JP3748561B2 - 超高効率タンパク分子・ペプチドトランスポーター及びそれを用いた目的物質細胞内導入方法およびそのキット。 - Google Patents

超高効率タンパク分子・ペプチドトランスポーター及びそれを用いた目的物質細胞内導入方法およびそのキット。 Download PDF

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本願発明は、目的分子を極めて効率よく細胞内(細胞質および核内)に浸透させ、しかも導入タンパクの機能的効率および低用量化を実現できる細胞透過性トランスポーターの提供及びそれを用いた目的物質の細胞内導入方法およびキットの提供を目的とする。
近年、哺乳動物細胞などへタンパク質やペプチドを導入する技術が盛んに利用されている。この技術は細胞内浸透能を持つ配列を付加するだけで目的分子を哺乳動物細胞へ導入でき、目的分子と導入のためのペプチドを化学的にカップリングさせる必要がないため、操作は簡便かつ迅速にできるという特徴をもっている。また、培地中の血清の有無にかかわらず導入でき、さらに細胞毒性を示さない利点がある。癌、肉腫、神経腫瘍、白血病・リンパ腫を含めた様々な悪性腫瘍の治療への応用や、遺伝子機能の解析、ペプチドライブラリーのスクリーニング、ペプチド阻害物質の導入、タンパク質の半減期の研究、オルガネラの標識など、様々な用途に使用できる。
このような、細胞透過性のペプチドとしては、図6に示すように、HIV-1TAT、HIV-1 gp41、pAntp43−58(penetratin)、Transportan、MAP、SN50(NF-κB p50 NLS)、SV40 NLS、poly-Arginine、C-terminal half of HSV VP22などが知られている。
一方ヒトの病気には、悪性腫瘍として、接着系細胞による癌、肉腫、神経系腫瘍がある。さらに接着系以外のものには血液系の腫瘍がある。血液系の腫瘍は浮遊系の細胞であり、大別して白血病と悪性リンパ腫に分けられる。悪性リンパ腫とは、生体防御に働く免疫系を支配するリンパ球の悪性化したものである。
現在までに提供されているリポフェクションなどによる遺伝子導入試薬は接着系の腫瘍には効率よく導入できるが、浮遊系の腫瘍細胞では満足に奏功せず一部特定の細胞を除いては、1〜5%程度しか導入できなかったため、実質的には利用できなかった。したがって、遺伝子機能の解析や治療戦略開発のために、浮遊系の細胞に効率よくタンパクやペプチドを導入するシステムが従来より必要とされていた。
現在のところ、遺伝子を直接導入するには、血球系の細胞に対しては、アデノウイルスやヘルペスウイルスなどを用いて、遺伝子組換えにより目的の遺伝子を組み込んだ状態のウイルスに変えて、感染という形で細胞に取り込むという方法が有効な手段とされている。最近では上記したペプチドまたはタンパク自身を導入する方法が実験的に報告されはじめた。この方法には2つある。第一は、上記した既に報告されているプロテイントランスダクションドメイン(PTD)配列(図6)を先頭として、その前部あるいは後部に目的とする配列のペプチドを結合した形で細胞内に導入する方法である。もしくは、PTDをコードするDNA配列に戻し、目的遺伝子の前に又は後に融合させ、大腸菌などの宿主に発現させ、そこから生成したタンパクを採取し、細胞内に直接導入する方法である。
Vladimir P.Torchilin,Tatyana S.Levchenkoら、PNAS,Vol.100 no.4 1972-1977(Feb.18 2003) MayC.Morris,Julien Depollierら, Nature Biotechnology,Vol.19 1173 (Dec.2001) Paul A.Wender,Dennis J.Mitchell,Kanaka Pattabiramanら, Vol.97 no.24 13003-13008(Nov.21,2000) Robin Fahraeus, Sonia Lain, Kathryn L Ball, David P Laneら, Oncogene,Vol.16, 587-596 (1998) 上記非特許文献には、細胞透過性ペプチドとして、図6記載のHIV-TAT、poly-Arginine、図11で示すpep-1の記載があるが、これらをそのまま利用しても、浮遊系の細胞への目的物質の飛躍的取り込み及び導入後の目的物質の効果的機能性は見られなかった。また、既研究報告のp16ペプチド系の中で最も有効とされる機能的最小配列をコードしたp16 MISの場合でさえ、その効果発揮のためには大量(少なくとも10μM以上)のペプチドを要求した。
悪性リンパ腫の治療における現状では、いくつかの生物学的高悪性度リンパ腫群においては多剤併用化学療法が奏功しない場合、抗CD20抗体を併用して補体活性化機構による細胞障害を誘導する方法があるが、この方法を用いても十分な効果が期待出来ない場合があり、これらのリンパ腫においては決定的治療法がいまだ確立しておらず、決定的治療法の確立が危急の課題となっている。Bリンパ球性腫瘍であるマントル細胞腫(Mantle Cell Lymphoma; MCL)はこのような問題を抱える予後不良リンパ腫の代表例で、実験学的にも既知の遺伝子導入法には大きな困難が伴っている。そこで、本発明においては、このマントル細胞腫を解析のモデル細胞として用いた。マントル細胞腫は小型腫瘍細胞からなるB細胞性リンパ腫の中では最も予後不良で、現在の医療技術を用いても長期的寛解・完全治癒は難しいのが実状である(平均生存期間2〜3年と短い)。初発時にすでに病期の進行を認めることが多く、肝脾腫や骨髄・消化管・末梢血浸潤もしばしば認められ、打開的な治療法開発の可能性が待たれている。また、これらの研究を行うために、細胞内に目的物質を超高効率に導入可能なトランスポータが利用できるキットの開発が所望されていた。
実験には実際のMCL患者から樹立されたヒト細胞株(SP-53, SP-49)を用いた。まず、図2に示すように、RNAを利用したPCR法であるRT‐PCRによって、これらヒトMCL細胞株を異なる細胞種由来のヒト細胞株(HeLa(子宮頸癌)、T47D(乳癌)、K562(骨髄球性白血病))と比較検討し、細胞増殖関連遺伝子に関して遺伝子学的背景を調べた。まず、これらの細胞株におけるサイクリンD1、Ink4α、Cdk4、GAPDHの発現状態を調べた。がん抑制遺伝子として知られる細胞増殖抑制遺伝子INK4α(p16)は、コントロールのHeLa細胞では発現が見られた。SP49細胞では発現の著明な減弱が見られ、SP-53 MCL細胞、K562白血病細胞では発現喪失を認めた (図2のRT-PCR)。この結果を共焦点レーザー顕微鏡を用いて見たのが(図4)である。SP49以外の細胞にはINK4α(p16)の発現が認められない。このことをSP49とSP53の対比で表にまとめたものが(図5)となる。これらの結果から、細胞の増殖抑制に必須のINK4α(p16)遺伝子の機能自体がMCL腫瘍では損なわれていると考えられる。
INK4α(p16)の作用機構を模式的に図1に示す。サイクリンディペンデントカイネース(Cdk4)は主として造血系細胞の細胞周期を加速させる働きを与えるリン酸化酵素である。INK4α(p16)はCdk4に結合してCdk4の活性を阻害する働きをもっている。Cdk4と、MCL細胞において染色体転座により過剰発現したサイクリンD1が結合するとCdk4が著しく活性化される。この活性化Cdk4複合体はINK4α(p16)が細胞内に発現する場合は、p16と結合することにより不活化状態になる。このようにして、Cdk4の特異的な基質として同定されている網膜芽細胞腫遺伝子RBの活性状態が抑制され、RBはリン酸化を受けられなくなり、細胞増殖が抑制される。Cdk4によるリン酸化を受けた場合RBはE2Fの誘導による遺伝子群の転写活性化に働き、結果、細胞の増殖を導くようになる。正常細胞ではINK4αも関与するこのような細胞増殖機構の調節が必要に応じて適宜行われているのである。
サイクリンD1は11番染色体に位置しているが、マントル細胞株では、11番染色体に染色体転座という異常を起こしているために、14番染色体と融合した状態である。そのため、サイクリンD1の異常発現(本来発現しないはずのものが発現している)と過剰発現(量的異常)を同時に起こしている(図2のイムノブロット及び図3)。その結果Cdk4活性化の異常亢進を誘導しているため、細胞周期が加速されている。その上この状態に対するブレーキとなるはずのINK4α(p16)の発現も見られないため、腫瘍細胞はますます増殖することとなる。
以上のことから、腫瘍増殖抑制のためには、MCLに特異的な異常発現分子サイクリンD1を標的として攻撃する方法がまず第一に考えられる。そのための方法の選択は2つある。第一に、サイクリンD1そのものをノックアウトする方法がある。しかし、これはDNAレベルでの操作を要求するため複雑かつ前述のように浮遊系細胞において効率的な遺伝子導入法が無いため困難である。そこで第二の方法として、サイクリンD1−Cdk4複合体の活性化を蛋白レベルで阻止する方法が考案できる。これは、がん抑制遺伝子INK4α(p16)を効果的に導入・発現させ失われたp16の機能の回復を図れば良いという結論に至る。
以上のような状況下で、最適の細胞浸透能を持つPTDを検定しこれと融合させたINK4α(p16)ペプチドの機能的最小単位をカバーする合成オリゴペプチド)導入方法を検討した。PTDは細胞の種類によってそれぞれ導入効率が変わるが、まずはHIV-1 TATを用いて実験を行ったところ、導入効率が低かった(図7)。そこで、どのPTDが浮遊系細胞である腫瘍性リンパ球に効率よく取り込まれるのかが問題となる。実際の検定ではSP-53 MCL細胞に対し既知のPTD配列の中で最も高い取り込み効率を示したのはpoly-Arginine(R)であったが、INK4α(p16)の作用点である細胞核内にまで強く浸透させるに至らず、また機能させるために極めて高濃度の導入ペプチドを要求した。
従って、腫瘍増殖抑制因子であるINK4α(p16)の発現を欠損しているリンパ腫にペプチドによるp16の機能の回復を図るためには、従来から行われているPTD融合ペプチドの直接導入法に代わり、さらに腫瘍細胞内に極めて高い効率でペプチドや蛋白分子を浸透させる新たなシステムの開発が必須であると考えられた。
以上のような経緯から、本発明の目的は、極めて高い導入効率で、将来的な実用性を考慮し導入ペプチドの投与量をできるかぎり低用量に抑え、さらに導入ペプチドの効果を最大限発揮でき、がん細胞増殖抑制のみならず多種多様の機能的分子標的効果を飛躍的に上げる細胞導入方法及びそれを実現するためのキットを提供することを目的とする。
また、本願発明の他の目的は、当該方法に用いられる輸送機能を有する細胞透過性ペプチドたるトランスポーターのアミノ酸配列の特定及び導入可能な物質の検定、トランスポーターと導入物質との最適割合、さらにはこれらを利用したベクター、導入タンパクとの組換えベクターを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下の実施例に示すpep-1に代表される細胞透過性ペプチドの運搬体とのカップリング反応を使うと、効率よく目的物質を細胞内に導入でき、低用量でも実効性を発揮できるのではないかと考えた。B細胞など導入困難な浮遊系細胞で効率的に発現させる方法として、さらに細胞浸透性ドメイン(PTD)を利用した機能性ペプチドを導入するという方法で実験をかさねた。なぜなら、この方法はうまくいけば100%近い導入効率が達成できるとともに、しかも導入ペプチドは低分子量であるため、極端に抗原性が低く、反復投与可能であるからである。
一方、前述の検定結果とポリアルギニンが細胞内取り込みに有用であるとの報告を総合して、その中でも光学異性体のD-アルギニンを用いたものは、自然界に存在するL-アルギニンよりもワンオーダー上の導入を示すといわれている報告に注目した(非特許文献3)。この報告によると、L-アルギニン9つの連続が最大効果を発揮する。そこで、タンパクやペプチドを導入困難なリンパ球系細胞に導入する際、D-アルギニンの9個の繰り返し配列が必要十分かつ最大の効果を有するのではないかと推測を立て、研究を重ねた結果本発明を完成した(図9)。
本発明のトランスポーターは、疎水性ポケットを有し、細胞透過性ペプチド配列を有することを要旨とする。
本発明のトランスポーターは、少なくとも9個以上のアルギニンを含んでいることを要旨とする。このアルギニンは、D型及びL型の両方を包含する。
本発明のトランスポーターは、疎水ポケットのアミノ酸配列がトリプトファンを有する反復配列となっていることを要旨とする。
本発明のトランスポーターは、KETWWETWWTEWWTEWSQGPGRRRRRRRRRのアミノ酸配列を有することを要旨とする。
本発明のトランスポーターは、疎水性ポケットと細胞透過性ペプチドとの間にスペーサー配列とその両端に各ドメインに回転自由度を与える配列を設けたことを要旨とする。
本発明のトランスポーターは目的物質を血液−脳関門を通過させて脳内へ導き、さらに脳内の細胞へ導入可能とすることを要旨とする。
本発明の遺伝子は上記アミノ酸配列で表わされるタンパク質をコードすることを要旨とする。
本発明の目的物質の細胞内導入方法は、上記トランスポーターと目的物質たる導入タンパク分子又は導入ペプチドを混合した後に、被導入細胞に添加することを要旨とする。
水性目的物質の細胞内導入方法は、疎水性の目的物質たる導入タンパク分子又は導入ペプチドに親水性を付与するペプチドを結合させ、それと上記トランスポーターを混合した後に、混合物を被導入細胞に添加することを要旨とする。
本明の目的物質の細胞内導入方法は、目的物質が抗体であることを要旨とする。
本発明の目的物質の細胞内導入方法において、親水性を付与するペプチドは、L型及び光学異性体型(D型アミノ酸)を含めた9個以上のアルギニンであることを要旨とする。
本発明の腫瘍細胞増殖抑制方法は、導入ペプチドが腫瘍増殖抑制因子であるINK4α(p16)であることを要旨とする。
本発明の目的物質の細胞内導入方法は、導入ペプチドとして、疎水性配列であるα-Helix構造を形成する配列を含む、あるいはこれを人工的に合成し付加した部分を有するペプチドを、上記トランスポーターと混合した後に、被導入細胞に添加することを要旨とする。
本発明の腫瘍細胞増殖抑制方法は、導入ペプチドが腫瘍増殖抑制因子であるp16(INK4α)であることを要旨とする。
本発明の目的物質導入効率増加方法は、上記トランスポーターと導入タンパク分子またはペプチドとを20対1から5対2の範囲の割合で混合した後に、被導入細胞に添加することを要旨とする。
本発明のキットは上記方法を実施するためのキットであって、上記トランスポーターを含んでなることを要旨とする。
本願発明の方法及びキットによって、従来細胞内導入が困難であった、浮遊系(血球系)の細胞にも目的物質を極めて効率よく簡便に導入することが可能となった。また、導入のために使用するトランスポーターおよび導入ペプチドは、従来に比べ非常に低用量で良いため、研究用のみならず将来的に医療用として使用する場合にも、細胞毒性などの影響が少なく、使用コストも押さえることが可能となり、適切な実験、治療への応用の可能性が期待できる。さらに、導入物質としては低分子量ペプチドのみならず、抗体などの高分子量蛋白も細胞内導入が可能であることがわかった。
また、導入後の観察により、輸送されたペプチドや蛋白は核内及び脳内にまで充分な分布が認められるため、取り込まれた物質の作用点が従来の方法では導入困難であった細胞核内にある場合にも機能発揮に関する効率が飛躍的に高く、種々の利用方法が可能である。
本発明方法及びキットを用いれば、従来特異的分子標的化が困難であった、悪性リンパ腫についても、初めて実用的なレベルでの悪性リンパ腫の効率的な増殖抑制を可能にした。この増殖抑制メカニズムはリンパ球系の悪性腫瘍のみならず、骨髄球系など他種の血球系腫瘍細胞株や、さらには患者検体であるプライマリーリンパ腫細胞にも十分応用可能であることから、他の造血系疾患にも応用が可能である。ヒト・マントル細胞腫のSP53細胞についてはp16を作用させることで1μMから顕著な効果が認められるものの、トランスポーター(5μM)とp16(2μM)という濃度の組み合わせが腫瘍細胞の増殖を最も効果的に抑制することがわかった。
従って、本願発明は、従来の技術では細胞への取り込みが低く、産業化が困難であった浮遊系(血球系)腫瘍細胞への取り込み効率の劇的な上昇をもたらすと同時に、導入(標的用)ペプチドの低用量化による被検体組織における大幅な細胞毒性・異物抗原性の軽減、さらに経済的なコストダウンを可能にするものであり、将来的には抗体などの高分子蛋白輸送も充分可能となるトランスポーターが提供できたため、悪性リンパ腫・白血病など多くの疾患に対する治療法の確立などの幅広い用途への応用が可能となる。さらに、導入が最も困難とされる血球系腫瘍への劇的な取り込み改善を実現できたことから、より導入容易な癌・肉腫・神経系腫瘍を始めとする接着細胞系悪性腫瘍においても本願発明は実効的であると考えられる。
生体には、血液―脳関門(Blood-Brain Barrier;BBB)が存在するため、蛋白性物質を血流に乗せて脳内へ導入することが非常に難しい。しかし、本発明の方法を用いれば、従来難しかった目的とする機能性ペプチドを容易に脳内へ導き、さらに脳内の細胞、例えば脳神経細胞、グリア細胞内へ容易に導入することができ、各種脳疾患の治療及び研究などに応用できる。
本発明のトランスポーターにおける疎水性ポケットのアミノ酸配列は、WWETまたはWWTE及びそれらの複数の組合せ、さらにはWWETWWETWの反復配列が好ましいと考えられるほか、WWES、WWSE、WWDT、WWTD、WWEC、WWCE等が考えられる。
細胞透過性ペプチド配列については、6個以上のpoly-Arginine(L体およびD体)他、pAntp(43−58),penetratin、Transportanなども可能であろう。
最適には9個のD型光学異性体のアルギニンが挙げられる。
これらの物質のトランスポーターにおける位置は、N末端側でもC末端側でもかまわない。
本発明においては、トランスポーターの一例としてWWTE-9R(D)を用いているが、本発明はこれに限定されない。トランスポーターの第一の機能は導入に用いる分子との間で効率よく複合体を作り、さらに細胞内に目的のタンパクやペプチドを効率よく取り込ませることであり、第二の機能は、取り込んだペプチドの機能発揮を妨げないことである。
また、疎水ポケットと細胞透過性ペプチドとの間には両ドメインが絡み合わず、うまく機能を発揮するようにスペーサー配列が必要となる。スペーサーの配列や数には特に限定はない。また、スペーサー配列の端部、好ましくは両端部には両ドメインに回転の自由度を与えるための配列を設けることが好ましい。最適には回転の自由度を与えるためにはグリシン(G)、スペーサーとしてはプロリン(P)を含む配列が好ましい。このような構成にすることで、両ドメインの機能がうまく発揮できるものと思われる。
目的物質に親水性を与える物質としては、poly-Arginineの他、pAntp(43−58), penetratin、Transportanなど等が考えられる。その位置は、目的物質のN末端側でもC末端側でもかまわない。
本願発明は、細胞増殖を抑制するINK4α(p16)が、トランスポーターと複合体を作ることにより、腫瘍細胞に効率よく導入され、細胞周期を停止させるという機能発揮に至る工程を含むINK4α(p16)-トランスポーター複合体の作製方法を包含する。
また、本願発明は、またトランスポーターを特定するアミノ酸配列及びそれをコードする遺伝子を包含する。
導入ペプチドは、細胞内に取り込まれた場合に、機能を発揮するために、D. P. Laneらにより同定された最小抑制機能配列(Minimal Inhibitory Sequence 以下MISと称す)を少なくとも含んでいることが必要である。この導入ペプチドに関しては分子量の制約はなく、抗体のような大きな分子量のタンパクも可能である。
また、p16 MISはその配列にα-Helix構造を形成する疎水性配列を含んでおり、同部がさらにトランスポーターと導入ペプチドの高い結合性を実現するために共役することが判明したため、本願発明は導入ペプチドとしてこのα-Helixを構築するアミノ酸の人工的付加を行ったものをトランスポーターによって導入する方法も包含する。
本発明の実施用に設計されたキットは、細胞への目的物質の導入をきわめて簡便に実施することを可能にする。
該キットは、上記した疎水性ポケット及び細胞透過性ペプチド、またその間にスペーサーとして機能するアミノ酸配列があるという特徴を持つトランスポーターを含んでなるキットであって、トランスポーターは粉末・水溶液・凍結乾燥物・顆粒・錠剤等の剤形とすることが出来る。
本実施例においては悪性リンパ腫発生・進展の重要な原因のひとつであるInk4α(p16)の機能欠損を効率良く補う(回復する)ための実験方法を説明する。使用する細胞は、血液系腫瘍である悪性リンパ腫および白血病細胞のSP49、SP53、K562などである。p16を細胞内に導入するためにまず、発明者らは、上記した細胞透過性ペプチド(図6参照)のうち、HIV-1TAT 、SV40 NLS、poly-Arginine、さらには、図11に示す、pep-1等を実験で使用して導入効率と目的分子の発現効率を実証しながら、高い導入効率で、導入ペプチドの投与量をできるかぎり低量に抑えたまま、なおかつ最大限の効果を発揮できる方法を模索した。
まず、多数報告されているPTDの中から血球系細胞に最適なものを検索する予備実験を行った。PTDとして最初に報告されたTAT配列(2μM)を用いて血球系細胞内への取り込みを観察すると、死んでアポトーシスに陥った細胞に受動的輸送により細胞内に取り込まれただけで、生細胞には有意な取り込みが認められなかった。また、2μMでは接着系の腎線維芽細胞であるBHKにも同様、極めて少量の取り込みが見られたのみで、有意な量の取り込みが認められなかった(図7)。以上の経緯で、TATはPTDとしては生細胞への取り込みが少なく、造血系悪性腫瘍である悪性リンパ腫細胞を対象とした場合、不適であることが判明した(図9)。
次にさらに詳細を検討すべく、4つの細胞透過性ペプチドA、B、C、Dを合成しこれらを用いて実験を行った。ここで、以下に示すペプチドAを合成する前提として、D-アルギニンを9個連続したペプチド(2μM)を導入した実験をおこなった。フローサイトメトリーを用いた蛍光シグナル強度の測定による細胞内への取り込みの比較結果は、コントロール(自家蛍光)を1とした場合、30倍くらいであった。また、同時にL-アルギニンを9個から12個重ねたペプチド(2μM)を導入した実験をおこなった。結果は、予想に反して10個以上にL体のアルギニンを増加しても効率の上昇は見られず、むしろ減弱した。(図8に示す)
この結果から、L-アルギニンではなく、D-アルギニンにINK4α(p16)を融合させれば、導入効率に著明な改善が見られるのではないかと推測した。既報告ではTATなどではケラチノサイトやHeLa細胞など接着系の細胞に目的物質を導入するために50〜100μM量もの大量の細胞透過性ペプチドが必要とされるのに対し、9個の連続D-アルギニンでは2μMという低用量で、細胞内に有意な取り込みを確認できた(図9)。本発明に至るまでの実験の過程で、将来的に治療への応用の可能性を考え、特に実用性のある低用量化ペプチド導入システムを目的として開発実験を重ねた。
(4つのペプチド合成)
ペプチド合成機によってポリアルギニンと目的のペプチドINK4α(p16)を融合した配列(A,B,C)及び既知のペプチドトランスポーター(pep-1)の配列(D)を作成した。なおペプチド合成は一般に可能となっており、メーカーに依頼する。ポリアルギニンはC末でもN末でもよい。第1に、D型のポリアルギニン(9R)にスペーサー配列(GPG)とp16のガン化抑制機能を示す配列FLDTLVVLHRを結合し、検出用マーカーとしてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を結合した。(図11の9R(D)-p16MISをペプチドAとする)。これは、効率の良いと予想されるPTDと、リンパ腫に欠乏しているINK4α(p16)を補うため、INK4α(p16)遺伝子のアミノ酸配列全長の中の最も機能的に核となる部分の最小配列をコードするペプチド(MIS)とを融合させてp16の機能性ペプチドを合成したものである。具体的には、まず、細胞内に取り込ませるための9つのD-アルギニンと、がん抑制遺伝子のINK4α(p16)の機能を発揮するための最小配列FLDTLVVLHRを結合させようと考えた。しかし、この2つのドメインの機能を立体構造的に相互に阻害しないように有効に機能させるために必要な距離や空間的スペース(スペーサー)が必要であった。したがってGPG配列を2つのドメインに結合させた。プロリン(P)はスペーサーの役割をするため、グリシン(G)はそれぞれのドメインに自由度を与えるためである(図11の9R(D)-p16MIS)。
第2にINK4α(p16)の作用点である核へ選択的に機能性ペプチドを直接導入出来るか否かを検定するために最も簡潔な方法として、SV40の核局在性シグナル(NLS)を利用し、ポリアルギニンとNLSを直列に結合したものにスペーサーとして1個のグリシンを介し、さらにINK4αMIS(p16)を連結したペプチドを作成した。取り込みを可視化および定量化できるように、さらに同じく検出用マーカーのFITCを結合し、(図11のNLS-9R(D)-p16MISをペプチドBとする)同様のペプチドを作成した。理論的にはNLSを付加した場合は核内に特異的に導入されるといわれており、一方NLSを付加しない場合は細胞質・核を含め細胞内のあらゆる部分にほぼ均一の導入が起こるはずである。
第3に、上述した既知のトランスポーターであるpep-1の配列を基礎として、pep-1に比較し、より強力に相手方ペプチドとの結合能を高めることをねらい、ハイドロフォービックポケットを形成する配列を反復延長した。また、既存の報告にあるスペーサーの後に付加的に回転自由度を与えるGとPによるスペーサーを配置し、さらには導入困難なリンパ球系の細胞に前述の予備実験で高い有効性を示した光学異性体(D体)ポリアルギニンの連続配列を結合した改良型トランスポーターを考案した(図11)。図12にこの改良型トランスポーターアミノ酸配列のChou-Fasmann法による二次元解析の結果を示す。太丸印のあるアミノ酸が本来のpep-1の疎水性ポケットに延長を加えた改良配列であり、右側平面に示すGPGおよび9個の連続D-Arginine(丸R)が、左平面の疎水性ドメインと融合させたスペーサー領域および親水性浸透性ドメインである(図12)。この第3の配列が本発明のトランスポーターとなるが、以下に詳述するように核局在シグナルSV40-NLSを有した既出のpep-1が血球系の細胞には取り込み・局在ともに明かな有効性を充分には示さなかったため、ハイドロフォービックポケットの拡張のみならず、このNLS配列に代わるものとして細胞浸透能・親水性・核局在能3者の著明な改善を同時に期待できることを予測し、D−アルギニン9個連続配列を結合させるという工夫を加えた。
第4のpep-1(ペプチドDとする)は非特許文献2に示してある通り、KETWWETWWTEWSQ配列にSV40の核局在シグナルPKKKRKVを連結したものである。pep-1の配列(図11)は、疎水性アミノ酸のトリプトファン(W)とETのアミノ酸を繰り返し、疎水性配列によるポケット(ハイドロフォービックポケット)を作り、疎水性領域を利用して相手方のタンパクやペプチドを捕まえることが出来るようにした工夫がなされている。ハイドロフォービックポケットと、WSQあるいはSQのスペーサー領域と、細胞内浸透作用があるSV40核移行シグナル(NLS)(図6)を組み合わせている。上記非特許文献2によると、ペプチドと運搬体を10:1から40:1の比で混ぜると、線維芽細胞などの接着系細胞に非常によく取り込みが起こっているらしい。つまり、組み合わせの濃度がかなり低用量でよいという事を示している。また、100μMなど高濃度にしても細胞にそれ程損傷がなく、細胞毒性自体があまり無いとされている。
(細胞内導入効率の確認)
FITCでラベルした第1のペプチドAを用い、細胞内にどのくらい導入されるのかを検定した。検定方法には2つの方法を用いた。第1には共焦点レーザー顕微鏡で蛍光を励起して視覚的・形態学的に細胞内への取り込みの強さと核や細胞質などの細胞内局在を確認した。第2には、フローサイトメトリーを用いて全体に対する取り込み効率及び、1つの細胞内での取り込み強度を計測、数値化して確認した。共焦点レーザー顕微鏡で9R(D)-p16MISの細胞内への取り込みを観察すると、実際には充分な取り込みが起こっていると考えられた(図10の(a))。
その他に、L-ポリアルギニンを9から12個続けてマントル細胞や、ジャーカット細胞、BHKに導入したところ、結果として9R(D)ペプチドに比較し明らかにそれらの細胞内への取り込みは劣っていた(図8)。既存の報告にしたがって、D-アルギニンを用いて主目的とする血球系腫瘍の代表例である悪性リンパ腫細胞に適用して比較した(図9)。図9に示すように、自家蛍光のコントロール(一番左のピーク;蛍光強度1とする)よりもどのくらいピークが右方にシフトするかでシグナル強度が表現されるが、TATの場合、導入後12時間で強度10以下(2倍前後)のレベルで、わずかなシフトが認められるのみであった。L-アルギニンを9個重ねたペプチド(2μM)を導入した結果はTATの場合とほぼ同様で、10倍以下であった。したがって、どちらもリンパ腫細胞に対しては有効な効果を生ずるまでに至らなかった。
注目すべき点は、上述の9R(D)ペプチド(9R(D)-p16MIS)を用いた場合でさえ、2μMのような低用量では、確かに細胞内へ浸透はするものの実際の増殖抑制は誘導されず、p16MISペプチド本来の持つ機能を発揮するために要求される必要量の細胞内取り込みが実現されていないことが判明した(図19左グラフ、図21グラフ参照)。現在、INK4α(P16)をはじめ様々なペプチド、蛋白を導入するに際し、これらの諸問題を克服できるトランスポーターを用いた蛋白導入系の報告はみられない。
次に、既知のトランスポーターであるペプチドD(pep−1)のp16 MISペプチド(2uM)に対する細胞内導入効率をフローサイトメトリーでまず検定した。自家蛍光を1とすると、pep-1を利用した場合のSP-53マントル腫細胞への取り込みは約30倍であった。驚いたことに、pep-1に代え本願申請のトランスポーターとp16(pep-1の場合と同様2uM)を組み合わせたところ、フローサイトメトリーによる蛍光強度定量比較で、pep-1の導入能をはるかに凌駕する約870倍前後の飛躍的な上昇を示す取り込みが認められ、同結果には再現性が認められた。L-アルギニン配列をこのトランスポーターの部分配列として用いた場合も有効(約500倍)であったが、D-アルギニン配列型トランスポーターが最も高い導入効率を示した。(図14)。単独でペプチドを導入した時よりはトランスポーターを混ぜた時の方が、導入困難といわれている浮遊系の細胞にも1段階上の取り込み効率で劇的に導入効率を改善する事ができた。導入困難といわれた細胞に今までの方法では、DNAは入らない。しかし、ペプチドはPTDの中で光学異性体のものが1番良かったが、機能を発揮するまでには至らなかった。低用量にこだわった場合、取り込みはあるが、実効性が無かった。
(ペプチドCの構築)
前述の超効率的ペプチドデリバリーシステムを実現した本発明のトランスポーターの具体的構築方法について説明する。鋳型としたpep-1と比較し、全体として3点の大きな改良点がある。第1点:Wの繰り返し配列が2回(WWTEWWTE)の疎水性ポケット部分にさらに反復して、これらと同一側面に配列できるよう考慮したWWTEの4アミノ酸を追加し(計3回)ポケットを拡張することにより、捕捉する相手方ペプチド(あるいは蛋白)との結合性を高めた(図12:Chou-Fasman2次元構築図参照)。第2点:この疎水性側面と反対側に位置すべき親水性側面に回転自由度を与えるGと、Pによるスペーサーを配し(GPG)、回転自由度を与えることにより疎水性のポケットの捕捉性を高めた。第3点:上記前提実験において実証された極めて高い細胞内浸透能を発揮するD-ポリアルギニン9個の配列(RRRRRRRRR; R=D-Arginine)を結合することで、細胞内への取り込み効率を上げた(図11)。要約すると、トランスポーター配列前部はドメインの疎水性領域を拡張する事で導入目的ペプチドの捕捉効率をあげ、後部で細胞への取り込み効率の著明な増幅とトランスポーター全体としての親水性を改善し、細胞に入るための水溶性ペプチド化を可能とした。また、GPGをその間に挿入する事で、ドメイン相互の機能を相殺しないよう工夫したのである。
(トランスポーターと9R(D)-p16MISの結合法)
上記第3のペプチド(トランスポーターC)及び第1のペプチド(A)9R(D)-p16MISを100μlの純水(またはPBS(−))に、最終濃度がそれぞれ5μM、2μMになるように添加し、ピペッティングにてよく攪拌する。30分間〜60分間室温で静置後、この混合液を直接目的の細胞を含む培養液中に添加した。ここで導入するp16ペプチドについて、p16-MIS配列に9xD-Arg (9R(D))配列を付加する利点は次の2つにある。第1に、このペプチド自身にもある程度の細胞内浸透能を付与できること、第2にこの導入ペプチド全体を水溶化(親水化)できるためである。既報告にあるように、p16蛋白自身は疎水性が高く、通常の大腸菌による蛋白発現系などでは産物自身が凝集を起こし水溶化出来ないことが知られている。また、9R(D)のないp16-MISのみのペプチドでは疎水性度の大幅な上昇により、ペプチドを可溶化できないことを確認しているためである。第2点の意義については当システムを機能させる上で特に重要である。以上に述べた新たな工夫を加え作成したトランスポーターおよび導入ペプチドの混合による本導入法によって、従来の方法では極めて困難であった、充分な核内への機能性ペプチドの浸透・局在を実現したため、核内分子の標的に確実な実効性を発揮するに至った。トランスポーターは細胞の持つ細胞膜と核膜の二重のバリアを浸透して、核内に充分量分布させる事ができ作用発揮させることができたのである。
(培養細胞への導入)
導入効率は細胞種による大きな違いは血球系では見られず99%以上であった。プラスティックディッシュに細胞を培養し、FITCを付加したペプチドを導入した後に共焦点レーザー顕微鏡などでリアルタイムに観察した。生細胞で観察する必要がある。これは、細胞を固定後に見ると見かけ上導入が増強される(自家蛍光の増強)ためである。導入処理時間は30分から1時間程度で十分である。導入物質濃度は最終濃度が0.5μM〜10μMの範囲で行っている。導入処理後、細胞を培養液またはPBSで洗浄し緑色蛍光(参考写真を参照)を観察することによって細胞内導入と細胞内局在が確認できる。
(トランスポーター−ペプチドの複合体の導入と細胞増殖動態の解析)
総細胞数2×10のヒト・リンパ腫細胞および白血病細胞(SP53、S49、K562その他)を含む500μlのRPMI1640培地(10%Fetal Bovine Serumを含む)に対して、トランスポーターと機能性ペプチドの複合体を所定濃度で含む純水またはPBS(-)100ulを添加し、ピペットで攪拌する。その後、各時間経過後(添加後6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間)に各培養液よりサンプルを採取し同一処理したサンプルを3個ずつ用意し、ヘモサイトメーター(血算板)にて、細胞数を測定した。
(トランスポーター−ペプチドの複合体の腫瘍性リンパ球細胞内の取り込みの解析)
9R(D)-p16MISにはFITCラベルのものを用いた。上述のように処理した各種リンパ腫細胞は導入後各時間(3時間、12時間等)で、回収し、PBS(-)で3回洗浄後、フローサイトメトリー(FACScan)にてFITC強度を測定した。比較に用いたpep-1も同様の方法で導入し測定した。細胞内局在の検定は、トランスポーター−FITCラベルp16ペプチド複合体の導入後の各細胞をサイトスピン処理し作成した標本を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察し、解析した。核への分布の証明には多段階スライス像や、断面像解析法を用いた。図13を見ても分かるように、pep-1を用いた細胞では蛍光強度はコントロール1に対して120〜130付近にピークがあるのに対し、本発明のトランスポーターを用いた場合のピークは2100〜2300くらい(15から20倍近く)であり、著しい取り込み率の上昇を示した。また、図13の右上の図では、ほぼ100%の細胞にトランスポーターとp16の複合体が取り込まれたことを示している。また、核局在を検定するための共焦点レーザー顕微鏡による断面解析で(図15)、取り込まれたペプチドは細胞質のみならず核にも強い集積・取り込みが確認された。本発明のトランスポーターを使うと、ペプチド導入に関する従来法よりもはるかに高効率で細胞内に取り込まれ、さらに核内にも高浸透率性を実現できた。実験においては、少なくとも96時間までの追跡で細胞内に運搬体とともに取り込まれたペプチドは活性を保ち続け、機能していた。
(トランスポーターと導入ペプチドの最適混合割合の検証)
トランスポーターの最終濃度を一定の5μMに設定し、導入側ペプチドであるInk4α(p16)の濃度を変化させたところ(図21参照)、SP-53細胞においては1μM でも約50%前後の細胞増殖抑制効果があり、2μMでは増殖抑制率は70%以上とさらに増強し、最大効果を発揮した(最適混合比はすなわち、トランスポーター:導入p16ペプチド=5:2)。次に機能性p16ペプチドの終濃度を2μMに設定しこれにトランスポーターを適正比率で混ぜて、pep-1を用いた場合の増殖抑制効果と比較・検討した。pep-1(20μM):INK4α(p16)(2μM)では24時間後20%前後しか抑制できなかったのに対し、本トランスポーター(5μM):Ink4α(p16)(2μM)の組み合わせでは70%以上の増殖抑制が認められた。pep-1を用いる場合と本トランスポーターを用いる場合では取り込み効率に著明な差があるため、抑制率も変わる。本トランスポーターを用いると、取り込みの劇的な改善、運搬体自身とペプチドの濃度の低用量化が可能になった。
目的物質たるがん抑制遺伝子の一例として、細胞増殖を抑制する癌抑制遺伝子INK4α(p16)の機能性ペプチドとトランスポーターとで複合体を作ることにより、従来技術ではその導入および機能発揮が困難であった浮遊系(血球系)の腫瘍細胞に超高効率に目的ペプチドが導入され、実際的な効果を生んだ。このように、従来になかったペプチド導入法による悪性腫瘍細胞増殖抑制方法を見出した。
以上のことから、プライマリー細胞も含め幾種類かの血球系腫瘍細胞に関してこのシステムの実効性を検討したところ、著明なp16による増殖抑制効果を確認できたという結果から、すでに報告されている接着系のみならず従来導入が困難であるとされてきた浮遊系(血球系)細胞への非常に高効率的な取り込みを可能にするペプチド・蛋白デリバリーシステムの構築ができたと言えよう。なお上記実施例はD−アルギニンについて述べたが、L-アルギニンについても、比較的良い結果が認められるので、細胞透過性ペプチドについても、親水性を与える物質のいずれについても、利用可能と考えられる。
(細胞周期の解析とアポトーシスの解析)
次に、解析に使用するペプチド自体に毒性が無いこと、また細胞周期を止めるというp16ペプチド本来の機能が働いているかどうかの検証をした。フローサイトメトリーでPI(propidium iodide)染色による細胞周期の解析を行った(図18)。各周期での比率をみると、増殖している細胞ではS期とG2/M期のピークが明瞭に出るが、本トランスポーターによりINK4α(p16)ペプチドの導入を行った細胞では、G0/G1期への細胞のプーリングが起こり、G2/M期のピークが著明に減少した。すなわち本トランスポーターによるp16-MISペプチド導入細胞では細胞増殖が抑えられていることが分かった(図18下段グラフ)。具体的には、ペプチド導入細胞ではG0/G1休止期の細胞の全体に占める割合が50%強となり、逆にS-G2/M期の細胞が30%弱に減少した。一方、未処理細胞ではG0/G1期28%、S-G2/M期58%である。つまり、それぞれのサンプルにおける各細胞周期の構成比が著明な変化を起こし、処理した細胞では、明らかに細胞周期の停止を起こしている細胞が約2倍に増加しており、増殖活性が抑えられた状態であるといえる。これはINK4α(p16)が機能していること理論的に裏付けるものである。また、図18にあるTsAとは、実験試薬として汎用されているG0/G1期で細胞周期を止める細胞増殖抑制試薬の事である。INK4α(p16)ペプチドは単体として運搬体(トランスポーター)なしのペプチドの状態でも細胞に入ったものの、細胞は有意な増殖を示し、充分な増殖抑制効果を発揮し得なかった。
トランスポーターにより導入された9R(D)-p16MISが腫瘍細胞内で機能性であるか否かを判定するために、RNase処理を加えた。PI(Propidium Ionade)染色を施行し、フローサイトメトリーにより細胞周期に変化が認められるか否かの解析を行った。また、細胞周期の停止を起こした細胞の動態を解析する目的で導入処理後24時間・48時間の細胞(SP53)に対し、細胞増殖動態を解析するために初期アポトーシスマーカーであるAnnexin V-EGFP染色を施行し、陽性細胞をFACScanにて測定した。結果を図20に示す。Ink4α(p16)機能性ペプチドの導入は導入細胞の細胞周期を止め、細胞周期の停止した細胞の4割弱ではすでにアポトーシスが誘導され始めていることが判明した。また、悪性リンパ腫の患者の胸水から直接採取したプライマリーリンパ腫細胞(Ink4α(p16)発現を喪失している)に対しても本トランスポーターを用いたp16ペプチド導入法は極めて有効であり、高効率の導入によりInk4α(p16)の機能を回復させ増殖を顕著に抑制することができた(図19)。Ink4α(p16)単独や、トランスポーター単独では腫瘍は増殖を続け、増殖抑制効果は見られなかった。トランスポーターとInk4α(p16)ペプチドの混和による導入では、細胞数は解析開始時点とほぼ同数で増殖を認めなかったことから、細胞周期は回転を停止し、導入したペプチドの特異的機能である増殖抑制を誘導していることがわかった。
(抗体の取り込み実験)
このような経緯で、本トランスポーターは超効率的なペプチド分子の細胞内導入能力を発揮することが判明したため、ペプチドのみならず高分子量蛋白の効率的輸送が可能かどうかを発展的に検索した。高分子量蛋白の一例として、近年臨床治療で適用が始められている抗体療法(リンパ腫に対する抗CD20抗体療法、白血病に対する抗c-kit抗体療法、乳癌に対する抗EGFR抗体療法など)に注目し、抗体の成分であるイムノグロブリン(分子量?150kDa)を本トランスポーターにより導入可能かどうかを検定した。トランスポーターと抗体で複合体を作り、SP53細胞に取り込ませた結果、トランスポーターと抗体の量比のバランスが悪い場合には凝集を起こしたが(図26)、適正な混合比では細胞内への充分な取り込みを確認できた(図25)。前述の抗体療法(抗CD20抗体、抗c-kit抗体、抗EGFR抗体など)はいずれも細胞表面抗原を標的とする治療法で、細胞内抗原を標的する方法は現在のところ確立されていない。本発明のトランスポーターは抗体分子に対しても高い細胞内輸送能を持つことが明かとなり、このような現今の抗体治療の限界を克服する新規抗体療法としての可能性を秘めており、広範囲の疾患に対して多角的な応用の可能性が見込める。
(腹腔内注射後の各臓器への分布確認)
さらに、本願発明のトランスポーターの動物腹腔内への注射により、どの程度各臓器に導入可能かを実験した。
20nmol FITC標識p16(p16-MIS)ペプチド と 40nmol トランスポーター ペプチドを8週令Balb/C mouse腹腔内に300ulの水溶液として注射した。
注射後18時間後に、脳、肝、脾、腎を摘出した。これら各臓器における蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を蛍光実体顕微鏡下にて検索した。
結果として、図27から図30に示すように、肝実質(肝細胞)、腎実質(皮質・髄質両者)への著明なペプチドの取り込み(uptake)が見られ、脾臓においては白脾髄を構成するリンパ球への強い取り込みが見られた。さらに重要な現象として、脳においても大脳皮質・白質神経繊維部・基底核への広汎かつ著明な取り込みと分布が確認され、本トランスポーターシステムの応用により 機能性ペプチドは血液-脳関門(Blood-Brain
Barrier;BBB)を通過して効果的に脳神経細胞およびグリア内に導入できることが判明した。 尚、ペプチドの急性毒性を示唆する明らかな各組織の変性や壊死はこの時点では見られなかった。
(生体内腫瘍細胞への効果確認)
6週令nude mouseに、ヒトバーキットリンパ腫細胞(BALM-14株)3×10個を皮下に接種した。1週間後に皮下リンパ腫瘍を発生していることを確認。腫瘍径が約3mmになったところで、40nM FITC標識p16(p16-MIS)peptide と 80nM transporter peptideを皮下腫瘍部に300ulの水溶液として1回注射した。腫瘍部分を摘出し、蛍光実体顕微鏡で観察した(図31)。腫瘍増殖機能の解析を 同週令mouse皮下に生理食塩水を注射したものをコントロール(対照)としてn=3でデータをグラフにまとめた(図32)。
図32の様な時間経過で腫瘍の発育が認められるが、本発明のトランスポーターによりp16ペプチドを導入したmouseは単回の注入のみでその後1週間以内に明らかに腫瘍径の縮小と発育の遅延が認められ、2週間後でもp16ペプチドの持続的効果によって、腫瘍の増殖速度が抑制されコントロール群の約1/3サイズにとどまった。以上のことから、幾種類かの血球系腫瘍細胞に関してプライマリー細胞も含め、このシステムを応用した結果、非常に高い有効性を確認できたため、従来報告されている接着系のみならず、導入困難であるとされてきた血球系の細胞に対し、生体内腫瘍への応用の可能も含めた超高効率的ペプチド・タンパクデリバリーシステムの構築ができたと言える。
本発明方法を使用すれば、目的タンパク質を容易に細胞の核内に非常に効率よく導入することが可能となるので、産業上の利用可能性が高いものである。また、本発明方法およびキットは目的タンパク質については、分子量の低いものから抗体のような分子量の大きいものまで、導入が可能であると共に、導入に用いる目的ペプチド、トランスポーター両者の用量も極端に少なくて済み、細胞質はもとより核にまで目的物資を充分量導入することが可能となるため、非常に産業上の利用可能性が大きい。従って本願発明のトランスポーター及び本発明方法及びキットは、医療及び研究分野において多大なる貢献をするものである。
悪性リンパ腫における細胞異常増殖のメカニズムについて説明した図。 悪性リンパ腫の細胞株における細胞増殖に関与している分子の発現状況とイムノブロットを表した図である。 SP49細胞とSP53細胞におけるサイクリンD1と、Cdk4の発現状態を示した図である。 SP49細胞とSP53細胞とK562細胞におけるINK4α(p16)の発現状態を示した図である。 SP49細胞とSP53細胞におけるサイクリンD1と、Cdk4、INK4α(p16)、RB1の発現状態をまとめて示した図である。 報告されているPTDの例を示した図である。 ヒトバーキットリンパ腫細胞にTAT配列が取り込まれるかどうかを確認した図面である。 SP53細胞、Jurkat細胞、BHK細胞にL体の12個のポリアルギニン配列が取り込まれるかどうかを確認した図である。 TAT、L体とD体の9個のポリアルギニン配列の細胞内への取り込み効率の違いを表した図である。 R9(D)-p16MIS(2μM)をSP53細胞(a)とK562細胞(b)における取り込み、NLS- R9(D)-p16MIS(2μM) のSP53細胞における取り込み(c)とその拡大図(d)、SP53細胞におけるトランスポーター(5μM)単独での取り込みを示した図である。 R9(D)-p16MIS、NLS- R9(D)-p16MIS、トランスポーター、pep-1の配列を示した図である。 トランスポーターの構造を二次元で平面的に示した図である。 SP53細胞において、R9(D)-p16MISとpep-1(20μM)の複合体及びR9(D)-p16MISとトランスポーター(5μM)の複合体の3時間後と12時間後の細胞内への取り込みを示したのが左図、コントロールとR9(D)-p16MISとpep-1の複合体及びR9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体の取り込み強度の違いをフローサイトメトリーで解析したのが右図である。 SP53細胞において導入後12時間でのコントロールを1とした場合におけるp16単独、R9(D)-p16MISとpep-1の複合体、R9(D)-p16MISと本発明のトランスポーター(L体ポリアルギニン)の複合体、R9(D)-p16MISと本発明のトランスポーター(D体ポリアルギニン)の複合体の取り込み強度を示している図である。 SP53細胞に導入後24時間でのR9(D)-p16MIS(2μM)とトランスポーター(5μM)の複合体(左図、拡大図は右上)とトランスポーター単独(右下)の取り込みを示した図である。 SP53細胞に導入後3時間におけるトランスポーター単独とR9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体の取り込みの状態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した図である。 SP53細胞における導入後48時間でのコントロール(d)と、R9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体の取り込みを示した図である。 フローサイトメトリーを用いてコントロール、R9(D)-p16MIS 単独、R9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体、細胞増殖抑制試薬TsAにおける細胞周期の解析を示した図である。 SP53細胞にコントロール、R9(D)-p16MIS 単独、トランスポーター単独、R9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体を導入後72時間までの細胞数の変化(左図)と24時間後のG0/G1期とS-G2/M期でのコントロールとR9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体を導入したものの細胞数の割合(右図)を示している図である。 SP53細胞において、トランスポーターシステムを用いたp16ペプチドのアポトーシスの誘導を示した図である。 トランスポーターを一定の5μMの濃度にして、R9(D)-p16MISの最適濃度を検証した図である。 SP53細胞においてコントロールと、R9(D)-p16MISとpep-1(20μM)の複合体、R9(D)-p16MISとトランスポーター(5μM)の複合体での24時間後と48時間後の生細胞数の比較を示した図である。 生サンプルを用いて24時間後と36時間後のコントロール、トランスポーター単独、R9(D)-p16MIS単独(4μM)、R9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体における生細胞数の比較を示した図である。 SP49細胞とK562細胞での導入後72時間までのコントロール、トランスポーター単独、R9(D)-p16MIS単独(4μM)、R9(D)-p16MISとトランスポーターの複合体における生細胞数の比較を示した図である。 抗体単体、抗体とトランスポーターの複合体(下方、拡大図)、コントロールをSP53細胞に導入し、取り込みの状態を示した図である。 トランスポーターと抗体の量を多くすると、凝集を起こすことを示した図である。 腹腔内注射後の肝臓への蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を蛍光実体顕微鏡にて確認した図である。 腹腔内注射後の腎臓への蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を蛍光実体顕微鏡にて確認した図である。 腹腔内注射後の脾臓への蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を蛍光実体顕微鏡にて確認した図である。 腹腔内注射後の脳への蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を蛍光実体顕微鏡にて確認した図である。 ヒト・バーキットリンパ腫細胞をマウス皮下に接種してできた皮下リンパ腫瘍に対する蛍光p16ペプチドの浸透性と組織分布を螢光顕微鏡で示した一例である。 図31に示す腫瘍の腫瘍増殖機能の解析結果をコントロールと対比して示した図である。

Claims (8)

  1. KETWWETWWTEWWTEWSQGPGRRRRRRRRRからなるペプチドであって、RについてはすべてD型あるいはすべてL型であることを特徴とするペプチド。
  2. 請求項記載のアミノ酸配列で表されるペプチドをコードする遺伝子。
  3. 上記請求項記載のペプチドと目的物質たる導入タンパク分子又は導入ペプチドを混合した後に、被導入細胞に添加することによる目的物質の培養細胞あるいは非ヒト細胞内への導入方法。
  4. 疎水性の目的物質たる導入タンパク分子又は導入ペプチドに親水性を付与するペプチドとしてポリアルギニン、RQIKIWFQNRRMKWKK、GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKILから選ばれる1のペプチドを結合させて、親水性の目的物質とし、請求項1記載のペプチドを混合した後に、混合物を被導入細胞に添加することによる疎水性目的物質の培養細胞あるいは非ヒト細胞内への導入方法。
  5. 親水性を付与するペプチドは、9個のL型及び/又はD型アミノ酸からなるアルギニンであることを特徴とする請求項記載の疎水性目的物質の培養細胞あるいは非ヒト細胞内への導入方法
  6. 目的物質が抗体であることを特徴とする請求項記載の目的物質の培養細胞あるいは非ヒト細胞内への導入方法。
  7. 導入ペプチドが腫瘍増殖抑制因子であることを特徴とする請求項記載の目的物質の培養細胞あるいは非ヒト細胞内への導入方法。
  8. 請求項乃至記載の方法を実施するためのキットであって、請求項記載のペプチドからなることを特徴とするキット。
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