JP3747548B2 - 地中連続溝の掘削方法および同装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は地中に止水用、基礎用等の地中連続壁を造成するための連続溝を掘削する地中連続溝の掘削方法および同装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中連続溝を掘削する装置として、図8,9に示すように走行台車1にチェーン式カッター2を垂直に取付け、このカッター2を回転させながら走行台車1によって水平方向に移動させることにより、一定幅の溝Gを連続して掘削するように構成されている(たとえば特開平5−280043号、特開平5−280044号、特開平7−173835号各公報参照)。
【0003】
チェーン式カッター2は、上下に長い箱形フレームであるカッターポスト3の上端部に設けられた駆動輪(スプロケット)4と、下端部に設けられた遊動輪(プーリ)5との間にエンドレスチェーン6が掛け渡され、このチェーン6の外周にビットプレート7を介して設けられた多数のカッタービット(掘削刃)8…によって溝Gを掘削するように構成されている。
【0004】
なお、走行台車1には、通常、横行スライドシリンダ(図示しない)が設けられ、この横行スライドシリンダによりカッターポスト3が地山(溝掘進方向の未掘削地盤)に押し付けられる。
【0005】
この地中連続溝掘削装置によると、これまでの単一または複数のオーガを昇降させる柱列式等と比較して、施工能率の点や、造成された連続壁の連続性・深度方向の質の均一性等の点で格段にすぐれたものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の掘削装置においては、カッター2の溝掘進方向の推進力(カッター2を地山に押し付ける力)は、走行台車1と横行スライドシリンダによって地上側から付与されるだけであるため、とくに掘削深度が深い(カッター2が長い)場合に、カッター下部の推進力が不足する。
【0007】
しかも、一般的に深度が深くなるにつれて地盤が固くなり、カッターポスト3と地盤との摩擦力も大きくなる傾向があるため、掘削推進力の不足によって掘削能率が悪くなり、あるいは掘削不能となる。
【0008】
一方、特表平4−503091号公報に示されているように、カッターの下端部における溝掘進方向の後方に、溝の底面を引っ掻くバケット、あるいは溝底面を転動するホイールまたはクローラを備えた補助推進機構を取付け、この補助推進機構によってカッター下端部に推進力を付与する技術が提案された。
【0009】
しかし、この公知技術では、次のような問題があった。
【0010】
( 1 ) 補助推進装置をカッターポストに取付けるためには、その取付フレームを、カッターポストの溝幅方向の側面からチェーンおよびカッタービットと干渉しないようにこれらを迂回して後向きに突設しなければならない。
【0011】
すなわち、取付フレームが溝幅外に突出して溝壁面に接触し、きわめて大きな掘削抵抗が作用する。
【0012】
( 2 ) 推進反力を溝底面という限定された面で支持するため、この溝底面が反力を支えるのに十分な強度を持たない場合には補助推進装置は機能しない。すなわち、補助推進作用が不確実となる。
【0013】
( 3 ) 高深度掘削の別の問題点として、カッターポストの溝幅方向の撓み変形(反り)が生じるが、公知技術ではこのカッターポストの撓みについては何の対処もできないため、溝の鉛直精度が悪くなる。
【0014】
これらの点で、公知技術は現実的には実施困難乃至は実効薄いものであった。
【0015】
そこで本発明は、補助推進手段によって余分な掘削抵抗が作用しないとともに、カッター地中部分の補助推進作用が確実に行われ、しかもカッターポストの撓みに対処して溝の鉛直精度を高めることができる地中連続溝の掘削方法および同装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明(地中連続溝の掘削方法)は、掘削刃を備えたエンドレスチェーンがカッターポストの上下両端部間に跨って掛け渡されて成るチェーン式カッターを走行台車に取付け、このカッターを地中に建て込んだ状態で上記エンドレスチェーンを回転させながら上記走行台車によって水平に移動させることにより地中に連続溝を掘削する地中連続溝の掘削方法において、カッターポストの地中部分における深度方向の複数個所に反力受け体を溝掘進方向に位置ずれして配置し、この反力受け体を溝幅方向の外向きに突出させて掘削された溝の幅方向壁面に係止させ、この係止部分で推進反力を支持した状態でカッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する動作を深度方向の順番で時間差を持って行わせながら溝を掘削するものである。
【0017】
請求項2の発明(地中連続溝の掘削装置)は、掘削刃を備えたエンドレスチェーンがカッターポストの上下両端部間に跨って掛け渡されて成るチェーン式カッターを走行台車に取付け、このチェーン式カッターを地中に建て込んだ状態で上記エンドレスチェーンを回転させながら上記走行台車によって水平に移動させることにより地中に連続溝を掘削する地中連続溝の掘削装置において、上記チェーン式カッターの地中部分に溝掘進方向の推進力を付与する補助推進手段が、深度方向の複数個所に溝掘進方向に位置ずれして設けられ、この補助推進手段は、上記カッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する推進駆動機構と、掘削された溝の幅方向壁面に係止して推進反力を支持する反力受け体を備えた反力支持機構とによって構成され、この補助推進手段が深度方向の順番で時間差を持って作動可能に構成されたものである。
【0018】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、反力支持機構が、反力受け体と、この反力受け体を溝壁面に係止する進出位置と溝壁面から離れる後退位置との間で移動させる反力受け用アクチュエータとから成るものである。
【0019】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、反力受け用アクチュエータとして、空気圧の増減によって反力受け体を進退移動させる空気袋が用いられたものである。
【0020】
請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれかの構成において、反力支持機構の反力受け体が、溝壁面に面当接し、この面当接部分で推進反力を支持するように構成されたものである。
【0021】
請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれかの構成において、反力受け体が溝幅方向の両側に設けられ、別々の反力受け用アクチュエータにより独立して作動するように構成されたものである。
【0022】
請求項7の発明は、請求項2乃至6のいずれかの構成において、反力支持機構がカッターポストに対して溝長さ方向に相対移動可能に設けられ、推進駆動機構として、上記反力支持機構が推進反力を支持しない状態で同機構を溝掘進方向に移動させる推進用アクチュエータが設けられたものである。
【0023】
請求項8の発明は、請求項7の構成において、推進用アクチュエータとして、反力支持機構を挾んでカッターポスト内における溝長さ方向の両側に空気袋が設けられ、この両側空気袋の圧力差によりカッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する空気袋が設けられたものである。
【0024】
上記構成によると、地上側からの推進力とは別に、補助推進手段によってカッターポストの地中部分に溝掘進方向の推進力を与えることができる。しかも、補助推進手段を深度方向の複数個所に溝掘進方向に位置ずれして設け、これらを深度方向の順番で時間差を持って作動させるため、カッターの地山への押し付け作用を間断なく行わせることができる。このため、とくに高深度の溝掘削作業においても、補助推進手段をカッターポスト下部の適所に設けることにより、カッター全体に十分な推進力を作用させ、掘削性能を確保することができる。
【0025】
しかも、反力受け体をカッターポストから溝幅方向に突出させて溝の幅方向壁面に係止させ、この係止部分で反力を支持する構成であるため、
(i)補助推進手段をカッターポストに直接組み込むことができ、取付けのためのフレームによって過大な掘削抵抗が作用するおそれがない。
【0026】
(ii)補助推進手段を深度方向の任意の位置に設置できるため、同手段を、予め調査済みの適当な壁面を選んで設置しておくことにより、補助推進作用を確実に働かせることができる。
【0027】
(iii)反力受け体を溝壁面に押し付けることにより、反力を支持すると同時にカッターポストの撓みを抑えて溝の鉛直精度を維持することができる。
【0028】
とくに、反力受け体が溝壁面に面当接する請求項5の構成によると、このカッターポストの撓み抑制効果が高いものとなる。
【0029】
さらに、反力受け体が溝幅方向の両側に設けられ、これらが独立して作動する請求項6の構成によると、掘削中、カッターポストの撓み度合いによる溝の鉛直度に応じて両側反力受け体の溝壁面への押し付け力を調整することにより、カッターポストの撓みを調整し、溝の鉛直度を修正することが可能となる。
【0030】
ここで、請求項7,8の構成によると、
( a ) 反力受け体を溝壁面に係止させ、
( b ) 推進駆動機構を作動させてカッターポストを地山に押し付け、
( c ) 掘削の進行によってこの押し付け力が低下した時点で反力受け体を溝壁面から離し、
( d ) 推進駆動機構により反力支持機構を溝掘進方向に移動させて再び溝壁面に係止させる
という反力支持機構の尺取り運動によって推進作用が連続的に行われる。
【0031】
一方、空気袋を反力受け用アクチュエータとして(請求項4)、または推進用アクチュエータとして(請求項8)用いれば、同アクチュエータとして流体圧シリンダを用いた場合と比較して、泥水中という環境条件に適し、故障のおそれが少ない上に、構造が簡単となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図7によって説明する。
【0033】
第1実施形態(図1〜図5参照)
図において、11は走行台車、12はこの走行台車11に垂直に取付けられたチェーン式カッター、13はこのチェーン式カッター12のカッターポスト、14はこのカッターポスト13の上端部に設けられた駆動輪、15は同下端部に設けられた遊動輪、16はこれらの間に掛け渡されたエンドレスチェーン、17はこのエンドレスチェーン16の外周に取付けられたビットプレート、18…はこのビットプレート17に取付けられたカッタービット(掘削刃)である。
【0034】
この掘削装置においては、カッターポスト13の下部複数個所(図例では三個所、以下のこの例で説明する)に補助推進手段A…が設けられている。
【0035】
この各補助推進手段A…の構成および作用は同一であるため、うち一つのみについて説明する。
【0036】
補助推進手段Aが設置されたカッターポスト13の左右(図3の二重線矢印で示す掘進方向に対して左右、以下でいう前後左右の方向性について同じ)の側壁には窓穴19,19が設けられ、一対の油圧ジャッキ20,20がこの窓穴19,19を貫通し、窓穴19,19に沿って前後方向に移動しうる状態でカッターポスト13内に設けられている。
【0037】
この両側油圧ジャッキ20,20のカッターポスト外に突出した先端には四角板状の反力受け体21,21が垂直に取付けられて反力支持機構が構成され、油圧ジャッキ20,20の伸長作動によって反力受け体21,21が溝側壁に面当接し、縮小作動によって溝壁面から離間するようになっている。
【0038】
また、両側油圧ジャッキ20,20は、カッターポスト13内で、前後方向に水平に設けられた推進駆動機構としての推進シリンダ22のシリンダチューブ23に連結され、同シリンダ22のピストンロッド24の先端がカッターポスト13の前側内壁に連結されている。
【0039】
なお、両側油圧ジャッキ20,20にシール板25,25が、窓穴19,19の周壁と近接対向して設けられるとともに、窓穴周壁内面に、このシール板25,25に接触するシール部材26…が設けられ、これらによって窓穴部分でのシール作用が行われる。
【0040】
また、図示しないが、油圧ジャッキ20,20および推進シリンダ22と、地上側に設置された油圧ポンプおよびタンクとを接続する油圧配管がカッターポスト13内に設けられている。
【0041】
次にこの装置の作用を説明する。
【0042】
図3は、掘削中、地上側からの推進力不足によってカッターポスト13の下部と地山との間に隙間が生じた状態を示している。
【0043】
この状態から補助推進手段Aを作用させるときは、まず、油圧ジャッキ20,20を伸長させて反力受け体21,21を、掘削された溝Gの左右の側壁に圧接させる。
【0044】
次に、上記圧接部分で推進反力を支持した状態で、推進シリンダ22を伸長させることにより、図4に示すようにカッターポスト13(カッター12)の下部を掘進方向に移動させて地山に押し付ける。
【0045】
こうして、地上側からカッター下部に与えられる推進力の不足を補助推進手段Aによって補い、カッター下部のカッタービット18を地山に押し付けて掘削作用を行う。
【0046】
この場合、両側油圧ジャッキ20,20を独立して作動するように構成し、これらの伸長量を調整することにより、カッターポスト13の撓みを補正し、溝の鉛直度を修正することも可能となる。
【0047】
また、図4の状態で一定量、掘削した後は、同図仮想線で示すように油圧ジャッキ20,20を縮小させて反力受け体21,21を溝壁面から離し、この状態で推進シリンダ22を縮小させる。
【0048】
こうすれば、推進シリンダ22のシリンダチューブ23に連結された両側油圧ジャッキ20,20および反力受け体21,21が図4の二重線矢印で示すように掘進方向に移動し、カッターポスト13に対して図3の原位置に戻る。
【0049】
以下、この尺取り運動を繰り返すことにより、補助推進作用を連続して行わせることができる。
【0050】
各補助推進手段A…は、図2に示すように互いに前後方向に位置ずれして設け、図5のタイミングチャートに示すように、これらを時間差をもって深度方向の順番に作動させることにより、カッター下部の地山への押し付け作用を間断なく行わせることができる。
【0051】
なお、図5において、各補助推進手段A…の推進シリンダ22および油圧ジャッキ20を区別するために、符号22,20に上側のものからA,B,Cの枝符号を付して示している。また、図中、「伸」は伸長作動、「縮」は縮小作動をそれぞれ示す。
【0052】
第2実施形態(図6参照)
以下の実施形態では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0053】
第2実施形態では、反力支持機構および推進駆動機構のアクチュエータとして、第1実施形態の油圧ジャッキ20、油圧(推進)シリンダ22に代えて空気袋が用いられている。
【0054】
すなわち、カッターポスト13内の中央部に支持板27が設けられ、この支持板27の左右両側に反力受け用ケーシング28,28を介して反力受け体21,21が取付けられるとともに、両側ケーシング28,28内に、反力受け体21,21を溝壁面に押し付けるための反力受け用空気袋29,29と、反力受け体21,21を溝壁面から離間させるための引っ張りバネ30,30とが設けられて反力支持機構が構成されている。
【0055】
一方、仕切り板27の前後両側に推進用フレーム31,32が取付けられ、同フレーム31,32と、カッターポスト13の前後の側壁内面との間に推進用空気袋33,34が設けられている。
【0056】
なお、空気袋29,29,33,34に対する空気圧の給排は、カッターポスト13内に設けられた図示しない空気圧配管によって行われる。
【0057】
この構成において、反力受け用空気袋29,29を加圧することによって反力受け体21,21を溝壁面に押し付け、減圧することによりバネ30,30の助けを借りて反力受け体21,21を溝側壁から離間させることができる。
【0058】
また、反力受け体21,21によって推進反力を支持した状態で、図示のように前側の推進用空気袋33の空気圧を増加させ、後側の推進用空気袋34の空気圧を減少させることにより、カッター下部を二重線矢印方向に移動させて地山に押し付けることができる。
【0059】
この構成によると、反力支持機構および推進駆動機構に油圧シリンダを用いた場合と比較して、泥水中という環境条件に適し、故障のおそれが少ない上に、構造が簡単となる。
【0060】
第3実施形態(図7参照)
第3実施形態では、反力支持機構を構成する両側油圧ジャッキ20,20の先端にクローラ35,35が取付けられている。
【0061】
このクローラ35,35は、図示しないモータ(流体圧モータまたは電動機)によって回転駆動される駆動輪36,36と、複数の遊動輪37…とに跨って無端ベルト38が掛け渡されて構成されている。
【0062】
両側油圧ジャッキ20,20はロッド39に取付けられ、このロッド39の前後両端がカッターポスト13の前後両側壁に連結されている。
【0063】
この構成において、クローラ35,35を溝壁面に押し付けた状態で前方に回転させることにより、クローラ35,35と溝側壁の接触部分で推進反力を支持しながら、クローラ35,35の回転力によってカッター下部を連続して前方に移動させ、地山に押し付けることができる。
【0064】
この構成によると、クローラ35,35が反力受け体と推進駆動機構を兼ねるため、全体の構造が簡単ですむとともに、制御が容易となる。
【0065】
ところで、他の実施形態として、図示しないが、補助推進手段の設置個所周辺に流体吐出口を設け、この流体吐出口からエアやグラウト材、掘削された溝を安定させるための安定液等の流体を吐出することにより、カッターポスト13まわりを常に流動性のある状態に維持し、これによりカッター推進抵抗を少なくして必要推進力を低減できるようにしてもよい。
【0066】
また、上記各実施形態では、反力受け体として溝壁面に大きな面積で面当接する四角板状のもの、およびクローラを用いたが、溝壁面に小さな面積で当接する形状、あるいは溝壁面に食い込む形状のものを用いてもよい。
【0067】
【発明の効果】
上記のように本発明の地中連続溝の掘削方法および同装置によるときは、地上側からの推進力とは別に、補助推進手段によってカッターポストの地中部分に溝掘進方向の推進力を与えることができる。しかも、補助推進手段を深度方向の複数個所に溝掘進方向に位置ずれして設け、これらを深度方向の順番で時間差を持って作動させるため、カッターの地山への押し付け作用を間断なく行わせることができる。このため、とくに高深度の溝掘削作業においても、補助推進手段をカッターポスト下部の適所に設けることにより、カッター全体に十分な推進力を作用させ、掘削性能を確保することができる。
【0068】
しかも、反力受け体をカッターポストから溝幅方向に突出させて溝の幅方向壁面に係止させ、この係止部分で反力を支持する構成であるため、
(i)補助推進手段をカッターポストに直接組み込むことができ、取付けのためのフレームによって過大な掘削抵抗が作用するおそれがない。
【0069】
(ii)補助推進手段を深度方向の任意の位置に設置できるため、同手段を、予め調査済みの適当な壁面を選んで設置しておくことにより、補助推進作用を確実に働かせることができる。
【0070】
(iii)反力受け体を溝壁面に押し付けることにより、反力を支持すると同時にカッターポストの撓みを抑えて溝の鉛直精度を維持することができる。
【0071】
とくに、反力受け体が溝壁面に面当接する請求項5の発明によると、このカッターポストの撓み抑制効果が高いものとなる。
【0072】
さらに、反力受け体が溝幅方向の両側に設けられ、これらが独立して作動する請求項6の発明によると、掘削中、カッターポストの撓み度合いによる溝の鉛直度に応じて両側反力受け体の溝壁面への押し付け力を調整することにより、カッターポストの撓みを調整し、溝の鉛直度を修正することが可能となる。
【0073】
ここで、請求項7,8の発明によると、
( a ) 反力受け体を溝壁面に係止させ、
( b ) 推進駆動機構を作動させてカッターポストを地山に押し付け、
( c ) 掘削の進行によってこの押し付け力が低下した時点で反力受け体を溝壁面から離し、
( d ) 推進駆動機構により反力支持機構を溝掘進方向に移動させて再び溝壁面に係止させる
という反力支持機構の尺取り運動によって推進作用が連続的に行われる。
【0074】
一方、空気袋を反力受け用アクチュエータとして用いた請求項4の発明、および空気袋を推進用アクチュエータとして用いた請求項8の発明によると、同アクチュエータとして流体圧シリンダを用いた場合と比較して、泥水中という環境条件に適し、故障のおそれが少ない上に、構造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態にかかる掘削装置の全体概略側面図である。
【図2】 同装置におけるカッター下部の拡大図である。
【図3】 図2のIII−III線拡大断面図である。
【図4】 同装置の補助推進手段によってカッターを掘進方向に移動させた状態の図3相当図である。
【図5】 同装置の複数の補助推進手段における推進シリンダと油圧ジャッキの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】 本発明の第2実施形態にかかる掘削装置における補助推進手段の水平断面図である。
【図7】 本発明の第3実施形態にかかる掘削装置における補助推進手段の水平断面図である。
【図8】 従来の掘削装置を示す概略側面図である。
【図9】 図8のIX−IX線拡大断面図である。
【符号の説明】
11 走行台車
12 チェーン式カッター
16 エンドレスチェーン
18 カッタービット(掘削刃)
21 反力受け体
20 反力受け体を駆動する油圧ジャッキ(反力受け用アクチュエータ)
22 推進駆動機構としての推進シリンダ
23 同シリンダのシリンダチューブ
24 同ピストンロッド
29 反力受け用空気袋
33,34 推進用アクチュエータとしての空気袋
35,35 クローラ
36 クローラの駆動輪
37 遊動輪
Claims (8)
- 掘削刃を備えたエンドレスチェーンがカッターポストの上下両端部間に跨って掛け渡されて成るチェーン式カッターを走行台車に取付け、このカッターを地中に建て込んだ状態で上記エンドレスチェーンを回転させながら上記走行台車によって水平に移動させることにより地中に連続溝を掘削する地中連続溝の掘削方法において、カッターポストの地中部分における深度方向の複数個所に反力受け体を溝掘進方向に位置ずれして配置し、この反力受け体を溝幅方向の外向きに突出させて掘削された溝の幅方向壁面に係止させ、この係止部分で推進反力を支持した状態でカッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する動作を深度方向の順番で時間差を持って行わせながら溝を掘削することを特徴とする地中連続溝の掘削方法。
- 掘削刃を備えたエンドレスチェーンがカッターポストの上下両端部間に跨って掛け渡されて成るチェーン式カッターを走行台車に取付け、このチェーン式カッターを地中に建て込んだ状態で上記エンドレスチェーンを回転させながら上記走行台車によって水平に移動させることにより地中に連続溝を掘削する地中連続溝の掘削装置において、上記チェーン式カッターの地中部分に溝掘進方向の推進力を付与する補助推進手段が、深度方向の複数個所に溝掘進方向に位置ずれして設けられ、この補助推進手段は、上記カッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する推進駆動機構と、掘削された溝の幅方向壁面に係止して推進反力を支持する反力受け体を備えた反力支持機構とによって構成され、この補助推進手段が深度方向の順番で時間差を持って作動可能に構成されたことを特徴とする地中連続溝の掘削装置。
- 反力支持機構が、反力受け体と、この反力受け体を溝壁面に係止する進出位置と溝壁面から離れる後退位置との間で移動させる反力受け用アクチュエータとから成ることを特徴とする請求項2記載の地中連続溝の掘削装置。
- 反力受け用アクチュエータとして、空気圧の増減によって反力受け体を進退移動させる空気袋が用いられたことを特徴とする請求項3記載の地中連続溝の掘削装置。
- 反力支持機構の反力受け体が、溝壁面に面当接し、この面当接部分で推進反力を支持するように構成されたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の地中連続溝の掘削装置。
- 反力受け体が溝幅方向の両側に設けられ、別々の反力受け用アクチュエータにより独立して作動するように構成されたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の地中連続溝の掘削装置。
- 反力支持機構がカッターポストに対して溝長さ方向に相対移動可能に設けられ、推進駆動機構として、上記反力支持機構が推進反力を支持しない状態で同機構を溝掘進方向に移動させる推進用アクチュエータが設けられたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の地中連続溝の掘削装置。
- 推進用アクチュエータとして、反力支持機構を挾んでカッターポスト内における溝長さ方向の両側に空気袋が設けられ、この両側空気袋の圧力差によりカッターポストに溝掘進方向の推進力を付与する空気袋が設けられたことを特徴とする請求項7記載の地中連続溝の掘削装置。
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