JPH0678508B2 - ホツトメルト接着剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、紙おむつや衛生ナプキン等の衛生材料に用い
て特に好適なホットメルト接着剤組成物に関する。

（従来の技術） ホットメルト接着剤は幅広い用途に用いられているが、
例えば紙おむつや衛生ナプキン等の衛生材料に用いる場
合は、良好な美観・風合いを備えた衛生材料を得るため
に次のような特性が要求される。

即ち、実質的に白色もしくは無色であり無臭であるこ
と、多くの衛生材料に用いられるポリエチレンフイルム
と織布もしくは不織布に対する接着性が高いこと、低温
領域における塗布作業性が良いこと（溶融塗布時に衛生
材料の物性低下等の悪影響を及ぼさない程度の低温領域
においても溶融流れが良いこと）加熱による色相、粘度
等の変化が少ないこと、更に、細いビード（紐状体）の
形で塗布・接着することが多いので凝集力が大であるこ
と等の特性が要求される。特に近年、無色（白色）で経
時による着色が無く且つ異臭の無い接着剤の出現が期待
されている。

従来、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−イソ
プレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック共重合体等の所謂ベース樹脂
と、粘着性付与樹脂及び可塑化オイルとからる衛生材料
用ホットメルト接着剤が知られている。

しかし、衛生材料用に要求される上記諸特性をバランス
よく満足し、しかも実用上重要な特性であるオープンタ
イムが長いホットメルト接着剤は知られていない。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上記衛生材料用ホットメルト接着剤に要求さ
れる諸特性（特に、無臭かつ無色もしくは白色であるこ
と）を実質的に全て満足するホットメルト接着剤組成物
を提供することを目的とする。

更に本発明は実用上の意義の大きいオープンタイムの長
いホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 本発明ホットメルト接着剤組成物は、（ａ）スチレン−
エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体５〜25
重量％、（ｂ）水添された芳香族系石油樹脂、水添され
た脂肪族系石油樹脂及び水添されたテルペン系樹脂の内
の少くとも１種の粘着性付与樹脂55〜70重量％、及び
（ｃ）可塑化オイルが含有され、可塑化オイル中のパラ
フィン系成分とナフテン系成分の合計量が接着剤組成物
中の10〜40重量％であることを特徴とし、このことによ
り上記目的を達成し得る。

本発明に用いられるスチレン−エチレン−ブチレン−ス
チレンブロック共重合体（以下単にSEBSと略記する）
は、両端のスチレンポリマーブロックの中間に、エチレ
ン構造とブチレン構造とが混在してなる構造のもので、
例えば、ブタジエンポリマーブロックの両端にスチレン
ポリマーブロックが結合された構造を有するスチレン−
ブタジエン−スチレンSBS型ブロック共重合体のブタジ
エンポリマー部分に水素を添加して得ることが出来る。
この共重合体は硬質ブロックとしてのスチレン相と弾性
ブロックとしてのエチレン・ブチレン相との２相構造を
有し、通常、スチレン含有量が10〜40重量％で無臭かつ
無色もしくは白色のものが用いられる。

SEBSの配合量は、少な過ぎると耐熱（大気温度程度）接
着性に劣り、多過ぎると溶融粘度が高くなり塗布作業性
が悪いので本発明接着剤組成物中の５〜25重量％、好ま
しくは７〜20重量％、更に好ましくは７〜13重量％とさ
れる。

接着剤組成物のヌレや塗布作業性を良くするために添加
される粘着性付与樹脂としては、水添された芳香族系石
油樹脂、水添された脂肪族系石油樹脂及び水添されたテ
ルペン系樹脂の内の少くとも１種の水添された粘着性付
与樹脂が用いられる。これらは上記夫々の粘着性付与樹
脂に水素が添加された化学構造式を有するものである。
従って化学的に安定で経時による着色が無いが僅少であ
る。

粘着性付与樹脂（ｂ）は、無色もしくは白色で且つ実質
的に無臭である。特に水添された芳香族系石油樹脂がSE
BSとの相溶性にすぐれ、耐熱（大気温程度）接着性が優
れている点で好ましく用いられ、これは例えば荒川化学
工業（株）より「アルコンＰ、アルコンＭ」（商品名）
として入手出来る。粘着性付与樹脂（ｂ）の配合量は多
過ぎると組成物が脆くなりオープンタイムが短く、接着
性が乏しくなり、又少な過ぎると接着性に乏しくなるの
で、55％〜70重量％、好ましくは55〜65重量％とされ
る。又、これらは軟化温度が80〜130℃の範囲のものが
好ましく選択使用される。

更に本発明接着剤組成物には、溶融粘度の低下や柔軟性
の付与を目的として可塑化オイル（ｃ）が用いられる。
市販されている可塑化オイルには、パラフィン系成分、
ナフテン系成分、芳香族系成分が混合されている場合が
多いが、本発明においてはパラフィン系成分が多く且つ
芳香族系成分が少ないオイル（「流動パラフィン」或い
は「パラフィン系オイル」として市販されている）が特
に好ましく用いられる。所謂ナフテン系オイルも使用可
能であるが、ナフテン系成分の配合量が多過ぎると接着
剤組成物に着色や臭気を生ぜしめるのでパラフィン系オ
イルと併用するのが好ましい。芳香族系成分はSEBSのス
チレン相と相溶して耐熱接着力を低下せしめるので使用
量は極力少なくするのが好ましい。本発明における可塑
化オイルの配合量は、少な過ぎると粘度低下が困難で多
過ぎると接着力が低下するので、パラフィン系成分とナ
フテン系成分の合計量が接着剤組成物中の10〜40重量％
の割合とされる。

本発明接着剤組成物は上記SEBS（ａ）、粘着性付与樹脂
（ｂ）、可塑化オイル（ｃ）を必須成分とする他、柔軟
性・粘度・接着性の調整やコスト削減、熱安定性付与等
を目的として、従来公知のホットメルト接着剤に使用さ
れている樹脂類、添加剤が、本発明の目的を妨げない範
囲内において添加されてもよい。

その例としては、所謂SIS、SBS等の合成ゴム、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体等のエチレン共重合体、アタクチックポリプロ
ピレン、ベストプラスト（商標）等のオレフィン系樹
脂、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン等の軟化
剤、ワックス等の粘度調整剤、テルペン系樹脂、ロジン
エステル系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹
脂、脂肪族−芳香族共重合樹脂、低分子量スチレン系樹
脂、変性テルペン樹脂等が挙げられる。添加量は一般
に、白色もしくは無色透明なものは20重量％以下、着色
品は10重量％以下とされる。

又、必要に応じて、0.05〜２重量％程度の熱安定剤、特
にフェノール系熱安定剤や、蛍光除去・耐光性改善のた
めの紫外線吸収剤（一般に0.05〜２％、好ましくは0.1
〜0.5重量％）が添加される。

（実施例） 以下に本発明の実施例を示す。単に部とあるのは重量部
を示す。尚、各例における特性は次の測定方法により判
定した。

1.接着力 紙おむつに使用されるポリエチレンフイルムと不織布
を、本発明接着剤を用いて接着（100〜140℃でビード状
に塗布、0.05g/5cm）し、５℃及び20℃の雰囲気中に24
時間放置後、手で被着体を引き剥し、不織布が材破した
場合を○、他の場合を×で表示した。

2.粘度安定性 180℃に加熱溶融し、48時間同温度に維持したときの粘
度変化率（初期値と対比）を求め、±15％以内の場合を
○、他の場合を×とした。

3.オープンタイム 接着剤を塗布してから貼り合すまで放置可能な最長時間
を測定（ビード巾等により異なる）した。基準時間ｔよ
り長い場合を○とし、ｔの1/2以下の場合を×とした。

4.色 相 目視により判定した。白色もしくは無色の場合を○、着
色のある場合を×とした。

5.臭 気 主婦による官能テストにより判定した。実質的に無臭の
場合を○、異臭のある場合を×とした。

実施例１ SEBS（シェル化学製、クレイトンG1652、スチレン含量
約29％）10部、パラフィン系オイル（エクソン化学製流
動パラフィン、クリストール＃352、パラフィン成分99
％以上）30部、水添芳香族系石油樹脂（荒川化学製、ア
ルコンＰ−100、完全水添品、環球法による軟化温度100
℃）60部及び紫外線吸収剤（チバカイギ−社、チヌビン
Ｐ）0.3部を約160℃に加熱溶融してホットメルト接着剤
組成物を得た。

この接着剤の特性は第１表に示す通りであった。

実施例２ SEBS15部（シェル化学製「クレイトンG1650」スチレン
含量約28％、５部及び「クレイトンG1657」、スチレン
含量約14％10部）、クリストール＃352、15部、アルコ
ンＰ−100、55部、軟化剤（出光石油化学、ポリブテン3
00R）10部及びワックス（日本製ロウ、パラフィンWAX13
5゜Ｆ）５部を約130〜180℃に加熱溶融して接着剤組成
物を得た。この接着剤の特性は第１表に示す通りであっ
た。

実施例３〜５ 実施例２と同様にして第１表に示す組成のホットメルト
接着剤を得た。その特性は第１表の通りであった。

比較例１〜７ 実施例２と同様にして第２表に示す組成のホットメルト
接着剤を得た。その特性は第２表の通りであった。尚、
芳香族系石油樹脂として三井石油化学製「FTR6100」
を、テルペン系樹脂として安原油脂製「YsレジンPx100
0」を用いた。

比較例６における接着剤の着色はSIS（加熱溶融前は白
色）に起因し、比較例７において接着力が低く臭気があ
るのはSBSに起因すると考えられる。

（発明の効果） 本発明ホットメルト接着剤組成物は上述の通りの構成に
なされているので、白色もしくは無色でしかも経時によ
る着色が無く、且つ実質的に無臭である。

また本発明接着剤組成物は、ポリエチレンフイルムや織
布もしくは不織布にビート状に塗布して接着することが
可能で、且つ接着後の大気温度域では柔軟性を有するの
で、紙おむつや衛生ナプキン等の衛生材料、特に紙おむ
つ用として最適なものである。

更に本発明接着剤組成物は、溶融粘度が低い一方、粘度
安定性が良好で且つオープンタイムが充分長いので、本
発明組成物を用いれば被着体への塗布工程及び接着工程
における作業性が良好なものとなる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）スチレン−エチレン−ブチレン−ス
   チレンブロック共重合体５〜25重量％、（ｂ）水添され
   た芳香族系石油樹脂、水添された脂肪族系石油樹脂及び
   水添されたテルペン系樹脂の内の少なくとも１種の粘着
   性付与樹脂55〜70重量％、及び（ｃ）可塑化オイルが含
   有され、可塑化オイル中のパラフィン系成分とナフテン
   系成分の合計量が接着剤組成物中の10〜40重量％である
   ことを特徴とするホットメルト接着剤組成物。