JP3742734B2 - シート排出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート排出装置に関し、さらに詳しくは、排出される原稿あるいは記録紙等のシートを回収するトレイの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機あるいは複写機能とファクシミリ機能を複合させた複合機に用いられる原稿読み取り装置あるいはパソコンなどの周辺機器として用いられる原稿読み取り装置には、原稿載置台上の原稿に対して光学系部材を移動させて読み取り走査する構造に加えて光学系部材を固定し原稿を移動させて読み取り走査する構造を備えたものがある。
後者の構造は、主としてシート状原稿を対象とするものであり、一枚ずつ分離された原稿が原稿トレイから繰り出され、給送される過程で光学系部材に対面して読み取り走査された後、原稿を排紙トレイ上に排出するようになっている。
【0003】
図5は、上記原稿読み取り装置の一例を示す模式図であり、同図において読み取り装置1は、光学系部材を内蔵している筐体1Aの上面に原稿載置台2が設けられていると共に、原稿載置台の近傍に配置されているヒンジ結合部材3に有する支軸3Aによってヒンジ結合されている開閉蓋4を備えている。
開閉蓋4は、原稿載置台2上に載置された原稿に対する圧板として設けられていると共に、内部にシート状原稿の給送構造を備えている。
シート原稿の給送構造は、原稿トレイ5と、排紙トレイ6とこれら両方のトレイ間で筐体1A内のホームポジションに位置している光学系部材のうちの光源1A1及び反射鏡1A2を有するキャリッジと対面させる方向に移動させながら給送する透明ガラス製のシリンダ7とを主要部として備えている。
【0004】
原稿トレイ5上に積載されたシート状原稿は、繰り出しローラ8によって繰り出されるとその前方に配置されている分離ローラ対8A、8Bによって一枚毎に分離されて給送され、透明ガラス製シリンダ7によって給送路を反転されてホームポジションに位置する光源1A1及び反射鏡1A2を備えたキャリッジと対峙して読み取り走査される。
読み取り走査後のシート状原稿はシリンダ7から排紙トレイ6との間の給送路に設けられている複数の給送ローラ9および排紙ローラ9Aによって排紙トレイ6に向け排出される。
【0005】
排紙トレイ6には、シート状原稿の排出方向前側端縁を衝止するためのストッパ10が設けられており、このストッパ10によって排出方向前側端縁を衝止されたシート状原稿は、排紙トレイ6上に落下して積載される。なお、図5中、符号1Bは結像レンズを、符号1Cは読み取り素子をそれぞれ示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
開閉蓋4に排紙トレイ6を設けた上記原稿読み取り装置においては、排紙トレイのサイズが筐体からはみ出ないようにしてある関係上、そのサイズ以上のシート原稿の排出に対処するために、排紙トレイを開閉蓋に対して摺動可能に設け、シート状原稿の排出方向に引き出すことが行われる。
しかし、排紙トレイ全体を引き出す構造とするのは部品コストの上昇や引き出しのための操作力が過大となるなどの点で好ましくないので、排紙トレイの一部を他の部分と分離して引き出せる引き出し片を設けた構造が用いられる。
【0007】
排紙トレイの一部を他の部分から引き出し片を引き出して排紙トレイ以上の大きいサイズのシート原稿を載置できるようにした場合、引き出されている引き出し片に負荷が掛かると曲げ応力の限界値を超えて破損してしまう虞がある。このような場合としては、ユーザが引き出されている排紙トレイの一部の先端に手が触れて負荷を作用させた場合がある。
【0008】
一方、引き出し片には、シート状原稿の排出方向前側端縁にシート状原稿を受け止めるための係止片が設けられており、この係止片がストッパとして機能するようになっている。しかし、近年では、読み取り速度を上げるためにシート状原稿の排出速度も速くなってきており、このため、排紙トレイに向け排出されるシート状原稿の移動速度も高速であることが多い。従って、引き出し片と同一材質により構成されている係止片に対して排出されたシート状原稿が突き当たると衝突音が生じる。この結果、排出されるシート状原稿が多いと衝突音も多くなり、これが原稿読み取り装置の使用環境での騒音の原因となる。
【0009】
また、係止片の位置は排出されるシート状原稿のサイズに応じて適正な位置に位置決めされ、排出されたシート状原稿の端縁を揃えて取り出しの際の揃え直しなどの操作をなくすことが読み取り作業に用いる装置の使い勝手をよくする意味で好ましく、このための構造も望まれている。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の原稿読み取り装置、特にシートの排出方向に沿って摺動可能に設けられている一部を備えた排紙トレイにおける問題に鑑み、引き出された状態での破損及び騒音の発生をそれぞれ防止するとともに使い勝手のよい排紙トレイを備えたシート排出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シートを回収するトレイを備えたシート排出装置であって、上記トレイの一部において上記シートの排出方向に沿って摺動可能かつ挿入可能に設けられ、排出方向前側に向けて摺動されることで上記トレイのシート受け長さを延長可能であり、その延長方向一端に直立する衝止片およびこの衝止片における上記シート先端が突き当たる面に緩衝部材を備えたストッパ部材と、上記トレイにおける上記ストッパ部材の摺動部に形成されている溝部とを備え、上記ストッパ部材は、反転させた状態で上記溝部に挿入されることで長さの異なるシートに応じてシートの排出方向先端を衝止して整合させる構成とされ、上記トレイにおける上記ストッパ部材の摺動位置には、上記ストッパの反転状態及び反転しない正規状態のそれぞれにおいて該ストッパ部材の衝止片の位置決めを行う複数の位置決め部が設けられていることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施例により本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、図5に示した開閉蓋における排紙トレイ(便宜上、図5に示した符号6を用いる)の一部を示す斜視図であり、同図において排紙トレイ6の一部、実施例では、矢印Fで示すシートの排出方向と直角方向に相当するシートの幅方向中央部には、排出方向に沿って溝部6Aが形成されている。溝部6Aは、断面形状が略C形状とされ、上縁部が対向する方向に突出している。
【0019】
溝部6Aには、ストッパ部材11が摺動可能に挿入されている。
ストッパ部材11は、断面形状が下向きのT字状とされて溝部6A内に嵌合することができるようになっており、溝部6A内でシートの排出方向に摺動することができる。
ストッパ部材11は、溝部6Aの長さと同じ延長長さを有し、その延長方向一端には上方、つまり排紙トレイ6のシート載置面側に向け直立する衝止片11Aが設けられている。
【0020】
衝止片11Aの表裏両面には複数のリブ11Bが形成され、排出されたシートの排出方向前端縁が突き当たるようになっている。
【0021】
本実施例は以上のような構成であるから、排紙トレイ6の排出方向の長さ以上の長差を有するシートが排出される場合には、図1(A)に示すように、衝止片11Aが排出方向前側に位置する状態でストッパ部材11を溝部6A内に挿入して引き出す方向に摺動させ、衝止片11Aの位置を排出されるシートの排出方向前端縁の位置に位置決めする。
【0022】
一方、排紙トレイ6の排出方向の長さよりも極端に短いシートが排出される場合には、図1中(B)で示すように、ストッパ部材11を排出方向で反転させて溝部6A内に挿入し、衝止片11Aの位置を排出されるシートの排出方向前端縁の位置に位置決めする。
【0023】
本実施例によれば、排紙トレイ6の既製サイズに対して排出方向の長さが長いシートを収容する場合と上記排出方向の長さが短いシートを収容する場合とのいずれにおいても排出されるシートの排出方向前側端縁をストッパ部材11の態位設定、つまり、衝止片11Aを排出方向前側に位置させたり、排出方向最前位置よりも後方に位置させてシートの排出方向前側端縁を衝止して整合させることができる。これにより、排出されたシートが排紙トレイ6上で乱雑に積載されるのを防止して排出後の取り出し時に端縁揃えなどの後処理を行わなくて済む。
【0024】
上記実施例においては、ストッパ部材11の衝止片11Aの表裏各面にリブが11Bが形成され、そのリブ11Bにシートの先端が衝止されるようになっているが、この表裏各面にシートの先端が突き当たる際に発生する衝突音を防止する構成を備えることも可能である。
図2は上記構成を示す部分的な模式的平面図であり、同図において、ストッパ部材11の衝止片11Aの表裏各面にはスポンジ材などの弾性を有する素材を用いた緩衝部材12が貼付されて設けられている。
このような構成により、排出されるシート(図2中、符号Sで示す)は、その排出方向前側端縁が衝止片11Aに達すると、緩衝部材12に突き当たることで衝撃が吸収されるので、衝突音の発生が防止される。なお、図2においては、リブ11Bを設けた構成を前提として緩衝部材12を設けているが、リブ11Bを設けないで平坦面とした衝止片11Aに緩衝部材12を設けることもちろん可能である。
【0025】
本実施例では、緩衝部材12を用いて排出されるシートのサイズ選択を行うことができるようになっている。この場合にサイズ選択とは、衝止片21Aの位置を排出されるシートの排出方向前側端縁に対応する位置に位置決めすることを意味し、これにより、衝止片11Aに排出方向前側端縁が衝止されるシートの端縁を揃えるようになっている。
図3は上記構成を説明するための排紙トレイ6の部分的な模式的平面図であり、同図において、ストッパ部材11の衝止片11Aにおける表裏各面に貼付されている緩衝部材12A及び12Bは、異なる色の素材が用いられている(図3では、色の違いを斜線方向の違いにより示してある)。
【0026】
排紙トレイ6に有する溝部6Aには、その一方側に延長方向に沿って排出されるシートの排出方向前側端縁の位置を表示するサイズ表示部が複数設けられている。
サイズ表示部は、ストッパ部材11が反転状態で用いられる場合(図1(B)に示す状態)と正規状態で用いられる場合(図1(A)で示す状態)とで異なる表示方法が採用されている。
つまり、反転状態で用いられる場合としては、排出方向を長手方向とするハガキやハガキの排出方向に沿った長手方向の長さを略同じとなる排出態位にあるシート(この場合には、B5版のシート原稿をその長手方向が排出方向と直角な方向となる状態で)排出する場合(以下、小サイズ排出態位という)を対象とするときである。この場合には、溝部20Aの幅方向一方側にハガキの表示部(便宜上、符号H1で示す)および小サイズ排出態位(便宜上、符号H2で示す)として、反転状態にあるストッパ部材21においてハガキの排出方向前側端縁と対向する面の緩衝部材12Aと同じ色のライン表示(図3において緩衝部材12Aと同じ方向の斜線により示す)がなされている。
【0027】
一方、ハガキや小サイズ排出態位以外を対象とする場合には、ストッパ部材11の反転状態および正規状態に係わらず、ストッパ部材11の衝止片11Aにおける緩衝部材12Bと同じ色のライン表示(図3において緩衝部材12Bと同じ方向の斜線で示す)が用いられている。
【0028】
このような構成により、ストッパ部材11の態位を選択することで排出されるシートの排出方向の長さに対応してストッパ部材11を位置決めすることになるが、ハガキや小サイズ排出態位以外を対象とする場合には正規状態あるいは反転状態のいずれにおいても緩衝部材12Bとこれと同じ色のライン表示のうちから排出されるシートのサイズに対応した位置を選択してストッパ部材11の衝止片11Aを位置決めする。
【0029】
ハガキや小サイズ排出態位の場合には、ストッパ部材11を反転して緩衝部材12Aの色と同じ色のサイズ表示部のなかからそのサイズに対応できる位置に衝止片11Aを位置決めする。
【0030】
このような構成によれば、緩衝部材12A、12Bの色とライン表示の色とを識別したうえで排出されるシートのサイズに対応したライン表示を選択して衝止片11Aを位置決めするだけで排出されるシートの排出方向前側端縁の整合を行えるようにすることができる。
【0031】
ところで、正規状態(図1(A)に示す状態)にあるストッパ部材11は、排紙トレイ6におけるシート排出方向前側に対応する端縁から突出するように引き出されて位置決めされる場合がある。つまり、図4は、この状態を示しており、この状態では、ストッパ部材11におけるシートの排出方向(符号Fで示す方向)後側に対応する後端縁(便宜上、符号11Eで示す)を排出される最大サイズのライン表示に対応させている。このため、ストッパ部材11は、溝部6A内での摺動量が最大となり、衝止片11Aが位置するシート排出方向前側に対応する前端縁にユーザの手が触れたりした場合には、その位置に曲げ応力の許容値以上の負荷が作用する虞があり、これによって、ストッパ部材11が折損してしまうことがある。
本実施例では、このような不具合の発生を防止するための構成が設けられている。
図4において、溝部6Aの底面には警告表示部13が設けられている。
警告表示部13の位置は、ストッパ部材11が最大摺動量を以て引き出された状態のとき、ストッパ部材11における後端縁11Eから外れた位置に相当させてある。
警告表示部13は、最大量の引き出しが行われた状態のストッパ部材11におけるシート排出方向(符号Fで示す方向)前側に対応する前端縁、つまり、衝止片11Aが位置する端縁に手を触れてはいけないという意味の絵表示をシール材などに設け、このシール材を貼付することで設けられている。
【0032】
このような構成によれば、図中、二点鎖線で示すように、溝部6A内で最大引き出し量にない位置に後端縁(便宜上、符号11E1で示す)が位置している状態から最大量を以てストッパ部材11が引き出された場合には、後端縁11Eの近傍に警告表示部13が外部に露呈する。これにより、ユーザに対して表示内容を認識させることができるので、不用意にストッパ部材11に対する負荷を作用させないように注意を喚起することができる。
【0033】
なお、上記実施例においてはシート状原稿を収容することができる排紙トレイを対象として例示したが、本発明はこのようなトレイに限らず、画像転写あるいは印字された記録用紙などを対象とする排紙トレイにも適用することが可能である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、トレイの一部においてシートの排出方向に沿って摺動可能及び挿入可能であり、延長方向一端に直立する衝止片およびこの衝止片における上記シート先端が突き当たる面に緩衝部材を備えているので、反転させてトレイに挿入するだけで異なるサイズのシートの受け入れが可能となり、さらには、シートの先端が衝止片に突き当たった際にもその先端に対向する面緩衝部材が設けてあるので衝突音を効率よく緩和させることが可能となるとともに、上記トレイにおける上記ストッパ部材の摺動位置には、上記ストッパの反転状態及び反転しない正規状態のそれぞれにおいて該ストッパ部材の衝止片の位置決めを行う複数の位置決め部が設けられているので、反転した場合及び反転しない正規の状態のいずれによっても受け入れるシートサイズを確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための一実施例である排紙トレイの一部を示す図であり、(A)は排紙トレイに装備されるストッパ部材の正規状態を、(B)はストッパ部材の反転状態をそれぞれ示している。。
【図2】図1に示したストッパ部材に有する衝止片に装備される緩衝部材の構成を示す平面図である。
【図3】図1に示したストッパ部材の一使用態位を示す平面図である。
【図4】図2に示したストッパ部材の他の使用態位を示す平面図である。
【図5】原稿読み取り装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 トレイを装備した装置の一つである原稿読み取り装置
6 排紙トレイ
6A 溝部
11 ストッパ部材
11A 衝止片
11E シート排出方向後側に対応する後端縁
12、12A、12B 緩衝部材
13 警告表示部
H1、H2 サイズ表示部
Claims (1)
- シートを回収するトレイを備えたシート排出装置であって、
上記トレイの一部において上記シートの排出方向に沿って摺動可能かつ挿入可能に設けられ、排出方向前側に向けて摺動されることで上記トレイのシート受け長さを延長可能であり、その延長方向一端に直立する衝止片およびこの衝止片における上記シート先端が突き当たる面に緩衝部材を備えたストッパ部材と、
上記トレイにおける上記ストッパ部材の摺動部に形成されている溝部とを備え、
上記ストッパ部材は、反転させた状態で上記溝部に挿入されることで長さの異なるシートに応じてシートの排出方向先端を衝止して整合させる構成とされ、
上記トレイにおける上記ストッパ部材の摺動位置には、上記ストッパの反転状態及び反転しない正規状態のそれぞれにおいて該ストッパ部材の衝止片の位置決めを行う複数の位置決め部が設けられていることを特徴とするシート排出装置
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