JP3743686B2 - 水中ロボットの位置確認装置及び該装置を用いた気体供給装置 - Google Patents

水中ロボットの位置確認装置及び該装置を用いた気体供給装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋資源調査、ダム調査、海洋土木工事等において、水中状況の調査、水中での作業、各種検査等に用いられる無人潜水機、水中作業機器等の水中ロボットの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
無人潜水機は、テレビカメラ、推進機、各種計測器を搭載し、船上若しくは陸上の制御装置に接続されたケーブルを介して遠隔操作により各種調査、作業を行う装置である。従来、無人潜水機において水中の位置を確認するために、超音波を利用した位置表示装置が知られている。この装置は、潜水機に取り付けた超音波発生装置、船上若しくは陸上に配置された2台以上の受信機及び表示装置からなり、潜水機の水中位置を正確に測定しモニター画面に表示するものであるが、非常に高価であるため小型潜水機においては実用的ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような位置表示装置が装備されない無人潜水機では、テレビカメラからの映像及び進路を決める方位計及び水深計以外には位置を知る情報はなく、ケーブルの繰り出す長さ、方向からその位置を推測していた。しかしながら、ケーブルは、水流の影響により直線的に繰り出されていることは少なく、比較的浅い水域においても水底の障害物などで屈折、湾曲し、潜水位置を知ることは困難であり、特に濁った水域において無人潜水機の運用が困難であった。この対策として、潜水機からロープを取り水面にブイを浮かべるという方法を用いることも考えられるが、ロープの長さを最大潜水深度に設定する必要があること、さらに運用中に、ロープが潜水機の推進機、ケーブル、水中の障害物等に絡んでしまうという問題を有している。
【0004】
以上のように、従来の無人潜水機においては、簡単な方法により水中での位置を確認する手段がなかった。加えて、従来の無人潜水機においては、潜水機の位置が確認できても、ケーブルの切断やケーブルの絡み等の事故が生じた場合、無人潜水機を浮上させる手段がなく、大がかりな回収作業になったり高価な無人潜水機が流失してしまうという問題を有している。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するものであって、その第1の目的は、簡単な構成により水中での水中ロボットの位置を確認することであり、第2の目的は、ケーブルの切断や断線、水中ロボットの水中拘束等の事故が生じた場合に、位置確認用の気体を利用して水中ロボットを浮上させこれを回収可能にすることであり、第3の目的は、位置確認用の気体を利用して水中ロボットの浮力を調整可能にしその機能を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明の位置確認装置は、船上若しくは陸上側に配設された電源・制御装置3及び高圧ガス供給装置4と、前記電源・制御装置にケーブル2を介して接続された水中ロボット1と、先端が前記水中ロボットに固定され後端が前記高圧ガス供給装置に接続されたガス供給ホース5とを備えたことを特徴とし、
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用い、前記水中ロボットに装着された浮上用バッグ10と、該浮上用バッグと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホース11と、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記浮上用バッグに気体を供給するための切換弁9、12、17とを備え、電源停止信号又は浮上信号により前記切換弁を作動させることを特徴とし、
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用い、前記水中ロボットに装着されたバラストタンク16と、該バラストタンクに設けられた浮力調整弁18と、前記バラストタンクと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホース11と、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記バラストタンクにガスを供給するための切換弁9、12、17とを備え、浮力調整信号又は電源停止信号により前記切換弁及び浮力調整弁を作動させることを特徴とし、
さらに、請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の気体供給装置において、前記水中ロボットに装着され、前記浮上用バッグ又はバラストタンクに送気弁15bを介して接続された高圧ガス容器15aを備え、電源停止信号又は浮上信号により前記送気弁15bを作動させることを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定されるものではない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本発明における水中ロボットの位置確認装置の例を示し、図1(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図1(B)は位置確認装置の構成図、図2は本発明の作用を説明するための図である。なお、本発明はこのような無人潜水機に限定されるものではなく、水中での作業、各種検査等に用いられる各種の水中ロボットに適用可能である。
【0008】
図1において、水中ロボットである無人潜水機1には、テレビカメラ1a、推進機1b、その他図示しない照明器、各種計測器、マニピュレータ等が搭載され、電源及び信号を伝送するためのケーブル2により船上若しくは陸上に配設された電源・制御装置3に接続され、テレビカメラ1aからの映像及び各種計測データをモニター画面に表示させるようにしている。また、船上若しくは陸上側には、高圧ガス供給装置4が配設され、高圧ガス供給装置4には、ガス供給ホース5が接続され、ガス供給ホース5は、ケーブル2に沿って固定され、その先端は無人潜水機1に固定されている。
【0009】
高圧ガス供給装置4は、空気若しくはその他の気体を貯蔵する高圧ガス容器4a、減圧弁4b、流量調整弁4cから構成され、その出口側には圧力計6が取り付けられている。なお、本例においては、高圧ガス容器4aにより気体を供給するようにしているが、圧縮機により空気を圧縮し供給するようにしてもよい。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明の位置確認装置は、船上若しくは陸上側に配設された電源・制御装置3及び高圧ガス供給装置4と、前記電源・制御装置にケーブル2を介して接続された水中ロボット1と、先端が前記水中ロボットに固定され後端が前記高圧ガス供給装置に接続され、前記先端から気泡が放出されるガス供給ホース5と、前記高圧ガス供給装置の出口側に取り付け、前記ガス供給ホース内の圧力を計測する圧力計6とを備えたことを特徴とし、また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用い、前記水中ロボットに装着された浮上用バッグ10と、該浮上用バッグと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホース11と、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記浮上用バッグに気体を供給するための切換弁9、12、17とを備え、電源停止信号又は浮上信号により前記切換弁を作動させることを特徴とし、また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用い、前記水中ロボットに装着されたバラストタンク16と、該バラストタンクに設けられた浮力調整弁18と、前記バラストタンクと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホース11と、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記バラストタンクにガスを供給するための切換弁9、12、17とを備え、浮力調整信号又は電源停止信号により前記切換弁及び浮力調整弁を作動させることを特徴とし、さらに、請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の気体供給装置において、前記水中ロボットに装着され、前記浮上用バッグ又はバラストタンクに送気弁15bを介して接続された高圧ガス容器15aを備え、電源停止信号又は浮上信号により前記送気弁15bを作動させることを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定されるものではない。
【0011】
図3は、本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の例を示し、図3(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図3(B)は位置確認装置及び気体供給装置の構成図である。なお、図1と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する。
【0012】
図3において、ガス供給ホース5の先端付近に遮断弁9を設けると共に、無人潜水機1には浮上用バッグ10を装着し、この浮上用バッグ10を分岐ホース11を経てガス供給ホース5の遮断弁9の上流側に接続する。分岐ホース11には送気弁12が設けられ、浮上用バッグ10には過膨張、破裂防止用の安全弁13が設けられている。遮断弁9及び送気弁12は、ケーブル2の切断や断線、無人潜水機の水中拘束等による電源停止信号又は船上若しくは陸上からの緊急或いは任意の浮上信号により開閉される。浮上用バッグ10は、潜水機1の水中重量以上の浮力を得るのに必要な容積を有するものであり、通常の運用時には折り畳まれてケースなどに収納されている。
【0013】
上記構成からなる本例の作用について説明する。ガス供給ホース5による無人潜水機1の位置確認及び深度測定については図1の例と同様である。本例においては、ケーブル2の切断等の緊急時或いは船上若しくは陸上からの指令時には、遮断弁9が閉じられると同時に送気弁12が開放され、ガス供給ホース5、分岐ホース11を経て浮上用バッグ10内に気体が供給される。その結果、浮上用バッグ10は膨張し浮力が大きくなり、図2に示すように、無人潜水機1は水面に浮上し、目視によりこれを容易に発見し回収することができる。
【0014】
なお、上記の例においては、分岐ホース11をガス供給ホース5から分岐させるようにしているが、分岐ホース11をガス供給ホース5と並列に直接、高圧ガス供給装置4に接続するようにしてもよい。この場合、各ホース5、11の遮断弁9及び送気弁12は、無人潜水機1側に設けてもよいし高圧ガス供給装置4側に設けてもよい。また、上記の例においては、遮断弁9及び送気弁12からなる2つの切換弁により浮上用バッグに気体を供給するようにしているが、図5に示すように1つの三方弁からなる切換弁により気体を供給するようにしてもよい。
【0015】
図4は、本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の他の例を示す構成図である。本例は、図3の例をさらに改良した例を示し、無人潜水機1に浮上用ガス供給装置15を装着し、これを浮上用バッグ10に接続している。浮上用ガス供給装置15は、空気若しくはその他の気体を貯蔵する小型高圧ガス容器15aと送気弁15bから構成され、送気弁15bは、ケーブル2が切断されたことによる電源停止信号又は船上若しくは陸上からの緊急或いは任意の浮上信号により開放され、小型高圧ガス容器15aから浮上用バッグ10に気体が供給される。本例においては、ケーブル2及びガス供給ホース5が共に切断された場合にも、無人潜水機1を水面に浮上させ、これを容易に発見し回収することができる。
【0016】
図5は、本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の他の例を示し、図5(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図5(B)は位置確認装置及び気体供給装置の構成図である。なお、図3と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する。
【0017】
本例においては、無人潜水機1の両側に一対のバラストタンク16を装着するとともに、ガス供給ホースに三方弁17を設け、バラストタンク16を分岐ホース11を経て三方弁17に接続する。また、バラストタンク16には浮力調整弁18を設けている。なお、図3の浮上用バッグ10を付加してもよいし、さらに、図4の浮上用ガス供給装置15を付加するようにしてもよい。
【0018】
上記構成からなる本例の作用について説明する。無人潜水機1が水面を航走する際は、船上若しくは陸上からの指令信号により三方弁17を切り換えてバラストタンク16に気体を供給し浮力を付けて推進させ、海底へ潜降する時は、浮力調整弁を開いてバラストタンク16の気体を抜いて浮力をなくし、推進機1bを回さずに海底へ静かに潜降させる。海底では着底したまま安定した状態で生物等を観察したり、或いはバラストタンク16に気体を適量入れて中性浮力の状態で推進機1bを浮上潜航させて海底を探索する。また、海底でマニピュレータにより重量のある捜索物を回収した際には、バラストタンク16に気体を供給し推進機1bを使わずに浮力により水面に浮上させる。さらに、ケーブル2の切断等の緊急時或いは船上若しくは陸上からの指令時には、バラストタンク16に気体を供給することにより、無人潜水機1を水面に浮上させ、目視によりこれを容易に発見し回収することができる。
【0019】
図6は、水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の更に他の例を示している。上記の例においては、水中ロボットの位置確認装置の気体を利用して水中ロボットの浮上や浮力調整を行うようにしているが、図6(A)に示すように、無人潜水機1に回収用バッグ20を装備しておき、海底にある重量物21を浮上させる際には、マニピュレータを操作して重量物21に回収用バッグ20を取り付け回収用バッグ20内に気体を供給するようにしたり、図6(B)に示すように、無人潜水機にエアリフターパイプ22を装備し、エアリフターパイプ22内に分岐ホース11から気体7を供給可能にすることにより、砂23等の堆積物を取り除く際に、マニピュレータを操作してエアリフターパイプ22を設置し、内部に気体を供給して堆積物を取り除くようにする。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の図3の実施例について説明する。小型の無人潜水機(水中重量約0.5kg、空中重量約25kg)を水深約5mの海域で使用する場合、気体の供給圧は約1kg/cm2 で十分である。気体を連続的に供給すれば常時、水面に気泡が上がり無人潜水機の動きを追跡できる。例えば、供給圧力1kg/cm2 で毎分5リットル(83ml/秒)供給した場合には、通常のスクーバ潜水用のボンベ(内容積10リットル、充填圧力200kg/cm2 )1本で3時間以上の供給が可能である。また、供給する気体の総量に制限がある場合には、数秒毎に気体が供給されるような電磁弁を付設すれば使用量を低減させることができる。また、水面が波浪により荒れている場合には、気泡が確認しずらくなるため、送気量を増加すればある程度確認が容易になる。
【0021】
上記の無人潜水機に設置する浮上用バッグ10は、容量1リットル以上のものを用いれば、水面までの浮上が可能であるが、ある程度の浮上速度を確保するためには、5〜10リットルの容量があればよい。ただし、浮上に伴い浮上用バッグ10内の気体が膨張するので、安全弁13からの排出量に合わせた浮上速度を設定する必要がある。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、気体供給用の装置とホースを付加するだけの簡単な構成で水中での水中ロボットの位置を確認することができ、また、取り付け及び操作も簡単で故障が少ないという利点を有する。この場合、モニター画面ではなく実際の目視で水面での位置が確認できるため、操縦者等は直感的に位置が判り潜水機の運用が著しく向上する。
【0023】
また、浮上用バッグを装着し、ガス供給装置の気体を利用することにより、緊急時には無人潜水機を水面まで浮上させ、水面に浮かせておけるので、流失する恐れを低減させることができる。また、気体を供給可能にすることにより重量物の回収、砂の除去などが可能になる。さらに、バラストタンクを装着し、ガス供給装置の気体を利用し無人潜水機の浮力を調整することによりその機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における水中ロボットの位置確認装置の例を示し、図1(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図1(B)は位置確認装置の構成図である。
【図2】本発明の作用を説明するための図である。
【図3】本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の例を示し、図3(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図3(B)は位置確認装置及び気体供給装置の構成図である。
【図4】本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の他の例を示す構成図である。
【図5】本発明における水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の他の例を示し、図5(A)は無人潜水機を含む全体構成図、図5(B)は位置確認装置及び気体供給装置の構成図である。
【図6】水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…水中ロボット(無人潜水機)、2…ケーブル、3…電源・制御装置
4…高圧ガス供給装置、5…ガス供給ホース、9…遮断弁(切換弁)
10…分岐ホース、12…送気弁(切換弁)、15…浮上用ガス供給装置
15a…高圧ガス容器、15b…送気弁、16…バラストタンク
17…三方弁(切換弁)、18…浮力調整弁

Claims (4)

  1. 船上若しくは陸上側に配置された電源・制御装置及び高圧ガス供給装置と、前記電源・制御装置にケーブルを介して接続された水中ロボットと、先端が前記水中ロボットに固定され後端が前記高圧ガス供給装置に接続され、前記先端から気泡が放出されるガス供給ホースと、前記高圧ガス供給装置の出口側に取り付け、前記ガス供給ホース内の圧力を計測する圧力計とを備えたことを特徴とする水中ロボットの位置確認装置。
  2. 前記水中ロボットに装着された浮上用バッグと、該浮上用バッグと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホースと、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記浮上用バッグに気体を供給するための切換弁とを備え、電源停止信号又は浮上信号により前記切換弁を作動させることを特徴とする請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置。
  3. 前記水中ロボットに装着されたバラストタンクと、該バラストタンクに設けられた浮力調整弁と、前記バラストタンクと前記ガス供給ホース又は前記高圧ガス供給装置に接続された分岐ホースと、前記ガス供給ホースの先端からの気体の排出を停止させると共に前記バラストタンクにガスを供給するための切換弁とを備え、浮力調整信号又は電源停止信号により前記切換弁及び浮力調整弁を作動させることを特徴とする請求項1記載の水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置。
  4. 前記水中ロボットに装着され、前記浮上用バッグ又はバラストタンクに送気弁を介して接続された高圧ガス容器を備え、電源停止信号又は浮上信号により前記送気弁を作動させることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の水中ロボットの位置確認装置を用いた気体供給装置。
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