JP3746916B2 - 瞬目状態検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者等の瞼の開閉動作である瞬目状態を測定して居眠り運転や脇見運転等を検出する瞬目検出方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、瞼の瞬き状態(以下瞬目という)を測定(回数、時間等)して、居眠り運転等の覚醒度低下状態や脇見運転等を検出する瞬目検出方法が種々知られており、かかる瞬目検出方法は、例えば、基準閉目時間と比較して、測定された閉目時間が基準閉目時間より長いものを複数積算して、その合計値が所定時間内に規定値以上となった場合、居眠り状態と判断するように設定され、これにより、初回に測定した閉目時間が規定値以上の場合は、即座に居眠り状態と判断することが可能である。
【0003】
そしてこのような装置は、例えば運転者の顔を車両室内に設けたCCDカメラ等で撮像し、得られた顔画像を2値化処理する等の画像処理を行った後前記目を特定しているが、そして前記目の位置は個人差があり、又画像情報はCCDカメラで撮像するために、太陽光等の外乱、若しくは車室内に設けたサンバイザ等の影響で精度良く目の位置や動きをとらえることが出来なかった。
【0004】
このため従来は顔画像中の他の特徴部位との組み合わせにおいて、前記目の位置を特定する発明がいくつか開示されている。
例えば前記顔画像の特徴部位として鼻孔の形状は、顔画像中、2つの並列する略円形の黒領域として表され、これは個人差が比較的少ない顔の特徴部位として好適であり、この鼻孔を基準位置として、該基準位置より前記目までの距離を算出して、該距離の変位に基づいて運転者の瞬目状態を検出する瞬目状態検出方法が存在する。(特開平8-300978号、特開平10-86696号)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記発明は、基準位置としての鼻孔は一定でも、目そのものは人によって若しくは人種によって大小個人差があり、特に特開平8-300978号に示すように、ヒストグラム算出手段等を利用して黒画像領域認識手段にて目の位置や目の瞬きを求める方法では、結果として目の中の瞳の有無を認識することになり、必ずしも精度良い測定が出来ない。
【0006】
即ち、瞳は斜視、上目使いや下目使いによって移動し、又夜間や昼間の照度の違いによっても瞳が大小変化する。このため、前記瞳の移動と瞬きとが混同しやすく、必ずしも精度良い居眠り運転等の覚醒度低下状態を検出することが出来ない。
【0007】
本発明はかかる技術的課題に鑑み、前記目の中の特徴部位である瞳等の移動と瞬きとが混同することなく、居眠り運転等の覚醒度低下状態を含む瞬目状態を精度良く検出することが出来る瞬目状態検出方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、顔を撮像して顔画像を得る撮像手段を備え、前記顔画像から鼻孔及び上まぶたを抽出し、前記鼻孔を基準位置として前記上まぶたが全開または全閉までの顔縦方向(Y軸方向)距離を基準距離とし、該基準距離と実測の上まぶたまでの距離との変位量を算出し、該変位量が予め設定された閾値を越えた閉目を覚醒度低下状態を判断するための閉目として検出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1において、前記上まぶた位置の検出が、該上まぶたが瞳(黒目部分)と眉毛の間にあるか若しくは白目部分の上端にあるという判定手段により行われる事を特徴とする
さらにまた、請求項3記載の発明は、上まぶたと鼻孔間のY軸方向の距離の変位量の左目と右目両者のいずれもが所定の閾値を超えた場合に、覚醒度低下状態の判断を行うようにしたことを特徴とする
【0010】
即ち、本発明を具体的に説明するに、瞬きを行った場合に上下動するのは瞳(黒目部分)でも又眉毛でもなくなく上まぶたそのものである。言い換えれば瞬きをしても眉毛は変動することなく、固定であり、又瞳も瞬きによって上まぶたにより閉じられ、顔画像の視界から消えるが、瞬きにより変動することはなく、却って斜視や上目使いや下目使いにより変動し、瞬きか否かの判定誤差が生じやすい。
【0011】
一方、上まぶたは、瞬きを行った場合に必ず上下動し且つ基本的には横(水平)方向の変動は微小である。従って前記上まぶたの変動に対し、縦(Y軸)方向についてのみ、前記鼻孔を基準位置として前記上まぶたが全開または全閉までの顔縦方向(Y軸方向)距離を基準距離とし、該基準距離と実測の上まぶたまでの距離との変位量を算出し、該変位量が予め設定された閾値を越えた閉目を覚醒度低下状態を判断するための閉目として判断し、該閾値を超えた時間若しくは回数、更には両者の組み合わせにより瞬き状態を精度良く且つ確実に検出できる。
然も前記上まぶたにはまつげやアイラインが存在し、CCDカメラ等の撮像データを黒白2値化変換した細幅の黒画素ラインとして表れるために、これを縦方向にスキャンした場合、鮮明な細幅ピーク値として表れ、検出精度の向上につながる。(瞳や眉毛等の場合は、まつげやアイラインに比較して大幅に太幅であり、その分誤差が生じやすい。
【0012】
又、前記上まぶたは白目部分の上端にあり、濃淡(ピーク値)がはっきり出るのみならず、細幅の上まぶたの上下には、一般的に上下方向に太幅の画素として表れる瞳(黒目部分)部分と眉毛部分の間にあるために、瞳(黒目部分)部分と眉毛部分との組み合わせにより上まぶたを検出することにより一層確実に上まぶたの検出が容易である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態にかかる瞬き検出装置を示すブロックダイヤグラムで、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
1は、例えば768×493の画素数を有する小型のCCDカメラ(電荷結合素子カメラ)で自動車のダッシュボード若しくはインスツルメントパネル部等に配置されて、前方より車両運転者の顔画像を撮像する。
尚、夜間等のようにCCDカメラ1よりの画像出力が低い場合は、不図示の近赤外線照明手段等を利用して光量を補う。かかる点は前記先行技術に記述されている照明及び照明制御手段を用いればよい。
【0014】
前記CCDカメラ1で撮像された顔画像データはアナログデータであるために、増幅器2を介してAD変換器3によりデジタル階調画像に変換した後、顔画像処理部に入力される。
顔画像処理部4では、前記デジタル階調画像を濃淡レベル変換手段13により所定長以下の黒レベルを抽出した後、浮動2値化手段19により浮動2値化されて2値化画像データに変換される。
次に、目抽出部14として規定される第1の候補領域設定手段により左右の目の領域を矩形状に領域設定し、更に鼻孔抽出部15として規定される第2の候補領域設定手段により鼻孔周囲領域を矩形状に領域設定する。
そして前記鼻孔抽出部15より抽出された鼻孔周囲領域を鼻孔位置検出部16により、縦軸(Y軸)方向と横軸(X軸)方向とにより夫々スキャンして黒画素数を読み取ってY軸方向とX軸方向の画素数に対応するヒストグラムを作成し、該2軸方向のヒストグラムより鼻孔24位置を検出する。かかる構成は特開平8-300978に開示されており、公知であるのでその詳細な説明を省略する。
【0015】
そして本実施形態は、前記目抽出部14より抽出された拡大目領域より上まぶた23位置を検出する上まぶた位置検出部17を具えた事を要旨とする。
図2は前記拡大目領域において、前記目抽出部14より目部分(黒目+白目)の中心をX軸方向とY軸方向に夫々スキャンし、夫々の黒画素数をカウントしたヒストグラムを示す。
本図より理解されるように、Y軸方向においては、瞳21(黒目部分)や眉毛22部分も黒画素領域として表れるが、瞬きを行った場合にこれらの部分は上下動する事なく、上まぶた23に対応するまつげやアイラインのみが上下動する。
【0016】
又、X軸のヒストグラムから明らかなように、上まぶた23は瞬きを行った場合にY軸方向には上下動するがX軸方向の変動は微小である。従って前記上まぶた23の変動に対し、Y軸方向についてのみ、鼻孔24を基準位置とした変位量を検出し、その変位量が後記する閾値決定部8で定めた所定の閾値を超えた場合に瞬き状態として判断すればよい。
然も前記上まぶた23は白目25部分の上端にあり、濃淡(ピーク値)がはっきり出るのみならず、細幅の上まぶた23の上下には、上下方向に太幅の画素として表れる瞳21部分と眉毛22部分の間にあるために、ヒストグラムの太幅の黒画素領域の間にある細幅ピーク値のみを検出することにより、一層確実に上まぶた23の検出が可能である。
【0017】
そして前記のように検出した上まぶた23位置と鼻孔24位置は、上まぶた/鼻孔間距離算出部5で、その間のY軸方向の距離を算出する。距離の算出は画素数のカウントにより行う。
尚、CCDカメラ1により、車両の運転中における顔を撮像すると、運転者の生理的振動、車両の高周波振動等による振動が合成され、又道路の凹凸とショックアブゾーバ作用等により長い周期で前記波形が揺動する。
このため、前記距離信号波形からこれらのノイズとしての高周波成分と低周波成分を除去して平滑化する必要がある。これは前記画像処理部4内にノイズ処理部を設けてもよく、又AD変換器3によりデジタル変換する前のアナログデータ時にローパスフィルタ等を用いて平滑化処理を行っても良い。
【0018】
6は、かかる上まぶた23と鼻孔24間距離の基準距離を算出する上まぶた/鼻孔間基準距離算出部で、図3の画素数/時間のグラフ線図で示すように、鼻孔24の基準位置より上まぶた23の変位位置に対応した、言い換えれば上まぶた23の開位置に対応した基準距離波形Dsとなる。この場合基準距離波形Dsは上まぶた23の全開位置でも又全閉位置のいずれでもよい。
【0019】
次に前記基準距離波形Dsに基づいて実測の上まぶた位置Dとの差を取り、上まぶた変位算出部7にて、前記上まぶた23の変位量(D−Ds)を算出する。変位量(D−Ds)の算出は、図4に示すように、基準距離Dsより前記波形成分Dを引けばよい。前記したように人間は通常の瞬きの場合でも200msの間隔があり、このため前記瞬目から、居眠り運転等の覚醒度低下状態か通常の瞬目かを判断するためには瞬目の時間を測定する必要があり、このため本実施例は覚醒状態判定部9において、閾値決定部8にて閾値を設定し、該閾0値を超えた変位量K(D−Ds)について覚醒度低下状態を判断するための瞬目と判断し、該閾値を超えた前記変位量K(D−Ds)から、注意すべき瞼の閉目時間ΔTnとして検出してその回数と時間に基づいて覚醒度低下状態の判定を行う。
尚、ここでKは定数を示し、演算精度を高めるためのものである。
【0020】
この場合、前記閾値は、CCDカメラ1の観察パターンの輝度変化によって任意に可変出来るようにしている。
又、前記処理は2値化した画素数に基づいてヒストグラムを取る手法で説明したが、電圧レベル波形のアナログ的処理に基づいて行うことも容易である。
【0021】
以上詳述したように、本実施形態の場合は、上まぶた23の開閉動作を検出して閉目時間や閉目回数を検出するようにしたために、従来技術に比較して、瞳21の大小等による個人差や斜視や上目使いや下目使い等の瞳21の移動に起因する誤判断をなくすることが出来、覚醒度低下状態に起因する瞬目判断を精度良く行う事が出来る。
【0022】
尚、目にゴミが入った場合のように、意識的に片目をつぶったような場合は、片目のみが閉目時間や閉目回数を満足して覚醒度低下状態と誤判断する場合がある。
そこで本実施形態においては、図5に示すフローチャート図より明らかなように、上まぶた位置検出から上まぶた変位算出までを左右それぞれの目で行い(S1)、該左目と右目の上まぶた変位量の、両者のいずれもが閾値を超えた場合(S2)に、覚醒状態判定部9に信号入力を行い(S3)、該判定部9内で例えばその平均値で閉目時間を算出するようにすればよい。
【0023】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、前記瞳等の移動と瞬きとが混同することなく、居眠り運転等の覚醒度低下状態を含む瞬目状態を精度良く検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る覚醒状態判定装置の全体ブロック図である。
【図2】 左右の目領域と鼻孔領域を示すとともに、目抽出部より目部分(黒目+白目)の中心をX軸方向とY軸方向に夫々スキャンし、夫々の黒画素数をカウントしたヒストグラムを示す。
【図3】 上まぶたと鼻孔間距離のノイズ成分を除去して定常成分のみを算出し、上まぶたの開閉位置に対応したレベル波形を示す画素数/時間のグラフ線図である。
【図4】 上まぶたの変位量 (D−Ds)と閾値との関係を示すグラフ図である。
【図5】 左目と右目の上まぶた変位量が異なる場合の、覚醒度低下状態の判定方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 CCDカメラ
4 顔画像処理部
5 上まぶた/鼻孔間距離算出部5
6 上まぶた/鼻孔間距離定常成分算出部
7 上まぶた変位算出部
8 閾値決定部
9 覚醒状態判定部
14 目抽出部
15 鼻孔抽出部
16 鼻孔位置検出部
21 瞳
22 眉毛
23 上まぶた
24 鼻孔
25 白目

Claims (3)

  1. 顔を撮像して顔画像を得る撮像手段を備え、前記顔画像から鼻孔及び上まぶたを抽出し、前記鼻孔を基準位置として前記上まぶたが全開または全閉までの顔縦方向(Y軸方向)距離を基準距離とし、該基準距離と実測の上まぶたまでの距離との変位量を算出し、該変位量が予め設定された閾値を越えた閉目を覚醒度低下状態を判断するための閉目として検出することを特徴とする瞬目状態検出方法。
  2. 前記上まぶた位置の検出が、該上まぶたが瞳(黒目部分)と眉毛の間にあるか若しくは白目部分の上端にあるという判定手段により行われる事を特徴とする請求項1記載の瞬目状態検出方法。
  3. 上まぶたと鼻孔間のY軸方向の距離の変位量の左目と右目両者のいずれもが所定の閾値を超えた場合に、覚醒度低下状態の判断を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の瞬目状態検出方法。
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