JP3744194B2 - 電子装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケース内に電子部品を収容するように構成されたものであって、車両等に搭載するのに好適する電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に搭載する電子装置(いわゆるECU)は、プリント配線基板に電子部品を実装すると共に、このプリント配線基板を例えばアルミ製のケース内に収容して構成されている。そして、電子装置の電子部品の中には、かなり熱を発生する電子部品が含まれており、このような電子部品から発生する熱をアルミ製のケース及びこのケースに設けられた放熱フィンを通して、その外部へ放熱するように構成されている。このような構成の電子装置の一例として、特開平6−310883号公報に記載された装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成の電子装置の場合、アルミ製のケースを使用しているので、製造コストが高くなると共に、装置の重量が重くなるという欠点がある。このような欠点を解消するために、樹脂製のケースを使用することが容易に考えられるが、樹脂製のケースの場合、熱がケースに伝わり難いので、ケースを通してその外部へ放熱することが困難であるという問題点がある。このため、車両等に搭載する電子装置には、樹脂製のケースが使用されることはほとんどなかった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ケース内で発生する熱を十分に放熱することができ、しかも、製造コストを安くすることができると共に、重量を軽くすることができる電子装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、電子部品を収納する樹脂製のケースを備え、このケースの内面に電子部品のうちの発熱する電子部品を囲むように筒部を突設し、この筒部の内部の熱をケースの外へ放熱する放熱手段を備えるように構成した。この構成の場合、ケースを樹脂で構成したので、製造コストが安くなると共に、重量が軽くなる。そして、発熱する電子部品を筒部で囲むように構成したので、他の電子部品に熱の悪影響が及ぶことがなくなる。更に、筒部の内部の熱を放熱手段によりケースの外へ放熱するように構成したので、ケース内で発生する熱を十分放熱することができる。
【0006】
請求項2の発明においては、前記ケースの外面に設けられ多数のフィンを有する放熱部材を放熱手段に備えるように構成したので、放熱効率が良くなる。また、請求項3の発明のように、前記ケースの内面に設けられ多数のフィンを有する吸熱部材を放熱手段に備えるように構成したので、ケース内で発生する熱を放熱手段へ十分伝えることができる。
【0007】
請求項4の発明においては、放熱手段が、前記ケースの内面及び前記筒部の内周面に沿うように設けられた高熱伝導材料製の有底筒状の吸熱部材を備えるように構成したので、電子部品から発生する熱を放熱手段へ十分伝えることができる。この構成の場合、請求項5の発明のように、前記有底筒状の吸熱部材の壁部に、表面積を増やすための増面積部を設けることが好ましい。この構成によれば、電子部品から発生する熱を放熱手段へより一層十分伝えることができる。
【0008】
請求項6の発明では、前記放熱部材と前記有底筒状の吸熱部材をねじ止めにより連結したので、放熱手段を簡単な構成にて容易に実現することができる。この構成の場合、請求項7の発明のように、前記放熱部材または前記有底筒状の吸熱部材にねじ部を一体に設け、前記有底筒状の吸熱部材または前記放熱部材にねじ孔を設け、前記ねじ部を前記ねじ孔に螺合することにより、前記放熱部材と前記有底筒状の吸熱部材を連結するように構成することが好ましい。これにより、部品点数が一層少なくなると共に、組立作業性が一層向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例えば車両に搭載する電子装置(ECU)に適用した第1の実施例について図1ないし図5を参照しながら説明する。まず、本実施例の電子装置の全体構成を示す図2ないし図4において、電子装置1は、例えば樹脂製のケース2と、このケース2内に収容されたプリント配線基板3とから構成されている。上記プリント配線基板3には、電子部品として例えばパワートランジスタ4、コネクタ5、IC6及び図示しない各種の回路素子が実装されている。尚、パワートランジスタ4は、熱をかなり発生する電子部品である。
【0010】
また、ケース2は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)やABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)により形成されており、浅底の矩形容器状をなすケース主部7と、このケース主部7の上面開口部を閉塞する蓋8とから構成されている。この場合、蓋8またはケース主部7の一方に例えば係合爪(図示しない)を設け、他方に例えば係合孔(図示しない)を設け、これら係合爪と係合孔を嵌合させることにより、蓋8をケース主部7に取り付け固定している。上記ケース主部7の内底部には、プリント配線基板3が例えばねじ止めにより取り付けられている。
【0011】
さて、上記蓋8の内面には、図5にも示すように、例えば円筒状の筒部9が下方(図5中上方)へ向けて一体に突設されており、この筒部9により上記パワートランジスタ4がほぼ囲まれるように構成されている(図2及び図3参照)。上記筒部9の先端部は、プリント配線基板3の上面に近接する位置まで延びるように配設されている。尚、別体の筒部9を蓋8の内面に例えば接着するように構成しても良い。
【0012】
また、蓋8における上記筒部9に対応する部位には、筒部9の内部で発生する熱をケース2の外へ放熱する放熱手段10が配設されている。この放熱手段10は、図1にも示すように、蓋8の外面(上面)側に設けられた放熱部材11と、蓋8の内面(下面)側に設けられた吸熱部材12とを備えて構成されている。
【0013】
上記放熱部材11は、アルミや鉄等の高熱伝導部材により形成されており、その形状はほぼ円板状をなすように構成されている。この放熱部材11は、蓋8の外面上に載置されており、その上面には多数のフィン11aが突設されている。放熱部材11の下面の中央部には、ねじ部11bが下方へ向けて突設されており、このねじ部11bは、蓋8に形成された貫通孔8aを挿通するように配置されている。
【0014】
また、吸熱部材12は、アルミや鉄等の高熱伝導部材により形成されており、その形状は有底円筒状をなすように構成されている。この吸熱部材12の底壁部12aは、蓋8の内面に沿うように配置されていると共に、周壁部12bは、筒部9の内周面に沿うように配置されている。ここで、吸熱部材12の底壁部12aの中央部には、ねじ孔12cが例えばバーリング加工により形成されている。この構成の場合、吸熱部材12のねじ孔12cに放熱部材11のねじ部11bを螺合することにより、吸熱部材12と放熱部材11を連結している。
【0015】
このような構成の本実施例によれば、樹脂製のケース2内に電子部品を収納すると共に、このケース2の蓋8の内面に筒部9を突設し、この筒部9により電子部品のうちの発熱する電子部品である例えばパワートランジスタ4を囲むように構成し、そして、筒部9の内部で発生する熱をケース2の外へ放熱する放熱手段10を設けるように構成した。この構成の場合、ケース2を樹脂で構成したので、製造コストが安くなると共に、電子装置1全体の重量が軽くなる。また、発熱する電子部品を筒部9で囲むように構成したので、他の電子部品に熱の悪影響が及ぶことを極力防止することができる。更に、筒部9の内部の熱を放熱手段10によりケース2の外部へ速やかに放熱するように構成したので、ケース2内で発生する熱を十分放熱することができ、ケース2内の温度を電子部品の保証温度未満に確実に保つことができる。従って、電子装置1の信頼性が向上する。
【0016】
また、上記実施例では、放熱手段10の放熱部材11に多数のフィン11aを形成し、この放熱部材11をケース2の蓋8の外面に配設するように構成したので、放熱効率がより一層高くなる。更に、上記実施例では、放熱手段10の吸熱部材12を、高熱伝導材料によりケース2の蓋8の内面及び筒部9の内周面に沿うように設けられた有底筒状の形状に構成したので、筒部9で囲んだ電子部品4から発生する熱を放熱手段10へ十分伝えることができる。
【0017】
尚、上記実施例では、放熱部材11にねじ部11bを設け、吸熱部材12にねじ孔12cを設けたが、これに代えて、放熱部材にねじ孔を設け、吸熱部材にねじ部を設けるように構成しても良い。また、放熱部材11と吸熱部材12を連結するに当たっては、上述した連結方法の他に、図6に示す第2の実施例のように、ねじ13を使用して2つの部材を締め付け固定するように構成しても良い。更に、2つの部材を接着したり、溶接したりすることも好ましい。
【0018】
図7は、本発明の第3の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。上記第3の実施例では、吸熱部材12の周壁部14の断面形状を、ほぼ3角波状に形成した。これにより、周壁部14の表面積は、第1の実施例の周壁部12bの表面積に比べて、かなり増大する。この場合、上記周壁部14が増面積部を構成している。
【0019】
尚、上述した以外の第3の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、上記第3の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3の実施例では、吸熱部材12の周壁部14の表面積を増やしたので、吸熱部材12と空気との接触面積が大きくなり、それだけ吸熱部材12の吸熱性能が向上する(これは、ニュートンの冷却の法則から証明される)。
【0020】
また、上記第3の実施例では、吸熱部材12の周壁部14の断面形状を、3角波状に構成したが、これに限られるものではなく、周壁部の断面形状を例えば波形に構成しても良い。更に、周壁部に内周面または外周面の少なくとも一方に多数の突片部(フィン)を突設するように構成することも好ましい構成である。
【0021】
図8は、本発明の第4の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。上記第4の実施例では、筒部15の形状を、図8に示すように、矩形筒状をなすように形成している。また、吸熱部材の形状も、図示はしないが、有底の矩形筒状に形成している。そして、これ以外の第4の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、第4の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0022】
図9は、本発明の第5の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。上記第5の実施例では、筒部9により例えば3個のパワートランジスタ4を囲むように構成している。即ち、筒部9により囲む電子部品の個数は、2個以上であっても良い。そして、筒部9の大きさ及び吸熱部材12の大きさは、電子部品の個数及び放熱手段10の放熱能力を考慮して適宜設定することが好ましい。尚、上述した以外の第5の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、第5の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0023】
また、上記第5の実施例では、1個の筒部9内に複数個の電子部品を配置するように構成したが、これに限られるものではなく、1個の電子部品を配置する筒部を複数個設けるように構成しても良い。具体的には、図10に示す第6の実施例のように、1個の電子部品(例えばパワートランジスタ)16を配置する筒部17を3個設けるように構成することも良い構成である。また、1個以上の電子部品を配置する筒部を複数個設けるように構成することも好ましい。
【0024】
尚、上記各実施例では、吸熱部材を、有底筒状の部材から構成したが、これに代えて、放熱部材11とほぼ同じような形状の部材から構成しても良い。即ち、吸熱部材を、円形または矩形の板状部と、この板状部の下面に突設された多数のフィンとを備えるように構成することも好ましい構成である。このように構成した場合も、上記各実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すものであり、筒部及び放熱手段の周辺を示す縦断面図
【図2】電子装置の全体の斜視図
【図3】電子装置の縦断面図
【図4】電子装置の上面図
【図5】筒部を下面側から見た斜視図
【図6】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第4の実施例を示す図5相当図
【図9】本発明の第5の実施例を示すものであり、筒部及び電子部品の周辺を示す部分斜視図
【図10】本発明の第6の実施例を示す図2相当図
【符号の説明】
1は電子装置、2はケース、3はプリント配線基板、4はパワートランジスタ(電子部品)、5はコネクタ(電子部品)、6はIC(電子部品)、7はケース主部、8は蓋、8aは貫通孔、9は筒部、10は放熱手段、11は放熱部材、11aはフィン、11bはねじ部、12は吸熱部材、12aは底壁部、12bは周壁部、12cはねじ孔、13はねじ、14は周壁部(増面積部)、15は筒部、16は電子部品、17は筒部を示す。

Claims (7)

  1. 電子部品を収納する樹脂製のケースと、
    このケースの内面に前記電子部品のうちの発熱する電子部品を囲むように突設された筒部と、
    この筒部の内部の熱を前記ケースの外へ放熱する放熱手段とを備えて成る電子装置。
  2. 前記放熱手段は、前記ケースの外面に設けられ多数のフィンを有する放熱部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
  3. 前記放熱手段は、前記ケースの内面に設けられ多数のフィンを有する吸熱部材を備えていることを特徴とする請求項2記載の電子装置。
  4. 前記放熱手段は、前記ケースの内面及び前記筒部の内周面に沿うように設けられた高熱伝導材料製の有底筒状の吸熱部材を備えていることを特徴とする請求項2記載の電子装置。
  5. 前記有底筒状の吸熱部材の壁部に、表面積を増やすための増面積部を設けたことを特徴とする請求項4記載の電子装置。
  6. 前記放熱部材と前記有底筒状の吸熱部材をねじ止めにより連結したことを特徴とする請求項4または5記載の電子装置。
  7. 前記放熱部材または前記有底筒状の吸熱部材にねじ部を一体に設け、
    前記有底筒状の吸熱部材または前記放熱部材にねじ孔を設け、
    前記ねじ部を前記ねじ孔に螺合することにより、前記放熱部材と前記有底筒状の吸熱部材を連結したことを特徴とする請求項6記載の電子装置。
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