JP3740477B2 - 車両用軽補修方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の比較的軽微なキズやへこみ等の補修と塗装(以下単に補修と云う)に用いて好適な車両用軽補修方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のキズやへこみを補修したり塗装したりするには、一般的に、補修箇所の塗膜剥離作業→パテ付け作業→パテ研ぎ作業→サフェーサー研磨作業→マスキングと塗装作業→ポリッシング・完成検査作業、を行う必要があり、また、作業中は塗膜剥離・研磨・ポリッシングの各作業や塗装作業時に可成り多くのミストや粉塵が周囲に飛散するため、作業員の健康悪化と周辺の環境悪化を防ぐために、これ等飛散するミストや粉塵或は塗料を集塵する機能や、塗装を乾燥させる機能を備えた専用の塗装ブース内に車両を収容して、各作業を行う必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記集塵機能や乾燥機能を備えた塗装ブースは、専門の鈑金塗装工場や車体整備工場等に設置されているだけなため、僅かなキズやへこみであっても車両をいちいち鈑金塗装工場や車体整備工場等に持ち込む必要があって、非常に煩雑であると共に、補修コストが高くなる問題があった。
【0004】
そこで本発明の技術的課題は、車両の比較的軽微なキズやへこみ等の補修作業を、当該車両が置いてある駐車場やガソリンスタンドといった専門工場以外の任意の場所で、簡単に且つ衛生的に行うことができるように工夫した車両用軽補修方法及びその装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1では、接続自在な複数本のパイプから成る骨組にビニールシートを被せることによって組立てることができる簡易式テントと、このテント内の換気を行う換気装置との組合せから成る簡易組立式の軽補修用ブースを用いて車両の軽補修を行う車両用軽補修方法であって、上記ブースの少くとも一側面に形成されている開放口に、開放口を塞ぐ大きさに造ったマスキングフイルムを交換自在に張設し、このマスキングフイルムには車両の補修箇所を囲む大きさの補修穴を開口形成して、補修穴の縁をマスキングテープを用いて車両側に貼付け、上記換気環境下のブース内に於いて上記補修穴によって囲まれた車両の補修箇所を補修することを特徴としている。
【0006】
(2) また、本発明の請求項2では、接続自在な複数本のパイプから成る骨組にビニールシートを被せることによって組立てることができる簡易式テントと、このテント内の換気を行う換気装置との組合せから成る簡易組立式の軽補修用ブースを用いて車両の軽補修を行う車両用軽補修装置であって、上記ブースの少くとも一側面を開放口と成し、この開放口には、全体を透明又は半透明のビニールフイルムを用いて開放口を塞ぐ大きさに造り、且つ、車両の補修箇所に相当する部分に補修箇所を囲む大きさの補修穴を開口形成すると共に、該補修穴の内周縁をマスキングテープを用いて車体側に貼付るように構成したマスキングフイルムを、交換可能な状態に張設したことを特徴としている。
【0007】
上記(1)と(2)で述べた本発明に係る車両用軽補修方法及びその装置によれば、換気装置(排気装置)を備えた軽補修用ブースは簡易組立式で、如何なる場所にも容易に持ち運んで組立てることができるため、例えば電話やメール等で補修の依頼があった場合には、依頼先やその駐車場、ガソリンスタンド等に出向いて、その出先でブースを組立て、このブースの中に作業員が入って衛生的な環境下で上記補修に必要な各種作業を行うことができるものであって、車両の軽補修を迅速に、且つ、経済的に済ませることを可能にする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る車両用軽補修方法及びその装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明で用いる軽補修用ブースの全体を示した斜視図、図2はその平面図、図3はブースを構成するビニールシートの構成を説明した斜視図、図4はブースを構成する骨組の斜視図であって、図1と図2に示した簡易組立式の軽補修用ブースTBは、図4に示した複数本のスチール製パイプを接続及び組合せて構成した骨組に、図3に示した複数枚のビニールシートを被せて取付けることによって組立てた簡易式テントに対し、図1並びに図2に示した換気装置である集塵ボックス22を接続することによって構成される。
【0009】
図4は骨組の一例を示したもので、骨組の全体は、計4本の支柱パイプ10…と、前後左右に設けた計4本の桁パイプ13,14,15,16と、中央部に架設する1本の補助桁パイプ16′によって、全体が組立て自在、及び、分解自在に構成されている。
【0010】
各支柱パイプ10…と桁パイプ13〜16、及び、補助桁パイプ16′の中間部には、各パイプを中間部で二つ折りに畳むことができるジョイント部11…,13A,14A,15A,16A,16A′が設けられている。各支柱パイプ10…の上側部には、各桁パイプ13〜16の先端部に直角に設けたフック突子(図示省略)を嵌込むことにより、4本の支柱パイプ10…の上端部間に各桁パイプ13〜16を架設する嵌込筒10A…と、各桁パイプ13〜16を下側から支持して、各桁パイプ13〜16と4本の支柱パイプ10…との間を固定する振れ止め補強レバー12…が設けられている。また、補助桁パイプ16′の両端部には、両端部を前後の桁パイプ13,15に掛渡して固定するフック(図示省略)が設けられている。
【0011】
以上の如く組立てられた骨組に被せられるビニールシートは、図3に示すように周囲にカバー片1Aを垂設した全体が矩形状を成す天井シート1と、左右の側面シート2A,2C、及び、奥側の背面シート2Bを一枚に連設した側壁カーテン2とによって構成されている。側面シート2A,2Cと背面シート2Bの各上端縁には、前記図4に示した骨組の左右と後部の各桁パイプ14,16と15に吊下げられているS字フック17…を嵌込んで、各シート2A,2Cと2Bを吊下げることができる吊下げ穴7…が設けられていて、この様にS字フック17…で吊下げられる各シート2A.2C,2Bの裾は、図1に示すように設置面(路面等)に充分に接する長さに形成されている。
【0012】
以上の如く、各S字フック17…を用いて左右と後部の各桁パイプ14,16と15に吊下げられた側壁カーテン2の全体は、前面部を開口した平面視が略コ字状の形態を成し、上面部に上述した天井シート1を被せることによって、前面を開放した簡易式のテントが構築される。
【0013】
更に図中、3は前面から見て左側の側面シート2Aに設けたファスナー付きの開閉自在な出入口、4は背面シート2Bに設けた換気用(排気用)のダクト接続穴で、この接続穴4には先端口を前述したキャスター付きの集塵ボックス22の接続口22Aに接続したフレキシブルダクト21の根端口20が接続されていて、フレキシブルダクト21の両端口は、これ等背面シート2Bのダクト接続穴4と集塵ボックス22の接続口22Aに対して、いずれも取外し自在に構成されている。
【0014】
5は前面から見て右側の側面シート2Cに設けた給気フイルターで、上述した天井シート1は防炎・静電防止対策を施したビニールシートが用いられ、側壁カーテン2の全体は防炎・静電防止対策が施された網入りの透明又は半透明のビニールシートが用いられる。
【0015】
23は上記集塵ボックス22に対して装着自在に構成した集塵用フイルターで、集塵ボックス22には集塵用のファンとモータ(いずれも図示省略)が設けられていて、前記骨組とビニールシートによって組立てられた簡易式テントの内部、即ち、簡易組立式軽補修用ブースTBの内部1Hに対して、集塵を兼ねた換気作用(排気作用)を及ぼす仕組に成っている。
【0016】
更に図中、6…は前記左右の側面シート2A,2Cの先端折り返し片2D,2Eの内側に取付けた結束帯で、前記左右の支柱パイプ10,10を、これ等左右の折り返し片2D,2Eの内側に包み込み、且つ、結束帯6…によって結束することにより、側壁カーテン2の全体を骨組側に確りと取付けることができる。
【0017】
図4において、17′…は開口された前面部側の桁パイプ13に吊下げたS字フック、18…はこれ等各フック17′…に取付けたバネ式クリップの如き挟持具、8は前記開口された前面口を覆って塞ぐように、これ等挟持具18…にその上縁部を挟んで吊下げられるマスキングフイルムで、透明又は半透明の比較的薄手のビニールフイルムを用いて構成されたこのマスキングフイルム8は、補修作業の度に新しいものと交換されて使い捨てにされる。
【0018】
図3において、9は上記マスキングフイルム8の両側縁を、前記左右の側面シート2A,2Cの先端折り返し片2D,2Eの部分に仮止めするバネ式クリップで、この様に軽補修用ブースTBの前面を塞ぐように取付けられたマスキングフイルム8には、作業に際して、補修を行う車両AMの補修箇所AM′(図5参照)に位置を合せて、ハサミやカッター等を用いてこの補修箇所AM′を囲む大きさの補修穴8Aが開口形成される。
【0019】
補修作業に当っては、先ず専用車両等に積み込んで運んだ骨組とビニールシートを用いて軽補修用ブースTBを組立て、次いで、車両AM又は軽補修用ブースTBのいずれかを、図2に示すように補修箇所AM′がマスキングフイルム8に接する位置に移動して、マスキングフイルム8の当該補修箇所AM′に相当する部分に補修穴8Aを開口形成し、この補修穴8Aの内周縁をマスキングテープ8T(両面接着テープや通常の接着テープ)を用いて車両AMのボディー側に接着する。
【0020】
その後、集塵ボックス22の集塵運転によって換気及び排気の環境下にある軽補修用のブースTBの内部1Hで、作業員が防塵用のマスクや眼鏡をかけ、且つ、各種の工具類やマスキングペーパ8X(図5参照)等を用いて前述した軽補修用の各種作業を行い、作業を終える。作業終了後は組立てた軽補修用ブースTBを分解して、図6に示すように骨組とビニールシートを各袋X,Y,Zに収納し、これ等と集塵ボックス22やフレキシブルダクト21等を専用車両に積み込めば、作業現場を完全に撤収することができる。
【0021】
尚、図面に示した骨組とビニールシートの構成はいずれも実施の一例であって、軽補修用ブースTBの形状及び構造が図示のものにのみ限定されないことは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた次第で、本発明に係る車両用軽補修方法及びその装置によれば、簡易組立式の軽補修用ブースを、骨組とビニールシート及び換気装置とに分解し、これ等を専用車両等に積み込むことによって如何なる場所にも持ち運ぶことができ、また、これ等分解した骨組とビニールシート及び換気装置を組合せることによって、如何なる場所にも簡単に軽補修用ブースを組立てることがっできるため、いちいち車両を専門の鈑金塗装工場や整備工場等に持ち込まなくても、電話やメール等で補修を依頼することによって、例えば自宅や会社等の駐車場や近くの空き地、或は、ガソリンスタンド等を利用して、専門の作業員による車両の軽補修を頗る簡単に、短時間のうちに済ませることができるものであって、車両の軽補修を合理的に、且つ、経済的に行うことができる新たなビジネスの構築を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる軽補修用ブースの一例を示した斜視図。
【図2】本発明による軽補修の作業状態を説明した平面図。
【図3】軽補修用ブースを構成するビニールシートの一例を示した分解斜視図。
【図4】軽補修用ブースを構成する骨組の一例を示した分解斜視図。
【図5】本発明による軽補修の作業例を説明した説明図。
【図6】分解して袋詰めにした軽補修用ブースの斜視図。
【符号の説明】
AM 車両
AM′ 軽補修箇所
TB 軽補修用ブース
1H ブースの内部
1,2 ビニールシートを構成する天井シートと側壁カーテン
8 マスキングフイルム
8A 補修穴
8T マスキングテープ
22 換気装置を構成する集塵ボックス
Claims (2)
- 接続自在な複数本のパイプから成る骨組にビニールシートを被せることによって組立てることができる簡易式テントと、このテント内の換気を行う換気装置との組合せから成る簡易組立式の軽補修用ブースを用いて車両の軽補修を行う車両用軽補修方法であって、
上記ブースの少くとも一側面に形成されている開放口に、開放口を塞ぐ大きさに造ったマスキングフイルムを交換自在に張設し、このマスキングフイルムには車両の補修箇所を囲む大きさの補修穴を開口形成して、補修穴の縁をマスキングテープを用いて車両側に貼付け、上記換気環境下のブース内に於いて上記補修穴によって囲まれた車両の補修箇所を補修することを特徴とする車両用軽補修方法。 - 接続自在な複数本のパイプから成る骨組にビニールシートを被せることによって組立てることができる簡易式テントと、このテント内の換気を行う換気装置との組合せから成る簡易組立式の軽補修用ブースを用いて車両の軽補修を行う車両用軽補修装置であって、
上記ブースの少くとも一側面を開放口と成し、この開放口には、全体を透明又は半透明のビニールフイルムを用いて開放口を塞ぐ大きさに造り、且つ、車両の補修箇所に相当する部分に補修箇所を囲む大きさの補修穴を開口形成すると共に、該補修穴の内周縁をマスキングテープを用いて車体側に貼付るように構成したマスキングフイルムを、交換可能な状態に張設したことを特徴とする車両用軽補修装置。
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