JP3740827B2 - 二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明の蒸留精製法は、例えば、ハイドロキノン、カテコールなどの二価フェノール類と低級アルコールとをエーテル化反応させて二価フェノールアルキルエーテルを生成した反応液を、二価フェノール類が熱劣化されないように防止すると共に、精製された二価フェノールアルキルエーテルを工業的に容易に得ることができる、二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法に係わる。
【0002】
即ち、本発明の蒸留精製法では、流下膜式リボイラーが付設された蒸留塔を複数組み合わせて用いて、低級アルコール、二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテルなどを主として含有する混合液を連続的に蒸留精製することによって、高温に加熱されると熱分解、変性、熱重合などにより消費されてしまい、熱的にかなり不安定である二価フェノール類などについて蒸留操作中の熱劣化を高いレベルで防止することができ、しかも、その精製された二価フェノールアルキルエーテルを安定的に得ることができる。
【0003】
本発明の蒸留精製法によれば、前述の各蒸留塔における流下膜式リボイラー内などで、濃縮された二価フェノール類を主として含有する該蒸留塔の缶液が極端な高温の熱履歴を受けることがほとんどなくなる。その結果、本発明の蒸留操作において、濃縮された二価フェノール類が実質的に熱劣化することが少なく、従って、該リボイラー内における二価フェノールの熱劣化などによるスケールの発生などを効果的に抑制することができるので、長期間、安定な蒸留操作を行うことができると共に、前記の混合物から各蒸発成分を工業的に容易に安定して分離・精製することができるのである。
【0004】
【従来技術の説明】
従来、ハイドロキノン、カテコールなどの二価フェノール類と低級アルコールとをエーテル化反応させて二価フェノールアルキルエーテルを生成させた反応液は、低級アルコールなどの低沸物と、二価フェノール、二価フェノールアルキルエーテルなどの高沸物とを含有しており、通常の蒸留操作でも高温下で分離・精製されていたが、熱劣化性の高い二価フェノール類が蒸留操作中に濃縮されて高温に曝されるとかなり熱劣化して、消費されてしまったり、また、蒸留塔のリボイラー(加熱器)内に熱劣化物が付着して、長期間の蒸留操作を妨げていたのである。
【0005】
二価フェノールアルキルエーテルを製造する方法において、その反応液である低級アルコール、二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテルを主として含有する混合液をそれぞれの各成分に分離・精製する方法は、前述の二価フェノール類の熱劣化を生じることなく実施することができる蒸留操作が、今まで具体的に提案されていなかった。
【0006】
一方、流下膜式リボイラーを有する減圧式(真空式)蒸留塔は、塔底の缶液を余り高温に加熱することなく、減圧下でも蒸留操作を行うことができるというメリットなどがあるので、高沸物を比較的低温で処理したい場合の種々の蒸留操作において用いうることが知られていた。
【0007】
しかし、前記の流下膜式リボイラーを有する蒸留塔(減圧式等)に前記の反応液(混合液)を供給して、何らの問題もなく、例えば、前記の流下膜式リボイラー内に形成される前記の混合液の缶液の流下膜が、該リボイラー内の伝熱管の内面(伝熱面)で高温の熱履歴を受けてしまうという問題などを生じることもなく、蒸留操作を安定して行うことができるかどうか知られていなかった。
【0008】
【本発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、低級アルコール、二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテルを主として含有する混合液を各成分に分離・精製することができ、しかも濃縮された二価フェノールの熱劣化をほとんど起こすことがない蒸留操作法(蒸留精製法)を新たに提供することである。
本発明の目的は濃縮された二価フェノール類が蒸留塔の底部におけるリボイラー(加熱器)内で熱劣化することを防止し、長期間、安定的にかつ高収率で蒸留操作できる二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法を提供することである。
【0009】
【問題点を解決する手段】
本発明は、低級アルコールを含む低沸物と、二価フェノール類及び二価フェノールアルキルエーテルを含有する高沸物との混合液を、流下膜式リボイラーが設けられた第1蒸留塔へ供給して、低級アルコールを主成分とする第1留分を第1蒸留塔の塔頂から回収しながら、一方、第1蒸留塔の塔底から、濃縮された二価フェノール類と二価フェノールアルキルエーテルとを主として含有し、低沸物を実質的に含有していない第1缶液を抜き出すという第1蒸留塔における第1の蒸留操作を行い、次いで、前記の第1蒸留塔から抜き出された第1缶液を、流下膜式リボイラーが設けられた第2蒸留塔へ供給して、二価フェノールアルキルエーテルを主成分とする第2留分を第2蒸留塔の塔頂から回収しながら、一方、第2蒸留塔の塔底から、濃縮された二価フェノール類を主として含有していて、低沸物と二価フェノールアルキルエーテルとを実質的に含有していない第2缶液を抜き出すという第2蒸留塔における第2の蒸留操作を行って、蒸留精製のみによって二価フェノールアルキルエーテルを得ることを特徴とする二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法に関する。
【0010】
以下、本発明の蒸留精製法について、図面も参考にして、さらに詳しく説明する。図1は、本発明の蒸留精製法で使用される蒸留塔の一例を示す。図2は、本発明の蒸留精製法に使用される複数の蒸留塔による蒸留操作の工程の一例を示すフロー図である。図3は、本発明の蒸留精製法に使用される蒸留操作の工程の他の例を示すフロー図である。
【0011】
本発明の蒸留精製法においては、図2のフロー図に示すように、流下膜式リボイラー23、33をそれぞれ有すると共に、互いに高沸物抜き出しライン28と供給ライン31で連結されている第1及び第2蒸留塔20、30が使用され、前述の低沸物と高沸物との混合液を供給ライン21から第1蒸留塔20に供給して、その第1蒸留塔20で低級アルコールを含む低沸物(第1留分)を抜き出しライン27から留出させて得るという第1の蒸留操作を行う共に、続いて、第1蒸留塔20の第1缶液を、缶液抜き出しライン22、高沸物抜き出しライン28及び供給ライン31経由で第2蒸留塔30へ供給し、その第2蒸留塔30で二価フェノールアルキルエーテル(第2留分)を抜き出しライン37より留出させるという第2の蒸留操作を行うことにより、二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法を行うことができる。
【0012】
また、本発明の蒸留精製法においては、図3のフロー図に示すように、流下膜式リボイラー23、33及び43をそれぞれ有すると共に、順次連結されている第1〜第3蒸留塔20、30及び40が使用されており、そして、その各蒸留塔において、低級アルコール(第1留分)、二価フェノールアルキルエーテル(第2留分)、及び、二価フェノール類(第3留分)を、それぞれ順次留出させて得るという、前記の第1〜第2の蒸留操作に加えて第3の蒸留操作を連続して行うことにより、二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法を行うこともできる。
【0013】
本発明の蒸留精製法で使用される蒸留塔としては、例えば、図1に示すような、流下膜式リボイラー3と缶液輸送手段4、精留部分9(例えば、充填式、棚段式など)、及び、蒸留塔の塔頂から留出する蒸気の冷却手段5と気液分離槽6が有機的に種々の配管で連結して設けられているという基本的な構成を有しているような、流下膜式リボイラーを付設した蒸留塔1であればよい。
【0014】
即ち、本発明の蒸留精製法に用いることができる蒸留塔としては、図1に示すように、前述のリボイラーの胴部内で平行に直立している伝熱管13を多数内蔵していて、熱媒が伝熱管13の周辺へ供給されるための熱媒供給ライン16と熱媒排出ライン17とを備えた流下膜式リボイラー3、そして、蒸留塔1の缶液10を缶液ライン11経由で抜き出して該リボイラー3の上部へ缶液ライン12経由で供給する缶液輸送手段4、および、リボイラー3で生じた蒸気と未蒸発缶液との気液混合物をリボイラーの下部から蒸留塔1の底部(缶液の液面の上方)へ供給する気液供給ライン14を有すると共に、さらに、精留部分9(例えば、充填層、多数の棚段層など)、蒸留塔1の塔頂から出てくる留分(軽質分)を冷却する手段5、その冷却手段5の気液分離器6、還流ライン15、留分(軽質分)の抜き出しライン7などをそれぞれ有する蒸留塔1を、挙げることができる。
【0015】
前記の蒸留塔は、図1に示すように、例えば、(A)まず、二価フェノール類含有混合液を供給ライン2から該蒸留塔1の中央部付近へ供給して、(B)前述のように、缶液ライン11、12及び気液供給ライン14で連結されている該蒸留塔1の底部(下部)と缶液輸送手段4と流下膜式リボイラー3と該蒸留塔1の底部の缶液の液面の上方とからなる部分において、a)蒸留塔1の缶液10を抜き出し、缶液の輸送手段4で前記リボイラー3へ供給して、該リボイラー3の多数の伝熱管13の内壁を流下させて缶液の流下膜を形成させ、b)缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共にその揮発成分(その大部分)を蒸発させつつ、c)その蒸気と未蒸発の缶液との気液混合物を前記蒸留塔の底部(缶液の面の上方)へ戻しながら、(C)該リボイラー内で発生させた蒸気を蒸留塔内部で上昇させつつ精留部分9で蒸留精製して、(D)該蒸留塔1の塔頂から留出する留分の蒸気を冷却手段5で冷却し、その留分を液化して、必要であれば該蒸留塔1の上部へその留分の一部を還流させると共に、その留分の残部をライン7経由で抜き出して分離・回収を行い、(E)一方、二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテル等が濃縮されている缶液10を、該蒸留塔1の塔底からライン11を経由して缶液輸送手段5を経て、缶液の抜き出しライン8から取り出して回収するのである。
【0016】
前記の流下膜式リボイラーにおいては、蒸留塔1の底部からの缶液10を導入する該リボイラー3の上部にあって、該リボイラー3内部の伝熱管13の上端の上方に適当な液分配手段18(例えば、多孔板、ディストリビューターなど)が設けられていたり、さらに、該伝熱管13の先端がその支持板の上面から0.5〜20mm、特に1〜10mm程度上方に向かって僅かに突出しており、該伝熱管13a先端に液を均等に流れ込ませるための切り欠き(ノッチ)などが設けられていて、伝熱管の内壁に液を均等に流下させるように配慮されていることが好ましい。
【0017】
本発明の蒸留精製法においては、前述の蒸留塔の流下膜式リボイラーの伝熱管の内壁を流下している缶液の流下膜が、前記の二価フェノール類の熱劣化温度付近より低い温度(例えば、二価フェノール類がカテコールの場合には、缶液の流下膜の温度が120〜240℃、特に130〜220℃、更に好ましくは140〜200℃程度の温度)に維持されることがこのましい。
前記の熱劣化温度は、二価フェノール類の熱劣化開始温度或いはその熱劣化割合が2重量%となる温度である。缶液の流下膜の温度は、前記のリボイラーに供給された缶液がリボイラー内の伝熱管で加熱されて、蒸気と未蒸発分(流下膜)となるのであるが、その伝熱管の下端部における流下膜の温度(平均温度)を意味する。
【0018】
本発明の蒸留精製法においては、前述のような各蒸留塔の流下膜式リボイラーの上部へ供給された缶液の全量(kg/hr)に対する該リボイラー内で蒸発するすべての蒸発成分の合計蒸発量(kg/hr)の割合(1パス蒸発率)が、1〜15重量%、特に1〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%程度となるようにすることが、原料混合物内の二価フェノール類が、蒸留操作において蒸留塔の底部でのリボイラー内で加熱によって著しく熱劣化しないようにするために特に好ましい。
【0019】
本発明の蒸留精製法においては、前述のような条件で各蒸留操作を行うと共に、さらに、前記の該リボイラー内の伝熱管を流下する缶液の流下膜がレイノルズ数(Re)700〜10000、特に750〜9000、更に800〜8000程度を有するようにすることが好ましい。
【0020】
前記のリボイラーの内部における1パス蒸発率が、前記の上限値より大きくなると、液循環量が減少することになり、流下膜の破れ(液切れ)が生じて、流下膜の温度が局部的に著しく高くなりして、二価フェノール類の熱劣化がかなり生じることがあるので適当ではなく、また、蒸発率が前記の下限値より小さくなると、蒸発量に対する設備効率がかなり劣るようになり、生産性が悪化して、経済的でもなくなるので、実用的ではないのである。
【0021】
前記の装置のディメンジョンを決定する場合、1パス蒸発率と共に、伝熱管の内壁を流下する缶液の流下膜のレイノルズ数を参考にすることができる。
レイノルズ数は、次に示す式(1)と(2)に基づいて得られた式(3)によって算出することができる。即ち、レイノルズ数は、流下膜(缶液)の流量(w:kg/hr)と缶液の粘度(μ:kg/m・hr)、及び、伝熱管の本数(N:本)と伝熱管の内径(D:m)から式(3)により算出することができる。
【0022】
【数1】
【0023】
本発明の蒸留精製法においては、各缶液の流下膜のレイノルズ数(Re)を、2000〜8000程度、特に、3200〜7000程度となすことが特に好ましい。前記のリボイラーの伝熱管の内壁において缶液で形成されている流下膜のレイノルズ数が小さくなり過ぎると、充分な伝熱が行われず、熱交換のために必要な伝熱面積が増大し、設備費の増大をもたらすと共に、境膜温度を高めるため、熱劣化が進行するので好ましくない。
【0024】
前記の流下膜式リボイラー内の伝熱管の内壁上に形成される流下膜は、液切れを起こさないような膜厚(平均膜厚)を有することが好ましく、概略、その流下膜の平均膜厚が約0.1〜5mm、特に0.5〜2mm程度であることが好ましい。なお、流下膜の膜厚(平均膜厚)は、レイノルズ数が3200以上であれば、次に示す(4)で算出することができる。
【0025】
【数2】
【0026】
この発明では、各蒸留塔1の塔底から抜き出された高沸物又は高沸混合物は、濃縮された二価フェノール類を主として含有しているか、又は、二価フェノール類と二価フェノールアルキルエーテルとを主として含有している。
本発明の蒸留精製法では、前述の同じタイプの蒸留塔が複数連結されており、最初の蒸留塔で得られた缶液を次の蒸留塔で蒸留精製して、缶液中に含まれるそれぞれの有効成分を分離・回収することができる。
【0027】
前記の蒸留塔1の塔頂から留出した各留分の蒸気を冷却手段(クーラー)5で冷却して気液分離器6で凝縮液(液化留分)と未凝縮分とに分離して、その結果得られた凝縮液は蒸留塔の上部に還流すると共に、その凝縮液の一部を留分として系外に抜き出すのであり、一方、前記の未凝縮分を含む廃ガスはライン19経由で系外に放出されるが、その廃ガスは更に低い温度(氷冷温度など)で冷却して残存する揮発分を更に凝縮させて回収して、残部を大気に放出したり、燃焼させたり、或いは、真空ポンプに連結したりしてもよいのである。又、気液分離器から流出する前記の凝縮液は、更に蒸留工程に供給して蒸留精製し、それぞれの留分に分けて回収することもできる。
【0028】
本発明の蒸留精製法においては、例えば、流下膜式リボイラーをそれぞれ有すると共に、缶液の抜き出しラインと供給ラインで互いに連結されている第1及び第2蒸留塔を使用して、以下に詳しく述べるような第1の蒸留操作と第2の蒸留操作とを連続的に行うことによって、低沸物(軽質物:低級アルコールなど)と高沸物(二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテルなど)との混合液について、第1〜第2の蒸留操作によって二価フェノール類含有混合液の蒸留精製が行われることが好適である。
【0029】
即ち、前記の混合液の第1の蒸留操作としては、図2に示すように、例えば、流下膜式リボイラー23が付設された第1蒸留塔20を用いて、
(1−A)低級アルコール、二価フェノール類、二価フェノールアルキルエーテルなどを含有する混合液を、供給ライン21から第1蒸留塔20の中央部付近へ供給して、
(1−B)缶液ライン22、29等で連結されている該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段24と流下膜式リボイラー23と該蒸留塔の底部の第1缶液の液面の上方とからなる部分において、該蒸留塔の第1缶液を抜き出し、第1缶液の輸送手段24により流下膜式リボイラー23へ供給して、該リボイラー内に設けた多数の伝熱管の内壁を流下させて第1缶液の流下膜を形成させ、第1缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共に、揮発分を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液との気液混合物を該蒸留塔の底部(第1缶液の液面の上方)へ戻しながら、
(1−C)該リボイラー内などで発生させた揮発分を含有する蒸気混合物を第1蒸留塔20の内部で上昇させつつ精留部分で蒸留精製して、
(1−D)第1蒸留塔20の塔頂から留出する低級アルコール蒸気などの第1留分(軽質分)の蒸気を冷却手段25で冷却し、該留分を液化して、必要であれば該蒸留塔の上部へ第1留分(軽質分)の一部を還流させると共に、その第1留分の残部をライン27経由で抜き出して回収を行いその精製工程へ送り、
(1−E)一方、カテコールおよびグアヤコールなどが濃縮されている第1蒸留塔の第1缶液(沸点120℃以下の低沸物を1重量%以下、特に0.1重量%以下、更に0.05重量%以下しか含有していない高沸物の混合液)を、該蒸留塔の塔底からライン22を経由し缶液輸送手段24を経て、第1缶液の抜き出しライン28から取り出して行われるのである。
【0030】
第1缶液は、第2蒸留塔30の供給ライン31から次の第2蒸留塔30へ供給して、第2の蒸留操作を行うのである。
本発明においては、第1の蒸留操作に続いて行われる第2の蒸留操作としては、図2に示すように、例えば、流下膜式リボイラー33が付設された第2蒸留塔30を用いて、
(2−A)第1缶液(カテコールとグアヤコールとを主として含有する混合液)を供給ライン31から該蒸留塔の中央部付近へ供給して、
(2−B)缶液ライン32、39などで連結されている該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段34と流下膜式リボイラー33と該蒸留塔の底部の第2缶液の液面の上方とからなる部分において、第2蒸留塔30の第2缶液(カテコール等)を抜き出し、第2缶液の輸送手段34で該リボイラーへ供給して、該リボイラー内に設けた多数の伝熱管の内壁を流下させて第2缶液の流下膜を形成させ、第2缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共に、グアヤコール等の揮発成分を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液(カテコールが主成分)との気液混合物を該蒸留塔の底部(第2缶液の液面の上方)へ戻しながら、
(2−C)該リボイラー内などで発生させたグアヤコールなどを含有する蒸気混合物を蒸留塔内部で上昇させつつ蒸留精製して、
(2−D)該蒸留塔の塔頂から流出するグアヤコール蒸気などを冷却手段35で冷却し、第2留分(揮発分:グアヤコールなど)を液化して、必要であれば該蒸留塔の上部へ第2留分の一部を還流させると共に、第2留分の残部をライン37経由で抜き出して回収してグアヤコールタンクなどへ送り、
(2−E)一方、カテコールが濃縮されている第2缶液を該蒸留塔の塔底からライン32を経由し缶液輸送手段34を経て、第2缶液(カテコールなど)の抜き出しライン38から取り出して、蒸留操作を行うのであり、更に、必要であれば、別のカテコールの精製工程で何らかの手段で精製してカテコール等の二価フェノール類を得ることによって行われるのである。
【0031】
本発明の蒸留精製法においては、他の実施態様として、例えば、流下膜式リボイラーをそれぞれ有すると共に、缶液の抜き出しラインと供給ラインで互いに連結されている第1〜第3蒸留塔をそれぞれ使用して、以下に詳しく述べるような第1〜第3の蒸留操作を連続的に行うことによって、低沸物(軽質物:低級アルコールなど)と高沸物の二価フェノール類と二価フェノールアルキルエーテルとの混合液について、第1〜第3の蒸留操作によって、二価フェノール類含有混合液の蒸留精製を行うことができる。
【0032】
前記の第1〜第3の蒸留操作によって行われる実施態様において、図3に示すように、前述のような第1及び第2の蒸留操作が行われる。
そして、その実施態様では、それらの第1及び第2の蒸留操作に続いて行われる第3の蒸留操作としては、例えば、図3に示すように、流下膜式リボイラー43が付設された第3蒸留塔40を用いて、
(3−A)第2缶液(カテコールなどを主として含有する混合液)を供給ライン41から該蒸留塔の中央部付近へ供給して、
(3−B)缶液ライン42、49などで連結されている該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段44と流下膜式リボイラー43と該蒸留塔の底部の第3缶液の液面の上方とからなる部分において、第3蒸留塔40の第3缶液(高沸物等)を抜き出し、第3缶液の輸送手段44で該リボイラーへ供給して、該リボイラー内に設けた多数の伝熱管の内壁を流下させて第3缶液の流下膜を形成させ、第3缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共に、カテコール等の揮発成分を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液(高沸物が主成分)との気液混合物を該蒸留塔の底部(第3缶液の液面の上方)へ戻しながら、
(3−C)該リボイラー内で発生させたカテコールなどを含有する蒸気混合物を蒸留塔内部で上昇させつつ蒸留精製して、
(3−D)該蒸留塔の塔頂から流出するカテコール蒸気などを冷却手段45で冷却し、第3留分(揮発分:カテコールなど)を液化して、必要であれば該蒸留塔の上部へ第3留分の一部を還流させると共に、第3留分の残部をライン47経由で抜き出して回収してカテコールタンクなどへ送り、
(4−E)一方、高沸物が濃縮されている第3缶液を該蒸留塔の塔底からライン42を経由し缶液輸送手段44を経て、第3缶液(高沸物)の抜き出しライン48から取り出すことによって行われるのである。
【0033】
本発明の第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される混合液における低級アルコールを含む低沸物は、沸点10〜150℃の範囲内である化合物の混合物であればよく、例えば、沸点が常圧で50〜120℃である炭素数1〜4である低級アルコールを60〜100重量%、特に80〜100重量%と、沸点が常圧で−30〜150℃、特に−25〜145℃程度である他の低沸物を残部とするものであればよい。
【0034】
その低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどの炭素数1〜4の脂肪族アルコールが好ましい。この発明においては、特にメタノール、エタノールを好適に挙げることができる。
また、他の低沸物としては、沸点が常圧で−30〜150℃である低沸物(有機化合物、無機化合物)であればよく、例えば、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のアルキルエーテル類、並びに、ケト脂肪族アルコール類、ケトン類、グリコール類、脂肪族カルボン酸エステル類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の熱安定性を有する有機化合物などを挙げることができる。
【0035】
本発明の第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される混合液の二価フェノール類及び二価フェノールアルキルエーテルを主として含有する高沸物は、ハイドロキノン、カテコールなどの二価フェノール類を30〜70重量%、特に35〜65重量%含有し、そして、グアヤコール、グエトールなどの二価フェノールアルキルエーテルを30〜70重量%、特に35〜65重量%含有するものであればよい。
【0036】
前記の二価フェノール類としては、沸点が常圧で約160〜300℃、特に180〜280℃程度であり、そして、200℃以上、特に250℃以上の温度において熱劣化性をかなり有する二価フェノール類、例えば、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシンなどの複数の水酸基を有する芳香族化合物を挙げることができ、また、置換基を有するフェノール類として、2−メチルカテコール、4−メチルカテコール、2−メチルハイドロキノン、2−クロロカテコール、4−クロロカテコールなども挙げることができる。この発明では、二価フェノール類として、特に、ハイドロキノン、カテコールを好適に挙げることができる。
【0037】
前記の二価フェノールアルキルエーテルとしては、グアヤコール、グエトールなどの二価フェノールモノアルキルエーテル、ベラトール、ジエトキシベンゼンなどの二価フェノールジアルキルエーテルなどを挙げることができる。この発明では、特に、二価フェノールアルキルエーテルとして、グアヤコール、グエトールを好適に挙げることができる。
【0038】
本発明の第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される低沸物と高沸物との混合液は、混合液の全量に対して、5〜40重量%の二価フェノール類、10〜50重量%の二価フェノールアルキルエーテル、10〜50重量%の低級アルコールがそれぞれ含有されているものが好ましい。
【0039】
本発明の第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される低沸物と高沸物との混合液は、メタノール、エタノール等の低級アルコールと、ハイドロキノン、カテコールなどの二価フェノール類とを適当な触媒の存在下に気相でエーテル化反応させて、グアヤコール、グエトールなどの二価フェノールモノアルキルエーテルを生成させることによって得られた反応液からなる混合液を好適に使用することができる。
【0040】
その反応液は、未反応原料である低級アルコール(メタノール、エタノールなど)及び二価フェノール類(ハイドロキノン、カテコールなど)、エーテル化反応の主な目的生成物である二価フェノールモノアルキルエーテル(グアヤコール、グエトールなど)、並びに、副生成物である二価フェノールジアルキルエーテル(ベラトール、ジエトキシベンゼンなど)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、水などを少量含有しているが、本発明の蒸留精製法により、主要な成分に分離し精製することができる。
【0041】
本発明における第1の蒸留操作において、第1蒸留塔を用いる第1の蒸留操作を、加圧下(特に1.01〜2.0気圧下、更に好ましくは1.05〜1.5気圧下)で行うことが、第1蒸留塔が腐食などによって破れた場合に、大気中の酸素ガス(O2 )がその蒸留系内に混入することを防止し、その結果、反応液と共に第1蒸留塔に供給されたジアルキルエーテル等が蒸留系内で引火し、蒸留塔自体が爆発することを防止できるので好ましい。
【0042】
本発明において、精製蒸留の対象となる二価フェノール類(例えば、カテコールなど)は、極めて熱劣化性が高い化合物であり、通常の蒸留操作で分離回収する場合には、リボイラー内での熱履歴により多くの二価フェノール類が熱分解、熱重合、熱変成して高い割合で失われてしまうのであり、極端な場合には、熱劣化によって蒸留塔のリボイラー内にスケールが生成して缶液の加熱効率を著しく低下させてしまったり、缶液の液流を止めてしまったりして、蒸留操作を長期間連続してできなくなるのであるが、本発明の蒸留精製法では、そのような問題がほとんど起こらず、長期間、安定して蒸留精製を行うことができ、工業的に極めて優れた蒸留精製法である。
【0043】
【実施例】
本発明の方法に関する実施例及び比較例を以下に示す。
【0044】
実施例1
図3に示すように、各蒸留塔の塔底の缶液抜き出しラインで次の蒸留塔とそれぞれ連結されている、第1蒸留塔20、第2蒸留塔30及び第3蒸留塔40を用いて、次に示すようなカテコール含有混合液の蒸留操作を、約40日以上、連続して行った。
【0045】
カテコール含有混合液(平均温度:55℃、平均組成:グアヤコール;290重量部、カテコール;274重量部、メタノール;362重量部、水;47重量部、その他;41重量部)を1014kg/hrの供給量(平均)で、第1蒸留塔20(流下膜型リボイラー23の伝熱管の内径:21.4mm、伝熱缶本数:145本、蒸留塔の塔径:700mm、蒸留塔の内圧:1.50kg/cm2 abs )へ供給して、該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段と流下膜式リボイラーと該蒸留塔の底部の缶液の液面の上方とからなる部分において、該蒸留塔の缶液を抜出し、缶液の輸送手段で前記リボイラーへ供給して、表1に示すような条件で、該リボイラー23の多数の伝熱管の内壁を流下させて缶液の流下膜を形成させ、缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共にその揮発成分(その大部分)を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液との気液混合物を前記蒸留塔の底部(缶液の面の上方)へ循環させ戻しながら、該リボイラー内で発生させた蒸気などを蒸留塔内部で上昇させつつ精留部分で蒸留精製して、該蒸留塔の塔頂から留出する留分の蒸気を冷却手段で冷却しその留分を液化して、該蒸留塔の上部へその留分の一部を還流させると共に、留分(平均温度:84℃、平均組成:グアヤコール;2重量部、カテコール;0重量部、メタノール;362重量部、水;47重量部、その他;22重量部)を433kg/hrの流量(平均)で塔頂から抜出し分離・回収を行いつつ、一方、カテコール、グアヤコールなど重質分が濃縮されている缶液(温度:242℃、組成:グアヤコール288重量部、カテコール272重量部、その他21重量部)を、581kg/hrの流量(平均)で、該蒸留塔の塔底から缶液輸送手段及び缶液の抜き出しラインを経由し取り出した。
【0046】
続いて、第1蒸留塔の塔底から抜き出された缶液(平均温度及び平均組成は前記のとおりである。)を第2蒸留塔30(流下膜型リボイラー33の伝熱管の内径:21.4mm、伝熱缶本数:62本、蒸留塔の塔径:900mm、蒸留塔の内圧:0.04kg/cm2 abs )へ供給して、該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段と流下膜式リボイラーと該蒸留塔の底部の缶液の液面の上方とからなる部分において、該蒸留塔の缶液を抜出し、缶液の輸送手段で前記リボイラーへ供給して、表1に示すような条件で、該リボイラー33の多数の伝熱管の内壁を流下させて缶液の流下膜を形成させ、缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共にその揮発成分(その大部分)を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液との気液混合物を前記蒸留塔の底部(缶液の面の上方)へ循環させ戻しながら、該リボイラー内で発生させた蒸気などを蒸留塔内部で上昇させつつ精留部分で蒸留精製して、該蒸留塔の塔頂から留出する留分の蒸気を冷却手段で冷却しその留分を液化して、該蒸留塔の上部へその留分の一部を還流させると共に、留分(平均温度:110℃、平均組成:グアヤコール;283重量部、カテコール;0重量部、メタノール;0重量部、水;0重量部、その他;0重量部)を283kg/hrの流量(平均)で塔頂から抜出し分離・回収を行いつつ、一方、カテコールが濃縮されている缶液(平均温度:155℃、平均組成:グアヤコール;5重量部、カテコール;272重量部、その他;21重量部)を298kg/hrの流量(平均)で該蒸留塔の塔底から缶液輸送手段及び缶液の抜出しライン経由で取り出した。
【0047】
更に、引き続いて、第2蒸留塔の塔底から抜き出された缶液(平均温度及び平均組成は前記のとおりである。)を第3蒸留塔40(流下膜型リボイラー43の伝熱管の内径:21.4mm、伝熱缶本数:64本、蒸留塔の塔径:600mm、蒸留塔の内圧:0.04kg/cm2 abs )へ供給して、該蒸留塔の底部(下部)と缶液輸送手段と流下膜式リボイラーと該蒸留塔の底部の缶液の液面の上方とからなる部分において、該蒸留塔の缶液を抜出し、缶液の輸送手段で前記リボイラーへ供給して、表1に示すような条件で、該リボイラー43の多数の伝熱管の内壁を流下させて缶液の流下膜を形成させ、缶液の流下膜を熱媒で加熱すると共にその揮発成分(その大部分)を蒸発させつつ、その蒸気と未蒸発の缶液との気液混合物を前記蒸留塔の底部(缶液の面の上方)へ循環させ戻しながら、該リボイラー内で発生させた蒸気などを蒸留塔内部で上昇させつつ精留部分で蒸留精製して、該蒸留塔の塔頂から留出する留分の蒸気を冷却手段で冷却しその留分を液化して、該蒸留塔の上部へその留分の一部を還流させると共に、カテコールを主成分とする留分(平均温度:137℃、平均組成:グアヤコール;5.0重量部、カテコール;270.8重量部、メタノール;0重量部、水;0重量部、その他;16.5重量部)を、292.3kg/hrの流量(平均)で塔頂から抜出し分離・回収を行いつつ、一方、高沸物が濃縮されている缶液(平均温度:188℃、平均組成:グアヤコール;0重量部、カテコール;1.1重量部、その他;4.8重量部)を5.9kg/hrの流量(平均)で、該蒸留塔の塔底から缶液輸送手段及び缶液の抜き出しライン経由で取り出した。
【0048】
第1蒸留塔へ供給されたカテコール含有混合液(1014kg/hr)中にはカテコールの劣化物が3.1kg/hr(第1蒸留塔へ供給されたカテコール:274kg/hrに対して、劣化物:1.13重量%)の割合で含有されていたが、第1蒸留塔の缶液中には、カテコールの劣化物が4.4kg/hr(第1蒸留塔供給カテコール;274kg/hrに対して、劣化物:1.61重量%)の割合で含有しており、次いで、第2蒸留塔の塔底から抜き出された缶液中には、カテコールの劣化物が4.6kg/hr(第1蒸留塔供給カテコール274kg/hrに対して、劣化物:1.68重量%)の割合であり、さらに、第2蒸留塔の塔底から抜き出された缶液中には、カテコール等の劣化物が4.8kg/hr(第1蒸留塔供給カテコール:274kg/hrに対して、劣化物:1.75重量%)の割合であり、結局、カテコール含有混合液について第1蒸留塔から第3蒸留塔までの蒸留操作を行った間に、生成したカテコールの劣化物の増加はわずか0.62重量%の増加に過ぎなかった。
【0049】
なお、実施例1における蒸留精製操作では、途中で流下膜式リボイラーなどの蒸留塔内部のクリーニングを行うために停止することなく、最高、250日間、蒸留精製操作を連続して行うことができた。
なお、各蒸留塔及び各リボイラーの概要を表1に纏めて示すと共に、各蒸留塔における各缶液中のカテコールの劣化物の割合(平均:第1蒸留塔へ供給された最初のカテコールに対する、各劣化物の割合を重量%で示す。)を、それぞれ、表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例1
従来の通常形式の強制循環型リボイラーを備えた各蒸留塔(第1塔、第2塔及び第3塔)が互いに連結された蒸留工程を用いて、実施例1において第1蒸留塔へ供給したのとほとんど同じ組成のカテコール含有混合液を第1塔へ供給して、蒸留操作を行った結果、第1塔では供給された混合液中のカテコールの30重量%以上が劣化し、引き続き第2塔及び第3塔でも、第1塔へ供給されたカテコールに対して4.9重量%が、それぞれ、劣化しており、全体として、著しくカテコールの回収率が低かった。
また、これらの劣化物は一部がリボイラーチューブや他の配管の閉塞を引き起こし、また、中継タンク、塔などへ堆積をも引き起こしたので、クリーニングの為に、しばしば(約2日毎に)停止する必要があった。
また、この比較例における蒸留精製工程で、第1塔へ供給したカテコールに対して約40重量%の劣化があったことは経済的にも大きな問題である。
【0052】
【本発明の作用効果】
本発明は、流下膜式リボイラーを有する蒸留塔の複数を連結して用いて、低級アルコール、二価フェノール類(劣化性化合物)及び二価フェノールアルキルエーテルを主として含有する混合液を、該蒸留塔に供給して連続的な蒸留操作を行って、精製された二価フェノールアルキルエーテルなどを容易に得ることができる蒸留精製法に係わるものである。本発明によれば、前記の蒸留塔に付設された流下膜式リボイラー内において、濃縮された二価フェノール類が局部的に高い熱履歴を受けて熱劣化することが効果的に防止され、前記の混合液の蒸留操作におけるリボイラー内での缶液の加熱および低沸物の蒸発を安定的に行うことができると共に、二価フェノールアルキルエーテルを該蒸留塔の頂部から精製された留分として容易に得ることができ、しかも、前記の混合物の蒸留操作を長期間、連続的に行うことができるという優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸留精製法に使用する蒸留塔の一例を概略示す断面図である。
【図2】本発明の蒸留精製法を実施する蒸留操作工程を例示するフロー図である。
【図3】本発明の蒸留精製法を実施する蒸留操作工程の他の実施態様を例示するフロー図である。
【符号の説明】
1:蒸留塔
2:原料混合液の供給ライン
3:流下膜式リボイラー
4:缶液の液輸送手段
5:冷却手段(クーラー)
6:気液分離槽
7:軽質分の抜き出しライン
8:高沸物の抜き出しライン
9:精留部分(充填層など)
10:缶液
11:缶液の抜き出しライン
12:缶液の輸送ライン
13:伝熱管
14:気液混合物の供給ライン
15:還流ライン
16:熱媒体の供給ライン
17:熱媒体の抜き出しライン
18:分配板(多孔板)
20:第1蒸留塔
21:供給ライン
23:第1流下膜式リボイラー
25:冷却手段
27:第1留分の抜き出しライン
28:第1缶液の抜き出しライン
30:第2蒸留塔
33:第2流下膜式リボイラー
35:冷却手段
37:第2留分の抜き出しライン
38:第2缶液の抜き出しライン
40:第3蒸留塔
43:第3流下膜式リボイラー
45:冷却手段
47:第3留分の抜き出しライン
48:第3缶液の抜き出しライン
Claims (7)
- 低級アルコール及びアルキルエーテル類を含む低沸物と、二価フェノール類及び二価フェノールアルキルエーテルとを含有する、二価フェノール類と低級アルコールとをエーテル化反応させて二価フェノールアルキルエーテルを生成させることによって得られた反応液を、流下膜式リボイラーが設けられた第1蒸留塔へ供給して、1.01〜2.0気圧下、低級アルコールを主成分とする第1留分を第1蒸留塔の塔頂から回収しながら、一方、第1蒸留塔の塔底から、濃縮された二価フェノール類と二価フェノールアルキルエーテルとを主として含有し、低沸物を実質的に含有していない第1缶液を抜き出すという第1蒸留塔における第1の蒸留操作を行い、次いで、前記の第1蒸留塔から抜き出された第1缶液を、流下膜式リボイラーが設けられた第2蒸留塔へ供給して、二価フェノールアルキルエーテルを主成分とする第2留分を第2蒸留塔の塔頂から回収しながら、一方、第2蒸留塔の塔底から、濃縮された二価フェノール類を主として含有していて、低沸物と二価フェノールアルキルエーテルとを実質的に含有していない第2缶液を抜き出すという第2蒸留塔における第2の蒸留操作を行って、精製された二価フェノールアルキルエーテルを得ることを特徴とする二価フェノール類含有混合液の蒸留精製法。
- 流下膜式リボイラーが設けられた各蒸留塔において、各蒸留塔の底部から抜き出した各缶液を該リボイラーの伝熱管の内面上に薄膜状態で流下させて流下膜を形成すると共に、その流下膜から1パス蒸発率1〜15重量%で揮発成分を蒸発させながら、蒸留操作を行う請求項1に記載の蒸留精製法。
- 流下膜式リボイラーが設けられた各蒸留塔において、各缶液の流下膜のレイノルズ数(Re)が3200〜8000程度となす請求項1に記載の蒸留精製法。
- 第2の蒸留操作において得られた二価フェノール類を主として含有する第2缶液を、流下膜式リボイラーが設けられた第3蒸留塔へ供給して、二価フェノール類を主成分とする第3留分を第3蒸留塔の塔頂から回収しながら、一方、第3蒸留塔の塔底から、濃縮された残渣液である第3缶液を抜き出すという第3蒸留塔における第3の蒸留操作を行う請求項1に記載の蒸留精製法。
- 第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される混合液における低級アルコールを含む低沸物は、炭素数1〜4である低級アルコールを60〜100重量%と、沸点−30〜150℃である他の低沸物を残部とする請求項1に記載の蒸留精製法。
- 第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される混合液の二価フェノール類及び二価フェノールアルキルエーテルを含有する高沸物は、ハイドロキノン又はカテコールを30〜70重量%含有し、そして二価フェノールアルキルエーテルを30〜70重量%含有する請求項1に記載の蒸留精製法。
- 第1の蒸留操作において、第1蒸留塔に供給される低沸物と高沸物との混合液は、混合液の全量に対して、5〜40重量%の二価フェノール類、10〜50重量%の二価フェノールアルキルエーテル、10〜50重量%の低級アルコールがそれぞれ含有されている請求項1に記載の蒸留精製法。
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