JP3743379B2 - 耐初期発錆性に優れた住宅構造用Cr含有熱延鋼板 - Google Patents

耐初期発錆性に優れた住宅構造用Cr含有熱延鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅構造用材料としての用途に供して好適な耐初期発錆性に優れたCr含有熱延鋼板に関するものである。
ここに、初期発錆とは、鋼板全面にわたり発錆する現象ではなく、発錆のない状態から点状に発錆が起こり始める現象を指す。
【0002】
【従来の技術】
従来から、住宅構造用材料の耐食性を向上させるべく、様々な対策が提案されている。
例えば、特開平11−302775公報には、酸化膜が耐食性の向上に有用であるとの知見の下に、仕上圧延温度を 600℃以上として、鋼板表面に厚みが 0.5〜20μmの酸化膜を形成し、さらにこの酸化膜と下地金属との接触面におけるボイドの割合を10%以下に抑制する耐食性の改善技術が提案されている。
しかしながら、この公報には、酸化膜と下地金属の接触面におけるボイドの挙動について主に記載されているだけで、酸化膜自体の改善による耐食性向上技術については開示されていない。
【0003】
また、特開平11−302796号公報には、耐食性向上元素であるCu, Niを添加することによって耐食性の向上を図る技術が提案されている。
しかしながら、この公報では、従来からその効果が知られている耐食性向上元素を添加することが単に記載されているだけで、他の元素を添加した場合における耐初期発錆性の改善については、十分な開示はない。
【0004】
さらに、特開平11−302800号公報には、スケールから下地金属にかけて膜状あるいは塊状のSiO2を成形させ、スケール中のクラック発生を抑制することによって、耐食性を向上させる技術が開示されている。
しかしながら、この公報にも、スケールを改質することによって耐初期発錆性を向上させる技術については、何ら開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱間圧延ままでの使用を前提とする住宅構造用部材とくにCr含有量が15mass%未満の低Cr含有鋼について、スケールの特性を制御することによって耐初期発錆性を有利に向上させた、耐初期発錆性に優れた住宅構造用Cr含有熱延鋼板を提案することを目的とする。
なお、スケールの特性の制御により耐初期発錆性を向上させる技術は、これまでに報告された例はなく、本発明で初めて達成された技術である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成するために、各種元素の影響について綿密な検討を行った。特に、Coに着目して、Cr含有量が5〜15mass%の低Cr含有鋼において、耐初期発錆性に及ぼすCoの影響について調査した。
その結果、適量のCoを添加した上で、スケール厚を的確にコントロールによって、耐初期発錆性を効果的な改善が達成されることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚して完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、質量%で、
C:0.02%以下、
N:0.02%以下、
Si:1.5 %以下、
Mn:3.0 %以下、
P:0.1 %以下、
S:0.03%以下、
Cr:5%超、15%未満および
Co:0.01〜1.0 %
を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、かつ鋼板表面に厚み:10 μ m 以上のスケールをそなえることを特徴とする耐初期発錆性に優れた住宅構造用Cr含有熱延鋼板である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
Cr:8.50〜9.50%、Si:0.10〜1.00%およびMn:0.30〜1.50%を基本成分として含有する、いわゆる9%Cr鋼に、Coを 0.004〜0.10%の範囲で種々に含有させた熱延板(熱延鋼板)について、錆の発生状況について調査した結果を、図1に示す。なお、この実験では、熱延条件を調整することにより、いずれの熱延板についても約8μm のスケールを形成させるものとした。
同図に示したとおり、Coを0.01%以上含有させることによって、発錆面積率は約20%以下まで急激に減少し、熱延板の耐初期発錆性が飛躍的に向上することが分かる。特にCo量が 0.1%以上になると、この効果はさらに向上した。
【0009】
そこで、次に、上記した基本成分に、Coをそれぞれ 0.004%および 0.022%含有させた、いわゆる9%Cr-0.004%Co鋼および9%Cr-0.022%Co鋼について、熱延板の表面に形成させるスケール厚を種々に変化させた時の錆の発生状況について調査した結果を、図2に示す。
同図から明らかなように、9%Cr-0.022%Co鋼では、スケールの厚みが3μm以上になると発錆面積率は激減し、特にスケール厚を10μm 以上にすることによってさらに優れた耐初期発錆性を得ることができた。
【0010】
次に、本発明において、熱延鋼板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.02%以下,N:0.02%以下
CおよびNは、加工性の改善ならびに溶接割れ防止の観点からは、可能な限り低減するのが好ましく、また過度に添加すると熱間圧延ままでの強度が高くなりすぎる傾向にある。このためC,Nの上限はそれぞれ0.02%に制限した。なお、下限については、精錬コストや所望強度を勘案すると0.0015%程度とするのが好ましい。
【0011】
Si:1.5 %以下
Siは、脱酸剤として有用な元素であるが、含有量が 1.5mass%を超えると母材や溶接部のじん性や加工性の低下を招くので、Si量は 1.5%以下に制限した。より好ましくは 1.0%以下である。なお、Si含有量があまりに少ないと十分な脱酸効果が得られなくなるので、Si量の下限は 0.1%程度とするのが好ましい。
【0012】
Mn:3.0 %以下
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、溶接熱影響部のマルテンサイト生成能を増加させ、じん性を改善する効果を有するだけでなく、Siと同様、脱酸剤としての働きをもつ。しかしながら、含有量が 3.0mass%を超えると加工性の低下を招くため、Mn量は 3.0%以下に限定した。なお、Mn含有量があまりに少ないと上記の効果が得られない場合が生じるので、Mn量の下限は 0.1%程度とするのが好ましい。
【0013】
P:0.1 %以下
Pは、熱間加工の際に割れを誘発するが、含有量が 0.1%までならその悪影響が顕著とならず許容できるので、P量は0.1 %以下に制限するとよい。より好ましくは0.05%以下である。
【0014】
S:0.03%以下
Sは、硫化物を形成し、鋼の清浄度を低下させる。また、結晶粒界に偏析し粒界脆化を惹起する有害な元素でもあるので、できるだけ低減するのが好ましい。しかしながら、0.03%以下であれば、その悪影響が顕著とならず許容できる。
【0015】
Cr:5%超、15%未満
Crは、耐食性を向上させる有用元素である。本発明では、外壁材のような厳しい環境下での使用は想定していないが、構造物の完成後に人目に触れず、よりマイルドな環境下での使用においても、長期間の使用に際して錆汁が垂れてこないようにする必要がある。
このための耐食性を確保するには、5%超のCr添加が必要である。一方、本発明に関わる安価なCr含有鋼においては、15%以上のCr添加はコスト増加を招く不利がある。従ってCr量は5%超, 15%未満の範囲に限定した。
【0016】
Co:0.01〜1.0 %
Coは、本発明の骨子となる元素であり、15%未満の低Cr含有鋼に対して微量添加することで、耐初期発錆性が格段に向上する。しかしながら、含有量が0.01%未満ではその効果が得られず、一方 1.0%を超えて添加すると素材が硬質化し加工性が劣化するので、Co量は0.01〜1.0 %の範囲に限定した。より好ましい添加範囲は 0.1〜1.0 %である。
【0017】
また、本発明は、鋼の成分組成を上記の範囲に限定するだけでは不十分で、熱間圧延後に所定厚みのスケールを熱延板表面に形成させることが重要である。
すなわち、前掲図2に示したとおり、Coを適量含有させた上で、熱延板の表面に10 μ m 以上のスケールを形成することによって、耐初期発錆性を格段に向上させることができる。なお、かかるスケールの厚みがあまりに大きくなると、スケールの剥離等の弊害が生じるのでスケール厚の上限は 200μm 程度とするのが好適である。
【0018】
なお、本発明によって耐初期発錆性が改善される機構は明らかではないが、スケール中に濃化したCoが有効に作用することにより、被腐食面全体が均一に腐食されることにより、点状の初期発錆が抑制されるものと考えられる。
【0019】
次に、本発明の好適製造条件について説明する。
本発明では、熱間圧延後の熱延板の表面に厚み:10 μ m 以上のスケールを形成させることが重要である。そのために重要な製造条件は、スラブ加熱温度、熱間圧延仕上温度および巻取り温度であり、それぞれスラブ加熱温度:1100〜1300℃、熱間圧延仕上温度:800 〜1100℃および巻取り温度:600 〜900 ℃程度とすることが好ましい。
というのは、スラブ加熱温度、熱間仕上圧延温度および巻取り温度がそれぞれ下限に満たないと厚み:10 μ m 以上のスケールを形成させることが難しく、一方スラブ加熱温度が上限を超えるとスラブ垂れが生じ、また熱間仕上圧延温度および/または巻取り温度が上限を超えるとスケールが必要以上に厚くなる不利が生じるからである。
なお、その他の工程については常法に従って行えばよい。
【0020】
【実施例】
実施例1
表1に示す成分組成になる溶鋼を、転炉−2次精錬工程で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これらのスラブを、1100〜1300℃に加熱後、仕上温度:800 〜1100℃の条件で熱間圧延を行ったのち、 600〜900 ℃の温度で巻き取ることによって、板厚が4mmまたは5mmのスケール付き熱延鋼板を製造した。
かくして得られた熱延鋼板のスケール厚みおよび耐初期発錆性について調査した結果を表1に併記する。
【0021】
なお、スケール厚みは、SEM によって熱延鋼板の断面を観察し、スケールの平均厚みで示す。
また、耐初期発錆性については、塩水噴霧(0.1mass%NaCl, 35℃, 0.5h)→乾燥(60℃,1h)→湿潤(40℃, 1h)を6サイクル行う、屋内環境3ケ月を想定した腐食試験を行い、試験後の熱延鋼板表面の発錆面積率で評価した。なお、錆の面積率は、表面撮影→錆部分を透明OHP シートで写しとって塗りつぶし→コピュータで面積測定の手順で測定した。
【0022】
【表1】
Figure 0003743379
【0023】
同表から明らかなように、本発明に従い得られた熱延鋼板はいずれも、発錆面積率が5%以下と優れた耐初期発錆性が得られている。
【0024】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、適切なCo含有量の下で、スケールの厚みを適正にコントロールすることにより、耐初期発錆性に優れる住宅構造用Cr含有熱延鋼板を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 耐初期発錆性に及ぼすCo含有量の影響を示したグラフである。
【図2】 耐初期発錆性に及ぼすスケールの厚みの影響を示したグラフである。

Claims (1)

  1. 質量%で、
    C:0.02%以下、
    N:0.02%以下、
    Si:1.5 %以下、
    Mn:3.0 %以下、
    P:0.1 %以下、
    S:0.03%以下、
    Cr:5%超、15%未満および
    Co:0.01〜1.0 %
    を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、かつ鋼板表面に厚み:10 μ m 以上のスケールをそなえることを特徴とする耐初期発錆性に優れた住宅構造用Cr含有熱延鋼板。
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