JP3746686B2 - 排砂管内攪拌調整方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
開示技術は、河川湖沼や港湾等の水底からヘドロ等の泥土を浚渫して海岸等に形成した処理ヤードに送泥する排砂管の中途に於ける乱流を生起させる技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、国土が狭隘で多くの山間林野部があり、而も長い海岸線に接近しているような特殊な地勢条件の我が国にあっては、当該海岸線には多くの港湾があり、その水底部位には平面的にヘドロ等の堆積物等の泥土が沈積しており、それらの部位の機能を維持するべく所望に浚渫工事を行って、機能回復や維持が図られている。
【0003】
而して、かかる浚渫施工においては、例えば、図1に示す様に、所定の水面に浚渫船1をセットし、その下の部位の底に堆積している泥土2を浚渫し、当該浚渫船1から所定距離離隔した部位に堤体4によって囲繞されたピットとしての処理ヤード5に送泥して水分はオーバーフロー水として系外に排出し、該処理ヤード5に癈泥6´ として貯留し、次いで天日等により、強制乾燥させて所定に固化した癈泥61とし、その後、当該癈泥61に対し適宜の凝集剤を添加して所定に固化した癈泥61としたり、或いは、癈泥61に適宜の機械的手段を介して、強制的に固化し、密度の上昇した癈泥とし、又、固化癈泥をダンプトラックにより所定の現場に建築用土とし搬出し、基礎土上に改良土として敷設した後その上に耕土を覆土して、トラクターやコンバインや耕耘機の使用や植生の育成が可能である等にしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述の如く、浚渫船1からの排砂管3を介し、沈殿池等の機能を有する処理ヤード5に於ける高含水比の送泥された泥土61の土粒子が極めて微細であり、かかる微細な土粒子が集合体として構成する泥土61の自重による沈殿と処理ヤード5内に於けると天日を介しての乾燥脱水により疎水性が極めて低く、自重沈下だけではその脱水性は極めて悪い欠点があり、それに対処するにセメント系固化剤を添加して固化強度をアップするようにすると、pH値(水素イオン濃度)の増加等により排水の悪化等が促進され、所定の水質管理基準内の清澄水とは殆ど成り得ず、自然状態の放流等の放水が出来ない難点があり、又、当該加圧脱水固化処理装置による加圧脱水等により機械的に癈泥を形成する手段による建設改良土とするには強度にばらつきがあり、トラクターやコンバインや耕耘機等のスムーズな使用が出来にくいという難点があった。
【0005】
かかる高含水比の癈泥の処理方法において、凝集剤を用いる技術としては、特開平9−168800号公報等が開示されているが、該種先行技術にあっては、高含水浚渫泥土に対し、セメント等の固化剤を添加することが高頻度に記載されており、該先行技術を用いて高含水比の浚渫泥土2を処理して、浚渫泥土を所定強度に固化するには固化するプロセスで当該セメントの固化剤等の添加による固形物質の増加によりpH値や排出水準値外の癈泥の使用泥の増加が生じるデメリットがあった。
【0006】
これに対処するに、図2に示す様に、処理ヤード5に対し、浚渫船1から該処理ヤード5に渡設された排砂管3に対し浚渫船1からの泥土2の送泥中にポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aや2価又は3価の無機金属塩水溶液の凝集剤Cを所定間隔を介して、添加し、処理ヤード5に於ける排泥からの水分を釜場32に排水し、排水ポンプ30を介し、強制排水21を行い癈泥を強制乾燥させるような手段が使用されている。
【0007】
尚、該種送泥に用いる排砂管3に添加されるポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aや2価又は3価の無機金属塩水溶液Cの凝集剤のものも本来的な機能からして凝集剤のポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aを添加し送泥される泥土2に対し、送泥中に存在する微細な土粒子や汚濁物質等の各物質を架橋(粗結合)状態でフロック化し、次いで、2価又は3価の無機金属凝集剤Cを添加して架橋(粗結合)粗粒を締め、強固な山のフロックと成るようにし、該フロック相互の間の自由水が脱水率が高い疎水性がある状態にし、処理ヤード5の底部に敷設したサンドマット23´ 上の上部に送泥し癈泥61とし自由水がセメント等の固化剤が添加されていないために、スムーズに清澄水として釜場32等に排水されて該釜場32より排水ポンプ30を介して、排水21とされる処理ヤード5内の浚渫癈泥が自然圧密による排水の進行が進まなくなると、該癈泥61の表層部に生じたクラックを介し、該表層部に対する天日による天日乾燥を行うに、自然乾燥が促進されて、迅速に脱水が促進され、土粒子部分が多い改良土が速やかに固結されてその強度が増加し、建設用土として田畑の嵩上げや築堤に有利に利用するものであるが、かかる排砂管3内に於ける凝集剤A,Cの添加による送泥する癈泥2との混合攪拌が図れるようにするには、排砂管3中に所定に図示しないバルクヘッド等を介装し、乱流化を行ってはいたが、該バルクヘッド等は固定式であるために、攪拌効果の調整が期待出来ないという難点があり、又、送泥内に混入してくる夾雑物等障害物の除去が出来ないという欠点があった。
【0008】
そして、当該バルクヘッド等の交換等が煩瑣な工数がかかるためによるコスト高につながるという不利点もあった。
【0009】
又、排砂管3内に於ける送泥は複雑な流れを起こすために固定的なバルクヘッドでは送泥する泥土2の効果的な攪拌に関与する乱流が効果的に発揮出来ず、又、夾雑物の除去が簡単に出来ないという不都合さもあった。
【0010】
【発明の目的】
この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく、上述排砂管3に於ける固定的なバルクヘッドの乱流生起の問題点を解決すべき技術的課題とし、又、夾雑物等障害物の除去の問題点を解決すべき技術的課題とし、攪拌における送泥中における乱流を適宜に変化させ、而も、夾雑物の除去もスムーズに行え、排砂管に於ける送泥が効果的に行えて処理ヤードに於ける乾燥固化による建設用土の確実なニーズに対処出来るようにして建設産業における土木技術利用分野に益する優れた送泥管内攪拌方法及び該方法に利用する装置を提供せんとするものである。
【0011】
【発明が解決しようとする手段】
上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成は、前述課題を解決するために、浚渫船等の送泥装置と該送泥装置から所定距離離れた処理ヤードにかけて渡設された排砂管に凝集剤を添加して送泥される泥土と攪拌すると共に夾雑物をスムーズに排除出来るようにする送泥管内の攪拌調整方法において、上記排砂管に添加する凝集剤の添加部位に少なくとも一つの攪拌調整装置を設け、その部位の管路の拡縮を調整自在にするようにすることを第一の基幹とし、上記排砂管に複数の凝集剤の添加部位を設け、前の部位からポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aを添加し、後の部位からは2価又は3価の無機金属塩水溶液Cを添加するようにし、併せて上記排砂管にて攪拌調整装置による送泥に対する攪拌を介しての乱流を生起させ、夾雑物排除を容易にもし、而して、送泥装置と該送泥装置から所定距離離れた処理ヤードにかけて渡設された攪拌調整装置に少くとも1つ以上の拡縮体が設けられているようにもし、上記管路拡縮体が上記攪拌調整装置に組付解体が容易にされているようにもした技術的手段を講じたものである。
【0012】
【作用】
浚渫船等の送泥装置から浚渫した泥土を排砂管を介し、処理ヤードに送泥するに際し、該排砂管の所定部位の少なくとも1カ所に設けた凝集剤添加ポイントの部位に少なくとも1つの攪拌調整装置を配設し、各該攪拌調整装置には管路を送泥するに、管路を拡縮する拡縮体を適宜に拡縮調節自在に配設し、該排砂管中を送泥される泥土に対し、その状況に応じて乱流を付与し、乱流を形成させて泥土と凝集剤の攪拌効果を向上するようにし、処理ヤードに於ける癈泥と水分とにおける癈泥の固液分離を促進するように自由水が形成されやすいようにし、脱水がし易いようにし、又、夾雑物を除去し、癈泥の固化がスムーズに行われるようにしたものである。
【0013】
又、拡縮体が攪拌調整装置に組付解体が容易にされるようにもしたものである。
【0014】
【発明が実施しようとする形態】
次ぎに、この出願の発明の実施しようとする形態を図1〜図4の図面を参照して説明すれば以下の通りである。
【0015】
当該実施例は港湾の水底に堆積しているヘドロ等の泥土2の処理ヤード5中の癈泥61の乾燥固化による密度アップを介しての、建設用土に成す態様である。
【0016】
図1に示す態様において、送泥装置としての浚渫船1により水底の泥土2を浚渫し、該浚渫船1より処理ヤード5にかけて所定距離離隔して渡設して延設された排砂管3により堰堤4,4に囲繞された該処理ヤード5に対し、該排砂管3を介し送泥61をするに際し、該排砂管3の始端から吐出口にかけて所定距離をおいてポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aの添加口19と、2価又は3価の無機金属塩水溶液Cの供給添加口20が設けられ、各添加口19,20の前後にこの出願の要旨の中心を成す周知のスルースバルブとしての攪拌調整装置23,23´ が設けられて各々タンク22,22´ に臨まされると共に電気的コントローラー30´ に接続され、攪拌調整装置23,23´ には図3に示す様に、前後、左右の4方向から拡縮体としてのバルブ本体28が管路29´ を所定開度に開閉すると共に開度調整することが出来るようにされており、又、図4に示す様に、該バルブ本体28が管路29´ をその所定の状況に応じて開き角度を調節可能であるようにバルブ本体28の基端部に設けた電磁ソレイド27を電気的なコントローラー30´ によりネジ式等により適宜に進退自在に制御されるようにされている。
【0017】
そして、管路9´ を所定に拡縮可能にして排砂管3の管径調整を所定開度開閉自在であるようにし、乱流を生起させて攪拌効果を良好にし処理ヤード5に於ける良好なフロック形成と該フロック間の自由水の脱水を容易にするように出来ると共に管路29´ を全開状態にすることにより、送泥中に混在している夾雑物を除去しスムーズに送泥が行われるようにされている。
【0018】
而して、添加口のポイント19,20に対する、開閉動作のコントローラー30´ により送泥の状況に応じて該添加口に対しポンプによる送泥がスムーズに制御を介して行われるようにされている。又、該ポンプは翼車型の流量計24,24´ が配設されている。
【0019】
上述構成において、排砂管3に対し浚渫船1から泥土2を送泥すると、各添加口のポイント19,20に設けられた各攪拌調整装置23,23´ は管路29´ に対するバルブ本体28の電気的なコントローラー30´ を介しての、電磁ソレイド27による開閉,開放を介し、送泥中に混在している夾雑物は除去され、該送泥はスムーズに行われ、送泥中におけるポリアクリルアミド系高分子凝集剤Aとその後の2価又は3価の無機金属塩水溶液Cの混合攪拌効果が促進され、攪拌ヤード5に於けるフロック形成と該形成されたフロック間の自由水の脱水効果が促進され、該処理ヤード5に於ける脱水乾燥が促進され、建設土が早期に形成されることとなる。
【0020】
そして、バルブ本体28が管路29´ を完全に開放し、全開状態になれば、泥土2中に混在している夾雑物等の障害物は確実に除去され、そして、排砂管3に於ける添加口のポイント19,20の攪拌調整装置23,23´ がスルースバルブとして設けられていることにより、泥土2の送泥はスムーズに行われ、又、遮断状態の夾雑物の排除も兼ねてスムーズな送泥が成される。
【0021】
そして拡縮体28の開度と摩擦損失係数の変化は表1に、流路径の変更組み合わせとの関係は表2に示す通りである。
【表1】
【表2】
【0022】
調整板のバルブ本体28の挿入状況を図3の(イ),(ロ),(ハ)に示す様に、変化させることにより、管内流速が変化して管内乱流状態が変化する。該拡縮体の調整板の開き度と摩擦損失係数の変化を上記表1に示す。
【0023】
又、管内損失係数の変化により、浚渫泥土2の送泥ポンプに負荷がかかりすぎる場合は、拡縮体の調整板28の挿入量調整時の流路29´ の断面積が既配管断面積径と一致するよう調製板に8の全開時の調製機構の流路径を変更する。攪拌調製装置23,23´ の流路径と調製板開き変更組み合わせの例を上記表2に示す。
【0024】
又、設計によっては添加口のポイント19,20の前後に於ける管路29´ の管径を固定的に変化させる等種々の態様が採用可能である。
【0025】
又、設計によっては、攪拌調整装置23,23´ を排砂管3の長さ方向に所定ストローク移動させるようにする等も可能である。
【0026】
尚、この出願の発明の実施態様は上述(実施例)に限るものでないことは勿論であり、例えば、バルブ本体については、各々独立に垂直方向に進退自在に管路を開閉遮断するばかりでなく、例えば、カメラのシャッターの如く周方向に均等に径方向が拡縮自在であるように等種々の態様が採用可能である。
【0027】
そして、いづれにしても、攪拌調製装置23,23´ に於けるバルブ本体の拡縮体28の組付等はネジ式等にすることにより組付解体が容易であり、組付施工に際してのメンテナンスは極めて容易である。
【0028】
そして、適用対象は港湾等の浚渫のみばかりでなく、河川や湖沼等の浚渫についても適用可能であるものとする。
【0029】
【発明の効果】
以上、この出願の発明によれば、基本的に浚渫を行って所定距離離隔した処理ヤードに送泥するに際し、送泥の所定距離を介して凝集剤添加口のポイントを所定数設け、該添加口の前後に少なくとも1機の攪拌調整装置を設けたことにより、排砂管中を送泥する泥土と凝集剤との攪拌効果有効に働き、調整が極めてし易く、処理ヤードに於けるフロックの形成と自由水の排水が極めて早期に行われ、建設土等の固化密度アップが極めて早期容易に形成出来るという優れた効果が奏される。
【0030】
又、攪拌調整装置のバルブ本体を全開することにより、管路が開放されて、送泥中に混在している夾雑物の除去が容易であるためにその目詰り等も生じ難く送泥スムーズに行われるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の浚渫の全体概略側面図である。
【図2】浚渫施工態様の全体概略斜視図である。
【図3】攪拌調整装置のバルブ本体の作動状態概略正面図であり、(イ)は上下方向の作動状態正面図、(ロ)は左右方向の作動状態の概略図であり、(ハ)は同様のバルブ本体の開閉作動状態説明図である。
【図4】バルブ本体の管路に対する開閉状態の取り合い概略正面図である
【符号の説明】
1 送泥装置(浚渫船)
5 処理ヤード
A,C 凝集剤
3 排砂管
23,23´ 攪拌調製装置
29´ 管路
19,20 添加部位
28´´ 拡縮体
Claims (3)
- 送泥装置と該送泥装置から所定距離離れた処理ヤードにかけて渡設された排砂管に凝集剤を添加して送泥する泥土と攪拌すると共に夾雑物をスムーズに排除出来るようにする排砂管内の攪拌調整方法において、上記排砂管に添加する凝集剤の添加部位に少なくとも一つの攪拌調整装置を設けてその部位の管路の拡縮を調整自在にするようにすることを特徴とする送泥管内攪拌調整方法。
- 上記排砂管に複数の凝集剤の添加部位を設け、前の部位にポリアクリルアミド系高分子凝集剤の添加部位を設け、後の部位に2価又は3価の無機金属塩水溶液の添加部位を設けるようにすることを特徴とする請求項1記載の送泥管内攪拌調整方法。
- 上記排砂管にて攪拌調整装置による送泥に供する攪拌の調整を介しての乱流を生起させ、併せて夾雑物を排除することを特徴とする請求項1記載の送泥管内攪拌調整方法。
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