JP3742202B2 - 水素冷却回転電機の密封油供給装置 - Google Patents

水素冷却回転電機の密封油供給装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、機内ガス圧の異なる2台の水素冷却回転電機の密封器に1台で密封油を供給できるようにした密封油供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は例えば実開昭60−103254号公報に記載された従来の回転電機の密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
図において、水素冷却回転電機(以下、回転電機という)1a、1bはそれぞれ機内ガス圧が異なる回転電機であるが、構成および密封油の供給動作は同じであるので、回転電機1aについて以下に説明する。
回転電機1aの回転軸2は例えば蒸気タービン(図示せず)と連結されており、高速で回転するようになっている。回転軸2には、回転電機1a内の水素ガスを密封する密封器3が回転電機1aの両側にそれぞれ設けられている。各密封器3の回転軸2側には、回転電機1aの内側および外側にそれぞれ水素側油溝3a、空気側油溝3bが形成されている。この水素側および空気側油溝3、3bには密封油が封入されて、回転電機1a内の水素ガスが機外に漏出するのが防止されている。
水素側油溝3aは水素側回路に組み込まれており、この水素側回路から密封油が水素側油溝3aに供給されるようになっている。一方、空気側油溝3bは空気側回路に組み込まれており、この空気側回路から密封油が空気側油溝3bに供給されるようになっている。
【0003】
水素側回路には、主なものとして泡取り箱6、水素ガス遮断槽13、水素側密封油ポンプ15、水素側密封油冷却器26等が組み込まれている。泡取り箱6は回転電機1aの両側に設けられており、水素側油溝3aから排出される密封油を一時滞留させて、密封油中の気泡を除去するものである。この泡取り箱6は水素側密封油排油管7を介して水素ガス遮断槽13に接続されている。この水素ガス遮断槽13にはフロート弁14が設けられ、このフロート弁14により一定の油面高さに維持されて、回転電機1a内の水素ガスの外部への漏出が遮断されるようになっている。水素ガス遮断槽13は第1の水素側密封油供給管40を介して水素側密封油ポンプ15に接続されている。この水素側密封油ポンプ15は第2の水素側密封油供給管4を介して水素側油溝3aに接続されており、密封油を水素側油溝3aに供給するようになっている。第2の水素側密封油供給管4には、密封油を冷却する水素側密封油冷却器26、密封器内の異物を除去する水素側密封油フィルタ27および両油溝3a、3b内の密封油の圧力を等しくする均圧弁28が組み込まれている。この均圧弁28の作用により、水素側回路および空気側回路の両回路を流れる密封油の圧力差による油交換が防止され、回転電機1a内の水素ガスの純度低下が極力抑えられている。
また、手動バイパス調整弁24が水素側密封油ポンプ15の吸入側と吐出側とを接続するバイパス回路上に設けられ、水素側密封油ポンプ15からの供給油量を水素側回路に必要な油量に設定するために、水素側密封油ポンプ15の吐出油量の内、余剰の油量を水素側密封油ポンプ15の吸入側に戻すようになっている。さらに、安全弁25が水素側密封油ポンプ15の吸入側と吐出側とを接続する配管に設けられている。
【0004】
空気側回路には、主なものとしてループシールタンク9、交流電源で駆動される空気側密封油ポンプ16、空気側密封油冷却器22等が組み込まれている。ループシールタンク9は軸受排油管8を介して空気側油溝3bに接続されており、空気側油溝3bからの密封油および軸受部からの軸受排油を一時滞留させ、油中の水素ガスおよび空気を除去するものである。このループシールタンク9は排出管10を介して外部に連通され、ベーパエクストラクラ11が排出管10に設けられている。このベーパエクストラクラ11はループシールタンク9内の上方空間部の圧力を軸受部の圧力より低くするとともに、ループシールタンク9内の水素ガスおよび空気を抽出して排出管10を介して屋外に強制的に排出する。ループシールタンク9は空気側密封油戻り管12を介して空気側密封油ポンプ16に接続されている。空気側密封油ポンプ16は空気側密封油供給管5を介して空気側油溝3bに接続されており、密封油を空気側油溝3bに供給するようになっている。この空気側密封油供給管5には、密封油を冷却する空気側密封油冷却器22および密封器内の異物を除去する空気側密封油フィルタ23が組み込まれている。
また、非常用として直流電源で駆動する空気側密封油ポンプ17が設けられている。そして空気側密封油ポンプ16、17の吸入側および吐出側に、それぞれポンプ入り口弁19および逆止弁18が設けられている。また、差圧調整弁21が空気側密封油ポンプ16、17の吸入側と吐出側とを接続するバイパス回路上に設けられ、密封器3で機内水素ガス圧力より空気側密封油の圧力が一定値だけ高くなるように、空気側密封油ポンプ16、17からの供給油量を調整するようになっている。さらに、安全弁20が空気側密封油ポンプ16、17の吸入側と吐出側とを接続する配管に設けられている。
【0005】
つぎに、上記構成の従来の密封油供給装置の動作について説明する。
回転電機1a内の水素ガスは、水素側回路および空気側回路の両回路中を循環する密封油により密封されている。
空気側回路内の密封油は、正常運転時には、空気側密封油ポンプ16から送り出され、差圧調整弁21により機内の水素ガス圧より一定値だけ高い圧力に調整されて空気側密封油供給管5を介して密封器3の空気側油溝3bに供給される。そして、空気側油溝3bに供給された密封油は回転軸2に沿って空気側に押し出され、軸受排油と一緒となって軸受排油管8を介してループシールタンク9に戻される。密封油はループシールタンク9内に滞留し、気泡となって油中に内在している水素ガスおよび空気が取り除かれた後、空気側密封油戻り管12を介して空気側密封油ポンプ16に送り込まれる。この時、密封油は密封器3で油のやりとりによって少なくなったり、あるいは多くなったりした過不足が補われて、空気側密封油ポンプ16に送り込まれる。なお、交流電源が停止し、空気側密封油ポンプ16が停止するような異常時には、直流電源で駆動する空気側密封油ポンプ17が起動され、上述の空気側回路内の密封油の循環が行われる。
一方、水素側回路内の密封油は、水素側密封油ポンプ15から送り出され、均圧弁28により水素側と空気側との密封油の圧力が等しくなるように調整されて、第2の水素側密封油供給管4を介して密封器3の水素側油溝3aに供給される。そこで、水素側回路への空気の混入が防止されて、回転電機1a内の水素ガスの純度の低下が抑えられ、さらに密封器3内での両者間の密封油の交換が発生しないようにしている。そして、水素側油溝3aに供給された密封油は回転軸2に沿って水素側に押し出され、泡取り箱6内に入り込む。ついで、密封油は泡取り箱6から水素側密封油排油管7を介して水素ガス遮断槽13に送り込まれる。密封油は水素ガス遮断槽13で泡として内在している水素ガスが取り除かれ、水素ガス遮断槽13の底部から第1の水素側密封油供給管40を介して水素側密封油ポンプ15に送り込まれる。
このようにして、水素側および空気側の密封油は別々の水素側回路および空気側回路中を循環している。
【0006】
このように、従来の密封油供給装置は、空気側の密封油と水素側の密封油とを別々の回路中を循環させ、空気側の密封油の圧力を回転電機1a内の機内ガス圧よりも一定値高い圧力に調整して密封器3の空気側油溝3bに供給するようにしている。
ここで、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2で、もう1台の回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるとすると、1台の密封油供給装置で密封油を供給しようとした場合、密封器3の空気側油溝3bに供給される密封油の圧力は差圧調整弁21により「機内ガス圧+一定値」のガス圧に調整されことになる。しかしながら、機内ガス圧が2通りあるため、密封油の供給圧が定まらない状態となってしまい、1台の密封油供給装置を用いて密封油を供給することができない。そこで、機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bに対しては、図6に示されるように、2台の密封油供給装置を用いてそれぞれに密封油を供給することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転電機の密封油供給装置は以上のように、空気側の密封油と水素側の密封油とを別々の回路中を循環させ、空気側の密封油の圧力を回転電機1a内の機内ガス圧よりも一定値高い圧力に調整して密封器3の空気側油溝3bに供給するようにしているので、機内のガス圧の異なる複数の回転電機に対しては、1つの密封油供給装置を用いて密封油を供給することができず、回転電機の台数分の密封油供給装置が必要となってしまう。
すなわち、従来の密封油供給装置では、原理的に機内ガス圧の異なる回転電機への密封油の供給が不可能となり、回転電機の台数分の密封油供給装置が必要となるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、機内ガス圧の異なる複数台の回転電機に対して1台で密封油を供給できるような密封油の循環回路構成とし、据え付け期間の短縮、据え付けスペースの省スペース化、機器台数の削減に伴う保守性の向上、さらには装置の製作コストの低コスト化が図られる回転電機の密封油供給装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る水素冷却回転電機の密封油供給装置は、2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記第1の空気側密封油供給管を介して供給される密封油を上記2台の水素冷却回転電機の機内ガス圧の割合に応じて上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれに適性配分する流量調整手段、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれと上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する2本の第1のバイパス配管および該2本の第1のバイパス配管の各経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記各水素冷却回転電機に供給される密封油の油圧を上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力に調整する2つの差圧調整弁を有する1つの空気側回路とを備えたものである。
【0010】
また、空気側回路は、第1の空気側密封油供給管の空気側密封油冷却器の下流側と空気側密封油戻り管の空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する第2のバイパス配管と、この第2のバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し流量調整手段に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁とを備えたものである。
【0011】
また、流量調整手段が、第1の空気側密封油供給管と2本の第2の空気側密封油供給管との分岐点に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する三方弁で構成されているものである。
【0012】
また、流量調整手段が、2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する2つの流量調整弁で構成されているものである。
【0013】
また、この発明の水素冷却回転電機の密封油供給装置は、2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて上記各水素冷却回転電機の上記空気側油溝に供給される密封油の油圧が上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力となるように調整する2つの差圧調整弁、上記第1の空気側密封油供給管の上記空気側密封油冷却器の下流側と上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結するバイパス配管およびこのバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記2本の第2の空気側密封油供給管に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁を有する1つの空気側回路とを備えたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
図において、密封油供給装置は、機内ガス圧の異なる回転電機1a、1bに密封油を供給する2系統の水素側回路と1系統の空気側回路とを有している。
回転電機1a(1b)の回転軸2は例えば蒸気タービン(図示せず)と連結されており、高速で回転するようになっている。回転軸2には、回転電機1a(1b)内の水素ガスを密封する密封器3が回転電機1a(1b)の両側にそれぞれ設けられている。各密封器3の回転軸2側には、回転電機1a(1b)の内側および外側にそれぞれ水素側油溝3a、空気側油溝3bが形成されている。この水素側および空気側油溝3、3bには密封油が封入されて、回転電機1a(1b)内の水素ガスが機外に漏出するのが防止されている。
水素側油溝3aは水素側回路に組み込まれており、この水素側回路から密封油が水素側油溝3aに供給されるようになっている。一方、空気側油溝3bは空気側回路に組み込まれており、この空気側回路から密封油が空気側油溝3bに供給されるようになっている。
【0015】
各水素側回路には、主なものとして泡取り箱6、水素ガス遮断槽13、水素側密封油ポンプ15、水素側密封油冷却器26等が組み込まれている。泡取り箱6は回転電機1a(1b)の両側に設けられており、水素側油溝3aから排出される密封油を一時滞留させて、密封油中の気泡を除去するものである。この泡取り箱6は水素側密封油排油管7を介して水素ガス遮断槽13に接続されている。この水素ガス遮断槽13にはフロート弁14が設けられ、このフロート弁14により一定の油面高さに維持されて、回転電機1a(1b)内の水素ガスの外部への漏出が遮断されるようになっている。水素ガス遮断槽13は第1の水素側密封油供給管40を介して水素側密封油ポンプ15に接続されている。この水素側密封油ポンプ15は第2の水素側密封油供給管4を介して水素側油溝3aに接続されており、密封油を水素側油溝3aに供給するようになっている。第2の水素側密封油供給管4には、密封油を冷却する水素側密封油冷却器26、密封器内の異物を除去する水素側密封油フィルタ27および両油溝3a、3b内の密封油の圧力を等しくする均圧弁28が組み込まれている。この均圧弁28の作用により、水素側回路および空気側回路の両回路を流れる密封油の圧力差による油交換が防止され、回転電機1a(1b)内の水素ガスの純度低下が極力抑えられている。
また、手動バイパス調整弁24が水素側密封油ポンプ15の吸入側と吐出側とを接続するバイパス回路上に設けられ、水素側密封油ポンプ15からの供給油量を水素側回路に必要な油量に設定するために、水素側密封油ポンプ15の吐出油量の内、余剰の油量を水素側密封油ポンプ15の吸入側に戻すようになっている。さらに、安全弁25が水素側密封油ポンプ15の吸入側と吐出側とを接続する配管に設けられている。
【0016】
空気側回路には、主なものとしてループシールタンク9、交流電源で駆動される空気側密封油ポンプ16、空気側密封油冷却器22、分流用三方調整弁29、1次圧調整弁30等が組み込まれている。ループシールタンク9は回転電機1a、1bのそれぞれに設けられている。そして、各ループシールタンク9は軸受排油管8を介して空気側油溝3bに接続されており、空気側油溝3bからの密封油および軸受部からの軸受排油を一時滞留させ、油中の水素ガスおよび空気を除去するものである。このループシールタンク9は排出管10を介して外部に連通され、ベーパエクストラクラ11が排出管10に設けられている。このベーパエクストラクラ11はループシールタンク9内の上方空間部の圧力を軸受部の圧力より低くするとともに、ループシールタンク9内の水素ガスおよび空気を抽出して排出管10を介して屋外に強制的に排出する。両ループシールタンク9は空気側密封油戻り管12を介して空気側密封油ポンプ16に接続されている。空気側密封油ポンプ16は第1の空気側密封油供給管としての配管41を介して分流用三方調整弁29の1次側に接続されている。そして、一端が回転電機1aの空気側油溝3bに接続された第2の空気側密封油供給管としての空気側密封油供給管5の他端が分流用三方調整弁29の2次側の一方に接続され、一端が回転電機1bの空気側油溝3bに接続された第2の空気側密封油供給管としての空気側密封油供給管5の他端が分流用三方調整弁29の2次側の他方に接続されている。そこで、密封油が分流用三方調整弁29を介して分流され、回転電機1a、1bのそれぞれの空気側油溝3bに供給されるようになっている。この配管41には、密封油を冷却する空気側密封油冷却器22および密封器内の異物を除去する空気側密封油フィルタ23が組み込まれている。
【0017】
また、非常用として直流電源で駆動する空気側密封油ポンプ17が設けられている。そして空気側密封油ポンプ16、17の吸入側および吐出側に、それぞれポンプ入り口弁19および逆止弁18が設けられている。安全弁20が空気側密封油ポンプ16、17の吸入側と吐出側とを接続する配管に設けられている。
また、1次圧調整弁30が空気側密封油ポンプ16、17の吸入側と吐出側とを接続する第2のバイパス配管43上に設けられ、空気側密封油ポンプ16、17の余分な吐出量をバイパスして分流用三方調整弁29の1次側圧力を一定に保つようになっている。そして、差圧調整弁21が2つの空気側密封油供給管5と空気側密封油ポンプ16、17の吸入側の空気側密封油戻り管12とを接続する第1のバイパス配管42上にそれぞれ設けられている。各差圧調整弁21は、そのアクチュエータ部に回転電機1a、1bの機内ガス圧および空気側油溝3bに供給される密封油の油圧が導入され、空気側油溝3bに供給される密封油の圧力が機内の水素ガス圧より一定値だけ高くなるように、空気側密封油ポンプ16、17からの供給油量を調整するようになっている。さらに、分流用三方調整弁29のアクチュエータ部には回転電機1a、1bの機内のガス圧が導入されるようになっている。
【0018】
つぎに、この密封油供給装置による密封器の供給動作について説明する。
回転電機1a、1b内の水素ガスは、水素側回路および空気側回路の両回路中を循環する密封油により密封されている。
空気側回路内の密封油は、正常運転時には、空気側密封油ポンプ16から配管41を介して分流用三方調整弁29の1次側に送り出される。この時、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は空気側密封油冷却器22により冷却され、空気側密封油フィルタ23により混入する異物が取り除かれる。また、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油の一部が1次圧調整弁30を通って空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、分流用三方調整弁29の1次側が一定の圧力に維持される。
分流用三方調整弁29の2次側の開度がアクチュエータ部に導入される回転電機1a、1bの機内ガス圧差に基づいて決定される。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、分流用三方調整弁29の2次側の開度によって適性に配分され、各空気側密封油供給管5を通って回転電機1a、1bの各密封器3の空気側油溝3bにそれぞれ供給される。ここで、適性配分された密封油の油量は密封器3で必要とされる油量より多く供給されている。そして、各空気側密封油供給管5を流通する密封油の余剰油量の一部が、それぞれ差圧調整弁21により空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、各空気側密封油供給管5を流通する密封油の圧力が各回転電機1a、1bの機内ガス圧より一定値だけ大きい圧力に調整される。
そして、空気側油溝3bに供給された密封油は回転軸2に沿って空気側に押し出され、軸受排油と一緒となって軸受排油管8を介してループシールタンク9に戻される。各回転電機1a、1bから押し出された密封油はそれぞれループシールタンク9内に滞留し、気泡となって油中に内在している水素ガスおよび空気が取り除かれた後、空気側密封油戻り管12を介して合流して空気側密封油ポンプ16に送り込まれる。この時、密封油は密封器3で油のやりとりによって少なくなったり、あるいは多くなったりした過不足が補われて、空気側密封油ポンプ16に送り込まれる。なお、交流電源が停止し、空気側密封油ポンプ16が停止するような異常時には、直流電源で駆動する空気側密封油ポンプ17が起動され、上述の空気側回路内の密封油の循環が行われる。
【0019】
一方、各水素側回路内の密封油は、各水素側密封油ポンプ15から送り出され、均圧弁28により水素側と空気側との密封油の圧力が等しくなるように調整されて各第2の水素側密封油供給管4を介して回転電機1a、1bの各密封器3の水素側油溝3aに供給される。そこで、水素側回路への空気の混入が防止されて、回転電機1a、1b内の水素ガスの純度の低下が抑えられ、さらに密封器3内での両者間の密封油の交換が発生しないようにしている。そして、各回転電機1a、1bの密封器3に供給された密封油は回転軸2に沿って水素側に押し出され、泡取り箱6内に入り込む。ついで、密封油は泡取り箱6から水素側密封油排油管7を介して水素ガス遮断槽13に送り込まれる。密封油は水素ガス遮断槽13で泡として内在している水素ガスが取り除かれ、水素ガス遮断槽13の底部から第1の水素側密封油供給管40を介して水素側密封油ポンプ15に送り込まれる。
このようにして、1台の密封油供給装置を用いて2台の回転電機1a、1bに密封油を供給している。
【0020】
ついで、回転電機1a、1bの機内ガス圧が異なる3つのケースについて具体的に述べる。図2は各ケースにおける密封油の分配状態を示し、各油量(%)は空気側密封油ポンプ16の最大吐出量に対する割合を表している。
まず、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース1について述べる。なお、1次圧調整弁30の基準圧は8kg/cm2に設定されている。
空気側密封油ポンプ16が駆動され、密封油が配管41に送り出される。この時、配管41内の密封油の圧力が1次圧調整弁30のアクチュエータ部に導かれ、該密封油の圧力が1次圧調整弁30の基準圧8kg/cm2を超えると1次圧調整弁30が開弁されて、該密封油が第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。そこで、8kg/cm2に維持された密封油が分流用三方弁29の1次側に供給される。
分流用三方調整弁29では、回転電機1a、1bの機内ガス圧の圧力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。差圧調整弁21は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧とがアクチュエータ部に導かれており、それらの差圧が0.85kg/cm2を超えると開弁するように設定されている。そして、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧との差圧が0.85kg/cm2を超えると、第1のバイパス配管42および差圧調整弁21を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。同様に、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧との差圧が0.85kg/cm2を超えると、第1のバイパス配管42および差圧調整弁21を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。そこで、各回転電機1a、1bの空気側油溝3bには、常に機内ガス圧より0.85kg/cm2だけ高い油圧の密封油が供給される。
ここで、空気側密封油ポンプ16の吐出量を100%とした場合、図2のケース1に示されるように、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、20%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、80%の油量が分流用三方調整弁29の1次側に供給される。そして、密封油が分流用三方弁29により2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。さらに、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0021】
ついで、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるケース2について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース1に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30を流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、30%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、70%の油量が分流用三方調整弁29の1次側に供給される。
分流用三方調整弁29では、回転電機1a、1bの機内ガス圧の圧力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。ここで、回転電機1a、1bの機内ガス圧の圧力差がケース1に比べて大きくなり、分流用三方調整弁29の回転電機1a側の開度が大きく、回転電機1b側の開度が小さくなる。そこで、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて増大するが、15%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、ケース1と同様に35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて減少するが、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、10%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と0kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および0.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0022】
つぎに、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース3について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース1に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30に流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、40%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、60%の油量が分流用三方調整弁29の1次側に供給される。
分流用三方調整弁29では、回転電機1a、1bの機内ガス圧の圧力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。ここで、回転電機1a、1bの機内ガス圧の圧力差がケース1に比べて大きくなり、分流用三方調整弁29の回転電機1b側の開度が大きく、回転電機1a側の開度が小さくなる。そこで、回転電機1b側の空気側密封油供給管4に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて増大するが、15%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、ケース1と同様に25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1a側の空気側密封油供給管4に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて減少するが、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、10%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が0kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ0.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0023】
このように、この実施の形態1によれば、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設し、配管41と2本の空気側密封油供給管5との分岐点に分流用三方調整弁29を配設し、2本の空気側密封油供給管5と空気側密封油戻り管12との間をそれぞれ連結する2本の第1のバイパス配管42上にそれぞれ差圧調整弁21を配設しているので、1台で機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bのそれぞれに対して各機内ガス圧より一定値だけ高い油圧の密封油を供給できる密封油供給装置が得られる。
そこで、機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bに対して密封油供給装置を1台設置すればよく、据え付け期間の短縮、据え付けスペースの省スペース化が図られる。また、密封油供給装置の台数の削減に伴って保守性が向上され、さらには装置の製作コストの低コスト化が図られる。
また、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設して、分流用三方弁29の1次側に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整できるようにしているので、空気側密封油ポンプ16(17)のポンプ吐出量が大きくても、分流用三方弁29の1次側の圧力の過上昇が防止される。そこで、回転電機の大きさの範囲において、ポンプ吐出量を100%とする1台の空気側密封油ポンプ16(17)を採用することができ、装置の標準設計が可能であり、その分低コスト化が図れるとともに、優れた汎用性が得られる。
【0024】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
この実施の形態2では、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30に代えて、空気側密封油ポンプ16(17)にポンプ吐出量調整手段を設け、空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を低減させている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。なお、ポンプ吐出量調整手段は空気側密封油ポンプの吐出量を調節できるものであればよく、例えばインバータ回路で構成することができる。
【0025】
つぎに、この実施の形態2の動作について図3および図4を参照しつつ説明する。図4は各ケースにおける密封油の分配状態を示し、各油量(%)は空気側密封油ポンプ16の最大吐出量に対する割合を表している。
図4におけるケース1は上記実施の形態1による密封油供給装置の適用例を示している。ここで、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を省略した場合、ケース4に示されるように、1次圧調整弁30を介してバイパスされていた20%の油量分は2つの差圧調整弁21を介してバイパスされることになる。しかしながら、空気側密封油ポンプ16(17)の100%の吐出量が配管41を介して直接分流用三方弁29の1次側に供給されてしまい、分流用三方弁29の1次側の圧力が過上昇してしまうことになる。この圧力の過上昇に起因して、機器の損傷をもたらすことになる。
この実施の形態2では、図4のケース5に示されるように、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を80%に調整している。そこで、分流用三方弁29の1次側の圧力は、ケース1の場合と等しくなり、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を省略したことによる1次側の圧力の過上昇がなく、機器の損傷を未然に防止することができる。
【0026】
この実施の形態2によれば、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を調整できるようにしているので、空気側密封油ポンプより送り出された密封油の油圧をバイパス調整する1次圧調整弁30を省略することができ、構成の簡素化が図られる。また、回転電機が大きさに合わせて空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を調整でき、分流用三方弁29の1次側の圧力の過上昇を防止して機器の損傷を回避することができるとともに、回転電機に必要な最大密封油量から最小密封油量までの範囲を密封油量の過不足なく制御できる。
なお、上記実施の形態2では、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプの吐出量を調整するものとしているが、回転電機の大きさに合わせて、空気側密封油ポンプを逐一設計するようにしてもよい。
【0027】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
この実施の形態3では、分流用三方弁29に代えて、各空気側密封油供給管5に流量調整弁31を設けている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。この流量調整弁31は回転電機の機内ガス圧がアクチュエータ部に導かれ、該機内ガス圧と設定基準圧との差圧に応じて弁の開度が決定されるようになっている。なお、この流量調整弁31は、機内ガス圧が小さい場合に閉まり方向に動作するものとしている。
【0028】
ついで、回転電機1a、1bの機内ガス圧が異なる3つのケースについて具体的に述べる。図2は各ケースにおける密封油の分配状態を示し、各油量(%)は空気側密封油ポンプ16の最大吐出量に対する割合を表している。
まず、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース1について述べる。なお、1次圧調整弁30の基準圧は8kg/cm2に設定されている。
空気側密封油ポンプ16が駆動され、密封油が配管41に送り出される。この時、配管41内の密封油の圧力が1次圧調整弁30のアクチュエータ部に導かれ、該密封油の圧力が1次圧調整弁30の基準圧8kg/cm2を超えると1次圧調整弁30が開弁されて、該密封油が第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。そこで、8kg/cm2に維持された密封油が2本の空気側密封油供給管5に供給される。
各流量調整弁31では、回転電機1a、1bの機内ガス圧と設定基準圧との力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。各差圧調整弁21は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧とがアクチュエータ部に導かれており、それらの差圧が0.85kg/cm2を超えると開弁するように設定されている。そして、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧との差圧が0.85kg/cm2を超えると、第1のバイパス配管42および差圧調整弁21を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。同様に、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧との差圧が0.85kg/cm2を超えると、第1のバイパス配管42および差圧調整弁21を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。そこで、各回転電機1a、1bの空気側油溝3bには、常に機内ガス圧より0.85kg/cm2だけ高い油圧の密封油が供給される。
ここで、空気側密封油ポンプ16の吐出量を100%とした場合、図2のケース1に示されるように、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、20%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、80%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。そして、密封油が流量調整弁31により2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。さらに、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0029】
ついで、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるケース2について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース1に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30を流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、30%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、70%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。
各流量調整弁31では、回転電機1a、1bの機内ガス圧と設定基準圧の圧力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。ここで、回転電機1aの機内ガス圧がケース1と変化がなく、回転電機1a側の流量調整弁31の開度が維持され、回転電機1b側の機内ガス圧が小さくなり、流量調整弁31の開度が小さくなる。そこで、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1と同様に、15%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて減少するが、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、10%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と0kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および0.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0030】
つぎに、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース3について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース1に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30に流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、40%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、60%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。
各流量調整弁31では、回転電機1a、1bの機内ガス圧と設定基準圧の圧力差に応じて開度が決定され、密封油が2つの空気側密封油供給管5に適性配分される。ここで、回転電機1bの機内ガス圧がケース1と等しく、回転電機1b側の流量調整弁31の開度が維持され、回転電機1a側の機内ガス圧が小さくなり、回転電機1a側の流量調整弁31の開度が小さくなる。そこで、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1と同様に、15%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース1に比べて減少するが、10%の油量が差圧調整弁21を空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、10%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が0kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ0.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0031】
このように、この実施の形態3によれば、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設し、配管41から分岐する2本の空気側密封油供給管5の経路中にそれぞれ流量調整弁31を配設し、2本の空気側密封油供給管5と空気側密封油戻り管12との間をそれぞれ連結する2本の第1のバイパス配管42上にそれぞれ差圧調整弁21を配設しているので、1台で機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bのそれぞれに対して各機内ガス圧より一定値だけ高い油圧の密封油を供給できる密封油供給装置が得られる。
そこで、機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bに対して密封油供給装置を1台設置すればよく、据え付け期間の短縮、据え付けスペースの省スペース化が図られる。また、密封油供給装置の台数の削減に伴って保守性が向上され、さらには装置の製作コストの低コスト化が図られる。
また、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設して、分流用三方弁29の1次側に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整できるようにしているので、空気側密封油ポンプ16(17)のポンプ吐出量が大きくても、分流用三方弁29の1次側の圧力の過上昇が防止される。そこで、回転電機の大きさの範囲において、ポンプ吐出量を100%とする1台の空気側密封油ポンプ16(17)を採用することができ、装置の標準設計が可能であり、その分低コスト化が図れるとともに、優れた汎用性が得られる。
【0032】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
この実施の形態4では、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30に代えて、空気側密封油ポンプ16(17)にポンプ吐出量調整手段を設け、空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を低減させている点を除いて、上記実施の形態3と同様に構成されている。なお、ポンプ吐出量調整手段は空気側密封油ポンプの吐出量を調節できるものであればよく、例えばインバータ回路で構成することができる。
【0033】
つぎに、この実施の形態4の動作について図4および図6を参照しつつ説明する。図4は各ケースにおける密封油の分配状態を示し、各油量(%)は空気側密封油ポンプ16の最大吐出量に対する割合を表している。
図4におけるケース1は上記実施の形態1による密封油供給装置の適用例を示している。ここで、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を省略した場合、ケース4に示されるように、1次圧調整弁30を介してバイパスされていた20%の油量分は2つの差圧調整弁21を介してバイパスされることになる。しかしながら、空気側密封油ポンプ16(17)の100%の吐出量が配管41を介して直接2つの空気側密封油供給管5に供給されてしまい、流量調整弁31の1次側の圧力が過上昇してしまうことになる。この圧力の過上昇に起因して、機器の損傷をもたらすことになる。
この実施の形態4では、図4のケース5に示されるように、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を80%に調整している。そこで、流量調整弁31の1次側の圧力は、ケース1の場合と等しくなり、第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を省略したことによる1次側の圧力の過上昇がなく、機器の損傷を未然に防止することができる。
【0034】
この実施の形態4によれば、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を調整できるようにしているので、空気側密封油ポンプより送り出された密封油の油圧をバイパス調整する1次圧調整弁30を省略することができ、構成の簡素化が図られる。また、回転電機が大きさに合わせて空気側密封油ポンプ16(17)の吐出量を調整でき、流量調整弁31の1次側の圧力の過上昇を防止して機器の損傷を回避することができるとともに、回転電機に必要な最大密封油量から最小密封油量までの範囲を密封油量の過不足なく制御できる。
なお、上記実施の形態4では、ポンプ吐出量調整手段により空気側密封油ポンプの吐出量を調整するものとしているが、回転電機の大きさに合わせて、空気側密封油ポンプを逐一設計するようにしてもよい。
【0035】
実施の形態5.
図7はこの発明の実施の形態5に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
この実施の形態5では、2本の空気側密封油供給管5が配管41から分岐して各回転電機1a、1bの空気側油溝3bに接続され、1次圧調整弁30が空気側密封油ポンプ16、17の吸入側と吐出側とを接続する第2のバイパス配管43上に設けられ、差圧調整弁21が各空気側密封油供給管5に直列に配設されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0036】
ついで、回転電機1a、1bの機内ガス圧が異なる3つのケースについて具体的に述べる。図8は各ケースにおける密封油の分配状態を示し、各油量(%)は空気側密封油ポンプ16の最大吐出量に対する割合を表している。
まず、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース6について述べる。なお、1次圧調整弁30の基準圧は8kg/cm2に設定されている。
空気側密封油ポンプ16が駆動され、密封油が配管41に送り出される。この時、配管41内の密封油の圧力が1次圧調整弁30のアクチュエータ部に導かれ、該密封油の圧力が1次圧調整弁30の基準圧8kg/cm2を超えると1次圧調整弁30が開弁されて、該密封油が第2のバイパス配管43および1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻される。そこで、8kg/cm2に維持された密封油が2本の空気側密封油供給管5に供給される。
各差圧調整弁21では、回転電機1a、1bの機内ガス圧と空気側油溝3bに供給される密封油の油圧とがアクチュエータ部に導かれており、それらの差圧が0.85kg/cm2となるように開度を調整するように設定されている。そこで、各回転電機1a、1bの空気側油溝3bには、常に機内ガス圧より0.85kg/cm2だけ高い油圧の密封油が供給される。
ここで、空気側密封油ポンプ16の吐出量を100%とした場合、図8のケース6に示されるように、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、40%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、60%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。そして、密封油は2つの差圧調整弁21により回転電機1a側の空気側密封油供給管5に35%の油量に、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に25%の油量に配分される。そこで、35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給され、25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0037】
ついで、回転電機1aの機内ガス圧が5kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるケース7について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1bの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース6に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30を流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、55%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、45%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。
回転電機1b側の差圧調整弁21のアクチュエータ部には、回転電機1bの機内ガス圧0kg/cm2が導かれているので、差圧調整弁21の開度が閉じる方向に動作し、密封油の供給量が絞られる。一方、回転電機1a側の差圧調整弁21のアクチュエータ部には、回転電機1aの機内ガス圧5kg/cm2が導かれているので、差圧調整弁21の開度がケース6と同じに維持され、密封油の供給量も維持される。そこで、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース6と同様に、35%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース6に比べて減少し、10%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が5kg/cm2と0kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ5.85kg/cm2および0.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0038】
つぎに、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2、回転電機1bの機内ガス圧が4kg/cm2であるケース8について述べる。
空気側密封油ポンプ16の吐出量は100%となっている。ここで、回転電機1aの機内ガス圧が0kg/cm2であるので、ケース6に比べて必要密封油量が減少し、その分1次圧調整弁30に流れるバイパス量が増加する。そこで、空気側密封油ポンプ16から送り出された密封油は、65%の油量が1次圧調整弁30を介して空気側密封油ポンプ16の吸入側に戻され、60%の油量が2つの空気側密封油供給管5に供給される。
回転電機1a側の差圧調整弁21のアクチュエータ部には、回転電機1aの機内ガス圧0kg/cm2が導かれているので、差圧調整弁21の開度が閉じる方向に動作し、密封油の供給量が絞られる。一方、回転電機1b側の差圧調整弁21のアクチュエータ部には、回転電機1bの機内ガス圧4kg/cm2が導かれているので、差圧調整弁21の開度がケース6と同じに維持され、密封油の供給量も維持される。そこで、回転電機1a側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース6に比べて減少し、10%の油量が回転電機1aの空気側油溝3bに供給される。また、回転電機1b側の空気側密封油供給管5に送り込まれた密封油は、ケース6と同様に、25%の油量が回転電機1bの空気側油溝3bに供給される。
このようにして、機内ガス圧が0kg/cm2と4kg/cm2との回転電機1a、1bに対して1台の密封油供給装置からそれぞれ0.85kg/cm2および4.85kg/cm2に維持された密封油が供給される。
【0039】
このように、この実施の形態5によれば、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設し、配管41から分岐する2本の空気側密封油供給管5の経路中にそれぞれ差圧調整弁21を配設しているので、1台で機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bのそれぞれに対して各機内ガス圧より一定値だけ高い油圧の密封油を供給できる密封油供給装置が得られる。
そこで、機内ガス圧の異なる2台の回転電機1a、1bに対して密封油供給装置を1台設置すればよく、据え付け期間の短縮、据え付けスペースの省スペース化が図られる。また、密封油供給装置の台数の削減に伴って保守性が向上され、さらには装置の製作コストの低コスト化が図られる。
また、配管41と空気側密封油戻り管12との間を連結する第2のバイパス配管43上に1次圧調整弁30を配設して、分流用三方弁29の1次側に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整できるようにしているので、空気側密封油ポンプ16(17)のポンプ吐出量が大きくても、差圧調整弁211次側の圧力の過上昇が防止される。そこで、回転電機の大きさの範囲において、ポンプ吐出量を100%とする1台の空気側密封油ポンプ16(17)を採用することができ、装置の標準設計が可能であり、その分低コスト化が図れるとともに、優れた汎用性が得られる。
【0040】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0041】
この発明によれば、2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記第1の空気側密封油供給管を介して供給される密封油を上記2台の水素冷却回転電機の機内ガス圧の割合に応じて上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれに適性配分する流量調整手段、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれと上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する2本の第1のバイパス配管および該2本の第1のバイパス配管の各経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記各水素冷却回転電機に供給される密封油の油圧を上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力に調整する2つの差圧調整弁を有する1つの空気側回路とを備えているので、2台の水素冷却回転電機の必要密封油量に合わせて空気側密封油ポンプの吐出量を調節して、流量調整手段の1次側の圧力の過上昇を防止でき、各差圧調整弁が流量調整手段により適性分配された密封油の一部をバイパスさせて各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力に調整できる。そこで、異なる機内ガス圧の2台の水素冷却回転電機に対して1台で密封油を供給でき、据え付け期間の短縮および据え付けスペースの省スペース化が図られ、使用する機器の台数の削減に伴う保守性が向上でき、さらには装置の製作コストの低コスト化が図られる水素冷却回転電機の密封油供給装置が得られる。
【0042】
また、空気側回路は、第1の空気側密封油供給管の空気側密封油冷却器の下流側と空気側密封油戻り管の空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する第2のバイパス配管と、この第2のバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し流量調整手段に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁とを備えたので、1次圧調整弁が空気側密封油ポンプから送り出される密封油の一部をバイパスさせて2台の水素冷却回転電機の必要密封油量に合わせて油量を調整でき、流量調整手段の1次側の圧力の過上昇を防止できる。そこで、2台の水素冷却回転電機の必要密封油量の変動に拘わらず、所定の吐出量の空気側密封油ポンプを適用できるようになり、装置の標準設計可能となり、装置の製作コストの低コスト化が図られるとともに、優れた汎用性が得られる。
【0043】
また、流量調整手段が、第1の空気側密封油供給管と2本の第2の空気側密封油供給管との分岐点に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する三方弁で構成されているので、流量調整手段を簡素な構成で構成することができる。
【0044】
また、流量調整手段が、2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する2つの流量調整弁で構成されているので、流量調整手段を簡素な構成で構成することができる。
【0045】
また、2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて上記各水素冷却回転電機の上記空気側油溝に供給される密封油の油圧が上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力となるように調整する2つの差圧調整弁、上記第1の空気側密封油供給管の上記空気側密封油冷却器の下流側と上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結するバイパス配管およびこのバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記2本の第2の空気側密封油供給管に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁を有する1つの空気側回路とを備えたので、1次圧調整弁が空気側密封油ポンプから送り出される密封油の一部をバイパスさせて2台の水素冷却回転電機の必要密封油量に合わせて油量を調整でき、流量調整手段の1次側の圧力の過上昇を防止でき、各差圧調整弁が各水素冷却回転電機の空気側油溝に供給される密封油の油圧を各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力となるように調整できる。そこで、異なる機内ガス圧の2台の水素冷却回転電機に対して1台で密封油を供給でき、据え付け期間の短縮および据え付けスペースの省スペース化が図られ、使用する機器の台数の削減に伴う保守性が向上でき、さらに装置の製作コストの低コスト化が図られ、さらには2台の水素冷却回転電機の必要密封油量の変動に拘わらず、所定の吐出量の空気側密封油ポンプを適用できるようになり、装置の標準設計可能となり、装置の製作コストの低コスト化が図られるとともに、優れた汎用性の水素冷却回転電機の密封油供給装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における密封油の分配状態を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【図4】 この発明の実施の形態2における密封油の分配状態を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態3に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【図6】 この発明の実施の形態4に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【図7】 この発明の実施の形態5に係る密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【図8】 この発明の実施の形態5における密封油の分配状態を示す図である。
【図9】 従来の密封油供給装置を機内ガス圧の異なる2台の回転電機への密封油供給に適用した場合の系統図である。
【符号の説明】
1a、1b 水素冷却回転電機、3 密封器、3a 水素側油溝、3b 空気側油溝、4 第2の水素側密封油供給管(水素側密封油供給管、水素側回路)、5 空気側密封油供給管(第2の空気側密封油供給管、空気側回路)、6 泡取り器(水素側回路)、7 水素側密封油排油管(水素側回路)、9 ループシールタンク(空気側回路)、12 空気側密封油戻り管(空気側回路)、13 水素ガス遮断槽(水素側回路)、15 水素側密封油ポンプ(水素側回路)、16、17 空気側密封油ポンプ(空気側回路)、21 差圧調整弁(空気側回路)、22 空気側密封油冷却器(空気側回路)、26 水素側密封油冷却器(水素側回路)、28 均圧弁(水素側回路)、29 分流用三方弁(流量調整手段、空気側回路)、30 1次圧調整弁(空気側回路)、31 流量調整弁(流量調整手段、空気側回路)、40 第1の水素側密封油供給管(水素側密封油供給管、水素側回路)、41 配管(第1の空気側密封油供給管、空気側回路)、42第1のバイパス配管(空気側回路)、43 第2のバイパス配管(空気側回路)。

Claims (5)

  1. 2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、
    それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、
    上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記第1の空気側密封油供給管を介して供給される密封油を上記2台の水素冷却回転電機の機内ガス圧の割合に応じて上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれに適性配分する流量調整手段、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれと上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する2本の第1のバイパス配管および該2本の第1のバイパス配管の各経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記各水素冷却回転電機に供給される密封油の油圧を上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力に調整する2つの差圧調整弁を有する1つの空気側回路
    とを備えたことを特徴とする水素冷却回転電機の密封油供給装置。
  2. 空気側回路は、第1の空気側密封油供給管の空気側密封油冷却器の下流側と空気側密封油戻り管の空気側密封油ポンプの上流側との間を連結する第2のバイパス配管と、この第2のバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し流量調整手段に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁とを備えたことを特徴とする請求項1記載の水素冷却回転電機の密封油供給装置。
  3. 流量調整手段が、第1の空気側密封油供給管と2本の第2の空気側密封油供給管との分岐点に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する三方弁で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水素冷却回転電機の密封油供給装置。
  4. 流量調整手段が、2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて各第2の空気側密封油供給管を流れる密封油の流量を調整する2つの流量調整弁で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水素冷却回転電機の密封油供給装置。
  5. 2台の水素冷却回転電機のそれぞれの両側に設けられた密封器の水素側油溝および空気側油溝にそれぞれ別個に密封油を供給する密封油供給装置であって、
    それぞれ、上記水素側油溝から排出される密封油を一時滞留させる泡取り箱、この泡取り箱に水素側密封油排油管を介して接続されて上記水素冷却回転電機内の水素ガスの外部への漏出を防止する水素ガス遮断槽、この水素ガス遮断槽と上記水素側油溝とを接続する水素側密封油供給管、この水素側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を上記水素側油溝に供給する水素側密封油ポンプ、上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油ポンプの下流側に配設されて密封油を冷却する水素側密封油冷却器および上記水素側密封油供給管の経路中の上記水素側密封油冷却器の下流側に配設されて密封油の油圧を調整する均圧弁を有する2つの水素側回路と、
    上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝から排出される密封油をそれぞれ一時停滞させて該密封油内の水素ガスおよび空気を排気する2つのループシールタンク、空気側密封油ポンプ、上記2つのループシールタンクと上記空気側密封油ポンプの吸入側とを接続する空気側密封油戻り管、一端が上記空気側密封油ポンプの吐出側に接続された第1の空気側密封油供給管、一端が上記2台の水素冷却回転電機の上記空気側油溝にそれぞれ接続され、他端が上記第1の空気側密封油供給管の他端に接続された2本の第2の空気側密封油供給管、上記第1の空気側密封油供給管の経路中に配設されて密封油を冷却する空気側密封油冷却器、上記2本の第2の空気側密封油供給管のそれぞれの経路中に配設されて上記各水素冷却回転電機の上記空気側油溝に供給される密封油の油圧が上記各水素冷却回転電機の機内ガス圧に対して一定圧力高い圧力となるように調整する2つの差圧調整弁、上記第1の空気側密封油供給管の上記空気側密封油冷却器の下流側と上記空気側密封油戻り管の上記空気側密封油ポンプの上流側との間を連結するバイパス配管およびこのバイパス配管の経路中に配設されて密封油の一部を上記空気側密封油ポンプの吸入側に戻し上記2本の第2の空気側密封油供給管に供給される密封油の油圧を所定の圧力に調整する1次圧調整弁を有する1つの空気側回路とを備えたことを特徴とする水素冷却回転電機の密封油供給装置。
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