JP3739572B2 - 自動車用ウェザーストリップの取付け構造 - Google Patents

自動車用ウェザーストリップの取付け構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動車用ウェザーストリップの取付け構造に関するもので、とりわけ、フルドア構造の車両における車室内の水密性及び風音性を確保するためのウェザーストリップの取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
フルドア構造の車両とは、インナーパネルとアウターパネルとでドア本体とドアサッシを一体成形し、自動車のセンターピラー側の前側部が上方へ次第に減少して前記インナーパネルとアウターパネルの肉厚に収束され、前記前側部にパーティングシール部材を取付けてその上端部を車体側に固定したウェザーストリップと接触可能に配置した自動車用ドアを有する車両をいう。
【0003】
すなわち、図4に示すように、自動車のセンターピラーの左右両側に、センターピラー対応部9,10を有するフロントドア1とリヤドア2が開閉可能に取り付けられており、両方のサッシュ部4,5ともに、図5に示すように、インナーパネル6とアウターパネル7による閉断面構造をしている。とりわけ、図5に示すように、リヤドア2のセンターピラー側の前側部である取付面3は上方へ次第に面積が減少するとともに、フランジ部8が消失して取付面上端3aでは前記インナーパネル6とアウターパネル7の肉厚に収束される。
【0004】
そして、両ドア1,2の開閉に際し互いに干渉することのないように、センターピラー対応部9,10間には隙間が形成される。そのため、この隙間から車室内に水や風が侵入するのを防止するため、フロントドア1のセンターピラー対応部9が当接するゴムなどの弾性体からなるパーティングシール部材がリヤドア2のセンターピラー対応部10の取付面3にクリップ等で取り付けられるが、取付面上端3aにはパーティングシール部材(図6の符号12を参照)の上端部をクリップ(図6の符号15参照)などで確実に固定することができない。パーティングシール部材12の上端部(図6の12a参照)がリヤドア2に確実に固定されていなければ、それががたついて車体側に配置されたウェザーストリップドリップ部材(図6の符号11を参照)に確実に接触することもできなくなるから、車室内の水密性及び風音性は達成できなくなる。
【0005】
そこで、図6に示すように、パーティングシール部材12の上端部12aに、車室側で後方へ所要の長さの延長部12bを一体成形し、その延長部12bをクリップ13で車室側からインナーパネル6に穿設した孔に差し込んで固定していた。この延長部12b内には、図7に示すように、金属板等の補強プレート14が一体成形で埋め込まれていて、延長部12bの補強をしている。すなわち、クリップ13からフロントドア1とリヤドア2間の隙間の中央までの距離Aがかなり大きいために、クリップ13だけでは上端部12a及び延長部12bのがたつき等を抑えることが難しくなるからである。
【0006】
これにより、パーティングシール部材12の上端部12aはリヤドア2に確実に固定されてウェザーストリップドリップ部材11に接触でき、また、その下部は取付面3にクリップ15にて取付け固定され、フロントドア1のインナーパネル6に接触できて車室内の水密性及び風音性を確保するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のフルドア構造の車両におけるウェザーストリップの取付け構造では、パーティングシール部材12は延長部12bと一体成形した補強プレート14を有するので、その製造における歩留まりが悪く、また、補強プレートやクリップを用いてコスト高となり、そのうえ、延長部12bは型成形部が上方に大きいため弾性材料の使用量が多い、などの不都合を有する。
【0008】
しかも、リヤドアの車室側の内側面に延長部12bが露出して取り付けられているので、見栄えが良好でない。
【0009】
そこで、この発明は上記事情に鑑みて、製造容易でコスト安価であって確実な水密性確保ができる自動車用ウェザーストリップの取付け構造を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる自動車用ウェザーストリップの取付け構造は、インナーパネルとアウターパネルとでドア本体とドアサッシを一体成形し、自動車のセンターピラー側のパーティングシール部材の取付面が上方へ次第に面積が減少して前記インナーパネルとアウターパネルの肉厚に収束されていて、その取付面にパーティングシール部材を取付け、該パーティングシール部材の上端部を車体側に固定したウェザーストリップに接触可能に配置する自動車用ウェザーストリップの取付け構造において、
前記パーティングシール部材の上端部をその本体部とほぼ同じ形状にて一体成形し、その上端部付近に孔を開設し、該孔に対応する角孔を前記取付面に開設するとともに、棒状体に切頭角錐形の挿入部を略T字形に一体成形してなる補強クリップで、前記パーティングシール部材の前記孔から前記棒状体をパーティングシール部材内に挿入し、かつ、前記挿入部を前記取付面の角孔に圧入してなることを特徴とする。
【0011】
そして、前記挿入部は前記棒状体の長手方向の中心から一端部側に片寄って一体成形され、その長い一端部をパーティングシール部材の上端部側に向けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
したがって、パーティングシール部材の形状・構造がシンプル化するとともに、それを取付面に簡単に補強クリップで取り付ける作業性の向上が図れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施例を図に基づき説明する。図1に示すように、パーティングシール部材20はその上端部20aが基本的にはその本体部21の延長であり、本体部21と同様に内部中空でその断面形状においてほぼ直角に交叉する直線状の縦辺部22と横辺部23及び円弧状の曲面部24とを有し、縦辺部22が取付面3に当接する。上端部20aの端末は閉じられて車体側がエッジ部を形成し外側が屋根形に傾斜して成形されている。この上端部20a側の前記縦辺部22の延長上の適宜部位に孔25を穿設してある。この孔25に対応してリヤドア2の取付面3に角孔26が穿設される。これらの孔25と角孔26を介してパーティングシール部材20は補強クリップ27で取付面3に固定される。
【0014】
補強クリップ27は、略T字形をしてその棒状体28の一端部28aが前記孔25に挿入容易な先鋭形状をなし、その断面形状は少なくとも孔25の形状よりも小さいか若しくは同じかやや大きい程度で、棒状の他端部28bもほぼ同じである。一端部28aはなるべく上端部20aの端部に近く位置するように長く形成し、また、他端部28bは一端部28aよりも短く形成してある。そして、一端部28aと他端部28bの前側面3側(縦辺部22と接触する面)は平坦面に形成してある。
【0015】
そして、棒状体28とほぼ直交して一体成形された挿入部29は角孔26に挿入する切頭角錐体であって、その断面形状は四角形である。したがって、挿入部29を角孔26に差し込んだ場合に、補強クリップ27が挿入部29を中心として回動することはない。挿入部29と一端部28a及び他端部28bとの間には、図3に示すように、パーティングシール部材20の孔25の内周縁の肉厚とアウターパネル7の肉厚とを加えた寸法にほぼ等しい長さで断面形状が四角形の首部29aが形成されている。したがって、パーティングシール部材20の縦辺部22は取付面3に密着できて水密構造になる。
【0016】
したがって、補強クリップ27の一端部28aを孔25内に差し込むとともに、それよりも短い他端部28bを孔25内に、パーティングシール部材20の素材の弾性を利用して差し込むことにより、図2に示すように、補強クリップ27はパーティングシール部材20の上端部20a側に装着できる。そこで、補強クリップ27の挿入部29を角孔26に圧入して完全に差し込むと、図3に示すように、挿入部29は角孔26から抜脱不能に固定され、しかも、上端部20aは一端部28aと他端部28bとでリヤドア2の取付面3に押し付けられて固定する。
【0017】
かくして、補強クリップ27をパーティングシール部材20の上端部20aに装着し、リヤドア2の取付面3にパーティングシール部材20の縦辺部22を当てがい、補強クリップ27の挿入部29を角孔26に押し込むだけで簡単に取り付けることができ、しかも、パーティングシール部材20は基本的に本体部21と同じ形状であって、補強プレートなどを不要として製造容易であり、歩留まりが悪化することはないので、総じてコスト安価である。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したこの発明によれば、補強プレートなどの金具の廃止ができるから歩留まり向上が図れるために、コスト削減ができる。また、パーティングシール部材の形状がシンプルとなるために、その素材の削減ができ、これまたコスト削減につながる。さらに、パーティングシール部材の上端部が補強クリップにより上下方向への動きなく確実にリヤドアに固定され、車室内の良好な水密性及び風音性の確保ができる。しかも、パーティングシール部材の一部がリヤドアの車室側の内側面に回り込むこともないので、見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の要部を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の要部を示す組付け斜視図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】この発明が適用される車両の概略側面図である。
【図5】図4に示すリヤドアを示す斜視図である。
【図6】図4のY部の構造説明図である。
【図7】図6のS1−S1断面図である。
【符号の説明】
1…フロントドア
2…リヤドア
3…取付面
6…インアーパネル
7…アウターパネル
10…センターピラー対応部
11…ウェザーストリップドリップ
20…パーティングシール部材
20a…上端部
21…本体部
22…縦辺部
23…横辺部
24…曲面部
25…孔
26…角孔
27…補強クリップ
28…棒状体
28a…一端部
28b…他端部
29…挿入部
29a…首部

Claims (2)

  1. インナーパネルとアウターパネルとでドア本体とドアサッシを一体成形し、自動車のセンターピラー側のパーティングシール部材の取付面が上方へ次第に面積が減少して前記インナーパネルとアウターパネルの肉厚に収束されていて、その取付面にパーティングシール部材を取付け、該パーティングシール部材の上端部を車体側に固定したウェザーストリップに接触可能に配置する自動車用ウェザーストリップの取付け構造において、
    前記パーティングシール部材の上端部をその本体部とほぼ同じ形状にて一体成形し、その上端部付近に孔を開設し、該孔に対応する角孔を前記取付面に開設するとともに、棒状体に切頭角錐形の挿入部を略T字形に一体成形してなる補強クリップで、前記パーティングシール部材の前記孔から前記棒状体をパーティングシール部材内に挿入し、かつ、前記挿入部を前記取付面の角孔に圧入してなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップの取付け構造。
  2. 前記挿入部は前記棒状体の長手方向の中心から一端部側に片寄って一体成形され、その長い一端部をパーティングシール部材の上端部側に向けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ウェザーストリップの取付け構造。
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