JP3746122B2 - 2次元ドプラ形超音波診断装置 - Google Patents

2次元ドプラ形超音波診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波ドプラ法を用いて2次元断層像上に分布した血流像を得る2次元ドプラ形超音波診断装置に係り、とくに、この超音波診断装置により表示される血流像に用いる画像データの補間法の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療現場において目覚ましく普及しているモダリティの一つに、被検体の2次元断層像上に分布した血流像(2次元血流像)を得ることができる2次元ドプラ形超音波診断装置がある。この装置は、被検体内に送信された超音波が血流により散乱されると、ドプラ効果により周波数偏移を生じるという超音波ドプラ効果に基礎を置いている。この周波数偏移の情報から血流速度、血流の速度分散、血流の強度(パワー)などの血流情報を演算している。
【0003】
この超音波診断装置は、その信号処理回路にMTIフィルタ、血流情報演算部、およびDSCを搭載している。MTIフィルタにより、被検体のスキャン断面に設定された複数のサンプル点について血流に因る周波数偏移を反映したドプラ信号のみが効率良く検出される。そのドプラ信号に基づき血流情報演算部で複数のサンプル点の血流情報が演算される。演算された複数のサンプル点の血流情報はDSCに送られ、内蔵するフレームメモリに書き込まれる。血流情報はフレームメモリ上で2次元分布の画像データとして所望の態様で展開・処理された後、2次元血流像としてモニタに表示される。
【0004】
超音波ドプラ法においては、同一の走査線(ラスタ)に対して複数の超音波送受信が必要である。通常、血流情報を実用に供し得る精度で推定演算するために、各走査線について10回程度の超音波送受信が実施される。このため、1回の超音波送受信により1本の走査線の画像データが得られるBモード断層像に比べると、2次元血流像の走査線の本数LFはかなり少なくなる。例えば、
【数1】
Figure 0003746122
とすると、
【数2】
Figure 0003746122
となる。この走査線本数=20本で例えば視野幅=5cmのスキャンを行うと、血流情報の隣接走査線間の間隔(つまり、サンプル点同士のスキャン方向の間隔)は5cm/20本=2.5mmとなる。このように大きい間隔のままモニタに画像を表示すると、図9(a)に示すように、速度が原理的に零である背景(組織)BK上に重畳表示される血流像BDはスキャン方向に細切れ状態で表示される。つまり、格別にスムージングされていない状態であるから、血流は目立つが、血流像全体が粗くなり、画像品位が低下するという問題がある。
【0005】
この画像品位の低下を回避するため、一般には、走査線間の画像データを補間している。すなわち、同図(b)に模式的に示す如く、表示画像上で血流BD′が細切れにならず(分断されず)、その流れ方向に滑らかになるように画像データの段階で不足情報を補う補間処理を行っている。
【0006】
この補間処理を行う従来例を図10に示す。同図は血流像用のDSC内の書込み補間回路を示す。血流演算部でドプラ信号から演算されたサンプル点毎の速度データDi(iは1以上の整数:実測データ)は、前段切換器101を介して分配回路102に送られる。分配回路102は速度データDiを並び変えて、例えば隣接し合う4本の走査線上の同じ深さのサンプル点で実測された4つの速度データを同時に出力させる。この4つの速度データはそれぞれ乗算器103で係数が掛けられて加算器104に送られて、互いに加算される。この加算データが補間データDjとして使用される。乗算器103…103のそれぞれには乗算係数発生回路105から乗算係数信号が与えられ、その乗算係数が制御される。乗算係数は乗算係数発生回路105にて、所定の補間関数に基づき各実測点と補間点との距離に応じて決定される。
【0007】
補間データDjはその後、後処理部106にてオーバーフローなどの後処理に付され、後段切換器107に供給される。この後段切換器107には、前段切換器101からディレイ回路108を介して実測した速度データDiが供給されている。後段切換器107は制御回路109からの制御信号に応じて、その入力端をディレイ回路側または後処理部側に切り換える。これにより、後段切換器107からは、実測した速度データDjが図示しないフレームメモリに出力されるとともに、補間位置のデータの出力タイミングになると、補間した速度データDjが同フレームメモリに出力される。フレームメモリ上では血流情報の表示に必要な処理が施される。
【0008】
上述の補間処理は移動平均処理の如く、実測した4つの速度データの位置を1個ずつ移動して繰り返される。この補間処理は、リニアスキャン、セクタスキャンなどのスキャン方法に関わらず適用できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2次元血流像の表示法にあっては、例えば隣り合う4本の走査線上の同一深さのサンプル点から成る4点の血流速度データにフィルタ関数を乗算して、血流速度v、速度分散σ、および血流強度pに対するデータ補間処理を一律に行っている。このため、モニタに表示される2次元血流像は図9(b)に示すようにスキャン方向に滑らかになる反面、異状血流の指標となる血流の速度分散σが低下し、その異常さもスムージングされてしまうが故に、表示画面上で異常血流が目立ち難くなるという問題があった。異常さの程度が大きいならば、そのようにスムージングされても、異常血流である旨の判断は何とかつけられるが、異常さの程度が僅かな場合、異常血流を見落とす原因にもなりかねない。
【0010】
一方、この見落としを防止しようとすると、同一血流に対してスキャン断面を変えながら確認のスキャンを行う必要があるなど、その手間が多くなり、操作時間の長期化や操作上の労力の増大を招くという不具合があった。
【0011】
本発明は、上述した従来の補間処理法の問題に鑑みてなされたもので、とくに、血流の運動データの補間処理に伴うスムージングに因って異常血流に対する視認性が低下するのを防止し、かつ2次元血流像の全体の品位はスムージングによって良好に保持できるようにすることを、その目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の一つの態様に係る2次元ドプラ形超音波診断装置は、被検体内の断面を超音波信号で時系列に複数回スキャンしてエコー信号を得るスキャン手段と、前記断面上に2次元に設定された複数のサンプル位置のドプラデータを前記エコー信号から抽出する抽出手段と、前記ドプラデータに基づき前記複数のサンプル点の血流の実際の運動データを演算する実際値演算手段と、前記複数のサンプル位置を補間する補間位置の運動データを前記実際値演算手段により演算された運動データから補間演算する補間値演算手段と、前記実際値演算手段および前記補間値演算手段で演算された運動データを2次元血流像として表示する表示手段とを備え、前記補間値演算手段は、前記補間位置に対して補間演算上で関与させる前記複数のサンプル位置の内の所定位置の前記運動データから血流の異常状態の有無を認識する認識手段と、この認識手段により血流の異常状態が無いことが認識されたときには前記平均化の度合いを所定値に設定する第1の制御手段と、前記認識手段により血流の異常状態が有ることが認識されたときには前記平均化の度合いを前記所定値よりも下げる第2の制御手段とこの第1及び第2の制御手段により制御される平均化の度合いに基づき前記補間演算を実施する演算実施手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
好適には、前記認識手段は、前記所定位置の前記運動データと所定のしきい値とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に応じて前記所定位置の少なくとも1つの位置を流れる血流の異常状態の有無を判定する判定手段とを有する。
【0014】
例えば、前記第1の制御手段は、前記平均化の度合いを所定値に設定するための第1の補間関数に基づいて前記補正演算用の複数個の第1の係数を生成する手段であり、前記第2の制御手段は、前記平均化の度合いを前記所定値よりも下げるための第2の補間関数に基づいて前記補正演算用の複数個の第2の係数を生成する手段である。前記第2の補間関数が関与する前記所定位置の数を、前記第1の補間関数が関与する前記所定位置の数よりも少なく設定してある。好適な一例では、前記第1の補間関数が関与する前記所定位置の数は4個であり、前記第2の補間関数が関与する前記所定位置の数は4個未満である。
【0015】
また例えば、前記演算実施手段は、前記複数個の第1の係数または前記複数個の第2の係数を、前記第1の補間関数または前記第2の補間関数に応じて決まる前記所定位置の前記運動データに乗じる複数個の乗算器と、この複数個の乗算器の乗算結果を互いに加算する加算器とを備える。
【0016】
好適な一態様によれば、前記運動データは血流速度、速度分散、および血流強度の内の少なくとも1つから成る。この場合、前記所定のしきい値は、前記血流速度、速度分散、および血流強度のそれぞれに設定された3つのしきい値から成り、この3つのしきい値のそれぞれは血流が異常な流れ状態であるか否かを弁別可能な値に設定する。また、前記判定手段は、前記血流速度、速度分散、および血流強度が前記個々のしきい値を越えるときに、前記所定点の位置の少なくとも一つを流れる血流は異常状態であると判定する手段である。
【0017】
好適には、前記所定位置は、前記複数のサンプル位置の内の前記超音波信号のラスタのスキャン方向に隣接した同一深さ位置の複数位置から成る。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1つの実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
装置の構成および機能の概要
まず、この実施形態に係わる超音波診断装置の構成および機能の概要を説明する。
【0020】
図1に示す超音波診断装置は超音波ドプラ法に基づく2次元ドプラ形の装置である。この超音波診断装置は、被検体1の体表に当接させて用いられ、かつ超音波信号と電気信号の間で双方向に信号変換可能な超音波プローブ2と、この超音波プローブ2に接続された送受信回路3とを備える。さらにこの装置は、送受信回路3のエコー信号出力側に装備されたレシーバ4および血流情報演算部5を備えるとともに、そのレシーバ4および血流情報演算部5にそれぞれ接続されたBモード用DSC(デジタル・スキャン・コンバータ)6およびCFM(カラーフローマッピング)モード用DSC7と、両方のDSC6、7に接続されたデータ合成部8と、このデータ合成部8に接続された表示部9とを備える。
【0021】
超音波プローブ2(以下、プローブという)は、その先端に配置されたアレイ型圧電振動子を備える。アレイ型振動子は微小な複数の圧電素子を並列に配置し、その配置方向をスキャン方向としたもので、複数の圧電素子それぞれが送受信の各チャンネルを形成する。このプローブ2としては、セクタスキャン用、リニアスキャン用など様々なタイプのものを採用できる。
【0022】
送受信回路3はプローブ2を介して被検体1に超音波パルス信号を送波させるとともに、被検体1内の血流に因るドプラ偏移を受けた信号(血流信号)を含む超音波エコー信号をプローブ2を介して受信するようになっている。これを実行するために、送受信回路3は送信系回路3Aと受信系回路3Bとを備える。
【0023】
送信系回路3Aには、図示していないが、クロック発生器、レートパルス発生器、送信遅延回路、およびパルサを搭載している。クロック発生器は所定周期のクロックパルスを発生する。レートパルス発生器はクロックパルスを入力して分周し、例えば5kHzのレートパルスを発生する。このレートパルスは送信チャンネル毎に装備された送信遅延回路に分配・入力させる。送信遅延回路のそれぞれでは、超音波パルス信号から成る超音波ビーム信号をフォーカスさせ且つスキャンさせるための送信チャンネル毎の遅延時間が与えられる。この遅延制御されたレートパルスは送信チャンネル毎のパルサに出力される。パルサのそれぞれは、レートパルスが入力すると、高周波の電圧パルスを発生する。この電圧パルスはプローブ2の送信チャンネル毎の圧電素子に与えられ、圧電素子を励振する。この結果、圧電素子から超音波パルス信号が発生する。送信チャンネル全体の圧電素子それぞれから発生した超音波パルス信号は、被検体1内において、送信フォーカスが掛かってビーム状に絞られるとともに、所望のラスタ方向に向けられた超音波ビーム信号となる。
【0024】
この超音波ビーム信号は、被検体1の組織や血球などの音響インピーダンスの異なる境界で反射・散乱して超音波エコー信号となる。超音波エコー信号の一部はプローブに到達し、複数の受信チャンネルの圧電素子で受信される。各圧電素子は超音波エコー信号をこれに対応する電圧量のエコー信号に変換して受信チャンネル毎に受信系回路3Bに送るようになっている。
【0025】
受信系回路3Bには、図示していないが、受信チャンネル毎にそれぞれ設けたプリアンプおよび受信遅延回路と、加算器とが搭載されている。各受信チャンネルのエコー信号はプリアンプを介して受信遅延回路に入力する。複数の受信遅延回路にはそのチャンネル毎に、受信フォーカスを掛けるための遅延時間と、所望のラスタ方向に演算上でスキャンさせるための遅延時間とを合わせた遅延時間が与えられるようになっている。受信遅延回路それぞれから出力されたエコー信号は加算器で加算される。これにより、受信フォーカスが掛けられ、かつ所望ラスタ方向に指向性を有する受信処理信号が演算上で生成される。この受信処理信号はレシーバ4および血流情報演算部5に出力するようになっている。
【0026】
レシーバ4は、図示していないが、包絡線検波器およびA/D変換器を備える。このため、レシーバ4に入力した受信処理信号は包絡線検波され、デジタル量で成るBモード(白黒断層像モード)の画像データに変換される。この画像データはその後、Bモード用DSC6に送られる。
【0027】
Bモード用DSC6は図1に示す如く、その入力側から順に、書込み補間回路11、フレームメモリ12、および読出し補間回路13を備える。Bモードの画像データはまず、書込み補間回路11にて、不足するサンプル点に対する空間的なデータ補間を受けた後、フレームメモリ12に書き込まれる。画像データはフレームメモリ12上で2次元分布のBモードデータとして展開される。展開された画像データは読出し補間回路13で読出し方向に補間され、データ合成部8に出力される。
【0028】
一方、血流情報演算部5にも受信系回路3Bから受信処理信号が入力している。血流情報演算部5は、ドプラ信号検出用の直交位相検波器、デジタル量への信号変換用のA/D変換器、血流信号抽出用のMTIフィルタ、周波数解析用の自己相関器、および運動情報演算用の演算器を備える。直交位相検波器からMTIフィルタまでは複素数信号の実数部および虚数部に対応した2チャンネルの信号として取り扱われる。直交位相検波器は受信処理信号を入力して血流などの移動体に起因したドプラ偏移周波数のドプラ信号を検出する。この検出は、同検波器にて、受信処理信号を参照信号とミキシングすることで実行される。
【0029】
直交位相検波器で検出されたドプラ信号は、A/D変換器にて所定サンプリング周波数にしたがってデジタル量のドプラデータに変換される。この変換により、1本の走査線上で例えば0.5mm間隔の空間的なサンプル点毎のドプラデータがつくられる。MTIフィルタはデータメモリとハイパスフィルタとを備えており、A/D変換器で変換されたドプラデータはMTIフィルタのデータメモリに一時的に格納される。
【0030】
CFMモードの場合、1つのスキャン断面の2次元血流像を得るには、その断面を複数回(例えば10回)スキャンして各サンプル点の時系列のドプラデータを得る必要がある。このスキャン制御は図示しない制御装置からの指令によりなされる。
【0031】
MTIフィルタでは、そのデータメモリからドプラデータ列がサンプル点毎に読み出され、後段のハイパスフィルタに与えられる。ハイパスフィルタはそのフィルタ特性により、心筋などの運動速度の遅い組織からのクラッタ成分(組織エコー成分)をドプラデータ列の周波数成分から良好に除去し、移動速度の早い血流エコー成分を主とするドプラデータ列を抽出するようになっている。このようにして形成される実数部および虚数部に相当する2チャンネルの血流エコー成分に対応したドプラデータ列は、自己相関器に出力される。
【0032】
自己相関器は自己相関法を用いて実数部、虚数部の2チャンネルのドプラデータ列から、自己相関係数の実数部、虚数部、および大きさを演算する。演算器はその自己相関係数から、各サンプル点の血流の平均速度、速度分散、血流速度(パワー)などの血流情報を演算するようになっている。この演算情報はその後、CFMモード用DSC7に出力される。この演算情報は、実測したドプラ信号に基づくものであるから、以下、「実測データDi(例えばi=1,2,3,4)」と呼ぶ。
【0033】
このCFMモード用DSC7は図1に示す如く、その入力側から順に、書込み補間回路14、フレームメモリ15、および読出し補間回路16を備える。この内、書込み補間回路14は本発明の要旨の中心を成すもので、後述する要領で実測データDiを空間的に補間してフレームメモリ15に運動データの2次元分布データとして展開する(書き込む)。このフレームメモリ15に展開された2次元分布データは読出し補間回路16により読出し方向に補間され、データ合成部8に出力される。
【0034】
データ合成部8は、Bモード用DSC6およびこのCFMモード用DSC7から供給されたフレーム画像データから、ピクセル毎に、いずれかのモードのデータを優先的に選択するマルチプレクサを備えている。これにより、例えばBモード断層像に2次元血流像が重畳された1フレームの画像データに合成される。この画像データは表示部9に送られ、カラー処理され、D/A変換器によりアナログ量に戻される。そして、モニタ上に例えばBモード断層像上に2次元血流像が重畳して表示されるようになっている。
【0035】
なお、上述した構成説明において、装置全体の動作タイミングを制御する制御回路やオペレータが操作するコンソールなどの説明は省略する。
【0036】
CFMモード用書込み補間回路
さらに、上述したCFMモード用DSC7の書込み補間回路14の詳細な構成および機能を図2および図3に基づき説明する。
【0037】
この書込み補間回路14は、その入力側に設けたバッファメモリ部21と、このメモリ部のデータ読出し側に設けた書込み補間部22と、書込み補間回路14全体の動作を制御する制御回路23とを備える。
【0038】
バッファメモリ部21は、実測データDiの補間に使用するラスタ(ライン)本数分に所定の余裕を持たせた本数分のバッファメモリを内蔵している。例えば4点の実測データを使う4点補間を行う場合は5本のバッファメモリを備える。各バッファメモリには、超音波ラスタ上の各サンプル点の実測データDi(具体的には血流速度vi、速度分散σi、血流強度pi)が一時的に記憶される。この記憶制御は制御回路23からの信号に基づき実行される。
【0039】
書込み補間部22は、ここでは4点補間を実施する構成を有する。具体的には図2に示すように、その入力側に前段切換器31を備える一方で、その切換出力側に、ディレイ回路32、後段切換器33、分配回路34、乗算器351 〜354 、加算器36、後処理部37、比較判定回路381 〜384 、補間関数指令回路39、および乗算係数発生回路40を備える。
【0040】
前段切換器31は1入力2出力形の電子スイッチング回路であり、制御回路23からの制御信号に基づき、その出力経路を出力端TとCとの間で切り換えるようになっている。この前段切換器31の入力端はバッファメモリ部21の読出し出力端に接続されている。また、2出力端T,Cの内、一方の出力端Tはディレイ回路32を介して後段切換器33の一方の入力端Tに繋がっている。後段切換器33は2入力1出力形の電子スイッチング回路であり、やはり制御回路23から出力される制御信号に呼応してその入力端T,Cの内の一方を選択して出力端側に切り換えるようになっている。後段切換器33の出力端はCFMモード用DSC7のフレームメモリ15に繋がっている。
【0041】
前段切換器31のもう一方の入力端Cは分配回路34の入力端に接続されている。この分配回路34は1入力4出力形の電子回路で構成されるデータ分配器であり、制御回路23からの制御信号に呼応して、入力データを4つの出力端T1〜T4に分配出力できるようになっている。この4つの出力端T1〜T4のそれぞれには比較判定回路381 (〜384 )の入力端および乗算器351
(〜354 )の2入力端の内の一方が並列に接続されている。
【0042】
この内、乗算器351 〜354 のそれぞれのもう一方の入力端には、後述する乗算係数発生回路40から供給された乗算係数信号が与えられる。これにより、乗算器351 〜354 はそれぞれ、2入力端に供給される信号を乗算して乗算信信号を出力する。各乗算器351 (〜354 )の出力端は加算器36の4入力端のそれぞれに至る。結局、加算器36では4つの乗算器351 〜354 で演算された乗算結果が互いに加算され、その加算信号が後処理部37に送られる。後処理部37では加算信号に所定の後処理が施され、最終の補間データDjとして出力される。後処理部37の出力端は前述した後段切換器33の残りの入力端Cに接続されているので、補間データDjが後段切換器33に送られ、制御回路23から後段切換器33に対する適宜な切換タイミング制御により、同切換器33から実測データDおよびこれを補間する補間データDjが出力される。
【0043】
本発明は、上記補間データDjの生成に関わる乗算係数の発生の仕組みに特徴を有するものである。これを以下に詳述する。この仕組みは比較判定回路381 〜384 、補間関数指令回路39、および乗算係数発生回路40を組み合わせて実現される。
【0044】
比較判定回路381 〜384 のそれぞれの構成例を図3に示す。各比較判定回路381 (〜384 )はここでは、3つの比較器41v,41σ、41p、しきい値発生器42、および判定回路43を備えたロジック回路群で構成されている。3つの比較器41v,41σ、41pの比較入力端には、実測データDiを形成する血流速度vi,速度分散σi、および血流強度piがそれぞれ与えられ、またその基準入力端には、各物理量(血流速度v,速度分散σ、および血流強度p)別にしきい値v,σ,pがしきい値発生回路42から与えられる。そこで、比較器41v,41σ、41pは単純に、血流速度viについては|vi|と|v|の大小関係を、血流強度piについてはpiとpの大小関係を、さらに速度分散σiについてはσiとσの大小関係をそれぞれ判定し、その判定結果を表す信号を判定回路43に供給するようになっている。
【0045】
判定回路43は比較器41v,41σ、41pそれぞれからの比較結果を表す信号を受けて、異常血流かそうでないかを判定するロジック回路である。この判定ロジックの一例を図4に示す。すなわち、入力する比較結果信号の夫々が、
【数3】
Figure 0003746122
異常血流と判定し、判定信号φi=1を出力する。また、
【数4】
Figure 0003746122
正常血流(異常血流ではない)と判定し、判定信号φi=0を出力する。また、
【数5】
Figure 0003746122
正常血流(異常血流ではない)と判定し、判定信号φi=0を出力する。また、
【数6】
Figure 0003746122
ノイズに特有の状態であると判定し、やはり判定信号φi=0を出力する。すなわち、異常血流の場合は正論理で「1」の判定信号φi(i=1,2,3,4)が、異常血流ではなく、正常と見做せる血流の場合は正論理で「0」の判定信号φiがそれぞれ出力される。以上の判定は、比較判定回路381 〜384 で独立して、すなわち観測している複数のサンプル点(ここでは4個)のそれぞれ毎に実施され、判定信号φ1 〜φ4 が補間関数指令回路39に与えられる。
【0046】
なお、比較判定回路381 〜384 のそれぞれまたは全部をCPU(コンピュータ)を主要部として構成することもでき、その場合には図4に示したと等価なソフトウエア処理をCPUに実行させればよい。
【0047】
補間関数指令回路39は図5に示すように、論理和回路で構成される。この論理和回路には、上述した判定信号φ1 〜φ4 が入力するので、実測データD1 〜D4 の少なくても1つが異常血流と判定されたときには、最終の指令信号α=1(論理レベル)を形成し、この信号αを乗算係数発生回路40に送るようになっている。判定信号φ1 〜φ4 が全て「0」のときには、最終の指令信号α=0 (論理レベル)になる。
【0048】
また乗算係数発生回路40は、図5に示すように、メモリ51と係数発生器52とを備える。メモリ51は、ここでは2種類の4点補間用補間関数f1および2点補間用補間関数f2の関数値を予め記憶したデータテーブルを有する。このメモリ51には指令信号αが供給される。指令信号αの論理値に応じていずれかの補間関数f1またはf2の関数値がメモリ51から読み出され、係数発生器52に送出される。本実施形態では例えば、指令信号α=0(異常血流ではない)のときには、図6(a)に示す4点補間用補間関数f1にしたがう関数値が読み出され、係数発生器52に与えられる。反対に、指令信号α=1(異常血流である)のときには、同図(b)示す2点補間用補間関数f2にしたがう関数値が読み出され、係数発生器52に与えられる。このように異常血流であるか否かに応じて、実測データ補間用の補間関数が選択される。
【0049】
本発明で採用している補間法は、図7に例示するように、相互に隣接した複数本(ここでは4本)の超音波ラスタにおけるラスタ方向の同一深さ位置、すなわちスキャン方向(方位方向)で連続する複数サンプル点位置xiの実測データDiを用いるもので、そのサンプル点間で空間的に空いている位置のデータDjを補間するものである。ここでは一例として、異常血流ではないと判定された場合、4点補間用補間関数f1が選択される。この4点補間は、補間よるスムージング(平均化)をより強く掛けるために、図6(a)に示す如く、スキャン方向の隣接4点x,x,x,xの位置の実測データDi全部を用いる。このときの補間関数f1は隣接4点x,x,x,xに跨がる比較的平坦な関数分布を有する。また2点補間は、スムージングの程度を下げるために、図6(b)に示す如く、スキャン方向の例えば隣接2点x,xの位置の実測データDiを用いる。このときの補間関数f2は隣接2点x,xのみに跨がる急峻な関数分布を有する。4点補間の場合の補間関数の種類としては、シンク関数、ガウス関数、矩形関数などのフィルタ関数を採用できる
係数発生器52は、メモリ51から血流判定結果に応じて読み出された補間関数f1またはf2の関数値のほかに、制御回路23から補間予定の空間位置を表す信号γを受ける。係数発生器52は例えば専用のプロセッサを有し、選択された複数点(ここでは、4点x,x,x,xまたは2点x,x)のそれぞれと指定補間位置と間の空間距離差を演算して、補間用の係数を発生する。この乗算係数演算を定量的に表すと、図6に示す補間位置xに対して、xから補間位置xまでの距離をkとすると、4点補間の場合、
【数7】
Figure 0003746122
の4個であり、2点補間の場合、
【数8】
f2(x+k),f2(x+k)
の2個である。
【0050】
この複数個の乗算係数は乗算器351 〜354 に個別に送られる。このため、4点補間の場合、乗算器351 〜354 による実測データD1 〜D4 との乗算および加算器36の加算によって、補間位置xにおける補間データD(=Dj)が、
【数9】
Figure 0003746122
と等価な演算により求められる。また、2点補間の場合、
【数10】
Figure 0003746122
と等価な演算により補間データDが求められる(図6参照)。
【0051】
4点補間から2点補間に切り換られると、乗算係数発生回路40から補間に供しない2つの乗算器351 、354 に出力される2つの係数信号は、補間関数の関数値=零に伴って零となり、その乗算出力も零となる。
【0052】
書込み補間回路14の制御回路23は例えば専用のCPUを用いて構成され、同回路14の全体の動作タイミングの制御や補間位置の指令を行う。
【0053】
全体動作と利点
いまCFMモードで装置を動作させるものとする。送受信回路3を駆動させると、被検体1との間でプローブ2を介した超音波信号の送受が実施される。このとき、背景像としてのBモード断層像を得る超音波スキャンおよび2次元血流像を得るための超音波スキャンのスキャン回数は図示しない制御装置により個別に制御される。
【0054】
このスキャンにより、レシーバ4からはBモードの画像データが得られ、この画像データはBモード用DSC6を介してデータ合成部8に送られる。また血流情報演算部5からは血流の運動データが得られ、CFMモード用DSC7に送られる。
【0055】
CFMモード用DSC7に入力した運動データ(実測データDi)は一度、バッファメモリ部21に記憶される。この運動データは図7に示すように、バッファメモリ部21から適宜なタイミングで、スキャン方向に連続しかつ相互に隣接する、ラスタ方向の同一深さに位置する例えば4点の位置x,x,x,xの実測データDi(i=1,2,3,4)となるように読み出される。この実測データDiは書込み補間部22にて、前段切換器31によりディレイ回路32と分配回路34の双方にそれぞれ切り換えて出力される。ディレイ回路32に出力された実測データDiは、補正データDjの演算が終わるまで同回路で遅延される。
【0056】
分配回路34に出力された実測データDi(=D1 ,D2 ,D3 ,D4 )は同回路により4出力に分配され、出力端T1 ,T2 ,T3 ,T4 から同時に出力される。これにより、実測データDiが乗算器351 〜354 それぞれの一方の入力となるとともに、比較判定回路381 〜384 のそれぞれに送られる。各比較判定回路381 (〜384 )では、前述した機能により4つの位置x,x,x,xの実測データDiのそれぞれが異常血流に相当するかどうかが判定され、判定信号φiが補間関数指令回路39に出力される。異常血流の判定は血流運動データとしての血流速度v,血流分散σ、血流強度pの別に実施される。
【0057】
この結果、図4に示した判定アルゴリズムによって、1):血流速度v(絶対値)、血流強度p、血流分散σそれぞれがそれらのしきい値よりも大きいときは、異常血流と判断される。しかし、2):血流速度vおよび血流強度pはそれぞれのしきい値よりも大きいが、血流分散σがしきい値以下のとき、また、3):血流速度vおよび血流分散σがそれぞれのしきい値以下で、血流強度pはしきい値よりも大きいだけのときは、異常血流ではないと判定される。さらに、4):血流速度vおよび血流分散σがそれぞれのしきい値を越えるが、血流強度pはしきい値以下のとき(つまり、上述の項目3)とは反対の態様のとき)は、ノイズに特有の現象であるから、異常血流の判定からはやはり外される。
【0058】
このように血流速度v(絶対値)、血流強度p、血流分散σが共に通常の範囲を超える状態のときに異常血流と判定され、判定信号φi=1に設定される。4つの位置x,x,x,xの実測データDiの内、いずれか1つでも異常血流と判定されると、補間関数指令回路39から指令信号α=1が乗算係数発生回路40に出力される。
【0059】
異常血流が判定されなかったときには、指令信号α=0に設定され、予め定めた4点補間に係る補間関数f1の関数値(図6参照)がメモリ51から係数発生器52に送られる。したがって、係数発生器52では、より広範囲な実測位置に対応する4つの乗算係数が前述する如く演算され、乗算器351 〜354 のもう一方の入力端に供給される。乗算器351 〜354 には前述したように実測データDiがそれぞれ供給されているから、実測データDiとそれぞれの乗算係数とが乗算され、されにそれらの乗算結果が加算器36で加算される。この結果、いま補間しようとしている補間位置の補間データDjが生成される。この補間データDjは4点補間であるから、従来と同様に、データの平均化(スムージング)が強く掛かり、近隣の位置(ピクセル)との間で滑らかな階調度を形成する値となる。
【0060】
これに対し、異常血流と判定されたときには、予め定めた2点補間に係る補間関数f2の関数値(図6参照)がメモリ51から係数発生器52に送られる。このため、係数発生器52では、狭い範囲の実測位置に対応する2つの乗算係数が前述する如く演算され、乗算器351 〜354 (この内、例えば乗算器351 、354 への乗算係数は零)のもう一方の入力端に供給される。これにより、4点補間のときと同様に、2点補間により補間位置の補間データDjが生成される。この補間データDjは2点位置に基づく補間であるから、スムージングされるものの、従来とは異なり、スムージングの度合いが下がる。この結果、近隣の位置(ピクセル)のデータと比べ、滑らかさの少ない、モザイク感のある補間データDjが生成される。このように、補間するときに、その近隣の実測データDiが異常血流である旨を示しているときには、その補間位置の運動データとしてスムージングの度合いが低い補間データDjが自動的に生成される。
【0061】
以上の補間処理は、4つの実測データの位置を1つずつ移動しながら、指令されたそれぞれの補間位置について繰り返される。
【0062】
加算器36から出力された補間データDjは、後処理部37にてオーバーフローなどの後処理が実施され、後段切換器33に送られる。この切換器33は制御回路23からの制御信号により空間位置の順番を合わせて切り換えられる。この結果、ディレイ回路32からの実測データDiと上述のように得られた補間データDjとが空間位置を整合させた状態で切換器33から後段のフレームメモリ15に出力される。
【0063】
フレームメモリ15では従来と同様に実測データDiおよびその補間データDjが2次元血流像の画像データとして2次元展開される。この2次元展開の画像データは、読出し補間回路16により、従来と同様に、所定の補間(例えば、リニア補間)をして読み出される。
【0064】
このようにして得られたBモード断層像の画像データとCFMモードの2次元血流像の画像データはデータ合成部8で例えば重畳モードで合成され、データ表示部9のモニタに表示される。この結果、モニタには図8に模式的に示す如く、Bモード断層像を背景像BKとし、これに血流BDが2次元分布の状態で重なってできた血流像が得られる。
【0065】
この血流像においては、図8に示すように、正常に流れている血流の部位BDnは従来と同様に滑らかに表示される。同時に、異常血流と判定される部位のスムージングを的確に弱める処理を実施しているので、異常血流の部位BDaはスムージングが度合いが弱まり、目立つ像となる。一部の血流に限らず、表示している血流全体が異常を呈する場合、当然に、血流全体のスムージングが弱く、モニタ画面の中で目立つ特徴的な存在となる。例えば、血流速度vと血流強度pとを組み合わせたモードの表示であっても、特徴的な血流像となる。
【0066】
これにより、正常の流れの血流に対しては適度なスムージングにより表示品質を高く保持でき、かつ、異常な血流に対してはその存在を際立たせた特徴的な画像を提供できる。異常血流に対する視認性および検出精度が高まり、異常血流なのに画像中に埋もれてしまって、検査者がそれを見落とすという問題を殆ど解消できる。また、モニタに表示される血流像は、正常な血流か異常な血流かの判別も済んだ画像でもあるから、診断時間の短縮など、その効率向上にも貢献できる。さらに検査の信頼性を上げるためにスキャン断面を変えて血流を確認するなどの余分なスキャンも不要または非常に少なくできるから、検査者にとって、その操作上の労力軽減を可能にするとともに、検査効率向上にも寄与できる。
【0067】
なお、上述した実施形態の変形例として種々のものがある。例えば、上述した説明では、異常血流ではない(正常)と判定されたとき,実測点を4つ用いる4点補間を実施するとしたが、この実測点の数は4個に限らず、適宜な数の複数点であればよい。また異常血流と判定されたときに、補間に用いる実測点数は上述した2点補間による2個に限らず、3個であっても、1個であってもよい。正常血流判断時の複数点補間に用いる実測点数(前述では4個)よりも少なければよい。
【0068】
また、上述した実施形態のように、正常血流または異常血流の判定時に補間に用いる実測点の数を変える手法の他、1個の補間データ生成に対してスムージング範囲を広狭に変更できる関数そのものの種類を変えるようにしてもよい。つまり、複数種類の補間関数を使い分けてもよい。
【0069】
さらに、別の変形例は補間関数の選択に関わる。異常血流では一般に、血流の速度分散σの増加の度合いがほかのファクタ(血流速度v,血流強度p)に比べて大きい。このため、異常血流を判定したときには、速度分散σ(前述の実測データDiを形成する1つの要素)の補間関数だけを正常血流時のものから、スムージングが適度なレベルまで弱まるように変えることもできる。この簡素化された速度分散σの表示の仕方だけでも、血流像の異常を特徴的に際立たせて表示することができる。
【0070】
さらに、図4に例示した異常血流判定のアルゴリズムは必ずしもこれに限定されるものではない。被検体の固体差もあるので、異常かどうかの判定は画一的ではなく、経験、実験などから適宜な判定アルゴリズムを決めることができる。例えば、血流速度v,速度分散σ、血流強度pなどの物理量それぞれに2つ以上のしきい値を適用して、血流状態の判定を3段階以上(例えば正常血流、異常気味の血流、異常血流など)に分けて判定し、この場合分けに応じてスムージングの度合いを変えた補間関数を個別に設定してもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る2次元ドプラ形超音波断装置は、補間位置に対して補正演算上で関与させる所定位置の運動データから血流状態を認識し、補間演算により生成される平均化の度合いをその認識結果に応じて制御し、制御される平均化の度合いに基づき補間演算を実施するとともに、かかる制御において、血流の異常状態が無いときには平均化の度合いを所定値に設定し、一方、血流の異常状態が有るときには平均化の度合いを下げるようにしている。
【0072】
このため、異常血流が判定されたときには、補間処理における平均化(スムージング)の度合いが強制的に下げられるから、異常血流は目立って特徴的な像として表示され、検査者の注意を引くことができる。一方、血流が正常な場合は、従来と同様に適宜な平均化が掛かる。これにより、平均化に因って異常血流の視認性が低下するという従来の問題を確実に排除でき、かつ2次元血流像の全体の品位は適度な平均化によって良好に保持できる。
【0073】
また、異常血流の視認性が改善することから、同一断面を何度も角度を変えながらスキャンするといった確認作業を減らすことができ、操作労力の軽減や診断のスループットの向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る2次元ドプラ形超音波診断装置のブロック図。
【図2】同装置のCFMモード用DSCの書込み補間回路の一例を示すブロック図。
【図3】同書込み補間回路の比較判定回路の一例を示すブロック図。
【図4】異常血流の判定アルゴリズムの一例を説明する図。
【図5】乗算係数の発生に関わる回路の一例を示すブロック図。
【図6】血流の正常または異常を判定したときに用いる補間関数の違いを概念的に説明する図。
【図7】データ補間に関わる実測点の位置関係を説明する図。
【図8】本発明を適用した2次元血流像の表示例を示す図。
【図9】(a)、(b)は従来例に関わる血流像の表示例の模式図。
【図10】従来のCFMモード用DSCの書込み補間回路の例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 被検体
2 超音波プローブ(スキャン手段)
3 送受信回路(スキャン手段)
5 血流情報演算部(抽出手段/実際値演算手段)
7 CFMモード用DSC(補間値演算手段)
8 データ合成部(表示手段)
9 表示部(表示手段)
14 書込み補間回路(補間値演算手段)
21 バッファメモリ部
22 書込み補間部
23 制御回路
31、33 切換器
32 ディレイ回路
34 分配回路
35 乗算器(演算実施手段)
36 加算器(演算実施手段)
38 比較判定回路(認識手段)
39 補間関数指令回路(制御手段)
40 乗算係数発生回路(制御手段)
41v,41p,41σ 比較器(比較手段)
42 しきい値発生器(比較手段)
43 判定回路(判定手段)
51 メモリ(第1、第2の制御手段)
52 係数発生器

Claims (10)

  1. 被検体内の断面を超音波信号で時系列に複数回スキャンしてエコー信号を得るスキャン手段と、
    前記断面上に2次元に設定された複数のサンプル位置のドプラデータを前記エコー信号から抽出する抽出手段と、
    前記ドプラデータに基づき前記複数のサンプル点の血流の実際の運動データを演算する実際値演算手段と、
    前記複数のサンプル位置を補間する補間位置の運動データを前記実際値演算手段により演算された運動データから補間演算する補間値演算手段と、
    前記実際値演算手段および前記補間値演算手段で演算された運動データを2次元血流像として表示する表示手段とを備え、
    前記補間値演算手段は、
    前記補間位置に対して補間演算上で関与させる前記複数のサンプル位置の内の所定位置の前記運動データから血流の異常状態の有無を認識する認識手段と、
    この認識手段により血流の異常状態が無いことが認識されたときには前記平均化の度合いを所定値に設定する第1の制御手段と、
    前記認識手段により血流の異常状態が有ることが認識されたときには前記平均化の度合いを前記所定値よりも下げる第2の制御手段と、
    この第1及び第2の制御手段により制御される平均化の度合いに基づき前記補間演算を実施する演算実施手段と、を備えたことを特徴とする2次元ドプラ形超音波診断装置。
  2. 前記認識手段は、前記所定位置の前記運動データと所定のしきい値とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に応じて前記所定位置の少なくとも1つの位置を流れる血流の異常状態の有無を判定する判定手段とを有する請求項1に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  3. 前記第1の制御手段は、前記平均化の度合いを所定値に設定するための第1の補間関数に基づいて前記補正演算用の複数個の第1の係数を生成する手段であり、前記第2の制御手段は、前記平均化の度合いを前記所定値よりも下げるための第2の補間関数に基づいて前記補正演算用の複数個の第2の係数を生成する手段である請求項2に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  4. 前記第2の補間関数が関与する前記所定位置の数を、前記第1の補間関数が関与する前記所定位置の数よりも少なく設定してある請求項3に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  5. 前記第1の補間関数が関与する前記所定位置の数は4個であり、前記第2の補間関数が関与する前記所定位置の数は4個未満である請求項4に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  6. 前記演算実施手段は、前記複数個の第1の係数または前記複数個の第2の係数を、前記第1の補間関数または前記第2の補間関数に応じて決まる前記所定位置の前記運動データに乗じる複数個の乗算器と、この複数個の乗算器の乗算結果を互いに加算する加算器とを備える請求項3に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  7. 前記運動データは血流速度、速度分散、および血流強度の内の少なくとも1つから成る請求項1乃至6のいずれか1項に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  8. 前記所定のしきい値は、前記血流速度、速度分散、および血流強度のそれぞれに設定された3つのしきい値から成り、この3つのしきい値のそれぞれは血流が異常な流れ状態であるか否かを弁別可能な値に設定してある請求項7に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  9. 前記判定手段は、前記血流速度、速度分散、および血流強度が前記個々のしきい値を越えるときに、前記所定点の位置の少なくとも一つを流れる血流は異常状態であると判定する手段である請求項8に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
  10. 前記所定位置は、前記複数のサンプル位置の内の前記超音波信号のラスタのスキャン方向に隣接した同一深さ位置の複数位置から成る請求項1乃至9のいずれか1項に記載の2次元ドプラ形超音波診断装置。
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