JP3745866B2 - 食品殺菌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は肉類、野菜、果物等の食品を殺菌する食品殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、肉類、野菜、果物等の食品を常温流通させるため、これらの食品を加熱殺菌する方法が知られている。このような加熱殺菌方法のうちでも、とりわけ食品の有する電気伝導性を利用して食品を加熱殺菌する方法は、食品に対して形状的ダメージを与えない方法として注目されている。
【0003】
このような食品の電気伝導性を利用して食品を加熱殺菌する方法は、配管中に固形食品と搬送液とを流し、配管中の固形食品と搬送液に対して、隣接した電極間へ三相電圧を加えた時に、固形食品中を流れる電流によって固形食品自体を加熱殺菌させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような加熱殺菌方法によれば、加熱用の熱接触面が不要で、固形食品自体の形状をくずしてしまうことはなく、また、加熱後の沈積物の生成が減少する。さらにまた、固形食品がこげることもない。
【0005】
ところで、上記加熱殺菌法においては、配管の断面で固形食品および搬送液の温度分布をとった場合、温度分布が一定ではなく、例えば配管内の外側部と中央部では、温度分布にばらつきが生じることがある。この温度分布のばらつきは、主として配管内の流速のばらつきにより生じると考えられている。この温度分布のばらつきは配管が細い径の場合はあまり問題とならないが、太い径の配管では固形食品および搬送液について温度分布にばらつきが生じ、低温領域に合わせて固形食品の加熱時間を長くする必要がある。このように固形食品の加熱時間を長くすると、今度は高温領域を通過する固形食品に対して、過加熱が生じ、固形食品が軟化したり形状変化が生じることがある。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、配管の断面でみた場合、固形食品および搬送液について温度分布にばらつきが生じることのない食品殺菌方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、各々が電気伝導性を有する固形食品および搬送液が流れる配管と、この配管内に長手方向と直角にある間隔を持って複数配置され、互いの間で異なった電圧を加える電極棒とを備え、前記電極棒から長手方向へ延びる棒状体を固着し、配管内温度ムラ、及び固形食品の引っ掛かりを少なくさせたことを特徴とする食品殺菌装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、棒状体はPEEK材,耐熱テフロン材等の耐熱性をもった絶縁材料からなることを特徴とする請求項1記載の食品殺菌装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、棒状体は各電極棒と一体となり固定されていることを特徴とする請求項1記載の食品殺菌装置である。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、各々が電気伝導性を有する固形食品および搬送液を配管中に流し、この配管内において固形食品と搬送液に対して隣接した電極間へ三相電圧を加える。この時に固形食品および搬送液自体に電流が流れ、固形食品及び搬送液が加熱殺菌される。この電極間に棒状体を設けたことにより配管内の流速分布を均一化させることができる。またこの時、棒状体は電極棒に一体となり固着されているので、棒状体を設けるために特別な取付具を設置する必要はなく、配管内固形食品の流れを阻害することはない。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、棒状体をPEEK材,耐熱テフロン材等の耐熱性を持った絶縁材料から構成したので、棒状体が運転中に変形したり破損することはない。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、被覆体と棒状体を一体化させることにより、棒状体をより確実に電極に固着することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明による食品殺菌装置の一実施例を示す図である。
【0014】
まず図3により、食品殺菌装置が組込まれた食品加熱システム全体について説明する。図3に示すように全体の食品加熱システム10は、例えば、じゃがいも等の野菜(固形食品)と出汁液(搬送液)とを予備混合する予備混合部12と、予備混合された野菜と出汁液を供給する供給ポンプ13とを備え、供給ポンプ13の下流側に本発明による食品殺菌装置11が配設されている。
【0015】
また食品殺菌装置11の下流側には、食品殺菌装置11により加熱された野菜と出汁液を食品殺菌装置11での加熱温度に保つ温度保持部14が設けられ、さらに温度保持部14の下流側には冷却部15が設けられている。
【0016】
また冷却部15の下流側には、無菌タンク16および充てん部17が順次配設されている。
【0017】
次に図1および図2により、食品殺菌装置11の詳細を説明する。図1に示すように食品殺菌装置11は、野菜と出汁液が流れる配管18と、この配管18内に長手方向と直角にある間隔を持って設けられた4個の電極棒25a,25b,25c,25dとを備えている。配管18はステンレス製となっており、また配管18内の製品と配管18自体とを絶縁するため、配管18内面に絶縁材料(PVDF等)の内張りが施されている。
【0018】
また各電極25a,25b,25c,25dは、配管18中に設けられた電極ハウジング21,22,23,24により保持されている。ここで、電極棒25a,25b,25c,25dについて図2により詳述する。図2は電極棒25bを示す図であるが、他の電極棒25a,25c,25dも電極棒25bと略同一の構成となっている。
【0019】
すなわち図2に示すように電極棒25bは、電極ハウジング22の内面から突出する白金等の金属製電極本体42と、この電極本体42を覆う絶縁性の材料からなる被覆体(図示せず)とからなっており、電極棒25bは全体として電極ハウジング22の内側へ突出している。
【0020】
なお各電極棒25a,25b,25c,25dの突出方向は、配管18内を図1の上方からみた場合、重なり合うように配置してもよく、また周方向に沿って所定角度(例えば90°)ずつ離間して配置してもよい。また、各電極棒25a,25b,25c,25dを電極ハウジング21,22,23,24により保持した例を示したが、電極ハウジング21,22,23,24を用いることなく、配管18により直接電極棒25a,25b,25c,25dを保持してもよい。
【0021】
また各電極には、高圧の交流電源27(例えば3相交流3000V)が接続され、各電極間はインピーダンスが等しくなるように構成されている。
【0022】
また図1に示すように配管18内に、各電極棒25a,25b,25dから長手方向へ延びる棒状体31,32,33,34,35が配設されている。
【0023】
配管18の径が太いと、配管18内の野菜と出汁液の流速分布にばらつきが生じ、配管18中央部の流速が大きくなり、配管18外側部の流速が小さくなる。これに対して本発明によれば、配管18内に棒状体を設けたことにより、配管18内の流速分布を均一化させ、これによって後述のように配管18内の温度分布を均一化させることができる。
【0024】
次に棒状体31,32,33,34,35の取付構造について説明する。棒状体31,32,33,34,35は、いずれも対応する電極棒25b,25c,25dに固着されている。棒状体31,32,33,34,35のうち、棒状体31,32の取付構造を図2に示す。図2に示すように棒状体31,32は、各々おねじ部31a,32aを有し、このおねじ部31a,31bを電極棒25bの被覆体42に形成されためねじ部42aにねじ込むことにより、棒状体31,32は電極棒25bに一体となって固着されている。このように棒状体31,32を堅固に電極棒25bに固着することができるので、運転中に棒状体が振動したり外れたりすることはない。
【0025】
なお、他の棒状体33,34,35も同様にして、電極棒25c,25dに固着されている。
【0026】
棒状体31,32,33,34,35は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材、耐熱テフロン材等の耐熱性を持った絶縁材料からなり、約150℃以上の耐熱性を有している。棒状体31,32,33,34,35は運転中高温にさらされるが、棒状体31,32,33,34相互間に所定間隙、約30〜40mmをあけておくことにより、個体食品への滞流をなくすことができる。また、点検時において棒状体31,32,33,34,35間の清掃が容易となる。
【0027】
なお、棒状体31,32,33,34,35は配管18内の同一横断面上において中央部に1つ設けられているが、配管18内の同一横断面において複数設けてもよく、複数設けた場合は配管18内の流速分布をより均一化することができる。
【0028】
次に、このような構成からなる本発明の実施の形態の作用について説明する。
まず、図3に示すように、野菜および出汁液が予備混合部12において予備混合され、予備混合された野菜および出汁液が供給ポンプ13により食品殺菌装置11に供給される。
【0029】
食品殺菌装置11において、配管18内の各電極棒25a,25b,25c,25dに交流電源27から高い三相電圧が印加される。このようにして各電極棒25a,25b,25c,25d間において高圧の電位差が生じ電流が流れる。
【0030】
このように、配管18内において各電極簿25a,25b,25c,25d間に電位差が生じると、各々が電気伝導性を有する野菜と出汁液の中を、印可された三相電圧および各々の抵抗値に対応した電流が流れる。このように野菜自体に電流が流れることにより、野菜はそれ自身が加熱され、殺菌される。この場合、食品殺菌装置11内の温度は、電極棒25a付近で20℃、電極棒25d付近で100℃〜120℃となる。
【0031】
ところで配管18内に設けられた棒状体31,32,33,34,35によって、野菜および出汁液の配管18内における流速は均一に保たれる。このように野菜と出汁液の配管18内における流速が均一に保たれるので、配管18内のある断面をみた場合、温度分布が中央部と外側部との間で均一化されている。このため、配管18内において、野菜と出汁液を部分的に過加熱する必要はなく、野菜が軟化したり形状が変化することはない。
【0032】
この場合、棒状体31,32,33,34,35は、予め配管18内に組み込まれた電極棒25b,25c,25dに固着されるため、棒状体31,32,33,34,35を取付けるために配管18内に別の取付具を設ける必要はない。このように配管18内に新たに取付具を設ける必要がないので、配管18内において野菜と出汁液が引っ掛かりのないスムースな流れを形成することができる。
【0033】
次に、食品殺菌装置11において加熱され殺菌された野菜と出汁液は、温度保持部14まで送られ、この温度保持部14において野菜と出汁液は、食品殺菌装置11内の加熱温度と同一温度に保たれる。その後、野菜と出汁液は冷却部15により冷却された後、無菌タンク16に蓄えられ、充てん部17に送られる。この充てん部17において、野菜と出汁液は、所定のパック等に充てんされる。
【0034】
次に図4により本発明の変形例について述べる。図4に示すように、配管18内に棒状体31,36,37が配設されており、このうち棒状体31は電極棒25bに固着されている。また棒状体36は電極棒25bに固着されるとともに配管18内を上方に向って延び、その先端は電極棒25c近傍まで達している。
【0035】
さらに棒状体37は電極棒25cに固着されるとともに配管18内を上方に向って伸び、その先端は電極棒25d近傍まで達している。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、配管内に棒状体を設けることにより、配管内の流速分布を均一化させ、更には配管内の温度分布を均一化させることができる。このため不必要に固形食品と搬送液とを過加熱することはなく、過加熱に伴う固形食品の軟化や形状変化を防止することができる。
【0037】
又、棒状体の取付け方法を、電極棒と一体化させ、固着した事により、棒状体を取付ける為の取付け具が不要となり、固形食品の配管内における引っ掛かりを殆んどなくす事ができる。
【0038】
請求項2記載の発明によれば、棒状体がPEEK材または耐熱テフロン材等の耐熱性を持った絶縁材料からなっているので、棒状体が変形したり破損することはない。
【0039】
請求項3記載の発明によれば、棒状体をより確実に電極棒に固着することができ、棒状体が運転中に振動したり電極棒から外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による食品殺菌装置の一実施例を示す概略図。
【図2】電極部分の拡大断面図。
【図3】食品加熱システム全体を示す概略図。
【図4】本発明の変形例を示す図1に対応する図。
【符号の説明】
10 食品加熱システム
11 食品殺菌装置
21,22,23,24 電極ハウジング
25a,25b,25c,25d 電極棒
27 交流電源
31,32,33,34,35,36,37 棒状体
Claims (3)
- 各々が電気伝導性を有する固形食品および搬送液が流れる配管と、
この配管内に長手方向と直角にある間隔を持って複数配置され、互いの間で異なった電圧を加える電極棒とを備え、
前記電極棒から長手方向へ延びる棒状体を固着し、配管内温度ムラ、及び固形食品の引っ掛かりを少なくさせたことを特徴とする食品殺菌装置。 - 棒状体はPEEK材,耐熱テフロン材等の耐熱性をもった絶縁材料からなることを特徴とする請求項1記載の食品殺菌装置。
- 棒状体は各電極棒と一体となり固定されていることを特徴とする請求項1記載の食品殺菌装置。
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