同種または異種の炭素原子数1ないし3個の脂肪族炭化水素基である請求項1または2に記載の方法。
- イミノトリス(二置換アミノ)ホスホラン、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドおよびアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライド中の二置換アミノ基が、5ないし7員環の環状二級アミンから導かれる環状二級アミノ基である請求項1または2に記載の方法。
- 五ハロゲン化りんが五塩化りんまたは五臭化りんである請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライド中のnが3または4である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 五ハロゲン化りんとイミノトリス(二置換アミノ)ホスホランとの反応に際し、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドを溶解させ、アミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドを固体として析出させる溶媒を用い、反応終了後、化学式(1)で表されるホスファゼニウムハライドとアミノトリス(二置換アミノ)ホスホニウムハライドとを固液分離することにより分離する請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
- 溶媒が、炭素原子数6ないし9個の芳香族炭化水素類または炭素原子数6ないし8個の塩素化芳香族炭化水素類である請求項7に記載の方法。
- 塩基がアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドまたは水酸化物である請求項2ないし8のいずれかに記載の方法。
- 塩基がアルカリ金属のアルコキシドまたは水酸化物である請求項2ないし8のいずれかに記載の方法。
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