JP3746392B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載バッテリからの給電に基づいて内燃機関の燃料噴射態様を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載用ディーゼル機関の燃料噴射制御装置としては周知のように、分配型燃料噴射ポンプを備え、同燃料噴射ポンプに設けられた電磁スピル弁への通電時期を制御することによってディーゼル機関への燃料噴射量を制御する装置が実用されている。
【0003】
こうした電磁スピル弁を備える分配型燃料噴射ポンプには、当該機関の回転に同期して回転するカムによって往復動されて、燃料噴射ポンプ内に設けられた高圧室内で燃料を加圧するプランジャが設けられている。そして電磁スピル弁は、通電に応じて閉弁してプランジャにより加圧された燃料の燃料噴射ノズルへの圧送を許容すると共に、通電遮断に応じて開弁して上記高圧室内の燃料の圧力を減圧し、当該機関に設けられた燃料噴射ノズルへの燃料の圧送を停止する。
【0004】
また、こうした燃料噴射制御装置では一般に、プランジャが加圧動作を開始する以前に電磁スピル弁を閉弁して加圧動作の開始と共に燃料噴射が開始されるようにしておき、電磁スピル弁への通電遮断時期、すなわち燃料噴射を停止する時期を制御することで燃料噴射量を制御している。
【0005】
この場合、燃料噴射の停止時期、すなわち電磁スピル弁を開弁する時期が内燃機関への燃料噴射量を決定するため、電磁スピル弁への通電遮断時期には非常に高い精度が必要とされる。このため、電磁スピル弁をコイルスプリングによって常時開弁方向に付勢される常開型の弁としたり、高圧室内の燃料の圧力が電磁スピル弁を開弁方向に押圧する構造としたりするなど、同電磁スピル弁は、構造的にも開弁駆動時の応答性が確保されるように、従来より数多くの技術が提案され、改良が図られてきている。
【0006】
反面、こうした電磁スピル弁の閉弁駆動時の応答性は、上記開弁駆動時の応答性の確保のために犠牲とされてきたこともまた実情である。例えば、上記の常開型で高圧燃料の圧力が開弁方向に作用する電磁スピル弁の場合、閉弁駆動に際しては、コイルスプリングの付勢力や高圧燃料の圧力に抗して電磁スピル弁を駆動させる必要がある。この結果、通電の開始から電磁スピル弁が実際に閉弁されるまでの時間、すなわち閉弁駆動時の応答遅れ時間は長くなる傾向にあった。ただし、その開弁時期のみによって燃料噴射量を制御する上記の燃料噴射制御装置では、電磁スピル弁もプランジャの加圧動作の開始以前に閉弁されていれば良いため、こうした閉弁駆動時の応答遅れ時間の長期化はこれまであまり問題とされてこなかった。
【0007】
一方、電磁スピル弁の開弁時期だけでなく閉弁時期をも制御して燃料噴射状態を制御する、いわゆるプレストローク制御を行う燃料噴射制御装置も実用されている。こうした燃料噴射制御装置では、前記プランジャを往復動させるカムを不等速カムとし、燃料噴射開始時における不等速カムの使用開始位置を電磁スピル弁の閉弁時期の制御により変更するようにしている。これにより、燃料噴射期間におけるプランジャの往復動の速度が変更されて、燃料噴射率(単位時間あたりの燃料噴射量)が変更されるようになる。そして、電磁スピル弁の閉弁及び開弁時期と上記不等速カムの回転位相を変更するタイマとを連動して制御することで、燃料噴射量ばかりでなく燃料噴射率をも制御することができるようになる。
【0008】
ただし、こうしたプレストローク制御を行う場合、電磁スピル弁の閉弁時期に応じて燃料噴射の開始時期や燃料噴射率が変化してしまうため、その閉弁時期にも高い精度が要求される。しかし、電磁スピル弁の閉弁には応答遅れが生じること、しかもその応答遅れ時間は長期化される傾向にあることも上述した通りである。もっとも、応答性の低い電磁スピル弁の閉弁駆動を適正な時期に行わせるには、上記応答遅れ時間を予め加味して電磁スピル弁への通電開始時期を設定しておけばよい。つまり、目標とする閉弁時期から応答遅れ時間に相当する時間だけ早い時期に通電を開始するようにすれば、応答遅れ時間が長くとも、常に適正な時期に電磁スピル弁を閉弁させることができるようになる。そしてその意味では、電磁スピル弁の通電開始時期に併せて、その通電態様や通電電力も重要な要素となる。
【0009】
なお一般に、電磁スピル弁への通電は、バッテリ電圧に基づき予めコンデンサに充電した電圧を通電開始時に一気に放電することによって行われている。このため、バッテリ電圧が変動するとコンデンサの充電電圧も変動し、ひいては通電開始時に電磁スピル弁に供給される電力も変化してしまう。そしてこの結果、バッテリ電圧の変動に応じて、電磁スピル弁の閉弁駆動時の応答遅れ時間も変動するようになる。こうして応答遅れ時間に変動がきたす場合、電磁スピル弁の閉弁時期、すなわち燃料噴射の開始時期の精度も著しく低下するようになる。
【0010】
そこで従来は、例えば特開平8−232738号公報にみられるように、電磁スピル弁への通電開始時期をバッテリ電圧に応じて補正することも試みられている。すなわち同公報に記載の装置では、バッテリ電圧を所定時間毎に読み込むことで取得されたバッテリの電圧情報に基づいて電磁スピル弁への通電開始時期を可変設定するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
こうして電磁スピル弁への通電開始時期をバッテリの電圧情報に基づき可変設定することで、バッテリ電圧の変動に伴う電磁スピル弁の応答遅れ時間の変動に及ぼす影響を低減することは確かにできる。
【0012】
しかし実際には、バッテリ電圧は常時変動しているため、たとえ上記のような電圧情報を用いたとしても、電磁スピル弁への通電開始時期が適正に補正されるとは限らない。これは上記電圧情報として、所定時間毎に読み込まれたバッテリ電源の電圧の徐変値や所定期間毎の平均値が用いられる場合であっても同様である。上記コンデンサへの充電電圧はバッテリ電圧の積分値であるため、それら電圧情報と実際のバッテリ電圧との僅かな差が、上記電磁スピル弁に対する通電開始時期の電力の変化を生じさせ、ひいては電磁スピル弁の閉弁時期を狂わせるようになる。こうした開弁時期のずれは、それが微小であっても、上記プレストローク制御時等、非常に高い精度が要求されるディーゼル機関の燃料噴射時期の制御においては大きな影響を及ぼすおそれがある。
【0013】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、バッテリ電圧の変動による影響をより好適に低減し、燃料噴射精度の更なる向上を図ることのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、バッテリ電圧に基づく給電態様の切り換えに応じて駆動態様が変更されるアクチュエータを通じて内燃機関への燃料噴射態様を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記アクチュエータに対する給電態様の切り換え時期の算出時に前記バッテリ電圧の瞬時値と当該機関の回転数とを読み込み、それら読み込んだバッテリ電圧の瞬時値と機関回転数とに応じて前記給電態様の切り換え時期に関する情報を補正することをその要旨とするものである。
【0015】
上記構成によれば、アクチュエータに対する給電態様の切り換え時期に関する情報が、その切り換え時期の算出時に読み込まれたバッテリ電圧の瞬時値に応じて補正されるようになる。このように上記算出時のバッテリ電圧の瞬時値を参照することで、アクチュエータへの給電態様を切り換えられてから実際に同アクチュエータの駆動態様が変更される迄の時間、すなわちアクチュエータの応答遅れ時間を、バッテリ電圧の変動に拘わらず正確に推定することができるようになる。そして、こうして推定された応答遅れ時間に相当する時間分だけ目標とする同アクチュエータの駆動態様変更時期よりも早い時期に上記給電態様が切り換えられるようにその切り換え時期を補正すれば、常に適正な時期にアクチュエータの駆動態様を変更することができるようになる。
【0016】
しかも、この補正に上記給電態様の切り換え時期の算出時におけるバッテリ電圧の瞬時値を用いているため、実際にアクチュエータの駆動態様を変更するときとほぼ同じバッテリ電圧に基づいて同給電態様の切り換え時期を可変設定することができるようになる。このため、アクチュエータの駆動態様変更時期を適正な時期に変更させて、燃料噴射態様を適正に制御することができるようになる。
一般に、内燃機関の燃料噴射制御では、燃料噴射特性を調整するアクチュエータに対する給電態様の切り換え時期を機関出力軸の回転位相によって管理している。一方、アクチュエータの応答遅れ時間は機関出力軸の回転速度(当該機関の回転数)には依存しないため、応答遅れ時間に相当する機関出力軸の回転位相は当該機関の回転数に応じて変化する。この点、上記構成によれば、バッテリ電圧の瞬時値と当該機関の回転数とに応じて、アクチュエータに対する給電態様の切り換え時期が可変設定されるようになる。このため、当該機関の回転数に拘わらずアクチュエータを適正な時期に駆動させることができるようにもなる。
また、上記構成によれば、アクチュエータへの給電態様の切り換え時期を機関出力軸の回転位相にて管理することができるため、切り換え時期の算出にかかる制御構造を簡略化することができるようにもなる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記アクチュエータは、電磁ソレノイドへの給電態様の切り換えに応じて駆動態様が変更されるものである。
【0018】
電磁ソレノイド式アクチュエータの応答速度は、供給される電力に依存するため、バッテリ電圧に応じて供給電力が変化すると同アクチュエータの駆動態様変更時期も変動してしまう。その点、上記構成によれば、こうした電磁ソレノイド式アクチュエータへの給電態様の切り換え時期が、その算出時に読み込まれたバッテリ電圧の瞬時値に応じて可変設定されるようになる。このため、バッテリ電圧の変動に伴い応答速度の変化する電磁ソレノイド式のアクチュエータにあっても、その駆動態様を適正な時期に変更できるようになり、燃料噴射態様を適正に制御することができるようになる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記アクチュエータは、前記給電態様の切り換えに応じて燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧送を許容する許容駆動若しくは同燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧送を禁止する禁止駆動を行うスピル弁を備えており、当該燃料噴射制御装置は、前記スピル弁の前記許容駆動に基づき当該機関への燃料噴射を開始し、同スピル弁の前記禁止駆動に基づき当該機関への燃料噴射を停止するものである。
【0020】
上記構成によれば、スピル弁を駆動させるアクチュエータに対する給電態様の切り換えに基づき燃料噴射の開始時期及び停止時期が制御されるようになる。こうしたスピル弁の駆動にかかる給電態様の切り換え時期を、上記のバッテリ電圧の瞬時値に応じて可変設定することで、バッテリ電圧の変動に拘わらず、常に適正な時期に燃料噴射を開始あるいは停止させることができるようになる。
【0021】
なお、一般に、スピル弁はその構造上、許容駆動時の応答性と禁止駆動時の応答性とを両立することが困難であり、応答性の低い側の駆動時にはバッテリ電圧の変動による応答遅れ時間の変動が大きくなる。その点、上記構成では、応答性が低く、そのため応答遅れ時間の変動が大きくとも、スピル弁を適正な時期に駆動させることができる。このため、スピル弁の許容駆動時期及び禁止駆動時期のいずれについても高い精度を確保できるようになり、スピル弁の許容駆動に応じて燃料噴射が開始する、いわゆるプレストローク噴射を特に高い精度で行うことができるようになる。また、スピル弁の応答性をあまり高くせずとも、燃料噴射にかかる精度を充分に確保できるため、その設計等も容易となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記給電態様の切り換え時期に関する情報の補正は、前記スピル弁の許容駆動及び禁止駆動のうち、同スピル弁の駆動にかかる応答性の低い側に対して行われることをその要旨とするものである。
【0023】
スピル弁の許容駆動に応じて燃料噴射を開始するプレストローク噴射を行う場合、スピル弁の許容駆動時期及び禁止駆動時期のいずれについても高い精度が要求される。しかしながら、上述のように、スピル弁はその構造上、許容駆動の応答性と禁止駆動の応答性とを両立させることは困難であり、スピル弁の許容駆動時期及び禁止駆動時期のいずれか一方については、バッテリ電圧の変動の影響を受け易く、精度が低下してしまう。
【0024】
この点、上記構成によれば、スピル弁の許容駆動及び禁止駆動のうち、同スピル弁の駆動にかかる応答性の低い側についても、バッテリ電圧の変動の影響を低減して適正な時期に駆動させることができるようになる。したがって、スピル弁の許容駆動及び禁止駆動の応答性を両方とも確保せずとも、充分に高い精度でプレストローク噴射を行うことができるようになる。また、この結果、許容駆動及び禁止駆動の応答性を両方とも高くする必要がなくなるため、スピル弁の設計等も容易となる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記給電態様の切り換え時期に関する情報の補正は、同スピル弁の許容駆動に対して行われることをその要旨とするものである。
【0026】
スピル弁の許容駆動に応じて燃料噴射を開始するプレストローク噴射を行わない燃料噴射制御装置では、スピル弁の許容駆動時期の精度はあまり高くする必要がないため、スピル弁の禁止駆動時の応答性をより高めるように設定されている。こうしたスピル弁をそのまま、上記プレストローク噴射を行う燃料噴射制御装置に適用した場合、スピル弁の許容駆動時期の精度は自ずと低下してしまう。この点、上記構成によれば、こうした許容駆動時の応答性が低いスピル弁を採用した場合にも、許容駆動時期の精度を充分に確保することができるようになる。またこの結果、プレストローク噴射を行わない燃料噴射制御装置のスピル弁をそのまま、あるいはわずかな変更を加えるだけでプレストローク噴射を行う燃料噴射制御装置に適用することができるようにもなる。
【0030】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関回転数として、前記給電態様の切り換え時期の算出時における当該機関の回転数の瞬時値を用いることをその要旨とする。
【0031】
上記構成によれば、給電態様の切り換え時期の算出時に読み込まれた内燃機関の回転数の瞬時値を用いることで、実際にアクチュエータの駆動態様が変更されるときとほぼ同じ条件に基づいて上記切り換え時期に関する情報を補正することができるようになる。このため、内燃機関の回転数の変動に拘わらずアクチュエータの駆動態様を適正な時期に変更させることができ、燃料噴射にかかる精度を更に向上することができるようになる。
【0032】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記給電態様の切り換え時期に関する情報は、前記機関回転数について比例関係をもって補正されることをその要旨とするものである。
【0033】
上記構成によれば、バッテリ電圧の瞬時値から推定されるアクチュエータの応答遅れ時間の変動時間を、この変動時間に相当する当該機関の出力軸の回転位相へと容易に換算できるため、給電態様の切り換え時期を同出力軸の回転位相にて管理できるようになり、ひいてはその制御構造を簡略化できるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をディーゼル機関の燃料噴射制御装置として具体化した一実施の形態について詳細に説明する。
【0035】
本実施の形態の燃料噴射制御装置は、電磁スピル式弁が設けられた分配型燃料噴射ポンプを備えており、この燃料噴射ポンプに設けられた電磁スピル弁に対する通電時期の制御に基づいて燃料噴射量や燃料噴射時期等を制御する。まず、こうした分配型燃料噴射ポンプを備える燃料噴射制御装置の構成について、図1に基づき説明する。
【0036】
同図1に示すように、燃料噴射ポンプ10は、ディーゼル機関のクランクシャフト25に駆動連結され、このクランクシャフト25と同期して回転するドライブシャフト11を備えている。そして燃料噴射ポンプ10は、このドライブシャフト11の回転により駆動され、ディーゼル機関の燃料噴射ノズル24へと燃料を圧送する。
【0037】
また、燃料噴射ポンプ10には、フィードポンプ12(図1では90°展開して示す)が設けられている。このフィードポンプ12は、ドライブシャフト11の回転に伴い燃料タンク(図示略)から燃料噴射ポンプ10内に設けられた燃料室19へと燃料を給送する。
【0038】
更に、ドライブシャフト11には、パルサ13が一体回転可能に取り付けられている。このパルサ13の外周部には、複数の信号歯が形成されている。また、このパルサ13の近傍には、電磁ピックアップからなる回転数センサ14が設けられている。回転数センサ14は、パルサ13の回転に伴い信号歯が通過する毎にパルス状の信号(NE信号)を電子制御装置30に出力する。本実施の形態では、パルサ13には、ディーゼル機関の気筒数と同数の欠け歯部が等角度間隔で形成されており、各欠け歯部の間にはそれぞれ同数の(本実施の形態ではそれぞれ13枚ずつの)信号歯が形成されている。また、各欠け歯部は、上記信号歯を2枚欠落させた間隔に相当する間隔に形成されている。電子制御装置30は、この回転数センサ14の出力信号に基づき、ディーゼル機関の回転数やクランクシャフト25の回転位相(クランク角)を把握している。
【0039】
一方、ドライブシャフト11の先端部には図示しないカップリングを介してカムプレート16が連結されている。このカップリングは、カムプレート16をドライブシャフト11の軸方向に摺動可能に且つ同ドライブシャフト11と一体回転可能に連結している。このカムプレート16には、ディーゼル機関の気筒数と同数のフェイスカムが設けられている。そして、パルサ13とカムプレート16との間には、同カムプレート16のフェイスカムと対向する複数のローラが設けられたローラリング15が設けられている。カムプレート16は、コイルばねによってローラリング15に向けて常時付勢されている。
【0040】
また、カムプレート16には、シリンダ18内を摺動可能に配設されたプランジャ17が一体となって回転可能に且つドライブシャフト11の軸方向に摺動可能に接続されている。これらカムプレート16及びプランジャ17は、ドライブシャフト11によって回転されると共に、同カムプレート16のフェイスカムがローラリング15のローラを押圧することでドライブシャフト11の軸方向に往復摺動される。なお、本実施の形態では、このカムプレート16のフェイスカムは不等速カムとされており、燃料噴射期間におけるフェイスカムの使用領域に応じて燃料の圧送速度、すなわち燃料噴射率が可変とされる。
【0041】
こうしてドライブシャフト11の回転に伴い往復摺動されるプランジャ17が配設されたシリンダ18の底部は、燃料を加圧するためのプレッシャチャンバ18aとなっている。このプレッシャチャンバ18aには、プランジャ17の動作に伴い、適時に燃料室19内の燃料が導入される。そしてプランジャ17は、往復摺動に伴いプレッシャチャンバ18a内に導入された燃料を加圧する。このプレッシャチャンバ18aは、デリバリバルブ21を介して燃料噴射ノズル24に接続されており、加圧された燃料を同燃料噴射ノズル24に圧送可能となっている。
【0042】
このプレッシャチャンバ18aには、上記燃料室19と連通し、その途中に電磁スピル弁20が設けられたスピル通路18bが接続されている。この電磁スピル弁20は、その弁体がコイルスプリングによって開弁方向に付勢された常開型の電磁弁である。そして、この電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの非通電時には開弁して上記スピル通路18bを連通すると共に、通電時には閉弁して同スピル通路18bを遮断する。つまり、非通電時にはプレッシャチャンバ18a内の燃料は燃料室19へと溢流され、プレッシャチャンバ18a内の圧力が低下し、燃料噴射ノズル24への燃料の圧送が停止される。一方、通電時には、電磁スピル弁20が閉弁してプレッシャチャンバ18a内の燃料の溢流が停止される。このため通電時には、燃料噴射ノズル24への燃料の圧送が許容されるようになる。
【0043】
この電磁スピル弁20への通電は、電子制御装置30によって制御されている。電子制御装置30は、ディーゼル機関の運転状態に応じた電磁スピル弁20への通電開始時期及び通電遮断時期を算出してこれをスピル弁駆動回路31に出力する。スピル弁駆動回路31は、電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの通電開始に先立ち、車載バッテリ32の電圧に基づいて予めコンデンサを充電し、この充電された電荷を上記通電開始時期に一気に放電するようにしている。こうしてコンデンサに充電された電荷を一気に放電することで、通電開始と共に電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aに大電流を流し、閉弁駆動時の安定した応答性を得るようにしている。
【0044】
そしてスピル弁駆動回路31は、こうして放電を行った後、上記通電遮断時期迄の間、電磁スピル弁20の閉弁保持に必要な定電流を供給する。こうしてスピル弁駆動回路31は、電子制御装置30によって算出された通電開始時期から通電遮断時期迄の間、電磁ソレノイド20aに電流を供給し、電磁スピル弁20を閉弁させている。
【0045】
本実施の形態の燃料噴射制御装置ではこのように、電磁ソレノイド20aへの通電開始及び通電遮断による給電態様の切り換えに基づいて電磁スピル弁20を駆動し、燃料噴射態様を調整している。
【0046】
更に、この燃料噴射ポンプ10には、油圧式のタイマが設けられている。このタイマは、燃料噴射ポンプ10の下部に設けられたタイマシリンダ23a内に往復動可能に配設されたタイマピストン23を備えている。タイマピストン23は、電子制御装置30によってディーティ制御されるタイマ制御弁22の燃料圧力調整に基づき往復動して、上記ローラリング15を回動させる。こうしてローラリング15が回動することで、上記カムプレート16及びプランジャ17が往復摺動する時期が変更され、プランジャ17がプレッシャチャンバ18a内の燃料を加圧動作する時期が変更される。
【0047】
続いて、本実施の形態の燃料噴射制御装置における燃料噴射制御について、図2〜図5に基づき説明する。
まず、燃料噴射制御の概要について、図2に基づき説明する。
【0048】
図2は、本実施の形態の燃料噴射制御装置の制御態様を示している。
なお、この燃料噴射制御装置において、電子制御装置30は、回転数センサ14の出力するNE信号(図2(a))をカウントすることでクランクシャフトの回転位相(クランク角)を検知している。また電子制御装置30は、回転数センサ14から上記パルサ13に当該機関の気筒数だけ設けられた欠け歯部に対応する信号が出力される毎にパルスカウンタecnirqをクリアし(”0”とし)、信号歯に対応する信号を出力する毎にこのカウンタecnirqを1ずつインクリメントする。そして電子制御装置30では、このパルスカウンタecnirqのカウント値に基づきクランク角を把握し、上記電磁スピル弁20への通電時期を管理している。
【0049】
なお、本実施の形態の燃料噴射制御装置では、プランジャ17のリフト開始後、すなわちプランジャ17によるプレッシャチャンバ18a内の燃料の加圧動作開始後に電磁スピル弁20を閉弁させて燃料噴射を開始する、いわゆるプレストローク制御を行っている。この場合、電磁スピル弁20の閉弁時期が燃料噴射の開始時期となり、閉弁時期が燃料噴射の終了時期となる。また、本実施の形態では、こうした電磁スピル弁20の開/閉弁時期によって燃料噴射期間を設定すると共に、プランジャ17のリフト時期を調整し、燃料噴射期間におけるカムプレート16のフェイスカムの使用領域を可変設定することで、燃料噴射率の制御を行っている。
【0050】
具体的には、電子制御装置30は、アクセル開度センサ33によって検知されるアクセルペダルの踏み込み量や上記回転数センサ14の出力するNE信号から算出される機関回転数などのディーゼル機関の運転状態量に基づきタイマ制御弁22の制御指令値を算出する。そしてこの制御指令値に基づきタイマ制御弁22を駆動して、プランジャ17のリフト時期を例えば図2(b)に示すように設定する。
【0051】
また、電子制御装置30は、同様にディーゼル機関の運転状態量に基づき、電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの通電開始時期及び通電遮断時期を算出する。この通電開始時期の算出方法については、後に詳しく説明するが、本実施の形態ではこの通電開始時期を、上記カウンタecnirqがクリアされてから通電を開始する迄のクランク角に対応したプレストローク最終指令値eangpsfを制御指令値として算出する。そして電子制御装置30は、この算出した通電開始時期(プレストローク最終指令値eangpsf)及び通電遮断時期をスピル弁駆動回路31に出力する。
【0052】
これにより、スピル弁駆動回路31では、図2(c)に示すように、この通電開始時期(プレストローク最終指令値eangpsf)になると、予めコンデンサ内に充電された電荷を放電して電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの通電を開始(オン)するとともに、その後、通電遮断時期となる迄は、電磁スピル弁20を閉弁保持すべく上記必要な低電流を供給する。この結果、電磁ソレノイド20aには、それに伴い例えば図2(d)に示す態様で電流が流されるようになる。こうして電流が流されると、図2(e)に示すように、電磁ソレノイド20aへの通電開始から時間Tdだけ遅れて電磁スピル弁20が閉弁され、例えば図2(f)に示すような態様で燃料噴射が開始される。
【0053】
また、その後、図2(c)に示す態様で電磁ソレノイド20aへの通電が遮断(オフ)されると、図(e)に示す態様で電磁スピル弁20が開弁され、それに伴い図2(f)に示す態様で燃料噴射が停止される。
【0054】
このようにして電子制御装置30は、電磁スピル弁20の通電時期制御及びタイマ制御弁22の駆動制御を行い、ディーゼル機関の運転状態に応じた適切な燃料噴射量、燃料噴射時期、燃料噴射率が得られるように燃料噴射制御を行っている。
【0055】
ところで上述のように、電磁ソレノイド20aに通電を開始してから電磁スピル弁20が実際に閉弁される迄には、時間Td分の応答遅れがある。このため、電磁スピル弁20を適正な時期に閉弁させるには、所望とする閉弁時期よりも応答遅れ時間Td分だけ早い時期に電磁ソレノイド20aへの通電を開始する必要がある。以下、電子制御装置30を通じて実行されるこの通電開始時期の算出にかかる演算処理の詳細を、図3〜図5に基づき説明する。
【0056】
図3(a)及び(b)は、電子制御装置30によるこうした通電開始時期の算出にかかる演算処理手順を示すフローチャートである。
これらの演算処理に先立ち、電子制御装置30は、上記アクセルペダルの踏み込み量や機関回転数といったディーゼル機関の運転状態量に基づき、プレストローク基本指令値eangpsを算出する。このプレストローク基本指令値eangpsは、バッテリ32の電圧+Bが所定の電圧Eであるときの適正な通電開始時期を示している。
【0057】
こうしてプレストローク基本指令値eangpsを求めた後、電子制御装置30は、上記パルスカウンタecnirqがクリアされた時点で、図3(a)のフローチャートに示す演算処理を実行する。この演算処理において電子制御装置30は、そのときに算出あるいは測定された機関回転数及びバッテリ32の電圧の瞬時値、すなわち瞬時回転数eneと瞬時電圧evbとを電子制御装置30内のメモリに読み込む(S10)。なお、電子制御装置30は、上記回転数センサ14が出力するNE信号の各パルスの時間間隔に基づき瞬時回転数eneを算出している。
【0058】
そして、電子制御装置30は、これら読み込んだ瞬時電圧evb及び瞬時回転数eneに基づき、図4に示すマップから電圧補正量eangvbpを算出する(ステップS20)。この電圧補正量eangvbpは、バッテリ32の電圧変動による電磁スピル弁20の閉弁駆動時の応答遅れ時間Tdの変動を補正するための係数であり、ここではこの時間Tdを先に読み込まれた瞬時回転数eneでの応答遅れ時間の変動分に相当するクランク角(°CA)に換算した値として表されている。
【0059】
図4のマップに示すように、この電圧補正量eangvbpは、瞬時電圧evbが上記基準電圧Eであるときを基準(”0”)として、瞬時電圧evbが基準電圧Eよりも高圧であるほど通電時期を遅角させるように、また基準電圧Eよりも低圧であるほど通電時期を進角させるように設定される。
【0060】
また、上記のように本実施の形態では、この電圧補正量eangvbpをバッテリ32の電圧変動による応答遅れ時間Tdの変動分に相当するクランク角に換算した値として示している。単位時間に相当するクランク角は機関回転数(クランクシャフト25の回転速度)に伴い大きくなる。このため本実施の形態では、この電圧補正量eangvbpを瞬時回転数eneについて比例関係となるように設定しており、瞬時電圧evbが同一であれば、瞬時回転数eneに拘わらず同一の時間だけ通電開始時期が補正されるようになる。
【0061】
また、このように電圧補正量eangvbpをバッテリ32の電圧変動による応答遅れ時間Tdの変動分に相当するクランク角に換算した値として求めるようにしているため、機関回転数の変動によって、電圧補正量eangvbpの算出に際して上記換算に用いる機関回転数と実際に電磁スピル弁20を閉弁駆動するときの機関回転数との差異がその開弁駆動時期の変化を生じさせるおそれがある。この点、本実施の形態では、電圧補正量eangvbpの算出に際してそのとき読み込まれたバッテリ32の瞬時電圧を用いているため、実際の電磁スピル弁32の閉弁駆動時とほぼ同じ状態に基づいて同補正量eangvbpを算出することができる。
【0062】
こうして電圧補正量eangvbpを算出した後、電子制御装置30は、図3(b)のフローチャートに示す演算処理を実行する。この演算処理において電子制御装置30は、算出した電圧補正量eangvbpに基づき、先に算出したプレストローク基本指令値eangpsを補正してプレストローク最終指令値eangpsfを算出し(ステップS30)、このプレストローク最終指令値eangpsfを上記通電開始時期としてスピル弁駆動回路31に出力する(ステップS40)。これにより、スピル弁駆動回路31は、このプレストローク最終指令値eangpsfに基づき電磁ソレノイド20aへの通電を開始し、電磁スピル弁20を閉弁させて燃料噴射を開始させることは、先述した通りである。
【0063】
図5は、本実施の形態の燃料噴射制御装置を通じてこうしてその通電開始時期、すなわち閉弁時期が制御される電磁スピル弁20の閉弁時の制御態様を示している。
【0064】
同図5において、図5(a)は上記回転数センサ14の出力するNE信号を、図5(b)はバッテリ32の電圧変動を、図5(c)はスピル弁駆動回路31によって制御される電磁ソレノイド20aへの通電態様を、図5(d)は電磁ソレノイド20aに流される通電電流を、図5(e)は電磁スピル弁20の開閉弁動作をそれぞれ示している。また、これら図5(b)〜(e)には、バッテリ32の瞬時電圧evbが基準電圧Eのとき、基準電圧Eよりも電圧b1だけ低電圧であるとき、及び基準電圧Eよりも電圧b2だけ高電圧であるときの態様がそれぞれ示されている。
【0065】
上述したように、電子制御装置30は、上記パルスカウンタecnirqがクリアされた時点でバッテリ32の瞬時電圧evbとディーゼル機関の瞬時回転数eneとを読み込み、これら瞬時電圧evb及び瞬時回転数eneに基づき電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの通電開始時期を算出する。
【0066】
図5(c)に示すように、この通電開始時期は、電圧補正量eangvbpに基づく補正により、瞬時電圧evbが低電圧であるときには同補正分eangbvp1だけ早くなり、高電圧であるときには同補正分eangbvp2だけ遅くなるように設定されている。
【0067】
通電が開始されると電磁ソレノイド20aには、例えば図5(d)に示される態様で電流が流される。この図5(d)に示すように、電磁ソレノイド20aの通電電流の特性はバッテリ32の電圧に応じて変化する。これは、バッテリ32の電圧に応じてスピル弁駆動回路31のコンデンサのチャージ量が変化し、通電時に電磁ソレノイド20aに供給される電力が変化するためである。この結果、通常であれば、バッテリ32の電圧+Bが低いほど、電磁スピル弁20の閉弁駆動時の応答遅れ時間Td、すなわち電磁ソレノイド20aの通電が開始されてから電磁スピル弁20が閉弁される迄の時間は長くなる。本実施の形態では、図5(d)に示すように、バッテリ32の瞬時電圧evbが低電圧であるときの応答遅れ時間Td1は、瞬時電圧evbが基準電圧Eであるときの応答遅れ時間Td0よりも長くなり、瞬時電圧evbが高電圧であるときの応答遅れ時間Td2は上記基準電圧E時の応答遅れ時間Td0よりも短くなる。
【0068】
ただし、本実施の形態では、こうしたバッテリ32の電圧に伴う応答遅れ時間Tdの変動に応じて通電開始時期が補正されており、通電開始時期算出時のバッテリ32の瞬時電圧evbが低いほど通電開始時期が早くなるよう設定されている。このため、図5(e)に示すように、電磁スピル弁20は、バッテリ32の電圧に拘わらず常に適正な時期に閉弁されるようになる。
【0069】
このように本実施の形態では、バッテリ32の電圧及び機関回転数に応じて通電開始時期を可変設定することで、電磁スピル弁20を適正な時期に閉弁させることができるようになる。しかも、本実施の形態では、そのときに読み込んだバッテリ32の瞬時電圧evb及びディーゼル機関の瞬時回転数eneを用いているため、実際の電磁スピル弁20の閉弁駆動時とほぼ同じ状態に基づいて通電開始時期を算出することができるようになる。このため、バッテリ32の電圧変動や機関回転数の変動に拘わらず電磁スピル弁20を常に適正な時期に閉弁させることができるようになり、燃料噴射の開始時期や燃料噴射量、燃料噴射率などを非常に高い精度で制御することができるようになる。
【0070】
以上説明したように本実施の形態の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)通電開始時期の算出時に読み込んだバッテリ32の瞬時電圧evbを用いて通電開始時期を可変設定することで、バッテリ32の電圧変動に拘わらず、電磁スピル弁20を常に適正な時期に閉弁させることができる。しかも、実際の電磁スピル弁20の閉弁駆動時とほぼ同じ状態でのバッテリ32の瞬時電圧evbに基づいて通電開始時期が設定されるため、非常に高い精度で燃料噴射を制御することができるようになる。
【0071】
(2)また、電圧補正量eangbpの算出に際してそのとき読み込まれたバッテリ32の瞬時電圧evbを用いているため、機関回転数の変動が通電開始時期に及ぼす影響を低減することができ、機関回転数の変動にも拘わない、電磁スピル弁20のより適正な時期での閉弁が可能となる。
【0072】
(3)また、閉弁駆動時の応答遅れ時間Tdの変動が大きくとも電磁スピル弁20を適正な時期に閉弁させることができ、同電磁スピル弁20の閉弁駆動時の応答性が低くとも、燃料噴射にかかる精度を充分に確保することができるようになる。したがって、電磁スピル弁20の設計等も容易となる。
【0073】
なお、以上説明した実施の形態の燃料噴射制御装置は、以下のように変更することもできる。
・上記実施の形態では、電圧補正量eangvbpを瞬時電圧evbと瞬時回転数eneとの2次元マップから求める構成としたが、瞬時電圧evb及び瞬時回転数eneに応じた補正量が得られればその算出法は任意であり、例えば次のような1次式から算出するようにしても良い。
【0074】
eangvbp=6×(E−evb)×[時間係数]×ene
ここで、eangvbpは電圧補正量[°CA]、Eは基準電圧[V]、evbは瞬時電圧[V]、eneは瞬時回転数[rpm]である。また、「時間係数」は、予め実験や理論などによって求められた瞬時電圧evbと基準電圧Eとの差分に応じた電磁スピル弁20の応答遅れ時間の変動量を反映する係数[秒/V]である。なお、上式の係数「6」は、(E−evb)×[時間係数]によって求められた応答遅れ時間[秒]を瞬時回転数[rpm]に対応したクランク角[°CA]に換算するための係数である(360[°CA]/60[秒])。
【0075】
・また、電圧補正量eangvbpと瞬時電圧evbや瞬時回転数eneとの相関関係についても、先の図4のマップに示される相関関係に限らず、スピル弁やその駆動回路などの特性に応じて任意に変更しても良い。
【0076】
・また、上記実施の形態では、電磁スピル弁20の電磁ソレノイド20aへの通電開始時期を瞬時電圧evbなどによって可変設定しているが、その通電停止時期についても同様の可変設定を行うようにしても良い。
【0077】
・また、上記実施の形態の燃料噴射制御装置では、電磁ソレノイド20aの通電態様の切り換えに基づき駆動する常開型の電磁スピル弁20が採用される場合について示したが、他に例えば常閉型のスピル弁や圧電素子アクチュエータによって駆動される方式のスピル弁など、他の方式のスピル弁が採用された燃料噴射制御装置についても、この発明はほぼ同様に適用することができる。
【0078】
・また、上記実施の形態では、電圧補正量eangvbpの算出にそのときに読み込んだディーゼル機関の瞬時回転数eneを用いていたが、別のタイミングに読み込まれた瞬時回転数ene、あるいは所定時間毎に読み込まれた回転数の平均値や徐変値を用いるようにしても良い。また、瞬時電圧evbのみによって電圧補正量eangvbpを算出するようにしても良い。こうした場合、ある程度精度は低下するものの、スピル弁の駆動時期へのバッテリ32の電圧変動に影響を低減することはできる。
【0079】
・また、本発明にかかる燃料噴射制御装置は、燃料噴射量や燃料噴射時期、燃料噴射率などの燃料噴射状態をその駆動に基づき調整し、バッテリ電圧の変動に応じて応答速度が変化するアクチュエータであって、その駆動時期に高い精度が必要とされるものであれば、その駆動を制御する装置として上記実施の形態と同様あるいはこれに準じた態様で適用することができる。こうしたアクチュエータとしては、コモンレール式ディーゼル機関やガソリン機関のインジェクタなどのがある。
【0080】
・なお、上記実施の形態では、通電のオン/オフ切り換えによってアクチュエータ(スピル弁)を駆動する構成について説明したが、例えば給電量を段階的に制御することで駆動されるアクチュエータについても、上記実施の形態に準じた制御態様を適用することができる。
【0081】
以上説明した実施の形態から把握される請求項に記載した以外の技術的思想について、その作用・効果と共に以下に記載する。
(イ) 請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記給電態様の切り換え時期に関する情報は、前記バッテリ電圧の瞬時値が低い程、同切り換え時期を早める方向に補正されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0082】
一般に、バッテリ電圧が低下するとアクチュエータに供給される電力が減少し、アクチュエータの応答速度も低下してしまう。したがって、上記構成のように、バッテリ電圧の瞬時値が低い程、給電態様の切り換え時期を早めるようにすることで、アクチュエータの駆動時期を適正な時期に変更させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる燃料噴射制御装置の適用対象となる内燃機関の構成を示す略図。
【図2】同実施の形態にかかる燃料噴射制御装置の制御態様を示すタイムチャート。
【図3】同実施の形態の燃料噴射制御装置について電磁スピル弁の通電開始時期の算出にかかる演算処理手順を示すフローチャート。
【図4】マップデータである瞬間電圧及び瞬間回転数と電圧補正量との関係を示すグラフ。
【図5】上記実施の形態にかかる燃料噴射制御装置の制御態様を示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…燃料噴射ポンプ、11…ドライブシャフト、12…フィードポンプ、13…パルサ、14…回転数センサ、15…ローラリング、16…カムプレート、17…プランジャ、18…シリンダ、18a…プレッシャチャンバ、18b…スピル通路、19…燃料室、20…電磁スピル弁、20a…電磁ソレノイド、21…デリバリバルブ、22…タイマ制御弁、23…タイマピストン、23a…タイマシリンダ、24…燃料噴射ノズル、25…クランクシャフト、30…電子制御装置、31…スピル弁駆動回路、32…バッテリ、33…アクセル開度センサ。

Claims (7)

  1. バッテリ電圧に基づく給電態様の切り換えに応じて駆動態様が変更されるアクチュエータを通じて内燃機関への燃料噴射態様を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータに対する給電態様の切り換え時期の算出時に前記バッテリ電圧の瞬時値と当該機関の回転数とを読み込み、それら読み込んだバッテリ電圧の瞬時値と機関回転数とに応じて前記給電態様の切り換え時期に関する情報を補正する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータは、電磁ソレノイドへの給電態様の切り換えに応じて駆動態様が変更されるものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータは、前記給電態様の切り換えに応じて燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧送を許容する許容駆動若しくは同燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧送を禁止する禁止駆動を行うスピル弁を備えており、
    当該燃料噴射制御装置は、前記スピル弁の前記許容駆動に基づき当該機関への燃料噴射を開始し、同スピル弁の前記禁止駆動に基づき当該機関への燃料噴射を停止するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記給電態様の切り換え時期に関する情報の補正は、前記スピル弁の許容駆動及び禁止駆動のうち、同スピル弁の駆動にかかる応答性の低い側に対して行われる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記給電態様の切り換え時期に関する情報の補正は、同スピル弁の許容駆動に対して行われる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記機関回転数として、前記給電態様の切り換え時期の算出時における当該機関の回転数の瞬時値を用いる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記給電態様の切り換え時期に関する情報は、前記機関回転数について比例関係をもって補正される
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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