JP3747400B2 - 葉の形状を制御する新規遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規遺伝子に関する。より詳細には、植物において葉の形状を制御する機能を有するタンパク質をコードする新規遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランスポゾンは、動物、酵母、細菌および植物のゲノムに遍在することが知られる変異誘発遺伝子である。トランスポゾンは、その転移(transposition)機構により2つのクラスに分類されている。クラスIIに属するトランスポゾンは、複製することなくDNAの形態で転移する。クラスIIに属するトランスポゾンとして、トウモロコシ(Zea mays)のAc/Ds、Spm/dSpmおよびMu要素(Fedoroff、1989、Cell 56、181−191;Fedoroffら、1983、Cell 35、235−242;Schiefelbeinら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82、4783−4787)、キンギョソウ(Antirrhinum majus)のTam要素(Bonasら、1984、EMBOJ、3、1015−1019)が知られている。クラスIIに属するトランスポゾンは、トランスポゾン・タッギングを利用する遺伝子単離に広く利用されている。この技術は、トランスポゾンがゲノム上で転移して、ある遺伝子中に挿入されると遺伝子の生理学的および形態学的変異が起こり、遺伝子が制御する表現型が変化することを利用する。この変化を検出することにより影響を受けた遺伝子を単離する(Bancroftら、1993、The Plant Cell、5、631−638;Colasantiら、1998、Cell、93、593−603;Grayら、1997、Cell、89、25−31;Keddieら、1998、The Plant Cell、10、877−887;Whithamら、1994、Cell、78、1101−1115)。
【0003】
クラスIに属するトランスポゾンは、レトロトランスポゾンとも呼ばれ、複製し、そしてRNA中間体を介して転移する。クラスIトランスポゾンは、最初、ショウジョウバエおよび酵母で同定され、そして特徴付けられたが、最近の研究により植物ゲノム中に遍在し、そのかなりの部分を占めていることが明らかにされている(Bennetzen、1996、Trends Microbiolo.、4、347−353;Voytas、1996、Science、274、737−738)。レトロトランスポゾンの大部分は、非移動性の組み込みユニットであるようである。最近の研究は、これらのいくつかが、創傷、病原体の攻撃および細胞培養などのストレス条件下で活性化されることを示している(Grandbastien、1998、Trends in Plant Science、3、181−187;Wessler、1996、Curr.Biol.6、959−961;Wesslerら、1995、Curr.Opin.Genet.Devel.5、814−821。例えば、タバコではTnt1AおよびTto1(Pouteauら、1994、Plant J.、5、535−542;Takedaら、1988、Plant Mol. Biol.、36、365−376)、およびイネではTos17(Hirochikaら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93、7783−7788)について、ストレス条件下における活性化が報告されている。
【0004】
イネのレトロトランスポゾンTos17は、最も良く研究されている植物中のクラスI要素である。Tos17は、Ty1−copia群レトロ要素の間の逆転写酵素ドメインの保存アミノ酸配列を基に作成された縮重プライマーを用いたRT−PCR法によりクローン化された(Hirochikaら、1992、Mol. Gen. Genet.、233、209−216)。Tos17は、4.3kbの長さの、2つの同じ138bpのLTR(長鎖末端反復)および開始メチオニンtRNAの3’末端に相補的なPBS(プライマー結合部位)を持つ(Hirochikaら、1996、上述)。Tos17転写は、組織培養により強く活性化され、そして培養時間とともにそのコピー数を増加する。ゲノム研究のモデルジャポニカ品種である日本晴では、Tos17の当初のコピー数は2であるが、組織培養後、再生した植物では、5〜30コピーに増加している(Hirochikaら、1996、上述)。酵母およびショウジョウバエで特徴付けられたクラスIIトランスポゾンとは異なり、Tos17は、染色体中をランダムな様式で転移し、そして安定な変異を引き起こし、そしてそれ故、イネにおける遺伝子の機能解析の逆遺伝学(Reverse Genetics)における強力なツールを提供する(Hirochika、1997、Plant Mol.Biol.35,231−240;1999、Molecular Biology of Rice(K.Shimamoto編集、Springer−Verlag、43−58)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、Tos17を用いて提供される植物新規遺伝子を提供する。
【0006】
本願発明者らは、イネにおいて、新たに転移したTos17コピーをもつ植物の表現型およびTos17標的部位の隣接配列の系統的な分析を鋭意重ねた結果、Tos17挿入により、細葉イネ変異体を発見し、さらにこの変異の原因遺伝子をTos17を目印として単離し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植物の葉の形状を制御する遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、配列表の配列番号2の1位のMetから690位のValまでのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドに関する。
【0008】
好ましくは、このポリヌクレオチドは、イネに由来する。
【0009】
好ましくは、このポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1で示されるヌクレオチド配列を含む。
【0010】
さらに、本発明は、植物における葉の形状の制御方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、Tos17を用いて提供される植物新規遺伝子、これを含むベクター、当該新規遺伝子で形質転換された植物、および当該新規遺伝子を植物に形質転換する工程を包含する、植物の改良方法を提供する。
【0012】
本発明によれば、葉の形状を制御し得る植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドが提供される。本願明細書で用いる用語「葉の形状を制御し得る」は、植物において、葉長および/または葉幅を変化させ、それによって光合成能力の向上、倒伏耐性の付与等をし得るように葉の形状を変化させ得ることをいう。用語「植物」は、単子葉植物、双子葉植物を包含する。
【0013】
本発明の葉の形状を制御し得る植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、代表的には、配列表の配列番号2の1位のMetから690位のValまでのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドである。
【0014】
本発明の葉の形状を制御し得る植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、植物において葉の形状を制御し得る限り、配列表の配列番号2の1位のMetから690位のValまでのアミノ酸配列と、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましは少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを包含する。用語「配列の同一性」は、対比される2つのポリヌクレオチド配列が同一であることを意味し、対比される2つのポリヌクレオチド配列間の配列同一性の割合(%)は、対比される2つのポリヌクレオチド配列を最適に整列させた後、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列で生じて適合した位置の数を得て適合位置数とし、適合した位置の数を比較ポリヌクレオチド総数で除し、そして、この結果に100を乗じて計算される。配列同一性は、例えば、以下の配列分析用ツールを用いて算出し得る:UnixベースのGCG Wisconsin Package(Program Manual for theWisconsin Package、Version8、1994年9月、Genetics Computer Group、575 Science Drive Madison、Wisconsin、USA53711;Rice、P.(1996)Program Manual for EGCG Package、Peter Rice、The Sanger Centre、Hinxton Hall、Cambridge、CB10 1RQ、England)およびthe ExPASy World Wide Web分子生物学用サーバー(Geneva University Hospital andUniversity of Geneva、Geneva、Switzerland)。
【0015】
本願明細書で用いる用語「制御配列」は、機能的プロモーターおよび、任意の関連する転写要素(例えば、エンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有するDNA配列をいう。
【0016】
本願明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、遺伝子が発現し得るように、ポリヌクレオチドが、その発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントとが宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。
【0017】
制御配列のタイプおよび種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。例えば、CaMV35Sプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーターなどが当業者に周知である。植物体への遺伝子の導入には、当業者に公知の方法が用いられ得る。例えば、アグロバクテリウムを介する方法と直接細胞に導入する方法とが周知である。アグロバクテリウムを介する方法は、例えば、Nagelらの方法(Micribiol.Lett.、67、325(1990))が用いられ得る。この方法は、まず、例えば発現ベクターをエレクトロポレーションによってアグロバクテリウムに形質転換し、ついで、形質転換されたアグロバクテリウムをPlant Molecular BiologyManual(S.B.Gelvin et al.、Academic Press Publishers)に記載の方法で植物細胞に導入する方法である。遺伝子を直接細胞に導入する方法としては、エレクトロポレーション法、遺伝子銃法が知られている。
【0018】
遺伝子が導入された細胞は、まずハイグロマイシン耐性等の薬剤耐性で選択され、ついで、常法により、植物体に再生され得る。
【0019】
本明細書中、以下で使用される名称、および以下で記載される実験室手順は、当該分野で周知で一般的に用いられる手順を使用する。標準的な技術は、組換え法、ポリヌクレオチド合成、ならびに微生物培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション)について使用される。この技術および手順は、一般的に、当該分野、およびこの書類を通じて提供される種々の一般的な参考文献(一般的には、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照。これらは、本明細書中で参考として援用される。
【0020】
本発明のポリヌクレオチドは、代表的には、本明細書に記載の方法に従って得られるが、本発明に開示された配列を基に、化学合成によっても得られ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、Applied Bio Systemsのポリヌクレオチド合成機を用いて製造業者によって提供される仕様書に従って合成され得る。
【0021】
PCR増幅の方法は、当該分野で周知である(PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、HA Erlich編、Freeman Press、NewYork、NY(1992);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Innis、Gelfland、Snisky、およびWhite編、Academic Press、San Diego、CA(1990);Mattilaら(1991) Nucleic Acids Res. 19: 4967;Eckert、K.A.およびKunkel、T.A.(1991)PCRMethods and Applications 1: 17;PCR、McPherson、Quirkes、およびTaylor、IRL Press、Oxford、これらは、本明細書中で参考として援用する。
【0022】
【実施例】
以下、本願発明を実施例を挙げて説明する。以下の実施例は、本発明の例示するものであって、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)培養によるTos17の活性化
ジャポニカ種の変種Nipponbareの完熟種子を出発材料に用い、先に記載のように(Hrochikaら、1996、前述)カルス開始培養および細胞懸濁培養を行った。Tos17の活性化は、大槻(1990)の方法(イネ・プロトプラスト培養系、農林水産技術情報協会)に従って行った。要約すれば、イネの完熟種子を2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)(2mg/ml)を添加したMS培地(大槻(1990)、前述)で培養し(25℃、1ヶ月間)、カルス誘導を行った。得られたカルスを、2,4−Dを添加したN6液体培地(大槻(1990)、前述)で5ヶ月間培養したのち、再分化培地(大槻(1990)、前述)に移し再分化イネ(第1世代(R1)植物)を得た。
【0024】
(実施例2)細葉変異体の単離および同定
得られたR1イネの各々を1株とし、それぞれの株から約1000個のR1種子を回収し、圃場に展開し第2世代(R2)植物を得て形態分析を行った。R2集団の各植物の表現型を観察した結果、1つの株NC0608のR2集団の約1/4が図1に見られるような「細葉」様の表現型を示すことが観察された。野生型(図1右)に比べて、Tos17挿入細葉変異体(図1左)では、圃場において、その葉長が止葉およびその下位第3葉まで全て約90%に縮小し、そして葉幅は止葉およびその下位第3葉まで順に野生型の約78%、70%、71%、69%にまで縮小した。このことは、NC0608の細葉化が、単一の遺伝子座の劣性変異により引き起こされることを示唆していた。
【0025】
(実施例3)細葉変異の原因遺伝子の単離
実施例2で得られたNC0608株の示す細葉変異の原因遺伝子を同定単離するために、細葉変異が分離する集団を用いてTos17遺伝子との連鎖解析を行った。単一の遺伝子座の劣性変異により引き起こされることを示すために、まず、NC0608株におけるTos17が転移挿入された標的部位(Ts)の隣接部位を増幅した。
【0026】
実施例2で得られたR2イネ(NC0608株の自殖後代)の集団から細葉変異を示す個体と正常個体とを識別し、それぞれからCTAB法(MurrayおよびThompson、1980、Nucleic Acids Res.8、4321−4325)によりDNAを調製した。細葉変異を示す個体と正常個体から得られたDNAを、それぞれ制限酵素XbaIで切断し、アガロース電気泳動後、ナイロンメンブレンに吸着させた。Tos17をXbaIとBamHIによって得られるDNA断片を32P−dCTPで標識してプローブとして用いて、サザンハイブリダイゼーションを行った(図2左)。図2左に示されるサザン解析のオートラジオグラムに示されるように、矢印で示されるTos17のバンド(約6600bp)は細葉変異体ではホモとして観察されたが、正常個体ではホモとして観察されず、そして矢印で示されるTos17のバンドは細葉変異表現型と完全に連鎖していたことがわかった。これらの結果より、矢印で示されるTos17プローブとハイブリダイズするバンドで示されるDNAが細葉変異を引き起こす原因遺伝子を含み、このバンドで表されるゲノム領域にTos17が挿入し、遺伝子型がホモになる際に細葉変異体が生じると結論された。そこでこのDNAを鋳型としてTAIL−PCRによりTos17に隣接する配列、つまり細葉変異の原因遺伝子の一部の単離を行った。Tos17標的部位配列の増幅は、総DNAを用いるTAIL−PCR(Liu Y−G.ら、1995、Genomics、25、674−681、Liu Y−G.ら、1995、Plant J.、8、457ー463)により実施した。要約すれば、まず、新たなTos17標的部位を持つ再生植物からの総DNAを鋳型として用い、以下に示す3セットのプライマーを用いる3回のTAIL−PCRにより増幅反応を行った。第1回:Tos17 Tail3、GAGAGCATCATCGGTTACATCTTCTCおよびAD1(arbitrary degenerated primer1) NGTCGA(G/C)(A/T)GANA(A/T)GAA。第2回:Tos17 Tail4、ATCCACCTTGAGTTTGAAGGGおよびAD1。第3回:Tos17 Tail5、CATCGGATGTCCAGTCCATTGおよびAD1。次にそれぞれのTAIL−PCR産物をアガロースゲル電気泳動後に簡易カラム精製し、直接的にシークエンサー(ABI社、Model377)を用いて配列を決定した。
【0027】
NC0608株におけるTos17の隣接配列の配列決定の結果、4つの新たなTos17挿入の標的(Ts)部位が確認された。
【0028】
次いで、Tos17の隣接配列の1つ、NC0608_0_102をサブクローニングしてプローブとして用いたサザン解析を行った。結果を図2の右に示す。図2の右のオートラジオグラムに示されるように、Tos17隣接配列NC0608_0_102は、Tos17をプローブとして用いたサザン解析と同じ位置にあるDNA断片とハイブリダイズした。これは調べられた62株についてすべて一致した結果を与えた。このことは、サブクローンNC0608_0_102が細葉変異の原因遺伝子の一部を含み、NC0608_0_102が細葉変異の原因遺伝子の隣接配列であることを示す。
【0029】
(実施例4)細葉変異の原因遺伝子の構造解析
実施例3で得られた隣接配列を手がかりに、cDNAライブラリーとCap Site cDNA(Nippongene)を用いたPCRスクリーニングにより、隣接配列NC0608_0_102を含む遺伝子から転写されるcDNAの完全な構造決定を試みた。また野生型(日本晴)DNAを鋳型として、cDNAから設計されたプライマーを用いたPCRと前述のTAIL−PCRにより、NC0608_0_102を含む遺伝子のゲノミックDNAの完全な構造決定を試みた。
【0030】
cDNAライブラリーは、当研究室で先に調製されたものを用いた。調製法を要約すると、まず、ISOGEN溶液(Nippongene)を用いて、前述のMS培地で培養させた野生型イネのカルスから総RNAを抽出した。mRNA精製キット(Stratagene)に含まれるオリゴ(dT)セルロースカラムを用いて、総RNAからポリ(A)mRNAを得た。得られたポリ(A)mRNAから常法に従いcDNAを合成し、cDNAライブラリーをHybri ZAP−IIベクター(Stratagene)中に構築した。
【0031】
隣接配列NC0608_0_102を含む遺伝子のcDNAおよびゲノミックDNAは以下に示すそれぞれ4段階、3段階のPCRによりそれぞれ部分的に増幅され、その全ての増幅断片が377シークエンサー(Perkin Elmer)を用いてその両方向について配列決定された。
cDNA
第1段階:cDNAライブラリーを鋳型として、隣接配列NC0608_0_102に特異的な以下に示す1対のプライマーを用いてPCRを行い、この隣接配列の一部がcDNAライブラリーに含まれていることを確認した:NC0608_0_102F ACGGAGACACCTCGTAAACC、およびNC0608_0_102R1 AAGGCCGACTATTGTTGACC。
第2段階:cDNAライブラリーを鋳型として、Hybri ZAP−IIベクターに特異的なプライマー、Hybri ZAP B(Stratagene)およびNC0608_0_102Fを用いてPCRを行い、NC0608_0_102と一部が重複し、ポリ(A)結合部位を伴うcDNAの3’領域を含む断片を得た。
第3段階:cDNAライブラリーを鋳型として、Hybri ZAP−IIベクターに特異的なプライマー、Hybri ZAP A(Stratagene)およびNC0608_0_102に特異的なプライマー、NC0608_0_102R2 CCTGCAATGTTACCTCTGGCを用いたPCRにより、NC0608_0_102と一部が重複する5’側の断片を得た。
第4段階:Cap Site cDNA(Nippongene)を鋳型として、Cap Site特異的プライマー、1RC2(Nippongene)および第3段階で得られた断片に特異的なプライマー(TGACAGGTCAGACTGATCAACCGG)を用いたPCRにより、第3段階で得られた断片と一部が重複し、転写開始点(cap site)を伴うcDNAの5’領域を含む断片を得た。
ゲノミックDNA
第1段階:日本晴の総DNAを鋳型として、以下に示す2セットのプライマーを用いる2回のTAIL−PCRを行い、NC0608_0_102と一部が重複する5’側の断片を得た。第1回:NC0608_0_102R2および実施例3で用いたAD1。第2回:NC0608_0_102R3 TAGGCAATCCGGCAATGTCCおよびAD1。
第2段階:日本晴の総DNAを鋳型として、第1段階で得られた断片に特異的なプライマー(CTAGAAGCAAAATCTTGAAGCTGC)およびcDNA第4段階で得られた断片に特異的なプライマー(AGTGTTCTTCGCACCTCGCG)を用いたPCRにより、第1段階で得られた断片と一部が重複する5’側の断片を得た。
第3段階:日本晴の総DNAを鋳型として、第2段階で得られた断片に特異的なプライマー(TGCCTCGCCCTCGGCGATGG)およびcDNA第4段階で得られた断片の5’末端領域特異的プライマー(AATATTTCAAATCACACTAC)を用いたPCRにより、第2段階で得られた断片と一部が重複する5’側の断片を得た。
【0032】
細葉遺伝子のcDNAおよびゲノミックDNAの構造をまとめて図3に示した。この遺伝子は11のイントロンをもち、690アミノ酸をコードしており、データベースには類似の遺伝子の登録がないことから、全く新規の遺伝子であることがわかった。Tos17は第12エキソン領域の5’末端から9−10塩基間に挿入していた。この遺伝子がコードするアミノ酸配列は、Arabidopsisthaliana.における機能未定の遺伝子と非常に高い相同性を示した。
【0033】
上記の実施例は、本発明の種々の局面、および本発明の特定のオリゴヌクレオドがどのように作成され、および利用されるのかを例示して記載している。本発明の範囲を制限するものではない。
【0034】
【発明の効果】
植物育種に利用可能な葉の形状を制御し得る新規ポリヌクレオチドが提供される。当該ポリヌクレオチドを植物に導入し、葉の形状を人為的に制御することにより、光合成効率の向上、倒伏耐性の付与等が可能になると期待される。
【0035】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】Tos17挿入細葉変異体、および野生型イネの植物体を示す写真である。向かって左は、Tos17挿入細葉変異体、そして右は、野生型の植物体である。
【図2】細葉変異体NC608株の自殖後代(R2集団)から抽出したDNAと野生型イネから抽出したDNAのサザン分析のオートラジオグラムを示す図である。左は、Tos17をプローブとして用い、右はTos17挿入部位隣接配列の1つのNC0608_0_102をサブクローニングしプローブとして用いて行ったサザン分析のオートラジオグラムを示す。Mで示されるレーンは、λ/HindIIIマーカーのレーン、Cで示されるレーンは、野生型イネ(日本晴)から得たDNAを泳動したコントロールレーン、そしてmtで示されるレーンは、細葉変異体から得たDNAを泳動したレーンである。
【図3】本発明の葉の形状を制御する遺伝子の構造の概略を示す図である。図中の白い箱は、イントロンを示し、そして黒い箱はエキソンを示す。図右側の、第12エキソンの上にある下向きの矢印は、Tos17の挿入位置を示す。5’末端および3’末端近傍にある2つの下向きの小さい矢印は、開始または終結コドン部位をそれぞれ示す。

Claims (3)

  1. 変異により葉長が減少し、そして葉幅が縮小する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、配列表の配列番号2の1位のMetから690位のValまでのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
  2. イネ由来の、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 配列表の配列番号1で示される、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
JP2000083067A 2000-03-23 2000-03-23 葉の形状を制御する新規遺伝子 Expired - Fee Related JP3747400B2 (ja)

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