JP3739122B2 - モジユラー膝プロテーゼ - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、関節プロテーゼに関し、さらに詳細には、膝関節形成手順中使用されるモジュラー膝関節プロテーゼに関する。
【０００２】
【従来技術及びその課題】
膝関節形成は、疾病及び／又は損傷した自然の膝関節をプロテーゼ膝関節で置き換える公知の外科用手順である。典型的な膝プロテーゼは、脛骨成分、大腿骨成分、及び膝蓋骨成分を含む。大腿骨成分は、一般に、離間した一対の顆部分を含み、その上面は、脛骨成分の部分と関節でつながる。大腿骨ステム組立品はまた、置き換えられた膝関節に横安定性を設けるために使用される。大腿骨ステム組立品は、しばしば、大腿骨の遠位部分の骨髄管内に着座するステム部材を含む。ステムは、一般に、特殊環及びボルトにより大腿骨成分に結合される。
【０００３】
膝関節プロテーゼは、購入及び保管されなければならない個別成分の数を縮小し、関節形成手順中外科医による関連成分の取り扱い時間を縮小するために、モジュラー組立品として利用される。先行技術のモジュラー膝プロテーゼの実施例は、Ｕ．Ｓ．特許Ｎｏ．５，１５２，７９６（Ｓｌａｍｉｎ）において記載される。Ｓｌａｍｉｎ特許は、大腿骨成分と、種々の外反角度に対応する種々の角度において大腿骨成分に装着された一連のボルトとを含むモジュラー膝プロテーゼを記載する。外反角度は、大腿骨の中央線と、遠位大腿骨と大腿骨頭の中心を連結する垂直軸との間の角度として規定され、一般に５°〜９°である。プロテーゼはまた、種々の長さと直径の複数の大腿骨ステムを含む。
【０００４】
現モジュラー膝関節プロテーゼに拘わらず、異なる患者の解剖学的構造及び関節条件を収容するために十分な融通性を有するモジュラー膝関節プロテーゼの必要性が残される。多くの最新のモジュラー膝プロテーゼは、ほとんど又は全く部品の交換性がない比較的過剰の成分数を特徴とする。そのような体系は、部品のむだのために購入費用を増大させる傾向がある。付加的に、過剰数の部品が取り扱われ、保管され、こうして、在庫制御及び管理に付随した費用を増大させる。
こうして、発明の目的は、比較的低い成分カウントを維持しながら、異なる患者の解剖学的構造及び関節条件を収容するために十分な融通性を有するモジュラー膝プロテーゼを提供することである。発明の別の目的は、種々の解剖学的条件と生理学的及び幾何学的に適合性のある成分を有するモジュラー膝プロテーゼを提供することである。発明のさらに別の目的は、右及び左膝手順における使用のために適するモジュラー膝プロテーゼを提供することである。発明の他の一般及び特定の目的は、図面と以下の説明からさらに明らかになるであろう。
【０００５】
【課題を解決するため手段】
本発明は、全成分カウントを縮小しながら、改良適合性を有するモジュラー膝関節プロテーゼに関する。発明のモジュラープロテーゼの成分は、右及び左側プロテーゼで使用することができる。
【０００６】
発明のモジュラー膝プロテーゼは、上関節面と下面を有する離間した一対の顆部分を具える大腿骨成分を含む。ボス構造は、大腿骨成分において存在し、顆部分の間に配設され、それらを連結する。ボス構造は、横平面において略水平の第１定位にある下面と、選択構成の孔を有する対向上面とを有する。発明のモジュラー膝プロテーゼは、さらに、大腿骨の遠位部分の骨髄管内に据付ける細長いステム部材を含む。ステム部材は、好ましくは、大腿骨成分に隣接する開遠位端部を有する。
【０００７】
モジュラー膝プロテーゼはまた、環と、少なくとも一つの固着用ボルトとを含む。環は、ステム部材の外側端部に据付けられ、そして据付けられた時、ステム部材の縦軸を実質的に横断する遠位表面を有する。発明の一つの実施により、ボス構造の環遠位表面と下面は、好ましくは約０〜９度にある選択据付け角度を規定する。
【０００８】
ボス構造の孔内に据付けるように適合された固着用ボルトは、細長いシャフト部分が球形ボス係合表面から延びている頭部を有する。一つの実施態様において、固着用ボルトのシャフトは、ボルト頭部の略中央位置に配設され、延びている。代替実施態様において、ボルトのシャフト部分は、シャフトが中心からはずれる如く、頭部の非中央位置に配設され、延びている。都合の良いことに、単一ステムと、種々の据付け角度を有する少なくとも２つの環及びオフセット及び非オフセット固着用ボルトをモジュラー膝プロテーゼに設けることは、融通性を改善し、左及び右プロテーゼにおいて修正のない使用のために適するモジュラー膝プロテーゼを設けながら、必要なプロテーゼ成分の数を低減する。
【０００９】
発明の別の実施により、固着用ボルトは、ボス構造の孔内に着座し係合する。さらに詳細には、ボス構造の上関節面は、好ましくは、ボス孔を収容する球形端壁において終端する空洞を含む。ボルト頭部の球面と空洞の球形端壁の嵌合は、横平面に関して選択角度において孔内にボルトを位置付ける。ボルトシャフト部分がボス構造の下面から延びている正確な角度は、環据付け角度によって決定される。一つの見地により、ボス構造内に形成された孔は、選択形状を有し、前後方向又は内外方向のいずれかにおいて延びている。
【００１０】
発明の一層の見地により、ボルトの頭部は、ボルトがボス孔内に据付けられる時、ボルトの非所望の回転を防止するための第１抗回転要素を含む。付加的に、ボス構造は、ボス孔内に据付けられた時、ボルトの回転を防止するために、ボルトの第１抗回転要素に係合する第２抗回転要素を含む。一つの実施態様において、第２抗回転要素は、ボス構造の上面において形成される。
【００１１】
第３抗回転要素は、ボス構造の下面に据付けられた時、環の回転を防止するために環に関連される。ボス構造の下面は、好ましくは、ボス構造において据付けられた時、環の回転を防止するために、環の第３抗回転要素に係合する第４抗回転要素を含む。第４抗回転要素は、好ましくは、ボス構造の下面において形成される。
【００１２】
発明のモジュラー膝プロテーゼは、環を細長いステム部材に固着するロック要素、例えば、スナップリングを含む。ロック要素は、好ましくは、環とステムと締まりばめにおいて配設される。好ましい実施態様において、細長いステム部材は、環に独立に、その縦軸の回りで回転可能である。
【００１３】
発明の前述及び他の目的、特徴及び利点は、次の説明と添付の図面から明らかになるであろう。種々の図面を通じて、同様の参照文字は同様の部分を参照する。
【００１４】
【実施例】
図１に示された如く、発明のモジュラー膝プロテーゼ１０は、大腿骨ステム１４、環２６、大腿骨成分４０、及び固着用ボルト５６を含む。膝プロテーゼ１０は、さらに、参照としてここに採り入れられたＵ．Ｓ．特許Ｎｏ．５，１５２，７９６において記載されたものに形式と動作において類似するスナップリング１２を含む。例示のモジュラー膝プロテーゼ１０は、図示の大腿骨成分を除いて、左又は右膝プロテーゼとして、修正なしに、好適に使用される。
【００１５】
図１〜図３を参照すると、大腿骨成分４０は、顆間部位又はボス４４によって連結した一対の顆部分４２Ａ、４２Ｂを有する。大腿骨成分４０は、上関節面４５と対向下面４６を有する。さらに、大腿骨成分４０は、後側３６と前側３８を有する。大腿骨成分４０の前側３８は、膝蓋骨プロテーゼ成分（不図示）が着座する図３に示された膝蓋骨溝５４を含む。湾曲顆部分４２Ａ、４２Ｂの上面４５は、技術における当業者には非常に公知な方式で、脛骨の頭に据付けられたプロテーゼ脛骨成分（不図示）に関節接合する。
【００１６】
ボス構造４４は、頂部下面４４Ｂに略直交する一対の略垂直な側壁４４Ａを有する。以下にさらに詳細に記載される如く、頂部下面４４Ｂは、好ましくは、環抗回転要素を構成する一対の隆線４４Ｃを形成してある。
【００１７】
図１と図３を参照すると、ボス４４は、さらに、底部上面４４Ｄ内に空洞７０を形成してある。空洞７０内の孔７８は、ボス構造４４のそれぞれ上面と下面４５、４６の間に配設され、前後方向又は内外方向のいずれかにおいて延びる如く、選択形状を有する。好ましくは、孔７８は、前後方向において延びている。孔の形状は、楕円、卵形、球形、又はボルトが孔内に据付けられた時固着用ボルトシャフトの十分な併進量を許容する任意の他の形状である。
【００１８】
技術における当業者には認められる如く、横平面は、直立する被検者の膝を通って、冠状平面と矢状平面の両方に直交する水平面として規定される。
【００１９】
空洞７０は、好ましくは、以下にさらに詳細に記載される如く、一対の弓状内及び外側壁７２と、ボルト抗回転機構を形成する一対のほぼ平坦な前後側壁７４とを有する。空洞は、さらに、固着用ボルト５６の対応する形状の頭部を着座させるための略球又は丸形状を有する端壁７６を含む。
【００２０】
顆部分４２Ａ、４２Ｂの下面４６は、大腿骨成分の前後側の間に一連の統合表面を形成する。図１を参照すると、各顆部分４２の下面は、前方垂直表面８０、軸方向に離間された下向き斜面８２、略水平面８４、軸方向に離間された上向き斜面８６、及び後方垂直表面８８を具備する。各顆部分の水平面８４は、各顆部分の下面に部分的に陥入するくぼみ９０を有する。くぼみにより、外科医は、適切な処置器械を介して、大腿骨成分を把持し処置することができる。
【００２１】
大腿骨成分４０とボス４４は、図２Ａと図２Ｂに示された如く、多様な形状を有する。図１と図３の大腿骨成分の要素に共通な大腿骨成分４０’の要素は、図２Ａの成分に対しては上付きプライムを付け、図２Ｂの成分に対しては上付き二重プライムを付して同様の参照番号で指定される。図２Ａの大腿骨成分４０’は、第２選択形状のボス構造４４’を有する。付加的に、環抗回転機構を形成する例示の隆線４４Ｃ’は、相互に関して軸方向にオフセットされる。図２Ｂを参照すると、例示の大腿骨成分４０”のボス構造４４”は、第３の好ましい形状を有する。ボス構造の隆線４４Ｃ”はまた、図２Ａと同様に、軸方向にオフセットされる。当業者は、大腿骨成分４０、ボス構造４４と顆部分４２の他の形状も存在することを容易に認識するであろう。
【００２２】
図４Ａ〜図５Ｂは、図１の固着用ボルトの好ましい実施態様を示す。図４Ａを参照すると、第１実施態様のボルト５６は、ボルト頭６０から上方外側に延びるシャフト部分５８を有する。シャフトは、ボルト頭６０の外径よりも小さな外径（Ｄ１）を有する下側ねじなし部分５８Ａと、下側ねじなし部分５８Ａと一体的な上側ねじ部分５８Ｃとを有する。好ましくは、くぼんだ頸部５８Ｂは、ボルト５６の上側及び下側部分５８Ｃ、５８Ａを分離する。上側部分５８Ｃの外径（Ｄ２）は、好ましくは、下側シャフト部分５８Ａの外径（Ｄ１）よりもわずかに小さい。
【００２３】
ボルト頭部６０は、ボス孔係合面６２と、頂点６４Ｂにおいて接合する一対の斜面６４Ａを含む対向頂面６４とを有する。孔係合面６２は、好ましくは、ボス空洞７０の端壁７６のそれに相補的な丸又は球形状を有する。ボルト頭６０の孔係合面６２とボス空洞７０の成型端壁７６の嵌合は、好ましくは、孔内にボルトシャフトを位置付ける。ボルトシャフト５８は、孔７８の形状と環２６の据付け角度によって決定された選択角度においてボス頂面４４Ｂから延びている。以下にさらに詳細に記載される如く、孔７８の形状は、ボルトシャフトを孔の制限内で併進させ、究極的に、選択位置において着座させることにより、ボルトシャフトの許容角度範囲を決定するのに役立つ。端壁７６と孔係合面６２は球形状の輪郭で示されるが、当業者は、他の適合性構成も可能であることを認めるであろう。
【００２４】
図４Ｂに示された如く、ボルト頭６０の頂面６４は、一対の対向弓状側部６６Ａと一対の対向した略平坦側部６６Ｂによって規定した周面６６を有する。平坦側部６６Ｂは、ボス空洞７０の平坦な側壁７４に嵌合し、空洞内にボルトを固着させ、固着された時ボルトの非所望の回転を防止するために協働する。
【００２５】
図４Ｂをさらに参照すると、一つの実施態様において、ボルトは、ボルトのシャフト部分５８がボルト頭６０の略中央位置から延びる如く構成される。この配置は、ボルトが下面４６に関して選択位置及び所望角度においてボス孔内に据付けられる時、大腿骨成分の下面からボルトシャフトを延びるようにする。
【００２６】
図５Ａと図５Ｂは、発明により構成された固着用ボルト５６の別の実施態様を示す。この実施態様において、ボルト５６は、シャフト５８がずらされた非中心位置においてボルト頭６０に位置付けられることを除いて、図４Ａと図４Ｂに示された上記のものに類似する。図示の如く、ボルトのシャフト部分５８は、ボルト頭６０の略中央位置から選択された距離だけ軸方向にオフセットされた位置から上方に延びている。シャフトが略中央位置からオフセットされる距離は、約０ｍｍ〜約５ｍｍの範囲にある。好ましくは、オフセット距離は、約２ｍｍである。
【００２７】
ボルト５６のこのオフセット構成は、ボルトが大腿骨成分４０の下面４６に関して選択角度及び軸定位においてボス孔内に据付けられる時、ボルトシャフト５８をボス下面４６から延びるようにする。例えば、前又は後方向において方向付けられたオフセットボルト（図５Ａと図５Ｂ）は、種々の解剖学的構造に対して、又は骨の欠損が大腿骨のある領域において存在する場合に必要である。
【００２８】
図４Ａと図４Ｂの例示のボルトは、ボルトオフセットが望ましくない場合、例えば、種々の解剖学的構造に対して、又は骨の欠損が大腿骨のある領域に存在する場合に、左又は右側プロテーゼにおいて使用される。同様に、図５Ａと図５Ｂに示されたオフセットボルトは、前方又は後方、若しくは内側又は外側オフセットが必要とされる場合に、右及び左側プロテーゼにおいて使用される。
【００２９】
図６Ａと図６Ｂを参照すると、環２６は、外周面２９とボス係合面３０を有する中央本体部分２８を有する。環は、さらに、ステム着座面３１から上方に延びている頸部３２を含む。頸部３２は、好ましくは、第１環状部分３２Ａと段付き環状部分３２Ｂを含む。第２段付き環状面３２Ｂの頂部に沿って形成されたリップ３２Ｃは、第１段付き表面３２Ａに張出す。ステム１４の遠位端部は、環と組み立てられた時、好ましくは、約１３ｍｍと約１５ｍｍの直径等、いろいろな直径を有する大腿骨ステムを収容するような大きさであるステム着座面３１に係合する。
【００３０】
ボス係合面３０は、好ましくは、傾斜され、横平面２２に関して角度を形成する。横平面にあるボス４４の係合面３０と頂部下面４６は、環が大腿骨成分と組み立てられ、ボス頂面に係合する時、据付け角度（α）を形成する。角度（α）は、好ましくは、約０°〜約１５°である。発明の一つの実施により、ボス係合面３０は、矢状平面において測定した時、前方又は後方側に対して前後方向において傾斜される。同様に、表面３０は、冠状平面において測定した時、内側又は後方側に対して内外方向において傾斜される。好ましくは、角度（α）は、いずれの方向においても約０°〜約１５°の範囲を取る。この可変環角形成は、大腿骨の遠位部分内に据付けられた時、大腿骨ステムのいろいろな可能な定位と適合性のある複数のステム据付け角度を設ける。技術における当業者は、ボス据付け表面３０が前述の角度範囲によって拘束される冠状及び矢状平面角形成の組み合わせを設けるように構成されることを容易に認める。
【００３１】
環２６は、右又は左側膝プロテーゼのいずれかで使用される。一般に、環は、角度（α）が、冠状平面において測定した時、プロテーゼの外側に対する如く位置付けられる。同一環は、大腿骨ステム１４に対して外側角度を保証するために、プロテーゼにおいて環の定位を単に逆転させることにより、左又は右側プロテーゼのいずれかで使用される。
【００３２】
図６Ｂを参照すると、環周面２９は、一対の対向弓状側部２９Ｂと、一対の対向した平坦側部２９Ａとを有する。平坦側部２９Ａは、ボス頂面４４Ｂの隆線４４Ｃに係合するように適合される。隆線４４Ｃと環周面の平坦側部２９Ａの間の嵌合接触は、ボス頂面４４Ｂに据付けられた時、環の非所望の回転を防止する。
図６Ｃに示された如く、環２６は、さらに、ボルトシャフト５８を着座させる中央孔３４を有する。孔３４は、ボス据付け表面３０に隣接するじょうご状部分３４Ａと、じょうご状部分３４Ａから環の頸部３２までの上向きの円筒部分３４Ｂとを有する。じょうご状部分３４Ａは、ボルト挿入のための付加的なすきま空間を設ける。
【００３３】
図１と図７を参照すると、大腿骨ステム１４は、縦軸（ｘ）に沿って細長い本体１５を有する。一連の離間した縦溝１６が、図１の本体１５の近位部分１５Ａに沿って形成される。縦溝１６は、大腿骨の骨随管内のステムの回転を阻止する。ステム本体１５の底部部分１５Ｂ、例えば遠位端部は、さらに、環及びボルト収容孔１６を形成される。ステム底面１５Ｃにおいて形成した孔１６は、図５Ａの環の第１環状表面３２Ａの外径よりもわずかに大きな外径（Ｄ３）を有する第１孔部分１６Ａを有し、これにより、環頸部をステム孔１６内に据付けさせる。孔１６は、直径（Ｄ３）よりも小さいが、図６Ａのボルトシャフト５８の直径（Ｄ１）よりもわずかに大きな直径（Ｄ４）を有する第２の軸方向に離間した部分１６Ｂを有する。孔は、さらに、直径（Ｄ１）よりも小さいが、ボルトシャフトの直径（Ｄ２）よりも大きな外径（Ｄ５）を有する軸方向に離間した第３ねじ部分１６Ｃを含む。孔１６のこの軸方向連続構成は、ボルトシャフト５８Ａ−５８Ｃの軸方向に離間した部分を収容し、ボルトねじ部分５８Ｃをねじ孔部分１６Ｃと螺合させる。ステム底部の外径は、好ましくは、約１０ｍｍ〜約２０ｍｍの範囲を取り、最も好ましくは、約１０．５ｍｍ〜約１５ｍｍの範囲を取る。例示のステム１４は、左及び右側プロテーゼにおいて修正なしに好適に使用される。
【００３４】
組み立てられた時、環２６は、ボス４４の頂面４６例えば下面に据付けられ、そして環の平坦側部６６Ｂは、隆線４４Ｃと整列される。隆線は、据付けられた時、環の非所望の回転を防止する。それから、大腿骨ステムの遠位端部は、環２６の頸部３２上に置かれる。この組立品において、頸部３２は、ステム孔１６の第１部分１６Ａ内に着座するが、硬直に捕捉されない。こうして、ステムは、ボスの隆線が環が回転するのを防止するために、環に独立に、ステム軸（ｘ）の回りで回転可能である。
【００３５】
それから、固着用ボルト５６は、ボルトシャフトがボス頂面から上方に延びる如く、ボスの下側からボス孔７８を通ってボス空洞に挿入される。ボルト頭６０の球形係合面６２は、空洞の同様に構成された端壁７６と嵌合及び係合する。空洞端壁の選択形状により、ボルトシャフトは、環２６によって決定された角度において空洞内に着座される。
【００３６】
環２６のボス据付け表面３０は、ボルトシャフトが環２６に突出しかつ延びるステム角形成及び位置を決定する。ボルトシャフト５８のねじ部分５８Ｃは、ステム孔のねじ部分１６Ｃに螺合し、ステムと環を大腿骨成分に確実に固着する。この軸方向連続組み立てにおいて、環は、ボルトとステムの螺合によりステムとボスの間に圧入される。
【００３７】
本発明の重要な特徴は、環据付け角度によって決定された選択角度においてボルトを位置付けるために協働する空洞端壁とボルト頭の据付け表面の相補的形状である。ボルトシャフトが位置付けられる可変位置は、さらに、好ましくは前後方向において延びている孔の選択形状によって助長される。技術における当業者はまた、孔が横平面における選択方向、例えば内外方向において延びることを認めるであろう。本発明のモジュラー膝プロテーゼにおいて、固着用ボルトのボルトシャフトは、外科医の必要性により、中央に位置するか、又はオフセットされる。付加的に、環はステムとボルトの間に圧入されるために、ステムと環は、パッケージ化モジュラー膝プロテーゼにおいて別個に設けられる。例えば、パッケージ化モジュラー膝プロテーゼは、大腿骨成分、オフセット及び／又は非オフセット形式ボルト、５度及び／又は７度の傾斜据付け表面を有する一つ又は複数の環、及び大腿骨ステムを含む。
【００３８】
発明のモジュラー膝プロテーゼ１０は、さらに、図１のスナップリング１２を含み、環を大腿骨ステムを固着するための冗長性機構を設ける。例示のスナップリング１２は、好ましくは、図６Ａの環の第２環状面３２Ｂによって形成した周囲スロットと、ステム孔（不図示）の底部に沿って形成した対応する溝に据付けられる。スナップリングは、環の周囲スロット内とステムに形成した溝内に部分的に着座し、これにより、ステムを環にロックさせる。
【００３９】
こうして、発明は、上記の説明から明らかにされたように、前記の目的を効果的に達成することが見られる。発明の範囲を逸脱することなく上記の構成において変形が行われるために、上記の説明に包含され、又は添付の図面に示された全事項は例示として、非限定的な意味において解釈されることが意図される。
【００４０】
また、次のクレイムは、ここで記載された発明の一般及び特定のすべての特徴、及び言語の問題として範囲内に入ると言われる発明の範囲に関する言明を包含するものである。
【００４１】
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
【００４２】
１．上関節面と下面を有する離間した一対の顆部分を有する大腿骨成分であって、顆部分の間に配設され、それらを連結するボス構造を含み、ボス構造は、横平面において略水平の第１定位にある下面と、対向上面とを有し、選択構成を有する孔が、ボス構造の下面と上面の間に貫通される大腿骨成分と、
大腿骨の遠位部分の骨髄管内に据付ける細長いステム部材手段であり、ステム部材は、閉近位端部と開遠位端部を有する細長いステム部材手段と、
ステム部材の外側端部に据付けるための環手段であり、据付けられたとき、ステム部材の縦軸を実質的に横断する遠位表面し、環遠位表面とボス構造の下面は、選択据付け角度を規定する環手段と、
ボス構造の孔内に据付けるための少なくとも一つの固着用ボルトであり、細長いシャフト部分が球形第１表面から延びている頭部を有する少なくとも一つの固着用ボルトとを具備するモジュラー膝プロテーゼ。
【００４３】
２．ボルトのシャフト部分が、ボルト頭部における略中央位置に配設され、延びている上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００４４】
３．ボルトのシャフト部分が、頭部における非中央位置に配設され、延びている上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００４５】
４．細長いシャフト部分が、ボルト頭部における中央位置から前後方向に横平面において選択距離だけオフセットされる上記３に記載の膝プロテーゼ。
【００４６】
５．ボルトの細長いシャフト部分が、約０．１ｍｍ〜約５ｍｍだけ頭部の中央位置からオフセットされる上記４に記載の膝プロテーゼ。
【００４７】
６．細長いステム部材の遠位端部が、ボルトのシャフト部分を収容し係合するための収容部材を含む上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００４８】
７．収容部材が、空洞を含み、その少なくとも部分がねじを切られる上記６に記載の膝プロテーゼ。
【００４９】
８．ボルトシャフトの少なくとも部分が、空洞のねじ部分に螺合するようにねじを切られる上記７に記載の膝プロテーゼ。
【００５０】
９．固着用ボルトが、頭部の球形第１表面がボスの孔に係合する如く、環手段内に据付け可能であり、この場合、環手段の据付け角度が、ボルトシャフト部分がボス構造の下面から延びる角度を決定する上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５１】
１０．環手段の遠位端部の据付け角度が、内側又は外側に対して、横平面において内外方向に約０度〜約１５度の範囲にある上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５２】
１１．環手段の遠位端部の据付け角度が、前後側に対して、横平面において前後方向に約０度〜約１５度の範囲にある上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５３】
１２．ボルトの頭部が、ボス孔内に据付けられた時、ボルトの回転を防止するための第１抗回転手段を含む上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５４】
１３．ボス構造が、さらに、ボス孔内に据付けた時、ボルトの回転を防止するために、ボルトの第１抗回転手段に係合する第２抗回転手段を含み、第２抗回転手段が、ボス構造の上面において形成される上記１２に記載の膝プロテーゼ。
【００５５】
１４．環が、ボス構造の下面に据付けた時、環の回転を防止するための第３抗回転手段を含む上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５６】
１５．ボス構造の下面が、さらに、ボス構造において据付けた時、環の回転を防止するために、環の第３抗回転手段に係合する第４抗回転手段を含み、第４抗回転手段が、ボス構造の下面において形成される上記１４に記載の膝プロテーゼ。
【００５７】
１６．ボス構造の下面内に形成した孔が、横平面において前後方向と内外方向の少なくとも一方において延びている選択楕円形状を有する上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５８】
１７．環手段を細長いステム部材に固着するためのロック手段をさらに具備し、ロック手段が、環手段とステムとの締まりばめにおいて配設される上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００５９】
１８．ロック手段が、スナップリングを具備する上記１７に記載の膝プロテーゼ。
【００６０】
１９．細長いステム部材が、環手段に独立に、その縦軸の回りで回転可能である上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００６１】
２０．環手段と細長いステム部材が、右又は左側プロテーゼにおいて、修正なしに、使用のために適する上記１に記載の膝プロテーゼ。
【００６２】
２１．固着用ボルトが、右又は左側プロテーゼにおいて、修正なしに、使用のために適する上記２に記載の膝プロテーゼ。
【００６３】
２２．固着用ボルトが、右又は左側プロテーゼにおいて、修正なしに、使用のために適する上記３に記載の膝プロテーゼ。
【図面の簡単な説明】
【図１】右膝大腿骨成分を含むが、右及び左膝における使用のために一般に設計された本発明によるモジュラー膝プロテーゼの分解斜視図である。
【図２】右膝で使用され、かつ、図１のモジュラー膝プロテーゼで使用される大腿骨成分の一実施態様の斜視図（Ａ）、及び右及び左膝における使用のために設計された、図１のモジュラープロテーゼで有益な大腿骨成分の別の実施態様の斜視図（Ｂ）である。
【図３】図１の大腿骨成分の底面図である。
【図４】図１のモジュラー膝プロテーゼで有益な固着用ボルトの一実施態様の側面図（Ａ）、及び図４Ａの固着用ボルトの頂面図（Ｂ）である。
【図５】図１のモジュラー膝プロテーゼで有益な固着用ボルトの代替態様の側面図（Ａ）、及び図５Ａの固着用ボルトのシャフトからの頂面図（Ｂ）である。
【図６】図１のモジュラー膝プロテーゼで有益な環の側面図（Ａ）、図６Ａの環の頂面図（Ｂ）、及び図６Ｂの線Ｂ−Ｂに沿って取った図６Ａの環の断面図（Ｃ）である。
【図７】線Ａ−Ａに沿った図１の大腿骨ステムの断面図である。
【符号の説明】
１０ プロテーゼ
１４ 大腿骨ステム
４０ 大腿骨成分
４４ ボス構造
５６ 固着用ボルト
７０ 空洞
７８ 孔

Claims (1)

1. 上関節面と下面を有する離間した一対の顆部分を有する大腿骨成分であって、顆部分の間に配設され、それらを連結するボス構造を含み、ボス構造は、横平面において略水平の第１定位にある下面と、対向上面とを有し、選択構成を有する孔が、ボス構造の下面と上面の間に貫通される大腿骨成分と、
   大腿骨の遠位部分の骨髄管内に据付ける細長いステム部材であり、閉近位端部と開遠位端部を有する細長いステム部材と、
   ステム部材の端部に据付けるための環であり、据付けられたとき、ステム部材の縦軸を実質的に横断する遠位表面を有し、環遠位表面とボス構造の下面は、選択据付け角度を規定する環と、
   ボス構造の孔内に据付けるための少なくとも一つの固着用ボルトであり、ボルトはその細長いシャフト部分が丸みのついた第１表面から延びている頭部を有し、ボルトのシャフト部分が、頭部における非中央位置に配設され、延びている少なくとも一つの固着用ボルト、
   を具備するモジュラー膝プロテーゼ。

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