JP3744078B2 - 流動床反応器の運転方法 - Google Patents

流動床反応器の運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動床反応器の運転方法に関するものである。特に本発明は、流動床反応器を改善された流動状態で運転する方法に関するものである。
また、本発明は、流動床反応器を用いて、良好な流動状態で効率良く無水マレイン酸を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流動床反応器は、その優れた特性により、各種の反応に広く適用し得ることが知られている。特に除熱効率が高いことや爆発組成範囲でも運転できるという利点を生かして、酸素ガスによる酸化を伴う種々の反応、例えばブタンの酸化による無水マレイン酸の製造、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造、エチレンのオキシクロリネーションによる二塩化エタンの製造などに広く用いられている。
【0003】
流動床反応器においては、流動床内粒子(通常は触媒なので、以下では特に必要がない限り、「触媒」という。)の流動状態が、いずれの反応の場合も、反応成績に大きく影響する。このような流動床内の触媒の流動状態を良好に維持するため、従来から、反応器内に発生する気泡をできるだけ小さくして、触媒と反応器内のガスとの良好な接触を維持することが重要であることが認識されており、このため、反応器内に通常設けられるガス分散器の形状を種々に工夫して、発生気泡の径を小さくすることは行なわれている。
また反応器内にインターナルを挿入したり、ガス線速を大きくしたりして、気泡の解裂を促進することも行なわれている。
【0004】
また触媒の大きさ及びその粒径分布も流動状態に大きく影響する。一般に粒径分布を広くし、且つ粒径の小さい触媒の比率を増やすと、流動状態が改善される傾向にある。なかでも粒径の小さい触媒の比率の影響が大きく、一般に全触媒に対して20〜50μmの粒径の触媒が20重量%以上、特に30重量%以上含まれているのが好ましいとされている。
【0005】
流動床反応器では、反応器から流出するガスと一緒に触媒が飛散するので、流出するガスはサイクロンを通して、同伴している触媒を回収することが不可欠である。ところが一般にサイクロンで効率よく捕集できるのは粒径20μmまでであり、これよりも小さな粒子は、サイクロンから流出するガスに同伴して逸出し易い。しかしサイクロンから流出したガスに触媒の微粉末が含まれていると、後続するガスの処理工程で種々の障害を引き起すおそれがある。従って流動床に供給する触媒は20μm未満の粒径のものは含まないのが望ましいと考えられており、流動床に供給する触媒(これは通常は噴霧乾燥法により製造される)の製造に際しても、粒径20μm未満のものができるだけ生成しないような条件が選択されている。また反応器から抜出した触媒を粉砕して再び反応器に供給することにより反応器内の触媒の活性を高く維持する方法(特開平4−316567号公報)も知られているが、これにおいても粉砕したあとで篩分して22μm以下の微粒を除去したものを反応器に供給している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、流動床反応器の運転、特に良好な流動状態を維持する方法に関しては種々の方法が提案されており、いずれもそれなりの効果が得られているが、未だ満足すべき状態ではなく、更なる改善が望まれている。従って本発明は流動床を改善された流動状態で運転する方法を提供せんとするものである。そしてこの改善された流動状態で、炭素数4の炭化水素を酸化して無水マレイン酸を流動床反応器で製造することにより、優れた反応成績で目的物が得られる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、運転中の流動床反応器に、粒径が10μm以下の触媒微粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して10ppm以上添加することを特徴とする流動床反応器の運転方法に関するものである。これにより、流動床の流動状態を改善し、優れた反応成績を達成することができる。このような方法により、特に反応器内の触媒の常温、常圧下での最小流動化速度が0.3cm/秒以下とする流動床反応器の運転方法も本発明の一つである。
また本発明は、運転中の流動床反応器に、反応器内の触媒粒子よりも強度が小さい触媒粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して50ppm以上添加することを特徴とする流動床反応器の運転方法にも関するものである。この方法によっても、流動床の流動状態を改善し、優れた反応成績を達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明すれば、本反応は流動床反応器を用いる各種の反応に広く適用することができる。現在、工業的に広く実施されている流動床反応には、ブタン等の炭素数4の炭化水素と酸素とを含む原料ガスを供給して無水マレイン酸を製造する反応、プロピレンとアンモニアと酸素とを含む原料ガスを供給してアクリロニトリルを製造する反応、エチレンと塩化水素と酸素とを含む原料ガスを供給して二塩化エタンを製造する反応などがあるが、本発明は、これらのいずれの反応にも適用することができる。
特に、本発明は、上記のうち、流動床反応器を用いて、炭素数4の炭化水素を酸素で酸化して無水マレイン酸を製造する方法において、該流動床反応器中に、粒径が10μm以下の微粒子を、反応器内の粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して10ppm以上添加することを特徴とする無水マレイン酸を製造する方法に存するものである。この方法によれば、流動床の流動状態を改善し、無水マレイン酸を優れた反応成績で製造することができる。
【0009】
本発明では、運転中の流動床反応器に、粒径が10μm以下の微粒子を添加する。従来、流動床内の粒径20μm以下の微粉は、反応ガスに同伴して飛散し易く、サイクロンで捕集されずに、後続する反応ガス処理系に混入して種々の障害をもたらすとして、流動床に供給する触媒にこのような微粉が混入することは忌避されてきたものである。
【0010】
しかし、本発明者らの検討によれば、粒径20μm以下の微粉を供給しても、サイクロンを通過して反応ガス処理系に混入する微粉の量の増加は意外と少ないことが判明した。これは流動床反応器内の触媒と微粉とが何らかの相互作用を起し、微粉が触媒粒子の表面に付着して反応器内に留まることによるものと思われる。微粒子の粒径と、添加によりもたらされる効果とは相関があり、一般に小粒径のものほど添加効果が大きく、且つ持続する傾向がある。従って本発明においては、粒径10μm以下で、かつ重量平均粒径が5μm以下、特に粒径10μm以下で、かつ重量平均粒径が2μm以下の微粒子を添加するのが好ましい。なお、本明細書において、粒径分布及び重量平均粒径はレーザー回折法(「改定・増補 粉体物性図説」粉体工学会、(社)日本粉体工業技術協会編;日系技術図書(株)発行、P101等参照)により測定したものである。
特に、この微粒子の添加量は、反応器内の粒子に対し、1日当りに平均して30ppm以上であるのが好ましい。
【0011】
また、本発明では、微粒子が、流動床反応器から抜き出された粒子を粉砕して調製されたものであってもよい。
なお、粒径10μm以下の微粒子を添加する代りに、反応器内の触媒よりも圧縮強度が小さい粒子を添加しても、同様の効果を奏することができる。この圧縮強度は、JIS M 8718[鉄鋼石類の圧かい強度測定方法]に準拠した方法により測定される。圧縮強度の弱い粒子としては、圧縮強度が15MPa以下のものを用いるのが好ましく、流動床内で容易に破砕され、微粉化する。このような強度の小さい粒子の添加量は、運転期間中、1日当りに平均して反応器内の微粒子に対し通常50ppm以上、好ましくは100ppm以上となるように添加すればよい。
【0012】
流動床反応器に供給する微粒子あるいは触媒よりも強度の小さい粒子は、反応器内の触媒と同じ組成のものであっても異なる組成のものであってもよい。特に粒径10μm以下の微粒子で、かつ反応器内の触媒と同じ組成のものを用いる場合には、反応器に供給する補給用触媒を粉砕したものでもよいが、反応器から抜出した触媒(流動床反応器では、通常、定期的に反応器内の触媒の一部を抜出し、新しい触媒を補給して、反応器内の触媒の活性を一定に維持する方法が採られる)を粉砕したものを用いるのが有利である。粉砕はボールミル、ジェットミルなど、公知の任意の粉砕機を用いて行なうことができる。なお、粉砕は、全量が本発明で規定する粒径範囲になるまで行なう必要は無く、粉砕物のうち本発明で規定する粒径範囲のものが所定の要件を満足していればよい。また、触媒以外のものを用いる場合には、通常、触媒担体として用いられるシリカやアルミナなど、反応に有害な影響を及ぼさないものを用いる。一般的に好ましいものとしては、例えばフュームドシリカが挙げられる。
【0013】
微粒子の添加は、通常、月に1回以上行なうことが好ましい。1回に大量の微粒子を添加すると、微粒子の飛散量が増加するので、少量づつ多数回に亘って添加し、飛散量ができるだけ少なくなるようにすべきである。通常は微粒子の添加と添加との間の時間は200時間以内、好ましくは100時間以内とすべきである。特に、毎日ないしは2〜3日に1回添加するのが最も好ましい。
【0014】
通常、流動床の運転に伴い、微粒子が徐々に失われていくので、微粒子の添加は反応開始直後から始めるのが好ましい。
微粒子の添加量は、運転期間の1日当りに平均して流動床反応器内の全触媒重量に対し、少なくとも10ppmに相当する量である。添加量が少ないと所期の添加効果が発現し難い。通常は該触媒重量に対し、1日当り30ppm以上、特に50ppm以上となるように添加するのが好ましい。前述の如く、微粒子の粒径が小さいほど一般に大きな添加効果が奏せられること及び添加量が多くなると必然的に飛散量も増加するので、これらの点を考慮して適正な添加量を選択するようにする。
本発明に従い流動床反応器に微粒子を添加すると、例えば最小流動化速度が低下し(例えば0.30cm/秒以下、流動床の流動状態が改善され、その結果、一般に流動密度の低下、最適反応温度の低下、好ましくは0.25cm/秒以下となり)、反応収率の向上などの効果が奏せられる。
本発明の流動床反応器の運転方法は、特に酸素ガスによる酸化を伴う種々の反応において、特に有効である。例えばブタンの酸化による無水マレイン酸の製造、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造、エチレンのオキシクロリネーションによる二塩化エタンの製造などが挙げられるが、特に限定されない。
特に、本発明は、炭素数4の炭化水素を酸素で酸化して無水マレイン酸を製造する反応において有効である。このとき原料の炭素数4の炭化水素としては、ブタン、ブテン、ブタジエン等の脂肪族炭化水素が好適である。酸素源としては、通常空気が用いられるが、酸素を含む酸化性のガスであれば良い。更に、触媒としては、リンとバナジウムを主成分とするものが用いられる。特に原料として、n−ブタンを用い、触媒として、リンとバナジウムの結晶性の複合酸化物であるピロリン酸ジバナジル、またはそれを他の金属で修飾したもの等を使用するのが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、無水マレイン酸収率は下記(1)式で定義される値である。
【0016】
【数1】
Figure 0003744078
【0017】
また、最適反応温度とは、収率が最大となる温度を指す。粒径の測定は、(株)セイシン企業社のレーザー回折法による粒度分布測定装置(LMS−24、光源:半導体レーザー(波長670nm))を用いて行なった。測定は水を分散媒として行ない。屈折率1.33、形状係数1.0として粒径分布及び重量平均粒径(累積重量が50%に達する粒径)を算出した。
最小流動化速度の測定:
触媒の最小流動化速度の測定は、下部に焼結ガラスをつけた内径41mmのガラス管に200gの触媒を充填し、常温、常圧で乾燥窒素を用いて、一般によく知られている方法、例えば「流動床の反応工学(培風館(株)発行)第19頁」に記載されている方法で実施した。
【0018】
バナジウム−リン系酸化触媒の調製:
特開昭59−95933号の実施例2に準じて、バナジウム−リン系酸化物触媒を調製した。すなわち100l(リットル)のグラスライニングを施したジャケット付き耐圧容器に、脱塩水38.0kg、85%リン酸21.83kg、及び80%抱水ヒドラジン溶液2.85kgを仕込んで溶解し、この水溶液に五酸化バナジウム粉末16.49kgを発泡に注意しつつ、少量ずつ添加した。この間、除熱を行って液温を60〜80℃に保った。五酸化バナジウムを約4時間添加し、青色のリン酸バナジル溶液を得た。
これに種結晶を1.0kg添加したのち、液温度140℃まで2時間で昇温し、その温度で、約2.4KGの圧力下、10時間の水熱処理を行い、90℃まで冷却後、脱塩水10.3kgを加え、固体濃度約35%のバナジウム−リンの結晶性酸化物のスラリーを得た。このスラリーをウルトラタラックスで30分間処理して粉砕したのち、高速回転デイスク型スプレードライヤーを用いて、ガス入口温度360℃、出口温度150〜160℃の条件で噴霧乾燥して微粉状固体を得た。
【0019】
得られた微粉状固体を窒素流通下500℃で2時間、次いで空気流通下500℃で1時間焼成したのち、この焼成した微粉状固体3.47kgを40%シリカゾル溶液6.2kg及びリン酸バナジル水溶液40kgと混合して固体濃度20%のスラリーとし、ガス入口温度210℃、出口温度130℃の条件で噴霧乾燥し、さらに窒素流通下に500℃で2時間焼成して、活性成分として(VO)2 2 7 を含むバナジウム−リン系酸化物触媒を調製した。この触媒は重量平均粒径が50μm、粒径45μm以下の粒子の割合は35(重量)%、粒径22μm以下の粒子の割合は1.5(重量)%であった。また、この触媒の強度を、島津製作所製の微小圧縮試験機(MCTM−500)で測定したところ、30〜50MPaであった。
尚、ここで用いたリン酸バナジル水溶液はつぎのようにして調製した。すなわち、脱塩水60kgに85%リン酸6.929kg、シュウ酸(H226・2H2O)5.987kgを添加し、80℃まで加熱撹拌しながら溶解した。ついで五酸化バナジウム4.319kgを少量ずつ発泡に注意しながら添加、溶解したのち放冷した。これに水を加えて全量を82.8kgとした。得られたリン酸バナジル水溶液のP/V原子比は1.266でバナジウム1グラム原子当たり0.5グラムモルのシュウ酸を含んでいた。
この触媒を大型の流動床反応器に充填し、定常的に新触媒を供給しながら、ブタンの空気酸化による無水マレイン酸の製造を行なった。2000時間反応を行なったのち、その一部を取出して後記する試験に供した。
【0020】
比較例1
外部サイクロン付きの内径14インチの流動床反応器に、大型反応器から抜出した触媒218kgを充填した。反応器の底部から純度98%のn−ブタン4(容量)%を含む空気を174Nm3 /時で供給し、無水マレイン酸の製造を行なった。新触媒を1日当り300g補給しながら反応を行なったところ、定常反応成績は、最適反応温度435℃であり、その時のn−ブタン転化率は88%、無水マレイン酸収率は42%であった。また、この時の流動床の下部の流動密度は0.65g/cm3 、サイクロンからの触媒の飛散量は76g/日であった。また、このときの反応器内から抜き出した触媒粒子の最小流動化速度は、0.35cm/秒であった。
【0021】
実施例1
前記製法で得たバナジウム−リン系酸化触媒の新触媒を、ボールミルを用いて粉砕し、粒径10μm以下の粒子を45(重量)%含み、かつこの粒径10μm以下の粒子の重量平均粒径が6μmである粉砕物を得た。この粉砕物を毎日30gづつ(全触媒に対する新触媒の1日当たりの添加量が61.9ppmである)流動床反応器に供給した以外は、比較例1と全く同様にして無水マレイン酸の製造を行なった。
添加開始後5日目には、最適反応温度が1℃低下し、無水マレイン酸収率が0.3%向上し、流動密度は0.62g/cm3 に低下した。このとき(添加開始後5日目)の反応器内から抜き出した触媒粒子の最小流動化速度は、0.3cm/秒であった。
【0022】
実施例2
新触媒をボールミルを用いて粉砕し、粒径10μm以下の粒子を73(重量)%含有し、且つこの粒径10μm以下の粒子の重量平均粒径が5μmである粉砕物を得た。この粉砕品を毎日30gづつ(全触媒に対する新触媒の1日当たりの添加量が100.4ppmである)流動床反応器に供給した以外は、比較例1と全く同様にして無水マレイン酸の製造を行なった。
添加開始後4日目には、最適反応温度は2℃低下し、無水マレイン酸収率は1%向上し、流動密度は0.60g/cm3 に低下した。このとき(添加開始後4日目)の反応器内から抜き出した触媒粒子の最小流動化速度は、0.25cm/秒であった。
粉砕品の供給を7日目に停止したところ、12日目には最適反応温度、無水マレイン酸収率、流動密度とも、ほぼ粉砕品供給前の状態に戻った。
【0023】
実施例3
新触媒をボールミルを用いて粉砕し、粒径10μm以下の粒子を98%含有し、且つこの粒径10μm以下の粒子の重量平均粒径が1.5μmである粉砕品を得た。
この粉砕品を毎日30gづつ(全触媒に対する新触媒の1日当たりの添加量が134.8ppmである)流動床反応器に供給した以外は、比較例1と全く同様にして無水マレイン酸の製造を行なった。
添加開始後4日目には最適反応温度は3℃低下し、無水マレイン酸収率は1.8%向上し、流動密度は0.55g/cm3 に低下した。また、この時のサイクロンからの触媒の飛散量は95g/日であった。このとき(添加開始後4日目)の反応器内から抜き出した触媒粒子の最小流動化速度は、0.18cm/秒であった。
粉砕品の供給を7日目に停止したところ、20日目でも無水マレイン酸収率は、粉砕品添加前に比して1.5%向上していた。
【0024】
実施例4
前記の触媒の調製方法において、シリカゾルとリン酸バナジルを混合した後に行った噴霧乾燥温度を30℃高くする条件とした以外は同様にして(特開昭59−95933号の実施例2に準じて)、前記と同じ組成であるが強度が14MPaと低い触媒を調製した。

比較例1において、補給触媒としてこの触媒を用いた以外は、比較例1の条件と全く同様にして反応を行なった。5日目から無水マレイン酸の収率が向上し始め、12日後には収率が1.4%向上した。この時の流動密度は0.58g/cm3 、触媒のサイクロンからの飛散量は105g/日であった。このとき(添加開始後12日目)の反応器内から抜き出した触媒粒子の最小流動化速度は、0.20cm/秒であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、流動床反応器の運転、特に良好な流動状態を維持することができ、特に炭素数4の炭化水素を酸化して無水マレイン酸を流動床反応器で製造する方法において、この改善された流動状態で反応を行うと、優れた反応成績で目的物が得られるというものである。

Claims (12)

  1. 運転中の流動床反応器に、粒径が10μm以下の触媒微粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して10ppm以上添加することを特徴とする流動床反応器の運転方法。
  2. 触媒微粒子が、粒径10μm以下で、かつ重量平均粒径が5μm以下のものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 触媒微粒子が、粒径10μm以下で、かつ重量平均粒径が2μm以下のものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 触媒微粒子が、流動床反応器から抜き出された触媒粒子を粉砕して調製されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 運転期間中の触媒微粒子の添加量が、反応器内の触媒粒子に対し、1日当りに平均して30ppm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 触媒微粒子を少なくとも200時間に1回添加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 運転中の流動床反応器に、粒径が10μm以下の触媒微粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して134.8ppm以下添加することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 運転中の流動床反応器に、反応器内の触媒粒子よりも強度が小さい触媒粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して50ppm以上添加することを特徴とする流動床反応器の運転方法。
  9. 運転中の流動床反応器に、粒径が10μm以下の触媒微粒子を、反応器内の触媒粒子に対し、運転期間中、1日当りに平均して10ppm以上添加することにより、反応器内の触媒の常温、常圧下での最小流動化速度を0.3cm/秒以下とすることを特徴とする流動床反応器の運転方法。
  10. 最小流動化速度を0.25cm/秒以下とすることを特徴とする請求項記載の流動床反応器の運転方法。
  11. 流動床反応器で行なわれている反応が、酸素ガスによる酸化を伴う反応であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
  12. 流動床反応器で行なわれている反応が、炭素数4の炭化水素を酸素で酸化して無水マレイン酸を製造する反応であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
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