JP3740933B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートに関し、特に後面衝突時に乗員にかかる衝撃を和らげるようにした車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の後面衝突時の衝撃を和らげるものとして、特開平11−48841号公報に示すシートが知られている。この公報記載のシートでは、シートバックフレームにシートクッションに対して後方に変形可能な連結部が設けられ、該連結部に受圧部材が支持されている。これにより、後面衝突時に乗員の胴部が後方に移動しても受圧部材からの慣性力で連結部が変形するため、胴部に作用する慣性力を緩やかに立ち上げることができ、慣性力のピーク値を減少することができる。その結果、頭部の移動が胴部に追従しやすくなって、後面衝突時の衝撃が緩和される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用シートには、後面衝突時の衝撃緩和機能とともに、通常運転時の着座性という機能が要求される。そして、衝撃緩和に適したシートの特性(荷重−変位特性)と着座性に適したシートの特性は、通常、異なったものとなる。すなわち、例えば図5に示すように、後面衝突時には、乗員を保護するために特性(b)に示すような柔らかめの特性が好ましいとされ、通常運転時には、乗員のサポート性を高めるために特性(a)に示すような硬めの特性が好ましいとされる。したがって、車両用シートとしては、1つのシートで複数の特性を両立させることが望ましい。しかしながら、上記公報記載のシートは1つの特性しか有しておらず、衝撃緩和機能を満足させつつ所望の着座性を実現することが難しい。
【0004】
本発明の目的は、1つのシートで複数のシート特性を有することが可能で、衝撃緩和機能を満足させつつ所望の着座性を実現することが可能な車両用シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図面を参照して説明する。
(1) 請求項1の発明は、図1に示すような乗員の背部を支持するシートバック1と乗員の臀部を支持するシートクッション3とを含んで構成される車両用シートに適用される。そして、図2〜4に示すように、シートバック1が、少なくとも上部シートバック13および下部シートバック14と、これら上部シートバック13および下部シートバック14をシートクッション3に対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段15U,16U,17Uおよび下部支持手段15D,16D,17Dとを有し、下部シートバック14の動きを上部シートバック13に伝達する伝達手段18U,18D,19を備え、シートバック1の外周には、高剛性部材たるシートバックフレーム10R , 10Lが設けられ、上部シートバック13および下部シートバック14のそれぞれが、上部支持手段15U , 16U,17Uおよび下部支持手段15D , 16D , 17Dによってシートバックフレーム10R , 10Lに移動可能に支持され、上部支持手段または下部支持手段の少なくとも一方が、シートバックフレーム10R , 10Lと上部シートバック13および下部シートバック14とのいずれか一方に形成された溝15U , 15Dと、この溝15U , 15Dに係合するように他方に設けられた係合部材16U , 16Dとからなることにより、上述した目的は達成される。
(2) 請求項2の発明は、乗員の背部を支持するシートバック1と乗員の臀部を支持するシートクッション3とを含んで構成される車両用シートに適用される。そして、シートバック1が、少なくとも上部シートバック13および下部シートバック14と、これら上部シートバック13および下部シートバック14をシートクッション3に対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段15U , 16U , 17Uおよび下部支持手段15D , 16D , 17Dとを有し、下部シートバック14の動きを上部シートバック13に伝達する伝達手段18U , 18D , 19を備え、伝達手段が、下部シートバック14の動きを上部シートバック13に増幅させて伝達する増幅機構18U ', 18D , 19を備えることにより、上述した目的は達成される。
(3) 請求項3の発明は、乗員の背部を支持するシートバック1と乗員の臀部を支持するシートクッション3とを含んで構成される車両用シートに適用される。そして、シートバック1が、少なくとも上部シートバック13および下部シートバック14と、これら上部シートバック13および下部シートバック14をシートクッション3に対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段15U , 16U , 17Uおよび下部支持手段15D , 16D , 17Dとを有し、下部シートバック14の動きを上部シートバック13に伝達する伝達手段18U , 18D , 19を備え、伝達手段が、上部支持手段15U , 16U , 17Uと下部支持手段15D , 16D , 17Dとを連結するXリンク機構21 , 22を有することにより、上述した目的は達成される。
(4) 請求項4の発明は、請求項2または3に記載の車両用シートにおいて、シートバック1の外周に高剛性部材たるシートバックフレーム10R , 10Lが設けられ、上部シートバック13および下部シートバック14のそれぞれが、上部支持手段15U , 16U , 17Uおよび下部支持手段15D , 16D , 17Dによってシートバックフレーム10R , 10Lに移動可能に支持されるものである。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載の車両用シートにおいて、上部支持手段または下部支持手段の少なくとも一方が、シートバックフレーム10R , 10Lと上部シートバック13および下部シートバック14とのいずれか一方に形成された溝15U , 15Dと、この溝15U , 15Dに係合するように他方に設けられた係合部材16U , 16Dとからなるものである。
(6) 請求項6の発明は、請求項1,4,5のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、上部支持手段15U , 16U , 17Uおよび下部支持手段15D , 16D , 17Dが、乗員の肩部に対応する上部シートバック13と乗員の腰部に対応する下部シートバック14とをシートバックフレーム10R , 10Lから後方移動するように設けられるもので ある。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、乗員からの荷重入力に対する上部支持部材15U , 16U , 17Uの支持剛性を下部支持部材15D , 16D , 17Dの支持剛性より小さく設定する設定手段18U , 18D , 19を設けたものである。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、伝達手段18U , 18D , 19が、下部支持手段15D , 16D , 17Dによる下部シートバック14の後方への動きを上部支持手段15U , 16U , 17Uを介して上部シートバック13に伝達し、上部シートバック13をシートクッション3に対して後方移動させるものである。
(9) 請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、伝達手段が、上部支持手段15U , 16U , 17Uと下部支持手段15D , 16D , 17Dとを連結するワイヤ19と、そのワイヤ19を導く滑車部材18U , 18Dとを有するものである。
【0006】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の効果】
本発明では、上部シートバックと下部シートバックとをシートクッションに対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に設け、下部シートバックの動きを上部シートバックに伝達する伝達手段を備えるようにした。これにより、後面衝突時等に下部シートバックが後方移動すると上部シートバックも後方移動することができ、1つのシートで衝撃緩和機能を満足させつつ所望の着座性を実現することができる。上部シートバックを支持する上部支持手段の支持剛性を下部シートバックを支持する下部支持手段の支持剛性より小さく設定する設定手段を設けるようにしたので、後面衝突時の腰部と肩部の乗員の相対移動量の差が抑制される。下部シートバックの動きを上部シートバックに増幅させて伝達する増幅機構を備えるようにしたので、増幅の割合を変更することで後面衝突時のシート特性を容易に変更することができる。下部シートバックの動きを上部シートバックに伝達する手段としてワイヤと滑車を用いたので、取り回しが容易となり、摺動抵抗も小さい。ワイヤと滑車ではなくXリンク機構を用いたので、サブアッシー状態で組むことができ、組立性が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明の実施の形態に係わる車両用シートの外観を示す斜視図である。図1に示すように、車両用シートは、乗員の背部を支持するシートバック1と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト2と、乗員の臀部を支持するシートクッション3とを含んで構成され、シートバック1の表面はパッドアッセンブリ4で覆われている。なお、シートクッション3には既知のリクライニング機構、シートスライド機構やシートマウントが設けられている。
【0009】
図2はパッドアッセンブリ4を取り除いてシートバック1の構成を示す図である。図2に示すように、シートバック1の左右および上部の外周には高剛性部材たるフレームFRが逆U字形状に連続して設けられている。フレームFRは、左フレーム10L、右フレーム10R、上フレーム10Uからなり、フレーム10L,10R,10Uによってシートバック1の骨格が形成されている。上フレーム10Uにはヘッドレスト2を支持するステー11が取り付けられ、左右フレーム10R,10Lの下端部にはリクライニング機構との連結部12が設けられている。左右フレーム10R,10Lの内側には左右方向に張架されたSバネ13,14がそれぞれ上下に設けられている。上部Sバネ13は乗員の肩部の位置に、下部Sバネ14は腰部の位置に対応して配置され、このSバネ13,14によって乗員は支持される。なお、Sバネ13,14のバネ定数は等しく設定されている。Sバネ13,14は以下のように左右フレーム10R,10Lに取り付けられる。
【0010】
図3は、図2に示すSバネ13の取付部をIII方向から見て示す斜視図であり、図4は、同じ箇所をIV方向から見て示す図である。なお、図3では上部Sバネ13の左側の取り付け部の構成を示しているが、右側の取り付け部の構成および下部Sバネ14の取り付け部の構成も図3と同一であり、その図示は省略する。また、同一の構成を有する上下の部品にはそれぞれ添字UおよびDを付し、それらを区別する。図2〜4に示すように、左右フレーム10R,10LにはSバネ13,14に対応して上下一対のスロット孔15U,15Dが車両前後方向にそれぞれ設けられている。各スロット孔15U,15Dにはストッパー16aを有する連結部材16U,16Dの先端部がスロット孔15U,15Dに沿って移動可能に挿通されている。連結部材16U,16Dの先端は前方に屈曲され、その屈曲部16bにはSバネ13,14の両端部が連結されている。これによって、連結部材16U,16Dには左右方向内側にバネ13,14による引張力が作用し、ストッパー16aの内側端面は左右フレーム10R,10Lの外側側面に当接して、連結部材16U,16Dの左右方向位置が規定される。
【0011】
図3も参照して説明すると、左右フレーム10L,10Rの前側端部10Fと連結部材16U,16Dとはフロントバネ17U,17Dで連結され、このフロントバネ17U,17Dの伸縮によりスロット孔15U,15Dおよび連結部材16U,16Dを介してSバネ13,14は左右フレーム10L,10Rに移動可能に支持される。なお、初期状態では、連結部材16U,16Dはバネ17U,17Dの付勢力によって前方に引っ張られてスロット孔15U,15Dの前側端面に当接し、これによって、連結部材16U,16Dの前後方向位置が規定される。本実施の形態では、各フロントバネ17U,17Dのバネ定数はそれぞれ等しく設定されている。図4に示すように、左右フレーム10L,10Rの内側側面にはスロット孔15Uの直後方およびスロット孔15Dの直前方にそれぞれワイヤガイド18U,18Dが固設されている。このガイド18U,18Dがワイヤ19を導いてワイヤ19は略Z状に掛け回され、ワイヤ19の一端は連結部材16Uの後側に、他端は連結部材16Dの前側にそれぞれ連結されている。なお、ワイヤガイド18U,18Dは、ガイド18U,18Dに対しワイヤ19が摺動するように円筒状に形成され、その先端にはワイヤ19の外れ止め18aが設けられている。
【0012】
次に、第1の実施の形態に係わる車両用シートの動作を説明する。
図2〜4に示すように、初期状態では、フロントバネ17U,17Dの引張力によってガイド16U,16Dはスロット孔15U,15Dの最前部に位置し、これに伴いSバネ13,14も前側に位置する。通常運転時には、乗員の腰部からシートに過大な荷重が作用することはなく、シートの特性(乗員からの荷重入力に対する変位量)はフロントバネ17U,17DおよびSバネ13,14のバネ定数やパッドアセンブリ4のクッション性などによって左右される。この場合、シート全体としてもシート特性は例えば図5の特性(a)のように設定される。これによって、シートは硬めとなり、乗員のサポート性が向上する。
【0013】
後面衝突時には、自車両が急激に前方移動するのに対し乗員はその場に残ろうとするため、乗員は慣性力によってシートバック1に押し付けられ、Sバネ13,14に押付力が作用する。これにより、連結部材16U,16Dを介してフロントバネ17U,17Dが引っ張られ、Sバネ13,14はシートクッション3に対して後方に移動する。このとき、バネ17U,17Dが後面衝突時の衝撃を吸収するので、乗員に作用する負担は軽減する。この場合、腰部と肩部との質量差により、通常は腰部の方により大きな押付力が作用する。その結果、下部連結部材16Dの移動量の方が大きくなるが、本実施の形態では、上下の連結部材16U,16Dがワイヤ19で連結されているため、上部連結部材16Uは下部連結部材16Dにより後方に引っ張られる。これによって、上部Sバネ13のシートクッション3に対する後方移動が促進され、肩部におけるシート特性は硬めの特性(図5の(a))から柔らかめの特性(図5の(b))へと変化する。この特性の変化によって、後面衝突時に腰部と肩部の移動量の差が小さくなり、乗員に作用する負担、とくに頸部に作用する負担が一層軽減される。なお、肩部に作用する押付力の方が大きい場合には、上部連結部材16Uの移動量の方が大きくなるが、その場合にはワイヤ19が弛むので、上部連結部材16Uの動きは下部連結部材16Dに伝達されない。
【0014】
このように第1の実施の形態では次のようにシートを構成した。シートバック1の上下に内蔵されたSバネ13,14を連結部材16U,16Dを介して左右フレーム10R,10Dに前後方向移動可能に連結する。そして、上部連結部材16Uの後側および下部連結部材16Dの前側をガイド18U,18Dを経由してワイヤ19で連結する。したがって、後面衝突時にシートバック1に過大な力が作用したときに、上部連結部材16Uには乗員からの慣性力に加えて下部連結部材16Dからの引張力が作用することとなり、上部Sバネ13のシートクッション3に対する後方移動が促進される。これにより、通常運転時と後面衝突時とでシート特性を異なったものとすることができ、衝撃緩和機能を満足させつつ所望の着座性を実現することが可能となる。また、上下の連結部材16U,16Dの連結にワイヤ19を用いるので、取り回しが容易であり、摺動抵抗も小さい。
【0015】
−第2の実施の形態−
図6は、本発明の第2の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図であり、第1の実施の形態における図4に対応する。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのはワイヤ19の配置についてであり、他は同一である。図6に示すように、上部ワイヤガイド18U'はスロット孔15Uの直後方ではなくやや下方に配置され、スロット孔15Uの中心線CLに対してワイヤ19が所定角θをもって引き回されている。これにより、図6の点線で示すように、下部連結部材16DがΔS0だけ後方移動すると、その移動に伴い上部連結部材16UはΔS0+ΔS1だけ移動し、上部連結部材16Uの移動量の方が大きくなる。その結果、後面衝突時の肩部におけるシート特性は、図5の特性(b)'で示すように、より柔らかめとなる。このようにワイヤガイド18Uの取り付け位置を変更することで、後面衝突時のシート特性を容易に変更することができる。なお、上部ワイヤガイド18Uに限らず下部ワイヤガイド18Dの配置を変更してもよい。
【0016】
−第3の実施の形態−
図7は、本発明の第3の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図であり、第1の実施の形態における図4に対応する。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第3の実施の形態では、ワイヤ19に代えてリンク機構により下部連結部材16Dの動きを上部連結部材16Uに伝達する。図7に示すように、リンク機構は第1リンク21と第2リンク22とを上下に有し、第1リンク21はピン21aにより、第2リンク22はピン22aによりそれぞれフレーム10R,10Lに回動可能に連結されている。第1リンク21の下部にはスロット孔21bが設けられ、スロット孔21bには第2リンク22の上端部に設けられたピン22bがスロット孔21bに沿って移動可能に係合され、いわゆるXリンク機構が形成されている。これによって、第2リンク22が回動すると、その回動量に応じて第1リンク21も回動する。第1リンク21の上端部は上部連結部材16Uの前方に配置され、第2リンク22の下端部は下部連結部材16Dの後方に配置されている。
【0017】
このような構成により、図7に実線で示すように、初期状態では連結部材16Uがそれぞれバネ17Uによって前方に引っ張られ、第1リンク21の上端部は前方に位置する。これによって、リンク機構を介して第2リンク22の下端部も前方に位置し、下部連結部材16Dの後端部に当接する。後面衝突時に下部連結部材16Dが後方に移動すると、図に点線で示すように、第2リンク22の下端部は後方に押し出され、リンク機構を介して第1リンク21は回動し、上部連結部材16Uが点線で示すように後方に押し出される。これによって、上記実施の形態と同様、後面衝突時の肩部におけるシート特性が変化する。この場合、上部連結部材16Uの後方移動によってリンク21,22は回動しないので、上部連結部材16Uの動きは下部連結部材16Dに伝達されない。図7に示したリンク機構はサブアッシー状態でフレーム10R,10Lに取り付けられるので、組立性が向上する。
【0018】
−第4の実施の形態−
図8は、本発明の第4の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図であり、第3の実施の形態における図7に対応する。なお、図7と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第4の実施の形態が第3の実施の形態と異なるのはリンク21,22の回動中心の位置である。すなわち、図8に示すように、リンク21,22の回動中心であるピン21a',22a'は図7のものに比べてそれぞれ下方にずれて配置されている。これにより、第2リンク22の下端部の移動量に対する第1リンク21の上端部の移動量の比(リンク比)が大きくなって、上部連結部材16Uの移動量が増加する。このようにピン21a',22a'の位置を変更することで、後面衝突時のシート特性を容易に変更することができる、なお、両方のピン21a',22a'の位置をずらすのではなく、いずれか一方21a'または22a'の位置をずらすようにしてもよい。
【0019】
−第5の実施の形態−
図9は本発明の第5の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す斜視図、図10は図9の矢視X図であり、それぞれ第1の実施の形態の図2、3に対応する。なお、図2、3と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第1の実施の形態では連結部材16U,16Dを上下に分離して設けたが、第5の実施の形態では上下の連結部材を一体化する。図9,10に示すように、左右フレーム10L,10Rの内側面には連結部材16U,16Dの代わりにプレート23が設けられ、プレート23の上下端部に形成されたフック部23aにそれぞれSバネ13,14、フロントバネ17U,17D、ワイヤ19が連結されている。図10のXI-XI線断面図である図11に示すように、プレート23にはスロット孔15U,15Dに対応して貫通孔23bが開口され、貫通孔23bおよびスロット孔15Uをボルト24aが貫通している。そして、ボルト24aがスロット孔15U,15Dに沿って移動可能となるように、ボルト24aには単なる抜け止め用のナット24bが螺合されている。
【0020】
このような構成により、後面衝突時に下部のボルト24aがスロット孔15Dを介して後方移動すると、ワイヤ19およびプレート23を介し、上部のボルト24aもスロット孔15Uに沿って後方移動する。この場合、スロット孔15U,15Dは図10に示すように円弧状に形成したり、斜め上方または斜め下方に向かって形成してもよい。これにより、下部Sバネ14に対し上部Sバネ13が移動しやすくまたは移動しにくくなって、すなわち、Sバネ13,14の移動量を上下で異なった値とすることができ、後面衝突時のシート特性を調整することができる。なお、プレート23とプレート取付用の部品24a,24bとを別部品とせずに一体としてもよい。また、ワイヤ19をボルト24a側に連結するようにしてもよい。さらに、本実施の形態では、下部のボルト24aの動きはプレート23を介して上部のボルト24aに伝達されるので、場合によってはワイヤ19を省略してもよい。
【0021】
−第6の実施の形態−
図12は本発明の第6の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す斜視図、図13は、図12のSバネ13の取付部をXIII方向から見た図であり、それぞれ第1の実施の形態の図2、3に対応する。なお、図2、3と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第1の実施の形態ではプレート部材によってシートバック1のフレームを構成したが、第6の実施の形態ではパイプ部材によってフレームを構成する。図12、13に示すように、パイプ26にはプレート状のガイド部材25が溶接され、ガイド部材25には前後方向のスロット孔15U,15Dがそれぞれ設けられている。また、ガイド部材25のスロット孔15U,15Dの後方にはワイヤガイド18U,18Dが設けられ、スロット孔15U,15Dの前方にはフロントバネ17U,17Dが連結されている。このように構成された第6の実施の形態は上述した第1の実施の形態と同様に動作する。したがって、プレート部材に限らずパイプ部材によってフレームが構成された場合であっても、同様に本発明を適用することができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、乗員の支持部材としてSバネ13,14を用いたが、他の弾性部材を用いてもよく、また、金属プレート、樹脂プレート、布地、ワイヤ等を用いてもよい。この場合、Sバネ13,14あるいは他の弾性部材等は上下に2つでなく、3つ以上備えてもよい。さらに、上記実施の形態では、後面衝突時の衝撃を吸収するためにフロントバネ17U,17Dを用いたが、他の弾性部材を用いてもよく、また塑性変形や破断により衝撃を吸収するようにしてもよい。さらにまた、上記実施の形態では、Sバネ13,14およびフロントバネ17U,17Dのバネ定数をそれぞれ上下で等しく設定したが、上下で異なった値に設定してもよい。また、上記実施の形態では、連結部材16U,16Dが移動可能となるような溝15U,15Dをフレーム側10L,10R,25に形成するようにしたが、例えばSバネ13,14の左右端部にプレートを接合し、そのプレートに溝を形成するようにしてもよい。さらにまた、上記実施の形態では、Sバネ13,14を支持する構造、すなわちスロット孔15U,15D,連結部材16U,16D,フロントバネ17U,17Dなどを上下で同一としたが、上下で異なる構造としてもよい。
【0023】
なお、以上の実施の形態と請求項との対応において、Sバネ13が上部シートバックを、Sバネ14が下部シートバックを、スロット孔15Uと連結部材16Uとフロントバネ17U、あるいはスロット孔16Uとボルト24aとナット24bとフロントバネ17Uが上部支持手段を、スロット孔15Dと連結部材16Dとフロントバネ17D、あるいはスロット孔16Dとボルト24aとナット24bとフロントバネ17Dが下部支持手段を、ワイヤガイド18U,18U',18Dとワイヤ19、あるいは第1リンク21と第2リンク22、あるいはワイヤガイド18U,18Dとワイヤ19とプレート23が伝達手段を、フレーム10R,10Lあるいはパイプ26がシートバックフレームを、ワイヤガイド18U,18U',18Dとワイヤ19、あるいは第1リンク21と第2リンク22、あるいはワイヤガイド18U,18Dとワイヤ19とプレート23が設定手段をそれぞれ構成する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる車両用シートの外観を示す斜視図。
【図2】第1の実施の形態に車両用シートのシートバックの構成を示す斜視図。
【図3】図2の矢視III図。
【図4】図2の矢視IV図。
【図5】本発明の実施の形態に係わる車両用シートの特性の一例を示す図。
【図6】第2の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図(図2の矢視IV図に相当する図)。
【図7】第3の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図(図2の矢視IV図に相当する図)。
【図8】第4の実施の形態に係わる車両用シートの構成を示す図(図2の矢視IV図に相当する図)。
【図9】第5の実施の形態に車両用シートのシートバックの構成を示す斜視図。
【図10】図9の矢視X図。
【図11】図10のXI-XI線断面図。
【図12】第6の実施の形態に車両用シートのシートバックの構成を示す斜視図。
【図13】図12の矢視XIII図。
【符号の説明】
10R,10L フレーム 13,14 Sバネ
15U,15D スロット孔 16U,16D 連結部材
17U,17D フロントバネ 18U,18U',18D ワイヤガイド
19 ワイヤ 21 第1リンク
22 第2リンク 23 プレート
24a ナット 24b ナット
25 ガイド部材 26 パイプ
Claims (9)
- 乗員の背部を支持するシートバックと乗員の臀部を支持するシートクッションとを含んで構成される車両用シートにおいて、
前記シートバックは、少なくとも上部シートバックおよび下部シートバックと、これら上部シートバックおよび下部シートバックを前記シートクッションに対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段および下部支持手段とを有し、
前記下部シートバックの動きを前記上部シートバックに伝達する伝達手段を備え、
前記シートバックの外周には、高剛性部材たるシートバックフレームが設けられ、前記上部シートバックおよび下部シートバックのそれぞれが、前記上部支持手段および下部支持手段によってシートバックフレームに移動可能に支持され、
前記上部支持手段または下部支持手段の少なくとも一方は、前記シートバックフレームと前記上部シートバックおよび下部シートバックとのいずれか一方に形成された溝と、この溝に係合するように他方に設けられた係合部材とからなることを特徴とする車両用シート。 - 乗員の背部を支持するシートバックと乗員の臀部を支持するシートクッションとを含んで構成される車両用シートにおいて、
前記シートバックは、少なくとも上部シートバックおよび下部シートバックと、これら上部シートバックおよび下部シートバックを前記シートクッションに対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段および下部支持手段とを有し、
前記下部シートバックの動きを前記上部シートバックに伝達する伝達手段を備え、
前記伝達手段は、前記下部シートバックの動きを前記上部シートバックに増幅させて伝達する増幅機構を備えることを特徴とする車両用シート。 - 乗員の背部を支持するシートバックと乗員の臀部を支持するシートクッションとを含んで構成される車両用シートにおいて、
前記シートバックは、少なくとも上部シートバックおよび下部シートバックと、これら上部シートバックおよび下部シートバックを前記シートクッションに対してそれぞれ車両前後方向に移動可能に支持する上部支持手段および下部支持手段とを有し、
前記下部シートバックの動きを前記上部シートバックに伝達する伝達手段を備え、
前記伝達手段は、前記上部支持手段と下部支持手段とを連結するXリンク機構を有することを特徴とする車両用シート。 - 請求項2または3に記載の車両用シートにおいて、
前記シートバックの外周には、高剛性部材たるシートバックフレームが設けられ、前記上部シートバックおよび下部シートバックのそれぞれが、前記上部支持手段および下部支持手段によってシートバックフレームに移動可能に支持されることを特徴とする車両用シート。 - 請求項4に記載の車両用シートにおいて、
前記上部支持手段または下部支持手段の少なくとも一方は、前記シートバックフレームと前記上部シートバックおよび下部シートバックとのいずれか一方に形成された溝と、この溝に係合するように他方に設けられた係合部材とからなることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1,4,5のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
前記上部支持手段および下部支持手段は、乗員の肩部に対応する前記上部シートバックと腰部に対応する下部シートバックとを前記シートバックフレームから後方移動するように設けられることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
乗員からの荷重入力に対する前記上部支持手段の支持剛性を前記下部支持手段の支持剛性より小さく設定する設定手段を設けたことを特徴とする車両用シート。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
前記伝達手段は、前記下部支持手段による前記下部シートバックの後方への動きを前記上部支持手段を介して前記上部シートバックに伝達し、前記上部シートバックをシートク ッションに対して後方移動させることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
前記伝達手段は、前記上部支持手段と下部支持手段とを連結するワイヤと、そのワイヤを導く滑車部材とを有することを特徴とする車両用シート。
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