JP3745864B2 - 被膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用複層塗膜における中塗塗料として用いられ、上に塗られた光輝剤含有の着色塗料及び上塗クリヤー塗料の必要以上の流動を止めることが可能な中塗塗料組成物及び自動車車体等の被塗装物の表面を塗装する被膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の塗装方法として次の方法が実施されている。まず、化成処理を施した自動車用鋼板に電着塗装を施し、加熱乾燥後、中塗塗料を塗装し、ウェット・オン・ウェットにて光輝剤含有着色塗料を塗装する。更に、ウェット・オン・ウェットにて上塗クリヤーを塗装し、加熱硬化させる3コート1ベーク方式で仕上げられている。また、中塗塗料としては、熱硬化性樹脂を結合剤とし、着色顔料及び有機溶剤からなり、光輝剤含有着色塗料は、熱硬化性樹脂を結合剤とし、着色顔料、光輝剤及び有機溶剤からなり、上塗クリヤーは、熱硬化性樹脂及び有機溶剤からなるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の3コート1ベークの塗装方法では、中塗塗料を塗装後、120〜240秒程度のフラッシュオフタイムを置き、光輝剤含有着色塗料及び上塗クリヤーを塗装するのが通常であるが、中塗、着色塗料、上塗クリヤーの3層が、ウェット・オン・ウェット塗装のため、必要以上の流動が起こり、その結果、光輝剤のならびが不均一になったり、塗膜がタレる等の現象を呈し、仕上り外観が異常になるという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題点を改善した中塗塗料用塗料組成物、即ち、従来より少ないフラッシュタイムで光輝剤含有着色塗料及び上塗クリヤーを塗装することができ、仕上り時に光輝剤の移動がなく、仕上り塗膜にタレ等の異常のない、仕上り性を良好にすることができる中塗塗料組成物及び被膜の形成方法、即ち、従来より少ない時間で3コート1ベーク塗装をすることができ、光輝剤の流動等のない仕上がり性の優れた被膜を形成することができる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ラジカル重合性官能基を有する樹脂を結合剤に加え、更に光開始剤を加えた特定の中塗塗料を用い、活性エネルギー線を照射する補助的乾燥工程を用いることにより上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、(1)金属板上に下塗塗料を塗布する工程、(2)該下塗被膜を加熱硬化させる工程、(3)該硬化させた下塗被膜上に、自動車用中塗塗料を塗布する工程、(4)該中塗被膜上に活性エネルギー線を照射して半硬化させる工程、(5)該半硬化させた中塗被膜上に光輝剤を含有する着色塗料を塗布する工程、(6)該着色塗料被膜を硬化させることなしに上塗クリヤー塗料を塗布する工程、(7)加熱硬化させる工程、からなることを特徴とする被膜の形成方法において、該中塗塗料が、熱硬化性樹脂及びラジカル重合性官能基を有する樹脂を結合剤とし、光開始剤を配合してなることを特徴とする被膜の形成方法である
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明において中塗塗料の結合剤成分として用いられる熱硬化性樹脂及びラジカル重合性官能基を有する樹脂としては、熱硬化性樹脂中にラジカル重合性官能基を導入する方法(I)で得られる樹脂や、熱硬化性樹脂にラジカル重合性官能基を有する樹脂を混合する方法(II)で得られる樹脂がある。
【0010】
本発明において、(I)の方法の樹脂としては、重合性二重結合と架橋性官能基とを有する従来から公知の樹脂を、特に制限なく使用することができるが、そのうちビニル系重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を代表的なものとして挙げることができ、これらのうち特に、次のポリエステル樹脂が好適である。この重合性二重結合と架橋性官能基を有するポリエステル樹脂は、樹脂を構成する酸成分及びアルコール成分の当量比が
【0011】
Figure 0003745864
【0012】
の範囲にあり、更に酸価10〜40、重合性二重結合を0.1〜5重量%含有するものが好適に使用できる。重合性二重結合の導入については、多価アルコールに二重結合を有するものも使用可能であるが、価格面や工業原料への入手の容易さ等から、酸成分に二重結合を有するものが一般的に使用される。
【0013】
これらの具体的なものとして、多塩基酸として、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。また、一塩基酸としては、ヨウ素価が120〜190の範囲にある動・植物性脂肪酸が有用に用いられる。
【0014】
また、熱架橋性官能基を有する樹脂、例えば、前記ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、ビニル系重合体、エポキシ樹脂等への重合性二重結合官能基の導入方法としては、これらの樹脂中の水酸基、カルボキシル基、アミノ基、あるいはグリシジル基等と、該樹脂の熱架橋性を阻害しない程度に、これら官能基と反応する、重合性二重結合を有する単量体を反応させて得ることも可能である。これらの反応性を有する重合性二重結合を有する単量体の具体的なものとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリコキシエチル等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体;(メタ)アクリル酸−t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体;トリメチルアミン−メタクリルイミド、N−メチロールアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド等のアミン−メタクリルイミド類やアクリルアミド類等やあるいは、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等である。
【0015】
本発明において、(II)の方法としては、熱硬化性樹脂にラジカル重合性官能基を有する樹脂を混合する方法であるが、熱硬化性樹脂としては、基体樹脂と架橋剤とからなり、基体樹脂としては、架橋剤と反応し得る官能基(例えば、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基等)を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等を挙げることができる。また、架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、これらを1価アルコールで部分的又は完全にエーテル化したもの、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、多価酸、多価酸無水物等を挙げることができる。
【0016】
基体樹脂と架橋剤との配合比率は、通常、両者の合計量に基づいて、前者が50〜90重量%程度、特に65〜80重量%程度で、後者が10〜50重量%程度、特に20〜35重量%程度であるのが適当である。また、基体樹脂として、該樹脂に架橋官能基が付着してなる自己架橋性樹脂も使用でき、この場合は架橋剤を配合する必要はない。
【0017】
本発明で用いるラジカル重合性官能基を有する樹脂とは、1分子中に2個以上のラジカル重合性炭素−炭素二重結合を有する不飽和樹脂を好適に使用でき、該不飽和樹脂の具体例としては、ポリエステルの酸成分にマレイン酸やフマル酸を縮合させたものあるいは、(メタ)アクリル酸を縮合させた樹脂、エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有含リンエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有アクリル樹脂、エチレン性不飽和基含有シリコン樹脂、エチレン性不飽和基含有メラミン樹脂、あるいはジアリルフタレート初期縮合物等を挙げることができる。これらの樹脂は、唯単に混合し、使用することが可能であるが、活性エネルギー線照射時に局部的な架橋反応を緩和し、中塗塗膜面が平滑に維持されるという特徴から、熱硬化性樹脂と予め反応させてから使用することが、より好適である。これらの樹脂は、一種又は二種以上を混合して使用できる。
【0018】
また、1分子中に2個以上のラジカル重合性炭素炭素二重結合を有する不飽和樹脂と混合して使用できる不飽和モノマーとしては、1分子中に1個以上のラジカル重合性炭素炭素二重結合を有する重合性の不飽和モノマーを好適に使用でき、単官能性又は多官能性のモノマーが包含される。不飽和モノマーを使用することにより、有機溶剤の使用量を低減できるという利点が得られる。
【0019】
上記単官能性の不飽和モノマーとしては、まず、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜28個の1価アルコールとのエステル化物が挙げられ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso −ブチル、メタクリル酸iso −ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル等を挙げることができる。また、該モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルイソブチルエーテル、メチルビニルエーテル、アクリロニトリル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のその他のビニル化合物を使用できる。更に、該モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のイソシアネート化合物と上記水酸基含有モノマーとの付加物;リン酸と上記水酸基含有モノマーとの付加物;ビニルピロリドン、ビニルピリジン等の含窒素複素環を有する化合物等を使用できる。
【0020】
また、上記多官能性の不飽和モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリシクロデカンジアルコールジアクリレート、トリシクロデカンジアルコールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジオールジメタクリレート、エチレンオキサイド変成ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド変成ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変成ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変成ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリメタクリレート、トリス−2−アクリロキシエチルイソシアヌレート、トリス−2−メタクリロキシエチルイソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等のジ、トリ又はテトラビニル化合物;多価アルコールとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物にアクリル酸又は/及びメタクリル酸を反応せしめた生成物;多価アルコールとε−カプロラクトンとの付加物にアクリル酸又は/及びメタクリル酸を反応せしめた生成物;含リン重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
【0021】
上記不飽和モノマーは、一種又は二種以上を混合して使用できる。
【0022】
ラジカル重合性官能基を有する樹脂と不飽和モノマーとの使用比率は、特に制限されないが、これら両成分の合計量に基づいて、前者が100〜20重量%、特に80〜30重量%であり、後者が0〜80重量%、特に20〜70重量%であるのが好ましい。
【0023】
ラジカル重合性官能基を有する樹脂としては、市販品として、ユピカコートES5408(日本ユピカ社製商品名;不飽和ポリエステル樹脂)、ユピカコートAC5815(日本ユピカ社製商品名;ウレタンアクリレート樹脂)、ユニディックV3206(大日本インキ化学工業社製商品名;不飽和ポリエステル樹脂)、ユニディックC7−113(大日本インキ化学工業社製商品名;ウレタンアクリレート樹脂)、ゴーセラック770(日本合成化学工業社製商品名;不飽和ポリエステル樹脂)。紫光UV750(日本合成化学工業社製商品名;ウレタンアクリレート樹脂)等が代表的なものとして挙げられる。
【0024】
本発明で用いられる前記熱硬化性樹脂及び前記ラジカル重合性官能基を有する樹脂は、熱硬化性樹脂にラジカル重合性官能基が0.1〜5重量%[ 〔(−CH=CH−基重量)/(全樹脂重量)〕×100] の範囲となるように含有することが必要である。
【0025】
ラジカル重合性官能基が、0.1重量%未満であると、添加効果が見られず、活性エネルギー線を照射しても塗膜の半硬化膜が得られず、逆に5重量%を越えると塗膜の硬化が部分的に進行し過ぎ、部分的な硬化収縮歪から、平滑な塗面が得られず、好ましくない。
【0026】
本発明で使用する光重合開始剤としては、紫外線の照射により、励起されてラジカルを発生させるタイプの通常のものが使用され、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェニルジスルフィド、2−ニトロフルオレン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンアシルフォスフィンオキサイド、2,5−ジエトキシ−4−(p−トリルチオ)ベンゼンアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルケタール等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、一種又は二種以上を混合して使用でき、その使用量は、ラジカル重合性官能基を有する樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0027】
また、光重合開始剤による光重合反応を促進させるために、光増感促進剤を光重合開始剤と併用しても良い。併用し得る光増感促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等の3級アミン;トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン;β−チオジグリコール等のチオエーテル等の光増感促進剤を挙げることができる。これらの光増感促進剤は、一種又は二種以上を混合して使用でき、その使用量は、ラジカル重合性官能基を有する樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0028】
また、光エネルギーを塗膜内部に伝播させる機能を有する透明な球状ガラスビーズを含有することも可能である。透明なガラスビーズ及び透明なガラス粉末としては、ソーダライムガラス、ソーダライム・鉛ガラス、カリ・鉛ガラス、カリ・ソーダ・鉛ガラス、硼珪酸ガラス、高アルミナガラス、カリ・ソーダ・バリウムガラス等が具体例として挙げられる。
【0029】
本発明で使用する中塗塗料組成物には、熱硬化性樹脂成分及びラジカル重合性官能基を有する樹脂成分、光開始剤の必須成分以外に、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、有機溶剤、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、はじき防止剤、チキソトロピー性付与剤等を配合することも可能である。
【0030】
前記着色顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、カーボンブラック等が代表的な例として挙げられる。前記体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、石英等が代表的な例として挙げられる。また、前記有機溶剤としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類等が挙げられ、具体的にはトルエン、キシレン、メチルナフタレン、ナフサ、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、グリコールモノエチルエーテル、グリコールモノブチルエーテル、グリコールモノメチルエーテルアセテート、グリコールエーテルモノエチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても良い。
【0031】
上記塗料組成物を電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって、半硬化せしめるにあたり、照射前に必要に応じて、溶剤除去等の目的で加熱しても良い。
【0032】
電子線の照射により、該中塗塗料を半硬化させる場合の電子線発生源としては、コッククロフト型、コッククロフト・ワルトン型、バン・デ・グラーフ型、共振変圧器型、変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、リニアフィラメント型、高周波型等の電子線発生装置を用いることができる。その際の電子線の照射条件は、膜厚等によっても変動するが、一般には1〜20メガラッドの範囲内の線量が適当である。
【0033】
また、紫外線照射源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光等を用いることができる。紫外線の照射条件は、特に制限されないが、150〜450nmの範囲内の紫外線を含む光線を、空気中又は不活性ガス雰囲気下で、照射することが好ましい。紫外線の照射線量は、膜厚等によっても変動するが、一般には50〜2000mJ/cm2 、好ましくは300〜1200mJ/cm2 の範囲内の線量が適当である。
【0034】
本発明においては、活性エネルギー線を照射後、塗料組成物を半硬化させ、次いで、加熱して硬化させる。
【0035】
本発明の塗料組成物は、自動車用中塗塗料としての用途において好ましい効果を発揮するが、光輝剤を含む上塗りベース塗料においても使用することも可能である。
【0036】
また、本発明は、(1)金属板上に下塗塗料を塗布して下塗被膜を形成する工程、(2)該下塗被膜を焼付けて硬化させる工程、(3)該硬化させた下塗被膜上に、中塗塗料を塗布して中塗被膜を形成する工程、(4)該中塗被膜を硬化させることなしに該中塗被膜上の所要箇所に、光輝顔料、着色顔料を含有する下部色上塗ベース塗料を塗布して下部色上塗ベース被膜を形成する工程、(5)該中塗被膜及び該下部色上塗ベース被膜を硬化させることなしに該下部色上塗ベース被膜上に、下部色上塗クリヤー塗料を塗布して下部色上塗クリヤー被膜を形成する工程、(6)該中塗被膜、該下部色上塗ベース被膜及び該下部色上塗クリヤー被膜を焼付けて硬化させる工程、(7)該硬化させた下部色上塗クリヤー被膜上の所要箇所をマスキング材でマスキングする工程、(8)該マスキングされている部分以外の被塗装表面に、光輝顔料、着色顔料を含有するが、該下部色上塗ベース塗料と異なる色の上部色上塗塗料を塗布して上部色上塗被膜を形成する工程、(9)全塗装面を焼付けて硬化させる工程、(10)該マスキング材を除去する工程、からなる2トーン塗装に関しても使用可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0038】
尚、実施例及び比較例において「部」、「%」、「比率」は重量を基準として示す。
【0039】
[中塗塗料A]
ポリエステル樹脂「ベッコライトM6003−60」(大日本インキ化学工業社製商品名)とメラミン樹脂「スーパーベッカミンL−117−60」(大日本インキ化学工業社製商品名)との固形分比率を70/30とした混合樹脂:33部、酸化チタン「R−52N」(堺化学社製商品名)とカーボンブラック「MA−100」(三菱化学社製商品名)とを95/5の比率にした混合顔料:25部、不飽和ポリエステル樹脂「ユピカコートES5408」(日本ユピカ社製商品名;CH=CH基10%含有)の固形分:5部、光開始剤「イルガキュア184」(日本チバガイギー社製商品名;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):0.25部、レベリング剤「モダフロー」(モンサント社製商品名):0. 2部、不飽和モノンマー スチレン:1.66部、及びキシレン、ブチルセロソルブアセテート、1−ブタノール及び芳香族石油誘導体「スワゾール1000」(出光石油化学社製商品名)からなる混合溶剤:34.89部を混合して調製した塗料を中塗塗料Aとした。
【0040】
[中塗塗料B]
ポリエステル樹脂「ベッコライトM6003−60」とメラミン樹脂「スーパーベッカミンL−117−60」との固形分比率を70/30とした混合樹脂:38部、酸化チタン「R−52N」とカーボンブラック「MA−100」とを95/5の比率にした混合顔料:25部、レベリング剤「モダフロー」:0. 2部及びキシレン、ブチルセロソルブアセテート、1−ブタノール、及び芳香族石油誘導体「スワゾール1000」からなる混合溶剤:36.80部を混合して調製した塗料を中塗塗料Bとした。
【0041】
[中塗塗料C]
酸化チタン「R−52N」とカーボンブラック「MA−100」とを95/5の比率にした混合顔料:25部、不飽和ポリエステル樹脂「ユピカコートES5408」の固形分:38部、光開始剤「イルガキュア184」:1.9部、レベリング剤「モダフロー」:0. 2部、不飽和モノンマー スチレン:12.66部、及びキシレン、ブチルセロソルブアセテート、1−ブタノール及び芳香族石油誘導体「スワゾール1000」からなる混合溶剤:22.24部を混合して調製した塗料を中塗塗料Cとした。
【0042】
[着色塗料]
ポリエステル樹脂「ベッコライトM6003−60」とメラミン樹脂「スーパーベッカミンL−117−60」との固形分比率を70/30とした混合樹脂:39部、アルミ粉末「アルミペースト7680N」(東洋アルミ社製商品名):10部、光安定剤「チヌビン328」(チバガイギー社製商品名):1部、レベリング剤「モダフロー」:0. 3部、沈殿防止剤「ディスパロン6900−20X」(楠本化成社製商品名):0. 3部、セルロースアセテートブチレート「セルロースエステルCAB−551−0. 2」(イーストマン社製商品名):1.4部、及びトルエン、酢酸エチル及び1−ブタノールからなる混合溶剤:48部を混合して調製した塗料を着色塗料とした。
【0043】
[上塗クリヤー塗料]
アクリル樹脂「ダイヤナールHR584」(三菱レイヨン社製商品名)とメラミン樹脂「スーパーベッカミンL−117−60」との固形分比率を75/25とした混合樹脂:50部、紫外線吸収剤「チヌビン900」(チバガイギー社製商品名):2部、光安定剤「チヌビン328」:1部、レベリング剤「モダフロー」:0. 3部、及びキシレン、1−ブタノール及びグリコールモノブチルエーテルからなる混合溶剤:47部を混合して調製した塗料を上塗クリヤー塗料とした。
【0044】
実施例及び比較例で用いた塗料の粘度調整方法は次の通りである。
(中塗塗料A〜C)上記中塗塗料A,B又はCをキシレン及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤にて16秒(フォードカップNo. 4、20℃)に調整した。
(着色塗料)上記着色塗料をトルエン及び酢酸エチルからなる混合溶剤にて14秒(フォードカップNo. 4、20℃)に調整した。
(上塗クリヤー塗料)上記上塗クリヤー塗料を酢酸ブチル及び芳香族石油誘導体「スワゾール1000」からなる混合溶剤にて28秒(フォードカップNo. 4、20℃)に調整した。
【0045】
実施例1
上記のように調整した中塗塗料Aをカオチン電着塗膜上に「マイクロマイクロベル型塗装ガン」(ABBランズバーグ社製商品名)により20〜22μmの中塗被膜になるように塗装し、セッティングタイムを10〜20秒間置いた後、80W×17cm×10秒紫外線を照射し、中塗被膜を半硬化させる。その中塗被膜上に、上記のように調整した着色塗料を「REAオートガン」又はハンドスプレーガン「Wider71」(岩田塗装機社製商品名)により16〜18μmの着色塗料被膜になるように塗装し(上記の必要な部位以外は着色塗料がダスト状に付着していて塗膜になっていなくともさしつかえない)、フラッシュタイムを30〜120秒間おいた後、その着色塗料被膜上に、上記のように調整した上塗クリヤー塗料を「マイクロマイクロベル型塗装ガン」により25〜29μmの上塗クリヤー被膜になるように塗装し、7分間セッティングタイムを置いた後、150℃にて20分間、焼付乾燥を行った。
【0046】
比較例1
中塗塗料を中塗塗料Aから中塗塗料Bに変える以外は、実施例1と同様に塗装した。
【0047】
比較例2
上記のように調整した中塗塗料Bをカオチン電着塗膜上に「マイクロマイクロベル型塗装ガン」(ABBランズバーグ社製商品名)により20〜22μmの中塗被膜になる様に塗装し、フラッシュタイムを5分間置いた後、着色塗料を「REAオートガン」又はハンドスプレーガン「Wider71」(岩田塗装機社製商品名)により16〜18μmの下部色上塗ベース被膜になる様に塗装し(上記の必要な部位以外は下部色上塗ベース塗料がダスト状に付着していて塗膜になっていなくともさしつかえない)、フラッシュタイムを3分間置いた後、その着色塗料被膜上に、上記のように調整した上塗クリヤー塗料を「マイクロマイクロベル型塗装ガン」により25〜29μmの下部色上塗クリヤー被膜になるように塗装し、7分間セッティングタイムを置いた後、150℃にて20分間、焼付乾燥を行った。
【0048】
比較例3
中塗塗料を中塗塗料Aから中塗塗料Cに変える以外は、実施例1と同様に塗装した。
【0049】
<試験方法>
[着色塗料のアルミ並び]
光輝剤(アルミ)の並びを目視で判定した。
【0050】
○:アルミが、きれいに均一に並んで、ムラが認められない
×:アルミが、偏り、不均一に並んで、ムラが認められる
【0051】
[目視外観(平滑性)]
塗膜表面を目視で判定した。
【0052】
○:表面が、平滑である
×:表面が平滑でなくオレンジピール肌を呈している
【0053】
[写像鮮明性]
NSIC型写像鮮明度測定器(スガ試験器社製商品名)にて、NSIC値を測定した。
【0054】
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003745864
【0056】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、従来より少ないフラッシュタイムで光輝剤含有着色塗料及び上塗クリヤーを塗装することができ、仕上り時に光輝剤の移動がなく、仕上り塗膜にタレ等の異常のない、仕上り性を良好にすることができる中塗塗料組成物及び被膜の形成方法、即ち、従来より少ない時間で3コート1ベーク塗装をすることができ、光輝剤の流動等のない仕上がり性の優れた被膜を形成することができる方法を可能にした。

Claims (2)

  1. (1)金属板上に下塗塗料を塗布する工程、(2)該下塗被膜を加熱硬化させる工程、(3)該硬化させた下塗被膜上に、自動車用中塗塗料を塗布する工程、(4)該中塗被膜上に活性エネルギー線を照射して半硬化させる工程、(5)該半硬化させた中塗被膜上に光輝剤を含有する着色塗料を塗布する工程、(6)該着色塗料被膜を硬化させることなしに上塗クリヤー塗料を塗布する工程、(7)加熱硬化させる工程、からなることを特徴とする被膜の形成方法において、該中塗塗料が、熱硬化性樹脂及びラジカル重合性官能基を有する樹脂を結合剤とし、光開始剤を配合してなることを特徴とする被膜の形成方法。
  2. 自動車用中塗塗料が、全樹脂中にラジカル重合性官能基を0.1〜5重量%[(−CH=CH−基重量)/(全樹脂重量)×100]の範囲となるように含有したものであることを特徴とする、請求項1記載の被膜の形成方法。
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