JP3744770B2 - 携帯電話機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機内の温度を検出する携帯電話機等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、携帯電話機は、機内の温度を検出しており、例えば、放電特性に温度依存性を有する電池の残量を精度よく表示させるために、携帯電話機内の温度を検出し、この温度をもとに現状の電圧に温度補正を行って、所定の温度(25℃)での電圧に換算し、この電圧に基づいて電池残量を表示している。
【0003】
このように、機内の温度を検出する携帯電話機として、以下のようなものがある。
図6は、従来の携帯電話機10の機能ブロック図である。
携帯電話機10は、アンテナ11と、電波を送受信する無線回路装置12と、受信した信号を音声、文字及び画像に変換し、送信すべき音声、文字、画像の情報を信号に変換するDSP(Digital Signal Processor)13と、変復調のための一定周波数の信号を出力する電圧制御発振器14と、携帯電話機10の電源である電池15と、この電池の電圧を一定に保つレギュレータ16と、受信された信号が示す内容や携帯電話機10のメニュー等を表示する表示装置17と、携帯電話機10内部の温度を検知する温度センサIC等の温度センサ18と、ユーザーからの指示を受付けるテンキー19とからなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の携帯電話機は、機内の温度を検出する装置として温度センサIC等の温度検出専用の装置を組み込んでいるため、温度検出のために電力を消費しており、また、この温度センサIC自体にもコストがかかるという問題点がある。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、機内の温度を低消費電力かつ低コストで検出することのできる携帯電話機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機は、前記電圧制御発振器の出力信号における、周波数の所定値からのずれを相殺するよう制御電圧を調整して前記電圧制御発振器に印加する周波数調整手段と、機内温度と前記制御電圧との相関を示す関係式及びテーブルの少なくとも一方を含む温度特定情報が格納されている記憶手段と、前記調整された制御電圧と前記温度特定情報とに基づいて機内温度を求める検出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における、温度検出機能を有する携帯電話機100の機能ブロック図である。
携帯電話機100は、通話機能、文字表示機能、画像表示機能を提供するものであり、アンテナ101と、無線回路装置102と、DSP(Digital Signal Processor)103と、電圧制御発振器104と、電池105と、レギュレータ106と、表示装置107と、テンキー108とからなる。
【0008】
アンテナ101は、この電話機特有の搬送波周波数1.5GHzの電波に同調させたホイップアンテナである。
無線回路装置102は、フィルタ、アンプ等から構成され1.5GHz帯で無線信号を送受信する。
電圧制御発振器104は、温度補償回路を内蔵した電圧制御温度補償型水晶発振器(VC−TCXO(Voltage Control―Temperatuer Compensate Crystal Oscillator))であり、温度−周波数特性と電圧−周波数特性の2つの特性を有し、周囲温度25℃の環境で、かつ所定の印加電圧(以下、AFC(Auto FrequencyControl)電圧という)のもとで、携帯電話機が受信する1.5GHz帯の電波の周波数に同調させるための基準周波数(14.4MHz)を発振するように設定されている。
【0009】
図2は、このような電圧制御発振器104の温度−周波数特性の1例を示す図であり、図のx軸に周囲温度(t)を表示し、また、y軸に、周囲温度(t)での発振周波数(ft)、基準周波数(f0=14.4MHz)とした場合の周波数ずれ量の割合(z=(ft−f0)/f0)を百万分率で表示している。
当該特性は、使用される部品毎に異なり、温度と周波数ずれ量の割合との関係は3次曲線であるが、図2のように、例えば、温度‐10℃から‐50℃間では単調減少的であり、この温度範囲において、直線近似により温度から周波数ずれ量の割合を求めることができる。
【0010】
このような直線近似を行った結果を図2中に太線で示す。
図3は、電圧制御発振器104のAFC電圧−周波数特性の1例を示す図であり、図のx軸にAFC電圧(v)を表示し、また、y軸に周囲温度25℃一定条件下において、あるAFC電圧(v)での発振周波数(fv)、基準周波数(f0=14.4MHz)とした場合の周波数ずれ量の割合(w=(fv−f0)/f0)を百万分率で表示している。
【0011】
AFC電圧と周波数ずれ量の割合との関係はほぼ直線関係である。
DSP103は、CPUなどからなり、テンキー107からの入力情報の獲得や、無線回路装置102及び電圧制御発振器104の周波数の制御を行っている。
上記制御とは、現状の温度環境下において、電圧制御発振器104が基準周波数(14,4MHz)を発振できるAFC電圧を決定し、当該AFC電圧の印加を電圧制御発振器104に指示する処理をいう。
【0012】
つまり、無線回路装置102、電圧制御発振器104及びDSP103は、受信信号に同期させつつ、一定の周波数(14,4MHz)の信号を、電圧制御発振器104から出力させるためのPLL(Phase Locked Loop)を構成している。
なお、これらDSP103での処理は、従来と同様の処理である。
【0013】
また、DSP103は、さらに、温度算出部109及び記憶部110を有する。
記憶部110は、後述のフローチャートに示された処理を実行するプログラムを記憶しているROM等である。
温度算出部109は、記憶部110からプログラムを読み込み、当該プログラムに従って、前記周波数ずれの補正を実施した後のAFC電圧からこの電圧制御発振器104の周囲温度を算出する。
【0014】
電池105は、リチュウムイオン電池等であり、携帯電話機100で必要な電力を賄っている。
レギュレータ106は、電池105から供給された電気を、一定電圧で無線回路装置102、DSP103及び電圧制御発振器104に供給する。
表示装置107は、液晶パネル等であって、DSP103の信号にしたがい、文字、画像を表示する。
【0015】
テンキー108は、電話番号を入力するための数値キー等からなる。
以上のように構成された携帯電話機100の当該電話機内部の温度を検出するのための動作について説明する。
図4は、携帯電話機100が温度を検出する場合の処理を示すフローチャートである。
【0016】
DSP103は、電圧制御発振器104に与えるAFC電圧を決定し、当該AFC電圧の印加指示を電圧制御発振器104に出力する(ステップS101)。電圧制御発振器104は、DSP103からのAFC電圧の印加指示に従って電圧を印加し、このAFC電圧と周囲温度により決まる周波数を発振する。
DSP103は、このような処理の結果、受信する1.5GHz帯の電波の周波数に同調したかどうかを判定し(ステップS102)、同調していなければ、電圧制御発振器104に与えるAFC電圧を再調整して、上記処理を繰り返す。
【0017】
一方、同調している場合には、電圧制御発振器104が基準周波数(14.4MHz)を発振しているので、同調後のAFC電圧は、電圧制御発振器104の周囲温度を示していることになり、DSP103は、このAFC電圧から電圧制御発振器104の周囲温度を算出し(ステップS103)、処理を終了する。
次に、周囲温度を算出するステップS103を実行するためのプログラムについて説明する。
【0018】
温度算出処理は、記憶部110に格納されるプログラムに従って実施される。このプログラムには、電圧制御発振器104のAFC電圧(v)、電圧制御発振器104の周囲温度(t)、携帯電話機100に組込まれる電圧制御発振器104毎に異なる係数(a0、b0)からなる以下の1次式が示され、DSP103は、この式に従い、AFC電圧から温度を算出する。
【0019】
t=a0×v+b0 (式1)
この式1は、2つの式を連立して求められた式であり、この式のもととなる2つの式のうちの1つは、図2中の太線で示されるような、電圧制御発振器104として用いられる部品固有の温度−周波数特性を示す以下の直線近似式である。
z=A×t+B (式2)
(A及びBは係数)
もう1つの式は、電圧制御発振器104として用いられる、図3に示されるような、部品固有のAFC電圧−周波数特性を示す以下の直線近似式である。
【0020】
w=a×v+b (式3)
(a及びbは係数)
DSP103における、周波数ずれを補正するための処理(ステップS101〜S102)、即ち、AFC電圧の制御は、温度−周波数特性及び電圧−周波数特性の両特性から決まる周波数ずれ量の割合どうしが相殺される条件、即ち、w=−zとなる電圧(v)を印加することにより達成される。
【0021】
よってこの関係から以上の式2及び式3を整理すると、式1は次の式4で示される。
t=(a/A)v−(B+b)/A (式4)
従って、このような式を含むプログラムを実行することにより、温度算出部109は、本来、発振を目的とした電圧制御発振器104の特性を用いて温度を求めることができる。
【0022】
図5は、図2と図3から導かれる式4によって示されるAFC電圧と電圧制御発振器104の周囲温度との関係を示す図である。
この図のように、図2中の直線近似ができる温度である−10℃から−50℃の範囲内で、AFC電圧から電圧制御発振器104の周囲温度が求められる。
以上のように、本実施形態によれば、温度検出専用の装置を用いらずとも、携帯電話に不可欠な電圧制御発振器を所定の周波数に固定し、この周波数に固定した際の当該電圧制御発振器への印加電圧がわかれば、この電圧制御発振器の式4のような特性を用いて、温度を検出することができ、余分な電力消費やコストの発生を回避することができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、プログラムは、AFC電圧から温度を算出する式が示されているとしたが、AFC電圧から温度を算出するデータテーブルが記憶部110に予め記憶されているとしても構わない。
その場合、温度算出部109は、このテーブルに従ってAFC電圧から温度を換算し、テーブル内に該当するAFC電圧の値が無い場合、その前後のAFC電圧値に対応する温度から補完することにより、携帯電話機内の温度を求めることができる。
【0024】
また、記憶部110は、ROM等であるとしたが、書換可能な不揮発性(EEPROM)等のメモリであっても構わない。
その場合、電圧制御発振器104が故障等により交換される際、温度換算プログラムまたはテーブルを記憶した記憶部110まで交換する必要がなく、プログラムの書き替えや温度換算用データテーブルの書き替えのみで足りる。
【0025】
また、本発明に係る携帯電話機の一部を構成する電圧制御発振器104は、温度―周波数特性及び電圧−周波数特性には、ある範囲において線形性を有するとしたが、使用する条件の範囲において、極大値及び極小値のない非線形性を有していても構わない。
また、本実施の形態では、電圧制御発振器は、温度補償回路を内蔵した電圧制御温度補償型水晶発振器としたが、温度補償を行わない発振器であっても構わない。
【0026】
また、本実施の形態では、携帯電話機のみについて例を示したが、電圧−温度特性を有して一定周波数を発振する電圧制御発振器及びこの電圧制御発振器への制御電圧を検出する回路、または、温度−周波数特性を有して信号を発振する電圧制御発振器及びこの発振周波数を検出する回路を備える装置であればどのようなものでも専用の温度検出装置を用いることなく温度検出を行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る温度検出装置は、前記電圧制御発振器の出力信号における、周波数の所定値からのずれを相殺するよう制御電圧を調整して前記電圧制御発振器に印加する周波数調整手段と、機内温度と前記制御電圧との相関を示す関係式及びテーブルの少なくとも一方を含む温度特定情報が格納されている記憶手段と、前記調整された制御電圧と前記温度特定情報とに基づいて機内温度を求める検出手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、温度検出専用の装置を取り付けなくとも、携帯電話に不可欠な電圧制御発振器の特性を利用して温度を検出することができ、電力消費の軽減とコストの低減が図られる
【0029】
前記温度特定情報に含まれるものが関係式の場合、温度算出の式に変更が生じた場合であっても、係数の変更のみで容易に対応が図られる
【0030】
前記温度特定情報に含まれるものがテーブルの場合、電圧制御発振器への印加電圧と周囲温度との関係が、非線形性であっても、極大値及び極小値のない範囲内において、テーブル内のデータの参照することにより、現実に近い温度の換算が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における携帯電話機の機能ブロック図である。
【図2】発振器として用いられる部品固有の温度−周波数特性の1例を示す図である。
【図3】発振器として用いられる部品固有のAFC電圧−周波数特性の1例を示す図である。
【図4】DSPが温度を検出する場合の処理を示すフローチャートである。
【図5】AFC電圧と電圧制御発振器の周囲温度との関係を示す図である。
【図6】従来の携帯電話機の機能ブロック図である。
【符号の説明】
100 携帯電話機
101 アンテナ
102 無線回路装置
103 DSP
104 電圧制御発振器
105 電池
106 レギュレータ
107 テンキー
107 表示装置
108 テンキー
109 温度算出部
110 記憶部

Claims (1)

  1. 発振周波数に温度依存性のある電圧制御発振器を用いて通信用の基準周波数を生成している携帯電話機であって、
    前記電圧制御発振器の出力信号における、周波数の所定値からのずれを相殺するよう制御電圧を調整して前記電圧制御発振器に印加する周波数調整手段と、
    機内温度と前記制御電圧との相関を示す関係式及びテーブルの少なくとも一方を含む温度特定情報が格納されている記憶手段と、
    前記調整された制御電圧と前記温度特定情報とに基づいて機内温度を求める検出手段とを備えることを特徴とする携帯電話機。
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