JPH06226973A - インク噴射装置 - Google Patents

インク噴射装置

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JPH06226973A
JPH06226973A JP1454293A JP1454293A JPH06226973A JP H06226973 A JPH06226973 A JP H06226973A JP 1454293 A JP1454293 A JP 1454293A JP 1454293 A JP1454293 A JP 1454293A JP H06226973 A JPH06226973 A JP H06226973A
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JP
Japan
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ink
side wall
liquid chamber
ejecting apparatus
ink liquid
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JP1454293A
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English (en)
Inventor
Hiroto Sugawara
宏人 菅原
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Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い駆動電圧で文字や画像を形成するのに十
分な速度及び体積のインク液滴を噴射することが可能な
インク噴射装置を提供することを目的とする。 【構成】圧電セラミックスプレート1に設けられた溝1
5の内部の一部に形成された電極13に駆動電圧を印加
し、前記圧電セラミックスプレート1の圧電厚みすべり
効果を用いて前記溝15の内部の容積を変化させること
により、前記溝15の内部に充填されたインクを噴射す
るインク噴射装置において、インク液室を構成する溝1
5の内、直線状に徐々に深さが変化する溝の底部が前記
圧電セラミックスプレート1の面方向となすテーパの絶
対値が、好ましくは0.02以下の範囲、より好ましく
は0.012以下の範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク噴射装置に係わ
り、さらに詳しくは圧電セラミックスの変形を利用した
インク噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プリンタヘッドとして、圧電セラ
ミックスを応用したドロップオンデマンド方式のインク
ジェットプリンタヘッドが提案されている。これは、圧
電セラミックスの変形によってインク液室の容積を変化
させることにより、その容積減少時にインク液室内のイ
ンクをノズルから液滴として噴射し、容積増大時に他方
のインク導入路からインク液室内にインクを導入するよ
うにしたものである。そして、このようなインク液室を
多数互いに近接して配置し、所要の印字データに従って
所要の位置のノズルからインク液滴を噴射させることに
より、そのノズルと対向する紙面上等に所望する文字や
画像を形成するものである。
【0003】この種のインク噴射装置としては、例えば
特開昭63−247051号公報、特開昭63−252
750号公報及び特開平2−150355号公報に記載
されているものがある。図15、図16、図17及び図
18にそれら従来例の概略図を示す。以下、インク噴射
装置の断面図を示す図15によって、従来例の構成を具
体的に説明する。複数の溝15及び該溝を隔てる側壁1
1を有し、かつ矢印4の方向に分極処理を施した圧電セ
ラミックスプレート1と、セラミックス材料または樹脂
材料等からなるカバープレート2とを、エポキシ系接着
剤等からなる接合層3を介して接合することで、溝15
は横方向に互いに間隔を有する複数のインク液室12と
なる。インク液室12は長方形断面の細長い形状であ
り、側壁11はインク液室12の全長にわたって伸びて
いる。側壁11の接着層3付近の側壁上部から側壁中央
部までの両表面には、駆動電界印加用の金属電極13が
形成されている。全てのインク液室12内には、インク
が充填される。
【0004】次に、インク噴射装置の断面図を示す図1
6によって、従来例の動作を説明する。該インク噴射装
置において、所要の印字データに従って例えばインク液
室12bが選択されると、金属電極13eと13fに急
速に正の駆動電圧が印加され、金属電極13dと13g
は接地される。これにより側壁11bには矢印14bの
方向の駆動電界が、側壁11cには矢印14cの方向の
駆動電界が作用する。このとき駆動電界方向14b及び
14cと分極方向4とが直交しているため、側壁11b
及び11cは、圧電厚みすべり効果によってインク液室
12bの内部方向に急速に変形する。この変形によって
インク液室12bの容積が減少してインク液室12bの
インク圧力が急速に増大し、圧力波が発生して、インク
液室12bに連通するノズル32(図17)からインク
液滴が噴射される。また、駆動電圧の印加を徐々に停止
すると、側壁11b及び11cが変形前の位置に戻るた
めインク液室12b内のインク圧力が徐々に低下し、イ
ンク供給口21(図17)からマニホールド22(図1
7)を通してインク液室12b内にインクが供給され
る。
【0005】但し、上記の動作は従来例の基本動作に過
ぎず、製品として具体化される場合には、まず駆動電圧
を容積が増加する方向に印加し、先にインク液室12b
にインクを供給させた後に上記の動作を行うこともあ
る。
【0006】次に、インク噴射装置の斜視図を示す図1
7によって、従来例の構成及び製造法を説明する。分極
処理を施した圧電セラミックスプレート1に、薄い円板
状のダイヤモンドブレードを使用した研削加工等によっ
て、前記の形状のインク液室12を形成する平行な溝1
5を作製する。溝15は圧電セラミックスプレート1の
ほぼ全域で同じ深さの平行な溝であるが、端面17に近
づくにつれて徐々に浅くなり、端面17付近では浅く平
行な溝18となるよう作成される。この溝15及び浅く
平行な溝18の内面には、前記の金属電極13がスパッ
タリング等によって形成される。溝15の内面にはその
側面の上半分のみに金属電極が形成されるが、浅く平行
な溝18の内面にはその側面及び底面全体に金属電極が
形成される。また、セラミックス材料または樹脂材料等
からなるカバープレート2に、研削または切削加工等に
よって、インク導入口21及びマニホールド22を作成
する。
【0007】次に、圧電セラミックスプレート1の溝加
工側の面とカバープレート2のマニホールド加工側の面
とを、エポキシ系接着剤等によって、各々の溝15が前
記の形状のインク液室12を形成するように接着する。
次に、圧電セラミックスプレート1及びカバープレート
2の端面16に、各インク液室12の位置に対応した位
置にノズル32が設けられたノズルプレート31を接着
する。圧電セラミックスプレート1の溝加工側と反対側
の面には、各インク液室12の位置に対応した位置に導
電層のパターン42が設けられた基板41を、エポキシ
系接着剤等によって接着する。そして、浅く平行な溝1
8の底面の金属電極と導電層のパターン42を、ワイヤ
ボンディングによって導線43で接続する。
【0008】次に、制御部のブロック図を示す図18に
よって、従来例の制御部の構成を説明する。基板41に
設けられた導電層のパターン42は各々個々にLSIチ
ップ51に接続され、クロックライン52、データライ
ン53、電圧ライン54及びアースライン55もLSI
チップ51に接続されている。LSIチップ51は、ク
ロックライン52から供給された連続するクロックパル
スに基づいて、データライン53上に現れるデータか
ら、どのノズルからインク液滴の噴射を行うべきかを判
断し、駆動するインク液室内の金属電極に導通する導電
層のパターン42に、電圧ライン54の電圧Vを印加す
る。また、前記インク液室以外の金属電極に導通する導
電層のパターン42にアースライン55の電圧0を印加
する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のインク噴射装置は、金属電圧に印加した電
気エネルギーと比較してインク液滴の噴射速度が小さ
く、噴射されるインク液滴の速度及び体積が噴射装置と
対向する紙面上等に文字や画像を形成するのに不十分で
あるという問題点があった。このような装置で文字や画
像を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴
射するためには高い駆動電圧が必要となり、駆動回路が
複雑化、大型化し、装置の低コスト化、小型化に限界が
あった。
【0010】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、低い駆動電圧で文字や画像を形
成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴射する
ことが可能なインク噴射装置を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインク噴射装置は、圧電セラミックスに設け
られた溝の内部の一部に形成された電極に駆動電圧を印
加し、前記圧電セラミックスの圧電厚みすべり効果を用
いて前記溝の内部の容積を変化させることにより、前記
溝の内部に充填されたインクを噴射するインク噴射装置
において、インク液室を構成する溝の内、直線状に徐々
に深さが変化する溝の底部が前記圧電セラミックスの面
方向となすテーパの絶対値が、0.02以下であること
を特徴とする。
【0012】
【作用】上記の構成を有する本発明のインク噴射装置に
よれば、インク液室を構成する溝の内、直線状に徐々に
深さが変化する溝の底部が前記圧電セラミックスの面方
向となすテーパの絶対値を0.02以下とすることによ
り、それ以外の値を採る場合と比較して、インク液滴の
噴射速度が格段と高くなる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。尚、従来技術と同一の部材には同一
の符号を付し、その説明を省略する。
【0014】1.側壁の高さと幅の比H/Bとインク液
室内の圧力Pとの関係の説明 まず、インク噴射装置の一部の断面図を示す図1によっ
て、側壁11及び金属電極13の形状を表すパラメータ
を説明する。圧電セラミックスプレート1に設けられた
側壁11の高さをH、幅をB、ピッチをZ、底部の曲率
をR、側壁11の表面に形成された金属電極13の上端
から下端までの長さをDとする。
【0015】次に、側壁の高さと幅の比H/Bとインク
液室内の圧力Pとの関係を説明する図2によって、本発
明の実施例の構成を説明する。種々の側壁の高さと幅の
比H/Bをもつインク噴射装置を製作し、金属電極13
に同じ駆動電圧を印加してインク液室12内に発生する
圧力を測定した。製作したインク噴射装置の側壁11の
幅Bは40μmから120μm、高さは100μmから
600μmの範囲であり、また金属電極13の長さDは
側壁11の高さHのほぼ1/2である。圧電セラミック
ス1の材料にはチタン酸バリウム系圧電セラミックス、
金属電極13には真空蒸着によって形成した厚さ1μm
程度のアルミニウム層、カバープレート2の材料にはホ
ウケイ酸ガラス、接着剤3にはエポキシ系接着剤を使用
した。インクはトリプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル(TPM)をベースとした顔料インクで、金属電
極13に印加する駆動電圧は40ボルトである。
【0016】インク液室12内の圧力は以下に示す方法
で測定した。平行なレーザ光線を、金属顕微鏡の対物レ
ンズを通して透明なカバープレート2の上方からインク
液室12の内部に照射し、レーザ光線がインク液室12
の底部で集光している状態で、インク液室12の底部で
反射し再び対物レンズを通るレーザ光線と照射したレー
ザ光線の位相差を検出する。インク液室12内のTPM
の圧力の変化により屈折率が変化するとレーザ光線がイ
ンク液室12内を通過する時間が変化し、前記の位相差
の変化を検出することによりインク液室12内の圧力を
測定することができる。図2に示すように、測定結果
は、側壁11の高さと幅の比H/Bが2.5以上8以下
でインク液室12内の圧力がほぼ最大になることを示し
ている。
【0017】一方、圧電セラミックスプレート1、側壁
の高さと幅の比H/Bが1から10の範囲の種々の値で
ある側壁11、接着層3及びカバープレート2のモデル
を作成し、有限要素法による数値解析を行って側壁の高
さと幅の比H/Bとインク液室内の圧力Pとの関係を調
べた。インク液室内の圧力Pは、インク液室12内にイ
ンクが導入されていない場合に金属電極13に駆動電圧
を印加したときの側壁11の静的な変形量即ちインク液
室12内の体積減少量をΔV、側壁11の表面に圧力P
を作用させたときの側壁11の静的な変形量即ち側壁1
1のコンプライアンスをC、圧電セラミックスプレート
1の圧電特性及び機械的特性、インクの圧縮特性などで
決まる定数をKとすると、P=K・ΔV/Cで推定する
ことができる。解析結果は、図2に示すように、側壁1
1の高さと幅の比H/Bが2.5以上8以下の範囲でイ
ンク液室12内の圧力が最大値の85%程度以上の値を
とり、また2以上9以下の範囲でインク液室12内の圧
力が最大値の70%程度以上の値をとることを示してい
る。これは前述の測定結果と一致している。
【0018】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置は、溝を隔てる側壁の高さHと側壁の幅Bの比H/B
が、好ましくは2以上9以下の範囲、より好ましくは
2.5以上8以下の範囲となるよう構成した。ここで仮
に、前述の範囲以外の値を採る場合を考えると、金属電
圧13に印加する駆動電圧に対するインク液室12内に
発生するインク圧力の比率が小さく、噴射されるインク
液滴の速度及び体積が、噴射装置と対向する紙面上等に
文字や画像を形成するのに不十分となる。従って、高い
駆動電圧を得るために、駆動回路の複雑化、大型化を招
くことになる。これに対し、本実施例によれば、インク
液室12内に発生する圧力を効率的に大きくすることが
できる。即ち、低い駆動電圧でインク液室12内に高い
圧力を発生することができ、文字や画像を形成するのに
十分な速度及び体積のインク液滴を噴射することができ
る。このインク噴射装置によると、20〜50ボルト程
度の低い駆動電圧において、インク液滴の速度は3〜8
m/秒、体積は30〜90pl程度とすることができ、
駆動回路を簡素化、小型化でき、インク噴射装置全体を
低コスト化、小型化することができる。
【0019】2.側壁の幅とピッチの比B/Zとインク
液室内の圧力Pとの関係の説明 本実施例の側壁の幅とピッチの比B/Zとインク液室内
の圧力Pとの関係を、図3によって具体的に説明する。
種々の側壁の幅とピッチの比B/Zをもつインク噴射装
置を製作し、金属電極13に同じ駆動電圧を印加してイ
ンク液室12内に発生する圧力を測定した。尚、製作し
たインク噴射装置の寸法条件、材料、製造方法、及び圧
力測定方法は上記項目1と同様である。
【0020】図3に示すように、測定結果は、側壁11
の幅とピッチの比B/Zが0.3以上0.8以下でイン
ク液室12内の圧力が最大になることを示している。
【0021】一方、圧電セラミックスプレート1、側壁
の幅とピッチの比B/Zが0.1から0.9の範囲の種
々の値である側壁11、接着層3及びカバープレート2
のモデルを作成し、有限要素法による数値解析を行って
側壁の幅とピッチの比B/Zとインク液室内の圧力Pと
の関係を調べた。インク液室内の圧力Pの推定方法も上
記項目1と同様である。解析結果は、図3に示すよう
に、側壁11の幅とピッチの比B/Zが0.3以上0.
8以下の範囲でインク液室12内の圧力が最大値の85
%程度以上の値をとり、また0.2以上0.9以下の範
囲でインク液室12内の圧力が最大値の70%程度以上
の値をとることを示している。これは前述の測定結果と
一致している。
【0022】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置は、溝を隔てる側壁の幅Bと側壁のピッチZの比B/
Zが、好ましくは0.2以上0.9以下の範囲、より好
ましくは0.3以上0.8以下の範囲となるよう構成し
た。ここで仮に、前述の範囲以外の値を採る場合を考え
ると、金属電圧13に印加する駆動電圧に対するインク
液室12内に発生するインク圧力の比率が小さく、噴射
されるインク液滴の速度及び体積が、噴射装置と対向す
る紙面上等に文字や画像を形成するのに不十分となる。
従って、高い駆動電圧を得るために、駆動回路の複雑
化、大型化を招くことになる。これに対し、本実施例に
よれば、インク液室12内に発生する圧力を効率的に大
きくすることができる。即ち、低い駆動電圧でインク液
室12内に高い圧力を発生することができ、文字や画像
を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴射
することができる。このインク噴射装置によると、20
〜50ボルト程度の低い駆動電圧において、インク液滴
の速度は3〜8m/秒、体積は30〜90pl程度とす
ることができ、駆動回路を簡素化、小型化でき、インク
噴射装置全体を低コスト化、小型化することができる。
【0023】3.側壁底部の曲率Rと側壁底部での主応
力σとの関係の説明 種々の側壁底部の曲率Rをもつインク噴射装置を製作
し、金属電極13に駆動電圧を印加してインク液滴の噴
射を10億回程度行った。尚、製作したインク噴射装置
の寸法条件、材料は上記項目1と同様である。但し、溝
15の作製は、溝15の幅よりも若干小さな幅の円板状
のダイヤモンドブレードを使用した研削加工によって行
ったが、ダイヤモンドブレードの外周のエッジを種々の
曲率に予め研削加工しておくことで、側壁底部の曲率R
が3μmから40μmの範囲の側壁11を作製した。
【0024】上述のインク噴射装置で10億回程度のイ
ンク液滴の噴射を行った結果、一部の側壁の底部に微小
き裂が発生し破壊に至っていることが判明した。このよ
うな側壁では金属電極13に駆動電圧を印加しても側壁
の正常な変形が起こらず、インク液滴の噴射が停止して
いた。破壊した側壁は側壁底部の曲率Rが小さいものに
集中しており、曲率Rが3μmの側壁では試験を行った
側壁の8%に達し、4μmの側壁では1%、5μmの側
壁では0.2%、6μmの側壁では0.02%が破壊し
た。曲率Rが7μm以上の側壁では破壊したものは一例
もなかった。
【0025】一方、圧電セラミックスプレート1、側壁
底部の曲率Rが3μmから40μmの範囲の種々の値で
ある側壁11、接着層3及びカバープレート2のモデル
を作成し、有限要素法による数値解析を行って側壁底部
の曲率Rと側壁底部での主応力σとの関係を調べた。解
析結果は、図4に示すように、側壁底部の曲率Rが小さ
くなると側壁底部での主応力σが急速に増大することを
示している。以上の試験結果及び解析結果は、側壁底部
の曲率Rが小さくなると側壁底部での主応力σが急速に
増大し、側壁底部での主応力σが圧電セラミックスプレ
ート1の破壊強度を越えると一部の側壁の底部に微小き
裂が発生し破壊に至ることを示している。
【0026】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、溝を隔てる側壁の底部の曲率が、好まし
くは5μm以上、より好ましくは7μm以上となるよう
に構成した。本実施例のインク噴射装置によれば、イン
ク液滴の噴射を10億回程度行っても、側壁の底部に微
小き裂が発生せず破壊が起こらない。このため、多数回
インク液滴の噴射を行ってもインク液滴の噴射が停止し
ない、信頼性のあるインク噴射装置を提供することがで
きる。
【0027】4.側壁のテーパTとインク液室内の圧力
Pとの関係の説明 まず、インク噴射装置の一部の断面図を示す図5によっ
て、本実施例の構成を説明する。複数の溝15及び該溝
を隔てる側壁11を有し、かつ矢印4の方向に分極処理
を施した圧電セラミックスプレート1と、セラミックス
材料または樹脂材料等からなるカバープレート2とを、
エポキシ系接着剤等からなる接合層3を介して接合する
ことで、溝15は横方向に互いに間隔を有する複数のイ
ンク液室12となる。側壁11は、カバープレート2と
接する上部で幅が狭く下部で幅が広い台形断面の細長い
形状であり、インク液室12の全長にわたって伸びてい
る。側壁11の接着層3付近の側壁上部から側壁中央部
までの両表面には、駆動電界印加用の金属電極13が形
成されている。全てのインク液室12内には、インクが
充填される。次に、側壁11及び金属電極13の形状を
表すパラメータを説明する。側壁11の高さをH、上部
の幅をBu、下部の幅をBl、ピッチをZ、底部の曲率
をR、側壁11の表面に形成された金属電極13の上端
から下端までの長さをDとする。側壁のテーパTは式T
=(Bl−Bu)/Hで表される。
【0028】次に、電極の長さと側壁の高さの比D/H
とインク液室内の圧力Pとの関係を説明する図6及び側
壁のテーパTとインク液室内の圧力Pとの関係を説明す
る図7によって、本実施例の構成を説明する。側壁のテ
ーパTが0から0.2の種々の値で、電極の長さと側壁
の高さの比D/Hが0.2から0.8の種々の値である
インク噴射装置を製作し、金属電極13に同じ駆動電圧
を印加してインク液室12内に発生する圧力を測定し
た。尚、製作したインク噴射装置の電極の長さ以外の寸
法条件、材料、製造方法及び圧力測定方法は上記項目1
と同様である。
【0029】図6に、側壁のテーパTが0.05のイン
ク噴射装置における、電極の長さと側壁の高さの比D/
Hとインク液室内の圧力Pとの関係を示す。測定結果
は、この場合、電極の長さと側壁の高さの比D/Hが
0.5程度のときインク液室12内の圧力が最大になる
ことを示している。
【0030】一方、圧電セラミックスプレート1、側壁
のテーパTが0から0.2の種々の値で、電極の長さと
側壁の高さの比D/Hが0.2から0.8の種々の値で
ある側壁11、接着層3及びカバープレート2のモデル
を作成し、有限要素法による数値解析を行って側壁のテ
ーパT及び電極の長さと側壁の高さの比D/Hとインク
液室内の圧力Pとの関係を調べた。インク液室内の圧力
Pの推定方法も上記項目1と同様である。
【0031】図6に、側壁のテーパTが0.05のイン
ク噴射装置における、電極の長さと側壁の高さの比D/
Hとインク液室内の圧力Pとの関係を示す。解析結果
は、この場合、電極の長さと側壁の高さの比D/Hが
0.5程度のときインク液室12内の圧力が最大になる
ことを示している。これは前述の測定結果と一致してい
る。
【0032】以上の結果から、側壁のテーパTが0.0
5のインク噴射装置においては、電極の長さと側壁の高
さの比D/Hが0.5程度のときインク液室12内の圧
力が最大になることを示している。
【0033】以上のような測定及び解析を、側壁のテー
パTが0から0.2の種々の値であるインク噴射装置で
行い、各々の形状の側壁で電極の長さと側壁の高さの比
D/Hを変化させたときのインク液室内の圧力Pの最大
値を調べた。図7に示すように、側壁のテーパTが0の
ときインク液室内の圧力Pは最大で、これと比較して側
壁のテーパTが0.1のときインク液室内の圧力Pは1
5%程度の低下にとどまっているが、側壁のテーパTが
0.16以上になるとインク液室内の圧力Pは30%以
上低下し、金属電圧13に印加する電気エネルギーと比
較してインク液室12内に発生するインク圧力が小さ
く、噴射されるインク液滴の速度及び体積が噴射装置と
対向する紙面上等に文字や画像を形成するのに不十分で
あるという問題点がある。このような装置で文字や画像
を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴射
するためには高い駆動電圧が必要となり、駆動回路が複
雑化、大型化し、装置の低コスト化、小型化に限界があ
る。
【0034】更に、側壁のテーパTが負の場合、即ち逆
テーパにおける上記と同様の測定及び解析を行った。そ
の結果、テーパTの絶対値で考えれば、上記とほぼ同様
の傾向となることがわかった。
【0035】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、溝を隔てる側壁のテーパの絶対値Tが、
好ましくは0.16以下の範囲、より好ましくは0.1
以下の範囲となるよう構成した。これにより本実施例の
インク噴射装置では、インク液室12内に発生する圧力
を効率的に大きくすることができる。即ち、低い駆動電
圧でインク液室12内に高い圧力を発生することがで
き、文字や画像を形成するのに十分な速度及び体積のイ
ンク液滴を噴射することができる。このインク噴射装置
によると、20〜50ボルト程度の低い駆動電圧におい
て、インク液滴の速度は3〜8m/秒、体積は30〜9
0pl程度とすることができ、駆動回路を簡素化、小型
化でき、インク噴射装置全体を低コスト化、小型化する
ことができる。
【0036】5.側壁高さ方向と分極方向とのなす角度
θとインク液室内の圧力Pとの関係の説明 まず、インク噴射装置の一部の断面図を示す図8によっ
て、側壁11及び金属電極13の形状を表すパラメータ
を説明する。圧電セラミックスプレート1に設けられた
側壁11の高さをH、幅をB、ピッチをZ、底部の曲率
をR、側壁11の表面に形成された金属電極13の上端
から下端までの長さをD、側壁11の高さ方向と分極方
向4とのなす角度をθとする。
【0037】次に、図示矢印A方向と分極方向とのなす
角度θとインク液室内の圧力Pとの関係を説明する図9
によって、本実施例の構成を説明する。側壁11の高さ
方向である図示矢印A方向と分極方向とのなす角度θが
種々の値であるインク噴射装置を製作し、金属電極13
に同じ駆動電圧を印加してインク液室12内に発生する
圧力を測定した。尚、製作したインク噴射装置の寸法条
件、製造方法、及び圧力測定方法は上記項目1と同様で
ある。但し、圧電セラミックス1の素材は、分極済みの
チタン酸バリウム系圧電セラミックスのブロックからブ
ロックの分極方向に対し90−θ度の面方向をもつウェ
ハをスライサによって切り出すことによって製作した。
金属電極13には真空蒸着によって形成した厚さ1μm
程度のアルミニウム層、カバープレート2の材料にはホ
ウケイ酸ガラス、接着剤3にはエポキシ系接着剤を使用
した。θは0度から20度の範囲である。
【0038】図9に示すように、図示矢印A方向と分極
方向とのなす角度θが0度のときインク液室内の圧力P
は最大で、これと比較してθが14度のときインク液室
内の圧力Pは15%程度の低下にとどまっているが、θ
が18度以上になるとインク液室内の圧力Pは30%以
上低下し、金属電圧13に印加する電気エネルギーと比
較してインク液室12内に発生するインク圧力が小さ
く、噴射されるインク液滴の速度及び体積が噴射装置と
対向する紙面上等に文字や画像を形成するのに不十分で
あるという問題点がある。このような装置で文字や画像
を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴射
するためには高い駆動電圧が必要となり、駆動回路が複
雑化、大型化し、装置の低コスト化、小型化に限界があ
る。
【0039】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、溝を隔てる側壁の高さ方向と分極方向と
のなす角度が、好ましくは18度以下、より好ましくは
14度以下の範囲となるよう構成した。これにより、本
実施例のインク噴射装置では、インク液室12内に発生
する圧力を効率的に大きくすることが出来る。即ち、低
い駆動電圧でインク液室12内に高い圧力を発生するこ
とができ、文字や画像を形成するのに十分な速度及び体
積のインク液滴を噴射することができる。このインク噴
射装置によると、20〜50ボルト程度の低い駆動電圧
において、インク液滴の速度は3〜8m/秒、体積は3
0〜90pl程度とすることができ、駆動回路を簡素
化、小型化でき、インク噴射装置全体を低コスト化、小
型化することができる。
【0040】6.曲率rと液滴の噴射速度vとの関係の
説明 まず、インク噴射装置の一部の断面図を示す図10によ
って、本実施例の構成及び溝15の形状を表すパラメー
タを説明する。インク液室12を形成する溝15は、端
面16から圧電セラミックスプレート1の内部の点51
までは同じ深さの平行な溝であるが、点51から端面1
7の方向に曲率Rで徐々に浅くなり、端面17付近では
浅く平行な溝18である。点51のインク液室長手方向
の位置は、側壁11の駆動部の長さをできるだけ長く
し、且つマニホールド22の体積をできるだけ大きく
し、カバープレート2をできるだけ小さくできるよう
に、マニホールド22のノズルプレート31側の端部2
3と一致している。この溝15及び浅く平行な溝18の
内面には、金属電極13をスパッタリング等によって形
成する。溝15の内面にはその側面の上半分のみに金属
電極が形成されるが、浅く平行な溝18の内面にはその
側面及び底面全体に金属電極が形成される。
【0041】次に、曲率rと液滴の噴射速度vとの関係
を説明する図11によって、本実施例の構成を説明す
る。種々の曲率rをもつインク噴射装置を製作し、金属
電極13に同じ駆動電圧を印加してノズル32からの液
滴の噴射速度vを測定した。なお、製作したインク噴射
装置の寸法条件、材料、製造方法は上記項目1と同様で
ある。
【0042】図11に示すように、曲率rが15mm以
上のとき液滴の噴射速度vはほぼ一定で最大となり、こ
れと比較して曲率rが7mmのとき液滴の噴射速度vは
10%程度の低下にとどまっているが、曲率rが5mm
以下になると液滴の噴射速度vは15%以上低下し、金
属電圧13に印加する電気エネルギーと比較して液滴の
噴射速度が小さく、液滴の噴射速度が噴射装置と対向す
る紙面上等に文字や画像を形成するのに不十分であると
いう問題点がある。このような装置で文字や画像を形成
するのに十分な速度のインク液滴を噴射するためには高
い駆動電圧が必要となり、駆動回路が複雑化、大型化
し、装置の低コスト化、小型化に限界がある。
【0043】この原因は、曲率rが小さくなると、イン
ク供給口21からマニホールド22を通してインク液室
12内にインクが供給される場合、マニホールド22か
ら溝15の底部が曲率rである部分を通してインク液室
12にインクが流れるときのインクの流動抵抗が大きく
なる。そして、インクの供給量が液滴として噴射される
インクの量に追いつかなる結果、インク液室12内に負
圧が発生し、金属電極13に駆動電圧を印加した場合に
インク液室12内に発生する圧力が低下するためであ
る。そして、インク液室12内の圧力が小さいほど液滴
の噴射速度は小さくなる。
【0044】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、インク液室を構成するほぼ一定の深さの
溝に連続する溝の曲率が、好ましくは5mm以上、より
好ましくは7mm以上の範囲となるよう構成した。これ
により本実施例のインク噴射装置では、液滴の噴射速度
を効率的に大きくすることが出来る。即ち、低い駆動電
圧で文字や画像を形成するのに十分な速度及び体積のイ
ンク液滴を噴射することができる。このインク噴射装置
によると、20〜50ボルト程度の低い駆動電圧におい
て、インク液滴の速度は3〜8m/秒、体積は30〜9
0pl程度とすることができ、駆動回路を簡素化、小型
化でき、インク噴射装置全体を低コスト化、小型化する
ことができる。
【0045】7.溝底部のテーパtと液滴の噴射速度v
との関係の説明 まず、インク噴射装置の断面図を示す図12によって、
本実施例の構成及び溝15の形状を表すパラメータを説
明する。インク液室12を形成する溝15は、端面16
から圧電セラミックスプレート1の内部の点51までは
同じ深さの平行な溝または溝の長手方向に対して直線状
に徐々に深さが変化する溝で、ノズルプレート31と当
接する部分での深さがHn、マニホールド22に近接す
る部分での深さがHmである。溝15底部のテーパtは
溝15のノズルプレート31と当接する部分から点51
までの長さをLとすると、式t=(Hn−Hm)/Lで
表される。溝15は点51から端面17の方向に曲率R
で徐々に浅くなり、端面17付近では浅く平行な溝18
である。この溝15及び浅く平行な溝18の内面には、
金属電極13をスパッタリング等によって形成する。溝
15の内面にはその側面の上半分のみに金属電極が形成
されるが、浅く平行な溝18の内面にはその側面及び底
面全体に金属電極が形成される。
【0046】次に、溝15底部のテーパtと液滴の噴射
速度vとの関係を説明する図13によって、本実施例の
構成を説明する。種々のtをもつインク噴射装置を製作
し、金属電極13に同じ駆動電圧を印加してノズル32
からの液滴の噴射速度vを測定した。製作したインク噴
射装置の側壁11の幅Bは40μmから120μm、高
さは直線状に徐々に高さが変化する部分の一番高いとこ
ろで200μmから1000μmの範囲、一番低いとこ
ろで100μmから400μmの範囲であり、また金属
電極13の長さDは金属電極13が形成されているとこ
ろの側壁11の高さHのほぼ1/2で、側壁11の高さ
が直線状に徐々に変化する部分では金属電極13の長さ
Dは直線状に徐々に変化する。圧電セラミックス1の材
料にはチタン酸バリウム系圧電セラミックス、金属電極
13には真空蒸着によって形成した厚さ1μm程度のア
ルミニウム層、カバープレート2の材料にはホウケイ酸
ガラス、接着剤3にはエポキシ系接着剤を使用した。イ
ンクはトリプロピレングリコールモノメチルエーテル
(TPM)をベースとした顔料インクで、金属電極13
に印加する駆動電圧は40ボルトである。
【0047】図13に示すように、溝15底部のテーパ
tが0のとき液滴の噴射速度vは最大となり、これと比
較してtが0.012のとき液滴の噴射速度vは10%
程度の低下にとどまっているが、tが0.02以上にな
ると液滴の噴射速度vは15%以上低下し、金属電圧1
3に印加する電気エネルギーと比較して液滴の噴射速度
が小さく、液滴の噴射速度が噴射装置と対向する紙面上
等に文字や画像を形成するのに不十分であるという問題
点がある。このような装置で文字や画像を形成するのに
十分な速度のインク液滴を噴射するためには高い駆動電
圧が必要となり、駆動回路が複雑化、大型化し、装置の
低コスト化、小型化に限界がある。
【0048】この原因としては以下のことが考えられ
る。溝15底部のテーパtが大きくなると、金属電極1
3に駆動電圧を印加したとき、溝15のノズルプレート
31と当接する部分で発生するインクの圧力とマニホー
ルド22に近接する部分で発生するインクの圧力に差が
生じ、溝15の内部の各位置で発生した圧力波がノズル
に到達するにつれてノズルでのインクの圧力が変動して
しまう。このため、ノズル内を流れるインクの流速が駆
動電圧印加直後にインクの圧力の変化の影響を受けて変
化し、インクの流速が一定である場合と比較して慣性抵
抗などのインクの流体抵抗によるエネルギーの損失が大
きくなり、液滴の噴射速度vが低下してしまう。
【0049】また、テーパtが負の場合、即ち逆テーパ
の場合も、tの絶対値をとれば上記と同様の傾向となる
ことがわかっている。
【0050】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、インク液室を構成する溝の内、直線状に
徐々に深さが変化する溝の底部が前記圧電セラミックス
プレートの面方向となすテーパの絶対値が、好ましくは
0.02以下、より好ましくは0.012以下の範囲と
なるよう構成した。これにより本実施例のインク噴射装
置では、液滴の噴射速度を効率的に大きくすることが出
来る。即ち、低い駆動電圧で文字や画像を形成するのに
十分な速度及び体積のインク液滴を噴射することができ
る。このインク噴射装置によると、20〜50ボルト程
度の低い駆動電圧において、インク液滴の速度は3〜8
m/秒、体積は30〜90pl程度とすることができ、
駆動回路を簡素化、小型化でき、インク噴射装置全体を
低コスト化、小型化することができる。
【0051】8.側壁の表面粗さRzと液滴の噴射速度
vとの関係の説明 本実施例の、側壁の表面粗さRzと液滴の噴射速度vと
の関係を図14によって具体的に説明する。種々の側壁
の表面粗さRzをもつインク噴射装置を製作し、金属電
極13に同じ駆動電圧を印加してインク液室12内に発
生する圧力を測定した。溝15を加工する薄い円板状の
ダイヤモンドブレードのダイヤモンド砥粒の粒径を変え
ることにより、2μmから8μmの範囲の種々の表面粗
さRzをもつ側壁を製作した。尚、製作したインク噴射
装置の寸法条件、材料、製造方法、及び圧力測定方法は
上記項目1と同様である。
【0052】図14に示すように、測定結果は、側壁の
表面粗さRzが3μm以下のとき液滴の噴射速度vは最
大でほぼ一定となり、これと比較してRzが5μmのと
き液滴の噴射速度vは10%程度の低下にとどまってい
るが、Rzが6.5μm以上になると液滴の噴射速度v
は15%以上低下し、金属電圧13に印加する電気エネ
ルギーと比較して液滴の噴射速度が小さく、液滴の噴射
速度が噴射装置と対向する紙面上等に文字や画像を形成
するのに不十分であるという問題点がある。このような
装置で文字や画像を形成するのに十分な速度のインク液
滴を噴射するためには高い駆動電圧が必要となり、駆動
回路が複雑化、大型化し、装置の低コスト化、小型化に
限界がある。この原因は、側壁の表面粗さRzが大きく
なるとインク液室12内をマニホールド22からノズル
32に流れるインクの流体抵抗が増加し、金属電極13
に印加した電気エネルギーの損失が大きくなることであ
る。
【0053】以上の結果から、本実施例のインク噴射装
置においては、溝を隔てる側壁の表面粗さRzが、好ま
しくは6.5μm以下、より好ましくは5μm以下の範
囲となるよう構成した。これにより本実施例のインク噴
射装置では、インク液室12内に発生する圧力を効率的
に大きくすることが出来る。即ち、低い駆動電圧で文字
や画像を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴
を噴射することができる。このインク噴射装置による
と、20〜50ボルト程度の低い駆動電圧において、イ
ンク液滴の速度は3〜8m/秒、体積は30〜90pl
程度とすることができ、駆動回路を簡素化、小型化で
き、インク噴射装置全体を低コスト化、小型化すること
ができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明のインク噴射装置によれば、インク液室を構成する
溝の内、直線状に徐々に深さが変化する溝の底部が前記
圧電セラミックスの面方向となすテーパの絶対値を0.
02以下とすることにより、低い駆動電圧で文字や画像
を形成するのに十分な速度及び体積のインク液滴を噴射
することができる。このため、駆動回路を簡素化、小型
化でき、装置を低コスト化、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のインク噴射装置の一部の断
面図である。
【図2】側壁の高さと幅の比H/Bとインク液室内の圧
力Pとの関係を説明する図である。
【図3】側壁の幅とピッチの比B/Zとインク液室内の
圧力Pとの関係を説明する図である。
【図4】側壁底部の曲率Rと側壁底部での主応力σとの
関係を説明する図である。
【図5】本発明の一実施例のインク噴射装置の一部の断
面図である。
【図6】電極の長さと側壁の高さの比D/Hとインク液
室内の圧力Pとの関係を説明する図である。
【図7】側壁のテーパTとインク液室内の圧力Pとの関
係を説明する図である。
【図8】本発明の一実施例のインク噴射装置の一部の断
面図である。
【図9】側壁長手方向と分極方向とのなす角度θとイン
ク液室内の圧力Pとの関係を説明する図である。
【図10】本発明の一実施例のインク噴射装置の一部の
断面図である。
【図11】曲率rと液滴の噴射速度vとの関係を説明す
る図である。
【図12】本発明の一実施例のインク噴射装置の一部の
断面図である。
【図13】溝底部のテーパtと液滴の噴射速度vとの関
係を説明する図である。
【図14】側壁の表面粗さRzと液滴の噴射速度vとの
関係を説明する図である。
【図15】従来例のインク噴射装置の断面図である。
【図16】従来例のインク噴射装置の断面図である。
【図17】従来例のインク噴射装置の斜視図である。
【図18】従来例の制御部のブロック図である。
【符号の説明】
1 圧電セラミックスプレート 11 側壁 12 インク液室 13 金属電極 15 溝

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックスに設けられた溝の内部
    の一部に形成された電極に駆動電圧を印加し、前記圧電
    セラミックスの圧電厚みすべり効果を用いて前記溝の内
    部の容積を変化させることにより、前記溝の内部に充填
    されたインクを噴射するインク噴射装置において、 インク液室を構成する溝の内、直線状に徐々に深さが変
    化する溝の底部が前記圧電セラミックスの面方向となす
    テーパの絶対値が、0.02以下であることを特徴とす
    るインク噴射装置。
JP1454293A 1993-02-01 1993-02-01 インク噴射装置 Pending JPH06226973A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1005987A3 (en) * 1998-12-04 2000-11-02 Konica Corporation Ink jet head and method of manufacturing ink jet head
US6560833B2 (en) 1998-12-04 2003-05-13 Konica Corporation Method of manufacturing ink jet head

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1005987A3 (en) * 1998-12-04 2000-11-02 Konica Corporation Ink jet head and method of manufacturing ink jet head
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