JP3743483B2 - 組付方法および組付装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、組付方法および組付装置に関し、特に、一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付方法および組付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ワークを互いに接合するための手法のうちの一つとして、摩擦圧接が用いられている。摩擦圧接は、ワークの端面を互いに突き合わせて軸方向に加圧した状態で回転や振動等の相対運動をさせ、摩擦によって両端面間に生ずる摩擦熱を利用して両ワークの接合部を軟化させながら軸方向に送って両ワークの端面を圧着するものである。そして、摩擦圧接において、ワークを軸方向に送る送り代(寄り代ともいう)は、両ワークの接合部を軟化させるために所定の摩擦圧力で軸方向に送る摩擦寄り代と、ワークの回転を停止させてさらに所定のアプセット圧力を加えて軸方向に送るアプセット寄り代とにより構成されている。
【0003】
ところで、これらのような手法が用いられて接合されるワークとしては、例えば、車両のデファレンシャルギヤを収容するアクスルハウジングがある。図8に示すように、一般に、アクスルハウジングは、一のワークとしての本体W1の両端に他のワークとしてのチューブW2,W3を接合することにより構成されている。本体W1のほぼ中央にはプロペラシャフトと結合するデファレンシャルギヤを組み付けるための孔W1hが形成されており、この孔W1hの中心軸線(基準位置)CLから各チューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bまでの長さL2,L3が所定の寸法となるように、本体W1とチューブW2,W3とをそれぞれ接合する必要がある。
【0004】
このように、一のワークの両端に他のワークをそれぞれ接合するような摩擦圧接を行うための従来の技術としては、例えば特開平10−118777号公報に開示されているように、一のワーク(第1のワーク)と2つの他のワーク(第2、第3のワーク)とを同時に接合するものがある。そして、特開平10−118777号公報には、第1のワークに対しその両側から第2、第3のワークを圧接し、第1ないし第3のワークを結合させる摩擦圧接方法であって、第2のワークから第1のワークへと加える力と、第3のワークから第1のワークへと加える力とが互いに相殺されるタイミングで、第2および第3のワークを送ることが記載されている。また、この特開平10−118777号公報には、第2、第3のワークを支持する一対の主軸ユニットと、第1のワークを支持するクランプと、両ワークの端面を互いに当接させるべくワークを軸方向に送るための送り手段とを有する摩擦圧接装置が開示されている。
【0005】
特開平10−118777号公報に開示された摩擦圧接方法によれば、第1のワークの外力による変位やずれの発生が理論上なくなるため、第1のワークを把持する力を小さく抑えながら、摩擦圧接完了することができため、第1のワークに変形や傷が発生することを防ぎ、高品質の摩擦圧接製品を得ることができる等の効果を奏する。
【0006】
また、本体W1に片側づつチューブW2,W3を接合する場合や、車両のプロペラシャフトにおけるシャフトとヨークとを接合する等、一のワークW1の片側に他のワークW2を接合するような場合には、図7に示すように、一のワークW1を保持するクランプ51と他のワークW2を保持する単一の主軸ユニット52と、両ワークW1,W2の端面を互いに当接させるべくワークを軸方向に送るための送り手段53と、送り手段53によって押し当てられる力に対抗するように設けられたストッパ56とを有する摩擦圧接装置が用いられる。さらに、図7に示した摩擦圧接装置には、送り手段53によって軸方向に送られたワークW2の寄り代を測定するための寄り代測定手段58が設けられているものがある。
【0007】
主軸ユニット52は、ワークW2を保持するチャック59を備えている。主軸ユニット52には基台57内に突出するアーム60が設けられている。送り手段53は、アーム60に設けられたボールねじ機構60aと、このボールねじ機構60aが螺合される圧接送りシャフト61と、圧接送りシャフト61を軸回りに回動駆動するサーボモータ62とにより構成されている。サーボモータ62を駆動することにより、圧接送りシャフト61に螺合されたボールねじ機構60aが軸方向に移動し、アーム60を有する主軸ユニット52が送られることとなる。なお、主軸ユニット52を送るために、ボールねじ機構60a、圧接送りシャフト61、およびサーボモータ62による構成に代えて、図示は省略するが、油圧等により軸方向に沿って伸縮するように作動する流体圧シリンダを主軸ユニット52に設けられたアームと基台57との間に介装した構成が用いられる場合もある。また、寄り代測定手段58として、主軸ユニット52と基台57との間にストロークセンサ65a,65bが設けられており、主軸ユニット52(すなわち、ワークW2)の送り代等が測定される。このような摩擦圧接装置においては、あらかじめ送り代が設定されており、寄り代測定手段58によって摩擦圧接後の寄り代の寸法を検出し、所定の寸法の製品を得ることができたか否かを判定している。
【0008】
一方、摩擦圧接以外で、一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付方法および組付装置が適用される例としては、しまりばめによって一のワークと他のワークとのいずれか一方をいずれか他方に対して圧入する場合もある。この場合にも、圧入のための送り代があらかじめ設定されており、送り代を寄り代測定手段によって圧入後の寄り代の寸法を検出し、所定の寸法の製品を得ることができたか否かを判定している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平10−118777号公報に記載されているように、第2、第3のワークを支持する一対の主軸ユニットを備えた摩擦圧接装置にあっては、一度の工程で第1のワークの両端に第2、第3のワークを同時に接合することができる。そして、第1のワークがアクスルハウジングの本体であるような場合には、図7に示したような寄り代測定手段58によって、本体W1の両端に接合されたチューブW2,W3の各非接合端面W2b,W3bの間の寸法LTを測定することもできる。しかしながら、上述した従来の摩擦圧接装置では、寄り代測定手段58によって摩擦圧接後の寄り代を測定し、所定の寸法の製品を得ることができたか否かを判定するものであるため、接合されたチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3b間の寸法LTしか測定することができず、しかも、この検出は接合後に行われていた。
【0010】
すなわち、従来の技術では、図10に示すように、本体W1の基準位置となる孔W1hの中心軸線CLから両端に接合されたチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bまでの各寸法L2,L3をそれぞれ制御するようなことは行われていなかったために、接合されたチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3b間の寸法LTが設定された寸法どおりであっても、孔W1hの中心軸線CLから両端に接合されたチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bまでの各寸法L2,L3が設定されたとおりとならず、ワークを互いに精度よく接合することができないという問題があった。そして、従来の技術では製品の接合精度がよくないために、歩留を向上させることができないという問題があった。さらにまた、一度の工程で第1のワークの両端に第2、第3のワークを同時に接合するような摩擦圧接装置にあっては、第2、第3のワークをそれぞれ支持する主軸ユニット52(図7を参照)が個別に必要となるため、装置全体が大型となって設備コストがかかるという問題があった。
【0011】
また、ワークの接合精度を向上させること等を目的として、図7に示したような単一の主軸ユニット52およびストッパ56等を備えた組み付け装置を用いて、一のワークとしての本体W1の一方の片側に他のワークとしてのチューブW2を接合し、その後さらに本体W1の他方の片側に別の新たなチューブW3を接合することが考えられる。しかしながら、このような場合には、図9に示すように、一のワークとしての本体W1の一方の片側に他のワークとしてのチューブW2を接合するときの寸法S1と、一のワークとしてのチューブW2が接合された本体W1の他方に他のワークとしての次の新たなチューブを接合するときの寸法S2とでは、大きな差が生じている。このように寸法が大きく異なるワークに単一の摩擦圧接装置で対応しようとすると、送り手段53のストロークも大きく変化させることができるような構成としなければならないという問題があった。また、このような大きな差に応じて主軸ユニット52を大きなストロークで送ることは時間等がかかり効率を向上させることができないという問題もあった。一方、寸法が大きく異なるワークに応じて専用の複数の摩擦圧接装置で対応しようとすると、設備費や設置スペース等の増大を招くことになるという問題があった。
【0012】
さらには、摩擦圧接および圧入のいずれの場合も、ワークを相対的に軸方向に送る送り代があらかじめ設定されているのが一般的である。そのため、従来の技術にあっては、高い寸法精度で互いに接合するワークを成形する必要があり、したがって、ワークの寸法誤差(バラツキ)をなくすための時間や労力が費やされることにより製造効率を向上させることができないという問題があった。
そして、ワークのバラツキをなくすのは非常に困難であり、ワークを互いに接合した後の製品にもバラツキが生じ、製品の寸法精度を向上させることができないという問題もあった。さらにまた、寄り代測定手段の測定結果に基づいて所定の寸法精度の製品を得ることができなかったと判定された場合には、その接合された製品が無駄となるという問題があった。
【0013】
さらにまた、図11に示すように、ワークW1にバラツキαがある場合には、送り手段53(図7)によって押し当てられる力に対抗するように設けられたストッパ56のワークW1と接する面に、ワークW1のバラツキαを補正することが可能なボルト等からなる調節手段70を設けることによってワークW1のバラツキαを補正することが考えられる。しかしながら、このような調節手段70では、ワークW1のバラツキαに応じて個々に手作業により補正しなければならない。このような手作業によって個々のワークW1のバラツキαを補正すべく調節手段70を調整するのは非常に手間と時間がかかるという問題もあった。
【0014】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、寸法の異なるワークに対応して僅かな軸方向への送り量でワークを互いに容易に接合することができ、もって、ワークの組み付けの効率を向上させることができる組付方法を提供することを目的とする。また、本発明は、簡単な構成で寸法精度に誤差を有するワークを互いに精度よく容易に組み付けることができる組付方法を提供することを目的とする。
また本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、寸法の異なるワークに対応して僅かな軸方向への送り量でワークを互いに容易に接合することができ、もって、ワークの組み付けの効率を向上させることができる組付装置を提供することを目的とする。また、本発明は、簡単な構造で、寸法精度に誤差を有するワークを互いに精度よく容易に組み付けることができる組付装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の組付方法に係る発明は、上記課題を解決するため、一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付方法であって、一のワークを他のワークに対して軸方向に移動するように設けられた第1保持手段に保持させると共に、他のワークを第2保持手段に保持させて、両ワークの接合される端面を対向するように配置し、また、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に設けられたブロックを配置し、該ブロックを介して一のワークの接合される端面とは反対側の端面を送り手段によって押圧して、一のワークを保持している第1保持手段をブロックとともに軸方向に移動させ、一のワークの接合される端面を他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、一のワークと他のワークとを接合することを特徴とするものである。
【0016】
請求項2の組付方法に係る発明は、上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明において、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間からブロックを退避移動させると共に、第1保持手段および第2保持手段による一のワークおよび他のワークの保持を解除し、新たに他のワークを第2保持手段に保持させると共に、他のワークが接合された一のワークの反対側の端面が第2保持手段に保持された新たな他のワークの端面と対向するように一のワークを第1保持手段に保持させ、先に接合された他のワークを介して一のワークを送り手段によって押圧して軸方向に移動させ、一のワークの反対側の端面を新たな他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、他のワークが接合された一のワークと新たな他のワークとを接合することを特徴とするものである。
【0017】
請求項3の組付方法に係る発明は、上記課題を解決するため、請求項1または2に記載の発明において、一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さにそれぞれ誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付けるための組付方法であって、一のワークが送り手段によって軸方向に移動されてその端面が他のワークの端面と当接したときに、一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面との間の長さを測定し、該測定した一のワークの基準位置と他のワークの非接合端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し制御することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項4の組付装置に係る発明は、上記課題を解決するため、一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付装置であって、一のワークを保持する第1保持手段と、一のワークの接合する端面と他のワークの端面とが互いに対向するように、他のワークを保持する第2保持手段と、一のワークの接合される端面とは反対側の端面を押圧して、一のワークの接合される端面を他のワークの接合される端面に対して加圧するように、一のワークを軸方向に送る送り手段と、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に、軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に配設されたブロックと、を備え、一のワークを保持する第1保持手段およびブロックを軸方向に移動可能に支持するスライドユニットを設けたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項5の組付装置に係る発明は、上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明において、一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さにそれぞれ誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付けるための組付装置であって、一のワークと他のワークとの接合端面を互いに当接させたときの一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面との間の長さを測定する測定手段と、該測定手段により測定された一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し送り手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項1の発明では、第1保持時手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間にブロックを配置する。このブロックは、接合するワークの軸方向長さによっては、退避移動させることが可能である。そして、送り手段によってブロックを介して一のワークを押圧し、一のワークをブロックとともに軸方向に移動させて、他のワークの対向するよう配置された端面に近づけ、一のワークと他のワークとを接合する。
【0021】
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、先に他のワークが接合された一のワークと次の新たな他のワークを接合する場合には、ブロックを退避移動させ、先に接合された他のワークを介して一のワークを送り手段によって軸方向に移動させ、次の新たな他のワークの対向するよう配置された端面に近づけ、先に他のワークが接合された一のワークと新たな他のワークとを接合する。
【0022】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の発明において、一のワークの端面が他のワークの端面と当接したときの一のワークの基準位置と他のワークの非接合端面との間の長さを測定し、この長さに基いて基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し制御する。
【0023】
請求項4の発明では、第1保持時手段によって一のワークを保持し、第2保持手段によって他のワークを保持する。そして、スライドユニットに支持された第1保持時手段によって保持されている一のワークを、軸方向および退避する方向に移動可能に配設されたブロックを介して送り手段によって押圧し、スライドユニットに支持された一のワークを保持する第1保持手段を、ブロックとともに軸方向に移動させて他のワークの対向するよう配置された端面に近づけ、一のワークと他のワークとを接合する。また、先に他のワークが接合された一のワークと次の新たな他のワークを接合する場合には、ブロックを退避する方向に移動させ、送り手段によって先に接合された他のワークを介して一のワークを押圧して、次の新たな他のワークの対向するよう配置された端面に近づけるように軸方向に移動させ、一のワークと次の新たな他のワークとを接合する。
【0024】
請求項5の発明では、請求項4に記載の発明において、一のワークの端面が他のワークの端面と当接したときの一のワークの基準位置と他のワークの非接合端面との間の長さを測定手段により測定し、この長さに基いて制御手段が送り代を決定し送り手段を制御して、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付ける。
【0025】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の組付装置の実施の一形態を、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態においては、接合され組み付けられる製品が車両のアクスルハウジングであり、一のワークW1がほぼ中心に、中心軸線CLを有する孔W1hが形成された本体であり、他のワークW2,W3が本体W1の両端にそれぞれ接合されるチューブであり、本体W1とチューブW2,W3とを摩擦圧接によって接合する場合により説明する。図において同一符号は同一部分または相当部分とする。
【0026】
この実施の形態において本発明の組付装置により接合され組み付けられるワークは、本体W1が設定された基準位置としての孔W1hの中心軸線CLからチューブW2,W3と接合される両端面までの長さにそれぞれ誤差(バラツキ)を有し、チューブW2,W3が本体W1と接合される端面W2a,W3aとこの端面とは反対側の端面(以下、非接合端面という)W2b,W3bとの間で設定された所定の精度の長さを有している。そして、本発明のこの実施の形態における組付装置は、本体W1の孔W1hの中心軸線CLからチューブの非接合端面W2b,W3bまでの長さ(製品寸法という)L2,L3(図8を参照)が所望する長さとなるように、本体W1とチューブW2,W3とを相対的に軸方向に送って、本体W1の一方の端面とチューブの端面W2a,W3aとを片側づつ摩擦圧接により接合し組み付けるものである。
【0027】
本発明の組付装置は、概略、接合する本体W1の端面とチューブW2,W3の端面とが互いに対向するように、本体W1を回転不能にかつ孔W1hの中心軸線CLに対して位置決め可能に保持する第1保持手段1と、チューブW2,W3を軸回りに回転駆動可能に保持する第2保持手段2と、本体W1のチューブW2,W3と接合される端面とは反対側の端面を押圧して、本体W1の接合される端面をチューブW2,W3の接合端面W2a,W3aに対して加圧するように、本体W1を軸方向に送る送り手段としての加圧ユニット3と、第1保持手段1に保持された本体W1の接合される端面とは反対側の端面と加圧ユニット3との間に、軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段1に保持された本体W1と加圧ユニット3との間から退避する方向に移動可能に配設されたブロック5と、を備えており、本体W1を保持する第1保持手段1とブロック5をそれぞれ軸方向に移動可能に支持するスライドユニット4が設けられている。
【0028】
さらに、本発明の組付装置は、本体W1とチューブの接合端面W2a,W3bとを互いに当接させたときの本体W1の基準位置となる孔W1hの中心軸線CLとチューブの非接合端面W2b,W3bとの間の長さ(接合前寸法という)を測定する測定手段(後述する)と、この測定手段により測定された接合前寸法に基づいて、製品寸法L2,L3が所定の長さとなるように、送り代U1を決定し加圧ユニット3を制御する制御手段(後述する)と、を備えている。
【0029】
本体を保持する第1保持手段1は、本体W1の孔W1hが挿入され径方向に拡開可能に設けられた複数の爪10a,10aを有する拡開ユニット10と、本体W1の両端近傍を把持する把持手段11とを備えてなる。拡開ユニット10は、各爪10a,10aが径方向に拡開されることにより本体W1の孔W1hの内周縁に当接し、孔W1hの中心軸線CLを中心として本体W1を位置決め支持する。把持手段11は、拡開ユニット10によって孔W1hの中心軸線CLを中心として位置決めされた本体W1の両端近傍を解放可能に把持する把持部材15と、この把持部材15を進退移動可能に支持する駆動ロッド16を有し、本体W1の接合する端面がチューブの端面W2a,W3aと互いに対向するように把持部材15の位置を手動またはセンサ等によって自動で制御されて調整する駆動装置17とを備えてなる。駆動装置17は、駆動ロッド16を調整可能に進退移動させるように伸長・退縮させることができるものであれば、ボールねじ機構やウオーム歯車機構、ラック・ピニオン、流体圧シリンダ等、公知の機構を用いることができる。拡開ユニット10の爪10aを孔W1hの径方向内側に移動させると共に把持手段11の把持部材15を解放することにより、本体W1は、チューブW2,W3と接合される両端面が旋回移動するように孔W1hを中心として回動することが可能となる。そして、本体W1は、拡開ユニット10の爪10aと把持手段11の把持部材15とにより、その軸回りに回転不能に位置決め把持される。なお、第1保持手段1は、後述するように、送り手段としての加圧ユニット3の加圧力を受けるが、スライドユニット4に支持されて軸方向に移動するため、加圧ユニット3の加圧力に対して耐えて反力を生じさせる得るような強度は必要とされない。
【0030】
チューブW2,W3を保持する第2保持手段2は、この実施の形態の場合、チューブW2またはW3を本体W1に対して軸回りに回転させることにより摩擦熱を発生させるためのスピンドル20に設けられたチャック21と、チューブの非接合端面W2aまたはW3aがそれぞれ当接されて軸方向に移動不能に保持するストッパ22とを備えてなる。スピンドル20は、基台7上の一方端側(図の左側)に配設され、ベルト等を介してモータが接続されると共に、ブレーキ機構が設けられている(図示は省略する)。スピンドル20は、図示しないモータを駆動することにより、図5に参照されるように、チャック21に把持されたチューブW2またはW3を軸回りに所定の回転速度Nで回転駆動させ、また、図示しないブレーキ機構により回転が停止される。
【0031】
加圧ユニット3は、軸方向に進退移動するように設けられた加圧部材30と、この加圧部材30を所定の圧力で伸長・退縮させるよう駆動する駆動装置32とを備えてなるもので、基台7上の組付装置のスピンドル20とは反対側(図の右側)に配設されている。駆動装置32は、ボールねじ機構や、ワークの端面の摩擦熱による影響がなければ流体圧シリンダ等、公知の手法を用いることができる。加圧ユニット3は、図5に参照されるように、図示しない制御手段によって所定の圧力P1,P2および寄り代U1,U2で駆動装置32が加圧部材30を進退移動させるように制御される。
【0032】
スライドユニット4は、基台7上のスピンドル20と加圧ユニット3との間であって、本体W1およびチューブW2,W3の軸方向と平行に延在するように配設されたベースガイドレール40と、このベースガイドレール40に沿って移動可能なようにベースガイドレール40上に載置されたスライド定盤41とを備えてなる。スライド定盤41上には、上述した第1保持手段1と、後述するブロック5とが支持されている。
【0033】
ブロック5は、第1保持手段1に保持された本体W1のチューブW2またはW3と接合される端面とは反対側の端面と加圧ユニット3の加圧部材30との間に配置されるもので、スライド定盤41上に本体W1の軸線の延長線とほぼ直交する方向に且つ平行方向に移動可能に支持されている。このブロック5をスライド定盤41上で上記方向にそれぞれ移動可能に支持するための機構は、本体W1の軸線の延長線とほぼ直交する方向に延在するように配設された直交方向ガイドレール50と、この直交方向ガイドレール50に沿って移動可能なように直交方向ガイドレール50上に載置されたベース部材51と、このベース部材51上に本体W1の軸線の延長線と平行方向に延在するように配設された平行方向ガイドレール52とを備えてなるもので、この平行方向ガイドレール52に沿ってブロック5が移動可能に載置されている。さらに、スライド定盤41上には直交方向ガイドレール50に沿って駆動ロッド53を伸長・退縮駆動する流体圧シリンダ等の公知の駆動装置54が設けられている。駆動ロッド53の先端は、ベース部材51に設けられたフランジ55に接続されている。駆動ロッド53を伸長・退縮駆動することにより、ブロック5は、ベース部材51および平行方向ガイドレール52を介して、本体W1および加圧ユニット3間の位置(図1を参照)とこれらの間から退避する位置(図3を参照)とに移動される。また、ブロック5が本体W1および加圧ユニット3間に位置されているときに、加圧ユニット3を伸長駆動することにより、平行方向ガイドレール52に支持されたブロック5は、本体W1の軸線の延長線上を軸方向に移動することとなる。なお、ブロック5の軸方向の長さは、加圧ユニット2が退縮駆動されているときに、ブロック5の両端面と、これに対向する第1保持手段1に保持されたバラツキを有する本体W1の端面および加圧ユニット3の加圧部材30との間にそれぞれ適当なクリアランスC1,C2(図2を参照)が形成され得るように設定されている。
【0034】
測定手段(図示を省略した)は、本体W1とチューブの接合端面W2aまたはW3aとが互いに当接したことを検知する当接センサと、スライド定盤41上に設けられた第1保持手段1の拡開ユニット10の爪10a,10aの中心(すなわち、第1保持手段1に保持された本体W1の孔W1hの中心軸線CL)とスピンドル20に設けられたストッパ22の、チューブW2,W3の非接合端面W2bまたはW3bが当接される面との距離を測定するマグネスケール等の長さセンサにより構成されている。長さセンサは、測定した本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブの非接合端面W2b,W3bとの距離の信号を後述する制御手段に出力する。
【0035】
制御手段(図示を省略した)は、スピンドル20を回転駆動するモータの駆動および回転速度Nの制御やブレーキ機構の制御、並びに、加圧ユニット3の駆動装置32の本体W1に対する加圧力P1,P2および寄り代Uを制御すると共に、当接センサおよび長さセンサから出力された信号を受けて、本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブの非接合端面W2b,W3bとの距離(接合前寸法)から送り代U1(図6を参照)を決定するものである。
【0036】
ここで、図6を参照しながら、摩擦圧接の送り代について説明する。摩擦圧接における送り代(寄り代)は、従来の技術でも既に述べたように、摩擦寄り代U1とアプセット寄り代U2とにより構成され、総寄り代Uは摩擦寄り代U1とアプセット寄り代U2との和により表わされる。図6は、総寄り代Uに対する摩擦寄り代U1の関係を示すグラフである。
【0037】
一般的に、摩擦圧接により互いにワークW1,W2またはW1,W3を接合した製品の接合品質を保証するためには、ワークW1,W2またはW1,W3の間に充分な摩擦熱を発生させるために必要な最小限度以上の摩擦寄り代U1と、摩擦熱によって溶融軟化されたワークW1,W2またはW1,W3を互いに圧着するために必要な所定のアプセット寄り代U2が必要である。アプセット寄り代U2は、ワークW2,W3の回転速度や互いに押圧する圧力P等他の諸条件によっても異なるが、一定量に設定することができる。また、摩擦圧接においては、摩擦寄り代U1が一定量を超えると、一定のアプセット寄り代U2を確保することができる領域が存在する(以下、この領域をU2安定領域という)。
【0038】
ところで、この実施の形態で接合されるチューブW2,W3は、両端W2a,W2bおよびW3a,W3b間の長さが所定の精度で設定された所定の長さに成形されている。一方、本体W1は、チューブW2,W3と接合される両端間の長さ(寸法)にバラツキαが生じている。しかしながら、本体W1の長さのバラツキαは、U2安定領域に達するように一定量以上の摩擦寄り代U1を確保できる範囲で設定されている。したがって、この実施の形態においては、ワークとしての本体W1のバラツキαに応じて摩擦寄り代U1を変化させればよいこととなる。
【0039】
そこで、本発明の組付装置では、摩擦圧接を行う場合に、当接センサから出力された信号を受けて、長さセンサが本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bとの距離を測定し、その測定された本体W1のバラツキαに応じて制御手段が摩擦寄り代U1を決定し、制御手段が決定した摩擦寄り代および一定のアプセット寄り代で加圧ユニットの駆動装置を駆動させるように制御する。より具体的には、長さセンサにより測定された接合前寸法がlaであるとき、制御手段は、接合前寸法laから一定に設定されたアプセット寄り代U2を差し引いた差を求め、この差を摩擦寄り代U1aとして決定する。一方、接合前寸法がlbであるとき、制御手段は、この接合前寸法lbから一定に設定されたアプセット寄り代U2を差し引いた差を求め、この差を摩擦寄り代U1bとして決定し制御する。
【0040】
次に、本発明の組み付け方法を、上述したように構成された組付装置を用いて、車両のアクスルハウジングを構成する本体W1とチューブW2,W3とを摩擦圧接によって組み付ける場合によって説明する。なお、この実施の形態において本発明の組付方法により接合され組み付けられるワークは、本体W1が設定された基準位置としての孔W1hの中心軸線CLからチューブW2,W3と接合される両端面までの長さにバラツキがあり、チューブW2,W3が本体W1と接合される端面W2a,W3aと非接合端面W2b,W3bとの間で設定された所定の精度の長さを有していること、および、本発明のこの実施の形態における組付方法は、本体W1の孔W1hの中心軸線CLからチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bまでの長さ(製品寸法)L2,L3が所望する長さとなるように、本体W1とチューブW2またはW3とを相対的に軸方向に送って、本体W1の一方の端面とチューブW2,W3の接合端面W2a,W3aとを片側づつ摩擦圧接により接合し組み付けるものであることは、上述した組付装置と同様である。
【0041】
本発明の組付方法は、概略、本体W1をチューブW2に対して軸方向に移動するように設けられた第1保持時手段1に保持させると共に、チューブW2を第2保持手段2に保持させて、接合される本体W1の一方の端面とチューブW2の接合端面W2aとを対向するように配置し、また、第1保持手段に保持された本体W1の接合される端面とは反対側の端面と加圧ユニット3との間に、軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段1に保持された本体W1と加圧ユニット3との間から退避する方向に移動可能に設けられたブロック5を配置し、このブロック5を介して、本体W1の接合される端面とは反対側の端面を加圧ユニット3によってチューブW2の対向するよう配置された接合端面W2aに近づけるように本体W1を保持している第1保持手段1をブロック5とともに軸方向に移動させ、本体W1とチューブW2とを接合するものである。
【0042】
そして、本発明の組付方法は、概略、本体W1の一方の端面にチューブW2が接合されると、第1保持手段1に保持された本体W1の接合される端面とは反対側の端面と加圧ユニット3との間からブロック5を退避移動させると共に、第1保持手段1および第2保持手段2による本体W1およびチューブW2の保持を解除し、新たにチューブW3を第2保持手段2に保持させると共に、チューブW2が接合された本体W1の反対側の端面が第2保持手段2に保持された新たなチューブW3の端面と対向するように本体W1を第1保持手段1に保持させ、先に接合されたチューブW2を介して本体W1を加圧ユニット3によって押圧して軸方向に移動させ、本体W1の反対側の端面を新たなチューブW3の対向するよう配置された接合端面W3aに近づけて、先にチューブW2が接合された本体W1と新たなチューブW3とを接合するものである。
【0043】
さらに、本発明の組付方法は、本体W1が加圧ユニット3によって軸方向に移動されてその端面がチューブの端面W2aまたはW3aと当接したときに、本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブの非接合端面W2bまたはW3bとの間の長さを測定し、この測定した孔W1hの中心軸線CLとチューブの非接合端面W2bまたはW3bと間の長さに基づいて、孔W1hの中心軸線CLからチューブの非接合端面W2bまたはW3bまでの長さL2またはL3が所定の長さとなるように、送り代を決定し制御するものである。
【0044】
図1および図2に示すように、本体W1とチューブW2とを接合するに際しては、最初に、本体W1を第1保持時手段1に保持させると共に、チューブW2を第2保持手段2に保持させる。第1保持時手段1による本体W1の保持は、拡開ユニット10の閉じた状態の爪10aに本体W1の孔W1hを挿通し、爪10aを拡開して孔W1hの内周縁に当接させる。これにより、本体W1は、その孔W1hの中心軸線CLを中心として位置決め支持される。そして、把持手段11の把持部材15により本体W1の両端近傍を把持する。本体W1は、拡開ユニット10の爪10aと把持手段11の把持部材15とにより、その軸回りに回転不能に把持される。また、第2保持手段2によるチューブW2の保持は、チャック21が解放した状態のスピンドル20内にチューブW2を挿入し、非接合端面W2bをストッパ22に当接させた状態でチャック21を締める。これにより、チューブW2は、スピンドル20に対して相対的に回転不能に、且つ、軸方向に移動不能に固定されることとなる。そして、第1保持手段1における把持手段11の駆動装置17の駆動ロッド16を伸長・退縮駆動して、チューブW2の接合端面W2aに対して本体W1の接合される端面を整合して対向させるように調整位置決めする。
【0045】
この時点では、加圧ユニット3の加圧部材30は図の右方に後退した状態とされ、ブロック5は駆動装置54により直交方向レール50上で第1保持手段1に保持された本体W1と加圧ユニット3との間に位置され、スライド定盤41は本体W1がチューブW2と当接しない程度に図の右方へ後退されている。
【0046】
その後、図示しないモータを駆動してスピンドル20のチャック21に把持されたチューブW2を軸回りに所定の速度Nで回転駆動させると共に、加圧ユニット3の加圧部材30を駆動装置32により前進移動させる。加圧ユニット3の加圧部材30は、最初にブロック5の端面に当接して、ブロック5を平行方向ガイドレール52に沿って移動させる。そして、ブロック5が本体W1の接合される端面とは反対側の端面に当接されて加圧ユニット3の加圧力を伝達することにより、スライド定盤41が前進移動される。本体W1は、ブロック5を介して加圧ユニット3の駆動を受けてチューブW2に近づくように軸方向に送られる。
【0047】
このとき、図示しない測定手段の当接センサは、軸方向に送られた本体W1がチューブW2に当接したことを検知し、図示しない制御手段に出力する。制御手段では、本体W1がチューブW2に当接した時点での長さセンサにより測定される本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブW2の非接合端面W2bとの長さ(以下、接合前寸法という)から、本体W1の孔W1hの中心軸線CLとチューブW2と接合される端面との間の寸法のバラツキを求め、この本体W1のバラツキに応じて摩擦寄り代U1を決定する。すなわち、この実施の形態におけるアクスルハウジングは、本体W1の基準位置としての孔W1hの中心軸線CLから接合された後のチューブW2の非接合端面W2bまでの寸法(製品寸法)L2が設定されており、長さセンサにより測定された接合前寸法から製品寸法L2を差し引いた長さが総寄り代Uとなる。そして、総寄り代Uのうちでアプセット寄り代U2は一定に設定することができるため、総寄り代Uからアプセット寄り代U2を差し引いた長さが摩擦寄り代U1として決定されるのである。
【0048】
保持手段1により軸回りに回転不能に保持された本体W1は、ブロック5を介して加圧ユニット3により設定された摩擦圧力P1(図5)で所定の回転速度Nで回転駆動されているチューブW2に対して決定された摩擦寄り代U1だけ前進されて加圧される。これにより、本体W1とチューブW2との端面は、充分に摩擦熱が発生することにより溶融軟化された状態で加圧される。
【0049】
本体が加圧ユニット3によりブロック5を介して前進移動しチューブW2と当接してから摩擦寄り代U1だけ送られると、制御手段は、スピンドル20のブレーキ機構を作動させ、その後所定のタイミング(アプセットタイミング)で摩擦圧力P1からアプセット圧力P2に昇圧するよう切り替えると共に、一定のアプセット寄り代U2だけ前進させるよう加圧ユニット3を制御する。本体W1の一方の端部には、ブロック5を介して加圧ユニット3によってアプセット圧力P2でアプセット寄り代U2だけ加圧されることにより、本体W1とチューブW2とが安定して精度よく固着されることとなる。
【0050】
続いて、本体W1の他方の端部に次の新たなチューブW3を固着する工程を行う。この工程においては、まず最初に、加圧ユニット3を後退駆動すると共に、ブロック5を平行方向レール52に沿って後退移動させて、加圧部材30および本体W1からブロック5を引き離す。次いで、図3に示すように、駆動装置54によりブロック5を直交方向レール上で本体W1と加圧ユニット3との間から退避するように移動させる。
【0051】
この状態から、把持手段11の把持部材15を解放し拡開ユニット10の爪10aを孔W1hの径方向内側に移動させて、片側にチューブW2が接合された本体W1を孔W1hの回りに旋回させ、新たなチューブW3と接合される端面をスピンドル20側に向ける。そして、上述の本体W1の片側に先にチューブW2を接合する工程と同様にして、チューブW2が接合された本体W1を第1保持時手段1に保持させると共に、次の新たなチューブW3を第2保持手段2に保持させる。このとき、スライド定盤41は本体W1が次に新たに接合されるチューブW3と接触しない程度に図の右方へ後退されている。
【0052】
その後、スピンドル20のチャック21に把持された次の新たなチューブW3を軸回りに所定の回転速度Nで回転駆動させると共に、加圧ユニット3の加圧部材30を駆動装置32により前進移動させる。加圧ユニット3の加圧部材30は、本体W1に先に接合されたチューブW2の非接合端面W2bに直接当接して、スライド基盤41と共に本体W1をベースガイドレール40に沿って移動させる。そして、先に接合されたチューブW2を介して加圧ユニット3の駆動を受けて、本体W1が次の新たなチューブW3に近づくように軸方向に送られ、当接センサにより本体W1が新たなチューブW3に当接したことを検知すると、接合前寸法が長さセンサにより測定され、制御手段が摩擦寄り代U1を決定して加圧ユニット3を先のチューブW2を接合する場合と同様に、製品寸法L3が設定通りとなるように制御する。
【0053】
このように、本発明では、本体W1の片側にチューブW2を接合する場合にはブロック5を介して、先にチューブW2が接合された本体W1に次のチューブW3を接合する場合には先に接合されたチューブW2を介して、加圧ユニット3により軸方向に送るため、加圧ユニット3のストロークを大きくすることなく、いずれの場合であっても同様に加圧することができる。
また、上述したように送り代(摩擦寄り代U1)をその都度決定して接合されたアクスルハウジングは、本体W1の孔W1hの中心軸線CLからいずれのチューブW2,W3の非接合端面W2b,W3bまでの製品寸法L2,L3も精度よく製造されることとなる。
【0054】
なお、上述した実施の形態では、本発明を摩擦圧接に適用し、本体W1の両側にチューブW2,W3をそれぞれ接合する場合によって説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、車両に用いられるステアリングシャフトとヨークのように、一のワークの片側と他のワークとを接合する場合に適用することもでき、また、一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送ることにより接合するものであれば、しまりばめのような圧入にも適用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、一のワークを他のワークに対して軸方向に移動するように設けられた第1保持手段に保持させると共に、他のワークを第2保持手段に保持させて、両ワークの接合される端面を対向するように配置し、また、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に設けられたブロックを配置し、該ブロックを介して一のワークの接合される端面とは反対側の端面を送り手段によって押圧して、一のワークを保持している第1保持手段をブロックとともに軸方向に移動させ、一のワークの接合される端面を他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、一のワークと他のワークとを接合することにより、簡単な構成で、寸法の異なるワークに対応して僅かな軸方向への送り量でワークを互いに容易に接合することができ、もって、ワークの組み付けの効率を向上させることができる組付方法を提供することができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明において、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間からブロックを退避移動させると共に、第1保持手段および第2保持手段による一のワークおよび他のワークの保持を解除し、新たに他のワークを第2保持手段に保持させると共に、他のワークが接合された一のワークの反対側の端面が第2保持手段に保持された新たな他のワークの端面と対向するように一のワークを第1保持手段に保持させ、先に接合された他のワークを介して一のワークを送り手段によって押圧して軸方向に移動させ、一のワークの反対側の端面を新たな他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、他のワークが接合された一のワークと新たな他のワークとを接合することにより、一のワークの両端にそれぞれ他のワークを接合する場合にも、簡単な構成で、寸法の異なるワークに対応して僅かな軸方向への送り量でワークを互いに容易に接合することができ、もって、ワークの組み付けの効率を向上させることができる組付方法を提供することができる。
【0057】
請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さにそれぞれ誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付ける場合に、一のワークが送り手段によって軸方向に移動されてその端面が他のワークの端面と当接したときに、一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間の長さを測定し、該測定した一のワークの基準位置と他のワークの非接合端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し制御することにより、簡単な構成で、寸法精度に誤差を有するワークを互いに精度よく容易に組み付けることができる組付方法を提供することができる。
【0058】
請求項4の発明によれば、一のワークを保持する第1保持手段と、一のワークの接合する端面と他のワークの端面とが互いに対向するように、他のワークを保持する第2保持手段と、一のワークの接合される端面とは反対側の端面を押圧して、一のワークの接合される端面を他のワークの接合される端面に対して加圧するように、一のワークを軸方向に送る送り手段と、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に、軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に配設されたブロックと、、を備え、一のワークを保持する第1保持手段およびブロックを軸方向に移動可能に支持するスライドユニットを設けたことにより、簡単な構造で、寸法の異なるワークに対応して僅かな軸方向への送り量でワークを互いに容易に接合することができ、もって、ワークの組み付けの効率を向上させることができる組付装置を提供することができる。
【0059】
請求項5の発明によれば、請求項4に記載の発明において、一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さに誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付ける場合に、一のワークと他のワークとの接合端面を互いに当接させたときの一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面との間の長さを測定する測定手段と、該測定手段により測定された一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し送り手段を制御する制御手段と、を備えたことにより、簡単な構造で、寸法精度に誤差を有するワークを互いに精度よく容易に組み付けることができる組付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組付装置の実施の一形態において、本体と最初のチューブとを接合する状態を示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】本発明の組付装置の実施の一形態において、先にチューブが接合された本体と次の新たなチューブとを接合する状態を示す平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】摩擦圧接の場合の制御内容とその制御タイミングを示すグラフである。
【図6】総寄り代と摩擦寄り代との関係を示すグラフである。
【図7】従来の摩擦圧接装置の一例を示す正面図である。
【図8】摩擦圧接により接合されるアクスルハウジングの説明図である。
【図9】一方の片側にチューブを接合されるときの本体のみの寸法と、先に一方の片側にチューブが接合された本体寸法とで寸法が大きく異なる様子を示す説明図である。
【図10】一度の工程により本体の両端にそれぞれチューブを接合した場合を示す説明図である。
【図11】従来のワークのバラツキを補正するための構造を示す説明図である。
【符合の説明】
W1 本体(一のワーク)
W1h 孔
CL 中心軸線(基準位置)
W2 先に接合されるチューブ(他のワーク)
W3 次に接合される新たなチューブ(他のワーク)
W2a,W3a接合端面
W2b,W3b非接合端面
1 第1保持手段
2 第2保持手段
3 加圧ユニット(送り手段)
4 スライドユニット
5 ブロック

Claims (5)

  1. 一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付方法であって、
    一のワークを他のワークに対して軸方向に移動するように設けられた第1保持手段に保持させると共に、他のワークを第2保持手段に保持させて、両ワークの接合される端面を対向するように配置し、また、第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に設けられたブロックを配置し、
    該ブロックを介して一のワークの接合される端面とは反対側の端面を送り手段によって押圧して、一のワークを保持している第1保持手段をブロックとともに軸方向に移動させ、一のワークの接合される端面を他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、一のワークと他のワークとを接合することを特徴とする組付方法。
  2. 第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間からブロックを退避移動させると共に、第1保持手段および第2保持手段による一のワークおよび他のワークの保持を解除し、
    新たに他のワークを第2保持手段に保持させると共に、他のワークが接合された一のワークの反対側の端面が第2保持手段に保持された新たな他のワークの端面と対向するように一のワークを第1保持手段に保持させ、
    先に接合された他のワークを介して一のワークを送り手段によって押圧して軸方向に移動させ、一のワークの反対側の端面を新たな他のワークの対向するよう配置された端面に近づけて、他のワークが接合された一のワークと新たな他のワークとを接合することを特徴とする請求項1に記載の組付方法。
  3. 一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さにそれぞれ誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付けるための組付方法であって、
    一のワークが送り手段によって軸方向に移動されてその端面が他のワークの端面と当接したときに、一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面との間の長さを測定し、
    該測定した一のワークの基準位置と他のワークの非接合端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し制御することを特徴とする請求項1または2に記載の組付方法。
  4. 一のワークと他のワークとを相対的に軸方向に送って互いの端面を接合し組み付ける組付装置であって、
    一のワークを保持する第1保持手段と、
    一のワークの接合する端面と他のワークの端面とが互いに対向するように、他のワークを保持する第2保持手段と、
    一のワークの接合される端面とは反対側の端面を押圧して、一のワークの接合される端面を他のワークの接合される端面に対して加圧するように、一のワークを軸方向に送る送り手段と、
    第1保持手段に保持された一のワークの接合される端面とは反対側の端面と送り手段との間に、軸方向に移動可能に、且つ、第1保持手段に保持された一のワークと送り手段との間から退避する方向に移動可能に配設されたブロックと、を備え、
    一のワークを保持する第1保持手段およびブロックを軸方向に移動可能に支持するスライドユニットを設けたことを特徴とする組付装置。
  5. 一のワークが設定された基準位置から接合される端面までの長さにそれぞれ誤差を有し、他のワークが前記一のワークと接合される端面と該端面とは反対側の端面との間で所定の長さを有しており、一のワークの基準位置から他のワークの前記一のワークと接合される端面とは反対側の端面までの長さが所望する長さとなるように、両ワークを接合し組み付けるための組付装置であって、
    一のワークと他のワークとの接合端面を互いに当接させたときの一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面との間の長さを測定する測定手段と、
    該測定手段により測定された一のワークの基準位置と他のワークの一のワークと接合される端面とは反対側の端面と間の長さに基づいて、前記基準位置から他のワークの非接合端面までの長さが所定の長さとなるように、送り代を決定し送り手段を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項4に記載の組付装置。
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