JP3743312B2 - 地図表示装置、プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
地図表示装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や歩行者の走行に伴って移動していく現在位置をディスプレイ上に道路地図とともに表示したり、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、経路案内を行うナビゲーション装置が知られており、より円滑なドライブや移動に寄与している。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、例えば、タッチパネル等の入力装置から手書き入力された内容をディスプレイ上に表示するとともにその手書きデータを他のナビゲーション装置に送信し、他のナビゲーション装置が受信した手書きデータをディスプレイに表示させる機能を備えたものが考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようなナビゲーション装置を利用し、他のナビゲーション装置の利用者に対して自己の走行予定の経路や目的地までの経路を教えるためには、ディスプレイに表示された道路の中から経路となる道路を経路以外の道路と識別できるように手書き入力をする必要がある。例えば、経路となる道路を手書き入力でなぞって強調させたり、矢印等の目印を描いて経路となる道路を指し示したり、文字を手書き入力して経路となる道路を指し示したりしていた。そのため、特にディスプレイに表示された道路が複雑に入り組んでいる場合には、送信側のナビゲーション装置に手書き入力する送信者は、誤って経路ではない道路をなぞってしまったり、指し示す道路が曖昧になったりする場合がある。このような場合、受信側のナビゲーション装置には、誤った道路を示す手書きデータや指し示す道路の特定が困難な手書きデータによる表示がなされるため、その表示を見た受信者は経路を誤認したり、経路を把握できないといった問題がある。
【0005】
また、車両に設置されるナビゲーション装置では、ナビゲーション装置の操作空間が十分でない場合や車両の振動などの影響により、手書きで経路等を正確に指し示すことが困難である。一方、携帯型のナビゲーション装置においても一方の手で装置を保持して他方の手で手書き入力を行うため正確に道路を特定することが困難である。
【0006】
またこのような問題はナビゲーション機能を備えた装置以外にも、単に地図を表示する機能を備えた地図表示装置についても同様に発生する。
そこで本発明は、これらの問題点を解決し、地図を通して正確かつ容易に外部と意志疎通を図ることができる地図表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1に記載の地図表示装置は、表示手段に表示された道路地図から少なくとも1の道路を直接選択するための道路選択指示をユーザから受け付ける機能と、受け付けた道路選択指示に基づいて、選択された道路に対応する道路データを選択する機能と、選択された道路データに関する情報である選択データを送信する機能と、道路データを受信して表示する機能とを備える。したがって、例えば他者に経路等を教えたい利用者(送信者と称する)は、表示された道路地図の中から経路となる道路を直接選択することができる。よって、従来のように送信者は自己の伝えたい経路を他者が特定できるように手書き入力の入力方法を工夫する必要がない。すなわち、経路をなぞって強調させたり、経路に矢印等の目印を描いたり、文字を手書き入力して経路となる道路を指し示す必要がなく、直接的に道路を選択することができる。したがって、受信側の地図表示装置の利用者である受信者に対して、自己の教えたい経路等を容易に伝えることができる。このようにして地図上の道路を選択して入力することができるので、従来の手書き入力に比べ、正確に経路等を伝達することができる。すなわち、正確かつ容易に経路等に関する意志疎通を図ることができる。
【0008】
なお、道路データは例えば請求項2に示すように道路を所定の区間毎に区切ったリンクとして表現するとよい。例えばリンク上の任意の点が指定された場合にその点を含むリンクを選択するようにする。そして選択したリンクを特定するためのリンクIDを道路特定情報として送信する。他の地図表示装置では、このリンクIDを受信して、そのリンクIDに対応する道路データを用いて表示する。このようにすれば、従来のように手書きデータをベクトルデータやラスターデータとして送る場合に比べて、送信するデータ量を大幅に減らすことが可能になる。したがって、使用するメモリ量を減らすことができ、コストダウンと小型化を図ることが可能となる。また、通信量を削減することができ、通信にかかるコストを削減することができる。さらに、通信時間を短縮することが可能となり、通信のための待ち時間を短縮することができ、より円滑に意志疎通を図ることができる。
【0009】
ところで、選択された道路は、選択されていない道路と表示態様を変えることによって選択された状態であるか選択されていない状態であるかを区別することができるが、さらに請求項3に示すようにすれば、送信者が選択した際の表示属性どおりに受信者側の地図表示装置にも表示される。したがって、例えば送信者が電話等を併用して地図表示装置に選択入力した道路の説明を受信者に対してする場合などには、表示された内容に基づいて説明をするだけで、円滑に意志疎通を行うことができる。例えば、選択された道路を選択されていない道路より広い幅の線として表示することとすれば、送信者は、「太くなっている道を通ってきてください」などと伝えるだけで、受信者はその経路を把握することが可能となる。このような表示属性としては、例えば、線の幅(太さ)、線種(実線、破線、1点鎖線、2点鎖線等)、線の色(赤、青、黄、緑等)、線の点滅(有、無)などの組み合わせ等を用い、表示属性情報としてはこれらを識別可能な情報とすればよい。
【0010】
なお選択データを受信した地図表示装置は、例えば、その選択データに対応する道路を表示する指示が入力された場合に表示するようにしてもよいし、例えば現在位置付近の所定の範囲内の道路地図を表示する装置であれば、その所定範囲内に受信した選択データに対応する道路がある場合に、その道路を表示するようにしてもよい。また、選択データを受信した際すぐにその付近の地図を表示するようにしてもよい。
【0011】
このように選択データに対応する道路を表示する際には、請求項4に示すようにして、送信者側の地図表示装置の地図の表示状態に基づいて受信者側の地図表示装置の地図を表示するようにするとよい。例えば、地図表示情報としては画面中心座標、縮尺、地図向きなどを含むようにするとよい。このようにすれば、送信側と受信側のそれぞれの地図表示装置において、例えば同一の範囲の地図を同じ向きに表示することが可能となる。よって、例えば同一の画面を送信側と受信側の地図表示装置に表示することができるので、さらに意志疎通を容易に行うことができる。
【0012】
そしてさらに請求項5に示すようにして手書き入力した情報を他の地図表示装置に送信して表示させるようにするとよい。手書きされたデータを入力するとは、例えばユーザの操作に応じて画面上に描画を行い、その描画内容を例えばベクトルデータ等の所定の手書きデータに変換することを含む。このようにすれば、例えば、道路を選択した後に、選択した道路に対するコメントやメモ等を手書きで書き込むことができる。したがって、地図上にさらに情報を付加することができるので、意志疎通がさらに容易になる。
【0013】
さて送信者によって選択された道路に関する情報である選択データは、上述したような地図の表示に用いるだけでなく、種々の処理に利用することができる。例えば請求項6に示すようにして、経路計算に用いることができる。例えば、選択された道路が通常は経路計算に入れない道路であっても経路計算に入れることができる。また、通常は経路として選択される可能性の低い道路を選択するようにもできる。このようにすることで、現状のナビゲーション機能を備えた地図表示装置(ナビゲーション装置)が算出できないルートの案内も可能となり、また随時送信者側の経路計算の精度を向上させることができるとともに受信者側の経路計算の精度も向上させることができる。
【0014】
そして、請求項7に示すように、請求項1〜6のいずれかに記載の各手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができ、また、ネットワークを介してロードして起動することにより用いることもできる。
【0015】
さらに、地図表示装置は、全体として地図表示装置を構成すればよいので、複数のコンピュータで各機能を実現するようにしてもよい。例えば、各手段を異なる複数のコンピュータで構成して異なる場所に設置し、各手段間の情報のやりとりを通信を用いて行うようにしてもよい。例えば、地図データ記憶手段は、外部の通信可能な情報センタ等のコンピュータに備えるようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0017】
図1は地図表示装置としてのナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す。)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、携帯電話32を接続し外部との通話または通信を行うための携帯電話接続装置24と、地図データや各種の情報を記録した外部記憶媒体から地図データ等を入力する外部記憶装置25と、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するためのスピーカ27と、操作スイッチ群22やリモコン23aと同様に各種の指示を音声で入力するためのマイク28と、シフトレンジやランプ状態などの車両信号を入力する車両信号I/O29と、上述した位置検出器21、操作スイッチ群22、外部記憶装置25、リモコン23a、マイク28、車両信号I/O29からの入力に応じて各種処理を実行し、位置検出器21、操作スイッチ群22、リモコンセンサ23b、携帯電話接続装置24、外部記憶装置25、表示装置26、スピーカ27、マイク28、車両信号I/O29を制御する制御回路30とを備えている。
【0018】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度を検出するための加速度センサ21cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ21dとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、また左右操舵輪の回転差などから得られる車両のステアリング角を累積して方向を求めるセンサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0019】
操作スイッチ群22としては、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。タッチパネルは、表示装置26の画面上に縦横無尽に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。これによって、表示画面を直接タッチすることで、所定の指示を入力できるようにされている。なおタッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、他に感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,抵抗膜方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0020】
外部記憶装置25は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路データ、その他の付加データを含む各種データを入力するための装置である。外部記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0021】
道路データは、交差点、分岐点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)のデータからなるリンク情報を備える。
【0022】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRT,有機ELなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置26の表示画面には位置検出器21にて検出した車両の現在地を示すマークと、外部記憶装置25より入力された地図データと、目的地マークと、携帯電話接続装置24を介して通信によって入力した他車情報と、目的地までの案内経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイドも表示できる。そして、スピーカ27は、外部記憶装置25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力する。
【0023】
制御回路30は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、次の(1)〜(13)等の処理を行う。(1)位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出する現在位置算出処理、(2)外部記憶装置25を介して読み込んだ道路データから道路地図等を表示装置26に表示する処理、(3)外部記憶装置25に格納された地点データに基づき、操作スイッチ群22やリモコン23a(以下操作スイッチ群22等と称する)の操作に従って目的地となる施設を選択する目的地選択処理、(4)現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算処理、(5)経路計算処理の結果に従って表示装置26上の道路地図に重ねて誘導経路を表示して、ドライバーに適切なルートを案内する経路案内を行う経路案内処理、(6)表示装置26に表示した地図上の道路を選択可能とし、選択された道路の表示を変更する選択処理、(7)表示装置26上に操作スイッチ群22等からの入力に応じて画面上の対応する位置に点を打ったり利用者からの操作に応じて表示装置26上に各種の描画を行う手書きデータ入力処理、(8)他のナビゲーション装置に対して携帯電話接続装置24及び携帯電話32を制御して表示している地図に関する地図表示情報と選択データと手書きデータとを含む通信用データを、他のナビゲーション装置1に対して送信する送信処理、(9)他のナビゲーション装置1から上述した通信用データを受信する受信処理、(10)受信した通信用データに基づいて表示装置26に表示を行う受信情報表示処理、(11)携帯電話接続装置24及び携帯電話32を制御してインターネットに接続するインターネット接続処理、(12)インターネットの接続時にウェブページをインターネット上のサーバから読み込んで表示装置26に表示するブラウザ処理、(13)電子メールの作成・表示・送受信を行う電子メール処理。
【0024】
なお、(4)の経路計算処理において自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
次に、図2に示すように車両aと車両bにこのように構成されたナビゲーション装置1をそれぞれ搭載し(それぞれのナビゲーション装置1をナビゲーション装置1a、ナビゲーション装置1bと表記する)、車両aのユーザAが車両bのユーザBに対して経路を教える場合のユーザAの操作及びナビゲーション装置1a,1bのそれぞれの処理を説明する。
【0025】
まず、ユーザAは操作スイッチ群22等を操作し、ユーザBに対して伝えたい経路の地図を表示装置26に表示させる。この表示は一般的なナビゲーション装置と同様に、制御回路30が、操作スイッチ群22等から入力した電話番号や地名等から地図の表示範囲を求め、外部記憶装置25に記憶されたその範囲の地図データを読み込んで表示することで行う。表示させた地図の例を図3(a)に示す。
【0026】
例えばユーザAが図3(g)に太線で示す道路(経路)をユーザBに対して伝えたい場合には、ユーザAは操作スイッチ群22等から道路選択指示を入力する。制御回路30は、この道路選択指示の入力を検出した場合には選択処理を開始し、図3(b)に示すように選択カーソル48を表示装置26に表示する。そして操作スイッチ群22等から選択カーソル48の移動指示が入力された場合には、選択カーソル48の表示位置を移動させる。また、表示装置26に表示した道路上に選択カーソル48の位置が重なった状態で、操作スイッチ群22等から道路選択指示が入力された場合には、制御回路30は選択された道路のリンク情報中のリンクIDと選択されている表示属性からなる選択データを記憶し、表示したリンクの道路の始端から終端までの範囲の表示を他の道路と異なる表示属性(表示形態)に変更する。なお表示属性としては、線の太さ、色、線種、点滅の有無等を指定することができる。制御回路30は表示属性選択指示が操作スイッチ群22等から入力された際に、図4(a)〜(c)に示すようなポップアップメニュー50を表示装置26に表示させる。そして、操作スイッチ群22等から太さ選択指示が入力された場合には太さ選択メニュー52を表示させ(図4(a)参照)、色選択指示が入力された場合には色選択メニュー54を表示させ(図4(b)参照)、線種選択指示が入力された場合には線種選択メニュー56を表示させる(図4(c)参照)。また、点滅選択指示が入力された場合には、図示しない点滅選択メニューを表示させる。そしてこれらの表示属性についての各メニュー52,54,56等から表示属性の選択指示が入力された場合にはその表示属性に線の表示形態を変更する。例えば、点滅選択指示による点滅有が選択された場合には該当する道路を点滅表示する。また、太さ選択指示によって所定の太さが選択された場合には、図3(c)に示すように該当する道路の表示を太くする。このようにして、選択した道路を強調表示させることができる。
【0027】
同様にしてユーザAは、図3(c)→(d)→(e)→(f)→(g)のように道路を選択する。制御回路30は上述のようにして、選択された道路に対応する線の表示属性を変更するとともに、選択順に道路のリンクIDと表示属性からなる選択データを線形リストとして記憶する。この選択データは、図5中段に図示するデータ構造を持つ。
【0028】
さらにユーザAは、操作スイッチ群22等から手書き入力指示を入力することができる。制御回路30はこの手書きデータ入力指示を検出した場合には手書きデータ入力処理を行う。すなわち、図4(d)に示すように手書き入力カーソル58を表示装置26に表示させ、リモコン23aまたは操作スイッチ群22に設けた十字カーソル(図2の操作スイッチ群22を参照)や、タッチパネルから手書きデータを入力する。制御回路30は、操作スイッチ群22等の描画ボタンが押下されながら十字カーソルが操作されたことを検出した場合には、手書き入力カーソル58を十字カーソルからの入力に従って、手書き入力カーソル58の位置を移動させながら、その手書き入力カーソル58の表示位置に対応する位置に連続的に点を打って描画を行う。また、タッチパネルの場合にはタッチされた位置に対応する表示装置の表示画面に描画を行う。例えば、図4(d)では、ユーザAはユーザBに対して注意を喚起したい交差点の位置に破線の円を描いている。このように自由に描画を行うことができるので、図3(h)に示すように文字を手書きで入力することもできる。このような描画による手書きデータは、その描画が行われた位置と方向を示すベクトルデータ群として制御回路30に記憶しておく。すなわち図5下段に示す手書きデータとして記憶する。なお、ベクトルデータ群は図5に示すように選択データへの関連(位置関係の情報)とともに記憶するようにしてもよいし、単に表示画面上の位置を記憶するようにしてもよい。
【0029】
このようにしてユーザAはユーザBへ送信したい道路の選択や自由描画が完了したら、操作スイッチ群22等を操作してユーザBへの送信指示を入力することができる。制御回路30はユーザBへの送信指示の入力を検出すると、図5に示すように、表示している画面の中心の地図の座標である画面中心座標と表示している地図の縮尺と地図の上方向がどのような向きにあるのかを示す地図向きとからなる地図表示情報(図5上段参照)と、記憶しておいた選択データ(図5中段参照)と、記憶しておいた手書きデータ(図5下段参照)とからなる通信用データを携帯電話接続装置24を制御して、予め記憶しておいたユーザBの携帯電話の電話番号を発呼して接続後、送信する。
【0030】
ユーザBのナビゲーション装置1bは、携帯電話32の着呼を検出すると回線の接続制御をして、ナビゲーション装置1aと通信可能な状態にする。ナビゲーション装置1aは上述のように通信用データをナビゲーション装置1bへ送信し、ナビゲーション装置1bは、この通信用データを受信する(図2参照)。
【0031】
また、ナビゲーション装置1bは、データの受信を完了すると、その旨を送信先のユーザAに対して発信する。これによりユーザAはユーザBへのデータが送信完了したことを知ることができる。
次に通信用データを受信したナビゲーション装置1bの処理について説明する。ナビゲーション装置1bの制御回路30は、受信した通信用データに基づいて、表示装置26の表示制御をする受信情報表示処理を行う。すなわち、まず図5に示す通信用データの地図表示情報の画面中心座標・縮尺・地図向きから表示装置26に表示する範囲の地図データを外部記憶装置25から読み込んで地図を表示装置26に表示させる。したがって図2に示すように、ナビゲーション装置1aとナビゲーション装置1bのそれぞれの表示装置26には同一の範囲の地図が表示される。
【0032】
続いて、受信した選択データの選択データ種別(リンクID)に対応する道路についての表示属性を受信した通信用データの表示属性に変更して表示する。すなわち、図2右段に示すように選択道路44と非選択道路42が区別して表示されるとともに、選択道路44の表示属性は、ナビゲーション装置1aとナビゲーション装置1bとで同一になる。
【0033】
そして、受信した通信用データに含まれる手書きデータのベクトルデータ群に従って図2に示すような手書きデータ46を重ねて表示する。したがって、手書きデータの表示内容もナビゲーション装置1aとナビゲーション装置1bで同一になる。
【0034】
このようにユーザAは手書きで道路形状を描くのではなく道路を選択することができるので容易に正確な道路(経路)をユーザBに伝えることができる。特に複雑な地図においても、ユーザAとユーザBは、正確かつ容易に意志疎通を図ることができる。また、道路を太く表現したり色を変えたり点滅させたりすると同時に手書きのコメントを付加し、双方の表示装置の画面を同一に表示することができるので、さらに意志疎通が容易になる。そして通信用データを携帯電話40を介して別ナビ間で共有することで、遠隔地間での意志疎通も容易にできる。また道路を手書きしないことで、手書きデータのデータ量を削減することができるので、ナビゲーション装置間におけるデータ転送量を減らし待ち時間の少ない操作と表示が可能となる。
【0035】
なお上述した操作スイッチ群22等から入力する各種の指示の検出は、例えば予め割り当てたリモコン22等のキーを押下したことを検出して行うようにしてもよいし、所定のスイッチ等が押下された際に表示装置26にメニュー等を表示しそのメニューから選択するようにしてもよい。もちろん音声で指示を入力したり、タッチパネルでタッチすることで指示を入力するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、選択データは道路の表示の変更に用いているが、さらに経路計算処理において、この選択データを利用するようにしてもよい。すなわち、経路計算処理において、例えば経路計算に用いられるコストを変更するなどして、図2に示す選択道路44を非選択道路42より高い優先度で経路計算を行うようにする。このようにすれば、ユーザAの意志に沿った経路案内を行うことが可能となる。
【0037】
そして、上記実施例では、表示装置26に表示した道路上に選択カーソル48の位置が重なった状態で、操作スイッチ群22等から道路選択指示が入力された場合にその道路を選択することとしたが、例えば道路が並走(高速道路と一般道が上下になるなど)するなど近接道路が存在する場合の操作性を向上するため、次のようにして道路の選択を行ってもよい。すなわち、表示した道路地図上から1のリンクIDに対応する道路をブリンク表示(点滅表示)し、十字カーソル等から別の近接道路への移動指示が入力された場合には、ブリンク表示する道路を、現在ブリンク表示している道路のから別の近接道路に変更する。そして、操作スイッチ群22等から道路選択指示が入力された際に、ブリンク表示している道路を選択するようにする。また、これ以外にもリンクを特定できれば、どのような方法で選択を行うようにしてもよい。さらに1の道路(リンク)中の所定の範囲(リンクの途中)を選択できるようにしてもよい。この場合には、その範囲情報も選択データに含めるようにすればよい。これにより、例えば出発地点や目的地点が道路(1リンク)の途中にある場合に、より細かい選択が可能となる。
【0038】
また上記実施例では、外部記憶装置25から道路データを読み出すこととしたが、例えば、携帯電話32を介してインターネット等に接続し、外部の情報サーバ等から道路データを入力するようにしてもよい。
また上記実施例では、道路がリンクIDで特定されることとして説明したが、どのような情報で特定してもよい。例えば、ナビゲーション装置1a,1bにおいて、地図データが所定のメッシュ単位で区分されて記憶されており、そのメッシュ毎にそれぞれのリンクに固有のリンクIDが付与されている構成の場合には、ユーザAの送信データとして上記説明のリンクIDの代わりにメッシュ番号とリンクIDの組を用いればよい。すなわち図5の選択データ種別として、メッシュ番号とリンクIDの組を用いる。ユーザBのナビゲーション装置1bでは、このメッシュ番号とリンクIDの組を用いて他の受信データ(図5に示すデータ)に基づき地図表示中に強調表示させればよい。
【0039】
上記実施例によれば図5に示す情報に基づき双方の表示装置の画面を同一にすることができるが、必ずしも表示画面を完全に一致させなくてもよい。すなわち、例えばユーザB側のナビゲーション装置1bで受信した図5の情報のうち選択データ種別のみを用いて表示を行ってもよい。また例えばユーザA側のナビゲーション装置1aで図5に示した情報のうち選択データ種別のみを送るようにしてもよい。このように選択データ種別のみを利用する場合には、ナビゲーション装置1bは既定の設定に基づき地図を表示し、受信した選択データ種別に基づくリンクだけを強調表示させればよい。このようにすれば、地図の表示態様は同一とならなくてもユーザAの選択したリンクをユーザBは判別することができる。このような構成によれば、図5のすべての情報のデータ形式を統一するのが困難な異機種間のユーザ同士であっても、意志疎通を図ることができる。
【0040】
また、必ずしも受信した選択データの表示属性通りに表示を行う必要はない。例えば、表示属性の既定値をユーザが設定できるナビゲーション装置や異なる機種のナビゲーション装置では、受信した表示属性がすでに既定値として通常の地図表示に利用されている場合がある。このような場合には、受信した表示属性と既定値とが同一か否かを判定し、同一の場合には異なる色、大きさ、線種等に変更して強調表示するようにしてもよい。
【0041】
なお、本実施例において、外部記憶装置25及びその読取対象の記録媒体が道路データ記憶手段に相当し、表示装置26及び制御回路30が表示手段に相当する。また、操作スイッチ群22及びリモコン23aが選択受け付け手段に相当し、制御回路30が選択手段に相当し、操作スイッチ群22、リモコン23a、表示部26及び制御回路30が手書きデータ入力手段に相当し、携帯電話接続装置24及び携帯電話32が送信手段及び受信手段に相当する。そして、制御回路30における経路計算処理が経路計算手段としての処理に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の地図表示装置としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置間での通信例を説明する図である。
【図3】道路の選択方法を説明する図である。
【図4】表示属性の選択画面と手書きデータの入力画面を説明する図である。
【図5】ナビゲーション装置間で通信される情報を説明する図である。
【符号の説明】
1,1a,1b…ナビゲーション装置
21…位置検出器 21a…GPS受信機
21b…ジャイロスコープ 21c…加速度センサ
21d…地磁気センサ 22…操作スイッチ群
23a…リモコン 23b…リモコンセンサ
24…携帯電話接続装置 25…外部記憶装置
26…表示装置 27…スピーカ
28…マイク 29…車両信号I/O
30…制御回路 32…携帯電話
42…非選択道路 44…選択道路
46…手書きデータ 48…選択カーソル
50…ポップアップメニュー 52…太さ選択メニュー
54…色選択メニュー 56…線種選択メニュー
58…手書き入力カーソル
Claims (7)
- 道路地図を表示するための道路データを記憶した道路データ記憶手段と、
前記道路データ記憶手段に記憶された道路データに基づいて道路地図を表示する表示手段とを備える地図表示装置であって、
前記表示手段に表示された道路地図から少なくとも1の道路を直接選択するための道路選択指示をユーザから受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段によって受け付けた道路選択指示に基づいて、選択された道路に対応する道路データを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された道路データに関する情報である選択データを他の地図表示装置に送信する送信手段と、
他の地図表示装置から前記選択データを受信する受信手段とを備え、
前記表示手段は、前記選択受付手段によって道路選択指示を受け付けた場合には選択された道路を選択されていない道路と識別可能に表示し、前記受信手段によって選択データが受信された場合には該選択データに対応する前記道路データ記憶手段に記憶された道路データに基づく道路の前記表示手段への表示を他の道路と識別可能に表示すること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1に記載の地図表示装置において、
前記道路データは道路をリンクとして表現したデータであり、
前記選択データとして前記リンクを特定するリンクIDを用いること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記選択受付手段は、選択した道路の表示属性を選択するための表示属性選択指示をユーザから受け付け可能であり、
前記選択手段は、前記選択受付手段によって受け付けた表示属性選択指示に基づいて、選択した道路の前記表示手段への表示属性を指定可能であり、
前記選択データとして該表示属性に関する情報を含み、
前記表示手段は、前記選択データに前記表示属性に関する情報を含む場合には、前記対応する道路を該表示属性で表示すること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の地図表示装置において、
前記送信手段は、前記表示手段に表示された地図の表示状態を示す地図表示情報を送信し、
前記受信手段は、前記地図表示情報を受信し、
前記表示手段は、前記地図表示情報に基づいて前記道路地図を表示すること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の地図表示装置において、
さらに、前記表示手段に表示した道路地図上にユーザの操作に応じて手書きされたデータを入力するための手書きデータ入力手段を備え、
前記送信手段は、前記手書きデータ入力手段から入力された手書きデータを送信し、
前記受信手段は、前記手書きデータを受信し、
前記表示手段は、前記受信手段によって受信された手書きデータを表示すること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の地図表示装置において、
さらに地図データ記憶手段に記憶された地図データに基づいて目的地までの経路を求め、求めた経路を前記表示手段に表示するための経路計算手段を備え、
前記経路算出手段は、前記受信手段によって受信された選択データに係る道路を経路に含めることを前提として目的地までの経路を求めること
を特徴とする地図表示装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の地図表示装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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