JP3738864B2 - アルカリ蓄電池用ニッケル電極 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル・金属水素化物蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・亜鉛蓄電池などのアルカリ蓄電池に用いられるニッケル電極に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年のポータブルエレクトロニクス機器の小形軽量化に伴い、その携帯電源である電池にも高エネルギー密度化が求められている。その要求に対処するために、ニッケル極の集電体に多孔度９０％以上のスポンジ状の金属からなる三次元構造体を用いたニッケル・水素化物蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・亜鉛蓄電池などのアルカリ蓄電池が開発実用化されている。また、そのエネルギー密度や寿命などの点から、電気自動車用電源としても有望視されている。
電気自動車等では加速や登板時に高出力を必要とするため、放電末期まで安定した高出力が得られる電池が必要である。しかし、電気自動車で使用される電池の極板は一般に大型であり、このような大型の極板ではリード端子から離れるに従い集電体の抵抗が影響して放電時の電圧降下が大きくなり、高出力が得られなかった。これを改善するため電極上部の幅方向に導電体を設け、電極幅方向の放電時の電圧降下を抑制している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような電極を作製するには導電体を電極に取り付ける工程が必要となり、コストが高くなり、しかも電極の一方向しか電圧降下を抑制できないという問題点があった。
【０００４】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、電極の電気抵抗が小さく、大電流での放電性能に優れ、製造コストの安価なアルカリ蓄電池用ニッケル電極を提供することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のアルカリ蓄電池用ニッケル電極は、三次元構造を有する多孔度９０％以上のスポンジ状金属多孔体基板の中央に金属箔を配置したサンドイッチ構造の集電体に、水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填したものである。
【０００６】
そして、前記金属箔は、ニッケル粉末あるいはニッケル繊維の成型体を焼結後プレスしてなる焼結体である。
【０００７】
【作用】
図２に従来の三次元構造のスポンジ状金属多孔体基板用いたアルカリ蓄電池用ニッケル極板の断面図を示す。従来の三次元構造のスポンジ状金属多孔体１だけでは、集電体４の抵抗が高いため、水酸化ニッケルを主成分とする活物質２を充填した極板では均一な反応が十分行えず、電極の分極が大となり、放電電圧の低下を来す。
【０００８】
本発明によれば、図１に示したように三次元構造のスポンジ状金属多孔体１の中央に金属箔３を配した、サンドイッチ構造の集電体を用いたアルカリ蓄電池用ニッケル極板であるため、中央の金属箔３の電気抵抗が小さく、電気抵抗による電極の分極が小さくなるほか、電流を均一に分布させ、電極を均一反応させ、高率放電時の顕著な電圧低下の防止が可能となる。従って、出力特性に優れたのアルカリ蓄電池用ニッケル電極が得られる。
【０００９】
また、金属箔３として、粉末成型→焼結→プレスの工程で作製されるニッケル粉末あるいはニッケル繊維の焼結体を用いると安価となり、活物質との導電性も優れる。
【００１０】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照にして説明する。
【００１１】
ニッケル粉末を焼結して厚さ３０μｍにプレスした金属箔３の両側に、三次元構造の多孔度９０％以上のスポンジ状ニッケル多孔体１を一体化して集電体４を作製した。この集電体４に、高密度球状水酸化ニッケル粉末と１０重量％の一酸化コバルト粉末とを混合し、増粘剤を溶かした水溶液を加えて作製したペースト２を充填して本発明の電極Ａを作製した。なお、金属箔３は、開口率が４６％になるように、直径１．５ｍｍの円形の孔５が多数形成され、この孔５内にもペースト２が充填される。
【００１２】
また、前記ペースト２と同様なペーストを三次元構造のスポンジ状ニッケル多孔体１からなる集電体４に充填して従来電極Ｂを作製した。
【００１３】
前記電極Ａ，Ｂをそれぞれナイロンセパレータで包み、対極に水素吸蔵電極を用い正極規制の電池を作製した。比重１．２８の水酸化カリウム水溶液内で電池電試験を行った。充電は０．１Ｃ相当で１５時間、放電は０．２ＣでＨｇ／ＨｇＯ参照極に対して０Ｖ打切り行った。図３の放電特性から明らかなように、本発明の電極Ａは従来電極Ｂに比べて、略同じ容量であった。
【００１４】
次に、０．２Ｃで５０％放電し、１時間放置した後、０．２Ｃ〜５Ｃの放電電流を１５秒間流し、ＤＯＤ５０％でのＩ−Ｖ特性を測定した。図４より明らかなように、従来電極Ｂより本発明電極Ａの方が分極が小さく、放電電圧が高い結果が得られた。
【００１５】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は次に記載する効果を奏する。
【００１６】
（１）請求項１によれば、大きな極板であっても、集電体の電気抵抗が小さいので、放電電圧を低くすることができ、高出力のアルカリ蓄電池用電極を提供できる。
【００１７】
（２）請求項２によれば、簡単に製造できる金属箔を用いているので、安価なアルカリ蓄電池用電極を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態を示す部分断面図である。
【図２】従来の電極の一実施形態を示す部分断面図である。
【図３】本発明の電極Ａと従来の電極Ｂの放電特性を示すグラフである。
【図４】本発明の電極Ａと従来の電極ＢのＩ−Ｖ特性を示すグラフである。
【符号の説明】
１ スポンジ状金属多孔体
２ 活物質
３ 金属箔
４ 集電体
５ 貫通孔

Claims (1)

1. ニッケル粉末あるいはニッケル繊維の成型体を焼結後プレスした焼結体からなる金属箔の両側に三次元構造を有する多孔度９０％以上のスポンジ状金属多孔体を積層して一体化した集電体に、水酸化ニッケルを主成分とする活物質を含むペーストを充填したことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル電極。

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