JP3744143B2 - 自動車シートにおけるシートトラック構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両においてシートをスライドさせるシートトラック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3および図4は従来のシートトラック構造例を示している。図3において、シート1はシートクッション2およびシートバック3から成り、この例では運転席あるいは助手席に配置される。シートクッション2は所定のシートフレームで成るシート基体によって支持され、このシート基体の左右両側部をスライド可能に支持することで前後移動させるようになっている。
【0003】
従来のシートトラック構造では、フロア4上に、外側および内側の一対のレール5,6が敷設される。各レール5,6は、ボルトあるいは溶接等の手段によってフロア4上の所定位置に固定されるロアレールと、シート基体の下部が結合されるアッパレールとを含んでいる。アッパレールはころベアリング等の転動体を介してロアレールにスライド可能に支持され、これによりシートクッション2、すなわちシート1が前後移動可能となる。
【0004】
外側のレール5は、図4に示されるようにボディ側部に配置されているサイドロッカ7の内側に沿って配置される。なお、図4において、この外側のレール5はロアレール5aとその上のアッパレール5bを含んでいる。また、サイドロッカ7は、内部のリインフォース7aとインナパネル7bを含んでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のシートトラック構造においては、上述のようにレール5,6は、たとえばサイドロッカ7等の他の部材とは別の独立した部材として構成配置されている。このため、シートトラックまわりの構成部材もしくは部品を多数必要とし、部品点数の削減等の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑み、構造を効果的に簡素化し、部品点数の削減等を有効に実現し得る自動車シートにおけるシートトラック構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シート基体の両側部をスライド可能に支持して前後移動させるようにした自動車シートにおけるシートトラック構造であって、シート基体に対応するサイドロッカのインナパネルの所定部位にガイド孔が開設され、ガイド孔の周縁部を折り曲げてレール部が形成され、シート基体の一側部に取り付けられたスライダ手段が、レール部に沿ってスライドすることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の自動車シートにおけるシートトラック構造は、請求項1の構成において、サイドロッカのリインフォースには複数のロック孔が設けられ、スライダ手段を貫通して突出するロックピンが、ロック孔に係合することで、シート基体のスライド位置を固定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の自動車シートにおけるシートトラック構造は、請求項1の構成において、シート基体が、シートを支持する一対のアーム部材と、この一対のアーム部材の前部及び後部にそれぞれピン結合するロッド部材と、を備え、ロッド部材の両端部にスライダ手段が取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シート基体の左右両側部をスライド可能に支持することで、シートは前後に移動可能となる。すなわち、サイドロッカのインナパネルにレール部を設定し、このレール部によってシート基体の一側部を支持しており、本発明では、サイドロッカを有効に利用しており、これによりシートトラックの機能を遂行しつつ、一方のレールを廃止することができ、構造の簡素化を図ることができ、部品点数を有効に減らすことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1および図2に基づき、従来例と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明による自動車シートにおけるシートトラック構造の好適な実施の形態を説明する。
【0013】
この実施形態において、シート1はシートクッション2およびシートバック3から成り(図3参照)、シートクッション2は所定のシートフレームで成るシート基体によって支持される。このシート基体の左右両側部をスライド可能に支持することで、シート1が前後へ移動するものとする。そして、このシート1は、ボディ側部に配置されているサイドロッカの内側に沿って配置される。
【0014】
図1は、この実施形態におけるシートトラック構造の要部構成を示している。図において、シート1のシート基体10として一対のアーム部材11,12を含み、これらのアーム部材11,12の上にシート1が支持されるものとする。アーム部材11,12の前部はそれぞれロッド部材13に結合し、また後部はそれぞれ連結シャフト14に結合し、これらの部材は図示のように概略矩形状に配置構成される。アーム部材11,12の後部はまた、それぞれロッド部材15にピン結合する。
【0015】
この例では、ロッド部材15の適所に垂直方向移動ギヤ16が固着し、この垂直方向移動ギヤ16に噛合するピニオンギヤ17の回転でロッド部材15を回転駆動させるようになっている。これによりアーム部材11,12が上下移動し、シート1の高さを調整し得るように構成されている。
【0016】
ロッド部材13の両端にはスライダ18a,18bが、またロッド部材15の両端にはスライダ19a,19bがそれぞれ取り付けられている。この実施形態では、シート基体10の一側部のスライダ18aおよび19aが対となって、また他側部のスライダ18bおよび19bが対となってシート1をスライド自在に支持する。この場合、特に、後述のようにサイドロッカ7のインナパネル7bにレール部20(図1、斜線部)を設定し、このレール部20によりシート基体1の一側部のスライダ18aおよび19aを支持する。スライダ18a,18b及び19a,19bはそれ自体が回転し得るように構成してもよい。
【0017】
レール部20は、シート基体10に対応するサイドロッカ7のインナパネル7bの所定部位にガイド孔21を開設すると共に、このガイド孔21の周縁部を折曲することにより形成される。図2に示すように、内側に折曲して形成したレール部20に沿ってスライダ18aおよび19aがスライドする。
【0018】
なお、サイドロッカ7のリインフォース7aには、ロッド部材15の先端からスライダ19aを貫通して突出可能なロックピン22が係合し得るように形成さた複数のロック孔23が設けられている。そして、所望のロック孔23にロックピン22を係合させることで、シート1のスライド位置を固定することができるようになっている。
【0019】
シート基体10の他側部のスライダ18bおよび19bは、対となって別のレール部(図示せず)にスライド自在に支持される。
【0020】
上記構成で成る本発明のシートトラック構造において、シート基体10は左右両側部にて、一方のスライダ18aおよび19aと他方のスライダ18bおよび19bとを介してスライド可能に支持され、シート1は前後に移動可能となる。この場合、ロックピン22を適宜操作することで、シート1のスライド位置を固定することができる。
【0021】
特に、サイドロッカ7のインナパネル7bにレール部20を設定し、このレール部20によってシート基体10の一側部が支持される。したがって、シートトラックの機能を発揮しつつ、一方のレールを廃止することで構造の簡素化を図ることができ、有効に部品点数を減らすることができる。また、これにより質量軽減を図ることができることに加え、組付性を向上させることができる。
【0022】
さらに、一方のレールを廃止することで後部座席乗員に対して、その足元まわりのスペースを拡大することができる。また、本発明のシートトラック構造におけるロッド部材13あるいはロッド部材15は、ボディに対して横架されるかたちで配置されるため、所謂、側突時の補強として有効に作用し、乗員の安全空間確保に大きく寄与することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、サイドロッカを有効に利用してそのインナパネルにレール部を設定し、このレール部によってシート基体の一側部を支持することで、シートトラックの機能を発揮しながら、一方のレールを廃止することで構造の簡素化を図ることができ、部品点数を減らすことができる。これにより実質的に製造効率が高められると共に、コスト低減が実現される等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動車シートにおけるシートトラック構造の要部構成を示す斜視図である。
【図2】本発明によるシートトラック構造におけるレール部まわりを示す図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】従来のシートトラック構造例に係るシートまわりの斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 シート
2 シートクッション
3 シートバック
7 サイドロッカ
7a リインフォース
7b インナパネル
10 シート基体
11,12 アーム部材
13,15 ロッド部材
14 連結シャフト
16 垂直方向移動ギヤ
17 ピニオンギヤ
18a,18b,19a,19b スライダ
20 レール部
21 ガイド孔
22 ロックピン
23 ロック孔
Claims (3)
- シート基体の両側部をスライド可能に支持して前後移動させるようにした自動車シートにおけるシートトラック構造であって、
上記シート基体に対応するサイドロッカのインナパネルの所定部位にガイド孔が開設され、該ガイド孔の周縁部を折り曲げてレール部が形成され、
上記シート基体の一側部に取り付けられたスライダ手段が、上記レール部に沿ってスライドすることを特徴とする、自動車シートにおけるシートトラック構造。 - 前記サイドロッカのリインフォースには複数のロック孔が設けられ、 前記スライダ手段を貫通して突出するロックピンが、上記ロック孔に係合することで、前記シート基体のスライド位置を固定することを特徴とする、請求項1に記載の自動車シートにおけるシートトラック構造。
- 前記シート基体は、シートを支持する一対のアーム部材と、該一対のアーム部材の前部及び後部にそれぞれピン結合するロッド部材と、を備え、
前記ロッド部材の両端部にスライダ手段が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の自動車シートにおけるシートトラック構造。
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1997
- 1997-09-18 JP JP25324997A patent/JP3744143B2/ja not_active Expired - Fee Related
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