JP3744697B2 - Led表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に搭載された複数のLED(発光ダイオード)同士の間隙がシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該LEDと該シリコーン硬化物が露呈しているLED表示装置に関し、詳しくは、外部からの入射光によっても、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が優れるLED表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に複数のLED(発ダイオード)が搭載されたLED表示装置は、信号機、交通標識、あるいは広告表示板等として利用されており、特に、屋外で使用されるLED表示装置においては、防水のため、該LED同士の間隙がシリコーン硬化物により充填されている(特開平5−190905号公報参照)。
【0003】
しかし、特開平5−190905号公報により提案されるようなLED表示装置において、LED、および該LED同士の間隙を充填しているシリコーン硬化物が露呈している場合には、外部からの入射光、例えば、太陽光によって、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が悪くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の課題を解消するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、基板上に搭載された複数のLED同士の間隙がシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該LEDと該シリコーン硬化物が露呈しているLED表示装置において、外部からの入射光によっても、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が優れるLED表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のLED表示装置は、基板上に搭載された複数のLED同士がシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該LEDと該シリコーン硬化物が露呈しているLED表示装置において、該シリコーン硬化物が空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物を含有する硬化性シリコーン組成物を硬化してなるものであり、該シリコーン硬化物表面のJIS Z 8741に規定される60度鏡面光沢度Gs(60°)が20%以下であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のLED表示装置を図面により詳細に説明する。
本発明のLED表示装置の一例を、図1(断面図)、および図2(上面図)に示した。本発明のLED表示装置は、図1で示されるように、枠材1の中に基板2が配置され、該基板2上には複数のLED3が搭載されている。そして、この複数のLED3同士の間隙、およびLED3と枠材1の間隙は、該LEDの防水、あるいは防振のためにシリコーン硬化物4により充填されている。また、本発明のLED表示装置においては、図2で示されるように、LED3が規則的に基板上に搭載されていてもよく、また、象形的に搭載されていてもよい。
【0007】
本発明のLED表示装置は、図2で示されるように、基板上に搭載された複数のLED3同士の間隙、およびLED3と枠材1の間隙を充填しているシリコーン硬化物4が露呈しているものの、該シリコーン硬化物のJIS Z 8741に規定される60度鏡面光沢度Gs(60°)が20%以下であるので、外部からの入射光によっても、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が優れるという特徴がある。このシリコーン硬化物は、熱膨張収縮によるクラックが生じ難く、また傷つき難くいことから、ゲル状、あるいはゴム状であることが好ましく、特に、ゴム状であることが好ましい。また、このシリコーン硬化物の色彩は、外部からの入射光の乱反射が少なく、得られるLED表示装置の視認性が優れることから黒色であることが好ましい。
【0008】
本発明のLED表示装置において、複数のLEDを充填しているシリコーン硬化物は、空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物を含有する硬化性シリコーン組成物を硬化することにより形成されたものであることが好ましい。この空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物は、硬化性シリコーン組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の表面を艶消しするための成分である。この空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物は、一般に空気中の酸素により重合を起こす不飽和基を分子内に有する化合物であり、具体的には、リノレン酸、リノール酸等の不飽和高級脂肪酸;桐油、亜麻仁油、大豆油等の不飽和高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂や該化合物を変性して得られるアルキド樹脂;リノレン酸メチル、リノール酸メチル等の不飽和脂肪酸とアルコールとのエステル化合物;ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等の分子内に不飽和基を有する炭化水素化合物やその重合体;さらには該化合物により変性されたシリコーン化合物が例示され、特に、リノレン酸、リノレン酸メチル、桐油、1,3−ヘキサジエンが好ましい。この空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物は単独で硬化性シリコーン組成物中に配合してもよく、また、2種以上混合して配合してもよい。
【0009】
この硬化性シリコーン組成物において、空気酸化硬化性の不飽和化合物の含有量は、本組成物中のシリコーン成分100重量部に対して0.01〜50重量部の範囲内となる量であることが好ましく、さらには、0.1〜20重量部の範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.1〜10重量部の範囲内となる量であることが好ましい。これは、この不飽和化合物の含有量が、この範囲の下限未満となる量であると、得られるシリコーン硬化物に十分な艶消し性を付与できなくなる傾向があるからであり、一方、この範囲の上限をこえる量であると、得られるシリコーン硬化物の機械的特性が低下する傾向があるからである。
【0010】
このような硬化性シリコーン組成物の硬化機構は限定されないが、例えば、ヒドロシリル化反応硬化型、縮合反応硬化型、紫外線照射硬化型、有機過酸化物硬化型、およびこれらの硬化機構の併用型が挙げられ、特に、ヒドロシリル化反応硬化型、縮合反応硬化型、ヒドロシリル化反応硬化型と縮合反応硬化型との併用型であることが好ましい。このヒドロシリル化反応硬化型の硬化性シリコーン組成物としては、例えば、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなる組成物が例示される。また、縮合反応硬化型の硬化性シリコーン組成物としては、例えば、脱アルコール型のもの、脱酢酸型のもの、脱ケトン型のもの、脱アミン型のものが挙げられ、具体的には、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水酸基または、アルコキシ基、アルケノキシ基、アセトキシ基等のケイ素原子結合加水分解性基を有するポリオルガノシロキサン、一分子中に少なくとも2個の、アルコキシ基、アルケノキシ基、アセトキシ基等のケイ素原子結合加水分解性基を有するシラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物、および縮合反応用触媒から少なくともなる組成物が例示される。また、ヒドロシリル化反応硬化型と縮合反応硬化型との併用型の硬化性シリコーン組成物としては、例えば、一分子中に、少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基と少なくとも2個の、アルコキシ基、アルケノキシ基、アセトキシ基等のケイ素原子結合加水分解性基を有するポリオルガノシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒、および縮合反応用触媒から少なくともなる組成物、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン、一分子中に少なくとも2個の、アルコキシ基、アルケノキシ基、アセトキシ基等のケイ素原子結合加水分解性基を有するポリオルガノシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒、および縮合反応用触媒から少なくともなる組成物が挙げられる。
【0011】
本発明のLED表示装置を製造する方法としては、例えば、複数のLEDを搭載した基板を枠材等のパッケージの中に配置し、次いで、該LEDの防水、あるいは防振のために、該LEDを硬化性シリコーン組成物により充填した後、該組成物を硬化させる方法が挙げられる。この硬化性シリコーン組成物を硬化する方法としては、該組成物の硬化機構によって異なるが、該硬化機構がヒドロシリル化反応硬化型である場合には、該組成物を室温で放置するか、あるいは加熱する方法が挙げられ、また、該硬化機構が縮合反応硬化型である場合には、室温で放置する方法が挙げられる。
【0012】
このような本発明のLED表示装置は、基板上に搭載された複数のLEDがシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該シリコーン硬化物が露呈されているにもかかわらず、外部からの入射光によっても、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が優れるので、信号機、交通標識、あるいは広告表示板等の屋外で使用される表示装置として有用である。
【0013】
【実施例】
本発明のLED表示装置を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃における値であり、また、シリコーンゴムの鏡面光沢度は、JIS Z 8741に規定される、光源の入射角が60°であり、受光角が60°である、60度鏡面光沢度Gs(60°)により示した。
【0014】
[実施例1]
粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン100重量部、ヘキサメチルジシラザンで表面を疎水処理したBET比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ10重量部、カーボンブラック5重量部、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジエンシロキサン単位のモル比は3:5である。)2重量部、桐油2重量部、塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(塩化白金酸の添加量は上記のポリジメチルシロキサンに対して白金金属が0.001重量%となる量)を混合してヒドロシリル化反応硬化型のシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を80℃で2時間加熱した後、さらに室温で1週間放置することにより硬化させて得られたシリコーンゴムの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0%であった。
【0015】
次に、LEDを16個×16個のマトリクス上に搭載した基板を枠材に配置した後、該LEDが露出するように上記のシリコーンゴム組成物を充填した。このシリコーンゴム組成物を80℃で2時間加熱した後、さらに室温で1週間放置することにより硬化させてLED表示装置を製造した。このLED表示装置の表示面に太陽光を入射させ、太陽光が表示面によって正反射される方向から目視した状態でLEDの一部を点灯させたところ、点灯しているLEDと点灯していないLEDとの視認性は良好であった。
【0016】
[実施例2]
粘度15,000mPa・sの分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、ヘキサメチルジシラザンで表面を疎水処理したBET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ10重量部、カーボンブラック5重量部、リノレン酸メチル0.5重量部、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン2重量部、およびメチルトリメトキシシラン2重量部を混合して脱アルコール縮合反応硬化型のシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を室温で1週間放置することにより硬化させて得られたシリコーンゴムの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0%であった。
【0017】
次に、LEDを16個×16個のマトリクス上に搭載した基板を枠材に配置した後、該LEDが露出するように上記のシリコーンゴム組成物を充填した。このシリコーンゴム組成物を室温で1週間放置することにより硬化させてLED表示装置を製造した。このLED表示装置の表示面に太陽光を入射させ、太陽光が表示面によって正反射される方向から目視した状態でLEDの一部を点灯させたところ、点灯しているLEDと点灯していないLEDとの視認性は良好であった。
【0018】
[比較例1]
粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン100重量部、ヘキサメチルジシラザンで表面を疎水処理したBET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ10重量部、カーボンブラック5重量部、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジエンシロキサン単位のモル比は3:5である。)2重量部、および塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(塩化白金酸の添加量は上記のポリジメチルシロキサンに対して白金金属が0.001重量%となる量)を混合してヒドロシリル化反応硬化型のシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を80℃で2時間加熱した後、さらに室温で1週間放置することにより硬化させて得られたシリコーンゴムの60度鏡面光沢度Gs(60°)が90%であった。
【0019】
次に、LEDを16個×16個のマトリクス上に搭載した基板を枠材に配置した後、該LEDが露出するように上記のシリコーンゴム組成物を充填した。このシリコーンゴム組成物を80℃で2時間加熱した後、さらに室温で1週間放置することにより硬化させてLED表示装置を製造した。このLED表示装置の表示面に太陽光を入射させ、太陽光が表示面によって正反射される方向から目視した状態でLEDの一部を点灯させたところ、部分的に点灯しているLEDと点灯していないLEDとの区別がはっきりせず、視認性は悪かった。
【0020】
【発明の効果】
本発明のLED表示装置は、基板上に搭載された複数のLED同士の間隙がシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該LEDと該シリコーン硬化物が露呈しているにもかかわらず、外部からの入射光によっても、点灯したLEDと点灯していないLEDとの視認性が優れるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るLED表示装置の一例の断面図である。
【図2】 本発明に係るLED表示装置の一例の上面図である。
【符号の説明】
1 枠材
2 基板
3 LED
4 シリコーン硬化物

Claims (3)

  1. 基板上に搭載された複数のLED同士の間隙がシリコーン硬化物により充填されており、かつ、該LEDと該シリコーン硬化物が露呈しているLED表示装置において、該シリコーン硬化物が空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物を含有する硬化性シリコーン組成物を硬化してなるものであり、該シリコーン硬化物表面のJIS Z 8741に規定される60度鏡面光沢度Gs(60°)が20%以下であることを特徴とするLED表示装置。
  2. 空気酸化硬化性の不飽和基を有する化合物の含有量が、硬化性シリコーン組成物中のシリコーン成分100重量部に対して0.01〜50重量部であることを特徴とする、請求項記載のLED表示装置。
  3. 硬化性シリコーン組成物がヒドロシリル化反応硬化型および/または縮合反応硬化型のものであることを特徴とする、請求項または記載のLED表示装置。
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