JP3741029B2 - 気体流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体の流量を計測する装置に関する。特には自動車エンジンの制御に用いる気体流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの吸入空気量を検出する発熱抵抗体式気体流量計がある。この発熱抵抗体式気体流量計は気体通路中に配置された発熱抵抗体が所定温度に加熱され、その加熱電流から吸入空気量を検出するように構成されている。
【0003】
この発熱抵抗体式気体流量計の出力信号は、電圧出力のほかに、エンジンコントロールユニットでの測定誤差を低減するため、外部基準電圧に比例させた信号に変換して出力するレシオメトリック電圧出力,パルス出力などの方式がある。
【0004】
レシオメトリック電圧出力の発熱抵抗体式気体流量計の例としては、特開平2−85724号公報に記載された吸入空気量検出装置がある。この公報記載の吸入空気量検出装置では、吸入空気量検出回路からの出力信号を、エンジンコントロールユニットのアナログ・デジタル変換器に供給される基準電圧の変動に応じて補正し、アナログ・デジタル変換器に出力する補正回路(レシオメトリック回路)が備えられている。このレシオメトリック回路により、アナログ・デジタル変換器に供給される基準電圧の変動に関係なく正確な吸入空気量を検出可能な吸入空気流量計が実現される。
【0005】
また、パルス出力の発熱抵抗体式気体流量計の例としては、特許2846613 号公報に記載された空気流量計がある。この公報記載の空気流量計では、空気流量検出回路からの出力電圧は電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscilator:VCO)によって電圧の値に比例した周波数をもつパルス電圧に変換され、出力されるようになっている。
【0006】
さらに最近では、気体流量計の調整精度の向上を図るため、特許3073089 号公報に記載された空気流量計のように、空気量検出回路からの出力電圧をデジタル信号に変換後、デジタル調整してアナログ信号に戻して出力させる方法もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平2−85724号公報に記載された従来技術にあっては、発熱抵抗体に流れる電流が大きくなると、基準電位(GND)配線抵抗による電圧降下が大きくなり、レシオメトリック回路の基準電位となる接地電位が、エンジンコントロールユニットの基準電位となる接地電位より高くなり、レシオメトリック回路の増幅率が低下するため、誤差が発生し、気体流量計の出力信号の精度が低下するという問題点があった。
【0008】
また、気体流量計の出力がパルス出力の場合、センサの調整手段がデジタル補正方式だとデジタル値から直接パルス出力にした方が回路構成が小さくなるが、この場合発振器を用いる必要がある。発振器として、IC上に集積化できるCR発振器を用いると、抵抗の温度特性が大きいので、基準としている発振周波数が変わって、出力パルスの周波数が変わり、誤差が発生するという問題点があった。
【0009】
本発明の目的はパルス出力型気体流量計において、温度変化による出力誤差の小さい気体流量計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エンジンコントロールユニットに気体流量をパルス信号として出力する気体流量計であって、気体通路中に配置される抵抗体に流れる電流または発生電圧を検出することにより、前記気体通路中を流れる気体流量を検出する気体流量検出手段と、前記気体流量検出手段からの信号をゼロ点/スパン調整する調整手段と、外部のエンジンコントロールユニットから入力された基準周波数に基づいて、前記調整手段からの信号を前記パルス信号に変換するパルス変換手段とを備えたことにより達成される。
【0011】
(1)気体通路中に配置される抵抗体に流れる電流や発生電圧を検出することにより、前記気体通路中を流れる気体流量を電圧信号として出力する気体流量検出回路と、検出した気体流量に基づいた信号をゼロ点/スパン調整して出力する調整回路を備えた気体流量計において、外部基準周波数に比例させた信号に変換して出力するパルス出力回路を備える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、気体流量計の一例であるパルス出力型発熱抵抗体式気体流量計について、図示の実施例により詳細に説明する。図1は本発明の実施例であるパルス出力型発熱抵抗体式気体流量計10、ならびにエンジンコントロールユニット200との接続を表わした概略回路構成図である。
【0016】
まず、気体流量検出回路20については、主に、演算増幅器110,パワートランジスタ25,発熱抵抗体(ホットワイヤ、あるいは熱線などとも呼ばれる)21,気体温度測定抵抗体(コールドワイヤ、あるいは冷線などとも呼ばれる)22,抵抗23,24から構成され、また、調整回路については、主に、アナログ・デジタル変換器121,122、温度センサ130,デジタル演算器140,RAM141,ROM142,EEPROM143などのメモリ、パルス出力回路150,発振器160などからなる。これらの要素のうち、演算増幅器110,アナログ・デジタル変換器121,122,温度センサ130,デジタル演算器140,RAM141,ROM142,EEPROM143などのメモリ,パルス出力回路150,発振器160は1チップの集積回路100上にまとめることが可能である。
【0017】
気体流量検出回路20は、発熱抵抗体21の温度を常に一定にする、つまり、演算増幅器110でブリッジバランスを保って、抵抗値を一定にする回路であり、気体流量が多いほど、発熱抵抗体21からの放熱が増えるので、加熱電流が増える。この加熱電流は、抵抗23の両端の電圧に比例するので、この電圧を測定すれば気体流量を検出できる。
【0018】
電流検出抵抗23で変換された電圧出力をアナログ・デジタル変換器121にてデジタル値に変換する。また、温度センサ130出力もアナログ・デジタル変換器122にてデジタル値に変換する。これら2つのデジタル値をデジタル演算器140に入力し、ROM142に記憶されている所定のプログラムによりゼロ点・スパン調整、およびアナログ・デジタル変換器121などの温度補正を計算にて行い、その結果をデジタル出力する。なお、この演算におけるゼロ点・スパンの調整係数は、EEPROMなどのメモリ143に予め記憶されている。また、デジタル演算器140は、非線形な演算が容易であるため、出力の調整において、ゼロ点・スパン調整のみならず、非線形調整を容易に行うことが可能である。この非線形調整により、調整精度は±2%以下となる。計算結果のデジタル信号はパルス出力回路150に入力し、パルス信号に変換して所望の気体流量に対するパルス出力を得る。
【0019】
パルス出力回路の基準周波数は内部の発振器160からの周波数と例えばエンジンコントロールユニット200などの外部発振器210からの基準周波数を必要に応じて切り替えられるようにスイッチ170を設けている。内部発振器160については集積化しやすいようにCR発振器を用いる。CR発振器に用いられる抵抗は、温度係数が大きく、温度変化により周波数が変化する。この温度変化による発振周波数の変化は、チップ内部の温度センサ130の出力を用いて補正が可能であるが、完全にゼロに補正することは不可能である。一方、エンジンコントロールユニット200の発振器210には温度安定性の高い水晶発振器からの周波数を用いているので、この安定した周波数を気体流量計10のパルス出力の基準周波数に用いることにより、温度変化に対しても誤差のない出力を得ることができる。また、気体流量計10からエンジンコントロールユニット200に入力されるパルス信号はカウンタ211で測定されるが、このカウンタ211も同じ基準周波数を用いているので、測定安定性が良くなる。
【0020】
次に、図2にパルス出力回路150の概略回路構成の一例を示す。パルス出力回路150は、カウンタ151,T−フリップフロップ152,定数発生器153,スイッチ154,遅延器155,加減算器156により構成される。図3に回路の動作チャートを示す。カウンタ151ではクロック入力がHiとなる毎にカウンタ151のカウンタ値から入力デジタル値を減算する。このカウンタは例えば図4に示すように、遅延器157とマイナスのときにHiを出力する符号判定回路158、および加算器159から構成される。カウンタ151のカウンタ値がマイナスとなって、カウンタ出力がLo→Hiとなると、T−フリップフロップ152は出力を反転させ、さらに、次のクロック入力で、定数発生器153とカウンタ151の間にあるスイッチ154に遅延器155からの出力でトリガをかけて、カウンタ151にある定数値を加える。これにより、カウンタ151のカウンタ値は正となって、カウンタ出力はHi→Loとなる。この動作の繰り返しにより、図3から、このパルス出力回路150のパルス周期Toutの期待値は、
Tout=(定数/入力値)×T×2
であることが容易に導かれる。ここでTはクロックの周期とする。
【0021】
したがって、周波数は周期の逆数であるから、デジタル入力値に比例した周波数を持つパルス出力が得られる。
【0022】
本実施例によれば、パルス出力型気体流量計において、エンジンコントロールユニットなどから外部周波数基準を用いることにより、内部発振器の温度特性を無視できるので、温度変化による出力パルス信号の誤差がなくなる。気体流量計からエンジンコントロールユニットに入力されるパルス信号はカウンタで測定されるが、このカウンタも同じ基準周波数を用いているので、測定安定性が良くなる。
【0023】
また、簡単な回路構成で精度のよいパルス出力回路を提供できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、温度変化による出力誤差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるパルス出力型発熱抵抗気体流量計、ならびにエンジンコントロールユニットとの接続を表わした概略回路構成図。
【図2】パルス出力回路の概略回路構成の一例。
【図3】パルス出力回路の動作チャート。
【図4】カウンタの概略構成の一例。
【符号の説明】
10…パルス出力型発熱抵抗体式気体流量計、20…気体流量検出回路、21…発熱抵抗体、22…気体温度測定抵抗体、23,24…抵抗、121,122…アナログ・デジタル変換器、130…温度センサ、140…デジタル演算器、150…パルス出力回路、151,211…カウンタ、152…T−フリップフロップ、153…定数発生器、154…スイッチ、160,210…発振器、170…スイッチ、200…エンジンコントロールユニット。
Claims (3)
- エンジンコントロールユニットに気体流量をパルス信号として出力する気体流量計であって、
気体通路中に配置される抵抗体に流れる電流または発生電圧を検出することにより、前記気体通路中を流れる気体流量を検出する気体流量検出手段と、
前記気体流量検出手段からの信号をゼロ点/スパン調整する調整手段と、
外部のエンジンコントロールユニットから入力された基準周波数に基づいて、前記調整手段からの信号を前記パルス信号に変換するパルス変換手段とを備えたことを特徴とする気体流量計。 - 請求項1において、
前記調整手段はゼロ点/スパン調整した信号をデジタル値として出力し、
前記パルス変換手段は、カウンタ値が負となるとHiを出力するカウンタ、およびカウンタの出力を入力としたT−フリップフロップを有し、前記カウンタはクロック入力が
Hiとなる毎にカウンタ値から入力値を減算し、カウンタ値が負となって、前記気体流量計のパルス出力であるT−フリップフロップの出力が反転し、かつ、カウンタに定数を加えることの繰り返しにより、前記デジタル値に比例した周波数を持つパルス信号を発生することを特徴とする気体流量計。 - 請求項1において、
基準周波数を発生させる周波数発生手段と、
前記エンジンコントロールユニットから入力された基準周波数と前記周波数発生手段で発生させた基準周波数とを切り替えて前記パルス変換手段に出力する切替手段とを備え、
前記パルス変換手段が前記切替手段の出力した基準周波数に基づいて、前記調整手段からの信号を前記パルス信号に変換することを特徴とする気体流量計。
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