JP3744200B2 - インクジェットヘッドおよびヘッド検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクチャンネルなどを形成するための複数の凹部が設けられた部材を有するインクジェットヘッドに係り、前記複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易に検査し得る構成を備えるインクジェットヘッド、および、前記複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易に検査し得るヘッド検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置には、ノズルからインク液滴を吐出・飛翔させ、このインク液滴を記録媒体上に着弾させて画像を形成するインクジェット式の記録装置がある。この記録装置に用いられるインクジェットヘッドには種々の型式があるが、例えば、静電気力で振動板を変形させインクを吐出させる静電アクチュエータを利用したものが知られている(例えば、特開平7−214769号公報を参照)。
【0003】
静電型のインクジェットヘッドは、複数の凹部が設けられたチャンネルプレートと、前記凹部の底面に向かい合って配置されるガラス基板およびカバープレートの3つの部材を接合した積層構造を有している。前記凹部により、インク液滴を吐出するノズル、底壁が振動板とされてインクを吐出するための圧力を発生させるインクチャンネル、インクを蓄える共通インク室、および、共通インク室からインクチャンネルへのインク供給口となるインレットが形成されている。インクチャンネルやノズルはプリントするドット数に応じて複数個設けらている。また、前記振動板の背面(インクチャンネルに臨まない側の面)には第1の電極が設けられ、この第1電極に対向する位置に微少なギャップを隔てて第2の電極がガラス基板の上面に設けられている。これら電極部を形成するためにも、振動板の背面や基板の上面には凹部が設けられている。
【0004】
静電型インクジェットヘッドにおけるインク吐出動作の原理は次のとおりである。第1と第2の電極間に駆動回路から電圧を印加すると、電極間に静電気力が発生して振動板が第2電極側に撓む。このとき、共通インク室からインレットを通してインクがインクチャンネルに供給される。対向電極間への電圧の印加をやめて電荷を放電すると、振動板は自身の剛性による復元力によってインクチャンネルの容積を急峻に収縮させ、このときに発生する圧力でインクがノズルから吐出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複数のノズルを有するインクジェットヘッドにおいては、吐出するインクの体積を複数のノズル間で一定にすることが非常に重要である。すなわち、ある一のノズルから吐出されるインク体積が他のノズルから吐出されるインク体積と異なると、一のノズルがプリントした部分の濃度が他の部分と異なってしまい、画像にノイズが発生する。このノイズは、ヘッドが走査した軌跡に沿って規則的なスジ状になって現れることから、非常に目立ちやすく、画質を著しく低下させるものである。
【0006】
近年、パソコンなどで使用されるプリンタは、より高い画質を求めるユーザーニーズに応えるため、高解像度化の一途をたどっている。解像度が高くなるにつれて、プリントするドット数は、解像度の2乗に比例して飛躍的に増える。このような大量のドットを高速にプリントするため、ノズルやインクチャンネルの数はますます増える傾向にあり、例えば最近では、1色あたり128個ものノズルを設けたインクジェットヘッドが知られている。このようにノズルの数が多くなるにつれて、ノズル間の吐出バラツキに関する上述した問題が深刻化している。
【0007】
静電型インクジェットヘッドは、ノズル間の吐出バラツキを少なくするという観点からすれば、他の方式(ピエゾ方式やサーマル方式)のインクジェットヘッドに比べて大きく不利な構成となっている。
【0008】
すなわち、振動板は、例えば厚さが6.5μmと非常に微細な加工が必要であり、しかも加工精度が、インクの吐出体積に直接大きな影響を与えることから、振動板の厚みに対する許容誤差には、例えば±0.1μmという極めて高い精度が要求されている。さらに、第1と第2の電極間の電極ギャップについても例えば0.2μm±0.02という非常にきびしい精度が要求されている。
【0009】
これらの精度に対する高い要求を満たした製品を製造するためには、製造工程において、構成部品の加工精度を正確に検査して、管理する工程が必須である。従来、このような検査を行うにあたっては、接触式あるいは光学式により微少な寸法を計測する測定器が用いられている。
【0010】
しかし、インクチャンネルなどを形成するための凹部の個数が多くなると、測定あるいは良否の判定に比較的長時間を要することから、生産性の低下や組立てコストの増加を招くという問題がある。また、検査に用いる測定器が高価であることも問題である。
【0011】
本発明者は、ノズル間の吐出バラツキを生じさせる種々の要因のうち、インクチャンネルなどを形成する複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを正確に検査できれば、ノズル間の吐出バラツキの低減に寄与し得る点に着目し、インクジェットヘッドの構造を、上記の相対的なバラツキを検査する工程を考慮した構成とし、高価で特別な測定器を用いることなく、かつ、きわめて単純な目視検査で加工精度を確認し得るインクジェットヘッドを開発するに至った。
【0012】
本発明の第1の目的は、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易に検査し得る構成を備えるインクジェットヘッドを提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易に検査し得るヘッド検査方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、複数の凹部が設けられた第1の部材と、前記凹部の底面に向かい合って配置される透明な第2の部材と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記複数の凹部の底面は、実質的に鏡面で、かつ、前記第2の部材における前記凹部の底面に向かい合って配置される面に対して微少な所定角度だけ傾けて形成されていることを特徴とするインクジェットヘッドである。
【0015】
また、請求項2に記載のインクジェットヘッドは、前記凹部は、インクを吐出するための圧力を発生させるインクチャンネルを形成するための凹部であることを特徴とする。
【0016】
前記所定角度としては、0.01度〜6度の範囲が好ましい。
【0017】
また、請求項3に記載のインクジェットヘッドは、前記凹部は、静電アクチュエータ型ヘッドにおける電極部を形成するための凹部であることを特徴とする。
【0018】
さらに、上記第2の目的を達成するための請求項4に記載の発明は、複数の凹部が設けられた部材を有するインクジェットヘッドにおける前記複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを検査するインクジェットヘッドのヘッド検査方法であって、
前記凹部における実質的に鏡面とされた凹部底面と、前記凹部の開放側に配置される透明体の面とを、微少な所定角度だけ相対的に傾けてくさび層を形成し、
前記くさび層に光を入射して各凹部毎に干渉縞を生じさせ、
現れた複数の干渉縞相互間のズレに基づいて、前記相対的なバラツキを検査するようにしたことを特徴とするインクジェットヘッドのヘッド検査方法である。
【0019】
前記所定角度としては、0.01度〜6度の範囲が好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電型インクジェットヘッドの構造を示す断面図、図2は、同インクジェットヘッドを一部断面で示す分解斜視図である。また、図3は、チャンネルプレートに形成されたインクチャンネル部分を拡大して示す断面図であり、この図においてはインクチャンネル底面の傾斜を誇張して表わしてある。
【0021】
図1に示すインクジェットヘッド31は、ヘッド側端部(図中、左端部)に設けられたノズル54からインク液滴を吐出するエッジイジェクトタイプのヘッドであり、複数の凹部が表裏面に設けられたチャンネルプレート50と、前記凹部の底面に向かい合って配置されるカバープレート60およびガラス基板70の3つの部材を接合した積層構造を有している。
【0022】
チャンネルプレート50は、シリコン製基板からなり、図2にも示すように、インクを吐出する複数のノズル54と、それぞれのノズル54に連通しインクを吐出のための圧力を発生させる複数のインクチャンネル51と、図示しないタンク部から供給されたインクを蓄えておく一つの共通インク室52と、共通インク室52から各インクチャンネル51へのインク供給口となるインレット53と、を有する。これらノズル54、インクチャンネル51、共通インク室52およびインレット53は、チャンネルプレート50の表面側(図中、上面側)に複数の凹部を設けることにより形成されている。例えば、インクチャンネル51は凹部51aを設けることにより形成されている。
【0023】
インクチャンネル51の底壁が振動板55とされ、当該振動板55が微少変位することにより、インクチャンネル51の容積あるいは内圧が可変自在となっている。振動板55の背面側(図中、下面側)に第1の電極56が設けられている。この第1電極56を形成するために、振動板55の背面側には凹部56aが設けられている。
【0024】
チャンネルプレート50の下面に接合される透明なガラス基板70は、例えばホウ珪酸ガラスからなり、第1電極56と対向する位置に、振動板55と略同形形状を有する第2の電極72が微少なギャップD1を隔てて設けられている。この第2電極72を形成するために、ガラス基板70の表面側には凹部72aが設けられている。
【0025】
電極間ギャップD1は、本実施形態では0.3μmとしている。第2電極72は共通電極とされ、第1電極56は個別電極とされ、それぞれ配線81、82によって駆動回路105に接続されている。本実施形態では、第1電極56からの配線81はアースされ、第2電極72には、配線82によって電圧が印加されるようになっている。両電極間56、72に駆動回路105から所定の電圧を印加することにより、振動板55を変形させてインクチャンネル51の内圧を変化させ、インク液滴をノズル54から吐出させている。
【0026】
カバープレート60も例えば透明なホウ珪酸ガラスからなり、チャンネルプレート50の上面に接合することにより、上述したインクチャンネル51などが構成される。
【0027】
特に、本実施形態のインクジェットヘッド31にあっては、図3に示すように、インクチャンネル51を形成するための凹部51aの底面58は、実質的に鏡面で、かつ、カバープレート60に対して微少な所定角度θだけ傾けて形成されている。底面58は、インクチャンネル51の長手方向に沿って傾斜している。凹部51aを基準に考える場合には、チャンネルプレート50が第1の部材に相当し、カバープレート60が第2の部材に相当している。
【0028】
凹部底面58に角度を付けるため、本実施形態では、チャンネルプレート50の下面に接合されるガラス基板70の表面を研磨し、実質的に水平面をなす裏面に対して表面を傾斜させてある。この研磨は、凹部底面58がガラス基板70裏面に対してインクチャンネル51の長手方向に前記所定角度θだけ傾くように行われる。一方、チャンネルプレート50の上端面は、カバープレート60が実質的に水平面となるように研磨してある。
【0029】
かかる構成を有するインクジェットヘッド31において、インクチャンネル51を形成するための複数の凹部51aの間に存する相対的なバラツキを検査するヘッド検査方法の原理を図3および図4を参照しつつ説明する。図4は、検査方法を実施している状況を説明するための図である。
【0030】
図3に示すように、凹部51aにおける実質的に鏡面とされた凹部底面58と、凹部51aの開放側に配置される透明体としてのカバープレート60の面とを、微少な所定角度θだけ相対的に傾けることにより、これら2面の間にくさび層が形成されている。本実施形態のインクジェットヘッド31では、カバープレート60を透明な平行平面板とし、このカバープレート60に対して凹部底面58を所定角度θだけ傾けて形成することにより、前記くさび層が形成されている。
【0031】
図示しない点光源からの光を、透明なカバープレート60を通してインクチャンネル51の底面58に向けて照射すると、すなわち、前記くさび層に光を入射すると、入射した光束Aは底面58で反射する一方、光束Bはカバープレート60下面で反射するので光路差が生じ、図中P点における位相差が、波長の1/2になる位置毎に干渉縞(暗線)を生じる。これはフィゾー(fizeau)干渉縞として、一般によく知られている現象である。干渉縞は、各凹部51a毎に生じている。
【0032】
干渉縞の間隔Δxは、インクチャンネル51の底面58が傾斜する角度θによって決まり、光の波長をλとしたときに次式であらわされる。
【0033】
Δx=λ/(2・tanθ) ・・(1)
ここで、凹部51aの深さが微少な量Δt変化した場合、干渉縞の位置もわずかに横にズレる。そして、2・Δt=λ、すなわち、Δtが波長の半分ズレたときには、干渉縞は次の干渉縞と同じ位置までズレることになる。従って、あるインクチャンネル51に現れる干渉縞の位置を基準として、他のインクチャンネル51に現れる干渉縞の位置を、干渉縞の間隔Δxをスケールとして調べることにより、検査に用いた光の波長の数十分の1の精度で、凹部51aの厚みないし深さの差を検出することができる。
【0034】
この場合、検出できるのは複数のインクチャンネル51間の相対的な差であり、絶対値については測定できないものの、画像にノイズを発生させないという前述した理由により、インクチャンネル51間の相対的なバラツキを検出し、インクチャンネル51間でバラツキのないインクジェットヘッド31を提供することには大きな意味がある。
【0035】
実際の検査作業においては、光学顕微鏡などで部品を観察した視野に図4に示されるような状況が見られることになる。
【0036】
図4に示される例では、チャンネル番号「2」のインクチャンネル51の深さが、他のインクチャンネル51に比べてズレていることを一目瞭然に判定できる。干渉縞の間隔Δxは、光の波長λに対応した長さであるので、縞の間隔を目盛りとしてズレの量を測定することにより、波長の数分の1の精度の測定を簡単に行うことができる。
【0037】
許容寸法誤差を波長に対する分数の形で示しておけば、良否判定がさらに容易になる。例えば、許容誤差が±0.1μmの場合、波長587.6nmの光で検査するならば、許容誤差は約(1/6)・λに相当し、また、縞のズレは寸法変化の2倍になるので、干渉縞の間隔Δxの1/3以内のズレであれば許容できることが判定できる。このズレ量は、特別な測定機を使用することなく、目視だけで十分正確に判定できる量である。なお、さらに厳しい精度を要求する場合や、正確に誤差を求めたい場合には、視野にスケールの入った顕微鏡などを用いればよい。
【0038】
図5は、ズレ量が干渉縞の間隔の1/4の場合を示している。すなわち、ズレ量は、波長の1/8であり、波長587.6nmの光で検査したとすると約0.07μmとなり、許容誤差±0.1μmならば許容範囲に入っているので「良」と判定される例である。
【0039】
上記のように特別な測定器を用いることなく、実際に組立てる部品(チャンネルプレート50およびカバープレート60)を仮組みして目視するだけで、複数のインクチャンネル51の精度を同時に簡単に判定することができ、検査に要する時間が非常に短縮される。検査時間を削減できる結果として、ヘッドの組立てに要する時間およびコストが低減され、製品としてのインクジェットヘッド31を安価に提供できる。
【0040】
また、高価な特殊な測定器を用いる必要がないので、この点かも、コストをさらに低減できる。
【0041】
次に、上述したインクジェットヘッド31の製造方法について簡単に説明する。
実施形態に係るインクジェットヘッド31は、いわゆる半導体装置製造プロセスやマイクロマシーン製造プロセスなどを利用して製造されるものであり、その方法は様々であるが、ここでは、その一例について説明する。なお、ここで説明した製造方法以外の方法により製造されたインクジェットヘッド31であっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0042】
インクジェットヘッド31のチャンネルプレート50が備える複数の凹部51a、56aは、基板表面が(110)面を有する単結晶シリコン基板を異方性エッチングすることにより作成する。具体的には、共通インク室52、インレット53、インクチャンネル51およびノズル54の形状をパターン化したマスクをシリコン基板表面に形成し、KOH溶液30%、115℃の条件でエッチングする。
【0043】
さらに、チャンネルプレート50の背面に個別電極56のパターンのマスクを形成し、振動板55部分の厚さが6.5μmになるように表面と同様にエッチングする。
【0044】
両面をエッチングした後、エッチング部の表面を平滑にするために混酸(硝酸:塩酸:酢酸=1:1:1)で軽く表面をエッチングする。検査をさらに容易にするためには、インクチャンネル51の底部にアルミニウムあるいは銀などを蒸着した底面58としてもよい。
【0045】
その後、インクチャンネル51の底面58に角度を付けるために、ガラス基板70の表面を研磨する。研磨は、インクチャンネル51の底面58がガラス基板70の実質的に水平面をなす裏面に対してインクチャンネル51の長手方向に例えば0.1度傾くように行う。この角度は、式(1)に従って、干渉縞の間隔が検査に適した長さとなるように設定される。実施例としては、587.6nmの単色光で照明した場合に干渉縞が約158μmの間隔で現われる。
【0046】
傾ける角度は、測定したい寸法と測定部の長さ、測定に用いる光の波長と顕微鏡の倍率、および人間の目の分解能などによって適当な値が定まる。例えば、波長を587.6nmとした場合、インクチャンネル51の長さは、最長でも5mm程度であるので、この間に5本の干渉縞が生じるような条件を干渉縞の最大間隔とすると、Δx=1.25mmであるから、式(1)より、最小の角度は、約0.01度となる。また、顕微鏡で見分けることができる小さな間隔を0.3μm程度とすると、(1/10)λまで測定するにはその10倍の3μmの干渉縞間隔が必要となるので、Δx=0.003から、約5.6度が最大の角度となる。顕微鏡で見分けることができる最小間隔を考慮すると、傾ける角度θは、0.01〜6度の範囲が好適である。
【0047】
次に、形成した電極パターンに合わせてボロンをイオン注入し、ドーピング層を個別電極56とする。さらに、表面を熱酸化処理することにより絶縁性とし、駆動時に電極間がショートすることを防止する。個別電極56は、他に電極物質(例えばITO)をスパッタリング等の手法で蒸着することによって形成しても良い。この場合は、ホウ珪酸ガラス等をスパッタして表面を絶縁性とする。
【0048】
ガラス基板70は、共通電極72を形成するためのホウ珪酸ガラス製ガラス基板70である。エッチングにより共通電極パターンを形成し、この凹部にITOを蒸着し、電極を形成する。
【0049】
次に、チャンネルプレート50とガラス基板70とを陽極接合する。次いで、チャンネルプレート50にホウ珪酸ガラスによるカバープレート60を陽極接合するが、まず部品同士を位置あわせして、仮組みを行う。この状態で、インクチャンネル51底面58は、図3において水平をなすカバープレート60に対して所定角度θ(度)傾く。この仮組みの際に、587.6nmの単色光を照明して顕微鏡で観察し、前述した検査原理によりインクチャンネル51間の相対的なバラツキに関する良否判定をおこなう。レーザ光などのよりコヒーレンスの高い光を照明に用いることも有効である。
【0050】
判定結果が「良」であれば、チャンネルプレート50にカバープレート60を陽極接合して組立てれば、ヘッドユニットの製造が終了する。
【0051】
上述したように本実施形態によれば、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査し得る構成を備えるインクジェットヘッド31、ならびに、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査し得るヘッド検査方法を提供でき、もって、ヘッド31を組立てる生産性が向上すると共にコストを低減でき、高価な検査装置も不要になる。
【0052】
また、インクチャンネル形成用の複数の凹部51aの間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査できることを通して、形成されたインクチャンネル51の間に存する相対的なバラツキを低減したインクジェットヘッド31となり、もって、それぞれのインクチャンネル51を経てノズル54から吐出されるインクの量をほぼ均一化でき、画像ノイズの発生を防止して高画質を得ることができる。
【0053】
なお、インクチャンネル51を形成する凹部51aの相対的なバラツキを検査すべく、当該凹部底面58を傾けたインクジェットヘッド31およびヘッド検査方法について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。本発明に係る凹部底面を傾ける構成および干渉縞を利用するヘッド検査方法は、インクジェットヘッド31に形成される他の凹部の構成および当該凹部の相対的なバラツキ検査に対して用いることができる。例えば、底面を傾ける凹部は、静電アクチュエータ型ヘッド31における電極部(第1電極56や第2電極72)を形成するための凹部56a、72aであってもよい。
【0054】
より詳しくは、チャンネルプレート50の背面側に設けた凹部56aの底面、および、ガラス基板70の上面側に設けた凹部72aの底面のそれぞれを、所定角度傾ける。
【0055】
ガラス基板70の凹部72aに対しては、ガラス基板70の裏側から検査すれば、ガラス基板70の裏表面と凹部72aの底面との間でくさび層が形成されるので、上述した実施形態と同様な検査手法により干渉縞を生じさせ、各凹部72a毎に現れた複数の干渉縞相互間のズレに基づいて、凹部72aの相対的なバラツキを検査することが可能である。この場合は、ガラス基板70の表面が第1の部材に相当し、裏表面が第2の部材に相当する。
【0056】
また、チャンネルプレート50の凹部56aに対しては、光を干渉させるために、透明の平行平面ガラス板などからなる検査治具を用いれば、同様な干渉法による検査が可能である。検査治具は、凹部56aを検査する際には、凹部56aの開放側すなわちチャンネルプレート50の背面側に取り付けられる。この場合は、チャンネルプレート50が第1の部材に相当し、検査後に接合されるガラス基板70が第2の部材に相当し、検査治具が透明体に相当する。
【0057】
なお、上記検査治具をガラス基板70の上面側に取り付ければ、ガラス基板70の凹部72aを当該ガラス基板70の表面側から検査することもできる。
【0058】
さらに、静電型のインクジェットヘッド31に限られるものでもなく、ノズルやインクチャンネルなどを形成するための凹部が設けられた部材を有するヘッドであれば、他の方式(ピエゾ方式やサーマル方式)のインクジェットヘッドの構成あるいは検査方法にも適用可能である。
【0059】
また、本発明に係るヘッド検査方法は、凹部底面と当該凹部底面に向かい合って配置される透明体の面とを微少な所定角度だけ相対的に傾けてくさび層を形成すれば具現化できるので、微少な所定角度だけ傾けた底面を有する専用の検査治具(透明体に相当する)を用いても、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキ検査を実施できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査し得る構成を備えるインクジェットヘッドを提供でき、もって、ヘッドを組立てる生産性が向上すると共にコストを低減でき、高価な検査装置も不要になる。
【0061】
また、請求項2に記載の発明によれば、インクチャンネル形成用の複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査できることを通して、形成されたインクチャンネルの間に存する相対的なバラツキを低減したインクジェットヘッドを提供でき、もって、それぞれのインクチャンネルを経て吐出されるインクの量をほぼ均一化でき、画質の低下を防止することができる。
【0062】
また、請求項3に記載の発明によれば、電極部形成用の複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査できることを通して、形成された電極部の間に存する相対的なバラツキを低減した静電型のインクジェットヘッドを提供でき、もって、静電方式により振動板を変位することにより吐出されるインクの量をほぼ均一化でき、画質の低下を防止することができる。
【0063】
また、請求項4に記載の発明によれば、複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを容易かつ迅速に検査し得るヘッド検査方法を提供でき、もって、ヘッドを組立てる生産性が向上すると共にコストを低減でき、高価な検査装置も不要になる。
【0064】
また、請求項5および請求項6に記載した所定角度の範囲は、測定したい寸法と測定部の長さ、測定に用いる光の波長と顕微鏡の倍率、および人間の目の分解能などに対応した好適な値となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る静電型インクジェットヘッドの構造を示す断面図である。
【図2】 同インクジェットヘッドを一部断面で示す分解斜視図である。
【図3】 チャンネルプレートに形成されたインクチャンネル部分を拡大して示す断面図であり、インクチャンネルの底面の傾きを誇張して表わした図である。
【図4】 検査方法を実施している状況を説明するための図である。
【図5】 検査方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
31…インクジェットヘッド
50…チャンネルプレート(第1の部材)
60…カバープレート(第2の部材、透明体)
70…ガラス基板
51…インクチャンネル
51a…インクチャンネルを形成するための凹部
54…ノズル
56a、72a…電極部を形成するための凹部
55…振動板
56…第1電極(電極部)
72…第2電極(電極部)
θ…所定角度
Claims (6)
- 複数の凹部が設けられた第1の部材と、前記凹部の底面に向かい合って配置される透明な第2の部材と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記複数の凹部の底面は、実質的に鏡面で、かつ、前記第2の部材における前記凹部の底面に向かい合って配置される面に対して微少な所定角度だけ傾けて形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記凹部は、インクを吐出するための圧力を発生させるインクチャンネルを形成するための凹部であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記凹部は、静電アクチュエータ型ヘッドにおける電極部を形成するための凹部であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 複数の凹部が設けられた部材を有するインクジェットヘッドにおける前記複数の凹部の間に存する相対的なバラツキを検査するインクジェットヘッドのヘッド検査方法であって、
前記凹部における実質的に鏡面とされた凹部底面と、当該凹部底面に向かい合って配置される透明体の面とを、微少な所定角度だけ相対的に傾けてくさび層を形成し、
前記くさび層に光を入射して各凹部毎に干渉縞を生じさせ、
現れた複数の干渉縞相互間のズレに基づいて、前記相対的なバラツキを検査するようにしたことを特徴とするインクジェットヘッドのヘッド検査方法。 - 前記所定角度は、0.01度〜6度の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記所定角度は、0.01度〜6度の範囲であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッドのヘッド検査方法。
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