JP3740732B2 - ディザマトリックス作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多値画像を2値画像化するためのディザマトリックス作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像を構成するデータは通常8ビット程度の濃淡階調で表現されている。しかし、この画像データを人が見ることのできる画像として出力する機器、例えばプリンタなどの出力機器においては、機構が簡単であることや制御の容易性から、インク等の色素を記録紙にドットとして付着させるか否かしか行わない、いわゆる2値記録が一般的である。
【0003】
このような2値記録の出力機器を使用して、8ビット濃淡階調で表された画像を記録する場合には、単に各画素の値を閾値で判断してインクを付着させるか否かを決定することになる。しかし、このように閾値で単純に2値化するだけでは、8ビット濃淡階調が持つ豊富な濃淡状態(1色なら256階調、3原色が各256階調ならば、16,777,216種類の色を表すことができる。)を表現することは不可能となる。そのため、このような2値記録の出力機器でも疑似的に濃淡状態を表現する方法が考えられている。すなわち、所定の面積の中で配置されるドット数によって濃淡を表現しようと言う面積階調の考え方である。
【0004】
この考え方を実現する方法としては種々の提案がなされている。例えば、誤差拡散法、乱数発生型ディザ法、組織的ディザ法等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法には、次のような問題があった。
すなわち、誤差拡散法は、誤差拡散あるいは誤差分配演算のために、2値化の処理が遅くなり、また2値化された画像に独特の紋様が発生し易かった。乱数発生型ディザ法は、ディザマトリックスを使用するために高速であるが、乱数を用いるため、画質が非常にノイジー、すなわち、多くのノイズが画像に満ちているような画質となると言う問題が有った。
【0006】
ディザマトリックスを用いる他の方法として、組織的ディザ法の内の渦巻型があるが、この渦巻型は、ドットが密集し易く、密集したものが大きなドットと認識されるので解像度が悪化し易かった。組織的ディザ法の内で、ベイヤー(Bayer)法があるが、このベイヤー(Bayer)法は、ドットが分散するので解像度は良いが、独特な紋様が発生し、暗部の階調性も悪いものであった。
【0007】
本発明は、ディザ法を用いても、ノイジーとならず、解像度が悪化せず、紋様の発生を抑制するディザマトリックス作成方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明のディザマトリックス作成方法は、画素において表すことができる濃度値の最小値minから最大値maxまでの範囲に離散的に設定された複数の濃度値の各々を、複数の均一濃度画素マトリックスの各々における全画素の濃度値として前記均一濃度画素マトリックス毎に誤差拡散法にて前記濃度値を2値化し、この2値化された濃度値に基づいて、ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定することを特徴とする。
【0009】
この2値化された濃度値に基づいて、ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定する方法としては、例えば、2値化された濃度値を、前記均一濃度画素マトリックスのすべてについて同一位置の画素毎に集積し、この同一位置の画素毎の集積結果に基づいて、ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定する。
【0010】
前記濃度値の最小値minとしては、例えば0であり、最大値maxとしては例えば255である。離散的に設定された複数の濃度値としては、例えば最小値minから最大値maxまで1づつ変化させて設定したmax−min+1個の値である。
【0011】
このようにして閾値が設定されたディザマトリックスによって画像を2値化すると、人間の目に対してノイジーとならず、解像度が悪化せず、紋様の発生を抑制した2値化画像を生成することができる。
このように、ディザマトリックスを作成する際に、誤差拡散法を用いて各均一濃度画素マトリックスを2値化し、この2値化の結果を全ての均一濃度画素マトリックスについて集積し、この集積結果に基づいてディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定している。誤差拡散法により生じる2値の並びは、一見不規則に見えるけれども、まったくのでたらめではない。すなわち、模様はできにくいがノイジーな画像にはなりにくい性質がある。このように本発明のディザマトリックス作成方法は、誤差拡散法により生じる2値の並びを利用することにより、ディザマトリックスにも誤差拡散法における2値の並びの性質を取り込んで作成する方法である。
【0012】
したがって、2値化の計算処理が高速に可能となるディザマトリックスにおいて、前述のごとく誤差拡散法により、不規則ではあるがまったくのでたらめではない適切な閾値の分布を形成しているので、人間の目に対してノイジーとならず、かつ解像度が悪化せず、更に、紋様の発生を抑制した2値化画像を生成することができたものと考えられる。
【0013】
前記同一位置の画素毎の集積結果としては、例えば、同一位置の画素における2値化された濃度値の内の一方の値の個数であって、この個数に応じてディザマトリックスの各画素の閾値を設定することができる。例えば、2値が「1」と「0」とで表されているとすると、2値化した複数の均一濃度画素マトリックスの同一位置に存在する「1」をカウントし、そのカウント数を、そのまま、あるいは係数をかけてディザマトリックスの同一位置における閾値として設定しても良い。またカウント値からテーブルに基づいて閾値を設定しても良い。「1」の代りに「0」をカウントしても良い。
【0014】
また、前記均一濃度画素マトリックスは、前記ディザマトリックスより画素の数が多いマトリックスであっても良い。このような均一濃度画素マトリックスとしては、例えば、前記ディザマトリックスより行および列がともに大きい均一濃度画素マトリックスである。
【0015】
このようなディザマトリックスより画素の数が多い均一濃度画素マトリックスを用いた場合、例えば、前記誤差拡散法による2値化後に、前記ディザマトリックスと同じ大きさの特定領域について前記集積を行い、その集積結果に基づいて、前記ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定する。
【0016】
この場合、特に、前記特定領域は、前記誤差拡散法の処理が開始された先頭画素ライン部分の集積結果を含まないことにすると、誤差拡散の初期における誤差拡散あるいは誤差分配の歪みがディザマトリックスへ影響し難くなり、でき上がったディザマトリックスを使用して画像を2値化しても、一層、ドットの偏りや紋様の発生を抑制することができる。この場合、できるだけ前記歪みの影響を無くすためには、前記特定領域としては、前記先頭画素ライン部分から最も離れたラインである、前記誤差拡散法の処理が終了する最終画素ライン部分の集積結果を含むようにすることが好ましい。
【0017】
本発明は、均一濃度画素マトリックスに対して誤差拡散法を実行することにより得られる2値画を用いることにより、一意的にディザマトリックスのパターンを求めている。このため、経験や勘を必要とせず、誰にでも容易にディザマトリックスを作成することができる。しかも、作成においては、ある濃度の均一濃度マトリックスに一度誤差拡散処理を行うだけであるので、高速にディザマトリックスを作成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明のディザマトリックス作成方法を実行するディザマトリックス作成装置2の主要ブロック図である。
【0019】
このディザマトリックス作成装置2の主体を成すマイクロコンピュータ部11はCPU12、ROMからなるプログラムメモリ13、RAMからなるワーキングメモリ14、RAMからなるディザマトリックス格納メモリ16およびRAMからなる出力イメージメモリ17により構成されている。また、マイクロコンピュータ部11にはシステムバス18を介して入力部10および出力部19が接続されている。
【0020】
入力部10は、キーボードや外部の記憶装置から入力するためのインターフェースを備え、ディザマトリックス作成に必要なデータや指示の入力を行うものである。また、入力部10は、作成されたディザマトリックスの効果を確認するために、各画素が8ビットで表される階調を有する画像データを入力する。
【0021】
CPU12は、後述するごとくディザマトリックスの作成を実行するものであり、プログラムメモリ13は、このCPU12で行う様々な制御を実施するためのプログラムを記憶している。また、ワーキングメモリ14は、CPU12がプログラムメモリ13に記憶されたプログラムを実行するときに必要なデータを一時的に記憶するものである。
【0022】
ディザマトリックス格納メモリ16は、CPU12の処理によって形成されたディザマトリックスデータを記憶する。
出力イメージメモリ17は、CPU12により、ディザマトリックス格納メモリ16に格納されているディザマトリックスを用いて、8ビットで表される階調を有する画像データを2値化し、その2値化された出力イメージデータを記憶する。
【0023】
出力部19は、出力イメージメモリ17に格納した2値化画像データを電子写真方式によりドットの有無で印字する装置である。
次に、ディザマトリックス作成装置2により実行されるディザマトリックス作成処理について説明する。ディザマトリックス作成処理のフローチャートを図2に示す。
【0024】
まず、均一濃度値iに「0」を設定する(S100)。次に、全画素が均一濃度値i=0の均一濃度画素マトリックスを誤差拡散法にて2値化処理する(S110)。この均一濃度画素マトリックスは、図3に示すごとく、i=0〜255の256種類の均一濃度画素マトリックスD0〜D255をワーキングメモリ14に読み込んで用いれば良い。
【0025】
このように256種類の均一濃度画素マトリックスを揃える以外に、各均一濃度画素マトリックスにおいて全画素が同じ濃度値iであるので、各画素の濃度値を誤差拡散法における計算に用いる場合に、すべて濃度値iとして扱えば良いことから、i=0〜255までの256個の値のみ記憶しておいても良い。また、均一濃度値iの下限値「0」、上限値「255」、および下限値と上限値との間に離散的に存在する均一濃度値iの値を決定するためのステップ値Sp(処理される均一濃度値iの間隔を示す値、ここではSp=1である)のみでも良い。
【0026】
ここでは誤差拡散法は、広い意味で用いており、ある画素を2値化した場合に2値化の誤差を未だ2値化していない周辺の画素の濃度に分配する方法(狭い意味の誤差拡散法・文献:Robert W.Floyd and Louis Steinberg,"An Adaptive Algorithm for Spatial Greyscale",Proceeding of the S.I.D. Vol.17/2,1976等)、あるいは2値化する際に周辺に存在する既に2値化した画素からその2値化の際に生じた誤差の所定割合を受け取る方法(平均誤差最小法とも言う。文献:J.F.Jarvis,C.N.Judice,and W.H.Ninke,"A Survey of Techniques for the Display of Continuous Tone Pictures on Bilevel Displays",Computer Graphics and Image Processing.5,13-40(1976)等)等が良く知られているので、誤差拡散法自体の詳細な説明は省略する。
【0027】
本実施の形態では、各画素は誤差拡散法により「1」または「0」のいずれかに2値化されるものとする。尚、最初は均一濃度値i=0の均一濃度画素マトリックスD0であるので、図4に示すごとく、2値化されてもすべての画素が「0」である2値化画素マトリックスF0が得られる。
【0028】
このようにして得られた2値化画素マトリックスをワーキングメモリ14に保存し(S120)、均一濃度値i=255か否かを判定する(S130)。最初は均一濃度値i=0であるので(S130で「NO」)、次に均一濃度値iがインクリメントされる(S140)。したがって、次に全画素が均一濃度値i=1の均一濃度画素マトリックスを誤差拡散法にて2値化処理し(S110)、その2値化画素マトリックスF1をワーキングメモリ14に保存する(S120)。
【0029】
以後、順次、均一濃度値iをインクリメントしつつ(S140)、該当する均一濃度値iの均一濃度画素マトリックスを誤差拡散法により2値化し(S110)、その2値化画素マトリックスFiをワーキングメモリ14に保存する(S120)処理を繰り返す。
【0030】
均一濃度値i=255の均一濃度画素マトリックスの処理(S110,S120)が終了すると図4に示すごとく、ワーキングメモリ14内には、均一濃度値i=0〜255の256個の2値化画素マトリックスF0〜F255が形成されている。
【0031】
次に均一濃度値i=255であるので(S130で「YES」)、全ての2値化画素マトリックスについて、同一位置の画素の2値化値を合計し、この合計値を要素とする集積結果マトリックスM1を形成する(S150)。
すなわち、図4に示すごとく、左上隅を原点(0,0)として横方向をx軸、縦方向をy軸とすると、まず、全ての2値化画素マトリックスF0〜F255の(0,0)についてその値を合計する。その合計結果を、図5に示すごとくワーキングメモリ14内に用意された集積結果マトリックスM1の同一位置に格納する。この合計処理を各画素位置について行い、集積結果マトリックスM1をすべて埋める。この加算処理は、各画素が「1」または「0」に2値化されているので、同一位置の画素における「1」である画素値の個数をカウントしていることと同じである。
【0032】
次に、集積結果マトリックスM1の合計値の低い画素位置から、順にディザマトリックス用の閾値を設定する(S160)。
この閾値の設定の方法としては、合計値そのものを閾値として設定しても良い。この場合はステップS150の合計処理が閾値設定の処理に該当するので、ステップS160では特に処理は行わない。そして、集積結果マトリックスM1そのものをディザマトリックスとして、ディザマトリックス格納メモリ16に保存する(S170)。
【0033】
ステップS160にては、単に集積結果マトリックスM1の各合計値自体をそのまま閾値とする代りに、予め用意された合計値と閾値とのテーブルに応じて、集積結果マトリックスM1の各合計値を閾値に変換しても良い。
また、ステップS160にては、合計値の低い順番から、閾値を「0,1,2,…」と設定して行っても良いし、逆に合計値の高い順番から、閾値を「255,254,253,…」と設定して行っても良い。この場合、同一の合計値が2つ以上存在する場合は、それらはすべて同一の閾値が与えられるものとしても良いし、同一の合計値を順番付けして、異なる合計値と同様に閾値を設定しても良い。
【0034】
このようにして形成されたディザマトリックスを用いて、中間調のカラー画像を2値化処理し、カラープリンタにて記録したところ、人間の目に対してノイジーとならず、かつ解像度が悪化せず、紋様の発生が抑制された疑似中間調の2値化画像を生成することができた。勿論、ディザ法であり、誤差拡散法のように多数の計算は行わないので、迅速に処理できた。
【0035】
更に、均一濃度画素マトリックスに対して誤差拡散法を実行することにより得られる2値画を用いることにより、一意的にディザマトリックスのパターンを求めている。このため、経験や勘を必要とせず、誰にでも容易にディザマトリックスを作成することができる。しかも、作成においては、各濃度の均一濃度マトリックスに一度誤差拡散処理を行うだけであるので、高速にディザマトリックスを作成することができた。
【0036】
[実施の形態2]
前記実施の形態1では、均一濃度画素マトリックスD0〜D255あるいはその2値化画素マトリックスF0〜F255の大きさとおなじ大きさの集積結果マトリックスM1およびディザマトリックスを形成していたが、本実施の形態2では、図6に示すごとく、均一濃度画素マトリックスD0〜D255およびその2値化画素マトリックスF0〜F255の大きさが、集積結果マトリックスM1およびディザマトリックスに比較して非常に大きいものを用いるとともに、2値化画素マトリックスF0〜F255の特定の領域における2値化値を集積結果マトリックスM1として用いて、ディザマトリックスを作成する。
【0037】
実施の形態2におけるディザマトリックス作成処理について説明する。尚、ディザマトリックス作成処理は、実施の形態1とは、ステップS110,S120の処理が異なり、他は同じであるので、異なる部分のみ図7に示す。
ステップS100で均一濃度値iが「0」に初期化された後、均一濃度値i=0の均一濃度画素マトリックスにおける注目画素の濃度(均一濃度値iに等しい)を読み込む(S210)。最初の注目画素は原点位置(0,0)の画素である。
【0038】
次に、注目画素を誤差拡散法により2値化する(S220)。
次に、現在の注目画素が特定領域A1に含まれているか否かが判定される(S230)。特定領域A1とは、図6に示したごとく、集積結果マトリックスM1を形成するために、2値化値の合計処理を行う領域であり、本実施の形態2では全ての均一濃度画素マトリックスにおいて同一の位置に存在する。
【0039】
この特定領域A1は、誤差拡散処理における先頭画素ラインL0部分は含まず、最終画素ラインLx部分を含んでいる。これは、先頭画素ラインL0部分では、その前のラインが存在しないため2値化誤差の拡散において、後方のラインと比較して歪みを生じており、ドットの集中や特定のパターンが生じ易いからであり、この2値化誤差拡散の歪みの影響は先頭画素ラインL0から後方に離れるに従って少なくなり、最終画素ラインLx部分では最も影響が少ないからである。
【0040】
現在の注目画素が特定領域A1に含まれていると判定されると(S230で「YES」)、注目画素の2値化値がワーキングメモリ14に保存される(S240)。現在の注目画素が特定領域A1に含まれていないと判定されると(S230で「NO」)、注目画素の2値化値は保存されない。
【0041】
次に均一濃度値iにおいて未処理の画素が有るか否かが判定されて(S250)、未処理画素が有れば(S250で「YES」)、再度ステップS210に戻り、未処理画素を注目画素として上述の処理を続ける。尚、ステップS250での未処理画素の判定は、特定領域A1内に未処理画素が有るか否かの判定でも良い。
【0042】
ステップS250で「NO」と判定された後、ステップS130にてi=255か否かが判定されて、i=255でなければ(S130にて「NO」)、iをインクリメントして(S140)、再度、ステップS210に戻り、注目画素を均一濃度値iの均一濃度画素マトリックスにおける画像の原点に設定して、上述した処理を繰り返す。
【0043】
したがって、ステップS130にて「YES」と判定された時には、ワーキングメモリ14には、図4に示した場合と同じように均一濃度値i毎に特定領域A1に該当する2値化画素マトリックスF0〜F255が形成されている。
この全ての2値化画素マトリックスF0〜F255を同一位置の画素毎に合計して集積結果マトリックスM1を作成する(S150)。次に実施の形態1と同様に閾値を設定してディザマトリックスを形成し(S160)、ディザマトリックス格納メモリ16に保存する(S170)。
【0044】
本実施の形態2にて得られたディザマトリックスを、中間調のカラー画像を2値化処理しカラープリンタにて記録したところ、人間の目に対してノイジーとならず、解像度が悪化しなかった。しかも、ディザ法であり、誤差拡散法のように多数の計算は行わないので、迅速に処理できた。更に、実施の形態1と同じくディザマトリックスの作成が迅速で容易であった。
【0045】
更に、本実施の形態2では、均一濃度画素マトリックスから、先頭画素ラインL0を含まず、かつ最終画素ラインLxを含む特定領域A1の2値化画素マトリックスF0〜F255を求め、この2値化画素マトリックスF0〜F255から、均一濃度画素マトリックスより小さい集積結果マトリックスM1を求めて、この集積結果マトリックスM1に基づいてディザマトリックスを形成している。このため、先頭画素ラインL0部分で生じている誤差分配の歪みの影響が及びにくく、一層、紋様の発生が抑制された疑似中間調の2値化画像を生成することができた。
【0046】
[その他]
前記実施の形態1,2では、同一位置の2値化値の合計、すなわち2値化にて「1」となった画素の個数をカウントして合計値としていたが、「0」になった2値化画素の個数をカウントして合計値とし、これに基づいて集積結果マトリックスM1を作成し、これに対してステップS160の処理を実行してディザマトリックスを作成しても良い。
【0047】
前記合計値もそのまま集積結果マトリックスM1として用いるのではなく、所定の係数をかけても良い。また、均一濃度値iの均一濃度画素マトリックスの2値化値Iixy に対して次式のごとく均一濃度値i毎に異なる係数k(i) を設定して、全ての均一濃度画素マトリックスの合計値Cxyを求めることにより、集積結果マトリックスM1を作成しても良い。
【0048】
【数1】
【0049】
尚、x,yは均一濃度画素マトリックスあるいは集積結果マトリックスM1上の画素位置を表す。
均一濃度画素マトリックスの2値化は、「1」または「0」への2値化であったが、いかなる値の2値化でも良く、いずれか一方の値の個数をカウントして、集積結果マトリックスM1を形成し、この集積結果マトリックスM1をディザマトリックスに変換すれば良い。また、上述したような個数のカウントではなく、2値化値の合計であっても良い。
【0050】
実施の形態2において、2値化値を保存する特定の領域A1は、全ての均一濃度画素マトリックスにおいて同じ位置であったが、均一濃度画素マトリックスに応じて異なっていても良い。これは、均一濃度画素マトリックスを構成する均一濃度値iに応じて、先頭画素ラインL0部分で生じている誤差拡散の歪みの後方への影響の程度が異なるためである。
【0051】
また、このように均一濃度値iに応じて、先頭画素ラインL0部分で生じている誤差拡散の歪みの後方への影響の程度が異なるため、全ての均一濃度画素マトリックスの2値化において誤差拡散の歪みの影響を無くすため、均一濃度画素マトリックスの大きさを均一濃度値iの値に応じて調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のディザマトリックス作成装置の主要ブロック図である。
【図2】 実施の形態1のディザマトリックス作成処理のフローチャートである。
【図3】 実施の形態1の均一濃度値画像データを示す説明図である。
【図4】 実施の形態1の均一濃度値画像データを2値化した状態を示す説明図である。
【図5】 実施の形態1の集積結果マトリックスの説明図である。
【図6】 実施の形態2の均一濃度値の画像と特定領域との関係を示す説明図である。
【図7】 実施の形態2のディザマトリックス作成処理の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2…ディザマトリックス作成装置 10…入力部
11…マイクロコンピュータ部 12…CPU
13…プログラムメモリ 14…ワーキングメモリ
16…ディザマトリックス格納メモリ
17…出力イメージメモリ 18…システムバス
19…出力部
Claims (9)
- 画素において表すことができる濃度値の最小値minから最大値maxまでの範囲に離散的に設定された複数の濃度値の各々を、複数の均一濃度画素マトリックスの各々における全画素の濃度値として前記均一濃度画素マトリックス毎に誤差拡散法にて前記濃度値を2値化し、この2値化された濃度値に基づいて、ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定することを特徴とするディザマトリックス作成方法。
- 前記2値化された濃度値を、前記均一濃度画素マトリックスのすべてについて同一位置の画素毎に集積し、この同一位置の画素毎の集積結果に基づいて、ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定することを特徴とする請求項1記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記濃度値の最小値minが0であり、最大値maxが255であることを特徴とする請求項1または2記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記濃度値の最小値minから最大値maxまでの範囲に離散的に設定された複数の濃度値が、最小値minから最大値maxまで1づつ変化させて設定したmax−min+1個の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記同一位置の画素毎の集積結果が、2値化された濃度値の内の一方の値の個数であり、この個数に応じてディザマトリックスの各画素の閾値を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記均一濃度画素マトリックスは、前記ディザマトリックスより画素の数が多いマトリックスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記均一濃度画素マトリックスは、前記ディザマトリックスより行および列がともに大きいマトリックスであり、前記誤差拡散法による2値化後に、前記ディザマトリックスと同じ大きさの特定領域について前記集積を行い、その集積結果に基づいて、前記ディザマトリックスにおける各画素の閾値を設定することを特徴とする請求項6記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記特定領域は、前記誤差拡散法の処理が開始された先頭画素ライン部分の集積結果を含まないことを特徴とする請求項7記載のディザマトリックス作成方法。
- 前記特定領域は、前記誤差拡散法の処理が終了する最終画素ライン部分の集積結果を含むことを特徴とする請求項7または8記載のディザマトリックス作成方法。
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1996
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