JP3742464B2 - プレパラート用封入剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば病理組織検査の為の病理組織標本作製過程等に於いて使用されるプレパラート用封入剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病理組織標本作成過程に於いて、スライドグラス上にカバーグラスを用いて試料を封入してプレパラートを作成する際の封入剤(以下、単にプレパラート用封入剤と略記する。)としては、従来ポリアクリル酸ポリマーやポリスチレン、エポキシ樹脂等の高分子ポリマーをトルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤に溶解させたものが使用されてきた。
【0003】
また、従来使用されてきた封入剤には、次のような問題点があった。
即ち、(1)封入時の封入剤の伸びが悪く、封入装着性が劣る、(2)封入後の耐ひび割れ性が悪く、保存安定性に劣る、(3)封入時の希釈溶剤がトルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤に限定されていたので、これらの芳香族系有機溶剤は防災上の問題もさることながら人体に対しても種々の毒性を有するため職場環境汚染と言う点からもその使用に問題がある、等の問題点があった。
【0004】
なお、従来の封入操作方法は、例えば下記の通りであった。
(1)スライドグラスを希釈溶剤に浸漬するか、又は封入剤を希釈溶剤で希釈する。
(2)ろ紙上にスライドグラスを置いて傾けたり、ろ紙やガーゼ等で、スライドグラス上の余分な溶剤を取り除く。
(3)適当な棒を封入剤に浸漬し、封入剤をカバーグラスに一本筋を引く様に塗布する。
(4)カバーグラスの端から徐々にかぶせる様に、スライドグラス上の試料(例えば、透徹した病理組織切片等)に乗せる。かぶせる時にピンセットで上部を押す。
(5)45〜50℃に温めたホットプレート上にプレパラートを置き、溶剤を蒸発させて、カバーグラスを固定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した如き状況に鑑みなされたもので、装着性等の封入効率が向上し、封入後の耐ひび割れ性が良好で、従来のトルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤の代わりに、安全性と無公害性を兼ね備えたモノテルペン化合物を使用することのできる新規なプレパラート用封入剤の提供をその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、二重結合が1以下のモノテルペン化合物及び芳香環を有するモノテルペン化合物から成る群より選ばれた少なくとも1種類のモノテルペン化合物と熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂を含んで成る、プレパラート用封入剤、の発明である。
【0007】
本発明で使用される、二重結合が1以下のモノテルペン化合物(即ち、炭素数が10のテルペン化合物)及び芳香環を有するモノテルペン化合物とは、例えばテルペン系炭化水素、テルペンオキシド、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン、芳香環を有するテルペン系炭化水素等を言う。
【0008】
これらは主として北米や中国本土に産するアカマツ、クロマツの立木から採取した生松脂を水蒸気蒸留して得られる精油、パルプ工業で副生する精油、あるいはオレンジの皮から抽出される精油またはこれらの精油から異性化反応等により誘導された化合物である。
【0009】
これらの化合物は、前記プレパラートの固着固定剤として用いられる熱可塑性エラストマー及び粘着付与樹脂の溶剤として働く。
【0010】
本発明で用いられる、二重結合が1以下のテルペン系炭化水素の具体例としては、例えばα−ピネン、β−ピネン、カンフェン、2−カレン、3−カレン、サビネン、サビナン、ピナン、p−メンタン、1−p−メンテン、2−p−メンテン、3−p−メンテン、カラン等が挙げられ、二重結合が1以下のテルペンオキシドの具体例としては、例えば1,4−シネオール、1,8−シネオール、ピノール等が挙げられ、二重結合が1以下のテルペンアルコールの具体例としては、例えばシトロネロール、テルピネオール、ツイルアルコール、ボルネオール等が挙げられ、二重結合が1以下のテルペンアルデヒドの具体例としては、例えば、シトロネラール、フェランドラール等が挙げられ、二重結合が1以下のテルペンケトンの具体例としては、例えば、メントン、ツヨン、カロン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
また、芳香環を有するテルペン系炭化水素の具体例としては、例えば、p−シメン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明のプレパラート用封入剤に於ける、モノテルペン化合物の添加量としては、封入剤中の濃度として、通常20〜99重量%、好ましくは30〜85重量%である。
【0013】
これらのテルペン化合物が20重量%未満の場合には組み合わせるその他のものによっても異なるが、粘度が高すぎて封入操作時にスライドグラスがベタつく等の作業効率の悪化を生じることがあり、また99重量%以上であると、粘度が低すぎることがある。
【0014】
本発明で使用される熱可塑性エラストマーとしては、例えば、例えばSIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレンープロピレンースチレンブロック共重合体)、SBS(スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレンーエチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体、例えばシェル化学(株)のクレイトンG1650等)等のスチレン系エラストマー、例えばAPP(アタクティックポリプロピレン)、APAO(アモルファスポリα−オレフィン)等のオレフィン系エラストマー、例えばスミフレックス(住友ベークライト(株)商品名)、EZ800シリーズ(信越化学(株)商品名)等の塩ビ系エラストマー、例えばエラストラン(日本エラストラン(株)商品名)、パラプレン(日本ポリウレタン(株)商品名)等のウレタン系エラストマー、例えばペルプレン(東洋紡(株)商品名)、ハイトレノン(昭和ネオプレン(株)商品名)等のエステル系エラストマー等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらエラストマーは単独で用いても、適宜2種以上ブレンドして用いても何れにても良い。尚、本発明の封入剤の他の成分との相溶性を考慮すると、これらの中でもスチレン系エラストマーが好ましい。
【0015】
本発明のプレパラート用封入剤に於ける熱可塑性エラストマーの含有量は、封入剤中の濃度として通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。使用する熱可塑性エラスロマーの種類によっては、1重量%未満では、封入後の乾燥時に封入剤がひび割れを起こし、50重量%以上では、封入後の乾燥時に封入剤が収縮を起こして、共に検鏡し難くなる場合がある。
【0016】
本発明で使用される粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。
【0017】
ここで言うテルペン系樹脂とは、テルペン単量体を重合したもの、テルペンと他のモノマーを共重合させたもの及びこれらの重合体を水素添加したものを言う。テルペン単量体の具体例としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン等が挙げられ、他のモノマーの具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等が挙げられる。
【0018】
テルペン系樹脂の製造方法としては、例えば、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下、テルペン単量体単独若しくは、テルペン単量体と他のモノマーを共重合して得られる。また、得られた重合体を水素化触媒の存在下H2 ガスで水素添加することにより、水添テルペン樹脂を得ることができる。
【0019】
この様にして得られたテルペン系樹脂は、例えば、ヤスハラケミカル(株)より“YSレジンPX”(テルペン樹脂)、“YSレジンTO”(芳香族変性テルペン樹脂)、“YSレジンTR”(芳香族変性テルペン樹脂)、“クリアロン”(水添テルペン樹脂)、“YSポリスター”(テルペンフェノール樹脂)、“マイティエース”(テルペンフェノール樹脂)の商品名で市販されており、容易に入手できる。特に望ましいテルペン樹脂としては、封入時の透明性の点で優れている水添テルペン樹脂である。
【0020】
ロジン系樹脂とは、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル、重合ロジン及びこれらを水素添加したもの等が挙げられる。
【0021】
石油系樹脂とは、例えば、C5系、C9系、C5/C9混合系、スチレン系及びこれらの重合体を水素添加したもの等が挙げられる。
【0022】
石炭系樹脂とは、例えば、クマロン系等が挙げられる。
【0023】
フェノール系樹脂とは、例えば、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0024】
キシレン系樹脂とは、例えば、ニカノール(三菱ガス化学(株)商品名)等が挙げられる。
【0025】
これら粘着付与樹脂は単独で用いても、適宜2種類以上を混合して用いることもできる。尚、粘着物性(タック、粘着力、保持力)のバランスを考慮すると、これらの中でもテルペン系樹脂が特に好ましい。
【0026】
本発明のプレパラート用封入剤に於ける粘着付与樹脂の含有量は、封入剤中の濃度として通常1〜70重量%、好ましくは10〜40重量%である。尚、1重量%未満では、封入後の乾燥時に封入剤が収縮を起こす場合があり、また、70重量%以上では、封入後の乾燥時に封入剤がひび割れを起こす場合があるので好ましくない。
【0027】
本発明の封入剤に使用される熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂は、カバーグラスとスライドグラスを固着固定させる働きを有し、どちらか一方でも欠けると有効な性能を発揮しない。
【0028】
本発明に係わるプレパラート用封入剤の更に好ましい様態の一つとして、上記の如きモノテルペン化合物と熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂の他に、封入剤の保存安定性や封入後のプレパラートの保存安定性等を向上させる目的で酸化防止剤や紫外線吸収剤等の添加剤を加えたものが挙げられる。
【0029】
このような目的で使用される酸化防止剤としては、例えば2(3)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2´−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、例えばジラウリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、例えばトリフェニルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら酸化防止剤の本発明のプレパラート用封入剤に於ける含有量は、封入剤中の濃度として通常0.001〜2重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0030】
また、紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリチレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、例えば2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3´−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら紫外線吸収剤の本発明のプレパラート用封入剤に於ける含有量は、封入剤中の濃度として通常0.001〜2重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0031】
尚、これら酸化防止剤や紫外線吸収剤は、単独で用いても良いし、適宜2種以上組み合わせて用いても良い。
【0032】
本発明のプレパラート用封入剤は、二重結合が1以下のモノテルペン化合物及び芳香環を有するモノテルペン化合物から成る群より選ばれた少なくとも1種類のモノテルペン化合物と熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂とを、更に要すれば酸化防止剤や紫外線吸収剤とを、通常の方法により単に混合溶解することにより容易に調製し得る。
【0033】
このようにして製造された本発明のプレパラート用封入剤は、例えば下記の如くして用いられるが、本発明のプレパラート用封入剤は、乾燥性、相溶性、装着性、耐ひび割れ性等に優れている。即ち、乾燥性とは溶剤の揮発性が良いこと、相溶性とは封入時の溶剤と封入剤との相溶性及び封入剤の伸びが良いこと、装着性とは揮発、乾燥後のカバーグラスとスライドグラスとの固定性を示し、耐ひび割れ性とは、装着後のひび割れを起こさないような長期保存安定性を示すが、これらの評価項目をクリアーすることが必要となる。本発明の封入剤は、従来のポリアクリル酸ポリマーと芳香族有機溶剤とから成る封入剤と同等の乾燥性を有し、相溶性、装着性、耐ひび割れ性はそれらより良好で、且つ芳香族有機溶剤を使用していないため、安全性に優れているのである。
【0034】
本発明のプレパラート用封入剤を用いたプレパラート作成の操作方法は、下記に示す如く従来の方法と同様の操作方法により行えばよく、本発明の封入剤を用いて病理組織標本作製を行う場合の標本の作製方法自体も公知の病理組織標本作製方法に準じてこれを行うことでこと足りるし、また、封入剤の使用方法も、ポリアクリル酸ポリマー等の封入剤を使用する場合のそれに準じて行うことでこと足りる。
具体的には、例えば下記に示す如き方法が挙げられる。
(1)スライドグラスを希釈溶剤に浸漬するか、又は封入剤を希釈溶剤で希釈する。
(2)ろ紙上にスライドグラスを置いて傾けたり、ろ紙やガーゼ等でスライドグラスの余分な溶剤を取り除く。
(3)適当な棒を封入剤に浸漬し、封入剤をカバーグラスに一本筋を引く様に塗布する。
(4)カバーグラスを、端から徐々にかぶせる様にスライドグラス上の試料(例えば、透徹した病理組織切片等)に乗せる。かぶせる時にピンセットで上部を軽く押す。
(5)45〜50℃に温めたホットプレート上にプレパラートを置き、溶剤を蒸発させて、カバーグラスを固定する。
【0035】
本発明の封入剤は病理用に限定されるものではなく、動植物の細胞組織や微生物あるいは有機無機を問わず微細な物質等幅広い試料について利用することができる。
【0036】
また、封入時に使用する希釈溶剤としては、従来のポリアクリル酸ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂等を使用する封入剤の場合には、トルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤を使用していたが、本発明の封入剤を使用する際には、安全性の高い上記した如きモノテルペン化合物や、モノテルペン化合物と、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系化合物又は例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族系化合物との混合溶媒、或いは上記した如き脂肪族系化合物又は脂環族系化合物そのものを使用することが出来る。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に実地例を挙げるが、本発明はこれにより何ら制約を受けるものではない。
実施例1.
クリアロンP−85(ヤスハラケミカル(株)製;水添テルペン樹脂)22.2部、クレイトンG1650(シェル化学(株)製;SEBS)4.8g、p−メンタン43.0g、α−ピネン30.0g、BHA−wako(和光純薬工業(株)製;酸化防止剤)0.1gを200mlのビーカーにとり、30℃の熱をかけながら約3時間攪拌、溶解し、プレパラート用封入剤100gを得た。
【0038】
作製した封入剤を用いて、下記のフローに従って病理組織標本の作製を行った。
(1)病理組織の切り出し→(2)ホルマリン固定→(3)アルコール脱水→(4)脱アルコール(溶剤置換:α−ピネン/β−ピネン=70重量%/30重量%)→(5)パラフィン包理→(6)パラフィンブロック作成→(7)パラフィン切片(2〜3ミクロンに薄切する。)→(8)スライドグラス上にパラフィン切片を載せる→(9)脱パラフィン→(10)アルコール、水洗→(11)染色(HE染色またはABC染色等)→(12)透徹(染色した病理切片の透明性を良くするため、染色したスライド切片をアルコールと中間剤で数回洗浄する操作)→(13)封入(永久プレパラート作成のため、透徹した切片を中間剤に溶解した封入剤とカバーグラスでスライドグラス上に封入する。)→(14)検鏡
【0039】
なお、上記(13)の封入操作を更に詳細に説明する。
スライドグラスを希釈溶剤(α−ピネン/β−ピネン=70重量%/30重量%)に浸漬し、濾紙上にスライドグラスを置いて傾けたり、濾紙やガーゼ等でスライドグラスの余分な混合液を取り除く。適当な棒を上記で調製した封入剤に浸漬し、封入剤をカバーグラスに一本筋を引くように塗布する。カバーグラスの端から徐々にかぶせる様に、カバーグラスをスライドグラス上の透徹した切片に乗せる。その際、ピンセットでカバーグラス上部を軽く押す。
次に、45〜50℃に温めたホットプレート上にプレパラートを置き、溶剤を蒸発させて、カバーグラスを固定する。
【0040】
また、得られた封入剤の粘度測定結果を表4に示す。粘度測定の際には(株)東京計器のBM型粘度計を使用し、20℃で測定した。
封入時に置ける乾燥性、相溶性、装着性、耐ひび割れ性についての評価結果を表4に併せて示す。尚、乾燥性、相溶性、装着性、耐ひび割れ性の評価は以下のように行った。
・乾燥性
乾燥性は、封入後、45〜50℃に温めたホットプレート上で、溶剤を蒸発させた際に、溶剤の蒸発状態を目視にて評価した。即時に蒸発したのが優とし、あまり蒸発しないのを不良とした。その中間を良、可とした。
・相溶性
相溶性は封入時に使用する溶剤(α−ピネン/β−ピネン=70重量%/30重量%)と封入剤との伸びを目視にて評価した。即時に溶剤と封入剤とが混ざり合い、伸びがよいものを優とし、混ざり合わず、伸びが悪いものを不良とした。その中間を良、可とした。
・装着性
装着性は、封入後、溶剤を蒸発させて乾燥した後、カバーグラスとスライドグラスの固定性を評価した。カバーグラスを動かしても全く移動しないものを優、移動するものを不良とした。その中間を良、可とした。
・耐ひび割れ性
耐ひび割れ性は、標本作成後、30日後の封入剤の状態を目視にて評価した。透明性良好で、封入時と全く変化しないものを優とし、着色が明らかでひび割れしているものを不良とした。その中間を良、可とした。
【0041】
実施例2〜5.
表1〜3に示す如き組成のプレパラート用封入剤を実施例1と同様にして作製した。
また、これらプレパラート用封入剤の粘度、封入時に置ける乾燥性、相溶性、装着性、耐ひび割れ性についての評価を実施例1と同様にして行った。評価結果を表4に併せて示す。
【0042】
比較例1.
比較のために、表3の如き組成の従来のアクリルポリマーとキシレンとから成るプレパラート用封入剤を作製し、その粘度、封入時に置ける乾燥性、相溶性、装着性、耐ひび割れ性についての評価を実施例1と同様にして行った。評価結果を表4に併せて示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003742464
【0044】
【表2】
Figure 0003742464
【0045】
【表3】
Figure 0003742464
【0046】
【表4】
Figure 0003742464
【0047】
(結果)
表4の結果から、本発明のプレパラート用封入剤は、比較例1の従来の封入剤に比較して、病理組織検査用封入剤として下記の如き優れた特性を有していることが判る。
(1)封入後の乾燥性良好(ポリアクリル酸ポリマーと芳香族系有機溶剤を含む封入剤と同程度)。
(2)封入時、封入剤の相溶性良好。気泡の入りも少ない。
(3)封入後の装着性良好。
(4)封入後の耐ひび割れ性良好。
(5)研究室内の臭気は殆ど気にならない程度(ポリアクリル酸ポリマー等の高分子ポリマー及び芳香族系有機溶剤を含む封入剤の場合は揮発成分が目、鼻、喉を刺激する。)
(6)手に触れてもポリアクリル酸ポリマーと芳香族系有機溶剤を含む封入剤と異なり、皮膚を刺す様な痛みが全くない。
【0048】
【発明の効果】
本発明の封入剤は、従来のポリアクリル酸ポリマーやポリスチレン、エポキシ樹脂等の高分子ポリマー及び芳香族系有機溶剤を含む封入剤と同等の乾燥性を有し、またそれらと比べて相溶性、装着性及び耐ひび割れ性が良好であり、また、封入剤組成物の溶剤として、従来のトルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤を使用せず、モノテルペン化合物を使用するため、安全性と無公害性を兼ね備えているので、斯業に貢献するところ大なる発明である。

Claims (5)

  1. 二重結合が1以下のモノテルペン化合物及び芳香環を有するモノテルペン化合物から成る群より選ばれた少なくとも1種類のモノテルペン化合物と、熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂を含んで成る、プレパラート用封入剤。
  2. 粘着付与樹脂が、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂のいずれかである、請求項1に記載のプレパラート用封入剤。
  3. 熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー及びエステル系エラストマーのいずれかである、請求項1に記載のプレパラート用封入剤。
  4. モノテルペン化合物の添加量が、20〜99重量%である請求項1に記載のプレパラート用封入剤。
  5. モノテルペン化合物が、テルペン系炭化水素、テルペンオキシド、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン及び芳香環を有するテルペン系炭化水素のいずれかである請求項1に記載のプレパラート用封入剤。
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