JPH0757867B2 - ホツトメルト接着剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、紙オムツ，生理用ナプキン等の衛生材料の組
み立てに用いられるホツトメルト接着剤組成物であつ
て、特に接着性および熱安定性に優れたホツトメルト接
着剤組成物に関するものである。

〔従来の技術およびその課題〕

紙オムツ，生理用ナプキン等の衛生材料の組み立てに
は、通常、ホツトメルト接着剤が用いられている。この
ようなホツトメルト接着剤には、柔軟でかつ白色もし
くは無色であり無臭であること、接着対象となるポリ
エチレンフイルム，ポリウレタンフオーム，ポリウレタ
ンフイルム，天然ゴム，織布，不織布等に対する接着性
が低温から高温まで優れていること、加熱による着色
や粘度変化が少ないこと等が重要な性能として要求され
ている。しかしながら、従来のホツトメルト接着剤で
は、上記要求を全て満たすような優れたものがないのが
実情である。例えば、ホツトメルト接着剤として、最
近、スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体
（SIS），スチレン−ブタジエン−スチレンブロツク共
重合体（SBS），スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レンブロツク共重合体（SEBS）といつた柔軟な風合いを
有する合成ゴム質をポリマーベースとし、これに粘着付
与樹脂と可塑化オイルとを添加してなるゴム系のホツト
メルト接着剤が汎用されているが、上記SISをベースに
したものは接着性には優れているものの熱安定性が極端
に悪く、SBSをベースにしたものは熱安定性は比較的良
好であるが接着性に劣り、SEBSをベースにしたものは熱
安定性に優れているものの接着性が劣る、というよう
に、熱安定性と接着性を同時に兼ね備えているものはな
い。そこで、接着性が特に要求される場合にはSIS単独
ベースのものを用い、特に熱安定性が要求される場合に
はSEBS単独ベースのものを用いるようにし、接着性も熱
安定性も同時に必要な場合にはSBS単独ベースのものを
用いるか、SEBSとSISをブレンドしたものを用いたりし
て工夫しているが、それぞれの欠点は保有したままであ
り、必ずしも満足するホツトメルト接着剤は得られてい
ない。

本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、従来
両立することのなかつた接着剤と熱安定性とを同時に満
足する優れた性能のホツトメルト接着剤となりうるホツ
トメルト接着剤組成物の提供をその目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本発明は、合成ゴム質成
分，粘着付与樹脂成分および可塑化オイル成分を必須成
分とし、上記合成ゴム質成分にスチレン−エチレン−プ
ロピレン−スチレンブロツク共重合体（SEPS）が含有さ
れているホツトメルト接着剤組成物を第１の要旨とし、
合成ゴム質成分，粘着付与樹脂成分および可塑化オイル
成分を必須成分とし、上記合成ゴム質成分にSEPSおよび
SEBSが含有されているホツトメルト接着剤組成物を第２
の要旨とする。

〔作用〕

すなわち、本発明者らは、従来両立しえなかつた接着性
と熱安定性を同時に満足するような接着剤組成物を得る
ために一連の研究を重ねた。その結果、ホツトメルト接
着剤組成物のベースとなる合成ゴム質成分として、SEPS
を含有したものを用いると、接着性および熱安定性の両
特性に優れたホツトメルト接着剤が得られることを見い
だした。また、上記SEPSとともにSEBSを含有した合成ゴ
ム質成分を用いると、接着性および熱安定性を損なうこ
となく、さらに凝集力（引き剥がしに抗する力）を高め
ることができ、しかも溶隔粘度を下げることができるこ
とを見いだした。

つぎに、本発明を詳細に説明する。

本発明のホツトメルト接着剤組成物は、合成ゴム質成分
と粘着付与樹脂成分と可塑化オイル成分とを必須成分と
する。

上記合成ゴム質成分としては、SEPSを含有したものを用
いることが必要である。上記SEPSは、両端のスチレンポ
リマーブロツクの中間に、エチレン構造とプロピレン構
造とが混在して構成された共重合体で、ハードセグメン
トとしてスチレン相が機能し、ソフトセグメントとして
エチレン−プロピレン相が機能する２相構造のものであ
る。このSEPSは、例えばスチレン−イソプレン−スチレ
ンブロツク共重合体（SIS）のイソプレンポリマー部分
を水素添加することによつて簡単に得ることができる。
ただし、本発明に用いる場合、上記SEPSは、スチレン含
有量が10〜35重量％（以下「％」と略す）のものを用い
ることが好適である。スチレン含有量が10％未満になる
と高温での接着性に劣る傾向がみられ、逆に35％を超え
ると低温での接着性が悪くなる傾向がみられるからであ
る。そして、上記SEPSの配合量は、組成物全体に対して
10〜50％、好ましくは15〜35％、さらに好ましくは20〜
30％に設定することが好適である。SEPSの配合量が少な
すぎると接着性が劣り、多すぎると風合いが硬くなると
ともに溶隔粘度が高くなつて塗布作業性が悪くなる傾向
がみられる。

なお、上記合成ゴム質成分には、SEPSとともにSEBSを含
有させるようにしてもよい。上記SEBSを含有させると、
SEPSによる優れた接着性と熱安定性を損なうことなく、
得られるホツトメルト接着剤の凝集力をさらに向上させ
ることができる。また、上記SEBSの併存により、接着剤
の溶隔温度を下げることができ、接着剤の塗布作業性を
向上させることができる。上記SEBSは、両端のスチレン
ポリマーブロツクの中間に、エチレン構造とブチレン構
造とが混在して構成された共重合体で、ハードセグメン
トとしてスチレン相が機能し、ソフトセグメントとして
エチレン−ブチレン相が機能する２相構造のものであ
る。このSEBSは、例えばスチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロツク共重合体（SBS）のブタジエンポリマー部分
を水素添加することによつて簡単に得ることができる。
ただし、本発明に用いる場合、上記SEBSは、スチレン含
有量が10〜40％のものを用いることが好適である。これ
は上記SEPSの場合と同様の理由による。そして、上記SE
BSを用いる場合には、この配合量を、組成物全体に対し
０〜30％、さらに好ましくは５〜20％に設定することが
好適である。配合量が多すぎると風合いが硬くなり接着
性能が低下するおそれがあるからである。

一方、前記粘着付与樹脂成分としては、通常のホツトメ
ルト接着剤組成物に用いられるものであればどのような
ものであつても差し支えないが、低分子量であつて、組
成物の漏れ性を向上させると同時に初期接着力を付与
し、組成物全体を低粘度化させて接着剤の塗布作業性を
よくするものでなくてはならない。そして、無色あるい
は白色で無臭であることが望ましい。ことような粘着付
与樹脂成分としては、例えば水素添加された芳香族系石
油樹脂，水素添加された脂肪族系石油樹脂，水素添加さ
れたテルペン系樹脂が好適である。また、ロジン系樹
脂，変性ロジン系樹脂，テルペン系樹脂，水添以外の方
法で変性された変性テルペン系樹脂，脂肪族系石油樹
脂，芳香族系石油樹脂，脂肪族−芳香族系石油樹脂，ス
チレン系石油樹脂等があげられる。これらの樹脂は、い
ずれも上記合成ゴム質成分として用いられるSEPSとの相
溶性に優れているため、低温から高温まで幅広い接着性
が得られると同時に、化学構造上二重結合がないため熱
安定性にも優れている。なお、上記樹脂の軟化温度は特
に限定されず、常温で固定であつても液体であつても差
し支えないが、液体のものの方が可塑剤としての効果が
あり、好ましい。また、上記粘着付与樹脂成分の配合量
は、多すぎると風合いか硬くなるとともに低温接着性が
極端に悪くなり、少なすぎると被着体に対する漏れ性が
低下して初期接着力が悪くなるため、少なくとも一種類
の粘着付与樹脂成分の配合量は40〜70％、好ましくは50
〜70％、さらに好ましくは55〜65％に設定することが好
適である。

また、前記可塑化オイル成分も、通常のホツトメルト接
着剤組成物に用いられるものであればどのようなもので
あつても差し支えないが、上記粘着付与樹脂成分よりも
さらに分子量が低く、粘度調整剤的な役割を果たすとと
もに低温粘着性の向上および組成物を柔軟にするものが
好ましい。このような可塑化オイル成分としては、通
常、パラフイン系成分，ナフテン系成分，芳香族系成分
を混合したオイルが用いられるが、パラフイン系成分の
配合を多くすると熱安定性が向上し、ナフテン系成分の
配合を多くすると低温接着性が向上する。なお、上記可
塑化オイルの配合量は、少なすぎると風合いが硬くなり
低温接着性が低下し、多すぎると高温接着性が低下する
ため、３〜50％、好ましくは５〜30％、さらに好ましく
は７〜20％に設定することが好適である。

なお、本発明のホツトメルト接着剤組成物には、上記必
須成分以外に、従来のホツトメルト接着剤組成物に用い
られる各種の添加剤を配合してもよい。このような添加
剤としては、例えば、耐熱性，耐酸化性，耐光安定性を
向上させるためのヒンダードフエノール系安定剤や、紫
外線吸収剤等かあげられる。上記ヒンダードフエノール
系安定剤を用いる場合は、その配合量を0.1〜１％に設
定することが好適である。また、上記紫外線吸収剤を用
いる場合は、その配合量を0.1〜0.5％に設定することが
好適である。

また、柔軟性，漏れ性，接着性，溶融粘度，軟化点の調
整やコストの低減を目的として、従来のホツトメルト接
着剤組成物に用いられる他の合成ゴム成分や樹脂成分を
配合してもよい。このような任意成分としては、例えば
SIS,SBS等の合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合
体，エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレ
ン共重合体、アタクチツクポリプロピレン，アイソタク
チツクポリプロピレン，プロピレン−１−ブテン共重合
体，プロピレン−１−ブテン−エチレン３元共重合体等
のオレフイン系樹脂等があげられる。また、液状ポリブ
テン，液状ポリイソブチレン，液状ポリイソプレン等の
軟化剤等を配合してもよい。なお、これらの任意成分を
用いる場合の配合量は、通常、無色もしくは白色のもの
は20％以下、着色品は15％以下に設定するのが好適であ
る。そして、これらの任意成分は、上記必須成分によつ
て得られる優れた特性を妨げやすいため、なるべく量を
抑えて使用することが望ましい。

本発明のホツトメルト接着剤組成物は、例えば上記各原
料を、溶融撹拌混合釜に入れて加熱混合すること等によ
つて得られる。

つぎに、本発明の実施例を比較例と併せて説明する。た
だし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。

〔実施例１〜８〕 下記の第１表に示す原料を下記の組成にしたがつて配合
し、約150℃で溶融混練することにより、目的とするホ
ツトメルト接着剤組成物を得た。

そして、上記各実施例品の特性を下記の方法で行い、そ
の結果を後記の第２表に示した。

＜溶隔粘度＞ ブルツクフイールドサーモセル（ブルツクフイールド社
製）を用いて測定した。

＜粘着性＞ 紙オムツに主として使用されているポリエチレンフイル
ムと不織布、あるいは不織布と不織布を上記実施例品も
しくは比較例品を用いて接着した（塗布温度120〜150
℃，塗布量0.05g/5cm²、ビード状）。これを10℃および
40℃の温度雰囲気下に24時間放置したのち取り出し、手
で被着体を引き剥がし、材料破断の場合を○、界面剥離
の場合を×、その中間を△として評価した。

＜熱安定性＞ 粘度低下率 まず、180℃の温度雰囲気下で上記実施例品および比較
例品を72時間放置し、その前後の粘度を測定して粘度低
下率を算出し、これを熱安定性の指標とした。すなわ
ち、算出式は、下記のとおりである。

V:180℃,72時間放置後のホツトメルト接着剤組成物の16
0℃での溶融粘度 Vo:熱履歴を受ける前のホツトメルト接着剤組成物の160
℃での溶融粘度 色相 また、ホツトメルト接着剤組成物を180℃温度雰囲気下
に72時間放置し、その時点での組成物の色相を目視で判
定した。完全に無色あるいは白色の場合を◎、殆ど無色
あるいは白色に近い場合を○、やや着色のある場合を
△、明らかに着色のある場合を×とした。

臭気 同じくホツトメルト接着剤組成物を180℃温度雰囲気下
に72時間放置し、その時点での組成物の臭気を官能テス
ト（パネラー10名）によつて評価した。完全に無臭の場
合を◎、殆ど無臭の場合を○、やや臭気のある場合を
△、明らかに臭気のある場合を×とした。

〔比較例１〜４〕 また、現在市場で売られている衛生材料用のホツトメル
ト装着剤組成物であつて、樹脂成分の種類の異なるもの
を４種類用意した。これらの組成を後記の第３表に示
す。そして、上記各比較例品について、上記実施例と同
様にしてその特性評価を行つた。その結果を下記の第４
表に示す。

上記第４表の結果から、比較例品は、接着性，熱安定性
のいずれかの項目において好ましくない特性を示してい
る。これに対し、実施例品は、前記第２表の結果に示さ
れるとおり、どの項目においても優れた特性を示してい
ることがわかる。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明のホツトメルト接着剤組成物は、
優れた接着性および熱安定性を示すため、通常接着が困
難とされていたポリエチレンフイルムや織布，不織布等
の被着体に対して低温から高温まで幅広い接着力が得ら
れる。また、組成物が実質的に無色であり、加熱によつ
ても着色せず粘度低下もないため、衛生材料の組み立て
に用いるのに最適である。また、SEBSを配合することに
より、SEPSをベースとするホツトメルト接着剤組成物の
接着性と熱安定性を低下させることなく凝集力を著しく
向上させることができ、しかも溶融粘度を下げることが
できるため、塗布作業が良好になる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】合成ゴム質成分，粘着付与樹脂成分および
   可塑化オイル成分を必須成分とし、上記合成ゴム質成分
   にスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロツク
   共重合体が含有されていることを特徴とするホツトメル
   ト接着剤組成物。
2. 【請求項２】合成ゴム質成分，粘着付与樹脂成分および
   可塑化オイル成分を必須成分とし、上記合成ゴム質成分
   にスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロツク
   共重合体およびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレ
   ンブロツク共重合体が含有されていることを特徴とする
   ホツトメルト接着剤組成物。
3. 【請求項３】スチレン−エチレン−プロピレン−スチレ
   ンブロツク共重合体が10〜50重量％含有され、スチレン
   −エチレン−ブチレン−スチレンブロツク共重合体が０
   〜30重量％含有され、粘着付与樹脂成分が40〜70重量％
   含有され、可塑化オイル成分が３〜50重量％含有されて
   いる請求項（２）記載のホツトメルト接着剤組成物。